ひるなかの流星 | 冷たいまなざし 友情 | ||
まんが島 | キングコング 髑髏島の巨神 |
ドキュメントポルノ 続・痴漢 | 砲艦サンパブロ |
サバイバルファミリー | 3月のライオン前編 | チア☆ダン | シネマHOMO パラダイス |
天使のめざめ | レッド・サン | 彼らが本気で編むときは、 | ハルチカ |
ひるなかの流星日時 2017年3月31日18:40〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12 監督 新城毅彦 与謝野すずめ(永野芽郁)は今まで田舎育ちだったが、親が海外に転勤になり、東京の叔父の熊本諭吉(佐藤隆太)の元で高校に通うことになった。東京に来た日、すずめは道に迷い空腹もあって公園で倒れてしまう。 そんなすずめを助けてくれたのが獅子尾(三浦翔平)。翌日高校に行ってもいると、なんと獅子尾はすずめの担任だった。東京で友達が出来るか不安だったが、隣の席の男子、馬村(白濱亜嵐)に話しかけてみた。 女子を受け付けない雰囲気の馬村だったが、実は女性に免疫がなく、手が触れただけで赤面してしまう癖の持ち主だった。本音をずばずば言ってくるすずめに馬村はいつしか好意を持つようになる。 林間合宿の日、同じグループの猫田ゆゆか(山本舞香)に「キャンプファイヤー係の人は薪小屋に集合だって」と言われて山に入るすずめだが、それはゆゆかの嘘だった。馬村に想いを寄せるゆゆかはすずめに嫉妬したのだ。 やがて雨が降ってくる。それを助けてくれたのは馬村と獅子尾だった。 すずめはいつしか獅子尾に恋をする。獅子尾も自分といると楽しいと言ってくれた。二人の仲はこのまま進展するかに見えたが、やはり教師と生徒。二人の仲を察した諭吉によって交際を止められ、獅子尾は身を引く。 「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「一週間フレンズ」などのイケメン恋愛映画に最近はまっているので、つい見てしまった。 私の場合、男優目当てなので、ポスター、予告等で興味がわかない男優の出演作の場合パスするのだが、前売り券にクリアファイル特典がついていたのでつい買ってしまったのだ。(最近多いグッズとか特典のクリアファイルを集めるのが趣味である。あれはかさばらなくていい) 映画を観始めて正直ちょっと後悔した。 男優二人が完全に私の好みではない。 三浦翔平はなかなかよいのだが、ちゃらちゃらしすぎててまるでホストのよう。学校の先生っぽくないのだな。おしゃれな黒縁めがねをかけて、私服の時のだらーっとしたカーディガンを羽織る姿は嫌いである。 さらに白濱亜嵐。知らない人で新人俳優かと思ったら「EXILE」のメンバーなのですね。しかもやたら長いグループ名。ジャニーズはその点解りやすいよ。長くないし、やっぱりどこかセンスが「昭和」であると気づく。 この白濱某が(私には)全然だめ。 顎のエラの張った顔つきはイケメンキャラじゃない。 猫田ゆゆかがなんでこんな男にそこまで入れ込むのかが理解できない。 まあもちろん男の趣味はそれぞれですが。 これが先生=福士蒼汰、同級生=山崎賢人だったら私のこの映画に対する印象は変わるだろう。 だから男優二人に好意を持てなかったので、映画に全然入れなかった。 でも映画自体に魅力がないわけではなく、主役の永野芽郁は好感が持てた。 田舎娘の時も化粧をしたときも両方とも魅力的で、10年前の蒼井優を彷彿とさせ、なかなかよかったと思う。 あと猫田役の山本舞香。どこかで見た顔だと思ったら「暗殺教室」にでてた子ですね。 まあイケメン教師とイケメン同級生に同時に告白される田舎育ちのダサい女子高生なんて、多くの女子高生の脳内に存在する妄想のたまものなんだろう。 それを否定はしませんが。 考えてみれば「ぼくは明日、〜」も「一週間フレンズ」も「四月は君の嘘」も男目線の話だったもんな。そういう視点からの話は私にも話しに入りやすい。 冷たいまなざし 友情日時 2017年3月26日17:40〜 場所 光音座1 監督 新倉直人 製作 大蔵映画 高校教師の富永(白戸翔一)は週刊誌の女子高生自殺の記事を見て心を痛めていた。彼が担任した生徒のトオル(森純)もかつてはいじめに遭っていた。 トオルは母子家庭でそのことがきっかけで同級生の悪ガキ達(樹かず他)からいじめを受け金を要求されていた。それを知った富永は「俺を友達だと思ってくれ」とトオルに寄り添う。そしてトオルに「トミー」と呼ぶことを許した。富永はトオルをつれて家に帰り、トランプをして一家団欒を経験させ、家庭らしさを味わったトオルは涙する。 しかしいじめは生徒間だけでなく教師間にもあった。ある日富永が職員室に帰ってくると自分の机だけがなくなり、生徒用の教室の机と同じになっていた。 仕方なく富永は空き教室で仕事をするようになるが、持参した魔法瓶に悪ガキが小便を入れるいたずらをする。 そしてトオルは悪ガキにシャワー室に呼び出され、二人に犯されてしまう。 しかし今度は教師達に犯される悪ガキ達。 いくら何でも行き過ぎだと悪ガキ達も助ける富永。 監督の新倉直人は小林悟の変名。ポスターでは「脚本監督・新倉直人」だが映画では「脚本・小林悟」である。 とにかく話が暗いし、主演の教師も顔が暗い。 音楽も暗く、とにかく生きているのがいやになるような暗さである。 ピンク映画は明るい屈託のない、すべてを吹き飛ばす明るさのあるのが好きなので、こういうのは苦手である。 普段生きているだけで暗くなるようなことが多いのだから、せめてピンク映画は明るくしてほしい。 (せつない、はいいのだが) 小林悟にしては役者が全裸になるシーンが多く、やる気を出している。 話の方は「他の教師を教育委員会に訴えてやる!」と啖呵を切った富永だが、PTA(?)の大物(港雄一)が乗り込んできて「わしはアダルトグッズを手広く売っている大物だ。わしの所の新製品を試してやる!」とこれを使って富永を犯す。 そんなこともあって長い回想シーンは終わって現在。 