2015年11月

   
劇場霊 怪猫トルコ風呂 シネマの天使 パリは燃えているか
ムーン・ウォーカーズ 天使の楽園 シコ食い込んじゃった グラスホッパー
天使のはらわた
赤い淫画
花を摘む少女と
虫を殺す少女
サクラ花 桜花最期の特攻 EARTH TO ECHO
アース・トゥ・エコー
探検隊の栄光 サイドライン UFO学園の秘密 先輩と彼女

劇場霊


日時 2015年11月28日15:50〜
場所 新宿ピカデリー・シアター9
監督 中田秀夫


人形作家・児島(中村育二)は二人の娘を殺した容疑で逮捕された。彼は逮捕時にある人形を燃やそうとしており、「人形が娘を殺した」と叫んでいた。
20年後。女優として事務所に入って5年の沙羅(島崎遙香)は未だにドラマの死体役程度の役しかもらえず、今後について悩んでいた。そんな時、「鮮血の呼び声」という舞台のオーディションに合格した。
それは中世のヨーロッパで自分の老いを防ぐために若い娘たちを殺して生き血を浴びていったエリザベードの物語だった。
ある晩、女性スタッフが舞台小道具の人形に襲われて変死したが、人形のせいとは誰も思わなかった。
そして主演女優も人形に襲われて劇場の屋上から転落し、意識不明の重体となった。そこで台本のせりふをすべて覚えていた沙羅が主役に抜擢された。
しかし沙羅も稽古中にこ小道具の人形が動くのを見て恐怖を感じ、人形の異変を訴えたが、周りは聞く耳を持たない。主役は再び変わった。
そして初日前日のマスコミ向けゲネプロを迎えた。


中田秀夫のホラー映画はそんなに怖くないので、ホラーが苦手な私でも観ることが出来る。ホラーというかスプラッターが苦手なんだな、私は。

冒頭で「人形が殺した!」というシーンで私は「怪奇大作戦」を思い出した。で、その人形の頭部がどういういきさつか小道具会社の倉庫にあって、その頭部が今度の舞台に使われるといういきさつ。

女優やスタッフが襲われる中盤まではいいのだが、この人形の謎を追って主人公や男性スタッフ・和泉が動き出すのが遅いと思う。
で、すぐに人形を作った児島を訪ねていくのだが、ここはもう少し丁寧に描いてほしかった。
小道具会社に聞く、この人形を使って製作が中止になった映画があった、この人形の製作者にたどり着く、みたいな。

主演はAKBの島崎遙香。AKBなんて前田敦子と大島優子ぐらいしか知らないからな。今回観たけどたぶんを顔を覚えることはないだろう。
そして小道具スタッフの和泉役にEXILEの町田啓太。こちらも顔は覚えないだろうなあ。
印象に残ったのは冒頭の人形作りの中村育二。最近は「日本のいちばん長い日」など記憶に残ることが多くなった。
あとは演出家役の小市慢太郎。ネチネチとした(実は女優喰い)の演出家を好演していた。

そもそも「劇場を舞台にホラーを」という秋元康の企画から始まったようだが、だったら劇場そのものの由来とか開かずの間とかそういう方向に話を持っていってもよかったのではないか?
この話では「劇場霊」ではなく「人形霊」だと思う。
その点がちょっと惜しい。











怪猫トルコ風呂


日時 2015年11月27日21:00〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 山口和彦
製作 昭和50年(1975年)


昭和33年3月に売春防止法が施行され、赤線が廃止となった。吉原のある遊郭はトルコ風呂に鞍替えし、多くの遊女はそこに移っていった。ただ一人、雪乃(谷ナオミ)は遊郭の主人弦造(殿山泰司)の誘いを断った。彼女は鹿内(室田日出男)と暮らすつもりだった。だが鹿内には借金があると解り、彼の為に彼女は再び弦造のトルコ風呂・舞姫に戻るのだった。
雪乃は東北に住む妹・真弓(大原美佐)を呼び寄せていたが、雪乃が働いている間に真弓は鹿内に犯されてしまう。
実は鹿内は最初から雪乃に借金を背負わせ、トルコに売り飛ばすのが目的の男だった。雪乃は鹿内の子を身ごもっていたが、妹を犯された雪乃はついに鹿内を刺そうとする。
しかし逆に鹿内や弦造の妻・歌江(真山知子)からリンチに合い、死んでしまう。鹿内や歌江は雪乃の遺体を裏の土蔵に地下室の壁に埋め込んだ。
しかし雪乃の飼い猫のクロはすべてを見ていた。
半年後、「舞姫」に真弓が「雇ってほしい」とやってきた。


以前シネマヴェーラの「妄執異形の人々」というカルト映画(というか変な映画)特集で上映されていたのだが、見逃していた映画。
「トルコ風呂」(今で言うソープランド)と「化け猫」というあり得ない組み合わせに興味を持ったのだ。

映画のお話の方は鹿内は「舞姫」の店長になって歌江と出来て「舞姫」を乗っ取ろうとするのだが、弦造はトルコの名義を足の悪い真面目な実の娘のものにしており、仮に弦造を殺しても歌江のものにはならない。
それを知った鹿内と歌江は弦造を殺した後で(そして同じく土蔵の地下の桶に隠す)、その足の悪い娘と無理矢理鹿内は結婚し、犯してしまう。それで娘は自殺。
それを猫も見ていて、最後は土蔵で雪乃も殺されようとしたところで、猫が鹿内に襲いかかる。で、猫も殺した鹿内だったが、猫の血が雪乃の埋めた壁のかかると、見る見るうちに血が染み込み、壁にひびが入り「化け猫」と化した雪乃が現れる。
(この辺の壁に日々が入っていくところはコマ撮り)

そして鹿内とか歌江とか今まで自分をいじめた先輩トルコ嬢に襲いかかるという展開。
この化け猫のメイクがチープというか派手というかミュージカル「Cats」のような感じ。
客席から笑いが起きるかと思ったが、今日のお客さんは真面目なのか誰も笑わない。

でトルコの浴槽のお湯が全部上に上がったと思ったら(ここは逆回転)、その中から化け猫が現れる、ソープの泡が舞い上がったと思ったら泡の中から化け猫が出るなどその派手さには呆れかえるというか感心する。

化け猫が壁が割れて登場するなど、「大魔神」かと思ったよ。
そう言えば悪い奴にいじめられて最後に怒りが爆発するって「大魔神」的だなあ。

ゲスト出演的にトルコの常連客で山城新伍、大泉滉がコメディリリーフで出演。
低予算映画とはいえ、トルコやそのロビーや雪乃の部屋などセットは組んでるし、女の子の数は多いし、ピンク映画とは比べると豪華な印象である。











