恐怖の報酬<オリジナル完全版>日時 2018年11月25日14:50〜 場所 シネマート新宿1 監督 ウイリアム・フリードキン 製作 1977年(昭和52年) ストーリー省略。 2年前にアメリカで発売になったbru-rayで鑑賞してるので、感想はその時と同じ。 その時に英語字幕とかサイトのストーリー紹介などで解釈していたが、それは誤っていなかった。 4Kレストアだが、日本での上映は2Kにダウンコンバートしたものらしい。 デジタル化のせいか色の鮮やかさや映像のくっきり感がより感じた。これフィルムだったら印象がちがったろうか? パンフレットは普段買ってもろくに読まないことが多いのだが、今回は読んだ。そこでキャスティングについて驚愕の事実が書いてあった。 主役は最初はスティーブ・マックイーンで、フランス人投資家にリノ・ヴァンチェラ、殺し屋役にマルチェロ・マストロヤンニだったというのだ。 それがスティーヴ・マックイーンが南米ロケをいやがってなくなり、そうするとリノ・ヴァンチェラもマルチェロ・マストロヤンニもなくなったとか。 スティーブ・マックイーンってこの頃「地獄の黙示録」も断ってるんですよね。もしこの2本に出てたら彼のキャリアも変わったんじゃないか? そういえば彼も「タワーリング・インフェルノ」以降はぱっとしないもんなあ。 それは役に恵まれなかったからと思ってたけど、そうじゃなくてマックイーン自身にも原因があったのだな。 劇場のスクリーンで再び鑑賞でき、よかった。 カット版の方も実はもう一度観たいです。どんな改変がされてたのか気になるので。 スマホを落としただけなのに日時 2018年11月25日11:30〜 場所 新宿ピカデリー・シアター10 監督 中田秀夫 富田(田中圭)は大手企業社員。移動中のタクシーでスマホを置き忘れた。恋人の麻美(北川景子)がその富田のスマホに電話して出た相手が横浜のあるカフェに預けてくれた。麻美がそのカフェに行き、富田のスマホは無事富田の元に戻った。 麻美は友人のすすめでSNSを始める。するとどんどん友達申請があり、人間関係も(つきあいたくない人も含めて)広がっていく。 一方、足柄の山中で女性の死体が発見された。毒島(原田泰造)とITの仕事をしていた加賀谷(千葉雄大)も捜査に当たる。 加賀谷は被害者の長い髪が切られていたことから女性の長い髪に執着心のある奴だと推理する。 家族に捜索願を出されそうにない風俗店の女性などが被害者ではないかとその方面に聞き込みをする加賀谷たち。 富田の方もスマホが乗っ取られて身の覚えのないクレジットカードの請求がきたり、麻美もストーカーめいたメールが届いて不安な日々を送っていた。そんな時、富田のスマホがロックされた。麻美がSNSで知り合ったIT関係の人の紹介で浦野(成田凌)がロックを解除してくれた。 麻美は富田に結婚を申し込まれたが、実家には行きたがらなかった。麻美はSNSで大学の先輩(要潤)と再会した。彼は自分を口説き、無理矢理キスをする。その写真がなぜか富田に送信された。 いったい何が起こっているのか? 現代においてスマホは欠かせないアイテムになったし、この映画で語等れる通り個人情報満載である。これ観られたらすべて解ってしまう。 自分の恥ずかしい写真はなくても数々のダウンロードした画像や動画はちょっとやばい。 そのスマホが悪意ある人物の手に落ちたら・・・という恐怖を描いたサスペンス。この映画の怖いのはスマホを落としたのは麻美本人ではなく、恋人。つまり自分の友人がスマホを落としただけでその被害はこっちにも及ぶ可能性があるのだ! しかし映画の後半になって北川景子が抱えてる事情が明らかになってちょと「誰にでも起こるかも知れない」という恐怖が薄らいだ。松本清張っぽくて好きは好きだけど。 それにしても千葉雄大と成田凌が好演。千葉は「ひょっとして犯人?」と思わせるミスリードもありつつ、刑事役という今までになかった役でよかった。彼はまだまだ成長がありますね。 成田凌は今月「ここは退屈迎えに来て」「ビブリア古書堂の事件手帖」と本作の3本が公開。売れてますねえ。しかしそのうちの2本で犯人役ってどうよ?本人のせいじゃないけどね。 麻美の秘密を告白されて(それにしても大学の先輩が気づいてもよさそうだが)いったん麻美と距離をおいた富田が麻美のスマホに大切に保管していた画像を観てほだされるのは「そして父になる」とか日活ロマンポルノにあった展開でちょっとがっかり。 でも最後の最後に北村匠海がカメオ出演して私にはサプライズだったのでものすごく得した。 面白かったよ。 人妻拷問日時 2018年11月25日 場所 DVD 監督 高橋伴明 製作 昭和55年(1980年) ある女性が3人の男に強姦された。 数日後、強姦した男のうち一人の妻の元に男(下元史郎)がやってきた。 男は強姦された女性・ミユキの兄だった。ミユキは強姦された後、自殺していた。犯人を殺すのではなく、「愛する者が殺された苦しみ」を味あわせるために妻を殺したのだ。これで二人目だった。男は妻を殺し、近くに住む3人目の男の妻の元に言った。 男の話を聞いて3人目の妻は納得した。昼飯さえ作ってくれた。刑事が聞き込みに来てもかばってくれた。 実はその女はかつて主犯の男(大杉漣)に犯されてそのまま妻にさせられたのだった。だからミユキの気持ちも解ってくれ「私は死ぬことさえもできなかった」と言ってくれた。 そんな女を許す気になった男。そこへ主犯の男が帰ってきた。 男は主犯に拳銃を向けた。 友人からもらったピンク映画。友人がこれをくれた理由は解らない。内容を知った上でくれたのか、それとも適当にチョイスした1本だったのか。 結論からいうと面白かった。 主演の下元さんはイマイチ似合わない気もするのだが、ピンク映画ではハードボイルド的な役をする。本作でもブルゾンを来てリボルバーを構える。このスタイルが下元さんのやせた顔つきも加わって「タクシードライバー」のトラビスを彷彿とさせる。 回想シーンでミユキの自殺前の様子が示される。童謡「赤い靴」を歌いながら、人形の股間に陰毛を描いていく様は迫力。(彼女は強姦されたとき主犯に陰毛をむしり取られたのだ) そして主犯の妻となった女性が結婚後、無理矢理犯されるシーンで、大杉漣が手元にあったLPレコードを手にしてその穴にペンを指し、レコードをくるくる回す。それを縦にして女の割れ目にそって回転させるシーンはまたまた圧巻だった。 ラスト、ジャズの「レフトアローン」が流れる中(角川の「キャバレー」以前の映画だ)、下元史郎が拳銃を大杉漣に向かって構える。銃をうとうとした瞬間にストップモーション。そして警察の取調室にいる女。 「一人残されるのが怖かったんだと思うのです」という。 そう、女は夫ではなく男を包丁で刺したのだ。 女はこうも言う。「あの人、最後にありがとうって言ったんです」 下元史郎にとっては妹を殺されて一人生きるのがつらかったのだ。だからいっそ死んでしまいたかった。 強姦事件で残された被害者の複雑な心情が感じれてよかった。「妹を強姦した奴を殺す!」という単純な復讐劇ではない、複雑な心理が出ていて、意外に拾い物だったと思う。 よかった。 大杉漣の悪役ぶりが出演シーンは少ないが、実に印象に残る。 暴性族 襲う日時 2018年11月23日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和54年(1979年) 予備校生のクニオは勉強もしないで友達のジンとテレビゲームの毎日。偶然会った先輩のヤマギシとナンパに行く。といっても街で主婦を騙して車に乗せ河原で3人で強姦した。 今度はクニオが一人でヤマギシから車を借りてナンパ。だがうまく行かず。久しぶりに出会った高校の同級生のマリをホテルに連れ込んで犯してしまう。実はマリは処女だったのだ。クニオはマリとやった後にヤマギシやジンにもやらせるつもりだったが、マリがかわいそうに思ってやめておく。 納得できないヤマギシは自分を高校を退学させた女教師にお礼参りにいく。3人で車に連れ込んで犯した。 マリはクニオの姉クニコがやっている喫茶店でバイトを始めた。マリはクニオに結婚を迫った。もちろんクニオにはその気がない。クニコは今度結婚する予定のカネコに相談し、カネコはクニオにまじめになるように諭すが、クニオはもちろん聞く耳持たない。 ヤマギシたち3人と前に犯した主婦の団地を突き止め、部屋にあがり再び犯した。また先生も再び犯す。 クニオは家を出る気になったが、それをマリは止める。ついてきたマリはヤマギシたちに犯される。 ある日、クニオやカネコが他の女とホテルに入るのを目撃した。