教室にいる富永の元に今は社会人となったトオルがやってくる。 トオルは以前富永の家に遊びに行った時に知り合った富永の娘と付き合っていたが、結局別れて、富永と付き合うようになる、という所でお終い。 なんか話が暗いし、なんで教師がいじめるのか意味不明だし、やっぱり小林悟だからな、というのが率直な感想。 (同時上映は「シネマHOMOパラダイス」。再見したがこちらの方が明るくて好きです) まんが島日時 2017年3月26日12:20〜 場所 新宿K's cinema 監督 守屋文雄 日本かどうかもよく解らない孤島。ここに5人のまんが家が集まってまんがを描いていた。永沢(水澤紳吾)、守吉(守屋文雄)、小林(松浦祐也)、藤井寺(宇野祥平)、徳田(政岡泰志)。 彼らは今日もまんがを描く。へびがやってくればそれを退治して食らいつく。海岸の洞窟に壁画を描く。墨汁が無くなれば黒いものをすりつぶし、煮て墨汁を作る。 編集者(川瀬陽太)がハンバーガーを持ってやってきても「不純だ!」と握りつぶす。食う奴もいる。 やがて島に飛び出ていた巨大な岩石がぱっくり割れる。 2003年のピンク映画シナリオ大賞で「ヒモのひろし」が入選したことをきっかけにいまおかしんじ作品、学生時代からの友人の沖田修一作品でシナリオを担当していた守屋文雄さんの初監督作品。 沖田修一監督の「キツツキと雨」の脚本でまとまったギャラが入ったので、その資金をつぎ込んでの自主制作映画。 まんが島で服はぼろぼろ、髭ボーボーのまるで原始人のような姿になってもまんがを書き続ける彼ら。そのクレージーな執念がひしひしと伝わってくる。 洞窟の壁に壁画を描くまんが家も登場するが、太古の昔から人間は絵を描いていた。絵を描く、というのは人類にとって基本的な表現の手段なのだろう。 それを発展させたマンガもその延長戦上だ。 この映画に出てくるのはまんが家だが、そもそクリエーターとは食うものも食わず創作を続けなければ出来ないのかも知れない。私には出来なかったから、単なる映画ファンしかにしかなれてない。 正直、ストーリーらしいストーリーもなく、まんが家(クリエーター)たちの狂気ともいえる創作への熱意、というか執念をこれでもかと見せられる。 超低予算で作られている映画だが、思いの外画がしっかりしているので驚いた。デジタルカメラだからよけいにそうなるのか、ぎらぎらと焼け付く南の島の太陽の感じがよくでていた。自主映画にありがちな画の汚さがない。 ラストのクレジットでの海の波の美しさは驚いた。 撮影は2013年で、それから公開まで数年かかったわけだが、「キツツキと雨」で一緒に仕事をした役所広司さんからコメントをいただけたり、キネマ旬報で守屋監督と水澤さんの対談が4ページも掲載されたり、異例の扱い(?)である。 単なる自主映画としては破格の扱いだ。それだけ守屋=水澤には映画界が注目していると言えるのかも知れない。 キングコング 髑髏島の巨神日時 2017年3月25日9:00〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン11 監督 ジョーダン・ボート=ロバーツ 1973年、アメリカはベトナム戦争から撤退を決めた頃、モナークという未確認生物調査機関は、このたび衛星写真で発見された未知の島への調査を政府に決定させた。モナークの中心人物ビル・ラング(ジョン・グッドマン)は地質学者のブルックスを伴ってベトナムへ。サイゴンで今回の計画に欠かせない男、コンラッド(トム・ヒドルストン)をリクルートする。彼はジャングルの戦いになれた元英軍将校で未知の島でも役に立ってくれるだろう。 その頃ベトナム撤退を寂しく思うパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)はモナークの探検隊を島に送る任務を命じられ喜んでいた。 島に着きブルックスの指示の下、地質の強さを調べるために爆弾を投下させる。地球空洞説を唱えるブルックスにとって期待できる結果が得られたとき、巨大なそれが現れた。コングは大佐率いるヘリコプター隊を全滅させ、彼らはばらばらに。 コンラッドたちのチームは1944年にこの島に降り立ったという米軍パイロット・マーロウ中尉と遭遇。パッカード大佐は生き残っているらしいチャップマンの捜索を開始する。 彼らをコング以外の怪物が次々と襲う。 2014年に「ゴジラ」を作ったレジェンダリーが放つ怪獣映画大作。 公開初日に朝の9時から観に行った。ほんとはもっとゆっくりしたいのだが、ここイベントがあるので、無理矢理早起きしていった次第。 髑髏島に行くまでがちょっと長い。この辺は手早くまとめて早く本題に入ってほしいな、と思った。 髑髏島のジャングル上空をヘリコプターが飛んでオープンデッキから音楽を流すので、「地獄の黙示録」っぽいな、と思ったら、パンフレットの監督インタビューでも触れられていて、「その通り」と認めていた。日本版のポスターは開田裕治が描いたものだが、アメリカ版ポスターは夕日をバックにコングが立ちヘリコプターが飛行しているもの。このポスターは「地獄の黙示録」を意識して作られているそうだ。 先に書いちゃうけど、マーロウは生き残ってアメリカに帰る。そこで妻と39年振りに再会するわけだが、そのバックには「ウィー・ミート・アゲイン」が流れる。これはもう「博士の異常な愛情」だろう。「地獄の黙示録」にオマージュを捧げるような監督なら、十分考えられる。 で、肝心の映画はどうだったというと・・・私はあまり乗れませんでした。 私の中の怪獣映画って、「絶対に」「都市で」暴れなければならないんですよ。だから東宝怪獣ものでも怪獣島に行ってしまうのは昔から好きでないんです。 ビルや有名な建物をぶっ壊すからかっこいいのであって。 それに怪獣たちの動きが敏捷すぎてこれも好きになれない。もうどっしりした動きに慣れすぎてしまってるんでしょうね。今の時代はこのスピード感でないとだめなのかもしれませんが。 あとマーロウが帰ってくるシーンを見て、小野田少尉や横井庄一さんを思い出しました。 