シネマの天使


日時 2015年11月23日9:50〜
場所 ヒューマントラストシネマ渋谷スクリーン1
監督 時川英之


広島県福山の地で122年の歴史を持つ大黒座。その映画館も建物の老朽化、映画環境の変化などで閉館が決まっていた。
この大黒座で最近働き始めた明日香(藤原令子)は映画は好きだが、先輩の竹井(末武太)ほど思い入れはない。
幼なじみで今は近所でバーテンダーをしているアキラ(本郷奏多)はいつか自分も映画を作りたいと思っているが、どうしていいか解らない。
地元テレビ局のディレクター新見(安井順平)は閉館する大黒座のことを取材するうちに、昔の写真にいつも同じ老人(ミッキー・カーチス)が写ってることを発見する。
明日香はある日、営業を終わった館内でその老人を見かける。話しかけてみるとその老人は自分のことを「映画館に住む天使」と名乗る。


一応これでも映画ファンのつもりである。
映画や映画館にはいろいろ文句を言ったりする事もあるが、やはり「映画は映画館で観てこそ映画」だと思っている。だからなるべく映画は映画館で見て、新作映画を「レンタルDVDになってから観ればいいや」とはほとんどの場合思わない。

そういう人だから映画館が閉館する話、と聞くと多少は関心はある。それに本郷奏多主演なので観てみた。

舞台となった大黒座、ロビーやいすを観ると最近の映画館でとても老朽化してるようには思えない。閉館になった映画館は1960年に建てられたというから築50年以上となり、そこそこ古い建物だ。東京で言えばミラノ座みたいなものなのだろう。あそこも閉館の頃でも改装のおかげでロビーやイスはきれいだったが建物自体は古かったからなあ。

でもって映画館の天使が登場して「1本の映画で人生が変わった人は大勢いる」と映画館万歳!を語る。
正直、そんなにいいものなら今でも人は来るだろうと思うのだが、そうでもないのだからやはり映画館を神聖視するのは映画ファンだけである。

で特にストーリーらしいものはなく、映画を作りたいとは思うものの具体的な脚本がかけないアキラの苦悩とか、支配人(石田えり)のやくざ風の昔の男(岡崎二朗)が登場するが、取り立てて印象には残らない。

でラストになって例の謎の男を追いかけて大黒座の開かずの間に入ってみたら、大黒座で上映された数々の映画のチラシが張ってあったというのがオチなのだが、正直だから何?という感じである。

でもこの映画、すごいなと思ったのは取り壊しのカットもあるのだ。今まで映画の舞台だったロビーや玄関に重機が侵入して壊していく様は、いくら私でも「わわわわ〜」となった。
破壊されるのを目の当たりに見るのはつらいですね。

監督は先日観た「ラジオの恋」と同じ人。あれもラジオの妖精がみたいな女の子が登場したが本作も天使が登場する。そういう話が好きなのだろう。












パリは燃えているか


日時 2015年11月22日
場所 DVD
監督 ルネ・クレマン
製作 1966年(昭和41年)


1944年8月、パリ。ドイツ軍による占領はすでに4年を越え、パリ市民には不満が高まっていた。
連合軍はノルマンディーに上陸したが、パリを解放してくれるかは未知数だ。
劣勢のドイツ軍はコルティッツ将軍(ゲルト・フレーベ)をパリ占領司令官に任命。その際にヒトラーは「連合軍にパリを渡すぐらいなら撤退の際にはパリを破壊せよ」と命じる。
レジスタンスはついに警察本部を占拠。ドイツ軍とレジスタンスの間に市街戦が始まる。ドイツ軍は劣勢に立たされるが、レジスタンスも弾薬の補給がないため、長期戦は不利だ。
そこで休戦を提案。しかしレジスタンスも一枚岩ではない。連合軍の到着を待とうというドゴール派と戦い継続を主張するデル大佐が率いる一派が対立していた。
デル大佐派のガロア少佐は間近に迫る米軍の陣地に出向き、連合軍によるパリ解放を懇願する。


「1944年8月の連合軍によるパリ解放を描いた巨匠ルネ・クレマン監督、オールスターキャストによる2時間48分の超大作戦争映画!」と言えば聞こえがよくて面白そうなのだが、これがまるで面白くない。

「空軍大戦略」もかなりつらかったが、この映画もつらかった。
原因は何なのだろう。
そもそも映画的なスペクタクルがないとか、作戦の成否を握る鍵がないとか、もともと面白くなりそうな要素がないと言うことなのだろうか?

オールスターと言えばスウエーデン領事ノルドリンク(オーソン・ウエルズ)、パットン将軍(カーク・ダグラス)、ブラドリー将軍(グレン・フォード)などが登場するが、パットンは顔見せのワンシーンだし、オーソン・ウエルズはちょこちょこ出てくるが見せ場というほどの事はない。
同様にドゴール派のメンバーでアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドが出てくるが、これが出てくるだけで特に活躍らしい活躍がない。

脚本の段階で話を詰めるなり、サスペンスフルな創作を加えるなら映画として面白くなったかも知れないが、恐らく「史上最大の作戦」に影響を受けた(悪く言えば二番煎じ)の企画と推察されるから(実は違うかも知れんが)、あまりフィクションは加えたくなかったかも知れない。

というわけで映画はひたすらまじめに史実の再現(たぶん)に終始する。

そんな中でも映画的なエピソードはパリにあこがれる米軍兵士(アンソニー・パーキンス)が、市街戦の小競り合いで一度はドイツ軍を倒して酒場でフランス人とワインを傾けた直後に殺されるシーン、同様に仏軍戦車兵(イヴ・モンタン)が一旦は勝つがドイツ軍に撃たれてしまうしーんが戦争の無情さ(という言葉ではいうのも抵抗があるが)を感じさせていいシーンだったと思う。

そしてコルティッツは連合軍の無条件降伏に応じる。
彼はヒトラーの「パリ壊滅命令」に背いたわけで、ドイツ軍の中にもまともな人はいたらしい。
コルティッツも映画中では「ヒトラーはもはや正気ではない」と言っていたし、暗殺未遂とかドイツ軍も必ずしも「ヒトラー万歳」の軍人ばかりではなかったのだな。

映画のタイトルの「パリは燃えているか」はラスト、ヒトラーが電話口でそう怒鳴っていることが由来。
(このカットは子供の頃のテレビ放送とか「映画名場面集」の番組で観たことがあった)

ラスト、エンドクレジットあたりになるとパートカラーになる。このパートカラー部分が、フランス国旗のトリコロールのようなフィルターがかけて表現されている用に思えたが、それは正しい解釈なのだろうか?