姉は騙されているのだ。カネコを刺そうとクニコの店から包丁を持ち出す。 追いかけるクニコとマリ。道へ飛び出したとき、クニオは車に轢かれた。 その車はヤマギシが運転していた。クニオは絶命した。 中村幻児監督作品。 故あってこのところ中村監督のピンク映画を簡単に手に入るDVDになっているものを連続して観た。 以前ノヴェチェントや銀座シネパトスで観たものを入れると15本観たことになる。 その中でもこの映画はだめだった。主人公が気に入らないのである。 基本的に私は強姦が苦手である。ピンク映画でも強姦が描かれる時は否定的に描かれてほしい。 不倫とか乱交とか倫理的にどうよ?っていう性の描き方をピンク映画ではする事はあるが、最低でも当人同士は納得してやっている。 でも強姦は違う。いやがってる相手とセックスするのは私は許せないし、それを観て喜ぶのも好きになれない。 この映画の主人公たちも勝手な言い分で連続強姦をする。 最後は鉄槌を食らう展開じゃなきゃ許せないな、と思ったが、(警察に」捕まるとか女性が復讐するとかではなく)、意外な形で終わりを向かえた。 なるほど、仲間を殺してしまうのエンディングは残酷だ。ご都合主義のラストにも感じるけど、でもやっぱりこのラストでいいのである。 ほっとした。 女犯魔日時 2018年11月23日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和52年(1977年) トオルは家出した姉・ミユキからの手紙を元に福生にやってきた。手紙に書いてあった住所を訪ねたところ、友人という女が出てきた。しかし残縁ながらミユキは最近出て行ったという。女はトオルを置いて出かけていった。うたた寝をしていると隣の部屋から喘ぎ声が聞こえてきた。この家に住む男3人と女2人がセックスしていた。 翌朝、その男たちからタカムラという男ならミユキのことを知ってるかも知れないと教えられる。タカムラを訪ねてみたが、彼もミユキのことは知らないと言う。しかし騙されて中年女に売られてしまい、無理矢理裸にさせられた。 男女5人は海に出かけて浜辺でセックスを楽しむ。その間に隣の住人がやってきて「お宅うるさい」という。 数日後、その女性に道で「あんた下着泥棒でしょ」と家に連れ込まれる。そこでその女性の夫と3人プレイをされそうになったが逃げてきた。 ナカムラという男にもミユキのことを訊きに入ったが「もう別れた」と相手にされない。 その帰り道、福生の繁華街で黒人の男と歩くミユキを見つけた。追いかけるトオル。追いついてみたが姉は「私知ってるんだから。私を襲った3人のうちその一人があなたでしょ!」と言い、去っていった。 そうトオルはかつて田舎で他の男2人と女子高生を強姦したことがあった。トオルは見張り役だったが、最後にはやらせてもらえた。それが姉だったのだ。ずっと秘密にしていたが、姉は気づいていたのだ。 ショックを受けるトオル。いつもの家に帰る。そこで女性の一人が「私が姉さんの代わりになってあげる」と言ってくれた。 中村幻児監督作品。 話は全部書いた。いなくなった姉を捜す探偵物語のようなものだが、トオルはタカムラに騙されて中年女のおもちゃにされたり、近所の自称テレビで青少年の性について解説するオバサンに犯されそうになったりと脱線が多い。 タカムラも望遠鏡で隣のビルのOLと課長らしき人の情事をのぞき見てるし、ナカムラを訪ねてもナカムラも他の女とやってるし。 「自分はかつて姉を犯したことがあった」というトラウマを抱える主人公。「自分もかつて殺人を犯したことがあった」という松本清張の「影の車」を思い出させる作品だった。 脱線が多かったが、ラストは面白かった。 女子学生 危険な遊戯(あそび)日時 2018年11月23日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和54年(1979年) 予備校生のタカオ(矢野健一・たぶん)は女子大生のマキと暮らしていた。マキは今日は他の男とデートらしく出かけていった。その間にタカオはタエコを部屋に呼んでセックス。マキは大学の教授とホテルに行った。 翌朝、マキはタカオが部屋に誰か女を連れ込んだことを知ったが、怒らない。お互いに干渉しない約束なのだ。 体調の悪さから妊娠を疑ったマキは産婦人科へ。その後教授と会い、「妊娠した。あなたの子供よ」と告げる。「ここじゃなんだから」と教授はホテルに行き、子供を堕ろすように告げる。 寂しさから行きつけのバーで飲んだくれるマキ。終いには酔いつぶれてバーのマスターに送ってもらい、その帰り公園でしてしまう。そんな姿をタカオは偶然見てしまう。 タカオにも子供が出来たことを告げるマキ。タカオは予想以上に喜んでくれ、駅前で赤ちゃんように天井から吊すメリーゴーラウンドのおもちゃを買ってきてくれた。そんな時、マキはタエコと再会した。マキ、タエコ、タカオは去年予備校で知り合った仲だったのだ。マキはタエコとタカオが関係があるのを察する。 教授は別の学生ともセックス。その時に自分はパイプカットをしているので妊娠させることはないという。 ある晩、教授はマキの行きつけのバーに呼び出される。そこへマキやタカオ、タエコもやってくる。マキは今夜ここでゲームをしようという。日田晩飲み続けて残った者がマキを抱けるというものだった。 酒に弱いタカオは敗退。しかしタエコが介抱してくれた。 部屋までタカオを送っていくタエコだがタカオは「マキのお腹の子供が誰の子でもいい。マキの子供なんだから」という。それを聞いてタエコはマキに敗北を感じる。 そこへ帰ってきたマキ。タエコはマキに敗北を告げ去っていく。マキとタカオ。マキは一言つぶやいた。 「あたし本当は妊娠してないの」 中村幻児監督作品。 話は全部(オチまで)書いた。DVDのジャケットに解説文があるのだが、「ラスト、そっと囁く女の告白は背筋が凍る」と書いてあるのだが、私に言わせればこれでもうネタバレである。 「ラストにどんでん返しが!」と書かれれば見てるこっちは構えてしまう。それでも「妊娠してないの」の一言は話をひっくり返すインパクトがあった。 「男と女はゲーム」という主人公だが、タイトルの「女子学生危険な遊戯」ともリンクするピンク映画としてカラミも多く、オチも効いていて良作だと思う。 またタカオを演じた矢野健一さん(たぶん)がイケメンで今でいうなら林遣都を甘くした感じのベビーフェイスでよかった。最近観たピンク男優では一番よかった。 銃日時 2018年11月21日18:15〜 場所 テアトル新宿 監督 武 正晴 大学生の西川トオル(村上虹郎)は河原で男の死体とリボルバー拳銃を見つけた。拳銃だけを持って帰るトオル。彼はその拳銃を持ったことで自信を持った。 ある日、友人のケイスケ(岡山天音)に誘われていった合コンである女と知り合った。そして彼女の部屋に行き、セックスをした。 また学校で授業中に美女が話しかけてきた。彼女のことはよく覚えていなかったが、1年生の時の新歓コンパで会ったという。女の名はヨシカワユウコ(広瀬アリス)。 ある夜、道で缶コーヒーを飲んでいると警官に職質された。その時のドキドキがよくてトオルは拳銃を持ち歩くことにした。 夜の公園、死にかけている猫を見かけた。楽にしてやろうと銃で撃った。 しばらくして自宅に刑事(リリーフランキー)が訪ねてきた。先日近所で猫が殺され、そのときに銃声が聞こえたという情報があったのだ。その時に近所の人に走っていくトオルが目撃されていた。 「銃なんか分解して他のゴミと一緒に捨てちまえよ」と言い残して刑事は出て行った。 トオルは実は両親に捨てられ施設で育った。アパートの隣の部屋では水商売の女が子供を虐待している。トオルはその女を殺すことを考える。 期待している若手の一人、村上虹郎主演作品。製作は一時期松竹で活躍した奥山和由である。奥山和由作品であると知ってから納得した。純粋なアクション映画っていうよりも拳銃がらみの話が好きなのである。昔早見優主演で「KIDS」という映画もあった。内容は覚えていないが、「早見優が拳銃を撃つところを見たかった」という動機で映画を作ったと奥山がパンフレットで述べていた気がする(記憶)。 で、本作だが、ちょっと期待と違ったなあ。 まず「タクシードライバー」的な鬱屈した感情を抱えていて普遍的(というか誰でも共感できるような)人間が主人公かと期待したが、トオルは合コンすれば女とやれるし、十分リア充である。ここでもう私の気持ちは離れた。 そしてヨシカワに話しかけられたりしてこれまた女にもてる男である。リア充だ。 