案外この事件がベースになっているのかな。それにしても日本兵が出てきて、亡くなった彼の刀で戦ったり、日本に敬意をしめしてるな、という感じもしました。 エンドクレジット終了後におまけあり。 クレジットを見ていたら「ゴジラ、ラドン、モスラは東宝の権利です」的なクレジットがあったので、どこに出てきたのかなと思ったらクレジットが終わった後だった。 帰還したコンラッドが未確認生物研究機関モナークに誘われる、というもの。モナークの得た情報では太古には「ゴジラ」「ラドン」「モスラ」「キングギドラ」が描かれた壁画があるというのだ。製作が発表されている「キングコング対ゴジラ」の伏線になる。 今後は「ラドン」「モスラ」「キングギドラ」が登場するわけで、ひたすら楽しみである。 ドキュメントポルノ 続・痴漢日時 2017年3月20日 場所 DVD 監督 山本晋也 製作 昭和48年(1973年) 今二階堂卓也氏の「ピンク映画史」を読んでいるのだが、紹介はされるのもの、たぶん見る機会のないピンク映画の話を読んでいるうちに昔のピンク映画を無償に見たくなり、立ち寄ったディスクユニオンでDVDが安く売っていたのでいたので買った次第。 「続・痴漢」というタイトルだが、「ドキュメントポルノ 痴漢」という映画はDVDになっているのだろうか。 「ドキュメントポルノ」という位だから、通常のドラマはない。 要は再現フィルムの羅列である。 クレジットに出演者の名前はなし。ナレーターだけ都健二と表記。 チンピラが女子高生を墓地で強姦するところから始まるが、ここでナレーション「こういった行為は痴漢ではありません」と丁寧に説明してくれる。 それから痴漢の紹介。 まずは若いサラリーマンの二人組が街で言い合いながらすれ違った女性のスカートをめくったり、歩道橋の階段で女性のスカートの中を覗く。 そしてサラリーマンがビルのエレベーターや満員のバスの中でお触りをする。 そしてスカート切り魔。満員電車(登場する山手線がオールグリーンの懐かしい車体)でスカートを切り、むき出しになった下着をつけていって見る男、定年を過ぎた60過ぎの男が近所の主婦の行水を覗く、連れ込み旅館の鏡の裏からレズビアンの行為を覗く。 後半になって医者が団地の女性の部屋を覗く、そしてこの医者が下着泥棒が趣味。下着泥棒っていうから干してある下着を盗むのかと思ったら、蚊帳の中で寝ている夫婦(蚊帳ってのが今はないが)の蚊帳をめくって蚊を中に入れる。 蚊に刺されて脱いだ下着を盗むのかと思ったら、もっと手口は込んでいて、蚊に刺されて亭主が起きる、妻の寝姿を見て一戦する、二人は寝る、そこで下着を抜き去る、という展開。恐れ入ります。 そしてある大学教授はセックスの最中に女性の性器にミミズを入れる。 びっくりしてのたうち回る女性を見てにやにや笑うこの男。そして夜の公園でカーセックスをしているカップルの車に開けた三角窓(懐かしいな、それ)から蛇を入れて驚く二人を見て楽しむ。 でもそれって痴漢かあ? 私は蛇は苦手なので、大いに気持ち悪かった。 ラストは夜の公園で外で青姦をしているカップルを覗く男。見つかったら周りに何人も同じようなのぞきがいたというオチ。 なんか楽しいピンク映画でした。 砲艦サンパブロ日時 2017年3月20日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 ロバート・ワイズ 製作 1967年(昭和42年) 1926年の中国。共産党軍と国民党軍が主導権を争っていたが、アメリカをはじめとする諸外国への排斥運動も大きい。 そんな中、ジェイク・ホルマン(スティーヴ・マックイーン)はサンパブロに機関兵として配属された。しかしこの艦はいつの間にか中国人なくしては動かない艦になっていた。そもそも残飯目当てでやってきた中国人の数を絞ったところ、彼らは水兵の召使いをするようになり、やがては艦に住み着くようになったというのだ。 正義感の強いホルマンはそんな状況が信じられない。機関室のボスになっていた男が機関の修理中に事故で死んだ。ホルマンは艦長から後任を育てるように命じられる。彼はポーハン(マコ岩松)という若い中国人に蒸気機関について基礎から教える。彼もそれに応えてくれたが、アメリカ排斥運動のあおりを受け、ポーハンは国民党軍に磔にされ拷問を受ける。 見かねたホルマンはポーハンの願いを聞き入れ射殺する。 艦の中ではトラブルメーカーになってしまったホルマンは艦の中で孤立していた。そんな彼と親しくしてくれたのはフレンチー(リチャード・アッテンボロー)だけだが、彼は酒場の中国人女性メイリーに一目惚れしてしまい、200ドルで身請けできると知り、お金を都合する。 しかし他の外国人が金をつり上げたことから喧嘩になり、フレンチーは強引にメイリーを連れ出してしまう。フレンチーはメイリーと結婚。しかし外国人排斥運動の影響で、サンパブロは身動きがとれなくなり上陸許可もなくなった。そんな中、無断で川を渡ってメイリーに会いに行くフレンチー。極寒の川を渡ったせいで彼は病気になり、やがて死んでいった。 南京でアメリカ人と中国人の間で衝突が起こった。戦争になることもあり得る。サンパブロのコリンズ艦長(リチャード・クレンナ)は上流の伝導所にいるアメリカ人を救出することを決意。そこにはホルマンと親しくなった女教師のシャーリー(キャンディス・バーゲン)もいた。 70年代にスティーブ・マックイーン作品を見始めた私としては彼のプロフィールに必ず記されている映画「砲艦サンパブロ」は耳になじんだ映画だった。あとこの作品の話題ではマコ岩松の名前をよく聞く。 二人ともこの映画でアカデミー賞にノミネートされたのだから(受賞はしていない)、代表作としてあげられるのだろう。 今回、マコ岩松について知識を持ちたかったので鑑賞。 借りる前にツタヤのレビューで「3時間もある映画で少々長い」という批評があったが、誠にその通り。 大した大きい事件もなく、はっきり言ってだらだら話が続く。3時間の映画だが、途中で飽きて中断したりしたから4時間以上かかって鑑賞した。 