点と線 | 君にあえたら 妻の恋人 | 契約結婚 | |
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 | ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦 |
従軍慰安婦 | アナタハン |
女ゆうれい 美乳の怨み |
若妻乱熟 スワップでいきまくり | 巨乳奥様 エッチで御免なさい |
天保水滸伝 |
太平洋の地獄 | デッドライン 〜島唄よ響け、男たちの魂に〜 |
心が叫びたがってるんだ。 | 銀魂 |
点と線日時 2017年8月31日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 小林恒夫 製作 昭和33年(1958年) 福岡県の香椎海岸で男と女が青酸カリを飲んで死んでいるのが発見された。男は産工省課長補佐の佐山、女は赤坂の料理屋の女中のおときだった。状況から心中と判断されたが、地元警察の刑事、鳥飼(加藤嘉)は男の遺留品の中の列車食堂の領収書が「おひとり様」になっているのが気になった。心中するような仲の二人が男だけ食事をすることがあるだろうか? そんな時、警視庁の三原警部補(南廣)が鳥飼を訪ねてきた。産工省は今汚職事件で揺れていて、佐山の死によってうやむやにされた。石山(三島雅夫)という部長は釈放されたのだ。この事件は殺しに違いない。三原はそう確信する。 佐山とおときが東京駅で博多行きの急行に乗るのを見たとおときの同僚が証言した。詳しく訊くと安田(山形勲)という常連客と食事に行って、鎌倉に行く安田が東京駅まで送ってほしいと言われたときにおときと佐山を見かけたという。 果たして偶然だろうか?安田がすべて仕組んでるのでは?しかし事件の会った翌日、安田は北海道に出張していた! 松本清張原作の有名な「点と線」の映画化。原作は小学生の時に読んでいる。これが初めて読んだ大人の小説ではなかったか?それまではシャーロック・ホームズのジュニア版とか、ポプラ社の江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズしか読んだことがなかった。 ちゃんと理解して読んでいたから、なかなか昔は頭が良かったようである。 で、映画版の本作はたぶん高校生ぐらいテレビで観ている。日曜日の午後3時ぐらいから放送されたのを観た覚えがあるのだ。だから今回は30数年ぶりの鑑賞だ。 主役の南廣は「マイティジャック」でおなじみだったのだが、さっぱり面白くなかった。 今観てもその印象は全く変わらなかった。 まず小説の内容を説明するだけで、終わってしまう。 原作では鉄壁のアリバイを崩そうと手かがりを見つけても見つけてもさらに壁が立ちはだかる、というアリバイ崩しの楽しさがあったが、もうただただ説明するだけである。 上映時間が85分と短いので説明的にならざるを得ないが、それにしてももう少しなんとかなったのではないか? 飛行機を思いつくのが駅で飛行機の広告を見たから、というのもなんだかもう一つだが、青函連絡船の乗船名簿に安田の名前があった、飛行機の乗客はすべてその便に乗った、と証言するのをどう崩すかという楽しみ、間、がないのだよ。あれあれ、と説明されて終わり。これはないやな。 またとにかく南廣が下手。「新人」と出るからデビュー当時なのかも知れないが、それにしても、という感じだ。 そしてキャラが直情径行過ぎる。 札幌で安田と会ったという人から聞き込みをしている最中に「安田と会った」と聞いた途端に機嫌が悪くなって席を立つとか、わがまますぎだよ。 一緒に行った先輩だけど階級は下(三原は警部補)の刑事が証言者に「すいません」と謝ってるぐらいだ。 また産工省の役人(増田順二)が安田のアリバイを補完してきて、「お前は嘘をついてまで出世したいか」と怒鳴りつけて、上司の係長(志村喬)に「おいおい」とたしなめられている。 これじゃ見ていて呆れるよ。 それに比べて「砂の器」は新しい事実が出てきてもなかなか真相にたどり着かないもどかしさが楽しかったが、そういうのなし。 高校生の頃に見て「話がはしょりすぎ」と思ったけどその感想は変わらない。でも小説のほう、40年以上前に一度読んだきりなのだが割と細部まで覚えている。そのことにちょっと驚いた。 君にあえたら 妻の恋人日時 2017年8月27日13:30〜 場所 ユーロライブ渋谷 監督 森川圭 看護師の美咲(階戸瑠李)は日本が舞台の韓流ドラマ「兄の女」の大ファン。韓国人の兄インソン(ミン・ドンユン)の日本人恋人を、弟チェソン(チェ・ミンホ)が好きになってしまう恋愛ドラマだ。 病院の入院患者から前編を借りて何度も観ている。 そんな時、美咲の夫・浩太郎(川瀬陽太)が会社をクビになってきたという。ある朝、車にひかれそうになる美咲。 そのときからどこかおかしくなった。 暇な浩太郎は公園で悩んでいる韓国人インソンと出会う。二人は意気投合してお好み焼き屋で飲む。浩太郎に呼ばれて行った美咲はその韓国人が「兄の女」の兄の方だと知って驚く。 「兄の女」が近くの公園でロケされてると知った美咲は浩太郎と二人で夜にその公園へ。公園では熱烈なキスをするカップルを観る。 ところが家に帰って「兄の女」のDVDを観ると、さっきのカップルがキスしているではないか?さらに自分たちも写っている? 美咲はインソンの後を付けてあるバーに行くとそこにはチェソンがいた。 インソンは「弟に恋人を寝取られる男なっていやだ。俺たちで話を変えよう」と浩太郎に持ちかける。 「大人のラブシネマ」の韓国との合作のもう1本。 日本では固定ファンを持つ韓流ドラマをモチーフにした作品。森川監督が何本かシナリオを書いてもなかなか決まらなかったのだが、ウッディ・アレンの「カイロ紫のバラ」(未見)をヒントに話を作り、いまおか監督が脚本に手を入れた共同脚本。 