パンフを読むと彼が合コンの女とすぐにやったのも拳銃を持ったことの高揚感とかヨシカワにすぐに手を出さないのも拳銃を持ったことによる余裕と書いてあるが、それは映画を観てるだけでは(少なくとも私には)伝わっておこず、ひたすら女にもてるだけである。 (ヨシカワ役の女優をずっと「どこかで観たことあるなあ、何だったかなあ」と思ってしまった。広瀬アリスである。もう何本も映画を観てるのに。岡山天音はすぐに名前が出てきたのだが) しかも施設で育ったとかトオルの人生が特殊で、余計に私には何の共感も感じない。 そんな感じで映画から心が離れてしまったが、リリー・フランキーの刑事のシーンは圧巻である。 アパートに突然訪ねてきて、ネチネチを攻め続ける。トオルがやたらと「証拠がないでしょ?」というので「犯人はいつも『証拠を出せ』っていう」という何かで聞いたせりふを思い出す。そしたらリリー・フランキーが「あなたは証拠証拠と気にしている」と確信をつく。 出演シーンは少ないが、圧巻である。リリー・フランキーだけでこの映画は元を取ったと思える。 ラストだが、結局隣の女を撃てない。拳銃を捨てるシーンがあるが、その後で電車の中で大声で携帯で話す男(村上淳)撃ち殺してしまう。 さっき拳銃を池(だったか)に捨てるシーンがあったので、私は電車のシーンは妄想だと思ってしまった。でもこっちが現実だったらしい。 そしてカラーに変わる。(そうそうこの映画、ラストシーン以外は白黒である。でもフィルムと違ってデジタルの白黒はイマイチな感じがしてならない) 村上虹郎はもう一つ迫力に欠けた気がする。 ちょっと荷が重かったかなあ。 あとトオルがやたらとタバコを吸うのが気になった。村上自身も喫煙者らしい。 今日は監督、村上、そしてゲストで村上純というお笑いタレントのトーク付き。本作は製作が吉本興業なので、その縁で村上虹郎とゲストの村上純は知り合ったそうだ。 村上虹郎、金髪にしてやたら生意気そうだった。 スケこまし群団日時 2018年11月20日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和53年(1978年) ジュンペイとゴローは大学生。毎夜女とやる妄想をしている。バイトをすればクビという金欠の毎日。今日もツケのきくラーメン屋で食事。二人とも店主の娘で看板娘のアヤコを気に入っている。 夜の公園で覗き。ところが覗いていた相手はジュンペイが一応つきあっているナオミと同じ大学のヤマザキ。 翌日ナオミを問いつめるヤマザキ。話が終わらないのでジュンペイのバイトをゴローが代わっていくことに。ところがそのバイトは「絵のヌードモデル」と称して、若い男の体を楽しむバイトだった。オバサン相手にうんざりするゴロー。 二人は隣の部屋の若夫婦の夜の営みも覗いていた。それを見て「アヤちゃん」とオナニーをしてしまうゴロー。「俺たちのアヤちゃんをオナニーのネタにするな!」と怒り、パンツの上からゴローのキンタマに噛みつくジュンペイ。 それで翌日のバイトはジュンペイ一人で行くことに。その間にゴローは「出前をしてほしい」とアヤコを自分の部屋に連れ込む。そこで犯そうとするが失敗。 しかしアヤコは別の男をデートし、ホテルに行っていた。 ある日、ジュンペイの元に母からマフラーが送られてくる。それを見て「お袋を東京見物させたいなあ」でも金がないので、以前掃除のバイト先のマンションで男が水商売風の女の部屋から出ていくを見たことを思い出す。「こいつらから金をもらおう」 マンションで張り込むと再び男が出て行くのを見かける。ゴローは男を追い、ジュンペイは女の部屋に。 ゴローの男はなんと前にヌードモデルをした女の家に入っていった。 女房を脅し5万円、ジュンペイも女を脅し5万円を手に入れた。 アヤコの方は別の男とお見合いだという。二人はあきれて彼女の誕生日のためのケーキを顔にぶつける。 二人は二人の母親を呼び寄せ、4人で東京観光を楽しむ。 話は全部書いた。 ダメダメ大学生「女とやりたい」という、妄想で奮闘する話。 それにしてもこの時代の大人の女性はハレの日は和服を着ている。 ヌードモデルのオバサンもそう、東京見物の二人の母親も和服。 そして見物に行く先が靖国神社! まだまだ地方から来て靖国神社に行きたい、という時代なのだなあ。 ちゃんと説明はされないが、ジュンペイとゴローは同郷で親同士も知っている仲なのだろう。 それにしても純粋な感じのラーメン屋の娘が色んな男とやりまくってる設定が意外で面白かった。 少女縄人形日時 2018年11月19日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和57年(1982年) シロウとアヤコは仲の良い兄妹。しかしアヤコは通常の気持ち以上のものを感じていた。 アヤコは友人の文子が兄宛のラブレターを自分の家のポストに入れるのを目撃する。文子のラブレターを開封し書き直してしまう。 シロウの友人アキラはアヤコを抱きたいと思っていた。シロウはそれを許す。アキラは海でアヤコを抱こうとするがアヤコは拒否する。 文子がまたラブレターを送ってきた。アヤコはまた開封し、今度はポラロイドカメラで顔が解らないように自分のヌード写真を撮る。そして手紙には「あなたのことを思って毎日オナニーしています」と書いた。 アヤコは文子とシロウのデートをセッティングするが、手紙の印象とは違うので、シロウは何もしないで帰った。 風呂から出てきたアヤコの体の乳房にほくろがあるのが解る。それはポラロイドの写真と同じだった。 シロウがアキラにアヤコを抱かせたいと知ったアヤコはアキラに抱かれる。またアヤコはシロウに文子を「お兄ちゃんとやりたがっている」と騙して抱かせた。 その晩、シロウはついに押さえきれずアヤコを抱いた。 その後二人は何気なく日常を暮らしていく。 中村幻児監督、望月六郎脚本作品。 望月氏は「巨根伝説 美しき謎」の脚本家。本作がデビュー作だそうである。 タイトルに「縄人形」とあるが、本作では縄は出てこない。冒頭、シロウが同級生のミチコとホテルに行って絡むのだがそこで「自分と同じく乳首の横に妹にもほくろがある」という。もっとも最近は見ていなくて子供の頃の話だが。 その伏線ならヌードのポラロイド写真を見た段階で気づけそうなものだが、実際に気づくのはお風呂から出てきた妹を見てのことである。 まあそういった脚本の疑問を突くのは野暮か。 兄妹もののセオリーの通り、最後は兄妹は結ばれる。 そういうセオリー通りの映画だった。 美しき獲物 名探偵章六の事件簿T日時 2018年11月18日14:30〜 場所 光音座1 監督 剣崎 譲 製作 ENK 名探偵・保津章六と助手の和戸と共に今日も自殺と思われた女性が死ぬ間際に飲んだコーヒーカップのスプーンの置き方が不自然なことから夫の他殺と見抜いた。事件現場に居合わせたのはその時間に被害者から事件の相談を受けていたからだ。しかし依頼人が亡くなったため、報酬はゼロ。 大阪で芸能事務所をしている大沢(久保新二)は「俺もジャニーズのように趣味と実益を兼ねた大きな事務所にするんだ」と活きまくが今日もなにもなし。そんな時、らん(佐賀照彦)という17歳の少年が「僕をタレントにしてください」とやってきた。彼の美少年ぶりを観た大沢は彼をスターにすると誓う。 「アイドルはいつ写真を撮られるか解らない。下着もかっこいいものでなければ!」と彼の下着姿を見て興奮した大沢はらんを犯す。 旧知のテレビ局プロデューサーの柳町にらんを紹介する大沢。柳町は一目でらんを気に入り、毎日のように連れだしホテルへと向かう。 最初はそんな芸能界に抵抗があったらんだが、いつしか金も芸能界の力もある柳町に従い、大沢を邪険にする。 柳町についていく、そう告げようとした時、自分から離れていくことを察した大沢はらんを・・・・ その頃最近家に帰らないらんを心配したらんの姉が章六を訪ねていた。 らんが最後に目撃されたのは大沢の事務所に入っていくところだった。 警察は北海道にいた大沢を大阪に連れて帰り、らんの行方を訪ねたが知らないと言う。 らんが事務所に入って1時間後の3時に大沢は大きなトランクを持って事務所をでている。そして空港に行って北海道に行った。 大沢がらんをどこかに監禁してると思われるが彼にはそんな時間的余裕はない。果たしてらんは・・・・ この映画、封切りの時も観ている。たしか東梅田ローズだと思う。 最後のらんの隠し場所がなかなかトリックとして良く出来ていて記憶に残ったのだ。 答えはタワーパーキングの中。大沢はレンタカーで空港に行き、近くのタワーパーキングに停めたのだ。