しかも目的のマコ岩松は前半(途中で休憩が入る)の最後で死んでしまい、物語からいなくなる。 マコ岩松目的で観ている私としてはますます観る気が失せた。 アメリカ人の戦前の中国に対する意識が見えるとかそういう政治的な色合いはあまり感じず、バーに売られた女とアメリカ水兵の純愛とか、シャーリーに対するホルマンの「俺が君を守る」的な愛情とか、純愛に根ざしたドラマか。 とは言ってもラスト近くの川を上るサンパブロの前にロープを張った中国船が立ちふさがり、船の飛び乗って白兵戦の末にロープを切って船を航行可能にするあたりの先頭シーンは見応えがあった。 ロバート・ワイズは「サウンド・オブ・ミュージック」や「ウエストサイド物語」の成功で大作を任せられる監督だったのだろう。 でも私にとっては本作は成功作には見えなかった。 サバイバルファミリー日時 2017年3月18日21:45〜 場所 新宿ピカデリー・シアター10 監督 矢口史靖 鈴木家は義之(小日向文世)と光恵(深津絵里)の夫婦に大学生の賢司(泉澤祐希)と高校生の結衣(葵わかな)の4人家族。ある日彼らの住む東京は電気がまったく使えなくなった。停電ではない。電気で作動するものがすべてストップしたのだ。だから電池で動くもの手回し発電式のライトも使えない。 とりあえず会社や学校に行く義之たち。しかし一向に改善される気配はないし、何しろ情報が入らない。迷ったあげく羽田まで自転車で行って飛行機に乗り光恵の実家の鹿児島に行くことに。だが羽田に行ったものの飛行機は飛んでいない。仕方なく自転車で東名高速を通って西を目指す。野宿する中大阪では電気がきているという噂を聞く。 しかし大阪についてもやっぱり電気はなかった。日本中がこうなのだ。さらに西を目指すうち、岡山で養豚をしている田中(大地康雄)と知り合う。 「あんたらがいてくれると何かと助かるからよかったらこのままいてほしい」という田中の好意はありがたかったが、やはり一家は鹿児島を目指すことに。 しかし途中で川を渡るときに義之だけ流されてしまう。 矢口監督最新作。 この映画、よっぽどスルーしようかどうしようか迷ったのだが、やっぱりせっかくだから観ることにした。「電気がなくなった社会で一家がサバイバルする話」って今更感がありませんか? SFパニック映画ではそれはよくある題材だし、予告編で「電気が止まって混乱している駅」「父親が川の水を飲んで下痢をした」とかのシーンを観てしまったので、もうこれで十分、っていう気になったのだな。 映画を見ていても先が少し読めて、羽田から西を目指して道に迷ったときに「なんで東名に乗らないんだろう」と思ったら、東名に乗るシーンになったし、ラストで義之が倒れているときに機関車を見かける、そこで・・・というカットで「あ、前に出てきた発煙筒出すのかな?」と思ったらやっぱりそうだった。 それに危機に直面して家族が一つになる、というラストもなんだか見飽きた感じでやっぱり観なくてもよかった、と思った。 でも人がいなくなった道とかサービスエリアとかエキストラの数も多く、その点はすばらしい。でも去年大泉洋の「アイアムアヒーロー」でも観たけど。 最低映画とも思わないけど、観なくてもいい映画だったな。 しかしサバイバル用に(東京大地震はやってきても不思議はない)自転車とか火打ち石は買っておいたほうがいいかと真剣に思ってAmazon(!)を検索してしまった。 思ったより安いので買っておこうか。 3月のライオン前編日時 2017年3月18日18:00〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン5 監督 大友啓史 桐山零(神木隆之介)は9歳の時に交通事故で両親と妹を亡くし、独りぼっちになった。父の友人でプロ棋士の幸田(豊川悦司)に育てられた。 15歳でプロ棋士になり高校生になった今は幸田家を出て隅田川のほとりのマンションで一人暮らしをしていた。 零は幸田と対局し、幸田を負かした。幸田にとって重要な勝負で勝ったことに零は罪悪感にかられる。先輩に連れて行ってもらったバーで飲めないお酒を飲む零。その晩、酔いつぶれて倒れているところを川本あかり(倉科カナ)に介抱される。そこから川本家の三姉妹、あかり、ひなた、モモとの交流が始まる。零を暖かく迎えてくれる川本家は零にとって暖かい存在だったが、遠慮から距離を取っていた。 幸田の娘で義理の姉にあたる香子(有村架純)が訪ねてきた。棋士の娘で彼女も幼い頃から将棋を指し、プロを目指していたが、零の方が強くなったために父からプロを目指すのを諦めさせられたのだった。そのことがきっかけで居づらくなった零は香田家を出たのだ。 正月、川本家と初詣に行った零は香子を出くわす。彼女は棋士の後藤(伊藤英明)と付き合っていたが、後藤には妻があり不倫の関係だった。 零は後藤や香子に付き合うのをやめるように言う。だが後藤は拒否する。 零は「対局で後藤さんに僕が勝ったら付き合うのを止めてください」 その日から零は後藤のかつての対局を研究し始める。しかし後藤と対局する前に島田(佐々木蔵之介)を倒さねばならないことを零は軽んじていた。 神木隆之介主演映画。神木君の主演映画を観るのは「バクマン」以来かな?(去年の「トゥヤングトゥダイ」(表記はあっているか?)は予告を観て余りにもぶっ飛んだクドカンワールドについていけなかったので未見) 将棋を素材にした映画は昨年「聖の青春」があったので二番煎じを感じないわけではないが、もう偶然と思うしかない。それだけ将棋に関心が集まってる証拠か。 まだ途中なので全体の感想は言えないのだが、今のところ神木隆之介の圧倒的な存在感である。彼以外ではこの企画は成り立たない、とまで言える。 山崎賢人や福士蒼汰ももちろんいい俳優だが、それとは違った魅力がある。 そして何度も行われる対局。自分が勝つことによって相手を不幸にしてしまう現実を目の当たりにする零。とくに「負けると酒乱になって離婚をする」安井との対決は観ていて心を打たれる。 