2016年8月

   
青春ディスカバリーフィルム
―なんだって青春編―
シーサイドバラッド 新・兄貴と俺 熱き男道 ゴーストバスターズ(2016)
裸のアゲハ 悦楽交差点 巨乳水着未亡人
悩殺熟女の秘密の痴態
おいしい女五人 
やり比べ
なぞの転校生 花芯 ジャングル・ブック 秘密 THE TOPSECRET
泳ぐ男 THE SWIMMER 兄貴と俺V
 好きと言えなくて
トランボ 
ハリウッドに最も嫌われた男
屋根裏の散歩者

青春ディスカバリーフィルム―なんだって青春編―


日時 2016年8月27日21:25〜
場所 シネマート新宿・シアター2
監督 中前勇児 小泉剛 中田博之 伊藤陽佑


昨年の「青春ディスカバリーフィルムーいつだって青春ー」に引き続く第2弾。今回も30分弱の短編のオムニバス。

「思い出カプセル」監督脚本 中前勇児

山田(高崎翔太)、りょうた(寺山武志)、あきら(富田翔)、まどか(今野杏南)の4人は仲良し。
就職や卒業でバラバラになるので4人の思い出を缶にいれて大きな木の下に埋めようとなる。
あきらとまどかは結婚するというが実は山田もまどかが好きだった。あきらは「山田もまどかが好きだったんじゃないのか?」と聞くが、山田はつい「そんなことないよ」と言ってしまう。
しばらくして山田とりょうたが会ったときに「実はまどかが好きだった」という話になる。あきらとまどかは結婚して引っ越している。その引っ越し先に行って「実は好きでした」という手紙を渡そうとする。
留守宅にあがってしまい、誰かきたのでその家にあった枕を持ってきて肝心の手紙をおいてこれなかったりする。
果たして山田は気持ちを伝えられるのか?


1本目。最初にいうと4本のうちで一番あわない映画だった。
まずシナリオの時系列に混乱がある。
最初に「現在」としてタイムカプセルを掘りにきた山田とりょうたが現れる。で「俺たち刑務所に入ってたしな」とせりふで言ってその後に「5年前」のカプセルを埋める話になって、その後に山田がまどかに気持ちを伝えにいこう、という話が出てくる。
てっきりまどかに気持ちを伝えようという話になったのが「現在」つまりタイムカプセルを掘りにきたあとでの会話だと思ってしまった。
ここで混乱。

んでこの後がさらによくない。
山田たちがまどかの家に行くのだが、そこであきらと目が合う。そして一旦家に帰って「好きでした」という手紙を書いて翌日に行く。そこで部屋に入って手紙をおこうとするが、部屋の片づけをしてしまったりする。
そうこうしてるうちに人がきて、手紙はおけず仕舞い。
はっきり言って山田達がバカである。
その後も2、3回行っては手紙をおけずに、となるのだが最後にはストーカーとして警察に逮捕される。

アホである。
ポストに手紙を入れてはいけなかったのか?
夫に読まれたら困る、という点ではポストに入れるのも部屋においても危険性は変わらない。

逮捕される時に警官があきらに「この人を知ってますか?」と聞かれて迷わず「知りません!」と答える。
おいおいかつての親友にそれはないだろう。
もう少し山田の気持ちを斟酌してやれば?
それとも元々嫌いだったか、あきらは山田のことを。
単に手紙を渡しに言ってりょうたも逮捕されてしまってはバカすぎるし、かわいそうすぎる。
弁護士も何とかしてやれなかったのか。

んで刑務所から出て5年後。
まどかの残したものをみたら「実は私も山田君が好きでした」という内容。
「気持ちはちゃんと伝えましょう」という作者のメッセージは解るが、それにしても展開や後味が悪すぎ。


「警備員の一日」監督 小泉剛 脚本 いまおかしんじ

警備員のバイトをしている陽一(神永圭佑)とアキラ(黒羽麻璃央)。アキラは車にぶつかってもすぐに復帰する変なやつ。彼が仕事をやめると言いだし、お礼にと200万円ぐらいの金を陽一に渡そうとする。
「いやいやこんな大金受け取れない」と断り、「そうだ、お前田舎に帰るなら東京でやりたかったことをしよう!」と提案。
アキラは女の子とチューがしたい、という。
街を歩く子に「お金上げるけど、この男とキスしてくれない?」と誘うがことごとく断られる。仕方なく陽一の彼女に頼むが彼女は激怒!
別れ話にまで発展。ところが200万円を入った鞄を喫茶店に忘れてしまったアキラ。あわてて帰るが浩平が鞄を持ち逃げしようとしていた。
あわてて追いかけて捕まえる陽一たち。浩平は田舎のお袋が病気で帰るという。話聞いた陽一達は3人で行動するのだが。


いまおかしんじ脚本。この映画をチラシをテアトル新宿で見かけ、いまおかさんに会ったときに「また青春ディスカバリーフィルムやるんですね」と言ったら「小泉監督のが私の脚本」と聞いて時間を作って観に行った。

いまおかさんらしい、「最後になにがしたいか?」「女の子とチュー」ということで友人が奔走する話。
「川下さんはなんどもやってくる」と同じパターン。「女とやりたい」ではなく、「キスしたい」とマイルドになってるけど。

河童とかいかとかいまおか監督らしい「不思議なもの」が話に絡む。今回はアキラは口をきかずに身振りだけで表現する。映画の始まりで宇宙空間を移動する映像が出てくるのでアキラが宇宙人というのは想像がつく。

結局キスしてくれる人も見つけられず、デリヘルをホテルに呼んだがビジネスホテルのため、フロントで停められはいれず。仕方なく浩平が女装してやってくる。
場内私以外はすべて(だと思う)女性なのだが、大爆笑。
こういうベタなギャグが彼女たちには受けるらしい。

「うまい料理を食べよう!」と5000円のうなぎを食べに行くが、これがうまくない。
うん、こういうことってありますね。

ラスト、アキラを宇宙船が迎えにくる。
「俺でなんだけど・・・」とアキラにキスする陽一。
素直な友情がすがすがしい。

よかった。



「ボクの人間的欠陥」監督脚本 中田博之

コウ(馬場良馬)は会社でも人付き合いが苦手な青年。もちろん彼女はいない。
そんな彼が出会い系サイトに登録してみた。ミキという子から連絡がきて早速会ってみた。ところが会った途端にタケシ(鈴木広樹)という男がやってきて「俺の女になにする。慰謝料払え」とやってくる。
金がないと知るとコウの家に押し掛ける。そこでマイナーなロックバンドのCDを見つけ、コウに親近感を覚えるタケシ。
「俺が女の作り方教えてやるよ。まずはフットサルと料理が得意とか書け。それを100人に送信しろ」という。
まじめなコウはそのまま実行するのだが。


