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悶絶ふたまた 流れ出る愛液日時 2018年5月27日21:00〜 場所 ラピュタ阿佐ヶ谷 監督 坂本 礼 製作 平成17年(2005年) フリーターの亮介(石川祐一)は美紀(夏目今日子)と付き合っていたが、ちひろ(藍山みなみ)とも付き合っていた。 ちひろは妊娠していたが、実はちひろは相澤(吉岡睦雄)とも関係があった。 一方美紀の方も大学時代の教授田中(佐野和宏)とも付き合っていた。 田中は妻がいたが、妻は病気で入院していた。だから離婚は逆に出来ない。美紀も妊娠していた。 坂本礼監督作品。 ラピュタ阿佐ヶ谷の新東宝特集での上映。 佐野和宏が主人公の不倫相手の役で、こういった何か癖のある男を演じるとほんとに似合う。 亮介の兄役で伊藤猛出演で、伊藤さんも亡くなり、佐野さんも声がでなくなったことを考えると時の流れを感じざるを得ない。2005年なんてついこないだのようなのだが。 美紀が「田中」という男と浮気していると亮介が知るシーン、美紀の本棚にある文庫本にすべて「田中」の判子が押してあることで何かを亮介は察する。このシーンは亮介が本を窓から投げてそれが外に落ちてくるシーンから始まり、美紀が部屋に入って亮介と喧嘩して亮介が部屋を出ていくシーンまでがワンカットだ(と思う) 撮影は鏡早智。いまおか監督の「ろんぐ・ぐっどばい」などの撮影は知っていたが、そうかこのこのころから国映チームと仕事していたのか。 田中と亮介が会うシーンなど佐野さんののらりくらりぶりがよかった。 またラストで亮介と美紀は結婚する。 その結婚式で病気だった叔母が亡くなり、その霊安室で美紀が出産する。 そして亮介の兄や母、美紀、赤ん坊でみんなで川に散骨するシーン、人は死んでまたいろいろあって生まれて、という人の流れを感じさせてよかった。 観てる間はそれほどでもないと思っていたが、こうやって感想文を書いていると、「あのシーン、もう一度観たいな」と思えてきた。 レンタルDVDもあるようなので、再見したい。 なお本日は坂本監督と女優の西山未来さんのトークイベント付き。西山さんはでてるわけじゃないけど。 坂本さんは本作が4作目で「いままで先輩のまねして演出してきたけど、演技指導とかやっと自分のやり方をつかめた気がする。自分としても好きな作品です」とおっしゃっていた。 吶喊日時 2018年5月27日18:50〜 場所 ラピュタ阿佐ヶ谷 監督 岡本喜八 製作 昭和50年(1975年) 明治0年、つまり明治の始まりの前年。福島会津では薩摩長州の官軍が攻めてきた。 百姓の千太(伊藤敏孝)はこの大きな時代の動きを「面白れえ!」「戦はどっちだ」とこの動乱の時代を楽しもうとしていた。 同じく百姓出身で官軍の密偵見習いの万次郎(岡田裕介)も時代に載ろうとしていた。 千太は細谷十太夫(高橋悦史)が作った会津の臨時部隊「カラス組」に参加し、官軍をきりきり舞いさせる。しかし仙台藩は官軍に対し、真っ向から戦をしようとしない。 やがてカラス組は苦戦していく。 「青葉繁れる」と「ブルークリスマス」の間の作品。 岡本喜八作品はほぼ観ているが、何本か観ていないのがあってその1本がこれ。 いままで観ていなかったのはどうにも面白そうでなく、それで見逃していたのだが、その予想は外されなかった。 いや、映画の出来そのものはたぶん悪くない。 私自身の求めるものが違うだけだったのだろう。 まず私は幕末史に詳しくない。というか何か興味が湧かないのだな。 そもそも時代劇が興味が無く、日中戦争、太平洋戦争だと戦記物の本も読んで興味があるから多少勉強もしたのだが。 やりたいことはわかるんです。 千太は女とする事ばかり考えていて(でもないが、大半はそれを考えている)、それは「肉弾」の「あいつ」をもう少し節操をなくした感じである。(ちんぽこがでかいという設定も同じだ) でも「肉弾」のような悲壮感はなく、どっちかというと「独立愚連隊」の面々に近い。 そんな感じで「独立愚連隊」と「肉弾」の幕末版、という岡本喜八の意図もなんとなくわかる。当時は「明治100年」と言われた時代だと思うから、それが時代の空気だったのかも知れないな。 んで、主役の伊藤敏孝。「青葉繁れる」のジャナリ役が記憶に残るが、やっぱり主役となると華がない。「青葉〜」の時は草刈正雄という華があったけど。 岡田裕介もちょっと地味だしなあ。 なお本作では岡田裕介も「製作」にクレジット。そうか、当時は俳優としてしか知らなかったが、東映の岡田茂の息子にして後の東映社長になるだけあって、当時から製作に興味があったのだな。 東宝を離れた(という離れさせられた)岡本喜八はこの作品のようにATGで撮ったり、東映で「ダイナマイトどんどん」を撮ったり、なんだか迷走していく。 やっぱり「沖縄決戦」以降は製作の舞台を探してさまよってヨレヨレになっていく感が否めない。 この時期で面白いのはテレビムービーの「幽霊列車」だと思う。 孤狼の血日時 2018年5月26日19:20〜 場所 新宿バルト9・シアター5 監督 白石和彌 昭和63年、広島県呉原市、呉原東署の暴力団担当の大上章吾(役所広司)はやくざからも恐れられていた。県警本部から異動してきた広島大学出身の日岡(松坂桃李)はその大上と組むように命じられる。 大上は暴力的な取り調べをし地元やくざの尾谷組幹部一ノ瀬(江口洋介)から金ももらっていた。 尾谷組のシマに最近広島系のやくざ加古村組がちょっかいを出していた。 