勝負が終わったあと、「ここをこうすればよかったかも?」という零に「そう、君には見えていたんだね。でも俺には見えなかった」というシーン、クリスマスプレゼントの袋をちぎれそうになっていく後ろ姿の安井、そのあと「勝つしかなかったんだよ、俺には!」と慟哭の叫びをあげる零。前半の見せ場である。 そして勝ち進んできた零は島田との対局であせりを感じる。 島田を演じる佐々木蔵之介の迫力は満点である。しかし座って対局してるだけなのにどうやって演じる方は気迫を感じさせるのか?まことに不思議だ。 そして島田は後藤に勝ち、天才宗谷(加瀬亮)との対決。島田が負けたとき、そのテレビ解説をしていた零が「こうすれば」と一手を示す。 島田が負けを認めたあと、宗谷が「ここに打たれたら負けてました」と示し立てが零と同じ手。零の天才ぶりが現れ今後の展開を期待させる対局だった。 今回有村架純が零の義理の姉で、愛憎する役なのだが、どうにもその存在が浮いている。演技しすぎてるのかな。彼女と神木の格の違いを感じさせた。 後編の予告が最後にあったが、川本家の三姉妹の父親が出てきたり、家族の問題が中心になりそう。ちょっと不安も感じるが楽しみだ。 チア☆ダン女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話 日時 2017年3月17日18:55〜 場所 新宿ピカデリー・シアター8 監督 河合勇人 福井中央高校に進学したひかり(広瀬すず)は迷わずチアダンス部に入部した。それは中学の頃からのあこがれの男子、サッカー部の孝介(真剣佑)を応援したいという単純な気持ちだった。 しかし先輩はやる気が全くなく、顧問の早乙女先生(天海祐希)は「おでこ全開!、恋愛禁止!」そして「野球が甲子園、ラグビーが花園なら、チアダンスは全米制覇を目指す!」を無茶なことをいう。 しかもすずは体も硬く、決して誉められないレベル。あまりの厳しさに根を上げて退部を考えるが、チアダンス経験者で部長の彩乃(中条あやみ)の「一度全部踊ってみよう。そうすればチアダンスの良さがわかるから」の言葉にほだされ続けることに。 4校しか出場のない福井県大会では途中でフォーメーションが崩れてしまい、さんざんな結果で終わった。この件でみなやる気をなくし、一度は部は崩壊しかけたが、ひかりと彩乃のがんばりで「あたしはバレエの頂点を目指す。あなたたちのような低レベルの人とはやってられない」という麗華を除いてみんな復帰した。 翌年の大会では福井県優勝、全国大会まで行ったが敗退。いよいよひかりたちも3年生となり、最後のチャンスになった。 広瀬すず主演。最近の一番お気に入りの女優は広瀬すずなので、彼女が 主演なら無条件で見る。 「ちはやふる」に引き続き、弱小部活ものだ。最近この部活動ものは大流行で、今月公開の「ハルチカ」もそうだ。 前半の部員集めのあたりで、やたら効果音や音楽を多用して、映画というよりバラエティ番組の演出でちょっとうるさい。 監督はテレビ版の「黒崎くんの言いなりになんてならない」の方。 ふん、確かにこういうバラエティっぽいのがこの方のスタイルなんだな。 で、最初の大会のシーンでダンスが失敗するのだが、それ以降の2年の福井県大会とか全国大会とかダンスのシーンがなく、結果だけなのだよ。 で、最後のアメリカに行くまでダンスシーンがない。 これはないと思う。 彼女たちが頑張ってダンスをするシーンがみたいのだから(それこそ怪獣映画の決戦シーンみたいなものだ)、ドラマばかりが続くとフラストレーションが溜まる。 んで最後のアメリカ大会のシーンでは先生とかアナウンサーとか、福井で中継を見ている学生とかのインサートが多すぎ。 せっかくのダンスシーンが細切れで、すごく興ざめである。 出演者の女優たちも頑張ったのだろうから、そこは一曲きちんと見せてほしかったなあ。 それとも数曲踊れるほどの実力には至ってなかったのか? まあ確かに数ヶ月の練習で世界優勝レベルになるのは無理かも知れんけど、それはどんなスポーツもの、音楽ものでも一緒だろう。 でもアメリカ大会で最後のダンスの時は「ひかりがセンター」と言われたときは思わず涙が出た。そうです、主人公が最後に華を持たなきゃいけません。その点「ハルチカ」はだめです。 あと文句を言えば早乙女先生がよくわからない。高校教師でベンツに乗ってるってどんな人?あと自身はチアダンスの経験とかあるの? 最後の最後にすずから批判されるけど、どうにもこの先生はキャラクターがよくわからない。 出演者。やっぱり広瀬すずは華がある。彼女は平成の(あるいは21世紀の)吉永小百合ですよ。その位の女優さんです。 部長の彩乃役が私は映画を見てる間、小松菜奈だと思っていたら、クレジットを見ても名前がない。パンフレットを見たら「セトウツミ」に出てた方だったんですね。 あと一人でヒップホップを踊っていて笑顔がぎこちない彼女。東宝シンデレラの山崎紘菜です。よく覚えました。 アメリカまで部活の遠征で行ったらご両親はお金が大変だったろうなあとか余計なことを考えた。夢のないおじさんです、私は。 シネマHOMOパラダイス日時 2017年3月11日12:20〜 場所 光音座1 監督 山本竜二 製作 ENK ピンク映画の男優、山本竜二は京都のホモ映画館、シネフレンズ西陣にやってきた。実は山本は隠れホモで女より男の方が好きなのだ。 チケットを買って中に入るとロビーのお客さん達が「俺、山本竜二って好きだな」「ホモ映画の出演者って実はノンケなんだよ」などと会話している。それを聞いた山本は見つかるのを恐れてトイレへ。 そこでは男同士がお互いのモノをしごきあっていて、山本もそれに参加! 二人から顔にぶっかけられた後、山本は客席へ。そこで見つけたのは美少年、佐賀照彦!佐賀に「おじさんの大きい?」と聞かれて触らせる。佐賀は喜んでしゃぶり出す。「ゆっくり出来るところに行こう」と言われて地下の休憩室で。この映画館には休憩所でベッドもあるのだ。 一戦終わってロビーに戻るとある男が「池島ゆたかさんでしょ」と言われている。確かに先輩男優の池島ゆたかだ。 