女にもてない奴をもてる奴が恋愛指南するというホントにありがちなラブコメ。
結論は「嘘をついて女の子とつき合うより、正直に言ってつき合った方がよい」というきわめてまっとうな結論。
実は世の中そう簡単には運ばないのだが、とりあえずはいい話でまとまってました。


「バス亭の動かし方」監督脚本 伊藤陽佑

桐野(椎名鯛造)は海辺のバス停で30分以上もバスを待っていた。そこへ友人の吹田(杉江大志)もやってくる。
「ところで今好きな奴とかいるの?」何となく話を始める吹田。彼は今夜大学の友人との食事会で同じゼミの「ハルヒ」に告白するつもりなのだ。
桐野は最近行った居酒屋でバイトしているカスガという女の子が好きだという。
そこへ同じくバスを待っていた宇野というおじさんが話しに加わってきた。

この4本目が一番まとまっていた。
舞台は海辺のバス停だけ。主に3人の会話だけで見せきる。
実はハルヒとカスガは「春日」と書いて桐野が読み間違えていたというオチ。
そこへ宇野が車を呼び出し、それを運転してきたのがなんと春日本人。
桐野は宇野がその居酒屋の店長だと気づく、という展開。
3人の絶妙な会話が楽しかった。
オチもまとまっていたし、一番よかったと思う。











シーサイドバラッド


日時 2016年8月27日17:35〜
場所 光音座1
監督 加藤義一
製作 OP映画


50歳の手塚とつき合っていたアキラ。しかし手塚は急死した。アキラはゲイバーで若い男から誘われてホテルに行ってもその気にはなれない。
アキラは手塚と初めて旅行に行った海辺の町へ向かう。
そこは手塚が学生時代に過ごした町で、古い友人が民宿をやっていた。その民宿の主人と手塚は学生時代にはつき合っていたらしい。
民宿の主人は港で働く若い男とつき合っていたが、民宿で働く女性は主人に恋心を持っていた。
アキラは手塚が急死する前にはちょっと喧嘩をしていたし、死に目にもあえなかったのでとにかく彼のことが忘れられない。
民宿の主人やその恋人の男と3人で民宿で飲むのだが。


結論から言うと私には全くだめな映画だった。
まず話が暗い。
恋人が死んでウジウジしてる話である。
なんかこう見ていて陰鬱な気分になる。
お金払って映画見に来てそんな気分になってどうする。

アキラとつき合っていた手塚は妻帯者だ。まず妻帯者が男とつき合うという設定が気に入らない。
実際にゲイでも結婚する人はいるだろう。
そういう人は性欲の対象でゲイ向け風俗で遊んだりするのは仕方ないと思う。
しかし恋人にするのはいかがなものか。
結婚してるから妻や子供にも失礼だろう。
またつき合う男もそんな結ばれることのない恋をしてどうする。単なるセックスフレンドならいいかもしれないが。

だからそんなに主人公にウジウジされても「勝手にしてて」という気分になってしまう。死んだ人は帰らない。
生きていくためにはそれを乗り越えなければ。
主人公が最後に乗り越えるならともかく、旅行から帰ってきて若い男に好かれても、やはり死んだ男を想っている。

そして実はこの手塚という男、若い頃は女ともつき合っていてその女とは別れて東京に出てきた。
女には妊娠していて中絶費用は送ったが、実際に中絶したかは解らない。
で、この子供が生きていたら手塚が死んだことを伝えたいというがアキラのもう一つの旅の目的。
結局は会わなかったけど、映画の中では例の民宿の主人の恋人の友人として「就職活動中」の青年が登場する。
最後にこの青年が「就職は断った」という。理由は「その会社に入るとこの町を出なくてはならない。俺は親父のようにオフクロを捨てたくない」ということ。
それじゃ母親を捨てて出ていった手塚を全否定。
息子には全否定されるわ、早死にするわで手塚も悲惨である。

そして海辺の民宿の男も漁港で働く男とつき合っている。
民宿で働いている女が妻かと思ったら単なる従業員である。
だったらもっと堂々とすればいいのになんだかこそこそしている。

さらにこの主人公を演じた役者がよくない。
黒いめがねをかけている。
ところがセックスしてる間にもめがねをしている。
セックスしてる最中はめがね邪魔でしょう。

これが魅力ある男ならともかく、どうにも魅力のない役者なので、見ていて飽きる。

ラストは誰もいない海岸で波に打たれながらセックスするアキラと手塚の回想シーンで終わる。
民宿の主人と若い男のシーンでも思ったが、中年男との絡みは画的によくない。

いろいろと文句は言ったが、要は私にはあわなかった映画。
「愛棒」「平成任侠伝」と3本続けて新作はだめだった。





新・兄貴と俺 熱き男道


日時 2016年8月27日16:35〜
場所 光音座1
監督 加藤義一
製作 平成20年(2008年)


拓真(宅間響 現・月野帯人)は親の財産で大学卒業後も就職せずに遊んで暮らしていた。しかし父親(久須美欣一)は急死。その際の遺言で「実はお前の死んだ母さんと結婚する前、私は別の女性と交際していた。父親、つまりお前のおじいさんの反対で別れさせられた。後で解ったが彼女は妊娠してて男の子を生んだらしい。遺産を受け取る条件として、お前の腹違いの兄を一人で探し出すことだ」と言って息を引き取る。
その兄は阿仁鬼町という田舎の町に住んでいるらしい。しかも子供の頃にキンタマを犬にかまれて一つしかないそうだ。
それだけを頼りに阿仁鬼町に向かう。男の股間を確認するには銭湯がいちばんと町の銭湯へ。
そこでたくましい男を見つけ、彼が兄ではないかと思い、工事現場で働くその男に近づく。親しくなってその男の家に行って酒を飲む。やがて男は拓真の股間に手を伸ばす。
ひゃ〜と思いながらも遺産のために男の股間を見るが兄ではなかった。
次に拓真が目を付けたのは、この町で男を磨く塾をやっている男(岡田智宏)だった。


「兄貴と俺」シリーズ4作目。
主役の宅間響(現・月野帯人)が載っているポスターを観ると体つきもよくて顔もアイドル風の目がぱっちりした青年でなかなかいい。
ネットで調べたら現在女性向けアダルトビデオなどでも活躍するAV男優で、2000年代前半ではゲイビデオで活躍していたらしい。

ピンク映画らしくオムニバス的に男を入れ替わり交わっていく。
この映画の(私の視点としての)失敗は、主人公がゲイでないこと。

男に誘われて最初の土方などの玉をみたりしゃぶったりするのだが、これが「遺産のためだ」といやいやなのである。
こういうのは観ていてめげる。そんなにいやいや描いて欲しくない。
思わず脚本や監督の本音が出たと考えていいのか。

結局1年ぐらいこの田舎町で兄貴を探し続け、会社の方は社長秘書だった男が本来社長代理であるはずが、いつの間にか事実上乗っ取っている。
この男が無理矢理ゲイの設定にして会社の幹部を犯す。
(ここいかにもピンク映画らしい展開)