その加古村のフロント企業、呉原金融の経理係が数ヶ月行方不明になっていると行方不明になった男の妹から情報を得た。 何かあると思って捜査を始める大上と日岡。 加古村の上部組織の五十子(いらこ)会の五十子(石橋蓮司)や加古村の構成員吉田が尾谷組のシマのバー梨子のママ・里佳子(真木よう子)にちょっかいを出す。怒った里佳子の恋人、タカシが吉田に喧嘩を売る。だがタカシは吉田に殺された。 これがきっかけで全面戦争へ。大上は呉原金融の経理係が殺されていると確信し、その死体も発見。そのことで加古村、五十子を逮捕しようとするのだが。 公開前から「東映実録ヤクザ路線の復活」みたいな感じで言われていたし、その期待は裏切らなかったと思う。多少の不満は残るけど。 そもそも実録ヤクザ路線は映画ではなくなったが、Vシネの世界では今でも延々と続いている。固定ファンがいるんだろうな。 冒頭の東映マーク、70年代のフィルム時代のマークで、長年のファンとしてはうれしい限り。 いきなり苦言になるけど、役所広司はうまいのだが、もともと笑顔が優しい人なので、かつての菅原文太などに比べるといまいちである。 しかし今更菅原文太と比べる方が間違ってるのだろう。かといって役所広司以上に今この役が出来るのは佐藤浩市ぐらいか。 私は役所広司ファンだから、満足はしてますが。 あと、松坂桃李。あまり期待してなかったが、後半になるに連れて迫力が増す。大人の役者として今後の活躍が期待できる。 やっぱりヤクザ映画って役者が重要だなと改めて思う。ストーリーは似たようなものになるから役者のキャラクターで見せなければならない。 その点、東映ヤクザ映画全盛期の頃は役者も演じなれてるせいか、堂に入った物だった。 そういう意味では江口洋介、竹野内豊などはがんばってるけど、どうしても二枚目になてしまう。これも回数を重ねればもっとうまくなるかも知れませんが。 それにしても大上が死ぬのが意外だった。 5/5に紀伊国屋ホールで、原作の角川主催で公開記念トークイベントが開催された。登壇したのは原作の柚月裕子、白石監督、役所広司だった。 原作はすでに第2作が発表されている。その紹介を柚月がしたのだが、「前作の最後で田舎の駐在所に異動になった日岡が・・・」と言ったので、「孤狼の血」のラストのネタバレしちゃったじゃん、と思ったので、大上がいなくなるのかな、と思っていたらヤクザに殺されていた。 ラストに近いとはいえ、大上が死ぬのは話としてつらかったなあ。 大上がラストでヤクザをパクってくれないとカタルシスがやっぱり減る。 その分松坂がまがんばってくれていると思いますが。 多少不満はあるものの、最近なかったヤクザ映画で、「アウトレイジ」に続き、このジャンルは年に2本ぐらいは欲しいと思う。 先日続編の「凶犬の眼」の映画化決定が発表された。 役所広司が出ない分、ちょっと寂しいが、松坂桃李の活躍に期待したい。 ランペイジ 巨獣大乱闘日時 2018年5月26日16:35〜 場所 新宿ピカデリー・シアター9 監督 ブラッド・ペイトン 遺伝子研究をしているエナジン社の宇宙ラボでラットが凶暴になって暴れ出す事故が起こった。研究者は遺伝子サンプルを持って地球に帰還しようとしたが、脱出ポットは大気圏で消滅したが、サンプルは北米大陸に落下した。 サンディエゴの野生動物区で働く霊長類学者のオコイエ(ドウェイン・ジョンソン)は白い毛のゴリラのジョージと手話で会話して友情をかわしていた。しかしそのジョージは一夜にして凶暴になり、しかも巨大化していった。 一方ワイオミングの森で巨大化したオオカミが人々を襲う事件が起きていた。それらの事件のニュースを観た遺伝子学者のケイト(ナオミ・ハリス)はかつて自分が所属したエナジン社に原因があると直感する。 ケイトはエナジン社のおかげで弟を失い、しかも濡れ衣で退職させられ、エナジン社に恨みを持っていた。 ケイトはオコイエと合流、逃げ出したジョージの後を追うことに。しかしそこへ政府の秘密機関のラッセルが二人を拘束する。 エナジン社の社長クレアは巨大化した生物を引きつけるため、特殊な音波を社のタワーから発信する。ジョージもオオカミもタワーのあるシカゴへ! レジェンダリーゴジラ以降、「ジュラシックワールド」やら「キングコング」やら怪獣映画がハリウッドでも流行っている。この映画もその一つ。 でも日本と違い、どうしても「架空の生物=怪獣」ではなく「現実の生き物が大きくなった=巨獣」になってしまうらしい。 「パシフィック・リム」ぐらいかな、怪獣は。 遺伝子研究でどうして病原菌になってゴリラたちが感染するのかよくわからないし、病原菌ならほかにもどんどん生物が巨大化しないだろうか?という疑問を感じてはいけない。 でもゴリラが巨大化するのだが、せいぜい20mぐらいになっているようにしか思えず、せめて50mにはなって欲しかったなあ。 最近はビルの方が大きいから、どうしても見劣りしてしまうし。 それとオオカミが巨大化してなぜかムササビのように滑空できる。 この滑空、空を飛ぶシーンがもっと多ければよかった。 解毒剤を飲んだゴリラがおとなしくなって人間と共闘してオオカミやワニを倒すとか王道の展開。 でも珍しく軍隊と博士が対立するのがおもしろかった。 そうだよなあ、日本の怪獣映画だと博士とか子供の言うことをホイホイ自衛隊が聞いてるけど、「うるさい!」と一喝される展開だってありだよな。 悪い企業経営者は死ぬし、王道の展開でおもしろかった。ゴリラがもっと大きくなってれば(私にとっては)もっと面白かったと思う。 Wの悲劇日時 2018年5月26日10:40〜 場所 渋谷シネパレス2(6F) 監督 澤井信一郎 製作 昭和59年(1984年) 三田静香(薬師丸ひろ子)は大手劇団の研究生。