検察側の証人(邦題・情婦)


監督 ビリー・ワイルダー
製作 1957年

(詳しい内容はキネ旬データベースで)


ロンドン法曹界の長老弁護士・ウィルフリッド卿はやっと退院できたが
医者からはストレスになると刑事裁判をとめられていた。
ところがそんな時、ヴォールという青年が未亡人を
殺した事件の弁護を依頼される。
遺産がそっくり入ったから動機も充分とされ、犯行時刻の午後9時半に家に
帰ったというアリバイを証明するのも妻だけ。
裁判が始まったが、ついにヴォールの妻が証人として出廷した。
だが弁護側の証人ではなく、検察側の証人としてだった。
そして彼女はヴォールは9時半ではなく10時10分に帰ったと
アリバイを否定してしまったのだ!
妻はなぜ夫に不利になる証言をしたのか?そして二転三転の結末は?


原作はアガサ・クリスティの名作戯曲をビリー・ワイルダーが映画化。
ビリー・ワイルダーの代表作というだけでなくミステリー映画としても名作!!

話はラストが二転三転するのでこれ以上書けないけど、ラストの10分は
誠に息がつく暇のない展開!
最後に起こってしまった事件の弁護をウィルフリッド卿が引き受けるので
後味のよい幕切れになっている。
またウィルフリッド卿の健康管理を担当する看護婦とのやり取りも
コメディとしてのスパイスが十分効いている。

また小道具を効果的に用いた演出はさすがはビリー・ワイルダー。
ヴォールと未亡人の出会いのきっかけになる帽子、ウィルフリッド卿が
禁じられてる葉巻、法廷で飲む飲み物を入れた魔法瓶、最後の判決の決め手となる
「手紙」をそっと書類の下に隠して証人を問い詰めるなど、セリフで説明せず、
さりげなく小道具を用いて、人物の心情、話の展開を見せるところは
よく出来てるなあ。

実は昔、短期のシナリオ講座に通ったことがあるのだが、そこで言われた小道具の
使い方の見本のような素晴らしさ。
原作を読んでみたが、上記の小道具や看護婦とのやり取りの笑いのシーンは一切ない。
ビリーワイルダーの脚色で、この映画はアガサ・クリスティの原作を超えた
面白さになっている。

ミステリー映画なので内容は余り詳しくかけないのだけれど、ビデオ、DVDで観賞しやすい
作品なので、是非皆さんにも見てもらいたい作品。

お薦め!!!

付記
タイトルは本来「検察側の証人」なのだが、封切り時の配給会社がマリーネ・デートリッヒ
が出てるためか「情婦」なるエロ映画みたいなタイトルにされてしまった。
007の第2作が「危機一発」から原タイトルどうりに「ロシアより愛をこめて」に
なったようにいい加減に変えてもいいんじゃないかなあ。
発売されたDVDも「情婦」だからな。
このサイトではあえて「検察側の証人」とさせていただきます。