そこならトランクにいるらんが騒いでも気づかれる心配は少ない。そこで餓死させ自分は北海道にいたというアリバイ成立なわけだ。 「事件簿T」とあってシリーズ化も考えていたのだろうが「U」はなかったと思う。 そのトリック部分だけが記憶に残っていたのだが、今回見直して大沢の事件に至るドラマもなかなか面白かった。 むしろそちらだけでも1本の映画になるだけに章六との部分が水と油(ほどではないが)別れてしまい、2本の映画を観たような印象になるのだな。 両方とも面白かっただけにこの合体はかえって失敗か? あるいは2本の脚本を無理矢理合体させたのだろうか? 大沢は芸能事務所として大阪に拠点を置き、「やっぱり東京でなきゃダメか」と東京コンプレックスを持っている。テレビプロデューサーの柳町は東京のキー局から出向で来てるらしく、らんをきっかけにして東京での再起をもくろむ。 大沢のチャンスにかける気持ちが久保新二の熱演で伝わってくるだけに(いつもの笑わせようとする演技は今回は封印)よかった。 そして警察に捕まった後に警部が大沢が「今回の事件は自分の東京に対する嫉妬でやった」と言っていたというせりふが印象に残る。 「こんな大阪の会社でゲイ映画を作っているより東京で映画作りをしたい!」という気持ちが監督や脚本家にあったのだろうか? またらん役は佐賀照彦。本作が映画初出演だったそうだ。なるほど後に比べると幼い。 小柄な少年体型は実に美しい。 この後もENKで活躍してくれてうれしい。 なお、映画のエンドクレジットでは「佐賀昭彦」と下の点々がない誤植で笑った。映画で名前が違っているとは。 ポスターは「佐賀照彦」なんですけどね。 面白かった。 昭和流行歌 ジェラシー日時 2018年11月18日13:20〜 場所 光音座1 監督 新倉直人 製作 OP映画 国際学者石川憲三(港雄一)は人間の地球への環境破壊への警告の講演会を行っていたが観客はまばら。その中の晴生(広瀬純也・たぶん)だけは熱心に聞き入っていた。 あるバーでは常連客の原田(坂入正三)やナツキ(青木一也・たぶん)たちが超能力で話が盛り上がっている。そこへ晴生もやってきた。 スプーン曲げとか割り箸を割るという話題から「割り箸は森林伐採につながり環境に悪い」と力説する晴生。またママの洗い物から水の無駄使いや洗剤の使いすぎにも触れる。みんな少し引き気味。 晴生は石川の家を訪ね、僕に出来ることはないかと訪ねる。石川は晴生の服をみんな「環境に悪い素材だ」と言って脱がしてしまう。そして「これ以上人間が増えるのは地球によくない。男同士なら子供は出来ない」と犯してしまう。 またまたバーで環境問題を説く晴生。実は晴生を好きなナツキはその石川という男に嫉妬していた。そして「そんなに割り箸が問題なら割り箸工場を爆破すれば?」と言ってみる。 真に受けた晴生は塩とか納豆とか時計を買って手製の爆弾を作る。 それを使って爆破しようと計画し、それを石川に相談するが激怒される。 しかたなく爆破予告だけをする晴生。マスコミは石川の関与を考えるが完全否定。 梯子をはずされたと怒った晴生は作った爆弾で石川を脅し、5000万円をふんだくる。 「あんな爆弾爆発する訳ないじゃん」といい、バーのみんなで笑うが、そのとき晴生の爆弾は爆発した。 新倉直人(小林悟)である。相変わらず破綻している。 それに安易に作ってあって坂入正三とかナツキたちはバーに集まってわいわいやってるだけ。画的に普通、場所変えようとするだろ? 一応坂入は自分の恋人とのセックスの話題でホテルのシーンになったり、ナツキも晴生とのカラミはあったけどさ。 そして「カラオケ歌おう」ということになって真木洋介が「昭和流行歌」を歌うといういきなりの歌のシーンになる。こんなゲイ映画で歌を歌って宣伝とかプラスなったんだろうか? まあ港雄一が服を脱がしていくシーンはベタだけど面白かったが。 もっとも致命的なのはなんでラストに爆弾が爆発するのか? オチのためのオチ、であれならラストに富士山爆発でも宇宙人襲来でもありになってしまう。 こういう破綻を楽しむ人もいるようだが、やっぱりそういう域に達さないといけないのだなあ、とこちらが反省した。 マンハッタン物語日時 2018年11月17日19:35〜 場所 シネマノヴェチェント 監督 ロバート・マリガン 製作 1963年(昭和38年) 演奏家のロッキー(スティーブ・マックイーン)はある日、アンジー(ナタリー・ウッド)から「妊娠した」と告げられる。 ロッキーは彼女のことはうろ覚えだったが忘れたわけではなかった。「医者を紹介して欲しい」と言われたロッキーは居候させてもらっているバービーに相談したら、逆に彼女を憤慨させ部屋を追い出される。 何とか医者を見つけてきたが、400ドルと聞いて用意したのに直前になって「あと50ドル」と言われ困りはてる。仕方なくロッキーは両親の元にいき、金を都合つける。 しかし出てきた医者は粗末な医療器具で行うとするいかにも怪しい医者だった。金はあきらめその場を去る二人。 ロッキーは一度はアンジーと結婚しようと思うが「義務だとか、罰だとかで結婚しても幸せになれない。あなただけでなく私も幸せになれない」と自分から去っていく。 アンジーは心配のあまり何かと世話を焼く兄のもとを去って一人暮らしを始める。 ロッキーはそんな彼女を迎えに行くが、アンジーは兄が勧めるコロンボという料理人との結婚を考えていた。 シネマノヴェチェントの「復刻シネマライブラリー」の販促上映会のラスト1本。この企画のよいところは最近はシネコンの1本立てのせいで「自分はチョイスしない」という映画を観れるところ。こういった強制的に観ることから新しい出会いがあることもあるわけで。 全く聞いたこともない映画で、「スティーブ・マックイーンならアクションかな?でもタイトルがそれっぽくないな」と思っていたら恋愛映画。 それもくっついたり離れたりのだらだらした映画。 スティーブ・マックイーンが楽士なのだが、演奏シーンはまるでなく、そもそもマックイーンは楽士に見えないのがつらい。 演奏シーンは最後の最後にバンジョーを弾くシーンがあるが、首から下は写さず、実際には演奏してないと思う。 まあ私にはあわない映画で、観ていてつらかった。 モンテカルロ・ラリー日時 2018年11月17日17:20〜 場所 シネマノヴェチェント 監督 ケン・アナキン 製作 1969年(昭和44年) モンテカルロ・ラリーとはヨーロッパの各地から出発してフランスのモンテカルロを目指すラリーだ。自動車会社の経営権を巡って争うチェスター(トニー・カーティス)とアーミテイジはスコットランドから、ドイツの泥棒で密輸のために脱獄させられたシッケル(ゲルト・フレーベ)と英印軍で発明家のドーリッシュ少佐はストックホルムから、ローマの警察官と女医のチームはイタリアのシシリー島から出発、それぞれ集合地グルノーブルを目指す。モンテカルロには一部をのぞいてたどり着いたが失点が多く決着がつかない。仕方なく最終日にモンテカルロでレースを行うことに。果たして勝者は? 世界各国から集まってレースや競技をする、という国際的スケールの映画。石原裕次郎も出演した「素晴らしきヒコーキ野郎」の第2弾と言った感じだ。ドイツはゲルト・フレーベだし。(この人は「007ゴールドフィンガー」で記憶した) 「チキチキ猛レース」というアニメがあったが、あれは元ネタはこれなのだろう。個性豊かなドライバーがいて、卑怯な手を使って負けさせようとするが結局はその卑怯な奴が負けてしまう、という点が。 女性ドライバーとか登場人物もヒントを得てる気がする。 結構爆笑の連続で非常に楽しかった。 発明家が車につけた装置が、雪を溶かす融雪装置(車の前で火をたく)とか単純で面白い。その後に登場する後ろはキャタピラ、前はソリとは大がかりだ。それをちゃんとやっているのが楽しい。 今日、4本映画を連続してみたし、コメディなので細かなギャグはあまりう覚えていないのだが、それでも観ていて楽しかった。 今日観た4本のうち2番目に楽しかった。 (1番は「ペティコート作戦」) ペティコート作戦日時 2018年11月17日15:05〜 場所 シネマノヴェチェント 監督 ブレイク・エドワーズ 製作 1959年(昭和34年) アメリカ太平洋潜水艦隊司令官のシャーマン(ケイリー・グランド)は後数時間で廃艦になるタイガーシャークにやってきた。彼はこの船の初代艦長で真珠湾攻撃直後の騒動を回想する。 1941年12月、タイガーシャークはマニラで日本軍の空襲を受け大波した。上層部は廃艦を決定したが、シャーマンはダーウィンに回航させ修理を主張。「修理できるならば」と上層部の了解を取り付けた。 