COSMIC RESCUE 
The moonlight generations


場所 品川IMAXシアター
監督 佐藤信介

(公式HPへ)

日本SF映画がやっとたどり着いた宇宙SF映画の最高傑作!!

2048年、人類は月基地を建設し、宇宙への旅もめずらしい事では
なくなっている。
そんな時代、宇宙におけるあらゆる救助活動のため、「COSMIC RESCUE」
が結成されていた。
日本支部第89師団南条チームもそんなコスミックレスキューだ。
隊員はリーダーの南条(森田剛)のほか、メカニック担当の江口(三宅健)、
劇的な救助活動にあこがれている澤田東(岡田准一)。
だが彼らの日常のほとんどはバッテリー交換とデブリ(宇宙ゴミ)回収で、
東はそんな日々に飽き飽きしている。
そんなある日、第一級の救助信号を東が受信する。
早速駆けつけた彼らだが、そこには救助すべき宇宙船は見当たらなかった。
東は本当に救助信号をキャッチしたのか?
だがそこには宇宙開発局の陰謀が隠されていた・・・・・


救助隊映画(例えば潜水艦事故ものとか火災の消防隊映画とか)につきものの
危険をかえりみない男たちと、自己犠牲のドラマがおりなすクライマックス、
また過去の失敗を引きずる男、やる気まんまんの新入隊員、その両者を取り持つ男
という3人のアンサンブルなどなど、映画の王道を行く展開。

ラストの救出シーンのドッキングチューブの破壊シーン、宇宙に放り出された
東を決死的行動を持って救出に向かう南条など映画の伝統的な盛り上げ方に
なっておりそれだけでも充分満足。

宇宙船や月面基地の造型、またCGの合成もセンスよく決まっている。
また内部の美術も宇宙カフェのセット(小道具の宇宙公衆テレビ電話の懲りようを
見よ!)、CR89船のコックピットのカッコよさ。
単なる美術センスだけでなく、宇宙カフェの窓の外を宇宙船が飛んでいる光が
見える入念さ。
日本のスタッフのセンスもこれだけ上がったのだ!

それだけでなく、かつての南条の活躍を描いたコミックがストーリーの
伏線になっていたり、途中何気なく出てきたセリフがあとで意味を持ってきたり
脚本の練り上げもよく出来ている。
一度挫折をした南条が今回のレスキューをきっかけに立ち直るなど「男の敗者復活」、
「男の仕事への情熱、夢」を描いた映画でもある。

惜しいのはクライマックスのレスキューシーン、南条たちの船がたどり着くまで
「デブリをよけながら突き進む」というシーンが欲しかったのだが、予算の関係か
省略されあっさりたどり着くところが残念。
ここで二つも三つも山を作って欲しかったところだ。

そしてドッキングのチューブの破壊シーン、「エイリアン2」のラストにも減圧のため
宇宙に吸い込まれていきそうになるシーンがあったが、チューブが破壊され減圧が
始まってから東がハッチを閉めるまでが長すぎる。
そんなに長時間もたいないだろうって気になってしまう。
また同じシーンで南条、東、江口が同じ宇宙服なので誰が誰だかわかりづらい。
3人の宇宙服を色分けするとか区別がつきやすくなってればもっと解りやすかったと思う。

しかし今言った不満は小さな事。
この映画の完成度が高いので、つい高望みをしてしまうのだ。


こんな素晴らしい映画をカミセンファンだけのものにしておくのは実に
もったいない。
東宝はすぐさまシリーズ化権を獲得し、連作すべきだ。
極端な話、カミセン主演じゃなくても別のレスキューチームを主人公にしたって
いいじゃないか。

だが大半の映画ファンからは「けっジャニタレ映画かよ」と言って見向きも
されないだろう。
この映画を冷静に評価してくれるのはカミセンを知らない海外のSFファンかも知れない。
そして海外で評価されてから、凱旋上映で日本の映画ファンはこの作品の
真価を知ることになるのだ。

そうなる前に絶対見るべし!!
そうでないと映画ファンとして後悔することになります。