結局銭湯の主人がキンタマが一個しかなく自分の兄貴と判明。
晴れて遺産は相続するが、兄と暮らすために会社は例の社長代理に犯された男に譲られる。

で、実は兄貴は自分の腹違いと兄ではなく、拓真の父親と別れた後にレイプされた子であると説明される。
だから拓真とは兄弟ではないので、つき合ってもかまわなくなるが、最初の設定がどこかへ行ってしまうので、なだかなあという展開だ。

主役の宅間響(現・月野帯人)が非常にいい逸材だったのにそれを生かせなかった映画という気がする。









ゴーストバスターズ(2016)


日時 2016年8月26日21:05〜
場所 新宿ピカデリー・シアター6
監督 ポール・フェイグ


ニューヨークで19世紀の建物が一軒残っており、そこは観光スポットになっていた。その建物の中に幽霊が登場する!
コロンビア大学で物理を教えるエリン(クリステン・ウィグ)の元にその幽霊を調べて欲しいという人がやってきた。今は一流大学で物理を教える身としてはかつて友人と書いた幽霊に関する本が出回っているのはまずい。その本尾共同著者で昔からの友人、アビー(メリッサ・マッカーシー)を訪ね、本の販売中止を訴えるが聞き入れられない。
エリンが頼まれた幽霊屋敷の話をするとアビーはその依頼主に会わせて欲しいという。会わせてくれたら本は販売中止にすると。
アビーの片腕で天才発明家のジリアン(ケイト・マッキノン)と3人でその幽霊屋敷へ。果たして幽霊と遭遇した!
その動画をユーチューブにアップしたが、それが大学に見つかりエリンは大学をクビ。アビーも同様。
3人は幽霊退治の会社、通称ゴーストバスターズを設立。
地下鉄職員のパティ(レスリー・ジョーンズ)や電話番として雇ったイケメンのケヴィン(クリム・ヘルムワース)も加えて幽霊退治に!


1984年の年末に公開された「ゴーストバスターズ」。そのリメイク。
84年12月は「ゴジラ」(84)や「グレムリン」が公開され、「3G決戦」などと言われたと記憶する。
で、そのオリジナル版でラストでマシュマロマンが巨大化して笑顔でビルをぶっ壊すクライマックスで大笑いした記憶がある。
このシーンと、有名は主題歌が私にとって「ゴーストバスターズ」の記憶だ。

今回、主人公を女性にした。
この「今は女性の時代だろ?」とばかりにリメイクするときはとにかく主役を女性にする風潮がいやである。

ゴーストバスターズのリーダーのアビー、これがどうにも好きになれないキャラクターで映画に乗れない。
背は低くて頭は後ろに束ねて完全に「オバサン」
映画を支える主役としての華を感じない。

そしてさらにいやだったのは電話番として雇われたケヴィン。あまりのバカさ加減に「男はイケメンであればよい」というなんだか逆性差別さえ(こっちが被害妄想かもしれんけど)感じてしまう。

金曜日の夜で疲れていたので、眠気と格闘しながらの鑑賞。
マシュマロマンが最後の対決に少し出てきたのはよかったが、とにかく乗れない映画だった。ヒットしてないみたいだし、「インデペンデンス・デイ」と同じく(興行的には)成功しなかったリメイク。









裸のアゲハ


日時 2016年8月23日21:35〜
場所 テアトル新宿
監督 榊 英雄
製作 OP映画


アゲハ(水城りの)は同棲している彼氏に連れられてある小劇団の芝居を見る。それは役者が全員前張りだけで古典を上演する劇団だった。
公演後の打ち上げに参加するアゲハ。
役者たちは劇団の先行きについて不安を感じ、主催のツバサと険悪なムードに。
アゲハもツバサに誘われ、その劇団に参加した。
素人なので他の俳優からは「こんな素人相手じゃ台詞に気持ちはいんねーよ!」と文句を言われる。
ツバサはアゲハを守るが、ツバサを好きな看板女優は返ってアゲハに冷たくあたる。
ツバサはアゲハを気に入り、「今度は服を着て公演する。演目は『蝶々婦人』。主演はアゲハだ」と劇団の方針転換を決める。
他の俳優やスタッフも混乱していく。


役者としても活躍中の榊英雄監督作品。
うーん、私はこの映画乗れなかったなあ。

まず全裸で古典の芝居をするというオープニングがピンク映画らしくていい。
でも映画の後半、普通の芝居になってしまう。
ピンク映画なら(今回はピンク映画ではないかも知れないが)前半で着衣で芝居してうまく行かずに「全裸で芝居だ!」になるんじゃない?

アゲハを演じた女優がよくない。
後半の公演で初日はがらがらだったのが評判が口コミで広がり楽日は大入り満員という展開だが、このアゲハが台詞は棒読みだし私にはぜんぜんよくない。
ピンク映画にありがちな(といっては失礼か)のいかにも演技は二の次、の女優なのだ。

だから私にはアゲハに人々が惹かれる展開が全く説得力がなくしらけるばかり。
まあピンク映画にそこまで求めるのは酷だという反論もあるかも知れませんが、それにしてももうちょっと何とかならなかったのか。

ラストは上野オークラ(旧館)〜ここが時々登場する〜でアゲハとツバサが出来るのかと思ったら、アゲハには元々彼氏がいるので、彼氏と屋上で絡み、それをツバサが見て悶絶するという結末(だったと思う)。










悦楽交差点


日時 2016年8月23日20:20〜
場所 テアトル新宿
監督 城定秀夫
製作 OP映画


フリーターの中年男、春夫は交通調査のバイト中に真琴(古川いおり)という美しい女性を見かける。
それから5年後、春夫は真琴の家の近所にアパートを借り、双眼鏡で彼女の家を覗き、彼女の夫との夕食風景を見ていた。春夫は読心術も勉強し、唇の動きで真琴と夫との会話を把握していた。
春夫は翌朝真琴が捨てたゴミ袋を自分の部屋に持ち帰り、漁っていた。彼女が捨てたワンピース、歯ブラシなどを取り出し他のゴミはまた捨てる。
彼女が出かければ春夫は後をつけ、キャッチの男が真琴に声をかけると男に殴りかかる。でも逆に春夫が殴られるのがオチなのだが。
夜には真琴と夫のベッドも覗く。それを見ながら金でやらせてくれる女を呼び、やらせてもらう。
ある日、真琴の夫が春夫の会社にやってきた。夫は部下の女性とラブホに向かう。
二人の関係を知った春夫は夫の浮気の証拠写真を撮る。そしてそれを真琴に送るのだが、彼女はそれを一瞥して捨ててしまう。
その晩、真琴と夫のセックスを見ながら女を呼ぶ春夫。
やった後に眠ってしまった春夫だったが、起きたらそこに真琴がいた。