しかし修理用の部品など全く回ってこない。補充された将校ホールデン大尉(トニー・カーティス)は戦争経験も艦上勤務ない素人同然。しかし彼曰く「歩くのも危険な場所で育ったので生きていくすべは心得ている」ということ。彼に補給将校を任せるとたちまちのうちに欲しかったものがあつまった。ただしそれは倉庫から勝手に持ってきたのだったが。 なんとか出航するタイガーシャーク。敵の攻撃にあい、修理のために立ち寄った島でホールデンは撤退から取り残された5人の看護婦将校を「見捨ててはおけない」とつれてきてしまった。「船に女は厳禁!」と艦長をはじめ幹部はいやがったが選択肢はない。若い搭乗員は大喜び。 またまた補給に立ち寄った島で艦の表面塗装の下地のペンキが赤と白しか手に入らなかった。混ぜてみたらなんとピンク。シーシャークは仕方なくピンクのまま出航。ところが国籍不明潜水艦として米海軍から攻撃を受ける羽目に。無線はまだ故障中。どうやって米軍だと伝える? シネマノヴェチェントの「復刻シネマライブラリー」上映会の2本目。 本日の私にとってのメインはこの映画。高校生(1年か2年ぐらい)にテレビの洋画劇場で観て(それも全部ではなかったが)、赤白のペンキを混ぜて水兵が「けったいな色になりましたぜ」というせりふも覚えている。 (日本語字幕ではちょっと違うけど) ラスト、毛布などを魚雷発射管から放出して沈没偽装をするのだが、米海軍は引っかからない。仕方なく女性のブラジャーなどを放出してそれを引き上げた米駆逐艦艦長が「これは日本人のサイズじゃないな」と言うのがラストのオチ。 ここまでが覚えていたところだが、日本のタンカーを発見して攻撃のタイミングを計っているところで例の看護婦の一人が発射ボタンを押してしまい、失敗!ここで魚雷が砂浜を突っ切ってトラックを爆破するシーンは爆笑である。 監督はブレイク・エドワーズ。後に「ピンクパンサー」シリーズを撮った監督だ。しかし製作が昭和34年。まだ戦争が終わって14年の段階でこういう戦争コメディが作られていたとは。 かといって「マッシュ」のようなアイロニーではなく、楽しい喜劇である。 今は逆にこんな映画出来ないよなあ。 第二次世界大戦にも勝ってベトナム戦争前という時代がこんな映画も出来たんですね、という気になった。 今回約40年ぶりの鑑賞だったが、面白かった。 IFもしも・・・・日時 2018年11月17日13:00〜 場所 シネマノヴェチェント 監督 リンゼイ・アンダーソン 製作 1968年(昭和43年) 舞台はイギリスのパブリックスクール。ミック(マルコム・マクダウェル)、ジョニー(デヴィッド・ウッド)、ウォレス(リチャード・ワーウィック)は全寮制のこの学校の規律に反抗的だった。 学校は上級生や成績優秀者のいうことは絶対だった。 下級生はいじめの対象で、トイレの便器の上で逆さ吊りにされて髪がびしょ濡れにされた。 3人は町に出てバイク販売店からバイクを盗み、食堂のウエイトレスに強引にキスをする。 ある日、軍事教練で教官に銃を向け、罰として地下室に閉じこめられる。しかしそこで銃や手榴弾を発見する3人。 創立500年記念日の日、彼らは銃を乱射する。 シネマノヴェチェントで行われる「復刻シネマライブラリー」の販促上映会。「復刻シネマライブラリー」のブランドのブルーレイを1枚買うと今回の4本立ての上映会に参加できるという仕組みだ。10月にも行われたが、今回は久々に観たい映画が上映されるので参加した。 この「IFもしも・・・・」はタイトルは知っていたが全く内容は知らなかった映画。タイトルからして何となくSF映画かもう一つの平行世界を描くファンタジーっぽい映画かと思っていたが全く違った。 まるで面白くない。全寮制の高校の様子がドラマというよりドキュメンタリーのようなタッチで進んでいく。また話もつながっているというよりバラバラなエピソードが羅列されるばかりで、登場人物の感情の変化を感じない。言い換えればドラマを感じないのだな。 また映像が時々白黒になるのだが、これが意味がよくわからない。回想とか人物のイメージ(妄想)かと思うとそうでもない。 解釈に苦しんだなあ。 それに軍事教練とかしていて、イギリスのパブリックスクールを解ってない日本人にはピンとこない。 観終わって知ったが、この映画、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した。カンヌのパルムドールは時代も反映するからなあ。 そういう意味では1968年は学生運動の時代で、最後に校長とか退役軍人のような「大人の代表」に銃を撃ちまくるの時代らしいと言えるのか。 本作の主演マルコム・マクドウェルはこの映画がきっかけでキューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」に出演が決まったそうだ。 確かにそれだけの迫力の面構えをしてるな。 長い間タイトルだけで内容が不明だったこの映画を観ることが出来、そこは満足できた。 ういらぶ。日時 2018年11月16日18:50〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン8 監督 佐藤祐一 凛(平野紫耀)、優羽(桜井日奈子)、暦(玉城ティナ)、蛍太(磯村勇人)は同じマンションの同じフロアに住む幼なじみ。 凛は優羽のことが好きすぎるぐらい好きだったが、口から出る言葉は「お前ゴミだな!」。 優羽はそれを「ダメダメな私を凛君は一人前にしようとしてくれている」を受け取っていた。そんな二人の関係を蛍太も暦もあきれながらも見守っていた。 優羽の家が内装を改装することになり、しばらく引っ越した。その隣に住む佐伯和真(伊藤健太郎)、実花(桜田ひより)兄妹と優羽は知り合う。 和真は金髪で一見チャラかったが、成績優秀のため優羽の家庭教師をすることになった。 急接近する和真と優羽。このままでは優羽は和真に取られれしまう。 凛の取った作戦は「自分に告白してくる女の子を断るのも面倒だから、お前は俺の彼女の振りをしろ」ということだった。 ある日、子供の頃優羽の家族と凛で行った「星の村」という森に行った話になった。そこで子供の凛は宝物を埋めて「それを見つけたら人間にしてやる」と言われたことを優羽は思い出す。ところが凛はそれを全く覚えていないという。それを聞いて優羽は怒ってしまう。 連休に健太郎のおじいさんがその「星の森」でペンションをやっていて、6人全員で出かけるが。 今年CDデビューの「King&Prince」の一番人気の平野紫耀主演映画。 今年の春に「honey」という少女コミック映画化でも主演して今回が主演2作目。人気である。前売り券が平野紫耀の絵柄のクリアファイル特典付きで販売されたが、特典は発売日になくなったらしい。それくらい人気だ。 (ちなみに劇場販売されるグッズにはジャニーズタレントの場合、そのビジュアルを使ったグッズは出ない。これはキンプリだけでなく、佐藤勝利も中島健人も「検察側の罪人」の時もなかった。たぶんタレントのビジュアルを使った商品はジャニーズからの公式グッズ以外は認めないのだろう。ファンとしては寂しいところである。だからこそ、クリアファイルは貴重だったのかも知れない) (ちなみに私はキンプリでは永瀬廉の方が好みである。来年には彼の主演作が公開されるそうで楽しみだ。) んで映画の方だが、「女がダメな男に引っかかる理由がなんとなく分かった」という気になった。端から見れば凛は暴力的で(言葉の暴力は出している)DV男にしか見えない。それを「凛はダメダメな私を直そうとしてれている」と解釈する時点でもうダメダメである。 この映画の場合は「実は大好き」という本当の気持ちを知っているから二人は大丈夫と思えるが、現実は大抵DV男にすぎない。 こういうマンガが支持されるとは女性には実は「支配されたい願望」「どM願望」があるのかと思ってしまう。「ただしイケメンに限る」という奴かも知れないが。 後半、星の森で宝物を探すところがクライマックスだが「凛がそのことをすっかり忘れていた」というのが納得いかない。「あれだけ好き好きいってるのにお前の気持ちはその程度かよ!」と思ってしまう。 それと優羽の部屋にあがった凛が、服を少し脱いで優羽に被さるシーンも納得いかない。てっきりその前に数回登場した妄想シーンかと思っていたらいつまでたっても現実にならないのでちょっと意外だった。そんなキャラクターじゃない気がするのだが。 あと桜井日奈子。「ママレードボーイ」に引き続きの主演だが、まったく印象に残らない。