俺たちに明日はある!日時 2017年12月29日18:50〜 場所 光音座1 監督 カサイ雅弘 製作 ENK 関東桜会の竜一(南条千秋)は出所して組長(港雄一)を訪ねる。組長は歓迎してくれマツオ(山口健)を紹介する。 そのころ新宿は人斬り千次と名乗る男がヤクの売人を斬りまくっていた。誰も怖がって桜会のヤクの売人をやらなくなり、桜会にとっては打撃だった。その話を聞いた竜一は組長に「自分が千次をやります!」と宣言。組長はマツオを連れて行くように言う。 マツオは組長の愛人だったが、組長が用意した部屋で竜一に「初めて会った時から好きになりました」と風呂場で体を重ねる。 組長から預かった拳銃で千次を殺しに向かうが失敗。また千次も転んだ拍子に自分の刀で自分の足を切ってしまう。 千次の復讐を恐れた竜一とマツオは逃げることにする。逃げるには金が必要、とりあえずサラ金強盗に入り、ぶっ飛んだその会社の娘も人質(橋本杏子)として連れて行く。 足が少しよくなった千次は組長の元に向かう。組長はあっさり竜一たちが隠れてるところを話してしまう。 千次の部下が竜一たちに向かう。しかし人質の娘の協力もあって逆に縛り上げる。 組長は暇なので夜の街で若い男を拾ってくる。そこへ竜一たちがやってきて自分たちを売った組長をはり倒す。 翌朝、自分の部下が帰ってこないので、今度は千次がやってくるが、仕掛けは上々。 竜一が新宿に帰ってきたときに「もう平成になった」というし、映画中に登場した看板に「平成2年」という文字が見えたから平成2年の製作だろう。 今日、新作の「勃ちっぱなしエブリデイ」というがっかりな映画も見たので余計に面白く感じた。 まず山口健がいい。彼はこの頃他のENK作品にも出ていたがやっぱりいい感じのイケメンですね。こういうイケメンが出てるか否かでゲイ映画の評価は大きく変わります。 後半橋本杏子のサラ金の社員が「え〜人質になるの?テレビとか来るね、話題になってアイドルとかなれちゃうかも?」とかギャーギャー言ってるバカ女で金切り声がうるさいが、映画全体としてはキャラがいい。 これが男性の若手社員だったらもっとよかった気もするが、橋本杏子を使わなければならない理由があったのかも?(単にスタッフの好みだったかも知れないが) ラストは千次が縛られている部下のロープをほどくと七輪の上にガスボンベが落ちてきて大爆発という仕掛け。案の定成功し、竜一とマツオ、橋本杏子の3人は逃亡のために今度は銀行強盗だ!とはしゃいで終わる。 深読みかも知れないが、竜一たちが港雄一の組長を襲ったとき、男がいるのだが、その男に「お前はこれやるから田舎帰って百姓でもしろ」と言って100万円の束(サラ金を強奪した金)を渡すところは「用心棒」でラストで三十郎が「お前はかあちゃんとこでも帰りな」というところに似ていた。 全体的に明るく楽しく、山口健の男前ぶりもあって面白いゲイ映画だったと思う。 勃ちっぱなしエブリデイ日時 2017年12月29日17:40〜 場所 光音座1 監督 渡邊元嗣 製作 OP PICTURES 堀田成人(松本真輝)は子供の頃「伊東家の食卓」に出ていた五月みどりを観ておちんちんが固くなった覚えはあるが、それ以降勃起したことがないと言う。精神科医の桜(小滝正大)に相談する。桜が堀田の心を開かせると子供の頃に両親の寝室を観てしまい父親が母親をいじめていると思ってしまったことが原因だと解る。桜が堀田の心を解放してやったことで堀田は勃起するようになる。だが、突然巨大化するので手に余る。 堀田は希望商事の警備員をしていた。先輩の松尾(ケイチャン)厳しいがいい先輩だ。社長秘書(美咲結衣)の女子社員は松尾に好意を持っているらしい。 だが松尾は「社長(本多菊次朗)が狙っているという噂があるし、ややこしいことに巻き込まれたくない」と社長秘書の呼び出しも堀田に押しつける。 堀田はその社長秘書の前で勃起してしまい、セクハラと言われて首になってしまう。住むところもなくなった堀田は仕方なく松尾のマンションに居候することに。 一方社長は秘書に迫るが無視される。たまたま社長は秘書の携帯の画像を見てしまい、何枚も松尾の写真があるので松尾を好きだと知る。 以前秘書を口説いているところを見られた時に「もっとしっかりしてください」と注意をされたことがあった。 そのため社長は松尾を意識するようになる。社長も桜のもとを訪ね、社長にも「男も好き」という自分を認めさせ、桜と絡む。 一方、社長秘書は松尾の家を訪ねる。そこに堀田がいるので驚く。 秘書は実は自分の股間にもイチモツがあるのを見せる。 だが秘書は振られ、松尾と堀田は愛し合うようになる。 社長はイチモツを持つ秘書を「完璧だ」と言って愛し始める。 話は全部書いた。 ポスター画像がネット上で11月下旬に公開された頃から心配していたが、やっぱりだめだめだった。 まず堀田役が魅力がない。ゲイ映画は男優探しに苦労すると思うが、今回の松本某は少なくとも私の好みではない。 かつてのアクション映画でチンピラ役をよくやっていた榎木兵衛を20歳ぐらいに若くした感じ。少なくとも私は魅力を感じなかった。 次に勃起し続けるというのが全く生かされていない。 また勃起の仕方も直径20cm、長さ60cmぐらいで顔まで届く物がタオルなどで隠されて登場する。デフォルメしすぎ。それに勃起しっぱなしじゃなく、時々巨大化するだけ。 本来なら勃起しなくなるようにあの手この手を実行していく話になるべきだと思うが、話の主人公は実質的には松尾にシフトしてまい、勃起の件は中心ではなくなってくる。 結局脚本が大混乱している。ゲイ映画なのにセクシーな胸の谷間を見せる秘書が話の中心をなしていき、しかも最後には唐突に「実は男でした」というオチを見せる。 これは以外ではなく、単なる唐突である。 これが許されるなら、社長も「実は女でした」もありじゃないか。 とにかく脚本が滅茶苦茶で完全に破綻している。脚本が出来なくて苦労して時間切れで撮影に突入したような映画。 頑張りましょう。 肉屋日時 2017年12月29日 場所 DVD 監督 アウレリオ・グルマルディ 製作 1998年イタリア 美術館で展示会の企画なども行うアリーナ(アルバ・パリエッティ)の夫・ダニエレは世界的にも有名なオーケストラ指揮者。 二人の間には子供がなく、養子縁組を考えていた。夫が長期の演奏旅行中にアリーナは貧血で倒れる。医者に「野菜中心ではなくもっと肉も食べるように」と言われる。 友人の紹介である肉屋に行ってみる。そこの主人ブルーノは肉感的な男だった。いつ行っても混んでいるので女店員に空いている時間帯を聞いてみると「午後の2〜3時ぐらいが空いている、店に誰もいなかったら奥で仕込みをしているので声をかけて欲しい」と言われる。 その時間帯に行ってみるアリーナ。しかし奥ではブルーノと女店員が絡み合っていた。驚いて声をかけずに帰るアリーナ。 数日後、ブルーノからアリーナの家に電話がかかってくる。留守電に吹き込まれたメッセージは「俺の勘違いでなければあんたは俺に会いたいはずだ。明日、あんたの家に行く」と残されていた。 アリーナはブルーノを受け入れる。 いまおか監督と話していた時に話題になった映画。どんな映画かと思ってアマゾンで調べたら1000円ぐらいだったので買ってみた。 イタリアのエロスドラマである。 ドラマで見せる映画ではない。夫は高名な指揮者といういかにもハイソなお仕事をしていて、その対局にあるようなワイルドな男、ブルーノに引かれていくという「いかにも」な映画だ。 お話の面白さよりもディテールの面白さが目に付いた。 肉屋での描写がやたらグロい。日本人からするとグロいだけでイタリアではそうでもないのかも知れないが、また精肉される前の鳥やうさぎの死体(あえてそういう)が肉屋でぶら下がっているカットなど、妙になまなましい。 そしてブルーノも毛深い中年男で、セックスも濃そうだ。 ブルーノとアリーナは体の関係になる。その行為が数回出てくるのだが、アリーナがブルーノにオイルマッサージをするところとか、ラストでヨーグルトを体に塗ってなめるとか結構エロい。 で、こういう関係になった二人がどうなるかと思っていたが、夫から「もうすぐ帰る」という留守電が入る。 ブルーノは服を着て部屋を出ていき、アリーナはベランダでぼーっとしているシーンで終わる。ブルーノが帰って行ったのが「これで二人の関係は終わり」という意味だとしたら、無難に終わった訳で、意外性とかなし。 アリーナと仕事上で対立し辞めていった男がアリーナと「昔のように仲良くやろう」と体の関係を迫ったりするが、こちらは特に何もなし。また養子縁組の件もその後は出てこない。 エロティックなシーンが記憶に残るが、話としては特に、という感じだった。 義父の愛人 絡みあう素肌日時 2017年12月23日18:44〜 場所 上野オークラ劇場 監督 荒木太郎 製作 OP映画 風俗で働いているノリコはしつこい客に追いかけられて困ってるところを浩(岡田智宏)に助けてもらう。浩はピンク映画館の支配人をしていて、映画館の映写室などを見学させてもらう。 平成2年生まれの彼女にとって、映写機は骨董品でピンク映画のポスターは昭和の香りがする、といい浩は苦笑する。 「今度、映画を観においで」と言われ、訪れるノリコ。彼女はピンク映画を気に入ってくれた。浩とノリコはやがてつきあうようになる。 しかしノリコには秘密があった。母の再婚相手の義父(那波隆史)と体の関係を持っていた。