昨年に引き続き、オークラのピンク映画をR15にしての公開。去年はレイトの1本だけだったが、今回はメインの2作品(この映画ともう1本)日替わりで上映し、その後もう1本上映。併映は日替わり。(作品によって違うが2週間の間に1回〜3回上映される)

んで今回城定監督作品は見ようと思って行ってみた。
この映画、侮れない。
基本的にストーカーというのは私は憎みきれない。
たぶん私自身にもストーカー気質があるのだろう。映画をこんなに観ているということ自体、ストーカー気質があると思っている。

映画はここで一転、話は巻き戻り真琴の視点から話は語られる。
真琴は貞淑な妻ではなく、「主婦は職業。この夫の妻という仕事をしていればこの家も贅沢も出来る」と言い放ち、孫を望む夫の両親からもらったワンピースはすぐに捨てる。(実はそれは春夫が拾ったゴミ袋にあったワンピースだ)
夫の不倫を知ってももともと夫には興味がないので、気にしない。
自分に興味を持ってくれる春夫に興味を持った真琴は春夫のアパートへ。

「キモイ男」と言いつつ、彼とのセックスも楽しむ。
完全に相手を見下し、支配者としての立場を楽しむ。
春夫はやがて真剣になり、夫と別れさせるために夫の不倫写真を会社に送りつける。
夫は左遷。妻には不倫の事実は隠し、「部下が使い込みをしてその責任を取らされた」と言い訳し、栃木支社に転勤となる。

春夫は真琴が夫に愛想を尽かし自分の元に来てくれることを願った。
「結婚しよう」という春夫。真琴は「あたしは高い女。大きなダイヤの指輪が欲しい」とねだる。
真に受けた春夫は体に危険があるかも知れない新薬の実験のバイトをして金を稼ぐ。
やっと指輪も買って真琴の家に行くのだが、引っ越した後。

引っ越しのトラックを見つけ追いかける春夫。
当然追いつかないし、目があった真琴には嘲笑されるだけ。

いやーなんかこうストーカー気質の男が女に翻弄される姿は観ていて理屈ではなく、心臓に響く感じだった。
どんなラストを迎えるのか興味津々だったが、真琴の車を追いかける春夫を例の売春の女が見て「がんばれ〜」とエールを送るラスト。

うん、春夫が死んでしまう悲劇的なラストもありかと思ったが、それでは悲しすぎる。
ちょっと希望のある明るさの混じったラストの方がいいかも知れないな。

あと絡みのシーンに必然性(というかいかにも絡みのシーンのための絡みではない)が欲しい、というのが私のピンク映画に求めるものだが、真琴が夫とのセックスを春夫に見せつけたり、真琴の夫のラブホテルでの不倫の様子を春夫がコップを壁に当てて聞くシーンなど、絡みのシーンが長くても飽きさせない。これぐらい必要なのだ。

役者ではいかにも自信たっぷりな女を古川いおりが好演。
春夫が勤める町工場の社長に森羅万象。

城定秀夫は本当に侮れない。
もう1回観てもいいなと思わせる出来だった。












巨乳水着未亡人 悩殺熟女の秘密の痴態


日時 2016年8月21日19:45〜
場所 光音座2
監督 清水大敬
製作 OP映画(新作)


三田キミコは夫に先立たれ一軒家に一人暮らし。家のローンはまだ残っていて、鮫島金融からもお金を借りて家政婦の仕事だけでは生活は苦しい。そこで家政婦派遣の会社から給料が5倍になる仕事を紹介される。ただし水着で働き、少しセクシーポーズをするのが条件。
「お金の為なら」と引き受けるキミコ。そこは事情を聞いてみると、清掃会社をしていた人たちがある日ある会社の清掃をしてるときにそのオーナー(なかみつせいじ)が襲われるのを見た、それをみんなでオーナーを助けたので感激したオーナーから「ここを1年間自由に使っていい」と言われたプール付きのマンションで水着接待をする商売を始めたのだ。
キミコからその話を聞きつける鮫島(野村貴浩)。心あたりのある鮫島は自分の「使い捨てライターのような女」のルイにキミコの職場に潜入させるのだが。


そんなに積極的にピンク映画は観ない私だが、AVなどでよく登場する「例のプール」で女優5人が並んでるポスターを観てちょっと観たくなった。
映画云々より「例のプール」が出てるから観たいという珍しい動機。
ピンクは1週間で上映が終わってしまうので、今日光音座で見逃すと今週平日の夜(木曜終了なのだ)に上野オークラで観なければならない。普通の映画と違って他の映画館で上映されるのを待つのも難しい。
そんなこんなで迷ったあげく、ノヴェチェントの「大魔神」上映後、やってきた次第。

主人公のキミコも男好きで、まずは鮫島とも一回絡んで、水着の仕事の清掃員会社社長の中村とも一回絡んでしまう。
ところがまだ成仏できずにいたキミコの夫が幽霊となって現れ、中村の体を借りて実体化する(姿はキミコの夫だが、台詞では「中村の体を借りている」という)のだが、これがハゲ親父で、しかもキミコも熟女だから、熟熟の辛みで観ていてげんなりする。
そういうのがお好きな方にはいいかも知れないけど、基本的に熟女は興味ないし、さらにハゲ親父との絡みでは正直げんなりしてしまった。

で、鮫島がルイに探らせたのは実は鮫島の父親の会社の経理をやっていた男が親父の愛人と会社の裏帳簿を持ってにげたのだ。それが中村ではないかと疑ったのだ。
案の定、中村がその持ち逃げした男だった。
鮫島は親父(森羅万象)と共に踏み込むのだが・・・という展開。

そうそうその前にこのプールでどういう商売をしていたのだろう?プールサイドで熟女が水着になってビールなどを運んでいたが、その後客とベッドインとかしていたのだろうか?(エキストラに知り合いが出ていた)

中村の元で働いている女性が二人いて(一人が倖田李梨さん)彼女たちと鮫島の子分と対決。
その間に中村の妻と思われていたのが、鮫島の親父の愛人。これがSM好きで、森羅万象が乳首に洗濯はさみをつけてMとして攻めてもらって喜ぶ姿は笑えた。

結局裏帳簿を返す代わりに愛人として自分を解放してほしいと鮫島の親父に訴え、万事解決。
キミコはオーナーと再婚し、セクシー焼き肉屋も任せてもらってめでたし。キミコの死んだ夫も天使姿で登場し、これで安心して天国に行けると天に去っていく。
幽霊になったり天使になったりめちゃくちゃだ。

清水監督って「平成任侠伝」の監督。両方ともやくざが出てきて喧嘩があって、そういうVシネっぽいのがやりたい方なのかな。他にどんな作品を作っておられるかちょっと興味あり。