まだレッスンばかりで本公演の舞台に立ったことはない。先輩の二枚目俳優・五代淳(三田村邦彦)相手になんとなく処女も捨てた。その翌朝、公園の野外ステージで一人芝居をしている時に森口昭夫(世良公則)と知り合う。 劇団の次回公演「Wの悲劇」で研究生から出演者が選ばれることになった。静香はオーディションに落ち、同期の菊地かおり(高木美保)が選ばれた。静香はせりふを一つだけもらえ、プロンプターとしても参加することになった。 公演は大阪公演から始まった。主演女優・羽鳥翔(三田佳子)の熱演は評判を博した。公演も数日経ったとき、静香は羽鳥のホテルの部屋に呼ばれる。そこには男の死体があった。男は羽鳥を昔から応援していてくれたデパートの社長(仲谷昇)だった。セックスの最中に腹上死したというのだ。「スキャンダルにはなりたくない。あなたの部屋で死んだことにしてほしい。代わりに役をつけてあげる」 静香は迷った末にその頼みを引き受ける。 渋谷の西武デパートの裏に渋谷シネパレスという映画館がある。実は渋谷で行ったことのない映画館だった。名画座ではないから特に他の映画館ですんだからだろう。(ロビーまでは何かの用事で来たことはあった。何か買い逃したパンフレットを買おうとしたのかも知れない。それが何の映画だったかはもはや覚えていない) しかしこの5月27日に閉館するという。もっともなくなる訳ではなく、経営も名称も変わって再オープンするようだが。 んでさよなら興行として角川映画(角川春樹時代)の作品を500円で上映。 この「Wの悲劇」は封切り時にも観ているが、時間があったので再見。 ああ懐かしいねえ。 記憶に残ってるシーンは三田佳子がらみのシーンばかりだった。 かおりを下ろすシーンで「この子、手をぎゅっと握ってくるから痛いのよ!あなた涙を毎回流すけど、そんなの一番前のお客さんしかわからないのよ!」とヒステリーを起こすシーンとか、お客のいない終演後の舞台で静香が一人芝居をして「これで好きなもの食べて」と5000円渡すシーンとか。 世良公則は70年代はツイストのリードボーカルとして活躍し、その後「太陽にほえろ!」の刑事役で出演したのをきっかけに俳優としても活躍。最近お見かけしないが、どうしてるだろう? また映画中の舞台「Wの悲劇」の演出家役で蜷川幸雄が出演。 デパート社長の死の記者会見のシーンで梨本勝などが出演。その後、三田佳子は息子が薬物使用(違ったか?)などで逮捕され、スキャンダルになっている。まさに虚実入り乱れた映画だった。 かおり役の女優が誰だったかが思い出せなかったが、クレジットを観て高木美帆だったと気がついた。 宝塚劇場の脇で静香を刺そうとするシーンは強烈。 森口の部屋に行った静香が布団に入って服を脱ぎ、森口と電気を消す、つけるを繰り返すシーンは、「こういう風にビジュアルで表現する」ということの大切さを改めて感じさせる。(脚本は荒井晴彦と澤井の共同) 主題歌も印象深く、いろいろと懐かしさでいっぱいになる映画だった。 僕らのウイニングラン日時 2018年5月20日16:38〜 場所 光音座1 監督 剣崎 譲 製作 ENK ツトムとシノブは同棲中のゲイカップル。ある朝、ツトムはシノブのへそくりの3万円を持ってどこかへ出かけていった。その日、シノブがバイトから帰ってくると食事当番のツトムは帰ってきていない。仕方なく一人で食事の準備をし、一人で食べる。そして一人で寝ているとツトムは泥酔して帰ってきた。 競馬で勝ったという。そして食事当番のこと責めるとすしの折り詰めを差しだし、「だからこれ食え」と差し出す始末。 次のシノブの休みの日、「楽しいところに連れて行ってやる」とツトムはシノブを連れて出かける。行った先は競馬場だった。 最初は買ったツトムだったが、その後勝てない。「もうやめなよ。儲からないように出来てるんだよ」というシノブにツトムは「だったらおまえがやってみろ」という。二人の出会った日の6月8日にちなんで「6ー8」に賭けるシノブ。大穴で儲かった。 シノブのバイト先に電話がかかってきた。「お友達のツトムさんのことで会いたい」という。行ってみた先はノミ屋だった。ツトムはここから金を借りて競馬をして負けが溜まってるという。 「お友達の体で払います、っていうんだよ」ノミ屋の二人に犯されるシノブ。 家に帰ってみるとツトムが土下座していた。しかしシノブは「出てってよ」といい、ツトムは出て行った。 しかしシノブはやっぱりツトムが忘れられない。 競馬場に行って再び6ー8に賭けるシノブ。大当たり。そしてその場でツトムとも再会。 二人の仲は復活した。 あのね、私、ギャンブル嫌いなんです。趣味の小遣いの範囲でやるならまあ許しましょう。しかし他人の金を持ち出したり、負けを他人に払わしたりしてはいけません。 ですから主人公のツトムを軽蔑します。 だからこの映画受け入れられないんだよなあ。 しかも土下座して顔を上げたら白塗りのピエロのメイクになってる。 どういう演出なのだろう?こういう意味不明なことは止めて欲しい。 山崎邦紀かよ! んでシノブの方もやめときゃいいのに再会を希望して競馬場に行く。 そして勝ったらそこにツトムがいた、ってお前さっき「もうしません」って言ったろう! バカップルである。 ツトムはまたギャンブルをするんだろうし、シノブはまた犯されたりするんだろうな、不幸になるパターンである。 今回の2本は2本とも不快になる映画だった。 レッスル・マニア日時 2018年5月20日15:37〜 場所 光音座1 監督 山崎邦紀 製作 大蔵映画 3人の男たちがローションを全身に浴びて絡み合っている。