以前中学教師だった義父はノリコとの関係がばれてそれで教師を辞めさせられ、今は半分廃人のようになっていた。 事前に監督を知らずに観たのだが、終わってクレジットを観たら荒木太郎だった。彼の映画のクレジットはいつもクレヨンで手書きである。 そして今回もピンク映画館が舞台。ゲイ映画「空に咲く愛の地図」でもラストにピンク映画館が登場するが、今回も舞台はピンク映画館。 「平成2年生まれ」と言われて浩が驚くシーンがあるが(ちなみに浩は巨匠稲垣浩の名前から付けられたと言っている)、となると主人公の年齢が18歳設定で平成20年。今は平成生まれの大人も当たり前だが、この頃はまだ「平成生まれ=子供」のイメージが強かったのだな。 エンドクレジットで協力のところで「静活小劇場」というのがあった。調べてみたら静岡にあったピンク映画館らしい。 ビルの屋上に小屋のように建てられている不思議な劇場である。 映写技師が「一般映画もかけよう」というと浩は「一般映画ってなんですか?映画に違いがあるんですか?」と」いい、全体的にピンク映画に対する愛情が感じられる、荒木太郎らしい映画だった。 競演はあと浩の同居人役で吉岡睦雄。 本日はあと滝田洋二郎の「真昼の切り裂き魔」が上映。以前光音座2で観たので感想はパス。 でも加えれば途中でテレビで映画をやってるカットがあるのだが、その画面にハリソン・フォードが写っていた。「地獄の黙示録」かな、あれ。 スペルマーダー 嵐を呼ぶエクスタシー日時 2017年12月23日17:24〜 場所 上野オークラ劇場 監督 国沢 実 綺羅(佐倉絆)はある日防毒マスクをした男に拉致される。ある部屋で襲われそうになったが、気づいたら男は倒れていた。自宅に帰ると父親が説明してくれた。父はいままで監視カメラなどがある場所を無断で観ていて、今日のことも知っていた。 20年前、父と母は政府の秘密研究所で働いていた。母は遺伝子レベルで殺人マシンとなる薬を開発した。この薬は男性のお尻から投与し、その投与された男性の精子と性交することで生まれた子供が遺伝子レベルで殺人能力を得るのだ。そして出来た子供が綺羅だった。そのことを知りショックを受ける。そして父親は綺羅を正義の味方として成長させようとする。 綺羅にはマコトという恋人がいた。彼の妹は綺羅になついていたが、彼女たちは拉致されてしまう。父親はその様子をカメラで観ていたが、助けずに様子を見ていた。綺羅がいままで殺人マシンの本領を発揮せずになぜこの間、発揮したのか?それは彼女がエクスタシーに達したからだった。 かつての特撮ドラマにオマージュを捧げ続ける国沢実監督作品。 今回はヒーロー物、特にどのヒーローという訳ではないらしいのオマージュ。何か特定のヒーローがあるのかも知れないが、私には解らなかった。 というかタイトルに「嵐を呼ぶ」とあり、これは「クレヨンしんちゃん」によく使う言葉なので、しんちゃんのオマージュが入ってるかと思ったが、結局それはなかった(と思う)。 昔色んな変身ヒーローものがあったけど(今は仮面ライダーと戦隊に集約されて、新たなヒーロー物は内容だけど)、私、「ウルトラマン」は好きだけどヒーロー物にはあまり興味がなかったので、詳しくないし思い入れもない。 そういう訳で去年の「性鬼人間第1号」ほどには面白くはなかった。 それ以前に佐倉絆という女優があまり好みではなかったのかも知れない。 ロリ顔で演技はうまくない。ピンクの女優さんで特に演技は下手、と感じたことはないのだが、彼女は私にはあわなかったなあ。 そして母親の(桜木優希音かな?)が胸が小さく、見劣りする。 最後はマコトが拉致され、それを助けに綺羅が行く。死んだと思われていた綺羅の母親登場。やたら若いのは細胞を活性化させる薬のため。 んでマコトと綺羅の母親が性交し、そこへ綺羅がやってくる。 「マコト、私とHして!」と言ってHして綺羅は殺人マシンとなって敵と戦う。 そこへ父親も登場し、たぶんおとなしくなる薬のスペルマリッジを開発し、それを自分に注入し、綺羅の母親のラスボスとセックスして事件は解決。 結局ドラマの面白さはなく、絡みが中心。しかも女優二人があまり好きではなかったら、だめである。 強いて言えばマコトの妹が襲われたショックでおかしくなって自分が猫だと思いこむようになり、パンティ1枚の姿で猫の仕草をするシーンが面白かった。 8年越しの花嫁 奇跡の実話日時 2017年12月23日13:40〜 場所 TOHOシネマズ上野・スクリーン4 監督 瀬々敬久 岡山で自動車修理工をしている尚志(佐藤健)はある日、先輩に誘われていった飲み会で麻衣(土屋太凰)と出会う。たまたま体調が悪かっただけなのだが、「何つまんなそうな顔してるのよ!」と麻衣に怒られるという最悪の出会いだったが。 それがきっかけで尚志と麻衣はたびたび会うようになり、やがて結婚を決意する。結婚式は麻衣の希望の式場を予約した。 しかしその後、麻衣は突然言動が意味不明になり、やがてパニック状態になってしまう。病院に運ばれたが、彼女は意識を失い寝たきりになってしまった。麻衣の両親(杉本哲太、薬師丸ひろ子)は「麻衣はもう二度と起きないかも知れない。忘れてくれていい」と尚志の見舞いを拒む。 しかし麻衣以外の女性が考えられない尚志は見舞いを続ける。 そんな日々が続いた頃、麻衣が目を覚ます。そして徐々に回復に向かっていくが、昔の記憶はない。 それでも尚志は麻衣を愛し続ける。 難病物だし、土屋太凰はあまり好きじゃないし佐藤健もそれほど好きじゃないのでパスするつもりでいたのだが、監督は瀬々敬久と聞いて東宝の1ヶ月パスポートもあるので行ってみた。 脚本は岡田恵和。こういった恋愛映画とか手慣れたもの。 尚志は携帯カメラで彼女が寝ている間、短い動画を撮り続ける 麻衣が起きて最初は不自由だった体も徐々に回復していく。しかし尚志のことは思い出さない。 今までかたくなに彼女のことを見放さなかった尚志も、尚志のことを思い出せない麻衣にとって自分が負担になっていると思い、別れる。 そして近くの島で自動車修理工として働きはじめる。 んで、ある日たまたま結婚式場の前を通りかかった時、スタッフが気づいてくれて、尚志がずっと予約し続けてくれたことを知る。 出会った日にちなんで結婚予定日は3月17日なのだが、いままで開けなかった携帯の暗証番号が「0317」をやってみたら、開いた! あざといなあ、と思うけど実話なんだから仕方ない。 そして尚志が撮ってくれた動画の数々を観る。 いままで観客も観たことなかった数々の動画を観て感動する。 こういった画はいままでもどこかで観たような気がしますが、それでもセオリーに乗っ取ってやはり泣かせます。 この辺のツボを作り手は心得ています。 あと思ったのは土屋太凰が寝ているとき、たぶん薬の副作用のせいか顔が滅茶苦茶むくんでいる。まるで殴られた後のよう。 この顔が特殊メイクで加工してると思うのだが、怖かった。ここだけ観るとホラー映画のようだった。 基本泣ける映画です。あざといけど、うまいです。 スター・ウォーズ/最後のジェダイ日時 2017年12月17日16:25〜 場所 TOHOシネマズ日劇・スクリーン1 監督 ライアン・ジョンソン レイ(デイジー・リドリー)はジェダイ・マスターと呼ばれるルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)を訪ねてある惑星にやってきた。しかしルークはジェダイとしてレイを訓練することを断る。 一方、カイロ・レン(アダム・ドライバー)はレイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)率いる反乱軍を追いつめていた。 反乱軍の艦隊を撃破する帝国軍。レイアの艦もブリッジの攻撃を受け、死にかけたがフォースの力で九死に一生を得る。しかし帝国軍はさらに追ってくる。フィン(ジョン・ボイエガ)と整備兵のローズ(ケリー・マリー・トラン)は敵艦の追跡装置を破壊すれば、反乱軍の艦を追ってこれなくなると考える。それには敵艦の内部に進入するためにロックを解除できる人間の協力が必要だ。コード破りの達人がある惑星にいると知り向かう。しかし地元警察の捕らえられてしまう。そこで出会ったのがDJ(ベニチオ・デル・トロ)。 一方反乱軍の戦闘機乗りポー(オスカー・アイザック)は逃げるだけで作戦を持たないような司令部に疑問を持っていた。 「スター・ウォーズ」最新作。 今回、日劇で観たんだけど、まずは来年、日比谷にTOHOシネマズのオープンに伴い閉館するから、これが最後になるかも知れないと思ってきた次第。やっぱり日劇の名前がなくなるのはさびしい。 んで肝心の映画だが、やっぱりスターウォーズらしいドンパチが続く。 今回は空中戦だけでなく、ジェダイの修行とか、ならず者の協力を求めるとか、敵艦進入とか、地上戦とか今までの「スター・ウォーズ」にあった戦いの要素が全部入っている。 お約束事をはずさない展開だなあ。 でもならず者のDJは最後は1作目におけるハン・ソロのように絶対!最後には戻ってくると思ったので、そこは外したな。 あとレイは私はスカイウォーカーの娘だと信じているので(とにかく血がつながってる)、それがなかなか解らない。 後半、逃げる反乱軍の艦は攻撃され、輸送船で星に降りようとするがまた攻撃される。ってことはフィンとローズの活躍は何にもならん。 思えば「スター・ウォース」は大きくなりすぎた。 