「例のプール」を観るために観た映画だけど、知ってるAVに出てきた場所やイスとかも同じでなんだ懐かしい気分で観ました。













おいしい女五人 やり比べ


日時 2016年8月21日18:45〜
場所 光音座2
監督 深町章
製作 新東宝


落目村という文字通り落ち目の村に住む田野上茂作(山本竜二)は絶倫で、妻がいないのをいいことに毎晩女を連れ込んでいた。
金を払ってだけど今夜は女子高生。そこへ東京から上条みゆき(冴木直)というお嬢様がやってきて、茂作の土地を全部買いたいという。
一方ホステスの女を茂作が連れ込んだときに、「東京の不動産会社がこの土地を買いたがっている」という話を伝える。
東京の不動産会社と上条みゆき、どっちにしようか迷う茂作だったが。


今日、ノヴェチェントに「大魔神」上映&高田美和さんトークイベントに行ったが、それが6時前に終わり、「ゴーストバスターズ」か「シン・ゴジラ」を観ようかと思ったが、どちらも時間が合わなかったので、オークラの新作「巨乳水着未亡人 悩殺熟女の秘密の痴態」を観るために日ノ出町に移動した。「悩殺熟女」だけ観ようとか思ったが、それだけで割引料金とは言え1030円払うのはもったいない気がしたので、18時45分からのこの映画も観た。

山本竜二が出てるから80年代の映画かな。
全編田舎のシーンなので、風景からは製作年代がさっぱり解らない。

絡みのシーンは次に茂作は看護婦プレーの子を呼び、次に東京の不動産会社の女社長と会う。で彼女とも一発。
これで女子高生、ホステス、看護婦、女社長と4人。
最後の一人は例のお嬢さん。

土地を見に来た彼女を強引に犯してしまう茂作。
お嬢さんにも女社長にも半分ずつ土地を売ろうかなどと考えていたら、例のお嬢さんは実は女社長の妹。
茂作に処女を奪われた、と言って土地の値段を負けさせる。
相場平米10万円を15万円で1万平米買うから15億円だったのを1億5千万に負けさせる。
そりゃ、15億は1億5千万だから安くなってけど、1億5千万なら充分でしょ。

例の姉妹は最後にはレズプレイを楽しんでいたので、実の姉妹ではなかったのかな。

まあそんな感じの映画でした。












なぞの転校生


日時 2016年8月21日
場所 DVD
監督 小中和哉
製作 平成10年(1998年)


香川ミドリ(新山千春)の住むニュータウンの同じ棟に引っ越してきた家族がいた。翌朝学校へ転校生・いわせマユミ(佐藤康恵)がやってきた。ミドリはその子が昨日自分のマンションに引っ越してきた子だと知って驚く。
何となく不思議な子のマユミとミドリは気があって毎日話すようになる。
マユミは「自分は実は違う次元からやってきた。前にいた次元は世界が崩壊しそうな状態だ」と語る。信じられないミドリだったが、マユミと一緒に別次元にジャンプする。
マユミと仲良くなるにつれ、他の子と離れていくミドリを心配するのは幼なじみのコウイチ(妻夫木聡)だった。
やがてミドリは違う次元にジャンプするようになる。どうやらミドリはそういう体質らしい。
その次元ではミドリは精神病院に入れられ、自分は「自分はニュータウンに住んで女子高生をしている」という妄想の世界で生きていると言われる。


今年の5月に放送された満島ひかりと妻夫木聡の対談番組で妻夫木が話していた彼のデビュー作。
「演技なんてこんなもんだろ」と軽く考えて出演したらぜんぜんダメで自分の無能さに打ちのめされた、と語っていた。
それはどんな作品だったのかと気になり、中古DVDを買い求めた次第。

ああ、確かにひどい。棒読み、というのとは違う、なんだか素人くさい芝居なのだな。前半、物理の授業で先生に指されて答えられずに「解りません」と言うところなど、頭の後ろをかいていて分かりやすすぎる芝居である。だいたい現実に「えへへへへ」という状態の時に頭の後ろを掻く奴いるかあ?

このレベルだったのが、どうやって「ウォーター・ボーイズ」に始まる快進撃につながったのか是非知りたいところである。

で話の方は異次元に行ったり来たりして、なにやら世界の終わりの支配者層との戦争になっている。んで敵のマザーシップ(みたいなもの)に到達出来るトンネルがあってそのトンネルに入ろうとミドリとマユミが扉をあけるとそこは夜の渋谷、という訳解らん世界になる。

もう異次元だからなにやってもいい、という自由さその後も最初の世界と行ったり来たりを繰り返す。
観ているうちに別次元の精神病院にいるミドリの世界が基本の世界で、女子高生のミドリが妄想世界にさえ見えてくる。

んで、中学の時転校してきた山沢のことをミドリは実は好き、でも登場してもすぐに消えてしまう。ラストに開かされるが、彼は中学の時自殺していたし、彼も異次元からやってきた少年だったのだ。
現実と異次元の混同が始まり、世界は崩壊するかに思われたが、ミドリが異次元に向かうことで現実世界は元に戻る。
哀れミドリがいなくなるのをコウイチは目の前で経験し、さぞトラウマになったろう。

ミドリは次元を旅する旅人になった、というどちらかというと私に言わせればバッドエンド。

てっきり無事女子高生に戻ると思っていたので、このラストは意外だった。

それにしてもこの映画のダメなところは相手役のマユミ役の佐藤康恵。彼女がまるで魅力がないのである。
彼女がもう少し魅力的だったら、私のこの映画の評価も変わっていたと思う。残念。








花芯


日時 2016年8月15日16:20〜
場所 テアトル新宿
監督 安藤尋


昭和18年、文系から理系に転向し、徴兵を免れた雨宮清彦(林遣都)を親から紹介される園子(村川絵梨)。「お国のために理系になりました」という雨宮だが、それを「どうせ徴兵逃れでしょ」と嫌う園子。
やがて戦争も終わり、二人は結婚する。子供も出来たが、雨宮の転勤で京都に引っ越す。子供の誠はしばらく園子の母と妹の蓉子がしばらく面倒を見ることに。
京都では北林(毬谷友子)の離れに住むことになったが、同じく北林の家に下宿している雨宮の上司の越智(安藤政信)と知り合う。
やがて園子は越智に惹かれていく。


林遣都、安藤政信の激しいからみの作品ということで観にいった。相手役(というかこっちが主役だけど)村川絵梨は「僕たちは世界を変えることができない」のヒロインのヒロインの子。

まあ親の決めた結婚に反発して、自分が惹かれた男に体を許していく、という話。この越智という男が下宿の主人の北林夫人と出来ている、という設定。
20歳も年上、というから「40前の男」と越智が言われてるから、北林夫人は60歳前ぐらいか。
熟女好きだなあ。映画では越智が服を着たまま、口で性器を北林に遊ばれているシーンが登場する。

それにしてもせっかくのセックスを描く作品なのに、林遣都も村川絵梨も浴衣を着たままでの中途半端な姿でのセックス。
こういう映画だとそういう絡み、濡れ場を手抜きしちゃだめだよ。