ドラマのファンがいつの間にかドラマの世界に入り込んでしまってドラマの登場人物の悩みに触れてしまう、っていうSFファンタジーのような恋愛ドラマ。 韓流ドラマをモチーフにしてこういう話が出来るものかと感心する。ただし訳わかんない不条理ドラマにもなってしまっているが。 元ネタになっている「カイロ紫のバラ」も観てみたい。 インソンは浩太郎をドラマに引き込んでチェソンがふられて、自分がいい役になろうと画策。しかし日本人の恋人役に「あたしと組まない?」と言われて最後に浩太郎と彼女が出来てしまい、やっぱりインソンはふられてしまう展開に。 チェソンは美咲と恋に陥ってしまうのだが、最後は結局、冒頭のように車に引かれそうになって現実に戻る、というオチ。 90分ぐらいと思っていたので、70分を越えたあたりで現実に戻ったので、「あと20分どうするのか?」と思っていたら終わったので、「えっ」と思ってしまった。まあ上映時間を勝手に勘違いしていた私が悪いんですが。 あと川瀬陽太が相変わらずの好演。 DVDになったらもう一度見直してたい。 アイデアは素晴らしかったと思います。 契約結婚日時 2017年8月27日11:00〜 場所 ユーロライブ渋谷 監督 いまおかしんじ 日本に不法滞在しているジンイル(チェ・ミンホ)は入国管理局の手入れを受けてアパートから裸で逃走する。家出している亜希(小田飛鳥)と理恵(さくらゆら)は移動キャバクラと称して町でおじさんに声をかけ、食事とお小遣いをもらっていた。 そんな時、亜希たちは知り合いの行政書士の佐伯(金すんら)から「韓国人のビザを取るために名義だけの結婚をしないか?50万の収入だ」と持ちかけられる。 一旦は断った亜希たちだが、お金のために承知する。言葉も通じない二人だが、果たしてどうなる。 いまおかしんじ監督のレジェンダリー作品。「ラブ&エロス」と称してやってきたシリーズだが、今回は「大人のラブシネマ」。最初はテアトル新宿での上映だったが、シネマロサ、K's cinemaと劇場は小さくなっていき、今回は1日限りのイベント上映。もちろん後にDVDは発売される。 お客さんは4〜50人ぐらいであんまり入っていない。 しかも今回は韓流ブーム(というブームはもうないと思うが)に乗ったのか、韓国との合作。同時期に作られた「君にあえたら 妻の恋人」と同じ韓国人俳優を使っての2作品製作。 韓国で公開されるのかなあ?日本で女優だけでは商売にならんから、韓流ファンの女性を取り込もうとしているのか? 今回の作品、片岡修二が書いた脚本をベースにしていまおか監督が手をいれた形になってるらしい。 移動キャバクラのあたりがいまおか監督らしい。(これは本日の部隊挨拶で話していた) そして裸(パンツ1枚)でジンイルが逃げるあたりがいまおか監督らしい。(今度、櫻井拓也さんにも新宿をパンツ1枚で逃げて欲しいものだ) ところがこの後の展開がどうにも普通でいまおか監督らしさ、がない。 亜希とジンイルはそれなりにやっていくのだが、「事故物件だから家賃3万円」という部屋に二人で住む。 「お化けが出るような気がする」ということで亜希がジンイルと同じ部屋で寝るようになる所など、「ジンイルと亜希をくっつけるために、事故物件、お化けという要素を入れたな」という感じがした。 その後、ジンイルが韓国に残してきた恋人がやってきて一悶着。 入管の審査も係官やその恋人の目の前でキスしたりなどの努力があったものの、佐伯が捕まって結局ジンイルは強制送還。 理恵も男にだまされてデリヘルなどで働いていたが、そちらも終わって二人のコンビ復活、というエンド。 偽装で夫婦生活をするうちに愛が芽生えるようになるってどこかありきたりだし、それを覆す「いまおか節」も今回は封印されたし、とにかく風通の作品で「誰が撮っても似たような個性を感じない作品」という感じがした。 レジェンダリーだから、なかなか個性は出しにくかったのかも知れませんが。 まだ移動キャバクラの常連になる男で川瀬陽太が相変わらずの好演。榎本敏郎監督が亜希に声をかけられるが無視する男で内トラ出演。 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章日時 2017年8月26日19:10〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン8 監督 三池崇史 広瀬康一(神木隆之介)は2年連続で「住みたい街ナンバー1」と言われている杜王町に引っ越してきた。しかし3年連続は無理かも知れない。 この街では不思議な連続殺人事件が起こってた。康一は転校二日目にジョジョと呼ばれる東方杖助(山崎賢人)という同級生に会う。彼は不思議な力を持っているようだ。 ジョジョの祖父(國村隼)は街の警察官をしていて、この街の安全を守ることに熱心だった。 ある日、ジョジョは自分の甥に当たるという空条(伊勢谷友介)という男に出会う。彼の話ではジョジョはジョセフ・フォスターの息子で空条は孫に当たるというのだ。しかもこの一族は「スタンド」と言われる分身の形をした超能力を持っているのだ。 殺人事件の犯人は片桐(山田孝之)。片桐もまたスタンドを持つ男だったが、彼にその能力を与えたのが虹村兄弟(岡田将生、新田真剣佑)だ。 虹村兄弟とジョジョの対決が始まる。そして彼らの目的は何か? ワーナー、TBS製作のコミック原作映画。 「銀魂」で「途中で帰った奴は名前控えて『ジョ(ピー音)』を見せないからな」というギャグがあったけど、ああそうか、こっちもワーナーなのか。 「銀魂」は笑いのセンスが合わないな、と思ったが(バラエティ番組みたいなので)、こっちは「とにかく合ってない」というのが感想。 別に「銀魂」と比較する必要はないけど、「最近観た気に入らなかったコミック原作映画」という共通点があるので、つい比較してしまう。 まず予告とかビジュアルを観ていて感じていたのだが、山崎賢人のようなイケメンに変なリーゼントさせてどうするよ? 