実は池島ゆたかも隠れホモで今日は知り合った恋人(山口健〜たぶん)とやってきたのだ。 池島と恋人は2階の客席で絡み合う。 山本と池島がトイレに行ってみると個室に学生服の美少年が。池島が二人で入ると実はそれは池島の妻(五代響子)だった! 落ち込む池島だが、佐賀照彦の青年に「隠れホモなんてやめようよ。ホモはホモで堂々としよう!」と励まされ、池島、山本、佐賀の3人で劇場のステージ場で絡む。 ポスターには「ENKプロモーション10周年記念映画」とある。 ENKがゲイピンクを作り始めたのが1983年。だからこの映画は1993年の映画。当時は今よりゲイピンク映画館も多くてシネフレンズ西陣もその一つ。シネフレンズ西陣ロケの宣伝映画の面もある。 1度か2度行ったことがある。阪急四条大宮駅からバスに乗って10分ぐらいだったか。よく知らない土地だからバスに乗っていったけど、実は歩いても大したことのない距離だったのかも知れない。 2階席があったことは覚えている。結構傾斜がきつかった気がするなあ。 トイレはどこのホモ映画館でも発展場だったけど、地下の休憩所は覚えていない。しかしこの映画の中で「地下休憩所もどうぞ」という手書きのポスターが貼ってあるから映画中に出てくるベッドはなかったかも知れないが、何らかの休憩所はあったのだろう。 山本が映画館に入るとき、テケツにおじさんが座っているので「大人一枚」というのだが、おじさんは「チケットはあちらで」と自動券売機を指さす。ここで1000円札がうまく認識されなくて何度も戻ってくるのだが、ここでスキンヘッドの異様な男(家入淳)登場。この男は何度も登場するが、最後は女装姿で登場する。 チケットを買った山本にテケツがじゃなくてモギリのおじさんは「お客さん初めてだよね。シネフレンズ西陣、覚えてね〜」とプロモーション映画と化している。 ストーリーに書いたように映画館の紹介と発展場としての利用方法も説明。良く出来たプロモーション映画で楽しい。 山本がトイレを出て劇場に入ったときに「すごい混んでる。立ち見じゃないか!」と驚くが、かき分けてみるといす席はガラガラ。みなさん立ってる方が発展しやすいという訳。 とにかく「ホモ映画館の利用方法」を解説した入門書映画として最適な映画。なんか楽しかった。もう1回見てもいいな。 天使のめざめ日時 2017年3月11日11:10〜 場所 光音座1 監督 新倉直人 製作 OP映画 3人の若者が「ライフアシスタント募集」の広告につられて面接にやってきた。1日10万円3日間で30万円の仕事だという。3人とも合格。面接したのはサナダ(坂入正三)という男。 仕事はあるバスツアーの旅行でのお客さんの接待。大雪の降った日、バスはサナダが言うには「さる大企業の社長さん」を乗せて出発! 3人の若者はメリー、ローラ、ソフィーと名付けられ、パンツ1枚に肩からヒョウ柄の布切れをかけただけという半裸の姿で社長さんを接待。 ローラが飲み物をこぼしたしまったのでバスにあるシャワーを浴びたのだがなぜか社長も入ってくる。 翌朝、ソフィーは逃げ出そうとしたがサナダに捕まってしまう。そして「社長さんのいうことを聞けば月100万円のお手当とか就職とか面倒見てくれるよ」と言われ、あっさり戻る。さらに雪の中でサナダと社長とソフィーで3P。 それを見ていたメリーは自分も!と思って車に返ってきた社長に猛接待。 新倉直人はピンク映画の創世記からの監督、小林悟の別名義。小林監督作品の時も思うけど、基本的に男の裸には興味がない(というか撮りたくない)だろうなあ、という気がしてしまう。 基本的に絡みでは男は全裸にならなくて、着衣したまま下半身だけを出して結合させる、というシーンが多いのだな。だか見ていてちっとも面白くない。 それにしてもこの映画、雪のシーンが多い。 トップの面接シーンではどこかのバーだからいいけど、その次のツアーの出発シーンで(新宿西口の京王プラザホテル付近)もう雪。東京でもあれだけの雪が降るのは数年に一度ぐらいだろう。 雪でいやだったとは思うけどもうスケジュールが決まっていたので変更出来ずに撮った感が伝わってくる。 雪は別にストーリーには関係ないならほんとに偶然雪が降ったのだろう。 バス(というよりキャンピングカーか)の中では半裸でもいいだろうが、次の外でのレイプ(風)のシーンでは雪の中を裸である。夏に見たら涼しく感じたかも知れないが、今はまだ寒い3月上旬。 見てるこっちも寒くなり、役者さんの苦労を感じた。 その後もサファリパークに行ってキリンやライオンのいる中を車が走っていくのだが、動物も寒かろう。とにかく映画の内容とは関係なく、雪の寒さが伝わってくる。こういう映画も珍しい。 話の方は車がロードサイドのレストランに停まって、「3人ともよかったよ、はいボーナス。レストランで好きなもの食べてて。あとで社長と行くから」と袋を渡されて喜んでレストランに入る3人。ところがバスはそのまま行ってしまう、というオチ。食事を終えた3人が駐車場にやってくると車はいない、袋を見てみたら新聞紙が入っているだけ。 坂入正三が演じてるだけでいかにも怪しいのでこういうオチは想像できるというかお決まりのオチ。 社長とサナダはバスの中でいちゃいちゃして「安く済んだね〜」と喜んでいる。3人は金も無いはずなのにどうやって帰ったか疑問なのだが、最初面接したバーに行き、「ああ、あの日は店を貸しただけ」と言われ、バスを見つけて「これはレンタカーだから解らないよ」と言われて途方に暮れるというラスト。 3人は今回のバイトで男に目覚めてしまうので、「天使のめざめ」(天使というのは散々サナダに「あなたたちは病院でいえば看護婦、天使なのよ」と言われているから) 「安易に金は儲からない」というピンク映画にありがちなラストでした。 レッド・サン日時 2017年3月5日 場所 blu-ray 監督 テレンス・ヤング 製作 1971年(昭和46年) 1870年のアメリカ西部。日本の使節団を乗せた列車が東部ワシントンを目指して走っていた。