だからとにかく見せ場をてんこ盛りにしなければならないと思ってるらしく、それが逆にくどく感じた。第1作の時はクライマックスを絞っていたので、そこがよかったのだな。 だからいつまでも戦いが続くので、私は飽きた。 あと途中でカイロ・レンが最高指導者を殺したので「レンは反乱軍の味方をした!」と驚いたのだが、自分が今度は最高指導者と名乗り出すので、「ああやっぱり」と納得。 次の作品は2年後。 キャリー・フィッシャーもなくなったし、ハン・ソロも死んだ。残るはルーク・スカイウォーカーだけか。 何にしても楽しみである。 否定と肯定日時 2017年12月17日12:35〜 場所 TOHOシネマズ シャンテ・スクリーン1 監督 ミック・ジャクソン 近代史の歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)はナチによるホロコーストを否定するイギリスの歴史学者デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)を自身の著書で批判していた。 ある日、リップシュタットの講演会にアーヴィングがやってきて、会を乱していった。 数日後、リップシュタットの元に訴状が届く。それはリップシュタットの著書により学者としても名誉が傷つけられたというアーヴィングからの名誉毀損の裁判だった。 イギリスでダイアナ妃の離婚裁判の経験もある事務弁護士ジュリアス(アンドリュー・スコット)に弁護を依頼する。イギリスの司法制度ではこの場合、立証責任は被告側にある。つまりリップシュタットたちはアーヴィングの名誉など毀損していない、彼は歴史を修正していると証明する必要がある。実際に法廷に立つ法廷弁護士ランプトン(トム・ウィルキンソン)も加え、彼らは戦うことになる。 ホロコースト否定論者対ユダヤ人歴史学者の裁判。実話である。 こんな裁判が2000年頃にあったとは全く知らなかった。数週間前にこの映画のことを知ったときに初めて知った次第。 それにしても驚いたのはネット右翼みたいな歴史修正主義者は日本だけじゃなく世界中にいるんだなあ。日本人の中にいる「嫌韓・嫌中」みたいな人は日本の歴史事情から生まれると思っていたら、世界にもこんなバカ(としか言いようがない)はいるんですね。 日本人からするとアウシュビッツもホロコーストもなかった、と主張する人がいるとは信じれないのだが、実際にはいるらしい。 この映画に出てくるアウシュビッツを「南京大虐殺」に置き換えれば、すべて日本でも起こっていることだ。 あまりにも同じなので却って驚く。 アーヴィングを見ていて日本では渡辺昇一を思い出した。 彼らは記述のある一部だけを切り取ったり、前後の意味も無視して、都合のいい1行だけを抜き出す。そして証拠の写真も「信憑性がない」「偽造だ」と否定する。 そして差別主義者で男尊女卑なのも一緒。 世界中にそういうバカはいるんだ。 アーヴィングが講演で最近のテレビニュースを批判する。どうやら女性キャスターが気に入らないらしい。「男性キャスターに重要なニュースを読ませ、女性には簡単なニュースを、そして黒人には強盗とかの事件のニュースを読ませろ」という。 こういう人たちって「自分が正しい、自分が一番偉い」と思ってしまうんだろうな。 だから人の意見を聞かない。 アウシュビッツの生存者が「自分たちも証言する」と申し出るが、弁護団は反対。理由は「アーヴィングはしつこくどうでもいいことを訊き彼らの信憑性を疑わしいと印象づける」。却って証言者を傷つけることになる、と弁護団に言われて断念。 映画としてはリップシュタットや生存者とアーヴィングの直接対決とかがある方は盛り上がるのだろうが、事実はそんなことはしない。 (後半で方針を変えるかと思ったらそれはなかった) 裁判は結局リップシュタットの勝訴。 記者会見で「地球は丸いし、プレスリーも生きていません」と両論併記になりがちな人に対して「間違ってるものは間違ってます」と言い切る潔さがいい。 映画として無茶苦茶面白かった!という訳ではないのだが、日本だけでなく世界中にいる「バカ」をぶった切ってくれて、それは爽快感があった。 日本でもなんとか「南京大虐殺」否定論者を黙らせる方法はないものか。 蛇足ながらこの邦題はひどいと思う。 映画の内容がさっぱり伝わってこない。もう少しいいタイトルが欲しかったなあ。 探偵はBARにいる3日時 2017年12月16日19:10〜 場所 TOHOシネマズ上野・スクリーン4 監督 吉田照幸 探偵(大泉洋)は相棒ので北大の助手をしいている高田(松田龍平)の後輩の原田から、「彼女と連絡が取れなくなってしまった。探してほしい」と依頼を受ける。彼女の名は諏訪麗子(前田敦子)。 彼女のアパートに行き、預金通帳を調べてみるとピュアハートモデルエージェンシーから毎月入金があった。このピュアハート、ネットで調べてみてもモデル事務所としか紹介されてない。しかし個人撮影用写真モデルといいつつ、モデルと交渉次第でいろいろやらせてくれるところだった。 社長は岬マリ(北川景子)。だがバックに花岡組北城(リリー・フランキー)がついている。 早速探偵は北城の部下にボコボコにされる。波留(志尊淳)という奴が見た目と違ってめちゃくちゃ強い。高田も「強い」と逃げ出すほどだ。 北城の運送会社の運転手・椿秀雄が殺される事件が起きていた。積み荷は密漁の毛ガニと言われていたが、実は覚醒剤らしいと新聞記者の松尾(田口トモロヲ)が教えてくれた。 事件の裏側にはなにが?そして麗子は生きているのか? 最近では珍しい探偵ものの第3弾。「2」が出来てからなかなか「3」が来ないので心配していたが、やっと来た。 面白かった、の一言。 「2」を観たときに前に出てきたキャラクターをこっちは忘れてるのに説明なしに出てきたりしてちょっとポカンとした記憶があるが、今回は松重豊のやくざが出てくるときは説明っぽくなく説明するし、それは新聞記者の松尾も同様。 この辺がしばらくぶりに観たが、違和感なく観れた。 失踪した女を探すというありふれた事件だと思ったら、やくざがらみの抗争に巻き込まれていくというお決まりの(が、一番観たい)展開。 北城を裏切った岬が椿のお気に入りだった麗子を使って、輸送ルートを知り、殺し、覚醒剤を奪った、というのが真相。 奪った覚醒剤を再度北城に1億円で買わせて金に換えようという作戦。 雪の札幌を舞台に(札幌は雪が降るので、この雪の風景がいい)探偵が裸にされて拷問にあったりとかのお決まりの展開や、色気で迫る喫茶店のウエイトレス峰子(安藤玉恵)などの笑いの要素もある。 岬マリは自分の生めなかった子供と同じ誕生日の病気の子に金を残そうとして今度の事件を起こした、というラスト。 長すぎる、というほどではないが、もう少し上映時間を短くなるほうがよかった気もする。 だが今回は話も複雑すぎず、笑いの要素も多く、非常に観やすい作りになっていた。 面白かった。また観たいと思う。 「1」「2」もレンタルで再見してみようか。 挑発美容室 人妻の匂い日時 2017年12月16日16:24〜 場所 上野オークラ劇場 監督 佐藤寿保 製作 エクセス 真理江(鈴川玲理)は小さな美容院を麗子というスタッフと二人で経営している。閉店後、夜な夜な真理江と麗子は絡み合うレズビアンの関係だった。前の夫に慰謝料としてこの美容室を作ってもらったのだが、前夫(池島ゆたか)は「契約書にハンコがどうの」と言って会うことを連絡し、復縁を迫るが、真理江にはその気がない。 ある日、シノミヤという中年男が客としてやってきて、真理江を誘う。 男を求めていた真理江はその誘いに乗る。 真理江を愛する麗子は気が気でない。 シノミヤは真理江をデリヘル嬢との3Pに誘う。麗子も誘われる。 麗子と真理江との3Pをシノミヤは望む。真理江を取られたくない麗子は、股間に張り型をつけて真理江を犯す。 それが快感となった真理江を麗子は犯すようになる。美容室は連日真理恵としたがる客で行列が出来る。 客たちと真理江と麗子の複数プレイが毎日行われるようになった。 話は全部書いた。 クレジットを見たら助監督に今岡信治、監督助手に榎本敏郎とある。後のいまおか監督、榎本監督だ。 脚本は五代響子。佐藤寿保が監督だから変なフェチとか出てこないかと思ったが、それはなく、至って普通のピンク映画。 脚本が五代響子だからか。 服装とか髪型がバブルの頃、と言った感じ。いまおか榎本監督が助監督なのだから90年頃の作品なのだろう。 その頃のファッションセンスがいっぱいで、今となっては懐かしさも感じる。 純愛不倫 恍惚のくちづけ日時 2017年12月16日15:22〜 場所 上野オークラ劇場 監督 渡邊元嗣 製作 OP映画 単身赴任中の慎也(なかみつせいじ)は妻を残している立場だったが、部下の派遣社員の葵(本田莉子)と結婚を考えていた。妻の絵美に浮気がばれてしまい、絵美は葵のアパートにナイフを持って押し掛ける。しかしそこに葵はいなかった。 葵が失踪して1年、慎也は女探偵の杏子をやって調べさせていた。しかし彼女の名前も本籍もすべてでたらめで、葵の行方は解らない。杏子は葵の家の近くの防犯カメラに帽子を被った男(伊藤猛)が写っていた。 そんな時、慎也はある夜、酔っぱらって道で倒れていた女性サキ(本田莉子)介抱する。「葵だろ?」という慎也にサキは「違います!」と答える。 はたして彼女は葵なのか?他人のそら似か?それとも? 「現れた女は果たして葵なのか?それとも別人か?」