どっちにしろ退屈な戦争映画である。













ムーン・ウォーカーズ


日時 2015年11月21日21:15〜
場所 新宿シネマカリテ1
監督 アントワーヌ・バルト=ジャケ


ベトナム帰りのCIAエージェントのキッドマン(ロン・パールマン)は戦場の幻影に悩まされていた。そんな彼に降りた指令は「アポロ計画の失敗に備えてスタンリー・キューブリック監督に月面着陸の偽映像を作らせろ」ということだった。
早速ロンドンに向かうキッドマン。映画会社のオフィスで若い男と出会い、キューブリックに取り次いでもらうよう頼む。
実はその若い男ジョニー(ルパート・グリント)は売れないロックバンドのマネージャーで、今や借金に追われていたのだが、たまたま金策に行った先でキッドマンに出くわしただけだった。借金に悩まされているジョニーはとりあえず同居人レオンをキューブリックに仕立て上げ、キッドマンと接触した。
依頼の大きさに驚いたがジョニーだったが、とりあえずキッドマンから金だけもらうことを成功。しかし喜んだのもつかの間、怖い借金取りにキッドマンから得た大金を奪われてしまう。しかもキッドマンもジョニーが偽物だと気付く。
果たしてどうなる?


スタンリー・キューブリックがアポロ11号の月面着陸の映像を撮ったという噂がある。それをネタにしてd啓太コメディがこの映画。
でも正直期待した映画とはちょっと違ったというのが本音。

騙すほうのジョニーがうまくやってなんだかんだでCIAを手玉に取る詐欺師ものみたいな映画かと思ったが、ちょっと違う。ジョニーは何をやってもうまくいかないだめ男。

また1969年という時代を必要以上にデフォルメしてる気がする。
アメリカはベトナム戦争で、イギリスはビートルズ、ストーンズをはじめとするロック、そして麻薬の国っていうイメージで描かれる。
キューブリックが偽物だと解った後に「別の映画監督を紹介しよう」という訳で紹介されたのが、ドラッグで始終らりっていて女たちをはべらせている男。

この映画、とにかく後半が登場人物がドラッグ漬けなのだ。
私なんかドラッグ反対の人間だし、主人公でないにしろ主要登場人物がドラッグ漬けだとイライラしてくる。
アメリカとイギリスが徹底的にバカにされてるような気がする。

監督はどうもフランス人らしい。
フランス人らしい英米に対する対抗心というか敵対意識の現れなのだろうか?
僕なんかどっちかというと英米には親しみを感じるので、悪く描かれてあまりいい気分はしない。

なんだかんだで結局準備完了、いざ本番っていう時に、キッドマンが金を取り返したやくざの闇金がやってきて銃撃戦、そしてアームストロング船長役のレオンはラリっていて本番は台無し、という展開。
でもなんだか笑えないなあ。
ここは色々あったけど最後はちゃんとやる!っていう展開の方が私は好きです。

それにスローモーションを多用しすぎで、テンポが悪い。
こういうコメディはテンポが重要だと思うのだがなあ。

そんなこんなでアイデアは面白かったが、あまり笑えないコメディでした。














天使の楽園


日時 2015年11月21日16:35〜
場所 光音座1
監督 鈴木章浩
製作 平成11年(1999年)


レイコ(葉月蛍)はソラオという男の子と知り合い、家に泊めるようになる。ソラオの友人タカチが時々訪ねてくる。
ソラオは自殺(事故?)で死んだ。タカチは故郷の高知へ帰った。レイコはタカチから手紙をもらい、恋人のような友人のシュンペイと高知へ。
高知の人々とタカチの友人の家に遊びに行ったりして楽しく過ごす。
タカチもやり直すのだった。


監督の鈴木章浩は大木裕之監督映画のプロデューサーを何本かやった人だそうである。そしてこの映画が初監督作品とか。
プロデューサー作品と監督作品は作風が違っても良さそうだが、まるっきり同じ。大木監督作品かと思った。

ぼそぼそと聞き取りづらいせりふに粗い映像、手ぶれで揺れるカメラ。私の嫌いなタイプの映像の連続。
小林悟作品を「やる気がない」と表する私だが、それでも「画はフィックスで行こう」とか「せりふは聞き取りやすいように」とかの商業映画として基本的なことは押さえているように思う。
その辺の感覚が完全に自主映画(悪い意味)なのだな。

自主映画だから自分(とその周り)だけが面白ければいいという感覚としか思えない。
上映も自主上映ならともかく、一応は商業映画なのだから限度を考えてほしい。

個人的にはシュンペイ役のロンゲの子が割とイケメンだったが、ノンケの役。葉月蛍とのカラミまで出てくる。
ゲイピンクには女性の裸はいらないと思うのだが。

正直ため息しか出ない映画で、何度も書くけど「あなたがすきです、だいすきです」は奇跡の映画だったとしか言いようがない。











シコ食い込んじゃった


日時 2015年11月21日17:35〜
場所 光音座1
監督 小林悟(コバヤシ サトル)
製作 OP映画


日本人の鈴木(港雄一ミナト ユウイチ表記)はこのフィリピンで4人の若者を集め、「日本では相撲が大人気だ。お前等も相撲をすれば日本で大金持ちになって美人と結婚出来る」と言って海岸のコテージに泊まって稽古を始める。
鈴木は4人にふんどしの締め方から教え、砂浜に土俵を描いて稽古を始める。そして夜になると一人ずつ男の味を味わっていった。
ある夜、一人が逃げ出した。彼は恋人(もちろん女)に会って日本に行くのをやめたいと言い出すが、「借金してまで鈴木に金を払ってる、いまさらやめられない」と説得され、鈴木の元に戻る。
鈴木は実は彼らを日本に連れていく気などなく、金を持って逃げ出すつもりだった。
逃げだそうとしたその朝、4人に行く手を阻まれる。てっきり逃げ出すのがばれたと思った鈴木だが、4人は逆に「全員を日本に連れてってください」と懇願した。
4人と鈴木は町へ繰り出して飲む。
ところが翌朝鈴木が起きてみると4人に出させた金は消えていた。鈴木は町で行商を始めたのだった。


ストーリーは全部書いた。
小林悟である。完全にやる気のない。
しかし今回は海外ロケ(フィリピンらしい)まで行ったから気をよくしたのか少しはやる気を感じられた。
男の裸をちゃんと撮ろうとしてましたから。