金髪の男がゆでたまごを作っている。 1年前、ピカイチとカズマはジムで3人の男たちに話しかけられた。「一緒に遊ばない?」「援交ならいいよ」ピカイチたちは答えた。 ピカイチは海老塚という男と、カズマは他の二人と絡み合った。海老塚はゆで卵を使ってアナルに入れるプレイをするのを好んだ。 その頃芸能界ではタレントが2、3日行方不明になってすぐに復帰する事件が起こっていた。実はタレントを誘拐し安い身代金を払わせていたのだ。犯人は海老塚たちだった。 今日もイケメンタレント(樹かず)を誘拐した。海老塚たちは「人間の人口をこれ以上増やしてはならない。ホモセクシャルこそ人間のあるべき姿だ。そしてヤリチンのタレントには不妊手術をしてやる」ということで今回のタレントにも手術した。 しかしタレントは「僕も君たちに共感する。僕の身代金500万円は僕が払おう。しかし僕も仲間に入れて欲しい」という。 ピカイチは海老塚の卵プレイに心を奪われていた。 ところが海老塚はガンで余命1年だという。海老塚は「死んだら焼いた骨で砂時計を作ってゆで卵を作り続けて欲しい」と遺言する。 ピカイチは遺言通り砂時計を作り、ゆで卵プレイを今度は別の人としていく。 カズマと2人はローションで絡み合っていった。 山崎邦紀監督作品。もう何十回も言ってるけど山崎作品はあわないなあ。 卵を使ったプレイとか見ていて不快だし、それに「人工を増やさないためにホモを増やす。そのためにイケメンタレントを不妊手術する」とか狂ってるを通り越してバカだよ。 それにこの映画ではその3人の行動と海老塚の卵プレイとまったく話がかみ合ってない。樹かずその後、「僕は業界情報に詳しいからヤリチンのタレントを紹介できる」といって髭の女装タレント、キャンディなんとか(山崎作品にはよく出てくる)を誘拐するが、だから何?としか思えない。 なんでこんな映画見なくちゃならないのかなあ、山崎監督のゲイ映画ってあと何本あるのかなあ、とかいらいらしながら見ていたが、そう思うのは私だけで、山崎作品も面白がっている人もいるかも知れないから、一方的に私の考えを押しつけるのはよくないかな、と反省した次第。 でももう観たくないけど。 ぐしょ濡れ美容師 すけべな下半身日時 2018年5月19日21:00〜 場所 ラピュタ阿佐ヶ谷 監督 女池 充 製作 平成10年(1998年)新東宝 麻子(佐々木ユメカ)はバーで知り合った山田(川瀬陽太)とラブホテルでベッドイン。しかし眠っている間にホテルは火事。麻子は消防士の須藤(田中要次)に助けられたが、山田は見つからなかった。実は山田は酔っぱらって意識も朦朧とする中、自力で自宅に帰っていた。 須藤は火事の現場で携帯電話を拾っていた。その電話は山田の物で、連絡があった須藤は山田に届ける。 ホテルの賠償説明会で須藤は麻子と再会。その晩の記憶があいまいな麻子は須藤があの晩の男だと勘違いする。麻子に惚れている須藤はその勘違いをそのままにし、麻子とつきあい始める。 山田は携帯電話が縁で須藤と友達になっていた。山田は会社が倒産し、しばらくの間、あの晩の女性を探すことに集中したいという。住む場所もなくした山田は須藤の部屋に転がり込む。 ある日、麻子は須藤を訪ねて部屋に行く。そこで山田と再会する。 ラピュタ阿佐ヶ谷の新東宝ピンク映画特集。「ラストフィルムショー」と銘打っての特集。本日は女池監督、佐々木ユメカさん、川瀬陽太さん、田中要次さんのトークイベント付き。 須藤は山田や麻子を偽って付き合ってるわけだが、いつばれるのかというドキドキ感がある。 麻子はその日は同僚と飲んでいたので、同僚の方は山田の顔を知っている。それで同僚と会った時、須藤があの日の男ではないと知るのだが、事情を話したら当分は黙っていてくれることになった。 一段落したが、山田が居候しているときに麻子が須藤の部屋を訪ねたいという。 ここでついに山田と麻子が会ってしまう。 山田が最後には怒って須藤を殺すんじゃないかと思ったが、そんなことはなく、ウクレレで牧伸二のように「あんあやんなちゃった、あんああ驚いた」と歌って明るく諦めてくれる。 ほっとした。 酔いつぶれた麻子をおいて帰る山田だが、麻子は山田が探すために作った麻子の似顔絵を見つけ、すべてを知る。 結局二人は再会、結ばれる、というエンド。 結婚した二人の元に麻子の友人から手紙が届く。須藤からの伝言として「くれぐれも燃えすぎないように」というよう言葉が届く。 切ない物語だった。 面白かった。 青葉繁れる日時 2018年5月19日19:00〜 場所 ラピュタ阿佐ヶ谷 監督 岡本喜八 製作 昭和48年(1974年) 稔(丹波義隆)は名門仙台一高の生徒だが、成績は後ろから数えた方が速い劣等生。いつも女とセックスすることばかりを夢想している。 同じく劣等生のデコ(伊藤敏孝)、ジャナリ(粕谷正治)とつるんでいたが、3人で近くの居酒屋のお姉さん、多香子(十朱幸代)にあこがれていた。 稔のクラスに俊介(草刈正雄)という転校生がやってきた。多香子の弟だが、かっこよくて東京の都会の雰囲気が漂ういけ好かない奴。 一高演劇部に仙台第二女子高の演劇部がやってきた。一高の演劇部が合同公演を申し込んだのだ。理由は「男子が女子を演じる不自然さを解消したい」ともっともな理由をつけていたが、本音はただ女子と近づきたいだけ。話し合いはお流れになりかけたが、ひろ子(秋吉久美子)という美少女を見かけた俊介が「英語劇をしよう。『ロミオとジュリエット』で」と提案。俊介の男前ぶりを見て女子たちも承知する。 