の興味で最後まで引っ張られた。 サキの身元を杏子に調べてもらったところ、去年東京に来てそれまで実家暮らしをしていたというので、「葵であることは無理」と否定されてしまう。しかし「スパークリングワインにイチゴを入れるとおいしい」など言うことが似ている。 杏子は都市伝説も趣味で調べていて、「失踪者は月の裏側で幸せに暮らしているという話を知っていますか?」などと言ってくる。 これが伏線になっている。 杏子は謎の男に近づき、体を使って聞き出す。 結局は「実は宇宙にすでに選ばれた人『選民』が住むコロニーがあって、地球にはそのクローン人間がいる。彼らはクローンから臓器の提供を受けることによって永遠の命を得ている。葵も絵美もクローン人間で、謎の男はその迎えにきた人間」というオチ。 なるほどねえ。ミステリーというよりSF的オチでしたね。 「ミステリー・ゾーン」などを思い出させます。 面白かったです。 肉体販売 濡れて飲む日時 2017年12月16日14:02〜 場所 上野オークラ劇場 監督 加藤義一 製作 OP PICTURES ユイ(きみと歩実)は栄養ドリンク・リフレットの訪問販売員。出口支店長(山本宗介)に片想い中。しかし売り上げ不振で支店は閉鎖の危機に。 それを聞いたユイは売り上げアップ作戦を開始。 常連のお客さんの灘さん(久須美欽一)に頼むと何人か紹介してくれた。しかし経営不振で余裕がなかったり、セクハラを強要されたりして契約は取れなかった。 一方、支店長は「リフレットを18本続けて飲むと奇跡が起こる」という都市伝説をネットで流し、売り上げUPにつなげる作戦を思い立つ。 灘さんからも18本の注文が入る。灘さんは人柄もよく資産家だが、結婚していない。実はいつも家に出入りしている便利屋の進藤くん(橘秀樹)に恋をしていたのだ。灘さんは18本のリフレットを飲んで「進藤くんの好みの女性になりますように」と願う。 翌朝、起きたら女性(和田光沙)になっていた! ユイも以前大口の契約を取って寿退社した先輩に連絡を取り、秘訣を聞いてみる。それはエッチな下着で相手を誘惑することだった! この間、切通理作脚本のゲイ映画を観に行ったとき、「久須美欽一さんはもともとはスーツアクターで、ゴジラ映画にも出ている」とおっしゃっていたので驚愕。帰って関連本を調べてみたら確かにインタビューを掲載した雑誌が家にあった。灯台もと暗しとはこのことだ。 久須美さんは「ピンク映画の男優さん」という認識だったので(特に私にとってはゲイ映画)これはホントに驚いた。 その久須美さんが本作で「大変身します!」という情報をツイッターで見たので見に行った次第。 てっきり国沢実作品みたいにヒーローに大変身するのかもと思ったら大はずれ。そのツイッターを読み直したら「大変身します」としか書いてない。私の思いこみだったようだ。 最近のピンク映画ってエロよりもドラマを重視する傾向が強いと思っていたが(同じ加藤義一で言えば「悶絶上映 銀幕の巨乳」とか)、本作は今時珍しいピンク映画らしいピンク映画だ。 「女性訪問販売員が売り上げアップの為に体を使う」なんて先週見た「子乳保険レディ」と全く同じである。(同時上映しなくてホントによかったですね) セクハラに悲鳴をあげていたユイだが、先輩の助言を受けると途端に積極的になって契約成功(相手は森羅万象)。 「灘さんがいなくなった!」と本気で心配してくれる進藤くんを見てますます好きになる灘さん。灘さんは女性の姿で合体することに成功する。 そして翌朝になったらなぜか元の姿に戻っている。 その後も灘さんと進藤くんはラストでは軽くキスぐらいする関係になっている。(進藤くんってバイなのか?) この進藤くんの橘秀樹さんだが、最近ピンク映画で見かける男優さん。 イケメン好青年でなかなか今後が期待できる。したい。 橘さんが出てるか否かで鑑賞を決めるのも悪くない。 本来なら、進藤くんの役を女性にしてもピンク映画なら良さそうなものだが、男性にしてあるところがポイントである。 ラストでは車いすに乗る灘さんを進藤くんが押しているのだが、灘さんと軽くキスをする展開。 森羅万象の社長にセクハラされて驚いていたユイが、先輩の助言で急に体を開く展開はちょっと気になるが、楽しかった。 あと「デマを流して売り上げを伸ばした」のだから、支店長が「マーケティングセンスが認められて昇進した」ってその会社「コンプライアンス」がテキトー過ぎないか? ちょっと気になった。まあどうでもいいけど。 火花日時 2017年12月11日18:50〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12 監督 板尾創路 漫才コンビ・スパークスはまだ売れていない。今日も熱海で営業だが、たちの悪い客に舞台をめちゃくちゃにされる。落ち込むボケ担当の徳永(菅田将暉)にあほんだらというコンビの神谷(桐谷健太)が「仇とったるで」と言ってくれた。その後飲みにいく二人。 神谷の男っぷりに惚れた徳永は神谷に「弟子にしてください」という。 去年お笑い芸人ピースの又吉直樹が書いた小説で芥川賞受賞作の映画化。 お笑い芸人が書いた小説が芥川賞受賞ということでずいぶん話題になったし、ベストセラーにもなった。今年の初めにはドラマ化され(地上波ではなくネット配信)、そのときは主人公の徳永は林遣都が演じているはずだ(未見)。 あんまり興味なかったので、パスしようかと思っていたが、主演が菅田将暉なので鑑賞。最初に「菅田将暉主演で映画化」と聞いたとき、「売れてる奴連れてくればいいだろう」的なものを感じて引いたのだが、映画を観るとやっぱり菅田将暉はすごい、としか言えなくなる。 今年の主演男優賞は「あゝ荒野」と「火花」で菅田将暉に決まりだろう。 解散ライブで「思ってることと逆のことを言う」というネタで「お前には感謝しとらん!この10年間ぜんぜん楽しなかった!」というあたりはもう圧巻である。 映画を観ていて意外に淡々としているなあ、と思った。神谷など映画的に言えばもっと破天荒でむちゃくちゃするエピソードがあっても良さそうだが、それほどでもない。 パンフレットにも板尾監督は「自分も芸人だがもっとむちゃくちゃな人はいた」と書いている。 「ただの破天荒な男の話」にはしたくなかったのかも知れない。 それでもラストで豊胸手術をした神谷はすごい。でもそこはあまりつっこみ過ぎないのだな。 それにしても芸人の世界とは難しい。「笑わせる」と「笑われてる」は違うし、そのうち「笑いとは何か?」という「笑い」という人生で一番気楽なものの対局にあるような悩みにぶち当たるのだから。 ホントにただのバカでは芸人にはなれないよ。 こういった二人の話では徳永の方が成功し、神谷が落ちぶれて再会する、というのが定番になりそうな物語だが、徳永も芸人を辞め(相方が辞めないと言ったからなのだが)、今はサラリーマンになっている。 芸人やめた人間なんてただだらだらとヒモのような生活をしていくイメージがあったが、彼はサラリーマンになれる常識をまだ持ち合わせていたのだろう。 サラリーマンって向き不向きあるからね。(上下ではない) 徳永たちもテレビには出ていたが、でもあの程度ではダメなんだろうなあ。 夢路いとし喜味こいしをモデルの漫才師の訃報がテレビで流れる。 「鍋が好き」というネタなのだが、やっぱりしゃべくり漫才のクラシック的な地位なのだろう。 顔の濃いピン芸人が売れていく姿も出てくるし、徳永本人も「ああいうのは苦手」という。「ネタではなくキャラクターで売る」という手法で、やっぱり正当派のしゃべくり漫才を目指していただろう徳永には邪道に見えるのだろう。 しかし最後には神谷が豊胸手術をして「俺、今までキャラを否定したたけど、それもありかなって思った」と言われた時の徳永のショックはいかほどだったか。 その前にも徳永の髪型を真似したりして失望が始まっていたのに。 神谷の「世の中に漫才師は一組だけだったらあんまり面白くないと思う。色んな奴がいて、先輩がいて、そいつと違うことしようとか先輩の路線を引き継ごうとかお互いを意識するから、ますます面白くなるのや。そういう沢山の仲間は必要なんや」という言葉には感心した。 そうだよなあ。そういう無名の芸人への感謝でもある作品なんだ。 最後で熱海の店で漫才大会のチラシを見て「またやろう」と神谷が誘うのを断る徳永。「やらないですよ」と言い続けるカットで映画は終わる。 どっかにまだ漫才への未練があるのか、それともさっぱり切れたのか、それは解らない。 その余韻がよかった。 仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー 日時 2017年12月10日17:30〜 場所 TOHOシネマズ川崎・スクリーン6 監督 上堀内佳寿也 えーと仮面ライダーがたくさん出てきます。 仮面ライダーは二つのグループに別れていて、それぞれがパラレルワールドで別世界のようです。しかし会うはずのない仮面ライダー同士が遭遇します。 調べてみるとマッドサイエンティストの最上博士(大槻ケンヂ)がいてエニグマという機械を作って二つの世界を行き来出来るようにしたのです。 しかし実はその最上博士の真の目的は二つの世界を癒合させ、爆発させ、自分だけが不老不死になろうということなのです。 ライダーたちは最初は反目していましたが、先輩ライダー如月(福士蒼汰)も現れ、彼らは協力して博士の野望を砕き、それぞれの世界に戻っていきました。 