それをリンク(チャールズ・ブロンソン)とゴーシュ(アラン・ドロン)をリーダーとする強盗団が襲った。 日本の使節団は金はもちろん、大統領に献上する宝刀を奪われてしまった。しかしゴーシュがリンクを裏切りダイナマイトで殺そうとした。 一命をとりとめたリンク。日本の使節団の坂口(中村哲)は「どうやら敵は同じなようだな。黒田(三船敏郎)を連れて刀を取り戻してくれ」と命じる。反発したリンクだったが、仕方なく二人でまずは徒歩でゴーシュたちを追う。 リンクと黒田はゴーシュの部下と遭遇。彼らが持っていた馬を奪って追いかけ始める。リンクはゴーシュが女の元に現れると思い、ゴーシュに惚れてる娼婦のクリスティーナ(ウルスラ・アンドレス)の元へ。 ゴーシュはいなかったが、彼の部下に「女が惜しかったら教会へ来い」という。 その教会に行ってみるとリンク、黒田、クリスティーナ。しかしそこはコマンチ族に襲撃を受けていた。ゴーシュは現れたが、コマンチ族も迫ってくる! 劇場では観たことがないが、昔テレビの洋画劇場でやっていたのを2回ぐらい観たことがある。やっぱり三船敏郎が世界のチャールズ・ブロンソンやアラン・ドロンを相手に貫禄十分に対等に演じていたのがよかったのだろう。 今でこそチャールズ・ブロンソンもアラン・ドロンも人気はないけど、70年代当時はフランス、アメリカを代表するスターだった。 そこへ三船が絡む。アロン・ドロンはキーとなる役だが、出演シーンからすると二人に比べれば少ない。しかし二枚目で非情な悪人で、いわゆる「おいしい役」である。 三船もブロンソンに一歩も引いていない。むしろ日本人からするとこっちの方がいい役に見える。 三船以外の役者が演じていたら、大いに違った印象になったと思う。 ガンマンをばっさばっさと斬りまくり、手裏剣で倒すわ、最後には弓で戦うで大活躍である。 侍の描き方も比較的まともでそれほど違和感はない。 話は西部のならず者ガンマンと日本の侍が反発しながらも最後は侍を認めるという展開。日本人には受けるよね。 でも始まって列車襲撃のあたりはテンポも軽快でよいのだが、リンクと黒田が二人で追いかけ始めるあたりは似たような展開が多く、やや話が々になってしまい、ちょっと惜しい。 途中、娼婦館によりクリスティーナを捕まえるのだが、そこでリンクと黒田も一泊。黒田も女を紹介され、断るかと思ったらちゃっかり風呂に入って体を洗わせてその後夜を過ごしたらしい。女が服を脱いでオッパイを見せたところでフェードアウトで翌朝になる。 日本の侍もやることはやっている、という描き方か。 細かいところには若干気になるが、日本の侍をここまで持ち上げてくれるとうれしくなる。 リンクが刀を届けると捕まってしまうので、どうやって刀を返したか、のラストが粋なカットで終わる。 監督は007シリーズのテレンス・ヤング。出演のウルスラ・アンドレスは初代ボンドガール。 テレンス・ヤングにとって007に次ぐ快作だと思う。 彼らが本気で編むときは、日時 2017年3月4日16:35〜 場所 新宿ピカデリー・シアター8 監督 荻上直子 11歳のトモ(柿原りんか)は母親のヒロミと二人暮らし。しかしヒロミは男に熱を上げ、トモを放り出して男の元に行ってしまう。以前にも同じような事があり、ヒロミの弟のマキオ(桐谷健太)を頼る。 しばらくはマキオの家に暮らすことになるが、マキオはリンコ(生田斗真)という女性と同棲していた。リンコは実はトランスジェンダー。 性同一障害で生まれたときは男だったが、今は手術して女性になっていた。 リンコは介護士をしていたが、マキオの母(りりィ)を介護してもらっている縁でマキオと知り合ったのだ。マキオはリンコが母の介護をする姿が美しくて一目惚れしたという。 リンコはキャラ弁を作ってくれ、その優しい人柄にトモも惹かれていく。 トモにはカイという同級生がいたが、彼は先輩の男の子の大野君に恋心を抱いてた。ある日、トモとリンコがスーパーで買い物をしている所をトモの母親のナオミ(小池栄子)に見られてしまう。ナオミは「大丈夫?あんな変な人に関わらない方がいいわよ。何ならうちにいらっしゃい」と誘ってくれたが、リンコを悪く言われたトモはナオミに洗剤をかけてしまう。 いい映画だと思う。 LGBTの問題を真正面からとらえ、堂々としている。 今年の映画の賞のいくつかを取るかも知れない。それもあり得る。 しかし私は映画を見ながら終始違和感から逃れることは出来なかった。 主人公のリンコに生田斗真を当てた事である。 生田斗真のような美形だから彼が女装しても「案外きれいだね」と観客は納得する。 しかし生田斗真とは全く違う、特にイケメンでもない30歳ぐらいの俳優が演じていたら感じ方やLGBTに対する考えも変わってしまったのではないだろうか? 「BLものは美少年や美青年だから許せるのであって普通のおっさんがホモは許せない」的な意見を見たことがある。結局は見た目なのだ。 だからこの映画を見ただけで「LGBTに対する理解が深まりました。同じ人間として受け入れて対等に接するべきだと思います」などと安易に言う人には「その覚悟、本当か?」と問いたくなる。 また自分の家族がLGBTでも受け入れられるだろうか? 「一般論ではLGBTは認めるが、自分の家族にはいてほしくない」と思ったりしないのだろうか? この映画を評価する人がいたらその点を問いただしたい。 そういう意味では小池栄子演じる「LGBTに理解のない、異物としか見ない主婦」の方が遙かに正直で好感が持てる。テレビこそ「おネエタレント」でゲイバーにいる色物芸人のような人々が「LGBTの代表」のような印象を与えていないか? あとリンコさんは母親が理解があったから最初の関門を突破できたけど、ここが突破出来ない人も多いと思う。 この映画で言えば小池栄子の息子役の少年だ。 リンコを描くことに終始したが、是非小池栄子の主婦とリンコの直接対決を見たかった。 その辺は逃げたのか、それとも「トモは母親の元に戻るか否か」という「親子の問題」が話の本題で描くつもりは無かったかそのあたりは不明だが、まあ私にはきれいごとの一般論を言って逃げたような気がしてならなかった。 