しかしひろ子は演劇部を止めて引っ越してしまう。俊介もロミオ役を降りた。 稔たちは演劇部の女子を誘って公園デートする。しかしやってきたのはデブの女の子。デコが相手をすることになったが、無理矢理押し倒してしまう。 強姦は未遂に終わったが、彼らは憂さ晴らしに看板泥棒をする。何かが問題になって校長(ハナ肇)が退職することに。 それを止めさせようとみんなで教育委員会に押しかけるが。 ラピュタ阿佐ヶ谷での岡本喜八特集の1本。岡本作品はだいたい観ているが未見が数本あるので、それを今回鑑賞。 うーん、数ヶ月前なら笑って観られたろうけど、今年4月に財務省の福田事務次官によるテレビ朝日の記者に対するセクハラ発言で、「セクハラ」について改めて認識を強くしている今日観るとなんだか笑いづらい。 冒頭稔が通学中の女子高生を観て「あの子は東大が好きなタイプだ」「あの子は慶応が好きなタイプだ」と勝手に決めつけ自分が東大生や慶応ボーイになりきって女の子と「やる」ことを夢想する。 まあ男子高校生なんてそんなもんである。 また女子高との合同公演も本音は「女の子と近づきたいだけ」。まあ男子高校生なんてそんなもんである。 原作は昭和20年代の井上ひさしの自伝的小説だそうだが、少なくとも70年代に高校時代を送った私には大いに共感できた。今はどうだろう? 人体解剖図の女性器を見て興奮するシーンがあったが、我々の時代ならありだったが、今はどうなのかな?スマホで無修正画像とか自由に見られるだろうし。それでも興味を示すのは一緒か。 後半、4人が女子高と公園デートをするのだが、やってきたのはデブの子一人。誰が相手するか、でお互いの股間を握って少しでも反応してた奴、というのが笑える。ピンク映画並のギャグだ。 しかしその後が気になった。デコが相手をするのだが、公園の山の中で彼女を犯そうとする。スカートの中からパンツを脱がすがもう一枚履いていた、また脱がすがその下には水着を着ていて未遂。 これが後に問題になって女子高側から責められた校長は責任を取って辞職しようとする。 しかし校長は教育委員会で「そもそもついて行った女子高生にも責任がある。しかも女子高生は先生の指導に従って、水着を履いていた。これは卑怯な行為だ。従って今回は痛み分け。生徒には将来あるのだから穏便にすませたい」と主張する。 公開当時で見ても校長の理屈は屁理屈で笑いを呼んだと思うし、正直私観ながら笑った。しかし先月国のトップのセクハラ問題が起こって「セクハラとは何か?」をもう一度真剣に考えている私にはなんだか心の底から笑えなかった。 校長は「生徒には責任はないから不問に、しかし自分が責任を取る」と皆が止めるのを聞かずに辞職する。 校長は実は多香子と不倫の仲だったが、この辞職の一件で多香子との関係も解消、校長を好きだった多香子は悲観に暮れる。 校長の自宅に4人が行ってみると自宅で英語塾を開いている。中には入らなかった4人だが、外で先生の奥さんと遭遇。奥さんが「あの入塾希望の方ですか?」と問われ「違います」というと明らかに不機嫌になる。 その様子を見て4人は「俺たちみんな不幸にしちまったな」と自分たちの行動を反省する。 そんな感じで映画は終わる。 映画館の場内は女性も含めて笑い声が絶えなかったが、昨今のセクハラ問題と絡めると笑いにくい映画になっていた。 時代が変わると受け止め方も変わるなあ。 MIFUNE:THE LAST SAMURAI日時 2018年5月19日13:00〜 場所 有楽町スバル座 監督 スティーブン・オカザキ 日本映画の名優、三船敏郎に関する関係者へのインタビューで構成したドキュメンタリー映画。 監督は日系三世のスティーブン・オカザキ。パンフレットを読むと戦後のアメリカ社会に育ち、まだまだ日本人の地位は低く、そんな時代に「七人の侍」、「宮本武蔵」三部作を観て感激し影響を受けたと言っている。 だから必然的に黒澤映画、時代劇映画における三船の話が中心になる。 「宮本武蔵」なんて今の日本じゃあまり人気がない気がする。 僕としては現代劇、(「暗黒街の対決」とか)戦争映画(「日本のいちばん長い日」とか「連合艦隊司令長官 山本五十六」とか)の三船も印象深いので、こちらの話題もしてほしかった。(スチルで紹介はあるけれど) まあそれを全部やったら3時間かかっても終わらない気がします。ドキュメンタリーは事実を伝えるのではなく、あくまで「監督が視点で切り取った風景」と諦めましょう。 また海外の観客ように「そもそも時代劇、チャンバラとは?」というのを佐藤忠男が解説する。 そしてインタビューに登場する三船を知る人々。 土屋嘉男、夏木陽介、中島春雄、司葉子、香川京子、中島貞夫、役所広司、スティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシなどなど。 中島貞夫がなぜ出てくるのか気になったが、そうか「日本の首領」などを撮ってるか。その割には「日本の首領」の話は出てこない。 役所広司など三船と仕事してるのか?と思うのだが、現代のトップ俳優が大先輩三船を語るというのは面白い。「三船さんはきっとものすごく勉強していたと思う」などの感想が興味深い。役所広司の髪が短いので、「日本のいちばん長い日」の頃か。 そうか、役所は「山本五十六」「日本のいちばん長い日」と三船の演じた役のリメイクで出てるからか。その割にはそれらの映画における三船の話が出てこない。まあしたけどカットされたのかも。 しかしながら名作「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」で共演した役所の師匠、仲代達矢がなぜ出てこないか不思議だ。 