原作コミックの絵をちらっと観たけど、あれはヤンキー漫画のような感じでそれなりに違和感はない。しかしそれを山崎賢人にやらせるとはねえ。 こっちは「イケメン山崎賢人」にお金を払いたいのであって、こういうバラエティ番組のコントみたいな格好は観たくない。 ヒットしているという話も聞かないし、公開4週目になってTOHO新宿では1日1回の上映。新作が始まったりとかメイン客層の学生の夏休みも終わるとかいろいろ事情はあるだろうけど、予想ほどには入らなかったかな。 しかも長大なコミックの一部を映画化したのだが、それでも本作は完結していない。「第一章」だもんな。続き作られるのか? 小松菜奈なんて完全にこれから活躍しそうなキャラクターで終わっている。 そして最後の岡田将生との対決もなんだかだらだらと続いて、「まだ終わらないのか?」という気になる。 何でもかんでも山崎賢人でコミック映画化すればヒットする、という安易な思いこみで失敗した見本のような映画。 「○○が出演してるからヒットする」は今はないですよ。 「いい企画があってさらに○○が出演してるからヒットする」なんですから。いい加減に気付いて欲しい。 ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦日時 2017年8月26日15:45〜 場所 新宿武蔵野館3 監督 ショーン・エリス 1941年、チェコはイギリスなどから見捨てられ、ドイツに占領されてしまった。ロンドンにあるチェコ亡命政府は起死回生のためにチェコを支配するナチスのトップ、ハイドリヒ暗殺計画を建てる。ハイドリヒはナチスのナンバー3と言われる男で、その暗殺は重要だが、大きな報復も予想される。 そんな中、イギリス政府とチェコ亡命政府の命令でヨゼフ・ガブチーク(キリアン・マーフィ)とヤン・クビッシュ(ジェイミー・ドーナン)はプラハ近郊の森にパラシュートで降下した。地元の人に助けられたものの、懸賞金目当てなのかドイツ軍に通報されそうになったところを何とか脱出。 プラハに着いて予定のレジスタンス連絡要員に行ってみたが、すでに捕まっていた。別のレジスタンスに接触し、彼らの命令を打ち明ける。 「ハイドリヒを殺せば報復が大変なことになる」とレジスタンスのリーダーは反対する。しかし準備は進められた。 ハイドリヒは通勤経路で曲がり角を曲がるときに減速するときが最大のチャンスだ。数ヶ月プラハに滞在するうちにヤンはプラハの仲間のマリーと結婚を決める。そんな時、ハイドリヒがパリに転任するという情報がもたらされた。 決行するには今しかない。報復を恐れるメンバーはロンドンに再照会をする。しかし地元レジスタンスに送られてきた返信には作戦中止、ヨゼフたちが受け取った返信は作戦決行。結局明日朝決行と決まる。 果たして作戦は成功するのか? ナチスもの、って今でも数多く公開されている。最近目立つような気がする。すべては観てないけど。本作は要人暗殺計画、ということで見に行ってきた。(パンフを読んで知ったが、ハイドリヒは事件当時38歳だったそうだ。てっきり50過ぎぐらいかと思っていた) ハリウッド映画ではないので、スター俳優が出てるわけではなく、地味である。 しかし風景が実に美しい。光の具合も良くて風景画を観ているようだ。 パンフレットによるとデジタルではなくスーパー16で撮影されたそうだ。 否定はしないけど上映するときにはデジタル素材で上映されるのだから、フィルム撮影にこだわるのか意味あるのだろうか? それより手持ちカメラで撮影されているので、どうも常にゆらゆら揺れることが多く、その点気になった。 中盤のクライマックスの襲撃シーン。まさかの銃の故障で失敗(結局重傷を負って後に死亡するのだから、任務としては成功なのだが)。 予想通りの報復が始まり、(映画では出てこないが)一つの村の男は是認殺され女子供は収容所に送られる。確かにこうなるのではレジスタンスが報復を恐れるのも無理はない。 ヨゼフやヤン、他の仲間たちも教会の地下にかくまわれるが、結局はレジスタンスのメンバーが拷問にあって白状してしまう。(この白状した少年を責めることは私には出来ない) この後、ドイツ軍との銃撃戦があって、全員死亡となる。 銃撃戦のシーンは派手さはないが、迫力である。 ハリウッド映画のような派手さはないが、抑えた迫力があり、よかったと思う。 同じ事件を描いたルイス・ギルバートの「暁の七人」も観てみたい。 昔テレビの洋画劇場で観たような気もするのだが、確認の為にも観たいもものだ。 従軍慰安婦日時 2017年8月26日11:00〜 場所 シネマヴェーラ渋谷 監督 鷹森立一 製作 昭和49年(1974年) 昭和12年、日中戦争の最中の時代、秋子(中島ゆたか)、道子、ユキ、梅子たちは博多の女郎屋の金山(小松方正)に売られてきた。 秋子はまだ生娘で男を知らない。生娘は高く売れるので陸軍の将校に売られた。 この女郎屋には気に入った男の子を宿したひろ子(三原葉子)、いつも咳をしているふさ(緑魔子)などがいた。ベテランのひろ子は何かと秋子をかばってくれた。実は秋子は幼なじみの正夫という好きな人がいたが、彼は出征していた。ある日、正夫たちの分隊が遊びにやってくる。驚いた秋子だが売られた身になったために正夫に逢うのをためらう。しかしひろ子が逢えるように計らってくれた。正夫は秋子に触れないまま、中国へ出発した。 秋子たち一行も中国へ向かう。戦線も間近なこの地で秋子たちの運命は? 石井輝男脚本の東映作品。東映女優特集での上映。 最初は石井輝男が監督する予定だったが、何らかの事情で監督は交代したそうだ。今日は主演の中島ゆたかさんと樋口尚文さんのトークイベント月だったが、この映画、公開の時も不遇だったようだ。 ほかにもう1本と2本立てで公開を予定したいてのだが、その映画がなんらかの事情で製作中止になり、宙に浮いてしまったこの「従軍慰安婦」はどうやら2番館での公開といった形になったようだ。 