でも話は全くなし。
ロケ地も砂浜と海辺のコテージのみ。恐らく実際に泊まった場所なのだろう。そこで砂浜で練習する、コテージのシャワーや部屋で鈴木が男を犯す、の繰り返し。話しも何もない。

でも最後に4人の男たちが真剣に日本に行きたがっていたのに、あっさりと鈴木から金を奪って逃げたのはびっくり。普通、4人がたくらんでることを示す伏線とか、奪ったあとの彼らの本音を言うシーンを描かないと見てるこっとは唐突なだけである。
最後のそれでもめげずに行商をする港雄一のオチは好きですね。

この映画、冒頭に「現地の言葉を日本語に吹き換えてあります」と表示される。
またクレジットも「シナリオ コバヤシ サトル」とか「ミナト ユウイチ」とか「ディレクター コバヤシ サトル」とかいちいちカタカナ表記なのだな。
吹き替えなんで見れば解るし、こといちいち断らなくてもいい気がするのだが、オール海外ロケでちょっと外国映画気分だったのだろうか?
どうみたって日本のゲイピンクですが。












グラスホッパー


日時 2015年11月20日21:45〜
場所 新宿ピカデリー・シアター1
監督 瀧本智行


ハロウィンの渋谷の夜、一台の車がスクランブル交差点に暴走して多数の人をひき殺した。その中は中学教師の鈴木(生田斗真)の恋人・百合子もいた。
数日後、百合子が死んだ場所にたたずむ鈴木だったが、そこに「フロイラインの寺原親子が黒幕だ」というメモが落ちていた。
鈴木は今はフロイラインの社員として働いていた。その会社はキャッチセールスで「やせる薬」を販売していた。
しかしそのやせ薬の実態は中毒性のある合成麻薬だった。
渋谷の事件も寺原(石橋蓮司)がヤク中の男にやらせ、警察が商売敵を一掃してくれることが目的だったのだ。
鈴木のキャッチに「元教え子」を名乗る女の子が引っかかった。フロイラインの比与子はその子を眠らせ寺原Jrのおもちゃにしようという。
その頃、鯨(浅野忠信)という自殺に見せかけて殺す殺し屋が寺原のことを暴こうとした記者を殺した。
同じく寺原Jrに雇われた蝉(山田涼介)が寺原の商売敵を殺していた。
鈴木と比与子が寺原Jrに会おうとスクランブル交差点で待ち合わせしているとき、寺原Jrは男(吉岡秀隆)に押され、車に轢かれ死んだ。


半年ぐらい前から予告編をやっていて、浅野忠信には興味がなかったが、生田斗真=山田涼介の競演というので楽しみにしていた。特に山田涼介が「若き殺し屋」っていいじゃないですか。

う〜ん、正直期待した映画とは違ったなあ、というのが本音。
鈴木というのが愚鈍でキャッチセールスをしてもどうにも使えない。比与子からも「使えない奴」と言われている。
でも恋人の復讐のために入社したんだから、それなりに何かやってくれると最後まで期待したが、「使えない奴」のままだった。
愚鈍と見せかけて着々と復讐の罠を仕掛けていて最後にドンデン返し!という展開を期待した(想像した)私としてはちょっとがっかり。

愚鈍なら愚鈍のままでもよいが、それならなぜ彼は「フロイライン」に入ったのか。復讐する気も能力もないなら最初から「フロイライン」に入社せずに、普通に暮らしていたら殺し屋通しの抗争に巻き込まれた、という展開の方が私は好きである。

そして鯨、蝉の二人の殺し屋が登場する。
鯨は「自殺屋」として対象を自殺させていくわけだが、相手が遺書を書いたりするうちに依頼人寺原の実態も知ってしまう。それで寺原は蝉に鯨を殺すように命じる、という展開なのだが(原作の問題なのかも知れないが)、最初の鈴木の恋人が殺された事件とは関係なく、寺原は関わっているが、全く別の物語である。

で鯨が過去に殺した男たちの亡霊に悩まされており、蝉も耳鳴りに悩まされている、という本筋(に私には見える)の渋谷の事件を置き去りにしてごちゃごちゃと話が進むだけ。

さらに鈴木が押し屋をつけていったら横浜の一軒家に家族と住んでいたという展開。
実は鈴木は凡庸な奴だから、カット割も不親切なこともあって、実は違う人間を尾行してるのではないかとという疑問が沸いてきた。ここはちゃんと吉岡秀隆が寺原Jrを押したカットをちゃんと入れておくべきでしょう。

色々と不満をぶつけたけど、本作に魅力がなかった訳ではない。
特によかったのは山田涼介。
色気と殺気が同居した実に魅力的な凶器で狂気なキャラクターだった。
ポケットからナイフを取り出し、片手で開いて構える仕草が見事である。あのナイフさばきはCGということもあるまい。同様に自分の手のテーブルに置き、指と指の間にナイフを突いて自傷寸前のシーンもすばらしい。

また格闘シーンでダンスを踊るかのような動きは実に美しい。
こういうキャラクターをジャニーズの面々にやってもらいたかったという私の願望が叶えられた。

実は寺原を殺す勢力があって、寺原を自分の家から誘い出すための仕掛けに使われていたというオチなのだが、だったら最初から鈴木を仲間にしていてもよかったんじゃないかという疑問も沸く。
色々と話の作り方に疑問はあったが、生田斗真と山田涼介を堪能出来ただけでも楽しかった。












天使のはらわた 赤い淫画


日時 2015年11月14日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 池田敏春
製作 昭和56年(1981年)


デパートに勤める名美(泉じゅん)は同僚に「ちょっと明日のバイト代わってくれない?女なら誰でもいいのよ。立ってればいいだけのバイトだから」と言われて言ってみたが、それはビニ本のモデルの仕事で、緊縛の写真を撮られてしまう。
名美は帰り道に誰かにつけられたり無言電話がかかったりして不安な日々を過ごしていた。
そんな名美のビニ本を買った男の一人が村木(阿部雅彦)だった。失業中の村木は名美のビニ本を見ながらこたつでオナニーをする日々だった。
村木の家の近所では下着泥棒が頻発しており、いかにも暗そうな村木が犯人ではないとか近所の人は疑い始める。
名美は職場の上司・阿川(鶴岡修)から食事の誘いを受ける。酔った名美は阿川にホテルにつれて行かれ、不倫の関係が始まる。
ビニ本の出版社から「好評だからまた出てくれないか?」と誘われるが、名美は断る。しかしその話をした喫茶店に入るところを村木に見られてしまう。
村木は喫茶店を出てきた名美に話しかけるのだが。


先日ある監督と話した際に「前に書いたシナリオ(未映画化)でこの映画のラストを参考にしたことがある」という話を聞いた。気になって早速レンタルした次第。

しかし話が暗いなと思う。
別にこの作品に限った話ではないが、どうもロマンポルノには暗い話が多い。
男と女の情念の話になると暗くなってしまうのか。
自分の想いが通じない無念さが主人公の行動を暗くさせてしまうのか?