加藤武の話題は三船と言うより黒澤が厳しかった、という黒澤の話題。中島の話も「七人の侍」の話。 夏木陽介の話は撮影所でいつも昼休みにポーカーをしていたという話。 スピルバーグの話では「1941」の話が出てきた。 「彼はちゃんと映画の意図を理解していてくれ、まじめにやるほど面白いというのを解っていてくれた」という話が興味深い。 でもそれなら「ミッドウエイ」に出たときの同じ日本人俳優の思い出も聞きたかったな。クライド草津さんとか。もう亡くなってるかなあ。 スコセッシの話で「観客は黒澤=三船のヒーロー映画を求めるが、人は変わるからいつまでも出来ない」と語る。それだから「赤ひげ」が二人の最後の映画になったのも致し方なかろうと。 それからの三船はテレビ作品などを作って晩年は作品に恵まれなかった、という感じで映画は終わるけど、三船の晩年の代表作は「男はつらいよ 知床慕情」だと思うよ。 口べたな獣医で淡路恵子に惚れてる役で頑固一徹でそれまでの三船のイメージを壊さない映画だったと思う。再見したい。 あれがない、これがないと不満も多い映画だが、興味深い映画だった。 GODZILLA 決戦起動増殖都市日時 2018年5月18日19:30〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン7 監督 静野孔文 瀬下寛之 地球に降り立ったハルオ・サカキたち。その前に体長300mの巨大なゴジラ・アースが登場した。ハルオは倒れ、何者かに助けられた。ハルオを助けてくれたのは現在の地球で生息しているヒト型生物、フツアだった。 フツアの助けでハルオは生き残っていた部隊とも合流できた。 フツアが使っている矢の先端についている金属がかつてメカゴジラを作ろうとしたときに使った金属、ナノメタルであると気づいたビルサルドは、フツアの人々にこの金属を手に入れた場所を案内させる。 驚いたことにそこではメカゴジラのナノメタルは自己増殖して、都市のような形になっていた。 ここでハルオたちの兵器をナノメタルによって改造させ、飛行能力も持たせた。 しかしナノメタルと体を同化させゴジラを倒そうとするビルサルドと、「人間であることを捨てたくない」と対立するハルオたち人間。 いよいよゴジラアースと決戦の時がきた。 「アニゴジ2」。今回のゴジラにメカゴジラが登場すると知ったのはいつだったろうか?「怪獣惑星」の感想を読むと、すでに台詞で出ていたようだ。記憶にないけど。 映画公開前に前も出版されたように映画の前史にあたる地球滅亡の様を関係者へのインタビューでまとめたフェイクドキュメンタリー小説が出た。 サブタイトルは「メカゴジラ・プロジェクト」 読んだけど、面白くないのだなあ。 インタビュー形式の話、という変化球は前にも読んだから2回目は斬新さもなく読みにくいだけ。しかも「メカゴジラは起動しなかった」というのが間接的に伝えられるだけ。ここは「起動しなかった、ああ」という瞬間をちゃんと読みたかったよ。 そんな感じで完全にマイナスな気分でこの映画を鑑賞。前回は遅い時間に観たから眠かったけど(「ゴジラ」はネタバレを防ぐために初日に観たいのだよ)、今回はそれはなかった。 でもがっかり。 ナノメタルが発見された段階で「おお、メカゴジラが2万年を過ぎて再起動だ!」と思ったのだが、「ナノメタルは自己増殖する、自己進化する」という謎の設定でいわゆる「メカゴジラ」の形では出てこない。 がっかりだよ。 ハルオたちがメカゴジラの残骸を発見して蘇らせると思ったのになあ。 そんな感じで完全にしらけたが、「ゴジラ決戦プロジェクト」に向かって人間が動き出すというストーリーはまあ楽しめた。メカゴジラ登場を諦めたこともあるけど。 でもこういう設定なら「メカゴジラ」の名前は使うなよ。 で途中でもう一人の宇宙人エクシフの方が「我々を滅ぼした名前を口にするのも恐ろしいものの名前を教えよう」とハルオにつぶやく。 映画本編では開かされないが、クレジットの後の予告編的な映像では「ギドラ」と言った。たぶんそうだと思った。 なら最初から「ギドラ」って言えよ。 それにメカゴジラで裏切られたから、今度も「キングギドラ」もそのままの形で出ないだろうなあ。 フツアの人々が鱗粉をまとっている、という設定。双子の女の子も登場し、モスラを意識している。でもこの映画では途中から登場しなくなる。 11月公開の次でまた出てくるのかな? まあ期待しないで観てみましょう。 枝葉のこと日時 2018年5月12日18:40〜 場所 渋谷イメージ・フォーラム地下 監督 二ノ宮隆太郎 横浜の郊外で自動車解体の会社で働く二ノ宮隆太郎(二ノ宮隆太郎)。彼の元に幼い頃にお世話になった幼なじみの塗本の母親・龍子が会いたがってると連絡を受け、会いに行く。 龍子はC型肝炎で、もう先は長くなかった。 隆太郎は仕事が終わってからは後輩や先輩と居酒屋やガールズバーに飲みに行くだけの毎日だった。 ガールズバーで働く千尋と一応付き合ってるようだが、「ダサい、ダサくない、きもい、きもくない」ぐらいしか言わない彼女にも辟易していた。 自分の父親にも「お世話になった人だから龍子おばさんに会いに行け」という。親父は会いに行ってくれたようだ。 その龍子もついに入院し、もう長くない。 会社の先輩から転職話がだめになったと聞かされる隆太郎。「ぐだぐだ行ってねえで行動しろよ!」と怒鳴って仕舞う。 実家に帰る隆太郎。親父が一人でいた。 「親父もたまには病院行けよな」「行くよ」「行かないくせに」「明日行くよ」「本当だろうな!」