半ば村川絵梨や林遣都、安藤政信の体を観に来た訳なんだから。二人とも全裸でお尻もちゃんと見せるぐらいでないと。安っぽい男優女優ではなく、安藤、林、村川なんだから。もし彼らが「そういう直接的なのはちょっと・・・」というのなら、そういうことが出来る男優さん、女優さんを集めなきゃ。
だから観てるこっちはシラケっぱなし。

結局、雨宮の方には園子の妹の蓉子が近づいていって、まだ籍は入れてないようだが、事実上の夫婦になり、母親の死をきっかけに園子は一人で生きていく、という結末で終わる。
愛の為には制度など関係なく生きていく女の強さ、意志を感じられ、そこはよかったと思う。

昭和20年代の空気感を表現した美術やカメラ、照明もすばらしい。撮影は鈴木一博さん。

もちろん林遣都など、デビュー時から考えたら大人の役をやるようになったな、とは思うけどちょっと中途半端である。残念。
今後に期待したい。
だからなのか、お盆の昼間にも関わらず映画館は空いていた。








ジャングル・ブック


日時 2016年8月15日14:00〜
場所 新宿ピカデリー・シアター1
監督 ジョン・ファヴロー


ジャングルでオオカミの仲間として育てられたモーグリ少年(ニール・セディ)。トラのシア・カーンが現れたことで平和が乱される。シア・カーンは人間を恨んでいて、オオカミの群からモーグリを追い出せという。
オオカミたちがどうするか相談するのを聞いたモーグリは自分から群を離れる。
森の中をさまよう中、ニシキヘビに狙われたところを助けてくれたのが熊のバルーだった。
バルーの頼みを聞いて蜂蜜を取るモーグリ。だがサルの王、キング・ルーイに捕まり、人間が使う「赤い花」を教えろと言う。
もともとモーグリをオオカミの群に連れてきて以来モーグリの面倒を見ている黒ヒョウのバギーラと、バルーはモーグリを助けに向かう。


「ジャングル・ブック」はかつてディズニーでアニメ化されている。こちらは観ていないけど、タイトルは聞いたことがあった。
で今回流行の実写映画化である。

春から予告編は流れていて、「少年以外の動物も植物もすべてCG」という情報も流れていて、その映像のすばらしさに感嘆していた。
もう最近CGでは(金と時間さえかければ)何でも出来る!という気になっているので驚きはしない。
でもやっぱり改めてすごいなと思う。

しかしながらそれだけなのである。
サルの大群もすごいなあと思う。
で、サルを倒しシア・カーンと対決することを決めるモーグリ。彼は人間の住む村の入り口まで来て入り口のたいまつを盗む。
そしてシア・カーンと対決しようとするが、「赤い花がなければ戦えないのか!」と言われ、たいまつを捨てる。
ところが火花が散ったのか森は大火事!
おいおい生態系崩していいのかよ?と思っていたら、モーグリはシア・カーンを何とか森におびき出し、木に登って炎の中にシア・カーンを落として倒す。
火事になった森は象が川の流れを変えて消してくれてこちらも一件落着。

大人になるとこう言った少年の冒険談には何も感じなくなるが、モーグリ少年の溌剌さは観ていて好ましかった。
しかしこの年頃の少年がパンツというかフンドシというか赤い布を下半身に巻いただけの姿なのに「児童ポルノ」にはならないのか?
あれも「欲情する図画」が対象だから、この映画のモーグリは「欲情」を目的にしていないから大丈夫なのかな?
それともそんなことを考える方がおかしいのか。

ところでこの映画に登場するジャングル、アフリカだと思っていたがトラが登場するからアジアなのかな。アンコールワットみたいな廃墟が登場するからカンボジアあたりとか。しかし象に牙があるのはアフリカ象でアジアの象には牙がないし。まあそういう細かいことを突っ込むのは野暮というものか。









秘密 THE TOPSECRET


日時 2016年8月7日16:15〜
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン9
監督 大友啓史


近未来。死んだ人の脳をスキャンしてその記憶の映像化する、MRI捜査が実用段階に入ってきた。それを担当するのは通称「第9」と呼ばれる捜査機関。その室長の薪剛(生田斗真)は若きエリートだった。
第9に新しい捜査官青木(岡田将生)が入ってきた。彼らに与えられたミッションは自分の妻や娘、義母を殺し、死刑になった露口浩一(椎名桔平)の記憶を見ることだった。この事件では長女の絹子(織田梨沙)が行方不明にねっており、その死体の隠し場所を特定することだった。
しかし露口の記憶から解ったことは、実は家族を殺したのは絹子だったのだ。露口は娘を守るために罪を引き受けたのだ。
再捜査を希望する薪たちだったが、「検察の失敗をさらし、死刑制度への疑問を抱かせることになる」と却下。
しかし絹子が生きていればサイコパスとして再び殺人を犯す危険を考える薪や青木は露口の事件を担当した叩き上げの刑事・眞鍋(大森南朋)を巻き込んで事件の解決に当たる。


この映画の予告編は春ぐらいからやっていて、松竹としては夏の大作だろう。でもこちらとしては「シン・ゴジラ」のおかげでかすんで見える。

お話の方は絹子が自分から出てくるのだが、世間は被害者としてしか認識せず、第9は眞鍋たちの方が悪者になってしまう。
そして以前に逮捕した連続殺人犯・貝沼(吉川晃司)との関わりが出てきて捜査は一層複雑になっていく、という展開。

まあ見ている間は退屈しない。
第9の元のメンバーで貝沼の脳を見て発狂し自殺した鈴木(松坂桃李)の謎など飽きることはない。でも少し複雑化しすぎてしまった感は残る。
原作は膨大な長さなのかな、と思ってパンフを読んだら少女コミックなんだそうだ。
へー少女コミックもこんな作品も掲載されるんだ。

2時間強の映画にするには長すぎる。原作もののいつもの悩みだが、複雑になって消化不良になってる感がある。

薪は教会で行われるミサに参加した際にかつて貝沼に会ったことがあったのだ。薪は忘れていたかも知れないが、貝沼はこの時に薪からお金を施され、その善意を「バカにされた」と悪意に受け取り、薪に対する一種の当てつけで連続殺人に及んだというのだ。
この貝沼事件の詳細がよくわからないし、映画中に彼が少年院でセラピストをしていたのだが、そんな人間がなぜセラピストをしていたか不明。
多分原作を読めば解るのでしょうが。

生田斗真、岡田将生共演のミステリーということで見に行ったが、彼らのイケメンぶりを楽しむには十分だった。
ただし「第9」という組織の長には若すぎるイメージがあったし、岡田将生が17歳で東大卒業で医学から犯罪心理学まで修めているってそんな設定マンガっぽくてついて行きにくい。
あっ原作がコミックだからか。