村木は名美に交際を迫るが、受け入れてもらえない。
村木が自分のアパートのこたつの赤外線の明かりの中で名美の緊縛ビニ本を見て、名美の手が股間に延びてくる妄想をしてオナニーし、カットバックで名美も同じようにこたつの赤外線の下でオナニーするシーンはちょっと記憶に残る。

阿川の元に名美の出たビニ本が会社に届けられ、阿川は名美と別れ、上司に「従業員がビニ本のモデルをしてまして」と報告、名美は自分から辞めていく。
そして自分を想ってくれる村木を受け入れてもいいかと想うようになる。
村木と会う公園のシーンは雨がザーザーと降っていて、撮影大変そう。こういう所に機材や金が掛けられるのが日活ロマンポルノとピンク映画の違うところだ。

村木の向かいの家の女子高生が強姦される(強姦犯は港雄一)。それで近所の人から「あの男(村木)に違いない!」と狙われ、女子高生の父親から猟銃で撃たれる。
それでも約束の7時に新宿に向かおうとする。

新宿で待つ名美。村木は来ない。帰ろうとしたその時に肩を撃たれた村木がやってくる、で「終」。

だまされてビニ本には出させられちゃうし、男は撃たれるし暗いなあ。
でも面白くもなんともない、ということはなかったから、ロマンポルノの代表的作品には数えられるのだろう。













花を摘む少女と虫を殺す少女


日時 2015年11月8日14:00〜
場所 シネマ・ノヴェチェント
監督 矢崎仁司
製作 2000年


バレエの「ジゼル」の主役を演じることになったヴェロニカ(ニコール・マルレーネ)。彼女は相手役になったサイモン(サイモン・フィッシャー・ターナー)に求愛を受けるが日本人のケン(太田義孝)と知り合い、恋人となる。
カホル(川越美和)は女優だったが、ロンドンに行って連絡がなくなった恋人のカズヤを探しにロンドンにやってきた。
ヴェロニカはカホルが泊まったホテルのルームキーパーのバイトもしていて、ある日、カホルの部屋の掃除に入ったとき、誰もいないと思って脱ぎ散らかされたカホルの服を着てみてしまう。
しかしカホルはバスタブで寝ていた。カホルは初めての部屋では寝られないのだ。黙ってお客様の服を着ていたことを咎められると思ったヴェロニカだが、カホルは許してくれ、それでも「何かお詫びがしたい」というヴェロニカに「それならロンドンを案内してくれ」とカホルは答えた。
二人はロンドンをバスで巡り、お互いの恋人について語り合う。
しかしケンとカズヤは同一人物だった。


上映時間236分(3時間56分)の長編。
その長さ故に劇場での上映はほとんどないという。(当たり前だ!)
今回ノヴェチェントでは矢崎監督の新作オムニバス「××× KISS KISS KISS」の公開と上映を記念しての公開。
ノヴェチェントでもこの日1日だけの上映。
やっぱりなんだかんだ言っても集客が見込めない、ってことじゃん。
この日は矢崎監督と「KISS KISS KISS」のエピソードの一つで主演した草野康太さんがトークゲストにいらっしゃる。正直、興味のない映画だし、4時間の上映時間で絶対苦痛だろうなと思ったので迷ったのだが、草野さんには20年間会いたかったので来た次第。
それで観たくもないのに観た。

案の定であった。
私には合わない。
事前にネットで映画のタイトルで検索したら観た人の感想とかが出てきたので少し読んだのだが、出演者のインタビューがたくさんあるという。
知らないおばさん(外国人)が出てきて「私は・・・」と自己紹介みたいなことをするのだが、最初の数秒間、機材のトラブルなのか無音。でインタビューが再開されるという始まり。
その後も主要メンバーが「なぜ私がバレエを始めたというと・・」と話始める。これが役になって答えているのか、その人自身について話しているのか判然としない。

こういう映画の定石を無視した実験的な映画は私は苦手である。
大体4時間の映画なんて上映する機会もないだろうし、ソフト化して売れるわけでもなかろうし、従ってお客さんの目に触れるチャンスは限りなく低い。
そんな映画を作って何の意味があるのだろう?

面白い面白くないは結果だから仕方ないとして、上映時間4時間の映画を作る感覚が分からない。
「七人の侍」じゃないんだから。
上映の機会を増やしたいならそれなりのフォーマットというものがあると思うのだがなあ。

そういう世知辛いことは考えないのが「矢崎仁司」という監督なのかも知れないが、そうなると私とは考えが合わないな。

映画の方はヴェロニカとカホルが映画が始まって1時間半たってやっと出会う。出会いのエピソードは面白かったが。
ヴェロニカは飲尿健康法を実践してるけど、それって外国でも行われてたのか。知らなかった。

結局ケンとカズヤが同一人物で、という展開。

正直、私にはどうにも合わない映画だった。
知識と経験は得たわけだが。











サクラ花 桜花最期の特攻


日時 2015年11月6日20:15〜
場所 渋谷ユーロライブ
監督 松村克弥


第二次大戦末期、日本が作った特攻兵器「桜花」。それはロケットエンジンを搭載した小型飛行機で一式陸攻という大型機にぶら下げられ出撃、敵艦を発見したところで桜花に搭乗員が乗り込み、敵に体当たりするという兵器だ。
尾崎(大和田健介)は電探(レーダー)の操作法を拾得し、一式陸攻に配属された。しかし彼の乗る陸攻には電探が取り付けられていない。
不信に思った尾崎は桐生少佐(渡辺裕之)に訪ねる。「桜花を積んだために重量が重くなった。出来るだけ不要な物は取り外した」という。尾崎にはその回答は納得出来なかったが、従うしかない。
いよいよ出撃。機長の穂積(緒形直人)は過去に命令違反を犯し軍法会議にかけられそうになったという噂のある人だ。
そして桜花搭乗員はまだ17歳の少年・沖田(佐久間悠)。しかし出撃した直後、グラマンの攻撃を受ける。なんとか振り切った穂積たちだが、燃料タンクに穴があき重量を軽くするためにすべての不要物を捨てた。
果たして彼らは敵を撃破できるのか?


