ラブリーベイベー


日時 2011年11月6日13:00〜14:55
場所 東京グローブ座


2010年春。
リゾートホテルの一室に男女7人の仲間が集まっていた。彼らは季節ごとに集まり、このホテルで過ごすのを最近の習慣だった。メンバーは作家でこのホテルのオーナーの息子、恋司(三宅健)、愛斗(菅原永二)、ユカリ、カスミ、コウスケ、アキラ、それにキョウコだった。
実は彼らは同性愛者で、恋司(レンジ)と愛斗(マナト)、ユカリとカスミ、コウスケとアキラはそれぞれカップルだった。キョウコだけがカップルではない。

カスミは相手の気持ちを常に疑ってしまい、「他の女と話した」というだけで「浮気した!」と喧嘩してしまう女、コウスケはまじめにアキラを愛していたが、アキラは浮気がちだった。

2011年春。
同じくリゾートホテルに集まった彼ら。
マナトは性転換して女性になっていて妊娠している。
秋には結婚のお祝いをこのメンバーでしたいと盛り上がる。

2010年夏。
花火大会にみんなは行ってしまったが、マナトは夏風邪で寝ている。レンジは薬とともに線香花火を買ってきて、二人だけの花火大会を楽しむのだった。
しかし仕事でコウスケが来れなかったことを幸いに、アキラは花火大会で知り合った男をホテルに連れ込んでしまう。

2011年秋。
レンジとマナトの結婚祝い。コウスケは今つきあってると言って木下という真面目そうな男をみんなに紹介する。
レンジとマナトの幸せは永遠に思えた。
みんなが帰ってマナトとレンジの二人になったとき、マナトは「もうそろそろ終わりにしない」と言ってきた。レンジは今小説を書いている。それは二人の恋愛をつづった「ラブリーベイベー」というタイトルだという。

2010年冬。
実はマナトはこの冬にガンで亡くなっていた。気がついた時はあちこち転移してもう手遅れだった。
マナトは天に召される。しかし、あと1年だけ、マナトはレンジの前に現れることになる。

2011年冬。
コウスケを諦めきれないアキラは「もう浮気はしない。コウスケとつき合えるならセックスなんかしなくていい」しかし今までの浮気癖からコウスケはアキラを信頼しきれない。
ついにアキラは自分の性器を切り落としてしまう。

キョウコはカスミに話があるという。しかしカスミはユカリの携帯を持ってきて、見ようとするが暗証番号が必要でロックがかかっている。「解らない」と悩むカスミだったが、キョウコは難なく解いてしまう。その番号はカスミの誕生日だったのだ。
キョウコは結局は自分の話は言い出せない。

レンジとマナトの二人きり。マナトは「約束の時間」と言ってレンジの前を去ろうとする。
楽しかった二人の思い出をもう一度と線香花火をもう一度楽しむ二人だった。


三宅健、昨年春の「ULTRA PURE」以来1年半ぶりの舞台。
何の予備知識もなく見たが、切ないラブストーリーだった。
愛する人を失ったレンジは自分の小説の中で二人の生活を築こうとする。しかしそれも終わりがくる。
線香花火のシーンはとてもよく、三宅健の少年っぽいキャラクターに似合って名シーンだと思う。
以前深夜番組の「演技者。」の「ビューテフル・サンデー」でもそうだったが、、三宅健は総じてゲイ役を演じるとよく似合う。

正直三宅健目当てて見に行ってるので、他の二組のカップルについては興味が薄くなる。
それでもアキラやカスミの狂気的な愛は芝居として盛り上げたと思う。
結局ユカリが好きだと言い出せなかったキョウコが私は愛しい。(最後で言いかけたキョウコの話はたぶんそのことだと思う)

今まで三宅健の舞台はすべて見ているが、今回が一番よかったと思う。面白かった。
                                      




(2013/10/27更新)