木更津キャッツアイ ワールドシリーズ


日時 2006年10月29日18:45〜
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン3
監督 金子文紀

(公式HPへ)


ぶっさん(岡田准一)が死んで3年。いまや木更津市役所の職員になったバンビ(櫻井翔)
だったが再開発予定の土地に行ったときにぶっさんらしい声を聞く。
ここに何かを作れば彼が現れるという。
ぶっさんときちんとお別れが出来なかったことが心残りのバンビは昔の仲間、アニ(塚本高史)
マスター(佐藤隆太)うっちー(岡田義範)をもう一度集めるのだが。

ぶっさんが主役でないキャッツアイ。
これで最後の作品となる。
前半はぶっさんが全然登場せず、バンビが東京や大阪にいるアニやマスターを集めてぶっさんを
呼ぼうとする。
この辺が見ていてまるで面白くない。
見ていて「キャッツも最早賞味期限切れかあ?」と思っていた。

しかし後半になってぶっさんが登場して俄然パワーアップした。
思えば「木更津キャッツアイ」はやはり、ぶっさん=岡田准一のドラマだったのだ。
名脇役キャラクターはたくさんいるが、それもぶっさんがいてのことだった。
ぶっさんが切れて「意味わかんねえよ!」「無視すんなよ!」とわめきたてるそばでの
リアクションが面白さのコアだったのかもしれない。
それがぶっさん抜きでやったらそれこそ「寅さんのいない『男はつらいよ』」になって
しまったのかのような、たいやきのアンコのない部分を食べさせられているような気分だった。

今回は映画版前作「日本シリーズ」のような馬鹿騒ぎはなく、クライマックスも野球だ。
前作は後半が南の島にいくわ、マシュマロマンは登場するわ、で仕掛けの大きさに
かえって飽き飽きしたが、今回のほうが「木更津キャッツアイ」らしい規模で私は
見ていて居心地がよかった。

そしてどう結末づけるか。
意外にも(僕には意外にも)アニの「俺らもう25だしさあ。四捨五入したら30だぜ」
のセリフで事実上のキャッツ解散宣言が始まる。
アニ(いやバンビでもそうだったが)の口から「もう30だから」という大人宣言が
出るとは思わなかった。
サザエさんが永久に年をとらない様に、キャッツのメンバーはいつまで経ってもバカを
やっているような気がしていた。

「25過ぎたらバカもやってられない」
実際そうなのだ。
「『いちご白書』をもう一度」の歌詞の中にも就職が決まって髪を切った男の呟きが
出てくる。今回の「キャッツアイ」をみて「『いちご白書』をもう一度」を聞いたときと
同じような気になった。
そういうリアルなことをいうアニを「成長したな」と思う反面、「そういうセリフは
キャッツのメンバーからは聞きたくなかった」という気もする。
この映画の結末のつけ方がよかったか悪かったか、未だに僕自身結論は出ていない。

でも30もとうに越したオジサンから言わせてもらえば、「大人になってもバカは出来るもんだぜ」
ということだ。
そうでなければ1年に150本以上映画見て、見もしないDVD買って、HP作るなんて真似は
出来そうもない。