特攻兵器「桜花」を題材にした戦争映画。桜花については昔マンガ(ジャンプだったろうか?私が子供の頃のマンガは戦争を題材にした物も多かった)で読んだ覚えがあり、基本的なことは知っていたが、本格的に映画で扱われるのは初めてだそうだ。

正直、自主映画みたいな物なので志は高いのだが、正直しょぼい。でもそれを補ってあまりある良さもあった。

まず話を陸攻が出撃してから攻撃するまでの2時間半に絞った点がよい。鹿屋基地から出発して沖縄付近の米艦隊に攻撃するまでを描く。こういった映画だと乗組員と近くのおばちゃんやら、ぜんざいの看板娘やら、女郎やらが搭乗して出撃までを延々とドラマにしがちである。
でもそういったことをせず「独立機関銃隊未だ射撃中」や「フューリー」のような男たちの濃密になドラマに仕上げているのが私の好みである。

また桜花の搭乗員沖田はまだ17歳の少年。顔立ちも幼さが残り、「この子が死ぬのか」と絶望感にさいなまれる。
彼を見た白井飛曹(三瓶)の「17歳かあ。俺ら少しは遊んだけど、17歳じゃなあ」と言うのが実に私の思いを言ってくれている。

それだけいい企画なのだから、「惜しいなあ」と思った点も多いのもまた事実。

まず最初の攻撃の後、重量を減らす為に機銃も捨ててしまう。
機銃を捨ててしまったために再び攻撃を受けたときに為すすべがない。となるとパイロット、機長以外の搭乗員はもうする事がなくなってしまう。機銃を捨てたのはまずかったんじゃないか?
攻撃を受けて積乱雲に逃げ込むがそこは気流が激しくて機が揺れるとか、負傷した兵士の腕を切り落とすとか、ドラマは作ろうとはしているが、数名の搭乗員は何もする事がなくオロオロするだけになってしまう。
これは惜しい。

そして(主に特撮カットになるが)「欲しい!」と思うカットがない。
白井飛曹が最初に死んでその遺体も投棄することになる。そうすると海に落ちていく白井のカットが欲しいのだが、見送る兵士のカットだけ。
また攻撃してくるグラマン、攻撃を受ける陸攻のカットがない。
一番惜しいのは、最後に戦果を見届けるシーンで「敵艦から煙が上がってません!」つまり戦果ゼロ、攻撃失敗なのだが、それをちゃんと画にして欲しい。
攻撃失敗して海に落ちる桜花とか煙の出ていない敵空母とか。
そうなるとやっぱり「独立機関銃隊未だ射撃中」の素晴らしさが余計に解る。あれはトーチカの中だけでなく、ちゃんと兵士が見た物は見せていた。

それと脚本がやや説明台詞に終始していたのが残念。
そしてやっぱり役者の問題のあると思う。8人の搭乗員のうち、顔を知っているのは緒形直人、林家三平、そして三瓶ぐらいで、あとは知らない役者さん。桜花搭乗員の少年は子供なので見分けがつくが、あとは服装も制服だから同じなので余計に誰が誰やら解らなくなる。だから三瓶を最初に殺すのはまずかったと思う。

「説明台詞を説明でないように言うのが役者」と言ったのは仲代達矢だったと思うが、ここは完全に役者の技量が負けている。「独立機関銃隊未だ射撃中」の兵士の個性の描き訳は脚本も役者もやはり素晴らしかったと思う。

いろいろとケチをつけたけど、それだけ基本的に好きな企画なので「ここがこうだったらもっとよかったのになあ」という「惜しかった」故のグチである。

特撮カットもその他すべてが低予算から来ると思うが、上映前の監督の舞台挨拶ではこれでも予算は1億円だったそうだ。(2千万円ぐらいかと思った)
なんだかんだ言っても陸攻のセットを作ってるんだし、役者を自衛隊に体験入隊させてるみたいだし、見えない部分に金がかかってるのかな?

最後に一番よかったカットを書いておく。
桜花が出撃となり、陸攻から切り離される。
陸攻のハッチから下を見下ろして桜花が徐々に小さくなっていくカットは絶望と恐怖を感じさせるカットでよかった。
このカットがあっただけでも多少のあらは目をつぶりたい。














EARTH TO ECHO アース・トゥ・エコー


日時 2015年11月3日10:25〜
場所 新宿ピカデリー・シアター4
監督 デイヴ・グリーン

ネバダ州の田舎町。ここは間もなく高速道路建設のために町全体が強制退去させられる。
ビデオ好きの少年タック、里子として各地を転々としたアレックス、そして優しいが臆病なマンチは親友同士だったが、移転したらバラバラになる。
そんな頃、アレックスや彼の家族のケータイやスマホが謎の画像を表示しはじめる。それが地図だと気づいたマンチは明日引っ越しという晩、3人でその地図が示す場所に行ってみた。
そこでは何かゴミのような金属の物体があった。リュックに入れて自転車で帰りだした3人だったが、その物体は実は宇宙人が乗っていた!
次にスマホに示された地図に従って納屋に行くと、納屋にあった部品が、拾ってきた物体に接続し宇宙人が姿を表した。彼は小さなロボットのような形だった。
どうやら宇宙旅行に事故に遭い、地球にたどり着いたようだ。


予告編がなぜか新宿ピカデリーで映画を観る度に上映されるので宇宙人とか登場するようなので、気になって観てみた。

始まって10分で観たことを後悔した。
これ、最近流行の疑似ドキュメントなのである。パンフレットによると「POV(主観映像)手法」と言うらしいが、私はこの手の映画はだめである。
ビデオ好きのタックが今回の冒険をビデオカメラ、メガネ型隠しカメラ、自転車に取り付けたカメラの3台で記録された映像を編集した形になっている。

だからもうカメラは揺れまくり。
私は映像が揺れるのが苦手なのです。はっきり言って嫌い。気持ちが悪くなって吐き気がするんです。
この手法は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」で成功したのが最初だと思うけど、その後「クローバー・フィールド」とかあったが、揺れまくりの映像で辟易した。

だから映画の内容以前にこの揺れまくる映像についていけずに途中で帰りたくなった。

映画の内容としては「少年の冒険の旅」ということで「スタンド・バイ・ミー」と宇宙人と少年の交流ということで「E.T」と思わせる。
まあ普通に撮ったんではそれらのパクリ、焼き直しにしかならないと思って、今のデジタルカメラ時代の産物としてPOV手法になったのかと想像するが、やめてほしいなあ。

普通に撮ってもいいじゃん。それなりに面白いと思うよ。
で、POVだからカメラマンになるタックは他の二人に比べると存在は解るのだが、写らないという結果になっている。

結局政府は宇宙人がやってきていることは知っていて、何とか捕獲しようとする。で、町全体を移転させる計画となったわけだが、おいおい道路建設で町が移転って、そんなすぐに出来るかよ?何年もかかることじゃないか?
アメリカって一晩で移転が決まる国なのか?

