「名探偵・保健室のオバさん」

97年1月〜3月 月曜8時〜9時 テレビ朝日系

一言でいって三宅健の初期の代表作。
ある学園に保健室の先生として着任した先生(松雪泰子)とともに、松雪に無理やり
保健委員に任命された高校生、神宮寺尊(じんぐうじ・みこと〜健の役名)が
学園内で起こる事件を解決していくという学園ミステリー。
「やさしくて、ちょっと気が弱くて頼りない感じもするけど、やるときはやる!」って
三宅健らしいキャラが一番活かされた作品ですね。
このキャラは後の「PU−」や「新・俺たちの旅」でも演じられていくキャラの原型であ
り、かつもっとも成功したパターンです。

もともとの甘えん坊的なキャラのせいもあるでしょうが、この作品の成功が後の彼のドラ
マでの役の方向性を決めてしまったと思う。
2000年1月〜3月の「バーチャルガール」も主人公の榎本加奈子に協力する学生の役
(またしても)なのですが、この場合、主人公の協力者が陣内孝則、篠原ともえと
別にいたので、健の出番は少なく、目立たなくなってしまったのが残念。

このままで行くと、将来サラリーマンドラマに出ても、課長からは役に立たないとあきれ
られるが、先輩OLからは可愛がられるという神宮寺尊が大人になったパターンに
なってしまいそうでちょっと怖い。
本当は健の役者としての可能性のために、そろそろ別の役を演じて欲しいと思っているの
ですが・・(*注)
(その点、岡田などは女に手の早い少年(PU)、失業サラリーマン(俺旅)、鑑別所上がり
の不良少年(ディアフレンド)銀行員(モナリザの微笑)と毎回違う役で、非常に恵まれている)

作品に話を戻すと、共演者の役柄も神宮寺尊を好きな女の子、憎まれ役の教頭、松雪泰子
の味方をする校長など、お決まりのパターンといってしまえばそれまでだが、学園ドラマの
定石をはずさずにお約束という事で、私はこの場合よいと思う。
個人的には第4話(だったか)「神宮寺尊の幼馴染という女の子が転校してきてキスされ
ちゃう話」がベストエピソードだった。
ラストの彼女との別れのシーンで「私、神宮寺君に迷惑かけちゃった」と謝る女の子に
「どうして?俺キスしてもらったんだし、ラッキーじゃん」と笑って見送るところが、
最高によい。
2枚目のアイドルそのものである。
(裏の事情を何にも知らない悪友たちが「あいつもう振られたぜ」というオチもついている)


ラストの松雪泰子が去ってから、また登場するまでの神宮寺にとっての胸に穴があいたよ
うな時間が、少しくどくてテンポが落ちるが、多分二時間スペシャルにしたために時間が
余ってしまったせいかなと思う。
松雪泰子が帰ってきた時の喜び方が無邪気で可愛い。
あの無邪気な可愛さが彼の魅力でしょう。

個人的にはいつまでも先生に甘えている高校生というのも、成長が無くていやなのだが、
続編の製作を考えてたらしい現場サイドからしたらああいう終り方をせざるをえなかったのか?
(ラストカットで「またね!!」とカメラに向かって健と松雪が言うので、続編または
スペシャル版で復活か?と思わせるのだが結局、製作されなかった。)

結論として繰り返すが、この作品は健の代表作として三宅健ファン必見の作品で
す!これを見ていない三宅健ファンはなんとしても見るべきです!



(*注)
舞台作品においては健は、その後2000年秋に「二万七千光年の旅」という代表作を
持つようになる。この場合は全国津々浦々の人が見ることができる映画、TV作品に
おいて、という意味である。
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