かろうじて名前は覚えていたが、それは「ママレード」が「下手だなあ」というマイナスの印象しかなかったからだ。 数年前の少女コミックでは二階堂ふみ、剛力彩芽、有村架純など女優もそれなりの知名度、実力がある女優が起用されていたが、最近は男優だけが知名度がある。これはかつては女優ファンも取り込もうとしていたが、結局は男優ファンの女性しか観に来ないので、女優はどうでもよくなった、という証なのだろうか? 平野紫耀のイケメンぶりは堪能しました。それだけだし、それで十分。 異常SEX 乱射魔日時 2018年11月15日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和54年(1979年) 大学生のケンサクは廃品回収のバイトの途中で、サチコと出会う。 サチコとホテルで初デートした晩、サチコの前の男(野上正義)と出会う。男は妻子があり「君とは結婚できなかったが転勤になった。もう会えない」と別れを告げる。そしてサチコは男に抱かれる。 ある日、ケンサクはサチコを自分の部屋に連れて行くが、そこにはつきあっている女がいた。サチコはいたたまれなくて帰った。 サチコが前の男と出会っていると知ったケンサクは7時に自分の部屋に来てくれるようにサチコに連絡する。サチコがその時間に部屋に行ってみると、ケンサクは別の女とセックスしていた。 一度は別れるケンサクとサチコ。 再びつきあうようになるが、サチコは妊娠していた。ケンサクは彼女におろさせる。 「赤ちゃんどうなったんだろう?」「きっと他のゴミと一緒に東京湾だよ」 二人は海に花を手向けた。 中村幻児監督作品。 さして美男美女でもないケンサクとサチコが次々と相手を変えながらつきあっていく。 これが美男美女なら話に説得力もあるが(まあピンク映画では難しいとは思うけど)貧乏くさい70年代の若者では今の感覚で見ると違和感が残る。 さしてモテるようにも見れない二人が次々と相手を変えていくのが説得力がないのだな。 話に特に大きな展開があるわけではなく、だらだらとしていて、私にはあわない映画だった。 タイトルに「乱射魔」とあるから、最後には銃を撃つシーンがあるかと思ったら、そんなシーンはない。がっかり。 華氏119日時 2018年11月14日12:10〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン6 監督 マイケル・ムーア マイケル・ムーアの新作。マイケル・ムーア作品は「ボーリング・フォー・コロンバイン」以降の映画作品は観ている。 タイトルの「119」は2016年11月9日にトランプが大統領戦での勝利宣言をした日による。 この映画、マイケル・ムーアお得意のアポなしインタビューはなく、ニュース映像などにムーアのナレーションがつく形で進行。 マスコミをはじめ多くの人がヒラリー・クリントンが大統領に当選だと思っていた。「初の女性大統領誕生だ!」と涙を流す人もいる。 しかし実際はトランプの勝利。私も日本からのつたない情報でも「ひょっとしてトランプ勝利もありかも?」と思っていた。 既存の政治に飽きた有権者は「行政経験のないトランプに一度やらせてみよう」と思うのではないかと思ったのだ。 その分析が正しいかどうかは別にして、トランプが大統領になった。 映画はいろいろ話が飛ぶので、ちょっと追うのが精一杯。 トランプはヒラリーさえも本当は民主党のもう一人のサンダース候補に負けていた、しかしクリントン(夫の方)から共和党(というか金持ち)よりになっていた民主党はこれをヒラリーに無理矢理にしてしまった、と分析する。 そしてトランプの友達のミシガン州知事の水道問題に言及する。ミシガン湖という広大な貯水を持つのに、金持ちの利権のために汚染しきった川から水を引き始める。すると鉛の混じった水のため健康被害が続出する。しかし州はデータさえ改竄する。期待のオバマ大統領に来てもらうが、彼もコップの水を飲んで(飲む振りをして)「問題ない」という。 福島の汚染を隠す日本政府と全く同じである。 トランプのような人間に政権を渡すとこうなるという見本を示しているようだ。 そういう絶望的な政治が有権者の棄権を生み、獲得票数が決して多いとは言えないトランプ政権が誕生する。 しかし2018年2月に起こったフロリダ州乱射事件。 これに「教師に銃を持たせろ」などという政権を尻目に高校生たちが自ら声を上げる。 この一連の動きを見ると、「アメリカの高校生ってすごいなあ。日本の高校生たちはこうやって立ち上がるだろうか?」とちょっと思う。 日本は銃規制が厳しいからこそ、こういった乱射事件は起きない。 日本人からすると「銃を持つ奴には銃で立ち向かえ」という論理がまったく理解できないが、全米ライフル協会というのはそれほど歴史と力が強いのだろう。 そして教員の待遇が悪く、教員がストライキを起こしたりする。 「アメリカには民主主義の歴史がある」というムーアに対し、ある学者は「1970年ぐらいからにすぎない。黒人と女性に権利がない民主主義など、民主主義とは言えない」とばっさり。 ラストは銃乱射を防ごうという高校生の演説で終わる。それも被害者の学生の名前を呼び上げ、感極まって言葉に詰まるシーンで終わる。 民主主義は与えられるものではない。自らで作り上げていかねばならない、そんなムーアの叫びが聞こえてくる。 濡れた唇 しなやかに熱く(再見)日時 2018年11月13日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和55年(1980年) 故あって中村幻児監督のピンク映画を集中的に観ているのだが、この映画、以前観ていた。 観てる間中、主人公とヒロインがぶつかって原稿が濡れて一緒に書き直すとか、シナリオライターが「テレビに採用されたのだが、完全に書き直された」と失望するとか妙に既視感がある こんな時に便利なものでこのHPで検索したら、あった。 また忘れてみていたのだ。 (前に観たのは銀座シネパトス3で、この後広木隆一監督の「ぼくらの季節」を観ている。「午後8時の映画祭」と称したピンク映画特集の時だったらしい) 先日も上野オークラで観ているピンク映画が上映され、「なんだか観たことあるな」という気になったし、記憶力の低下は恐怖である。 でもHPを読んでかなり感想が違った。 その時の感想は「青春の夢と挫折を描いてなかなか面白い」という感じだったが、今回は「昔の四畳半の夢と挫折の青春物語」と貧乏くさく好きになれなかった。 もっともシナリオライターの話なので、今ピンクとはいえ、書き直されたとはいえ、自分の書いたシナリオが映画化された経験が出来、変わってないようで考え方が変わってしまったか。 そういう自分の考え方の差がわかり、そこは興味深かった。 乱熟女子大生日時 2018年11月12日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和54年(1979年) 姉マリと一緒に住むミキ。マリはミキが寝ている横のベッドで彼氏のトシとセックスするような女。スナックでバイトするマリは3日間だけミキにバイトを代わってもらう。そのスナックにトシと後輩のヒロシがやってきた。店が閉まった後、ミキのアパートに行くトシとヒロシ。そこでトシはついミキにも手を出してしまう。しかしヒロシがそれを止めた。ヒロシはそのままミキの部屋に泊まったが、何もしなかった。 一方マリはスナックのママの亭主(野上正義)と浮気旅行をしていた。 それを察したママはミキにマリの居場所を問いつめた。マッチの火を顔に近づけ「顔に跡をつけたいかい?」と責める。 実はミキはマッチの炎を見ると淫乱になってしまう体質だった。その炎を見て思わずオナニーしてしまうミキ。 ヒロシにも真面目に交際を申し込まれるが、タバコに点けるマッチの火を見てついその場を逃げてしまう。 ミキが部屋にいるときにトシがこの間のことを謝りたいと訪ねてきた。トシが吸うタバコのマッチの火を見て淫乱になるミキ。ついトシとしてしまう。 ミキの体質を知ったスナックのママは亭主にそれを教える。「この女抱いていいよ。そのかわり浮気はなしだよ」といい、ミキを抱かせる。 それからミキは淫乱に火がつき、繁華街で男を漁るようになった。 家に帰ってこないミキをヒロシとマリが心配しているとき、マリはついヒロシを誘惑する。二人がやり始めた時、ミキが帰ってきた。 誤解を解くヒロシ。 ミキとヒロシは河原にあった廃車に乗って架空の世界旅行をする。 「抱いて」ミキがつぶやき、ヒロシはタバコを止めミキを抱く。 中村幻児監督作品。 