そのせいか、最初から観ている人が少なく話題になることもなく上映される機会の少なくやがてプリントはジャンクされ・・・といった運命だったらしい。 今回は春に中島ゆたかさんがこの春にシネマヴェーラのトークイベントにお見えになった際に「『従軍慰安婦』が観たい」と希望を出され、今回ヴェーラが東映にニュープリント化を要望したそうだ。 (その為に今回の特集では何回か入れ替え制の特別上映枠で上映される) 「従軍慰安婦」というと昨今は韓国人慰安婦の問題からなんだか微妙なテーマに見えるけど、当時の東映としては「東映ポルノ」路線に近い企画だったのではないか。 言ってみれば売春婦の話だし、それに戦争ものを組み合わせたような、東映実録戦争ポルノ、といった感じだ。 しかしそれにしてはおっぱいとかはほとんど出てこなかったけど。 また「戦争に負けない強い女たち」というモチーフは後の「極道の女たち」における東映の女性の描き方、に通じるものがある気がする。 映画の方は貧乏で売られた女性と兵隊の恋、というベタな話をベースにそこに生きる女性たちの群像劇。 中でも中国に行ってから熊本上等兵(中田博久)が、金子(沢リミ子)を乱暴に扱った、として騒ぎになるのだが、上官にもたしなめられ、熊本は立つ瀬がない。しかしその晩の夕食の時に彼らは明日斬り込みを命じられていると知る。 「明日が最期の命」である故に多少乱暴にもなったと知った金子は翌朝出発する兵隊の中に熊本を見つけ、「頑張れ〜頑張れ〜」と万歳するシーンは泣けてくる。中田博久も見せ場である。 また中国で軍医から性病の診察を受けるのだが、その寓意として登場したのが由利徹、で場内爆笑。さらに部下の衛生兵がたこ八郎である。 途中、慰安婦たちの娯楽のために兵隊も交えて運動会が開催される。しかし体を悪くしていたふさはついに倒れる。診察した軍医は「大丈夫だ」と笑うが、そのすぐ後に金山に「薬を取りに来い」と厳しい表情をするのが、由利徹の見せ場だった。 ラストは彼らの慰安所に正夫の部隊がやってきて、秋子と再会。 しかし翌日には敵との戦闘に巻き込まれ、秋子たちも戦闘にかり出される。 中でも重機関銃を撃っていた壕で、機関銃が熱のために銃が撃てなくなる。冷やすのに水が必要だが、水もない。そこで「ならば私が」と慰安婦の一人がおしっこで銃を冷やすのだが、彼女も撃たれてしまう、というシーンは私は好きである。 彼女は中国での貨車の中からおしっこをしていたり、今までおしっこネタで引っ張っていたのだが、ふさわしいラストだった思う。 また秋子も正夫も戦闘に巻き込まれて死ぬ。 ラストでひろ子ともう一人は「どこで死ぬのも同じ」と軍隊について行くのだが、行進の途中で避難民が捨てていった赤ん坊を拾う。 また金田は「俺はみんなは戦死したと思っている。勲章もないし、靖国神社にも奉られないけど、せめて俺が手厚くしてやりたい」と人情味を見せるのがいい。 戦争映画では脇役に回ることの多かった従軍慰安婦を主役にした娯楽映画として、記憶されるべき映画だと思う。 ニュープリント化をきっかけに各地で上映されることを願う。 アナタハン日時 2017年8月16日 場所 アメリカ版Bru-lay 監督 ジョセフ・フォン・スタンバーグ 製作 1953年(昭和28年) 太平洋戦争末期の昭和19年。軍に徴用された漁船が嵐にあって遭難し、乗組員10数名がサイパン北のアナタハン島に漂着した。最初無人島だと思われたが、日下部という男と恵子(根岸明美)が住んでいた。 最初は共存していた彼らだったが、島のジャングルの中に墜落した米軍のB29を発見。ここから拳銃が2丁見つかり、二人(中山昭二、他)がそれぞれ持つようになる。 恵子を巡って日下部と争うようになる彼ら。 戦争も終わって米軍が投降を呼びかけたが、「嘘だ」と無視する彼ら。 年が変わって、再び米軍が投降を呼びかけるビラをまく。 軍人ではない恵子は一人で米軍の船に迎えられる。そしてアナタハン島に残った彼らに日本の家族から手紙が届く。「これは俺の女房の筆跡だ」とその帰国を呼びかける手紙を信じる。 そして彼らは帰国する。 恵子は彼らを空港で迎え、帰ってこなかった亡くなった人々を思うのだった。 「アナタハン」という日本人が出演したアメリカ映画があると知ったのはいつ頃だったろうか?高校生の頃に伊福部昭のアルバムの中のライナーノーツのインタビューで触れられていたのが最初だったのかも知れない。 当時はネットもないからどんな映画か全くわからず、「アナタハン」というタイトルだから、「あなた」に関西弁の「はん」がついた、言ってみれば「あなたさん」という意味でアメリカ人と日本女性の悲恋の話かな、と思っていた。 その後、「グラマ島の誘惑」とか見て「アナタハン島事件」というのがあったと知った。「キングコング対ゴジラ」の根岸明美が主演してるという話で、俄然観たいと思っていたのだが、その時はDVDがなく、今回ネットサーフィンをしていたら7月にブルーレイ&DVDがアメリカで発売になったと知った次第。アマゾンで頼んだ。 ネット情報(Wiki情報)によるとスタンバーグ監督が「日本映画として製作したい」と言ったから日本映画の扱いになっている。でもそれって映画の国籍の話ではなく「ハリウッドにいる東洋人俳優ではなく、ちゃんと日本に行って日本人の俳優で、日本で撮影したい」ということではなかったろうか? というのもどう考えてもアメリカ向けに作られていると思う。 日本人の俳優が出てきて日本語で会話をするのだが、そうなるとすぐにナレーション(監督本人らしい)が入って「彼らはなんとかについて話している」と解説する。だから彼らの会話がわかる日本人にとってはうるさいだけである。 こんな感じで「日本で起こった怪事件を実際の日本人に演じてもらい再現する」という再現ドラマにしか見えないのだな。ドラマを日本の俳優に演じてもらうのではなく、説明のために出演してるようにしか見えない。 簡単にいうと無茶苦茶つまらないのだよ。この時代にありがちな、まったっりしたテンポで退屈この上ない。