厳しいことを言うけど、私の本音。 ハルチカ日時 2017年3月4日14:00〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン11 監督 市井昌秀 穂村千夏(橋本環奈)は中学時代はバレーボールをしていたが、高校に入学したら吹奏楽をやろうと思い、フルートまで買っていた。ところが入学した清水北高校の吹奏楽部は部員の減少で今年から廃部が決定。 納得できないチカは校長(志賀廣太郎)に談判、4月30日までに最低人数の9人が集まったら部を存続させると約束させる。 翌日から部員集めに奔走するチカ。まずは廃部になる前の先輩部員に当たるが、部員たちが減ったには何か理由がありそうでみんな冷たい。そんな中、かつての幼なじみの上条春太(佐藤勝利)と再会。彼が中学時代にホルン経験者と知ると強制的に入部させる。 二人の頑張りを見て元部長の片桐(前田航基)や二階堂(野口わかば)も参加してくれた。片桐やハルタが校門で楽器の生演奏をしてくれことで入部希望者も現れ始めた。 あと一人でなんとかなる。片桐はパーカッションの檜山界雄が必要だという。しかし彼は不登校になっていた。 Sexy Zoneの佐藤勝利映画初出演にして初主演。めでたいことである。楽しみにしていた。映画を完全に楽しもうと(かなり違っているとは聞いていたが)原作シリーズ5巻、及び番外編1巻も前日までにすべて読んだ。 原作ではハルタはゲイであり(今のところ、顧問の草壁先生に恋してるだけで告白はしていないため将来もゲイであり続けるか不明だが)、チカも草壁先生に恋していて先生を挟んで三角関係にある。ただし先生は二人の気持ちを知らない(少なくとも告白は受けていない)ので、表面上は何もない。まだ原作は学園で起こった事件(といっても殺人とか盗難とか警察が絡むレベルではない謎)を頭脳明晰なハルタが解決していく連作短編。 これはそのままでは映画になりにくいなあと思うが、映画ではハルタがゲイでは無くなり、事件もない。ハルタとチカも「友達以上恋人未満」の関係でキスとかそういうのなし。 廃部寸前の部を再生する話になっている。また草壁先生も本来ならもっと大舞台で活躍する人材なのだが、「なぜ地方の特に優秀でもない高校の音楽教師になったか」がシリーズを通じての謎になっているが、それも省かれた。(もっとも原作もまだ完結しておらず、この件の謎は未だに解決されていない。あの2、3冊で終わるであろう原作は今後も読み続けたい) だから映画と原作は別物で、映画を楽しむには原作は読んでおく必要はないし、むしろ妨げにすらなる。 連作短編だからテレビの連続ドラマには成り得るが。 前半はこういった作品のおきまりのメンバー集め。「七人の侍」から始まる映画のセオリーである。 特に最後の界雄を勧誘するところなど、「上を向いて歩こう」を演奏しそれで心を動かすあたりはさわやかな感動がある。「やっぱり小説では音は聞こえないが、映画は音を聞かせることが出来、この点は有利だなあ」と映画になった喜びすら感じた。 またそれに続くメンバーがそろったことでのイメージのミュージカルシーンも(すこし稚拙だなとは思ったが)快調である。 ここまでは十分よかったのだが、後半は私は失速すると思った。 主人公のチカが未熟で(言い方を変えればヘタ)で皆の足を引っ張るのだ。 合奏のシーンはうまく行ってるが、チカのフルートのソロパートになるとチカがミス連発で止まってしまうのだ。 さすがにみんなもいらだつ。生徒によってはパートの変更やチカのソロパートの編曲の変更を草壁先生に依頼するが、すべて却下。 この後チカをのぞくメンバーが今後のことを話すシーンなどかなりのフィクスの画面で長回しなど大胆な演出をする。 見ていて痛々しくなった。 そしてやっと吹けるようになり、いよいよ大会。 ここでみんな白いブレザーに蝶ネクタイという正装で挑んだにも関わらず、チカのソロパートでチカがミスるのである。 しかもここでスローモーションにするとかメンバーの驚きのリアクションを数カットつなぐというようなありがちな演出はなく、割とあっさり終わり、通常の学校のシーンとなる。 正直、何が起こったのかよく理解できず、「あれ、ミスったの?」となんか腑に落ちないまま映画は(勝手に)進行していく。 そりゃ今までの映画ならメンバーの一人がミス連発しても主人公がカバーしてその子を出来るようにして大会で成功して大団円、とかメンバーの一人が練習に来なくなり、家庭の事情があっての事だがみんなでその問題を解決して練習に復帰させる、というのがパターンなので、それとは違う展開にしたかったという監督の気持ちはよくわかる。 しかしこういった青春映画ではパターンでもよかったのでは? 「男はつらいよ」だってマンネリでもデティールの違いを楽しむのだ。 いくら変えたいからと言って寅さんが殺人事件の容疑者にされたり、反原発運動に参加しても観客は楽しめるだろうか? 「いままでと違うことをしたい」というのは解るが、変えすぎは返ってよくないのでは? もっともこの「ハルチカ」のこの後の展開はチカが落ち込んで部活に来なくなったので、授業中にハルタをはじめとしてメンバーが演奏を始め、チカもやる気を取り戻す、という青春映画らしい展開なので、ホッとはするけど。 しかし野球部出身で喧嘩っ早いメンバーとかいつも寝てばかりいるような先輩とか個性的なキャラクターが多いが、その個性が生かされてない。 時間的な問題もあるかも知れないが、ここは整理が必要だと思う。 残念で惜しい。 またチカはまだ1年生でこれから高校生活は続くのだから、映画としての着地点がない。続きがあるよう気がしてならない。 この点ももう一つな感じが残った。 やっぱり音楽はみんなの気分を高揚させるものがある。 原作では味わえなかった部分を補えてそこは映画ならではの醍醐味はあった。 肝心の佐藤勝利だが、まだまだ演技が固い。 役者として経験を積んでいってほしいと思う。 (3月18日13:20〜TOHOシネマズ新宿・スクリーン12で再鑑賞) |