泳ぐ男 THE SWIMMER


日時 2016年8月6日18:50〜
場所 光音座1
監督 片岡修二
製作 ENK


風間は水泳のインストラクター。彼のつとめるスイミングスクールは経営難だったが、元コーチがオーナーで、彼を慕ってやってきた風間はなんとかしたいと思っていた。
ワタルとその姉は引っ越してきた。二人の父親が亡くなり、その膨大な遺産をねらって誘拐されそうになったりしたので、ワタルも高校を辞めて引っ越してきたのだ。
ボディガード兼任の家庭教師(池島ゆたか)を雇ったが、まったく役にたたない。
ある夜、浮浪者に絡まれたワタルの姉は偶然通りかかった風間に助けてもらう。
ワタルの姉は風間を探しだし、弟のボディガードをしてもらう。ワタルはゲイで、夜な夜なゲイディスコに遊びに行くが風間は仕方なしについていく。


この映画、タイトルは知っていたので以前観ていたかも知れない。でも全く覚えていないので、初見と同様です。

ボディガードを引き受ける、という設定なのだが風間が三枚目のキャラクターなので、どうにも話が混乱する。
コメディにもなりきってないし、アクションでもないし。
第一ボディガードになるならスイマーじゃなくて柔道とか空手とかボクシングの方が話に説得力が出てくるんじゃないか?

何らかの事情でスイマーを主人公にしたかったのなら、水泳教室での恋愛話に持っていけばよかろう。
どうにも企画の段階での設定の混乱を感じる。なにか別々の映画の企画を無理矢理にくっつけたような。

で話の方はワタルはボディガードの風間を鬱陶しがって計画を立てる。(途中にワタルのゲイの恋人とのカラミあり)
風間を巻いて姉の元に身代金要求の電話が入る。風間が届けに行って相手を倒したら、ワタルのゲイ仲間、つまり狂言だったというオチ。
このあたり、やりようによってはもっと話が盛り上がっただけに惜しいと思う。

最後にはホントに敵が襲ってきて風間とワタルは二人で逃げる。とりあえずホテルで一泊して二人は体の関係を持つ。ピンク映画らしい強引な展開だ。
翌朝ホテルにも敵がやってくる。
二人は逃げたが、敵のボス(下元史郎の特別出演)に拳銃を突きつけられるワタル。
でも前の晩に「自分の身は自分で守らなければだめだ」と言われたのが頭をよぎり、ワタルはボスの拳銃を奪って逆転。敵は逃げ出す、という展開。
でもこれじゃ敵はまた襲ってこない?

そうそうボディガードの報酬がなぜか1千万円位ワタルの姉からもらってスイミングスクールの経営難もなんとか解決。
めでたしめでたしという訳だが、主人公は三枚目だしなんだか企画が混乱してる気がした。








兄貴と俺V 好きと言えなくて


日時 2016年8月6日17:40〜
場所 光音座1
監督 加藤義一
製作 OP映画


兄貴・坂口リョウタ(倉木亮)と平岡アツシ(坂本裕介)は幼なじみ。俺アツシは年上のリョウタを「兄ちゃん」と呼び、勉強も運動も出来てあこがれの存在だった。
中学生の時に兄貴は引っ越し別れたときに俺は泣いた。そしてゲイになり思い出すのは兄貴のことばかり。
ところが10数年たって就職した会社で再会した。
兄貴はバリバリの営業マン、俺はイマイチの成績。
ある日、二人で話しているときに雷が落ちた。
なんと俺と兄貴の体は入れ替わってしまった。


「兄貴と俺」シリーズ第3弾。
今度はサラリーマンもの。スーツ好きな人はいるからそういうジャンルもありだろう。
でも今回は「雷で人格が入れ替わる」というSFというかファンタジー色を入れる。
そういうの必要かあ?
「反発しあってる二人が体が入れ替わってお互い相手の知らなかった面を知る」というのがこういう体入れ替わりものだと思うのだが、アツシは兄貴に好意を寄せているのだから、それは困るだろう。
(それより実を言うと冒頭のナレーションで「俺と兄貴は幼なじみ」というのを聞き逃したので、ホントの兄弟かと思って少し混乱した)

自分が好きな人の体になっても抱きつくことも出来ないのだから困ったものだ。
実際自分のモノをなめたくても出来ない!と苦しむカットもある。
だから根本的にちょっと計算違いをしてしまった気がしてならない。

お互いのアパートに帰るのだが、アツシの元にゲイ友のカズヤが訪ねてきて「リーマンナイトに行こう」と言い出す。
訳も分からずついていってアツシがゲイだと知る。
一方アツシは普段ゲイイベントなどで見かけるいい男と街で偶然出会う。
普段自分に自信のないアツシだが、今は兄貴の体なので勇気を出して声をかける。
で、アパートの入り口まで連れてきたのだが、リョウタに仕事だと言われてつれて行かれる。
連れて行かれたのが、今リョウタが営業中の会社の部長。
今まで接待に誘ってもついてこなかった部長だが、アツシは部長がゲイだと見抜く。
それを知ったリョウタは「お前接待してこい、俺の体使っていいぞ」と言われ「ゲイだからって誰でも言い訳じゃない」と喧嘩になってしまう。
とは言っても結局兄貴の為にその部長に抱かれるアツシ。
取引は成功し、リョウタはあこがれのニューヨーク勤務へ。
リョウタはアツシが声をかけたいい男をカズヤのつてで探しだし、電話番号を聞きアツシに教える。
再び雷が落ちてリョウタとアツシは元に戻る。
リョウタへNYへ、アツシは例の男とつきあうようになった。

リョウタ役の倉木亮は「兄貴と俺」シリーズに出演。体つきはよいのだが、別に入れ替わる前でもなんだか「オネエ」っぽくて体のたくましさとは裏腹な感じがマイナス。
アツシも短髪系でタイプが似通っている。アツシがあこがれる青年の方が色白の痩せ型タイプで、彼の方がアツシ役にはあっていた気がする。
そうは言ってもゲイピンクですから、解っていても出来ない事情があったかも知れませんが。

で、最後にアツシの部屋でその青年といるときに、また雷が落ちる。そしたらアツシが飼っていた金魚と青年が入れ替わってしまうというオチがつく。
面白くないし、蛇足の見本のようなラストだった。







トランボ ハリウッドに最も嫌われた男


日時 2016年8月6日10:30〜
場所 TOHOシネマズ シャンテ・スクリーン2
監督 ジェイ・ローチ


第2次大戦中は米ソは同盟を結んでドイツと戦ったために共産党に入党する者も多かった。ところが大戦は終わり、ソ連が仮想敵国となった冷戦下では共産党員は敵のスパイと見なされるようになった。
下院では非米活動委員会が設置され、いわゆる「赤狩り」が始まった。映画の世界でもロナルド・レーガンやコラムニストのヘッダ・ホッパー、ジョン・ウエインなどは率先して非米活動委員会に手を貸す。
脚本家のダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)も非米活動委員会から目を付けられた一人。議会で証言を求められ、その回答が拒否ととられ、刑務所へ。
出所後もハリウッドでは大手の映画会社は雇ってくれない。
仕方なくB級映画専門のキング・ブラザーズで安い脚本料で脚本を書きまくる。
やがてカーク・ダグラスの新作「スパルタカス」やオットー・プレミンジャーに仕事を依頼され、徐々に復帰していく。