途中で学校のヒロインの女の子を加わったりしてセオリーの展開。
宇宙船が飛び立ったら町全体が破壊されてしまうのでは?という観点から町の移転計画が始まったが、この宇宙人、一旦物をバラバラにしてすぐに元の形に戻すことが出来る能力を備えていて、宇宙船も町中に散らばっていた部品を空中で組み立ててすぐに発進していくラストでした。

とにかくPOVはやめてください。
おかげで今日1日頭痛と吐き気に悩まされました。
今日は午後映画を観る予定がなくてよかった。
ホント、サイテー映画。










探検隊の栄光


日時 2015年11月2日21:45〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12
監督 山本透


かつては探偵もののテレビシリーズで3年間活躍し人気があった俳優の杉崎(藤原竜也)。本人は役に真摯に取り組む真面目な俳優だが、そのテレビでの熱血ぶりがイメージについてしまい、最近は低迷していた。
そこへ未確認動物・ヤーガを探検する番組が決まり、その撮影のために南国のベラン共和国にやってきた。
番組のスタッフはプロデューサーの井坂(ユースケ・サンタマリア)、ディレクターの瀬川(小澤征悦)、ADの赤田(佐野ひなこ)、カメラマンの橋本(田中要次)、音声照明の小宮山(川村陽介)に現地通訳のマゼラン(岡安章介)。
台本は数枚だけだし、内容がさっぱり解らない。井坂や瀬川に聞いても「ドーンと行ってください」しか言わない。
ドラマの世界しか知らない杉崎にとっては戸惑うことばかり。
果たしてどうなるこの仕事?


かつて80年代に人気を博したテレビ番組「川口浩探検隊」をモデルにしたコメディ。
その番組そのものは正直バカバカしくて観ていなかった。
ドラマでもなくドキュメンタリーでもないその番組作りに違和感を覚えていたのだ。しかし今から考えるとあの番組がテレビを変えたような気がする。

しかし未確認動物ネタじゃ好きな方なので(だから前日観た「UFO学園の秘密」も好き)、この映画も興味を持った次第。
でも周りで観た人の話を聞かないし、新宿では公開以来1日1回だし、今週はレイトのみでしかも今度の木曜日終了という短さ。「評判悪いのかなあ」と心配したが見逃さなくてよかった映画だった。

まずはベランのある村に到着する。そこの市場で「店の前にゴミを置いた」と起こっている老人に杉崎はいきなりインタビューをしてこいと言われる。ただ怒鳴り続ける老人に瀬川が「ヤーガに近づくことは許さん!」とテキトーにアテレコしてしまう。
もうその後も老婆へのインタビューとかも完全に作り。

まあ実際の川口浩探検隊もあそこまでいい加減ではなかった気がするが(根拠はない)、でもありそうな気もする。
その後も断崖から落ちるスタッフを助けるとか、大ワニと対決する杉崎とか爆笑の連続。
いやーホントに笑った。

そしてベランの反政府ゲリラに遭遇し、命の危険に陥り「バカバカしいことをしやがって」とゲリラにののしられるが、それを「銃で撃ち合うだけしか出来ない奴らに言われたくない」と反論するシーンはなかなかの見せ場。

次にゲリラまで「原始猿人」にしたててしまう活動屋、テレビ屋の映像を探求する根性!
ここは笑いましたねえ。

政府軍がやってくる前に撮影終了を目指し、共同で撮影をしていく様は感動的ですらある。(あくまで感動的、なだけだが)
そして最後にはヤーガがちらっと登場するという、予想通りのオチで満足。

役者では「ドーンと行きましょう!」が口癖のユースケ・サンタマリアが特によかった。
ここ数日間に観た映画では一番面白かったし、今年のベストテン、いやベスト5に入れていい面白さだった。














サイドライン


日時 2015年11月1日17:00〜
場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・シアター3
監督 福山桜子


幼なじみの7人ダイゴ、ケンショウ、ヒュウガ、ソラ、キショウ、シンヤ、ヒロミ。
ヒロミとシンヤ以外の5人はダイゴの家の神社で寝泊まりしたり朝食を食べたりする仲間だった。ヒロミは近くのショッピングモールのオーナー(舘形比呂一)の息子で、今は地元の商店街とちょっと対立気味。シンヤはそのショッピングモールの花屋で働いていた。
地元の宇佐木神社の秋祭りの初日イベントを地元の商店街のモールに対する対抗意識からダイゴたちは任されることになる。
でもだからと言って何をしていいか分からない。
そんな時、ダイゴたちは神社のそばに越してきたハナという少女と知り合う。
ハナたち一家は交通事故で父は事故死、母はショックで家から出られない引きこもり状態だった。
それを知ったダイゴたちはハナの母を励まそうとチアリーディングをする事に。


7人組のボーカル・ダンスユニット「超特急」の初主演映画。
最初グループ名を聞いたとき、韓流のグループかと思った。超新星と混同したのだろう。だからグループ名としてあまりよくないと思うが。

で、その初主演映画があると知ったのはつい昨日か。
1日は1100円の日なので、見に行った次第。

それにしても7人グループの主演映画というのは難しい。
グループの主演映画だから、ある程度7人が活躍せねばなるまい。しかしこの手のアイドル映画では昔から思ってるけど4人が限界である。

しかも今回ハナという少女が大きなキャラクターとして登場させてしまったので、ますます7人の出番が減る。
それに肝心のチアリーディングをしようと決めるのが1時間15分ぐらいたってからなのだよ。
94分の映画でそれは遅い。

映画が始まって10分ぐらいでチアを始めると決めて一部のメンバーが参加しない、それを説得する、どっから邪魔が入ったり、喧嘩を起こして警察にメンバーの一人がやっかいになるとか、そういうチアリーディングをする、という目標に向かって途中で起こる色々を解決していくのが面白いのではないか?
要は「ウォーター・ボーイズ」である。

その辺が僕に言わせれば計算違いの構成をしているので、話が面白くないことこの上ない。

それにダンスユニットなのだから、最後のチアリーディングのシーンがもっと長くてもいいと思うし、撮影場所の都合なのか、もう少し引きの画があってもよかったと思う。
まだまだ彼らの魅力が伝わってこない。

そもそも超特急ってイケメンランクではやっぱりジャニーズの一流のグループに比べれば落ちる。
映画館はファンの女の子で満席だったからそこそこ人気はあるし、こういった低予算の映画でもペイ出来るのだろうが、この映画を見る限り、そこそこの人気しか出ないようにも思った。