そんな会話をして仕舞うだけだった。 いまおかしんじ監督作品の「感じるツチンコ」や「オレとアイツの集金旅行」「闇金ぐれんたい」などで役者として活躍している二ノ宮隆太郎氏。 彼は自主で映画監督もしている。以前新宿のK's cinemaでその特集上映を見たことがある。 その時にあまりいい印象がなかったのだが、今回はご縁のある方だし鑑賞。 はじめのうちはカメラがぐらぐら揺れるし、登場人物たちはどうでもいいようなことを会話してるし「?」という気分だったが、徐々になれてきた。 「二ノ宮隆太郎」という男の周りを描くドキュメンタリー映画を観ている気分になってきた。見事に事件もクライマックスもない。 長回しでだらだらとした日常が送られるだけ。登場人物たちはだらだらと働いて酒飲んで愚痴言って人の悪口言ってすごすだけ。あまり好きになれない。 そんな人々に隆太郎自身もいらだちを覚えているようだ。 そのセミドキュメンタリーとして観てると妙に面白味も増してきた。 あまりにセリフっぽくないので本日は初日舞台挨拶で劇場に来ていた監督に聞いてみたら、エチュードのように設定だけ与えられて芝居してるのではなく、ちゃんと台本通りの台詞なんだそうだ。 ラスト、実家で父親と病院に行く行かないで言い争っているシーンでカットアウトして映画は終わる。「えっここで終わり?」となんだか終わりっぽくない終わり方だったが、見終わってポスターに「ある人生の”けじめ”の出来事」と書いてあり、「ああそうか、主人公の龍子さんへの想いや父親とのもやもや」についての映画だとなんとなく解った。 だからあの終わり方でもいいのである。 エンタテイメント作品ではないが、ちょっと心に残る作品だった。 君の名前で僕を呼んで日時 2018年5月12日12:40〜 場所 TOHOシネマズ六本木ヒルズ・スクリーン4 監督 ルカ・グァダニーノ 1983年の北イタリア。美術の大学教授を父に持つエリオ(ティモシー・シャラメ)は17歳。夏の間避暑にこの地にやってきた。同時に毎年、父の助手がやってくるのだが、今年はオリヴァー(アーミー・ハマー)という青年がやってきた。 何かというと「後でね」というオリヴァーを最初はいやな奴だと感じたエリオだが、彼になぜか惹かれ始める。 近所の女の子と仲良くなるオリヴァーを見て、妙な気分になるエリオ。自身も別の女の子とデートにも行く。 しかしある日、気持ちが押さえきれなくなり、エリオをオリヴァーは唇を重ねる。年下の少年に対し「これ以上は・・・」と自制するオリヴァーだったが、ある晩、ついに体を重ねる。 夏が終わった頃、オリヴァーは去っていった。 数ヶ月後の冬、エリオの元にオリヴァーから電話がある。 ゲイ映画ということで話題の映画。それだけでなく今年のアカデミー賞の作品賞、主演男優賞、脚色賞などでノミネートされるなど高評価。 GW前に公開だが、新宿ではシネマカリテだけだったのが、武蔵野館でも拡大上映するヒットだ。 最近恋愛映画っていうのと少女コミックの実写化ばかり観ているので、それに比べるとずいぶんと淡々としている。 あちらは元カノ、元カレなどのライバル出現、事故などのアクシデントで波瀾万丈だが、ホントにこちらはそういった山がない。 女の子が嫉妬してギャーギャーいうとかないし。 後半に二人がベッドインしたら、カメラはパンしてそとの風景を写す。 その奥ゆかしいというか古くさい演出はなんだよ。 まあ同じゲイの映画でも光音座とは違うけどね。 あとその後、エリオが悶々として果物に穴をあけ、それを使ってオナニーするシーンがあるが、描写が奥ゆかしすぎて、なんかはっきりしない。 まあさっきも言ったけど光音座じゃないし、直接的描写はいやがる方もいらっしゃるだろうけど、もう少し具体的に描いてほしかった気はする。 オリヴァーが去っていくシーンも割と淡々としていて、盛り上げはない。 その後、すべてを知っている父が「私は偏見を持ったりしないよ」という。 この辺で終わるのかな、と思ったら冬のシーンになる。 オリヴァーから電話がかかってくるのだ。 「実は・・・」というオリヴァーに「結婚でも決まった?」と冗談で言うエリオ。 ところがそれがホントだったのだ。「実は2年前からなんとなく続いている子がいて」 これを電話のカットバックではなく、エリオのカットだけで写していくのがすばらしい。 その後、家族に背を向けて暖炉の火を見ながらはらはらと泣いていくエリオ。その泣き顔の横にクレジットが出るわけだが、この長回しは立派だった。パンフレットでもこの点は触れられてたから、私だけでなくみんな感じたのだろう。 この電話と暖炉のシーンでエリオ役の少年が主演男優賞ノミネートも納得である。 淡々とした描写も物足りなく感じたが、もう一度見れば感想が変わるかも知れない。鈴木英夫の「その場所に女ありて」の時のように。 よかった。 高評価も納得の映画である。 愛の妖精 アニー・ベル日時 2018年5月6日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 マッシモ・ダラマーノ 製作 1977年(昭和52年) 修道院寄宿舎に暮らしていたアニー(アニー・ベル)は父親のマイケルと夏休みの間、旅行に出かけた。為替ディーラーのマイケルと香港に向かうアニー。 途中、飛行機の中でリンダという大人の女性と知り合った。 リンダにはアンジェロという夫がいた。彼も為替関係の仕事をしていて、夕食にマイケルやアニーを誘うが、マイケルが断る。 実はマイケルは養父で実の父ではなかった。アニーといる時間を優先させたいマイケルだったが、為替関係の不法行為で逮捕されてしまう。 