さらにずーっと英語のナレーションが続き、出演者にそってドラマが進むと言うより完全に別世界に人間をよそあからのぞいてるだけにしか見えない。 これではドラマも盛り上がらないだろう。 出演者も根岸明美と中山昭二しか知ってる人はいないので、さらに退屈さが増す。 あとクレジット上では日本人は名字しか表記されない。円谷英ニも「TSUBURAYA」としか表記されない。なんじゃそれ?このソフトには1953年劇場公開版と1958年ディレクターズカット版の2種類が入っている。 主に根岸明美の入浴シーンとか海岸で全裸にいるシーンとか要するに裸のカットが加えられている。 映像は2Kレストアされているのできれいであるし、その点は十分満足できた。 しかし映画そのものは予想以上によくなかったとしか言えない。 根岸明美はこの映画の後も「獣人雪男」「魔子恐るべし」「キンゴジ」などで、どうも未開拓民の女性、というイメージがついてしまったらしい。 残念なことである。 女ゆうれい 美乳の怨み日時 2017年8月12日13:35〜 場所 上野オークラ1 監督 山内大輔 製作 OP ミチル(友田彩矢香)は准也(櫻井拓也)と婚約していて、結婚も間近だった。しかしある日赤いピエロの亡霊を見るようになり、ノイローゼになった彼女はマンションのベランダから飛び降りた。 准也はミチルの同僚のユウ(佐倉絆)と今はつきあっていた。ミチルの死後、准也の話を聞いているうちにそういう関係になっていたのだ。それを同僚のマリ(涼川綾音)に告げるユウ。しかし実はマリも准也とつきあっていたのだ。 マリのことを知ったユウはショックを受けて心療内科のカウンセリングを受けるようになる。徳永メンタルクリニックの医師徳永(竹本泰志)を意識するようになるユウ。やがてユウは徳永と結婚する。 しかしマリも徳永とつきあっていた。そして実は徳永は結婚していた。 彼女たちの運命は? お盆のオークラ映画は怪談映画。お盆だから怪談映画というセンスは何十年前か。少なくとも70年代はもうなかったから、60年代のセンスである。でもそのセンスの古さがオークライズム(?)で好きである。 「めちゃくちゃ怖い映画です!心臓の弱い方はお気をつけください」みたいなことが劇場入り口のポスターの横に書き添えられていて、怖いのが苦手な私は一瞬見るのを迷ったが、勇気を持って見た。でも大したことなかった。ほっとした。 櫻井拓也さんがメガネにスーツ姿で登場し、いつものダメ男とは違ったイメージで活躍。今回は女優さん3人相手にがっつり絡みもしてくれる。 今までない感じでよかった。 また准也の部屋からミチルが帰った後、そのまま台所になると流し台の扉を開けるとマリ(だったと思う)が登場するカットは(ホラー的ではないが)なんだか怖い。 准也はミチルが帰った後にマリとも同じベッドで一戦をする絶倫。 今度はミチルの死後、ユウが准也のマンションに来るのだが、「パスタ作ってあげる。まだオリーブ油あったよね?」と流し台の扉を開けるシーンはドキッとした。マリはユウに見つかってしまい、修羅場となる。 その後、徳永と結婚したかと思ったらそれはユウに幻想でしかなく、もともと自傷癖があるユウは自傷してピエロの幽霊を見たりしてしまう。 またマリの方も徳永とつきあって結婚を夢見るが、うっとうしくなった徳永はマリも殺す。 このあたりが(というかそれ以降も)幻想とリアルがあいまいで見ていて分かりづらい。本日は舞台挨拶付きだったが、司会者も「話が分かりづらいですね。でも2回見たらより分かりました」と言っていたから私がバカだからだけではあるまい。 あと佐倉絆と涼川綾音が同じようなショートカットで途中で見分けがつかなくなることもあるんだけど。 ラストは(たぶん)ミチルと川でデートする准也が登場。 そしてミチルにナイフで刺されて絶命する准也。 まあ女を泣かせる男はみんな復讐されるという結末。 櫻井さん、大活躍です。 若妻乱熟 スワップでいきまくり日時 2017年8月12日12:40〜 場所 上野オークラ1 監督 片岡修二 製作 新東宝 刑事の野沢(下元史郎)はある女性の殺人事件を担当することになった。野沢はその女のことをして知っていた。性欲の強い野沢だったが、職業柄風俗の遊びにも行けず、仕方なく夫婦でスワッピングをしたのだ。相手は吉田(池島ゆたか)と名乗る夫婦だった。殺されたのは吉田の妻だ。 早速吉田を呼び出すが、本名は佐伯、だがのらりくらりと答えをはぐらかす。 スワッピングをした後、実は野沢は一度佐伯の妻と街で偶然会ってそのままセックスしたことがあった。佐伯が殺したのではと野沢は思ったが、佐伯は「その時間はある女とホテルに行っていた」という。 家に帰って「自分は実はあのあと佐伯の妻と会った。おまえも佐伯とあったことがあるのでは?」と問いつめると事件のあった時、佐伯とホテルにいたと認めた。では佐伯の妻を殺したのは誰か? ハードボイルド風のピンク映画。下元史郎はこういったノワール風の役も前に見たことがある。佐野和宏と違ってちょっと似合ってるような似合ってないような不思議な配役である。 てっきり野沢の妻が犯人だと思っていたので(野沢の妻はもともとスワッピングは乗り気ではなく、嫉妬にかられての動機はある)、この展開は意外だった。 しかし「私も佐伯の妻に会った。お前も佐伯と会った。ならばお前も佐伯の妻と会っているのでは?」と疑われて認めるのだ。 野沢の妻が佐伯の妻と出会い、彼女の家に行き、話しているうちに「あなたの夫やった」と言われてつい殺したというのだ。殺した後に佐伯が帰ってきて佐伯がアリバイ作りのために二人でホテルに行った、というのが事件の真相。 絡みも多く(スワッピング、野沢と佐伯の妻、野沢の妻と佐伯、野沢夫婦)、その分ドラマが少ない。 その点は十分もの足らないのだが、音楽がピアノ曲で、それがジャジーな曲でハードボイルドな雰囲気にあっていた。 話はひねりが少ないけど、雰囲気はよかったと思う。 