ストーリーはこんな感じ。 「仮面ライダー」なんて初めから(藤岡弘の頃から)観てないし、世界観がさっぱり分からない。 でも観たのは福士蒼汰がゲスト出演しているから。 最後の方で変身前の姿でちょろっと出てきて、最後に出てくるだけだから、撮影は2日ぐらいか。 たくさんのライダーが出てくるが、とにかく解らないので、もう理解しようとはしない。とにかく悪い博士が出てきて世界を破滅させようとしていてライダーたちがそれぞれ色々あるらしいが、力を合わせて戦う、というのは解った。 いくつか思った点はある。 まず、なんかカプセルを使って腰のベルトに装着し変身している。今放送中の「ウルトラマンジード」でも怪獣とか先輩ウルトラマンのカプセルを使って変身するのだが、まったく同じじゃん。 もちろん基本にはおもちゃメーカーの戦略があるのは解るが、同じような変身シーンなので、「こうやってお互い影響を受けてるんだ」と思う。 「ジード」の方は「スター・ウォーズ」のスカイウォーカー一族がウルトラ戦士と被る部分があってその影響も受けてるんだが。 もはやライダーとウルトラマンの違いは巨大化するか等身大かの違いである。 そして最近のライダーはバイクにあまり乗らないのだな。バイクアクションがかつての「仮面ライダー」だったのだが、暴走族の温床になるという配慮なのか、バイクに乗るのは最後のほうだけ。 そういうものなのかあ。 あと先日DVDで昭和41年の「黄金バット」を観たのだが、基本この映画もやってることは同じである。 強大な力をもった悪人が地球を滅ぼそうとして色々するが、それを正義の味方が倒す、ということだ。 もちろん今の「仮面ライダー」のスタッフが「黄金バット」の直接の影響を受けてるとは思わない。 しかしやっぱり時代劇からの「東映イズム」といったものが脈々と受け継がれている気はする。 (「黄金バット」だって元をたどれば時代劇のヒーローものに行き着くだろう) また二つの地球が近づいてきて、そらに向こうの地球が見えて、日本が見えてやがてはビル群が見える映像は、SF映画として画的にすばらしかった。 最近注目の俳優、瀬戸利樹の出演が少ないのは寂しい。福士蒼汰がゲスト出演なのは知ってたから少ないのは致し方ないけど。 でも配信で福士蒼汰の「仮面ライダー・フォーゼ」を2本ほど観たが、あのリーゼントヘアには馴染めないなあ。 あれで人気が出たのはよく分からん。 旅の果て日時 2017年12月10日15:34〜 場所 光音座1 監督 荒木太郎 製作 大蔵映画 ウクレレ弾きの青年ヒロはウクレレを弾きながら旅を続けていた。どこ屁行っても嫌われる。ある日、ヒロはかつて自分がウクレレを弾くきっかけを作ってくれた縦笛吹きと再会。しかし今は自堕落に連れの男と体を重ねるだけの男で失望する。 公園で寝ているところを財布泥棒にあいそうになる。その泥棒の男と一緒に旅をして、ヒロがウクレレを弾いて人々の注意を引きつけている間に男が泥棒することがうまくいく。男は「これからもコンビを組んで泥棒しよう」というが、ヒロは「俺は泥棒じゃない」と断る。 旅芸人のグループで食事をもらうヒロ。 昔の知り合い(今泉浩一)と再会するヒロ。でも一晩で出会った商店街で別れる。 金持ちの男(荒木太郎)に拾われて、大きな風呂に入れてもらう。 農家で野菜をもらうヒロ。 今はセールスマンとなったこの間の泥棒と再会するヒロ。今度は自分から彼を犯す。翌日、泥棒は故郷に帰ると行って出て行った。 ある老人(野上正義)と再会。二人は体を重ねる。 金持ちの男と再会。 最初の笛吹の男が再び笛を吹いているのを見かける。 最後はヒロは下着だけで寝ころんでいる。 荒木太郎監督作品。 話はだいたい書いたけど、ドラマはない。荒木監督は夏に観た「空に咲く愛の地図」もそうだが、説明的なシーンはなくてポイントポイントだけを描く。 説明なしだから、人物の関係性とかよく分からない。というか説明する気がないのだろう。 ただだらだらと意味不明の旅をするだけで、しかも話は暗いし、あまり好きになれなかった。 主人公のヒロはよかったですけど。 ラスト、パンツだけで膝を抱えて寝ている姿は胎児のようにも見えた。 ヒロの生まれ変わりを表しているのか? 同時上映は「君に薔薇薔薇」でこちらをもう一度観たかったから今日観たけど、「旅の果て」はもう一度観たいとは思わなかったな。 オリエント急行殺人事件(2017)日時 2017年12月9日19:10〜 場所 TOHOシネマズ上野・スクリーン7 監督 ケネス・ブレナー エルサレムでの宝物盗難事件を解決したエルキュール・ポワロ(ケネス・ブレナー)。しばらく休暇を楽しむつもりだったが、急遽イギリス政府より依頼があってロンドンに向かうことに。 鉄道会社の知り合いのつてでオリエント急行に乗車したが、この時期はいつも空いてるというのに満席で乗れない。その知り合いのおかげでなんとか寝台を確保してもらうポワロ。 出発後、ラチェット(ジョニー・デップ)から「誰かに狙われている。身辺警護を頼みたい」と高い金額で依頼されるが胡散臭そうなラチェットを見てポワロは断る。 深夜、雪崩に巻き込まれ脱線した。救助隊が来るまで動けない。朝、ラチェットは死体で発見された。殺されたのは深夜1時から2時と乗っていたアーバースノット医師は判断した。 2等車との扉には鍵がかかっていて、1等車の12人が容疑者だ。 鉄道会社から犯人を探してくれるようポワロは依頼される。 ラチェットの部屋にあった燃えかすからラチェットは偽名で、かつてアメリカで起こったアームストロング家の娘の誘拐事件の犯人だったということだ。 果たして真犯人は? 「オリエント急行殺人事件」はシドニー・ルメット版を見て犯人は知っているので、犯人当ての楽しみはなし。まあ考えてみたら犯人の設定はかなり卑怯な手なのだが、最初にやったもの勝ちなのでしょう。 前半で豪華な列車や料理を見せるので、テレビのグルメ旅番組を見てる気分になった。日本の映画、それもテレビ局の映画なら「そんなもんだ」と思えるが、外国映画でもそういうの流行なの? ルメット版を観たときに「車内で会話するだけで同じような画が続き退屈」と思った覚えがあるが、さすがに今回は止まった列車の上をポワロが外部の進入の有無を確認するために上ったり、ラチェットの秘書が使い込みがばれて犯人と疑われたので逃走しようとして橋を降りて追っかけっこをするシーンがあったり、事情徴収を外で行ったりととにかく画に変化をつけようと懸命に努力しているのが伺える。 その点はルメット版との違いを出している。 ラストに至っては食堂車で一同を集めての謎解き、ではなく、トンネルの中で乗客を横一列に並べて(キリスト教の宗教画の「最後の晩餐」のように)謎解きをする。 数年前にルメット版を観たときに「結局犯人を許している。それは復讐を許すことになりどうかと思う」と思ったのだが、今回は「悪人が殺されたとは言え犯人を探さないわけにはいかない」「この世には善と悪があるだけ、中間はない」とポワロが言っているので「ひょっとして最後の扱いは違うのでは?」と思ったが、やっぱりポワロは許す。 やっぱり原作ファンを裏切るわけにはいかないか。 ラストは「ナイルで殺人事件がありました。イギリスではなくそっちに行ってください」と言われて向かうシーンで終わり。 当たったらシリーズ化を目論んでいるようである。 ところでこの映画、やたら映像が鮮明なのでデジタル撮影だと思っていたら「65mmフィルム撮影」だという。70mmなら知ってるけど、65mmって何だ? 熟女6人 しびれる股間日時 2017年12月9日16:30〜 場所 上野オークラ劇場 監督 深町 章 製作 新東宝映画 達夫(杉本まこと・現なかみつせいじ)はサラリーマン。今でも妻を愛している。妻・真紀子は通訳も出来るので、時々派遣で呼ばれていく。 今日も京都で行われる会議の手伝いに駆り出され、泊まりがけで出かけていった。 達夫はいま会社でリストラに合いそうだった。親友の望月によって専務に取り入ることにする。ところがこの専務、「不倫が出来ない奴は仕事が出来ない」と不倫を推奨し、「社員同士は裸のつきあいが大切だ」と乱交パーティが好きな男だ。 今夜は達夫の家で、望月と望月の恋人、専務と社長秘書がやってきて、乱交パーティ。相手のいない達夫のために望月は知り合い(林由美香)をつれてきてくれた。 翌朝、専務の携帯を達夫の相手の女性が出てしまったことから大騒動。「やばい、女房に知られる!後は任せた」と言ってみんな帰ってしまう。 困り果てた達夫だったが、達夫の元に社長秘書(だと思う)から電話がかかってくる。「専務の奥さんは社長の娘で今まで好き放題やってきた。だから逆に征服願望があるから、犯しちゃいなさい」 やぶれかぶれになった達夫はやってきた専務の妻を犯してしまう。そこへさっきの社長秘書がやってきた。実はこの二人、レズの関係にあった。 二人でプレイを楽しむ。 一方、真紀子は実は望月と関係があった。それも達夫と結婚する前からだった。 社長秘書は達夫のシャツに口紅を付ける。 真紀子は帰ってきて、何もなかったかのように食卓を囲む。 翌朝、真紀子は口紅のついたシャツを袋にいれて達夫に捨てさせるようにする。何も知らないのは達夫だけだった。 本来なら今日の11時35分から上映される予定だった映画。舞台挨拶が終わって「また保険レディだったら帰ろうかな」と思っていたが、映画が始まって新東宝マークが出たのでもう1本観て帰ることにする。 本日は4本観たことになる。 