仕方なく、アニーはリンダの元へ向かう。 リンダはこのかわいい少女が大好きだった。あるパーティで芸術家のフィリップや映画プロデューサーに紹介されるアニー。 だがその晩、会場の裏部屋で何者かにレイプされるアニー。 リンダもこれがきっかけで男性恐怖症にならなければいいがと心配する。 アニーは若くてハンサムなフィリップとデートし、セックスの喜びを教えられる。実はアニーは自分を犯したのがアンジェロと解っていた。 フィリップと数日間外泊をするアニー。しかしリンダはアニーを愛し始めていた。金の力でフィリップに身を引かせるリンダ。 「家の中に男がいれば」というアンジェロの提案を受け入れ、アンジェロがアニーと関係を持つ。 しかしアニーはそれだけでは満足せず、映画にちょい役で出たことがきっかけでハンサムな俳優と知り合い、体を重ねる。 しかし危ない賭博場に連れて行かれたことがきっかけで関係は終わる。 そんな時、マイケルが国外追放になった。アニーは町で見かけた尼僧に「自分を持ちなさい」と言われ、リンダたちから離れる決意をする。 70年代後半の「エマニエル夫人」ブームで訪れたソフトポルノ路線。 洋ピンのような話だが、香港ロケとか豪邸が登場し、日本のピンク映画のような安っぽさはない。 主役のアニー・ベルは第2のシルビア・クリステルと期待されたようだが、あのもう1本「卒業生」という映画が公開されたぐらいで終わった。 両方とも観ていなかったが、ポスター、チラシはよく見たので印象深く残っている。 今回初めて映画を観たのだが、ショートカットの金髪でスレンダーな体が美しい。しかも目がきれいだったが、あまり目を意識したカットはなかった感じだ。 で映画の方だが、冒頭からエロエロ路線。マイケルとアニーが車で移動中、後部座席でアニーが着替えをするのだが、隣を走ってる自転車の親父が覗いている。、そして香港でパーティに行けば男根の形をしたオブジェがある、という万事下ネタ。 賭博場で負けた女性は客に犯される、というシーンでは宮沢大介をもっとごつくしたような男がアニーを犯す。 そしてイケメンの俳優に助けられて、バイクで公園に行ってやっちゃうんだから、もうセックスの為に話は進む。 ラストでは今まで数回見かけた美人の尼僧について行き、話しかける。 彼女がインドに修行に行くというと一緒に行きたいというアニーに、尼僧は「自分を持って行きなさい」と諭す。 やたらシースルーの服ばかり着てるし、とにかくセックスとセックスをつなぐだけの話はピンク映画並み。 といってセックスの描写はあくまでソフト。 そうか、ソフトポルノで、ハードコアじゃないからな。 「卒業生」もついでに今度観よう。 ラプラスの魔女日時 2018年5月5日19:00〜 場所 新宿ピカデリー・シアター6 監督 三池崇史 温泉街で硫化水素により死亡した人が発生した。温泉街の要請で地球化学を研究する大学教授、青江(櫻井翔)が現場を確認したが、事故とも事件とも解らなかった。麻布署の刑事、中岡(玉木宏)は妻・千佐都(佐藤江梨子)が殺したと疑っていた。青江は「人為的に起こすなど無理です」と否定する。 しばらくしてまた同様の原因で人が死んだ。先に死んだのは映画プロデューサー、今度は売れてない俳優。二人はつながっていて、千佐都が主導して殺人を犯したのではないかと疑う中岡。 2件目の現場調査に行ったとき、青江は不思議な少女・円華(まどか〜広瀬すず)と出会う。彼女は何者かに追われていた。 二人の被害者は直接の接点はなかったが、甘粕才生(豊川悦司)という映画監督と仕事をしたことがあった。しかも甘粕の娘は硫化水素により自殺、妻は巻き込まれて亡くなっていた。もう一人、息子の謙人(福士蒼汰)も巻き込まれて植物人間になったという。 果たして事件の真相は? 原作・東野圭吾。福士蒼汰、広瀬すずという私にとって今出演作を絶対観に行く二人が出演してれば、公開2日目にして観に行くのである。 正直、櫻井翔が主演で二人が助演なのが気になったが、仕方あるまい。 先に書くけど、櫻井翔、ぜんぜんだめ。嵐のメンバーとしてファンはついているからヒットはするだろうけど、魅力ねえなあ。 若い頃は嫌いではなかったが、今は顔が妙に膨れてきておっさんである。 しかも一昨年の東京都知事選で候補にも取りざたされた元総務省事務次官のお父さんに似てきた感がある。お父さんも顔がまん丸だったからなあ。 将来あんな感じになりそうだ。 また脚本上でもまるで活躍がない。最後に「結局僕にはなにも出来なかった」と言ってたけど、ホント、何もしておらず、事件の周りをウロウロしてるだけ。 事件を調べていくのは中岡の方で、本来なら彼が主人公で、青江は聞き込みに言った一人にすぎないよ。 脚本、おかしい。 息子の謙人が昏睡状態になったために医者が「直るかも知れない」ということで脳手術をする。そして通常の人間より予測能力が格段に進化した人間になったのだ。 要はその場所でその時間に硫化水素を流せばその人間の周りに充満すると予測出来た、というのはトリックだが、無理がある気がするなあ。 もうちょっと「怪奇大作戦」みたいに人為的に操作する方法なりを生み出したのかと思ったが。 その医者を演じたのがリリー・フランキー。圧倒的な存在感。彼が出てくると映画が締まるね。 それにしてもラストの廃墟で主人公たちがべらべら話しまくる展開はちょっと長い。もう少し盛り上げてほしかった。 それにここでも青江は何もしないし。 結論を言っちゃうと広瀬すずと福士蒼汰の共演以外(私にとっては)観る価値なし。 今度は二人ががっつり共演した映画が観たい。 |