エレクトラ


日時 2003年9月15日14:00〜
場所 シアター・コクーン中2階立見席
演出 蜷川幸雄


アガメムノンは戦争のいけにえとして実の娘(長女)を殺す。
その妻、クリュタイムネスは夫を殺害する。クリュムネタスは再婚するが
次女のエレクトラ(大竹しのぶ)は父を殺した女としてクリュムネタスを
憎んで殺害しようとする。エレクトラは頼みの綱の弟オレステス(岡田准一)
の帰国を待つ。

ここまでがストーリーの前振りで、芝居はこのオレステスが帰国するところから始まる。

でも正直言って騙された。
実は岡田は主役じゃない。
ポスターのデザインだと大竹しのぶと岡田が二人で同じ大きさで立っており、
二人のダブル主演、それも岡田の方が扱いが大きいように見えるのだ。
ところが期待の岡田は1時間40分の芝居なのに最初の5分に出てきて
すぐ消えて再び登場するのは芝居が始まって1時間10分後、
それからの活躍だから、つまり後半の30分しか出てこないのだよ。

まあもちろんポスターの序列と役の大小が必ずしも比例しない事は
映画演劇ではよくあることだし、別に驚きもしないのだが、
今回は「岡田准一、初の蜷川芝居挑戦!」ってあおられて、てっきり主役だと
思い込んでしまったのだ。

健が出ずっぱりだった「二万七千光年の旅」とはえらい違いだ。
でも見終わって納得もした。
V6は8月後半はずっとコンサートやってるわけですよ。
で10月から岡田は主演ドラマが始まるんだよ。
だから9月に主演舞台をつとめられる時間的余裕なんかあるわけない。
多分、8月前半まで岡田のシーンを先に稽古して、(いやそれにしたってコンサのリハ
だってあったはずだ)それから大竹しのぶを中心とした前半の稽古をしたんじゃないだろうか?
また多分、舞台が終ったあとや、舞台の始まる前にはドラマの収録をやってるんだろうな。
それぐらいのぎゅうぎゅうのスケジュールでなきゃ時間的に無理なはずだ。

こんなきついスケジュールじゃやっつけ仕事的になるのはいたし方あるまい。
だから岡田は演技を云々するほどの活躍はない、というのが僕の感想。
(大竹しのぶは1時間30分はしゃべっていて圧巻でしたがね)
9月20日の朝日新聞の夕刊の劇評で「岡田は登場するやアドニス(美少年)の
オーラを放つが、言葉が口の中でこもるきらいがある。さらなる精進を。」
と評された。
それは間違った批評でもないだろうし、「作品は結果が勝負」というプロの厳しさも
解っている。
でもなんだかねえ。

もうすこし時間的に余裕があってちゃんとした環境のもとで岡田には舞台を踏んで欲しかった。
折角の舞台出演だったのにじっくり腰を据えてかかれなかった岡田が可哀想だった。