観ようかどうか迷ったのだが、冒頭のクレジットで助監督・榎本敏郎、監督助手今岡信治の名前を発見。別に彼らの作品という訳ではないんですけど面白い。 そう言えば「保険レディ」の方は竹洞哲也監督が助監督だった。 前半は達夫の家での乱交パーティのシーンが延々と続く。 こういったカラミのシーンが延々と続くと果たして脚本はなんと書いてあったのかと思う。カラミのシーンを延々と詳しく書いてあったとも思えないし、かといって「カラミよろしく」で15分経過させるとは思えないしな。 今度いまおかさんに会ったときにでも聞いてみよう。 そんな感じで前半は乱交、後半にはレズシーンもあり、最後にちょっとオチがつく豪華なピンク映画らしいピンク映画だった。 まぶしい情愛 抜かないで・・・日時 2017年12月9日13:40〜 場所 上野オークラ劇場 監督 竹洞哲也 製作 OP PICTUERS 娘に自殺されたキモト(森羅万象)は今は孫娘の夏(若月まりあ)も独立し、一人で住んでいた。ある日、自宅のポストに入っていた家事派遣のサービスを利用してみる。そこへやってきたのはミナコだった。 夏は仲が悪かったとはいえ母に自殺され、また同棲していた恋人は事故で死んでショックを受けていた。そんな時、壊れた自転車を直して助けてくれたのは幼なじみのイサオ(工藤巧真)だった。イサオは彼の父親の工場で働いていた。手に付いた機械油の匂いに夏は自分の父を思い出す。 夏の親友・乃亜(優梨まいな)は恋人に目の前で自殺され、その心の穴埋めをバイト先のバーのマスター(那波隆史)に求める。 11月に公開した「ヤリ頃女子大生 強がりな巨乳」の続編。 本日は15時から舞台挨拶付きだが、本日のみ「ヤリ頃〜」の方も上映。 続編とは言ってもだいぶテイストが違う。前作は青春ものとも言えたが(というかカットされたシーンが多いので、よくわかっていない。本日の舞台挨拶でも話題になったが、かなりカットされている。R15版ではノーカットになるらしい)今回はマスターや夏の祖父が物語の中心を占める。 脚本は小松公典さん(当方ボーカル名義)さんの単独ではなく、深澤浩子さんとの共同。 内容も異なるが、語り方も違っていてこちらはほぼ全編ナレーションがつく。 だから登場人物が小説の文章のように自分の心情を語っていく。 これがちょっとついていけなかった。 具体的には忘れたけど、前も(竹洞監督だったか。確か痴漢電車もの)でも似たようなのがあったなあ。 「ナレーションは必要最小限とする。出来ればない方がいい」という原則を信じる方なので、どうも着いていけない。 もちろんベテラン小松さんなので、私のような素人の意見を越えたところに意図はあるんだろうが。 結局、映画の世界に入れないので、完全に那波隆史さんや森羅万象さんの男優陣のかっこよさ、新人・工藤巧真さんを楽しむしかなかった。 那波さん、相変わらずかっこいいなあ。 一般映画でも是非活躍して欲しいところだ。 巨乳保険レディ 契約は肉体で日時 2017年12月9日11:35〜 場所 上野オークラ劇場 監督 小川欣也 製作 OP映画 保険外交員の美津子(波風きら)は営業所で保険契約のトップを取っていたが、新人で巨乳の理沙(友田真希)に成績で追い越されそうになっていた。美津子は理沙が体で契約を取っていると妄想する。 理沙は契約者の家に行くとそこの奥様(倖田李梨)が若い男を家に連れ込んでいるところを目撃する。それを家に帰って夫に話す美津子。久しぶりに美津子は風呂場で求めたが、夫は応えてくれない。 ある日、理沙宛にかかってきた電話に対応する美津子。お客様に呼ばれていくと、男は美津子の体を求めてきた。体を許し契約を取る美津子。 彼女も体で契約を取ることに抵抗がなくなったようだ。 その頃肝心の理沙は恋人(久保田泰也)とラブホで何度も求め合っていた。 本日、竹洞監督の新作「まぶしい情愛 抜かないで・・・」の公開。この映画は11月公開の「ヤリ頃女子大生 強がりな巨乳」の続編ということで、舞台挨拶のある本日だけ、「ヤリ頃女子大生」の再上映があるということで、通常の旧作2本のうち、この「巨乳保険レディ」は上映されないはずだったが、手違いでこちらを上映。 始まったとき、「OK企画」とか表示されたので「あれれ?」と思っていたらそのまま上映された。 竹洞哲也監督が助監督でクレジットされていた。 小川欣也監督らしい、カラミ、カラミの連続で、いかにもピンク映画らしいピンク映画。 まあ今のピンク映画がドラマに軸足を置きすぎてるとも思うのですが、時代の流れでピンク映画も変わっていきます。 明るい作風でピンク映画らしくてよかったですね。 (そうとしか言いようがない) ついでに書いておくと、この後「ヤリ頃女子大生 強がりな巨乳」の上映。ところがスクリーンサイズの設定を間違えて、ビスタサイズなのに上下に画面を伸ばした形式で上映が始まってびっくり。 言いに行こうかどうしようか迷ってるうちに途中で直った。 今日の上野オークラはボロボロである。 黄金バット日時 2017年12月5日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 佐藤 肇 製作 昭和41年(1966年) 天体観測が大好きな風早アキラ少年(山川ワタル)は天体観測をしていて、惑星イカロスが地球に衝突することを発見する。天文台に申し出るが相手にされない。そんな時、黒ずくめの男たちに拉致される。 拉致したのは実は国連の研究機関、パール研究所のメンバーだった。 中心的メンバーのヤマトネ博士(千葉真一)はアキラをイカロスの異変を察知したアキラをメンバーに誘う。承知するアキラ。 パール研究所の所長、パール博士(アンドレ・ヒューズ)とヤマトネたちはイカロスを破壊する光線砲を開発していて、それは完成直前だった。あとは光を集めるレンズが必要だ。その原石を求めて所員たちは世界中を探索していたが、その中で大西洋で消息を絶った者がいる。 ヤマトネを始め、アキラたちもその地点に向かう。そこには地図にはない島があった。上陸してみると遺跡があった。これはかつてのアトランティス大陸の一部らしい。遺跡に入ると例のレンズの原石は発見した。 だが、彼らは謎の集団に襲われる。パールの孫娘のエミリーが、遺跡の中にあったミイラの胸に水を一滴たらす。 そのミイラは「黄金バット」となって復活した! 70分ぐらいの映画を家で観たいな、と思って選んだのがこれ。 「黄金バット」は子供の頃、アニメで観ている。黄金バットの高笑いの歌が印象的だ。この映画のオープニングのクレジットのバックの歌もこの歌だ。 「黄金バット」は元は紙芝居だが、このアニメもある程度の年代の人なら記憶しているだろう。「鋼の錬金術師」も実写映画化だが、この「黄金バット」だって実写映画化だ。 お話がいきなりSF的で驚く。てっきりナゾー(悪の頭領)が宝石を狙って少年探偵団とか明智小五郎みたいなと黄金バットが活躍する内容かと思っていたが、ぜんぜん違うのですね。惑星の衝突ですよ。 東映もこの頃はテレビの「キャプテン・ウルトラ」とか「ガンマー第3号」とか宇宙SFものが多かったしなあ。怪獣、SFブームだった影響かな。 黄金バットの誕生の秘密が描かれるまではテンポよく壮大なスケールで話が進む。 実はイカロスも地球を破滅させるのが目的のナゾーが呼び寄せたのだ! ナゾーはヤマトネたちの光線砲を奪い去るが、肝心のレンズが別に隠してあるので使えない。 そこでケロイド(沼田曜一)をはじめとする手下を送り込む、という流れ。 このあたりでやや話がスケールダウンする。 でもこのケロイドという怪人がなかなかくせ者。なぜか顔半分はケロイドに覆われていているから「ケロイド」らしい。今ならやばいんじゃないか、このネーミング。 後半はナゾーよりこのケロイドが画面をさらう。 んで一番気になったのが、アキラ少年だ。「君は宇宙にも造詣が深い」とか言われてスカウトされたのはいいが、その後活躍らしい活躍はなし。 いることはいるのだが、ヤマトネの周りをうろうろしてるだけで、どうにも寂しい。 脚本に変更でもあったんだろうか? たとえば最初はアキラが黄金バットを呼ぶはずだったのが、少女に変更になったとか。 それにレンズを奪われてしまって、所員(中田博久ら)に「博士どうしましょう?」と詰め寄られて「わからん!」っていうなよ。 脚本も出だしはよかったが、徐々に苦しくなってきた様子が感じられる。 結局はレンズは取り返し、惑星も破壊。(イカルスは地球に来る前に月に激突して破壊している)めでたしめでたし、である。 細かい点には不満はあるものの、東宝SFとは違った東映らしい雑なSFで(50年代のアメリカB級SFみたい)、十分楽しかった。 僕らの愛の奏で日時 2017年12月4日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 草野陽花 製作 2008年公開 多岐坂真樹(渡航輝)は今はサラリーマン。だが7年前のピアノの音大生の頃、思い出の恋をした。 7年前、ピアノの勉強をするマキだったが、練習が嫌いで同級生の石神来果(早田剛)と遊び、夜は色んな男と体を重ねていた。しかし同級生でいつも一人でいる崎沢流唯駆(内山眞人)を気になっていた。 ピアノの教えて欲しいということを口実にルイクに近づくマキ。誰かに誘われることのなかったルイクは戸惑いながらもマキと距離を縮める。 だがマキが体の関係を迫ってきても応えることは出来なかった。 