巨乳奥様 エッチで御免なさい日時 2017年8月12日11:40〜 場所 上野オークラ1 監督 池島ゆたか 製作 OP 恵子(当間ゆき)は巨乳だったが、夫(なかみつせいじ)とセックスレスになってもう9年。つまり30代になってから一度もセックスしていない。女子大生の娘は彼氏とエッチしまくりなのに。 夫にそのことを訴えると「もうそういう気分じゃないんだよ」と一蹴されてしまう。こまった恵子は友人のみさきに相談する。みさきは浮気をしており、「主婦の浮気は生活に喜びがでて、それがかえって家庭円満につながるのよ」と浮気を勧められる。彼女は今は駅前の内科医の池上(竹本大志)と浮気をしていた。 出会い系の広告を見て浮気をしてみたが、ホテルでシャワーを浴びてる間に財布を盗まれるという最悪の結果だった。そのことをみさきに相談すると「安全な人を紹介してあげる」と紹介してもらったのが某一流企業に勤めるという一宮(野村貴浩)だった。一宮と恵子はセックスの相性もよく、恵子の機嫌はよくなる。今度は宅配便のドライバーの桐島音弥(久保田泰也)を誘惑し、成功する。 今度は池上、みさきと恵子、音弥の4人でスワッピング。 恵子は生き生きとしてくる。 「女ゆうれい 美乳の怨み」を見に来て同時上映。安定の池島ゆたか監督だ。 ドラマ性は少ないが、頻繁に無理なく絡みが挿入され、また娘(恵子の年からすると女子大生の娘は年があわない気がするが、気にしない)と彼氏の絡みもあってピンク映画の見本のような明るさだ。 ドラマ性が少ない点が残念だが、それでもこの明るさ、屈託のなさがたまらない。不倫に背徳感がない開放的な感覚が私は好きである。 また最後の方で一宮が恵子の夫の部下だった、と映画の観客だけには開かされるというオチ付き。 まあ予想はついたけど、でも楽しかった。 天保水滸伝日時 2017年8月11日10:30〜 場所 フィルムセンター大ホール 監督 山本薩夫 製作 昭和51年(1976年) 江戸末期の天保の頃、飢饉が続き、農民は飢えに苦しんでいた。そんな時、今の千葉県銚子付近で大原幽学(平幹二郎)という男が日本で最初の農業組合を組織した。互助の精神で力を合わせてがんばっていこうという精神だ。しかし「いくら働いたってだめだ」と酒とバクチに走る者もいる。夫が死に一度は遊女となったたか(浅丘ルリ子)は村に帰ってきたが幽学の行動を見て「くずはくず。下手に助け合いなんかしたら共倒れ。まじめに働くものがバカを見る」と独歩でやっていく。 そんな頃、飯岡助五郎(ハナ肇)と笹川繁蔵(加藤武)という博打打ちが勢力争いをしていた。その中で平手造酒(高橋悦史)という剣客も雇われていた。 幽学や村の名主(鈴木瑞穂)がいくら一生懸命になっても酒や博打をやめられない者がいる。また各地で起こった百姓一揆のように農民たちの団結を恐れる幕府側はなんとか幽学の組合の邪魔しようとする。 この映画は公開の頃から知っていた。監督は山本薩夫で、すでに「金環蝕」や「不毛地帯」は見ていたから見ようかと思ったが、時代劇はあまり興味がないし、政界内幕もの、ではなかったので見なかった記憶がある。 でも山本作品なのでその後も気にはなっていた。 ソフト化されておらず、上映やテレビ放送もなく(実はあったのかも知れないが知らなかった)、今回フィルムセンターの恒例企画「逝ける映画人を偲んで」の中での上映。(平幹二郎を偲んでの上映) 「ああこういう映画だったのか」というのが率直な感想。この映画、製作会社として大映になっているが、企画は「全国農村映画協会」なので農協がスポンサーなのだろう。 日本初の農協を作った大原幽学の物語にやくざの出入りを絡めた話である。 そのやくざ物語が「天保水滸伝」という浪曲で、舞台が同じ千葉県北部だから、それを絡めてでっち上げた話なのだろう。 オープニングのナレーション(神山繁)が「この映画は虚実を混ぜ合わせて真実を描く」と言っているから、もう「フィクションです」と言っている。 実は大原幽学という男が、農協を組織するまでの物語かと思っていたが、映画が始まった時点ではもう農協は出来ている。 「農協を維持していくことの難しさ」を描いていく。 確かに「まじめに働けばよくなる」と考える人もいれば「まじめに働いたって結局はだめさ」と遊ぶものもいる。「だめな奴はだめ、そういう やつは相手にせずに私はがんばる」というものもいる。 これはもう江戸時代に限らず今でもそうだし、たぶん未来もそうだろう。 人間は同じ考えにならない。 しかしこの映画の面白くないのは、どうにも幽学というのがまじめで面白味のない人間だからだ。また彼を中心にして幽学が苦悩する姿や失敗する姿や弱さなど色んな面も出てくれば違ったかも知れないが、完全無欠のヒーローでどうも魅力に乏しい。いや、もちろん偉人なのだが、あくまで映画として、である。 そういう意味ではもう一人の主人公と言っていい平手造酒の方が魅力がある。結核に冒されているのか始終咳をし、しかし酒を飲み女を抱く。(ちゃんとおっぱいを出すサービスつき。そういえば山本薩夫映画っておっぱいが出てくること多いな) これがまた高橋悦史がニヒルに演じるのだよ。「日本のいちばん長い日」もそうだったが、こういったニヒルな役が高橋悦史は実にうまい。 映画自体は思った通りそれほど面白くなかったが、40年の宿題を終えたようでほっとした気分である。 そうそうこの映画、大作だからシネスコだと思っていたが、意外にもスタンダードサイズだった。 太平洋の地獄日時 2017年8月6日 場所 DVD 監督 ジョン・ブアマン 製作 1968年(昭和43年) 太平洋戦争末期、南太平洋のある無人島に一人の日本兵(三船敏郎)が漂着していた(服装からすると海軍将校らしい)。ある日、救命ボートが海岸に漂着しているのを発見する。アメリカ兵(リー・マーヴィン)が漂着したのだ(パイロットらしい)。 水のないアメリカ兵は日本兵のが貯めている水をねらったが、日本兵は渡そうとしない。 