「マッチの炎を見ると淫乱になる」ってなんだかむしろコメディのように話が展開するかと思えばそうはならず、むしろ悲恋的な描き方になっている。 マッチの炎見て淫乱になるならもっと高校生の頃からそうなってもおかしくないだろう、というツッコミはあるが、まあそこは許そう。 (でもそういう体質が目覚めたという展開はあってもいいと思う) ちなみにそうなったきっかけは幼い頃に近所の男の子と火遊びをした記憶からである。いまでいうならトラウマか。 で、この映画のエンディング。 ヒロシとミキは廃車の中で抱き合って「ヒロシがこれから恋人として守ってくれるんだな。ハッピーエンドだな」と思わせて、ヒロシが捨てたタバコが残っていたらしいガソリンに引火して車は炎上。 二人は死んだことが予想される。 最後の最後でハッピーエンドと思わせて、「ドカン!」なので、かなりインパクトがある。 やっぱり中村幻児は普通の終わり方はしない気がする。 主人公がラストの展開で思わず「こんなはずじゃなかった」とつぶやいてしまうような。 ピンク・ゾーン2 淫乱と円盤日時 2018年11月11日12:28〜 場所 上野オークラ劇場 監督 国沢実 真船(山本宗介)は子供の頃に幼なじみの久美(南梨央奈)に振られた。理系の大学生になってエリ(佐倉絆)とつき合えたが、エリは教授の一の谷博士(小滝正大)と不倫していた。 久美は地下アイドルで活躍していたが、ある日マネージャーとセックスしているところを見てしまう。絶望して研究一筋になった真船に桂子という美人が訪ねてきて真船の妻になるという。 ある日、宇宙人の地球侵略のため、この3人の女性を集めたのだが。 SF風ピンク映画を撮る国沢実作品。脚本は元々はピンク映画の脚本家を目指していた切通理作。 ちょっと期待したのだが金曜日から映画を見続けていたので、ちょっと寝た。それにせりふが多くて、疲れているので頭に入ってこない。ピンクの女優さんて演技は大変失礼だがそんなにうまいわけではないから、どうしても「せりふを読んでるだけ」になりがち。 それに密室での会話の連続なので、どうしても画的に変化が乏しく、飽きてくる。 妻の桂子は実はアンドロイドで、久美とエリのどちらかが宇宙人という話になる。 最後、久美が宇宙人と明かされ、ケムール人の被り物で出てくるところは目が覚めた。 最後は宇宙人の宇宙船に拉致された真船だが、再度地球奪還に向かうのだが、その地球が「宇宙戦艦ヤマト」でガミラスの攻撃で真っ赤になった地球のようだった。 真船博士(「メカゴジラの逆襲」)とか一の谷博士(「ウルトラQ」)というネーミングは好き。 本日は旧作ピンクも2本同時上映だが、最初に見た「わいせつ性楽園〜おじさまと私〜」がどうも観た気がするので検索してみたら、以前新橋ロマン劇場で観ていた。 ピンク映画は無数にあるのに、また出くわすとは珍しい。しかも前はフィルム上映で今回はデジタルだしな。 妻の秘密 エロすぎ熟れ頃日時 2018年11月11日11:30〜 場所 上野オークラ劇場 監督 深町 章 製作 新東宝 私立探偵の六輔(川瀬陽太)は和代の依頼でその夫典夫の浮気を調査中。夫は浮気をしてきた後は自分を求めてくるので解るのだそうだ。 典夫が女と一緒にホテルに入りホテルでの会話も録音した。相手の女性が結婚するので今回が最後で別れるらしい。 それを和代に報告したが、和代は「これで夫が求めてこなくなる」と逆に不満顔で六輔を誘惑していた。 六輔の妻が同窓会に行った日、隣の奥さんが訪ねてきて、ついセックスしてしまった。 六輔は和代とも関係を持ったが、和代は夫がまた浮気してるらしいと言ってくる。最近よく求めてくるからだそうだ。浮気相手と思われる女と典夫のツーショット写真を見せてもらったが、相手はなんと六輔の妻だった。 六輔を意を決して「お前俺に隠してることないか?」と聞いてみた。実は妊娠していた。 妻の話では典夫とは何でもなくて、典夫の妻の浮気防止のために「子供作れば?」とアドバイスしたんだそうだ。だから最近典夫は妻とセックスするようになったのだ。 一応は信用したものの、本当かどうかは解らない。 話は全部書いた。 川瀬陽太主演の探偵もの。ミステリーではないがラストの妻の言う真相までの「フェラをすると顎が痛くなる」が「カラオケで歌いすぎて顎が痛い」になったり、そういう勘違いが面白い。 退屈しない作品でした。 ビブリア古書堂の事件手帖日時 2018年11月10日13:10〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12 監督 三島有起子 五浦大輔(野村周平)の祖母、五浦絹子が亡くなった。遺品を整理していた大輔は祖母が大切にしていた「夏目漱石全集」に手にしてみた。その「それから」の巻には「夏目漱石」のサインがしてあった。 その本は大輔が子供の頃本棚から抜いて見てみたら祖母にひどく怒られ、本嫌いになったきっかけの本だった。 その本は「ビブリア古書堂」という古本屋の値札が付いており、その書店でサインの価値を聞いてみた。 店にいた篠川栞子(黒木華)という女性が「あなたは子供の頃この本のことでひどく怒られたことはありませんか?」と言い当てた。 栞子の話ではこの全集はもともと「それから」だけで、全集の他の本はあとで買い足されたものだという。本には「夏目漱石」の他に「田中義雄」の名前があり、これが絹子にとって大事な人らしい。 人手に困っていたビブリア古書堂で働くことになった大輔。絹子と行った古書の市で稲垣(成田凌)という同業者とあった。 その古書の市では「大庭」という太宰治の小説に出てくる名前の人物が太宰の古本を買いあさっているということが話題になった。 絹子も太宰の初版本を持っており、以前から「大庭」から売って欲しいというメールが来ていた。やがて「大庭」から脅迫めいたメールが届くようになる。 ベストセラーの「ビブリア古書堂」シリーズの映画化。私は最近は映画ばっかりで小説は読まなくなったが、それでもこの本のことは知っていた。 野村周平だし観てみた。 本に書いてあった署名から大輔の祖母・五浦絹子(夏帆)と田中義雄(東出昌大)の恋愛が描かれる。小説家を目指していた義雄だが、たまたま入った食堂の絹子と知り合ったのだ。絹子はすでに結婚していて、この食堂は夫と経営していた。 不倫というとなにか良家の家の者同士のようなイメージがあったが、「食堂のおばさん」との不倫というのが面白い。 出会いのシーンでカツ丼を頼んだ義雄だが、グリンピースが上に乗っていて、それを嫌いな義雄のためにグリンピースだけ食べてしまうのが面白い。そんな絹子はなんだか愛らしい。 それにしても祖母の若い頃と言っても戦前ぐらいの話ではなく、東京オリンピックの頃だというのが驚く。そうだなあ、もう50年以上前だからそうなるか。 大庭が暴力的になってきて絹子を雨の日に階段で突き飛ばしたりし怪我をする。大輔が「俺がその本を守ります」と言ってその晩にスタンガンでやられてしまうシーンで犯人は解った。だって大輔がその本を持っているのを知ってるのは栞子と大輔を除けばあと一人だもん。すぐに解ってそれは裏切られなかった。 大輔の祖父は本当は義雄、というのは「へえそうなんだ」と思った。絹子との仲は1回ぐらいしか関係がないのかと思ったので。 古書というものは絵画と同じで本であってもはやアートになっている。いや装丁が価値があるとかではなく、存在が価値になっているのだのな。 映画資料はまだまだ数百万の価値が付くのは少ないが、今後はポスターとかDVDがそうなっていくかな。 それもよくわかります。 GODZILLA 星を喰う者日時 2018年11月9日21:50〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン3 監督 静野孔文 瀬下寛之 メカゴジラシティを使ったゴジラとの決戦作戦が失敗し、地球に降り立ったアラトラム号の乗組員たちにも厭世観が起こっていた。 エクシフの教えに帰依するものも多かった。 そんな時、アラトラム号の付近では時空がゆがみ、センサーの値はあり得ない数値を示していた。やがてアラトラム号はそのゆがみに飲み込まれていった。 地上ではハルオはエクシフの大司教メトフィエスと対立していた。 メトフィエスは「終わりこそ祝福だ」と人類が破滅することが文明を極めた人類のありべき姿だと説いていた。 そしてメトフィエスはエクシフを滅ぼしたギドラを呼び寄せる。 ギドラは3つの時空のゆがみから出現し、ゴジラに食らいついた。 別の宇宙から来たギドラはこの世界の物理が全く通じない。 