近いうちにピアノのテストがある。ルイクはマキのことを考えている時に階段で転んで手に怪我をしてしまう。 試験までに手の怪我は治りそうにない。担当の山岸教授(大村波彦)に試験の延期を頼むものの、「君が私に体を預けてくれればいいよ」と言われてしまう。 断るルイク。大学に来ないルイクを心配してマキはルイクの部屋に行ってみる。そこでは酒で溺れたルイクがいた。彼はピアノを辞めるとまでいいだす。 マキはライカに「山岸はお前に関心があるみたいだぜ。それで頼んでみれば?」と言われ、山岸とホテルに行く。山岸は試験の延期を「大学には内緒だぞ」と言って許してくれた。 それからマキとルイクは一緒に暮らす。大学を卒業してルイクはプロ演奏家として活躍を始める。 ルイクはオーストリアの大学院を受験し、合格する。 マキは「自分はきっとルイクの邪魔になる」と部屋を出ていくのだった。 結局全部話は書いた。 また久しぶりにBLドラマを見たくなったので、観た次第。 出演者は誰一人知らない。なじみのない役者だとありがちな誰と誰が解らなくなる混乱した。 最初の方でマキは若い男とベッドでことが終わった後の会話をしている。 この男がその前に仲良さそうにしていたライカかと思ったが、別人らしい。つまりこのカットだけのセックスフレンド。 もう一人、ルイクが振り向いてくれないので、またまた別の男(こっちはめがねをかけていた)をベッドでがんがんに後ろから攻めている。 この数秒だけでまたセフレ登場。 もうちょっと出してやれよ、二人とも。 当然ライカとも関係があるマキ。マキがルイクを好きになったので、嫉妬に狂ってルイクに意地悪するかと思ったらそういうことはしない。 例のオーストリア行きが決まったときに「マキは教授と寝たから君が試験を延期できたんだ」と教える。 でもそれだけ。ちょっと意地悪する程度だ。この辺のライカの心情を描くともう少し面白くなったと思うのだが。 あと教授とはラブホ(!シティホテルじゃなくラブホ!)に行って出てくるカットしかない。 ここは部屋の中でマキが裸で教授のいるベッドに入るカットを撮りましょうよ。 撮影にホテル代がなかったのかな? マキがピアノが下手だという設定だが、試験の前にマキがピアノの練習をするカットがなく、「おいお自分は大丈夫か?」と心配になった。 そもそもこういう映画で役者がピアノ出来なくてごまかしになるんだから、ピアノ演奏とかシナリオに書かない方がいいんじゃないかなあ。 やっぱりピアノとか、音大とかの要素が恋愛ドラマっぽいという発想なのかな? いろいろと不満もあるのだが、正直それは最初から予想できたので、気にしない気にしない。 それなりに楽しく拝見しました、ハイ。 鋼の錬金術師日時 2017年12月3日12:30〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン9 監督 曽利文彦 架空の国、アメストリス国。エドワード・エルリック(山田涼介)とアル・エルリック兄弟は幼い頃に母が病死した。父は旅に出たまま戻らない。二人っきりになった兄弟は「人体錬成」の術を使って母をよみがえらそうとする。しかし失敗し、エドは左脚をアルは体すべてを失った。アルは今は空の鎧の体に魂だけが入っている。 エドは伝説の「賢者の石」を手に入れれば自分の体と弟の体は元通りになると信じ、それを手に入れるべく旅をしている。ある街でそれを持っているという教主(石丸謙二郎)を捕まえてみたが、偽物だった。 旧知のマスタング大佐(ディーン・フジオカ)と会い、彼の上官のハクロ将軍(小日向文世)を紹介される。 エド兄弟に力になりたいハクロはキメラ(合成獣)の研究をしているタッカー(大泉洋)に引き合わせる。だが「賢者の石」についてはタッカーも解らない。それについて知っている可能性のあるドクター・マルコー(國村隼)を教えてもらう。 エドとエドたちと幼なじみでエドの義手を作ったウィンリィ(本田翼)とともにマルコーの元に向かう。しかしマルコーは答えない。さらにラストという女(松雪泰子)が現れ、マルコーを殺してしまう。 ラストにはエンヴィー(本郷奏多)、グラトニー(内山信二)という仲間がいた。 ワーナー製作。原作コミックは世界各国で読まれているというベストセラー。ワーナーは今年、「銀魂」「ジョジョの奇妙な冒険」と3本もベストセラーコミックを映画化した。それも高校生男女の恋愛のような少女コミックではない。 当然私は原作未読なのだが、山田涼介が主演なので観に行った。 うん、イタリアロケ。エキストラには現地のイタリア人はいなくてすべて日本人。CGもすばらしい。ギャグのセンスが合わなくてげんなりする事もない。 この映画に関わったスタッフ、キャスト、すべての関係者が出せる力を最大限に出し切ったと思えるクォリティである。 心から「お疲れさま」と言いたい。 ではこの映画が面白かったかというとそうじゃない。 山田涼介をはじめとする(山田が悪い訳じゃない)日本人キャストに「エド」とか「マルコー」とか「タッカー」とか外国人名を付けられてもぜんぜん似合わないのである。 違和感がハンパなく、とても作品世界に入れなかった。 「ジョジョ」の場合は外国でロケしても、役名は日本人名だった。だからなんとか違和感がなかった(山崎賢人の髪型はなじめなかったが)。 じゃあ「エド」という感じの西洋人キャストでやればよかったかというと演技の感じが変わってしまって、それこそ「ドラゴンボール」のハリウッド実写映画化みたいになった気がする(こちらは映画も原作も見てないけど、それでもコミックの絵と映画のポスターのイメージの違いは素人にも明らかだった) だからそもそも実写映画化には向かなかったんじゃないかなあ? 興行成績がよければすべてよしなんだろうけど、頑張って作ったスタッフキャストの為にもとりあえず、ある程度はヒットして欲しいなと思う。 やっぱり企画に無理があるよ。 青春夜話 Amazing Place日時 2017年12月2日21:00〜 場所 新宿k's cinema 監督 切通理作 野島喬(須森隆文)は会社では目立たない存在、青井深琴(深琴)も会社では同僚、先輩から軽く扱われる存在だった。深琴は上司の友松課長(友松直之)にあこがれていて、課長の誕生日プレゼントを用意したが、渡せなかった。 野島は会社帰りにホームレス(切通理作)に暴言を吐いていた男(川瀬陽太)と喧嘩になる。逃げる途中、深琴と出会い、自転車で二人でその場を逃れる。 そのまま野島と深琴は飲みに行く。話しているうちに同じ高校の先輩後輩であることが解る。4年違いなので二人が一緒にいたことはない。 そのまま一夜を過ごすことになったが、野島は「いい場所がある」と彼らの高校に進入する。 一方、残業していた山崎先生(安部智凛)は学校を抜け出して飲みに行っていたが、学校に戻る。入り口では用務員の猪俣(飯島大介)が彼女の帰りを待っていた。 映画評論家の切通理作氏の第1回監督作品。 評論家が映画を撮ると自分の好きなマニアックな映画のオマージュやらパロディやらでげんなりする事があるのだが、本作はそういうことはない。 そういう意味ではちゃんと普通に映画になっていて見苦しくない。 高校時代にいけてなかった野島と深琴は高校に進入して、当時妄想でしか出来なかったプレイをしてみる。 教室でしたら「机に出したい」と言ったり、制服に着替えて欲しい、とかプールでスクール水着でプレイしたりする。 この辺のこだわりはキネマ旬報で「ピンク映画時評」を書き、かつてはピンク映画の脚本を数本書いた切通監督ならではのこだわりなのだろう。 本作は撮影監督に黒木歩を迎えている。田宮健彦さんというベテランのカメラマンがありながら、この黒木歩って誰?と思ったが、AV女優からAVなどの監督もするようになった方。だから絡みのシーンの撮り方や演技など、黒木さんの演出が入ってる部分が多いそうだ。 基本的には嫌いじゃないのだが、教室内でボディペインティングや、机に落書きをするあたりでちょっと心が離れた。 学校に進入してるんだし、翌朝には生徒がやってくるわけだから、迷惑かけちゃだめでしょう。 このあたりで私だったら「こうは書かないな」と思ってしまい、ちょっとだめである。 そして主役の須森隆文さん。スーツを着て街を歩くシーンから始まるのだが、おでこは後退してるし、なんだか年齢不詳な感じでてっきり中年男だと思っていた。 見た目が個性派なので、どうしても失礼だがキモさが先に見えてしまう。 体もきれいじゃないし、私はどうにも好きになれなかったので、映画全体の印象も悪くなってしまった。 髭を剃った顔が、剃り痕が濃すぎる。 と思っていたが、上映後の舞台挨拶で見たら髭を伸ばし、髪の毛も後ろを伸ばした状態では、なかなか個性派俳優、になっていた。 自分がかっこよく見える見せ方を心得ておられるんだろう。 今回はあえてキモく演じたのだろうが、ちょっとキモすぎた。 切通氏が第2回監督作品を作るか不明だが、某評論家が撮った映画のように「二度と撮るな!」という気にはならなかった。 BRAVESTORM ブレイブストーム日時 2017年12月2日18:55〜 場所 シネマート新宿1 監督 岡部淳也 2050年、東京。 キルギス星人によって地球の大気は入れ替えられ、人類の大半は死滅していた。この事態を打開すべく、春日兄弟の光一とひとみは光二(大東俊介)、光三(タモト清嵐)、はるか(山本千尋)の3人を2010年代の東京に送り込む。 