やがて日本兵はアメリカ兵を拘束する。隙を観て逃げ出したアメリカ兵は日本兵を拘束する。しかし片方を捕虜にしても結局は負担にしかならない。 二人は共同で筏を作って脱出することが得策だと気づく。 筏の作り方でも対立した二人だったが、結局筏は完成。 北東に流れる潮流に乗ればもっと大きな島にたどり着くという日本兵の言葉に従って進んでいく。途中嵐もあった。 やっと大きな島にたどり着いた二人だったが。 リー・マーヴィン、三船俊郎共演。出演者はたった二人だけという異色な戦争映画だ。 この映画の存在はずっと知っていたし、DVDも(確かヤフオクで)手に入れてたのだが(それもたぶん10年ぐらい前の話だ)、いつでも観れるという気持ちと「実はあまり面白くないかも知れない」という不安からずっと観なかった。 ちょっと「日米が両方出る戦争映画」を改めて観る必要が出たのでやっと拝見した次第(2週間前に観た「燃える戦場」も同じ理由)。 正直やっぱり面白くないなあ。 基本二人だけなので、ドラマも少ないし、対立していた二人がやがて共同作業をする、という展開は完全に観る前から分かっている。 言葉が通じない設定なので、せりふがあっても独り言みたいなものだ。 一応日本語字幕付きで観たけど、なくても日本兵の気分で観てればよかったかも知れない。 二人がたどり着いた島は(たどり着けずにまた同じ島に展開かも知れないと一瞬思った)、日本軍の基地があった島。しかし二人がついたときは米軍によって全滅させられていた。廃墟となり、日本兵も米兵も誰もいない。 しかし残されていたもので腹を満たし、髭を剃り、酒を飲む。 酔った二人。米兵は「なぜ日本人は神を信じないんだ。キリストを」と宗教の話を質問する。日本兵は米軍が残したいった雑誌「LIFE」を見る。戦争には関係ない女性グラビアや広告が並ぶ中で、戦場写真が多数掲載されている。当然、日本軍が負けている写真が多数だ。(皇居にお辞儀をする日本人の写真があったから、すでに終戦しているのかも知れない) それを見て日本兵は態度を豹変させる。 このシーンを見て「ああ、戦争は宗教の対立やら、マスメディアを通じた見方から始まるのだな」と思った。 宗教が理解されない、ということから相手に反感を持つ。そして個人と個人では理解し合えるのに、「雑誌」などのマスコミを通じて(あくまでマスコミを通じて見た)全体像を見てしまうと憎しみが生じる。 それが戦争につながっていくのだな、という主張を感じた。 この後、突如空襲があって二人のいた建物が吹っ飛んで「THE END」。 唐突すぎるけど、こういう終わらせ方になってしまうのか。 ちなみにラストは何通りも考えられたらしく、本DVDにの特典映像で「もう一つのラスト」が収録されている。 それはお互いの立場を改めて認めた二人は制服を着直してお互いの道を歩きだし別れていく、というもの。実際「キネ旬データベース」を引き継いだ「Movie Walkerデータベース」ではこのヴァージョンで話が終わっている。 脚本を作っていて話の落としどころがうまく見つからなかったか。 最初からラストを考えなきゃなあ。 完全なアメリカ映画と思ったら脚本には橋本忍も参加したようだ。 どの程度橋本氏が書いたかは不明。 リー・マーヴィンと三船のファンでなければ観ていてつらい映画な感じがしましたね。 デッドライン〜島唄よ響け、男たちの魂に〜日時 2017年8月5日18:45〜 場所 光音座1 監督 新里猛作 脚本 中野 太 初老の殺し屋のヒロシ(佐野和宏)は酒の飲み過ぎで体を悪くしていた。今度の仕事を終えたら故郷の沖縄に帰ると恋人のミキに話していた。 今度の仕事はある組織のナンバー1を殺すこと。あるバーで飲んでいるところを襲い、心臓を撃ち成功したかに思えたが相手が防弾チョッキを着ていたため一命をとりとめていた。 沖縄に隠れるヒロシ。組織の者がヒロシを追ってミキの元にやってくる。 ミキは口を割らなかったが、ヒロシの部屋にあった母の写真から沖縄に目を付ける。 ヒロシは故郷の海でキヨミツ(富山敦史)という青年に出会う。彼は母の妹の息子、つまり甥であった。キヨミツが夜のトイレで米兵に絡まれているのを助けたことがきっかけでキヨミツはヒロシに一目おくようになる。 キヨミツはシェフを目指していたが、母一人沖縄においておくわけにはいかないと沖縄に残っていたが、特に就職せずにいた。そんなキヨミツを母は「仕事を紹介する、面接しろ」とうるさく言ってくる。 ミキはヒロシを探して沖縄へやってきた。ハッテン場で出会う男たちにヒロシの写真を見せ、知らないかと聞いていく。そんなミキを組織の者たちが追っていた。 ヒロシもキヨミツが夢をあきらめないために自分も酒を止めるといいだした。 ミキはヒロシと再会。ヒロシがゲイだと知ったキヨミツはヒロシと距離をおこうとする。キヨミツは高校生の時に米兵に犯され、それ以来ゲイに嫌悪感を持っていた。 やがて組織の者がミキとキヨミツを拉致し、ヒロシを誘いだす。 脚本・中野太、監督・新里猛作、主演・佐野和宏の濃い取り合わせ。 冒頭のヒロシの殺しのシーンは新宿だが、あとはオール沖縄ロケ。 金かけてるなあ。東京=大阪ならバスとか安くいく方法はたくさんあるけど、沖縄は飛行機だけだ。安くする方法はない。 そんな意気込みを感じる映画。 やっぱり沖縄のきれいな海をバックにしたドラマは観ていて画が美しい。 また佐野和宏はこういうアウトローを演じさせるとうまい。 甥であるキヨミツだが、寝姿や体のパーツのアップが入り、ヒロシが欲情してるのがよくわかる。しかし「甥だから」というより「ノンケでゲイにトラウマを持っているから」という理由でヒロシが禁欲的なのがかっこいい。 うん、ゲイムービーと言えどもやればいいってもんじゃない。 キヨミツが就職面接の帰りに組織の者に遭遇し、一度は逃げるが、その時就職関係の書類を落としてしまうのが、ちょっと間抜け。 組織の者が追う手がかりを残したかったのは分かるが、ちょっと惜しい。 