映画とは関係ないが、舘形比呂一の出演は懐かしかった。
それだけでも私にはちょっと見る価値があった。











UFO学園の秘密


日時 2015年11月1日14:35〜
場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・シアター3
監督 今掛勇


全寮制の中高一貫校のナスカ学園。その2年生のレイ、タイラ、アンナ、ハル、エイスケのグループは夏休み明けの文化祭での自由研究発表のテーマに悩んでいた。
ある日、エイスケは近くの街の塾「天才塾」に行くと記憶力が異様にアップするという噂を聞きつける。
ハルの妹のナツミが最近成績が落ちたことを苦にして、その天才塾に行ったらしい。催眠術でナツミから聞き出したのは、その天才塾に行って光に包まれて宇宙人に拉致(アブダクション)されたというのだ。そこで体にチップを埋められそうになったという。
レイたちは自由研究の発表を「UFOの存在について」にして彼らなりに調査を開始した。
タイラやアンナもアブダクションされたが、ナツミが見た宇宙人とは違っていた。
文化祭当日、レイたちが用意した画像などのデータはすべて消去されてしまった。学園内に宇宙人の手先がいるらしい。
何も資料がない状態で発表するレイ。講堂の学生や先生たちは一笑に伏した。その時、光が現れレイや校長も宇宙人にアブダクションされた。そこに現れた宇宙人はナツミやタイラやアンナが見た宇宙人とは違っていた。


大川隆法の「幸福の科学」製作映画。
「UFO学園の秘密」ってタイトルが面白そうじゃありませんか。幸福の科学の映画と知って「大川隆法の説教でも聞かされたらたまらんなあ」と思ってパスするつもりでいたが、先日、信者の方が新宿でチケットを無料で配っていたので鑑賞してみた。

一言で言えば見逃さなくてよかった。
信じてもらえないだろうが、J・J・エイブラムスの「スーパーエイト」みたいなもん。SFジュブナイルというか、木曜スペシャルの矢追純一のUFOもののドラマ化と思えばよい。
そんな映画である。

宇宙人にも色々いて、すでに惑星連合があってそれに加盟している星は平和を愛する種族で、それらはたくさんあって、レイ、タイラ、アンナ、校長が拉致されたのはいい方の宇宙人。しかし加盟していない宇宙人もいてそれがレプリタンと呼ばれる。そして中国、アメリカ、ロシアの軍部と結びついているという。
そのレプリタンも何種類かいて中国とアメリカに入っているのは違う星だそうだ。
惑星連合では「他の星の文明には干渉しない」という規則があるが、レプリタンは各国に呼ばれているので、侵略とは言い切れないという。

そういうSF的な展開で面白い。アメリカでは「スーパーエイト」とかあるじゃん、あんな感じですよ。

で学園にいたレプリタンは用務員の丸井さんで、こいつが本性を出して裏宇宙にみんなを拉致したときに助けてくれたのが、担任の先生。実は彼は元レプリタンで信仰の力で改心したそうな。

それにしても悪いレプリタンがトカゲ型の宇宙人という「悪奴はビジュアルも悪い」というのはちょっとイージーじゃないか?

最後に大川隆法が出てきてお説教するとかは一切なく、「この宇宙には宇宙人がたくさんいていい奴もいれば悪い奴もいる。しかし光の信仰の力でなとかなる」というお話。

SF映画として別に普通だなと思ったけど、私はSFとして楽しんだが、幸福の科学ではこれを「マジ」としてはなしているのかな。
だとしたらちょっとヤバイ映画だなと思う。











先輩と彼女


日時 2015年11月1日10:45〜
場所 新宿バルト9・シアター4
監督 池田千尋


高校に入学した都築りか(芳根京子)には夢があった。それは甘〜い恋をすること。新入生の部活勧誘でみの先輩こと美濃原圭吾(志尊淳)と知り合い、一目惚れしたりかは友人の木綿子(水谷果穂)を誘ってその現代文化調査研究部に入部した。
みの先輩と仲良くなりつつあるりかだったが、みの先輩は去年卒業した沖田葵(小島梨里杏)に想いを寄せていた。
葵さんは頭も良くて優しくてみんなから人気のあった先輩らしい。
しかし葵さんはつきあっている人がいるそうだ。好きな人がいる人をなぜ好きになるの?それはりか自身もそうじゃないか。
ある日、葵先輩とみの先輩がキスをしてるのを見てしまうりか。
決定的にショックを受けたりかだったが、やがてみの先輩の気持ちもりかに傾いていく。


例によって少女コミックの実写映画化。数年前からこれはあったけど今年は数が増えている。今も「ヒロイン失格」が上映中だし。
今回は志尊淳が主役。戦隊もので人気を得て、最近急上昇中みたい。
しかし公開3週目にして新宿は1日1回の上映なので、福士蒼汰、山崎賢人に比べればまだまだだと思う。

まあしかし高校生の恋愛ものといえば完全にパターン化しており、夏祭りとか修学旅行とか文化祭とかクリスマスとか卒業式とかのいくつかが入る。
今回は予算の関係もあるのか、夏祭りが少し出てくるだけだった。
出会いがあって、つきあうまでの色々があって、やっとつきあい始めたが、元カノとか出てきてやきもきする、という流れ。
やっぱり少女コミックだから、基本話は女の子の視点。
でもトップクレジットは男性の方。
女の子が見つめる男の方が魅力的でないと、ファンには受けないのだろう。

今回は片想いがテーマ。好きになった先輩に好きな人がいて、その人は別の人とつき合ってる。だからその先輩の想いが叶えられることはないのに。そして先輩がその人にフられてつい「やったー」って言ってしまう。
でもなかなか想いは通じない。
やっとつきあい始めたと思ったが、先輩はまだ相手のことが気になるみたい。そして先輩が好きな人が別れたらしいと聞いて一旦は身を引くけど、好きだから合格祈願のお守りを送ってしまう。

そんなやきもきした想いが派手にならずに描かれていてよかったと思う。
今まで観た少女コミックものは時々イベントごとの仕掛けが大きすぎてちょっと「あり得なさ感」を感じたことがあった。
仕掛けが大きくなかったのは単なる予算の関係かもしれないが、逆に日常的でいいかなと思う。

志尊淳、仲間内での愛称はソンジュンらしい。顔もちょっと韓流スターっぽいし、ソンジュンとか言われたら本当の韓流の人かと思ってしまう。
今の所、顔がいいだけの魅力しか感じないが、今後の成長があるかどうか期待してみよう。