2018年、東京。 ボクサーの紅健(渡辺秀)はプロボクサーでありながら、陰で賭けの格闘技対決もしていた。今日の対戦相手は弱そうなおっさんだ。しかし戦ってみると殴っても殴っても利かない。実はそいつはロボットだったのだ。 キルギス星人の手下のチグリス星人の襲われそうになった時、光二たちが健を救う。訳が分からす仕方なく行動をともにした健だが、彼らの行き先には失踪したロボット工学の学者の健一郎(吉沢悠)がいた。 健一郎は地球を襲い始めるキルギス星人の巨大ロボットに対抗すべく、強力なロボット、レッドバロンを完成していた。 実は春日兄弟は健一郎の孫にあたり、未来からやってきた春日兄弟は祖父の健一郎に未来の技術を提供していたのだ。 11月にTOHOシネマズなどで公開されたが、上映回数が少なかったり、夜10時ぐらいからの1回だけとか不遇な公開のされかたをした本作品。時間が合わずに結局パスするつもりでいたが、今日角川シネマに「最低。」を観に行ったら、今日からシネマート新宿でムーブオーバーと知った。 しかも時間もぴったりあったので、急遽鑑賞。 一言でいうと、見逃さなくてよかった! 11月公開のアニメのゴジラが全く乗れずに消化不良だった私には十分満足できる内容だった。 ラストの巨大ロボット同士の銀座・霞ヶ関対決など思わず「おおっ!」とうなった。 この作品、70年代のテレビのヒーロー物「シルバー仮面」と「レッドバロン」をヒントにしている。「レッドバロン」は未見だが、「シルバー仮面」は最近、「タケダアワーの世界」に詳しく記述してあったので興味がわき観ている。 春日兄弟とか出てくるが、ストーリー上は今回の作品とはまったくつながりがない。名前と基本的設定(それも光二がシルバー仮面として活躍できる、という程度だ)を借りただけなので、「レッドバロン」の方も物語上はつながりはないのだろう。 話の方はレッドバロンの基地は宇宙人に襲撃され、健の操縦によって光二たちは助かるが、基地に残った健一郎は捕らえられる。そこでキルギス星人の命令で健一郎はレッドバロンの資料を元にブラックバロンを作らされる。 っておいおい、レッドバロンは光二たちが未来から持ってきたブラックバロンの資料を元に作ったんだろ?レッドバロンを元にブラックバロンを作るってタイムトラベル物としておかしくないか?という疑問は残ったが、ここは我慢しよう。 やがて月へ言ってレッドバロンの操縦法をマスターする健。やがてブラックバロンが登場、勝ち鬨橋から上陸し、築地、東銀座、銀座4丁目交差点を通って国会議事堂前へ。 やっぱり銀座の和光前でロボット(とか怪獣)が暴れると迫力ありますねえ。そして戦いは国会前へと。 この辺は興奮した。 まあCGが安っぽいとか文句を言い出したらきりがない面もあるけど、東京を舞台にロボットが暴れ回る画は実に楽しかった。 上映時間は80分と短い。もっと予算があって時間もあと20分ぐらい堪能させてくれたらなあ、ともったいない気になった。 是非ともぞくへんが観たい。 待ってます。 最低。日時 2017年12月2日15:30〜 場所 角川シネマ1 監督 瀬々敬久 夫・健太(忍成修吾)との代わり映えのない毎日に美穂(森口彩乃)はため息をつく。来年は35だが、子供を欲しいという美穂に健太は「今のままでいい」とつぶやく。 あやこ(山田愛奈)は12年前5歳の時に母親の実家に帰ってきた。父親は誰だか知らない。彼女は子供の頃から絵を描くのが好きだった。 彩乃(佐々木心音)はAV女優として活躍していた。男優(川瀬陽太)に「痛くなかった?」と心配されても「あたし鉄マンだから」とさらりとかわす。 あやこは地元の絵のコンクールで入賞した。しかしその頃から学校で「母親は元AV女優」と噂され、女子たちから親切づらしてからかわれていた。 彩乃はある日、バーで日比野(森岡龍)という雑誌編集者と出会う。彩乃が朝帰りすると田舎から母親と妹が出てきていて、「あんた、何であんな仕事してるの?」と責め立てる。 美穂はAV女優になる面接を受け、初仕事が訪れた。泊まりがけの仕事だったが、夜になって入院中だった父親が亡くなったと連絡が入る。 翌朝の美穂の実家にあやこがやってくる。美穂の父は「自分が死んだら連絡する人」のリストを作っており、それがきっかけでやってきたのだ。 美穂の父はあやこの父でもあったのだ。 瀬々敬久監督の新作。AV女優をモチーフにした話で評判はいいらしいと知り、ノーマークだったが観に行くことに。 AV女優が原作を書いたということだが、「う〜ん」という否定的な感じ。 夫との生活が単調でAVに出るとか、母親が元AV女優で学校でいじめられるとか、親バレして母親が田舎から出てきて泣きつくとか、当たり前と言えば当たり前の展開になるのだな。 私なんかAV女優を否定的に観ないし、もし世間がAV女優を非難するとすれば非難する世間が間違っている、正義はこちらにあり!という発想をするので、当たり前の展開でがっかりである。 「たくましく生きる女性」みたいな描き方をして欲しかったなあ。 そういうのはピンク映画の描き方なのか?池島ゆたか監督の「ホテトル嬢 悦楽とろけ乳」なんかそういう感じで本当によかった。 それに主人公3人がバラバラに活躍し、3つの話が同時進行していく。 有名女優ならバラバラに出てきても解るのだが、なじみのない女優さんだとまた女優の区別がつかなくなって前半非常に混乱した。さすがに1時間も経てば覚えてきたけど。 これからh複数のなじみのない女優が出てくる映画は私は要注意である。この間の竹洞監督の新作でも困ったもんなあ。 という感じで私の心には引っかからない映画だった。 AV男優役で川瀬陽太、美穂の姉の夫役で吉岡睦雄さん出演。 狂った一頁日時 2017年12月1日 場所 アメリカ版blu-ray 監督 衣笠貞之助 製作 大正15年(1926年) 「戦前日本SF映画創世記」(著・高槻真樹)という戦前の日本SF映画の歴史を書いた本があるのだが、その本の中で「日本SF映画第一号」として紹介されていたのが、この映画。 それでなくても日本映画の歴史についての本を読めば大抵この映画については触れられている。 それほどまでに有名な映画なのだが、あまり上映の機会はないし、ソフト化されていないので私にとっては「幻の映画」だった。 それがSNSでアメリカで今年blu-ray化されたことを知り、早速注文した次第。 正直に言おう。 訳解らなかった。サイレント映画では通常、人物の台詞は時々字幕で表示されるのだが、それがない。 海外版だからかと思ったが、wikiとか先の高槻氏の本によればもともと字幕はなかったそうだ。 だからもう人間関係とかさっぱりなのである。 字幕がないから言語の解らない映画を字幕なしでみているに等しく、さっぱりである。 「精神病院が舞台で、患者の精神世界を特殊撮影によって表現してる」というのは事前に知っていたし、小間使いをしている男(井上正夫)が主人公で、一人の女性患者を気にかけていて若い娘が登場するのは解った。 冒頭の舞台で踊る踊り子のシーンが今度は鉄格子の中で踊る患者のシーンにオーバーラップしていく。 このように人物の内面世界(本人にはそう感じているもの)を視覚化していく。 映画を見終わってネットなどであらすじを読んだあと、翌朝もう一度観たが、もちろんだいたいは解ったが(主人公が気にかけている患者は妻で、若い娘は主人公の娘である)、それにしてもやはり(難解な)実験映画である。 多重露光とか、パンつなぎとか、ゆがんだ画像とか、雷をアニメで合成するとか、「特撮」というより今なら「トリック撮影」と称されるレベルなのだが、おそらく当時としてはありとあらゆる最先端の技術を駆使しているのだろう。 でも正直70分間それを続けられると観てるこっちは飽きがくる。 (いまでもCGの爆発が連続すると私は飽きる) この映画の上映に関しては高槻氏の本に興味深い記述がある。 「監督は秒速18コマで撮影したと書いているが、実際に上映すると16コマの方がしっくりくる。実は当時一般的だった16コマで正しいのではないか?」 また現在では上映時間は59分とWikiにはあり、これは24コマで上映した場合らしい。で、16コマだと88分、18コマだと78分と巻末資料に記述してある。 ところがこのソフトでの上映時間は70分なのだ。 動きもなめらかだし、24コマではないと思う。 さらに音楽がついており、これがこの映画の発見後につけられた音楽付きのヴァージョンの音楽とイコールなのかは全く不明。 ソフト化はうれしいが、どういうヴァージョンなのかよく分からない。 もっとも大正15年の公開時には弁士がついたはずであり、弁士が台詞をはなしていたなら、印象もちがったはずだ。 だから私は「狂った一頁」の本当の姿は見ていないのかも知れない。 とは言え、全く観ることが出来ないより不完全な形でも観ることが出来るのはいいことなので、今回のソフト化は本当に喜ばしい。 この作品には撮影助手として「円谷英一」の表記があり(冒頭のクレジットだが、昔風の凝ったフォントでかえって読みづらい)、この部分だけ英語字幕が付くのだが、「Eiichi Tsumuraya」とあった。もちろん円谷英二のことなのだが、あれれ?と思ったので、あとで調べたら当時の表記は「つむらや」の発音で正しかったそうだ。へー知らんかった。 この映画でトリック撮影を経験した若き円谷英二が、のちの特撮に発展していったかと思うと、そういう意味でも観る価値のある映画だと思う。 |