細かい点は気になるが、沖縄、佐野和宏の熱演で作品は面白かった。 (同時上映は「空に咲く愛の地図」。夏の新作のチラシを入手しに行った) 心が叫びたがってるんだ。日時 2017年8月5日11:30〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12 監督 熊澤尚人 成瀬順は子供の頃、夢見がちでおしゃべりな少女だった。ある日、山の上のお城(実はラブホテル)からパパが女の人と車に乗って出てくるのを見てしまう。何も知らない順はそれを母親に「お父さんが女の人と山のお城から出てきたよ。パパは王子様だったんだね」と言ってしまう。 それがきっかけで両親は離婚。父親に別れる時に「お前のおしゃべりのせいで離婚になったんだ」と怒られてしまう。それがきっかけで順は話すとお腹が痛くなる。 高校生になった順(芳根京子)は相変わらず話すことが出来ない少女だった。担任の先生は近く行われる「地域ふれあい交流会」のイベントの実行委員を坂上拓実(中島健人)、仁藤菜月(石井杏奈)、田崎大樹(寛一郎)そして順に命じる。 先生はミュージカル劇を提案する。 「話すことすら出来ない順に何が出来る」とクラスのみんなは否定的だったが、順は「話せなくても歌うことなら出来る」と主張し、その姿にクラスのみんなは引っ張られていく。 順はやがて拓実に想いを寄せるようになる。 SexyZoneの中島健人主演作。原作はアニメだそうで、それを実写化。昨晩の「銀魂」に引き続きの似たような企画の鑑賞だ。(このあと「ジョジョ〜」も続く)。 アニメが原作なせいか、設定が極端だなあ、と思う。 そもそも両親の離婚は順の父親の浮気なのだから、順には罪はない。だから罪を感じる必要はない。父親の暴言が原因のトラウマなのだから、心療内科とか医者に相談した方がいいんじゃないか?第一話せなかったら、これから生きていく上で困るだろう。 それは拓実も似たようなことがあって、中学生の時に母親から「ピアノ好き?」と聞かれ「好き」と答えたことで教育方針で対立していた両親が離婚、ってどうよ? その程度で離婚するかあ?それに拓実も自分のせいと思わない方がいいよ。原因はそれだけじゃないよ、ほかにもあったよきっと。 んでいろいろあって順も歌なら歌えるようになって、本番前日に拓実が仁藤に告白してるのを聞き、落ち込んで今度は話せるけど歌えなくなり、ミュージカルの当日会場に来ない。 もう最悪の女だ。 悪いけど私に言わせれば成瀬順はメンヘラでやばい奴だ。とてもじゃないが友達になりたくない。振り回される。 演目の方も順番を変えてもらったりして、前半は仁藤が代役になって演じていき、ラストになって追いついて歌って終わる。 どんだけ自己中な女なんだよ。 そういった感じで心は離れてしまったから、別に演劇部でもない高校生が1ヶ月で作ったミュージカルにしては衣装やセットが立派なのまで気になりだし(実は他の高校生ものでも文化祭のセットが立派すぎて気になることは多々あるのだが)、映画の世界から心が離れてしまった。 これアニメで見れば気にならないのかなあ? 中島健人が出ているという以外は観る価値を見いだせない映画だった。 銀魂日時 2017年8月4日21:30〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン5 監督 福田雄一 江戸末期、天から天人と呼ばれる宇宙人が現れ、侍は支配された。今は廃刀令により刀を捨て侍は滅びるばかり。 坂田銀時(小栗旬)もそんな一人。今は万屋銀ちゃんを志村新八(菅田 将暉)や神楽(橋本環奈)と営みながらだらだらとした日々を送っていた。 そんな時、鍛冶屋の村田兄妹(安田顕、早見あかり)から盗まれた妖刀・紅桜を取り返してほしいと依頼を受ける。そんな時、江戸では辻斬りが出没していた。銀時の親友、桂小太郎(岡田将生)が辻斬りにあって行方不明。彼がいつも連れているエリザベスというなの宇宙人だけが残った。 その頃、鬼兵隊と呼ばれる反幕府勢力が暗躍していた。それを迎え撃つ幕府の警察、真撰組。はたして結末は? ヒットコミック原作の映画化。ここ数年、少女コミックの映画化が流行だが、恋愛ものでない作品も実写化されてきている。 原作は未読だし、興味もないのだが、菅田将暉、岡田将生、柳楽優弥、吉沢亮などの共演となれば見たくなる。 でも始まって10分で帰りたくなった。 オープニングが始まってクレジットになったとき、小栗旬ばかりが続き「?」となったところで、「カウントダウンTV」(だったかな、土曜日の深夜にやってる奴)に出てくるCGアニメのMCになり「なんで小栗旬ばかりなんですか!」「だって主役だろ」と楽屋落ち的な会話が始まる。 ここでげっそりした。 これはもう映画ではなく、バラエティ番組の手法だ。 続いて桂小太郎が行方不明になった所でエリザベスが銀時に相談に来るシーンがある。ここで「マンガだと気にならないけど、実写になると着ぐるみ感丸出しだなあ」とか「どう見てもオバQ(ピー)だろ」「ドロンパはどこだ?」とか銀時が言い出す。これもバラエティ。 その前にも「途中で帰ったら名前控えて『ジョジョ(ピー)の奇妙な冒険』見せてやらないからな」(ピーは消去音)などのギャグが入る。 こういうバラエティ番組的なギャグは好きでない。 早い段階で映画に乗れなくなったので、あとは(疲れもあって)ただぼーっと画面を見ているだけで、映画の世界には入れない。 その後も紅桜がただの刀ではなく、宇宙生物が擬態したらしいものでとかいろいろ出てくるが全く頭に入ってこない。 最後に新撰組の空中船が鬼兵隊の空中船に乗り込む時、近藤組長があっさり落ちてしまうのにはびっくり。最後には出てくるかと思ったらそれもなく、ただのバカである。 柳楽優弥がいつもタバコをくわえており、それが妙にかっこいい。 吉沢亮とか岡田将生とかお気に入りが出てなかったら、とてもじゃないが観れたものではない。 今年のワーストワンと言いたくなる出来。 |