ダルトン・トランボは「赤狩りで追われたハリウッドの映画人」の代表的存在。アメリカ映画に詳しくない私だって知っている。
チクった奴としてエリア・カザンも有名だが、本作では出てこない。

前半に右派のコラムニストが登場するのだが、これが女性。世の中女性というと平和的なイメージがあるが、そんなことはあるまい。
日本だって右派の女性には櫻井よしことか政治家では小池百合子とか稲田朋美などがいる。
先日小池百合子が女性初の都知事になったが、「女性だからクリーンそう」というイメージもあったと思う。
実は多分そんなことは全然ない。

トランボは娘に「お前は学校でランチを持ってこなかった子に対してどうする?自分のサンドイッチを分けるか?それとももっと働け!と言うのか?」と言うようにトランボの考えはシンプルである。別にアメリカを侵略したりするつもりはない。

私が興味を持ったのは出所後、キングブラザーズ映画での仕事だ。
B級映画専門という位だから多分日本で言えば新東宝映画(というか大蔵映画)のような存在なのだろう。
そこで作られた映画はほとんどは日本には入ってきていないではないか。
このデブの社長に「ダルトン・トランボのような反米の脚本家を使うな」と「アメリカを愛する映画人連盟(みたいな名前のところ)」から勧告があったときに「俺の映画に口出しするな!」とバットを振り回すところは壮快である。
ラストにハリウッドがトランボを再び受け入れた1970年のパーティの席にキング社長がいたのがすごくうれしい。
B級映画だからと言ってバカにしなかった姿勢が好きである。このカットでちょっとうるっときた。

それにしても権力に反抗するのは大変である。
ある俳優は転向し、トランボたちの名前を議会で公表する。
後年、その俳優とトランボが再会したときに「脚本家は名前を変えて仕事をする事が出きる。しかし俳優は顔を隠して演じることは出来ないんだ」と自分の苦悩を語る。

トランボさえも仕事が忙しくなると家族を顧みなくなったり、家族に厳しく当たったりする。権力に反抗しなかったらこんな苦労はしなくてすんだろう。

今の日本でも権力の太鼓持ちをする人間を叩くときがある。しかし(太鼓持ちじゃなく、本気の権力者は別にして)太鼓持ちだって好きでやってる訳じゃない時もある。

ラストで彼らに「加害者はいない。みんな被害者だ」と言って許したトランボのように対する寛容の精神を忘れてはなるまい。

今、日本でもヘイトスピーチが横行し、アメリカでは移民排斥を叫ぶトランプが大統領候補として当選も現実味を帯びてきた。
そんな自分と違う考えや立場の人間を排斥しようとしている現在、非常に大切な映画だと思う。

ハリウッド映画にもっと詳しければ(この映画に登場する「黒い牡牛」「スパルタカス」などを観ていれば)もっと楽しめたと思う。
自分の不勉強がちょっと寂しい。







屋根裏の散歩者


日時 2016年8月5日21:00〜
場所 シネマート新宿・スクリーン2
監督 窪田将治


東京のアパート東栄館に住む郷田三郎(河合龍之介)は押入の天井から天井裏に入り込み、住人の私生活を覗き見ていた。隣の部屋に住む歯科助手の遠藤(淵上泰史)は婚約していて近く結婚するようだが、他の女とも逢瀬を楽しんでいるようだった。その東栄館に遠藤の浮気相手大内照子(木嶋のりこ)が越してきた。動揺する遠藤。
その頃、明智探偵事務所では明智(草野康太)の妻であり助手の文代は黒木直子(間宮夕貴)から婚約者の浮気調査を頼まれる。
それは遠藤と大内の関係を探り出してしまった。
やがて遠藤はモルヒネを大量に飲んで死体で発見された。
窓やドアに鍵がかかって密室であったことから警察は自殺と判断。
しかし明智は旧知の波越警部(近藤芳正)に頼んで現場写真を見せてもらう。そして東栄館へ。
遠藤の隣の部屋の男から、死体で発見された当日の朝も目覚まし時計が鳴っていたと聞く。
自殺する男が翌日の目覚ましをセットするだろうか?
明智は他殺ではないかと疑い出す。


昨年「D坂の殺人事件」があってあれで終わりかと思っていたら次に「屋根裏の散歩者」が来た。
製作は前と同じキングレコード。明智には同じく草野康太。

「D坂」がだめだったので見るのはちょっと迷ったのだが、新宿でレイトの公開だから寄ってみた。本来なら2週間限定公開で5日に終わる予定だったが、10日まで上映延長になったそうだ。何にしてもお客さんが来るのはいいことである。

「D坂」で登場した古本屋が閉店している状態で登場する。
帰りに自分の感想を確認してみたら、郷田は「D坂」でも登場していた。すっかり忘れていた。

原作はかなり前に読んでいる。もう一度読みたいとも思う。
主人公は郷田で彼は「世の中何も面白いことはない」というかなり屈折した人物で、夜な夜な屋根裏の散歩を繰り返すうちに「なんだか気に入らない」という理由で男をころしたのだったと思う。

そういう郷田という男を借りて、実は誰でも持っている「他人の秘密を除きたい願望」や「あいつ死ねばいいのにと漠然とした願望」を具現化した話で、誰の中にも郷田はいるようで面白かった。

しかし「エロティック路線」にするために大内、黒木という二人の女の遠藤の取り合い、という話にすり替わってしまった。
住人たちの人間模様が面白かったのだが、そういうのはなし。

明智の謎説きもあっさり分かってしまい、ミステリーとしても面白さなし。
犯人は分かっているのにどこで明智が気づいたか、どう認めさせるか、が見せ場の倒叙ミステリーだったが、その辺があまり重点を置かれず、私としては不満。

最後に喫茶店で黒木が大内を殺そうとナイフで刺すのだが、その現場に居合わせるのが明智ではなく波越警部。
私なら明智が現場にいるようにするのだが。結果的に黒木が大内を刺さねばならないので、明智がいたら止めなきゃいけなくなるから、やっぱり明智じゃだめかなあ。

とにかく女二人を前面に出してちょっと脱がせてエロティックにして、さらに文代も活躍させて、というのが映画の目的だから、私の期待する路線ではないけどね。

上映後に窪田監督と草野康太さん、ゲストに金子修介監督を招いてのトークイベント。
金子監督「裸を出すときは少しずつ脱がせていった方がいい」という話。窪田「明智シリーズももっと作っていって『少年探偵団』や小林少年が登場していきたいですね」とこれには草野さんも賛同。
金子監督「『少年探偵団』は以前企画してつぶれたことがあった」と今だからはなせる発言。

不満は多い窪田監督の明智シリーズだが、基本的にはないよりあった方がいいので、またやってほしい。