しかしハルオはメトフィエスを倒し、ギドラの襲来を止める。 しばしの平和。しかし再び起動したメカゴジラのナノメタルの武器を使ってハルオはゴジラに突っ込む。 話は全部書いた。 予想されたことだが私には全くだめな映画だった。 以下、受け付けなかった点をあげる。 1、絵がだめ。 陰影の深い絵が好きになれない。私はアニメには詳しい方ではないが(むしろド素人)、「絵が嫌いなアニメ」というのは始めてみた。 これは好き嫌いの問題だからどうしようもない。 2、やたら小理屈を言う。 「終焉こそが祝福」とかそういう終末をむしろ歓迎する思想は昔からあると思うが、それをやたらだらだらとエクシフが語る。 さくさくと言いなよ。 3、ゴジラが動かない ゴジラが一点にとどまって(多少は動くけどさ)ギドラの攻撃を受けてるだけ。もう少し動いて反撃してよ、ゴジラさん。 4、あれキングギドラなの? 「キング」はないから別物ともいえるけど、ろくろ首みたいなギドラの首が3本出てきてゴジラに噛みつくだけ。いや一体化しないと消化不良だよ。 5、フツアとは何だったのか? 人類の2万年後の姿なのか、別の生き物なのか? でもハルオとセックスしようとしたしな。やっぱり人類なのか? でも鱗粉をまとってるとか妙に「モスラ」を思わせる点もあったし。 それにギドラを撃退するところでモスラが少し出てきたが、あれは何だったのか? 6、メカゴジラシティの起動しなかった理由。 が本作で明かされるかと思ったが、それはなかった。まあ別にいいんだけど。 とにかく1から10まであわない映画で、エクシフが自分たちの思想を語るシーンとか「アニメは高尚なことも出来る(する)けど、怪獣映画は暴れてるだけでこんなの観てる奴も作ってる奴もバカばかり。だから日本はだめなんだ。その点日本のアニメは世界中で評価されてるだろ!」というアニメ界が特撮を下に観てる空気が伝わってきた。 それはきっと私の被害妄想なんだけど、やっぱりやだねえ、この映画。 抱きたい女 抱かれたい女日時 2018年11月8日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和56年(1981年) 漫画家を目指すタカオは友人で予備校生のヒロシに「エロマンガ描くなら女を知らなくっちゃ。俺が紹介してやるよ」と言われる。紹介してくれた女は「誰とでもやらせる」と噂されるサセコことサチコだった。 だがタカオはその気になれずにお金だけ払ってその場を去る。 マンガ雑誌の編集部にマンガを持ち込むタカオ。編集長(大杉漣)には「見所はあるから頑張れ。でも何かが足りない」と言われる。その場でカメラマンのレイコを紹介される。 レイコはその場でタカオを誘いホテルへ。「会ったばかりなのに」と戸惑うタカオだが、レイコと寝てしまう。 ヒロシは原宿のホコ天で男に絡まれているサチコを助ける。それがきっかけでつき合うようになる二人。しかしヒロシは完全に遊びだった。 レイコは自宅で開いた乱交パーティにタカオを誘うが、タカオは怒って出て行く。レイコにタカオは「俺とだけつき合って欲しい」と頼む。 レイコは妊娠しタカオは「俺の子供だ」と喜ぶ。 ヒロシは大学受験をあきらめ、実家のスーパーを継ぐことに。当然サチコは捨てられた。レイコは前につき合っていて今はニューヨークにいる男から復縁を申し込む手紙が来て、ニューヨークに行ってしまった。 タカオとサチコの残された二人は体を重ねる。 サチコは絶望し、死にたいと言い出す。二人はボートで湖に出た。 中村幻児監督作品。 エロマンガを描くタカオが真面目すぎる気がしてその辺がちょっと気になる。見終わってみるとタカオが予備校生でもよかったのではないか。 レイコのような奔放な女が昔の男に復縁を持ちかけられてついていくのもちょっと気になる。 その辺の真面目さがピンク映画らしからぬ真面目さを感じて似合わない気もしてしまうが、サチコやタカオのような一途さは嫌いではない。 最後に自殺に湖に行く二人。タカオは「やり直そう」というがサチコは「死ぬ」と聞かない。 もみ合ってるうちに二人は湖に落ちる。タカオはボートに上がってきたが、サチコは上がってこない。 ここで「死んだか?」と思わせてサチコも浮かび上がってきて「助けて」と叫ぶ。 死なないでくれてほっとした。希望のもてるいいラストだった。 移動ラブホテル(秘)めろめろ日時 2018年11月6日 場所 DVD 監督 中村幻児 製作 昭和53年(1978年) 親切レンタカーは表向きは「運転手付きレンタカー」と言っているが、実は女性向け風俗。男性の運転手がドライブしてセックスもすす商売だ。 タダシ(野上正義)は今日も有閑マダムと商売してきた。 キヨシという若者が「体力のある人募集」という貼り紙を見て会社にやってきた。「いなくなった姉さんを探しに東京に来た」というキヨシ。 早速社長は面接と称してセックス。 もう一人のドライバー、マサルはなぜか変態客からの指名が多い。今夜も行ってみたら女装の男で、オカマを掘られてしまう。 タダシは車がえんこして困っていたクミを助けてあげる。行きつけのトルコ嬢にせがまれて1日デートにつき合う。 マサルはそれから仕事を無断欠勤し始める。しばらくしてやってくると女装していてこれからはオカマとして生きていくという。 仕方なく変態客の相手を新人のキヨシがするが、うまく行かずに逆にアソコが折れてしまったという。「仕方ないなあ」とタダシはなじみのトルコ嬢に「なんとかしてやってくれ」とトルコに連れて行く。 ところがなんとキヨシが探していたのは逃げた女房で、そのトルコ嬢が妻だったのだ。結局は復縁する二人。 一方、クミの方は姉の旦那と浮気しており、姉と離婚させようとしていた。二人がラブホテルから出てきたとき、タダシと再会した。 なんとタダシの常連客がクミの姉だったのだ。 社長は今日も新人の「面接」をしている。 中村幻児監督作品。 明るいラブコメならぬピンクコメディで楽しく観た。 キヨシが「一回オカマを掘られたためにオカマに目覚めた」というのは安易すぎるギャグで私はいやなのだが、まあこんなものだろう。 今だって変わらないのではないか? 野上正義が助けた女性の姉が実は常連客だったとか、なじみのトルコ嬢が実は新人の逃げた女房だった、とか伏線も効いていて楽しい。 面白かった。 ここは退屈迎えに来て日時 2018年11月4日17:40〜 場所 新宿バルト9・シアター1 監督 廣木隆一 高校を卒業して10年間東京で暮らしていた「私」(橋本愛)。今は地元に戻ってタウン誌のライターをしている。今日もいつものフリーカメラマンの須賀さん(村上淳)と一緒。「私」は高校時代の友人・サツキと一緒に高校時代のあこがれの男子だった椎名くん(成田凌)この後会いに行く。興味を持った須賀さんも一緒に行くと言い出す。 途中立ち寄ったゲームセンターで同級生の新保くん(三浦大知)と再会する。 高校時代、椎名くんは人気者で彼の周りにはいつも人が集まっていた。新保くんは「チンポ」と仲間からいじられることが多かったが、それをいやがっていた。ある日、椎名くんがその場を救ってくれたことがあった。 ハンバーガーを一緒に食べる。新保くんはちょっと席を外した椎名くんのコーラのストローに口をつけた。 椎名くんとつき合っていた「あたし」(門脇麦)は別れてからも椎名くんを引きずっていた。その隙間に遠藤が入ってきたが、「あたし」は好きじゃない。 なっちゃんは中年親父(マキタスポーツ)と援助交際していたが、最近はお金はどっちでもよくなっていた。 雑誌の読モで活躍し、その後ちょっとアイドルをしていたあかねは今は地元に帰ってきていて高校時代の同級生・南とバイトの帰りにファミレスで食事をするのが日課のようになっていた。やがてあかねは結婚するのだが。 廣木隆一監督作品。久しぶりに見る橋本愛、最近人気の成田凌、廣木隆一監督と観たい要素はあったのだが、「どうしても!」というほどではなく、パスしようかと思っていた。でも結局タイトルに惹かれて観に行く。 結論からいうと観逃さないで良かった。 今日、「走れ!T校バスケット部」というキラッキラの青春サクセスストーリー映画を観て面白かったのだが、こちらはそんなサクセスストーリーとは無縁の青春映画(という表現がいいのか)。 人間誰しも30歳前後に「あの頃に思い描いていた大人になれたかな」と悩むようだ。私もそうだったし。この映画もそんな「将来の自分に不安を感じる自分」と「その10年後の自分」を描いていく。 そして思うようになれなかったような、なれたようなやっぱりなれなかった不思議な感覚を味わう。 新保くんはゲイのようで「好きな人の心に住む自分になりたい」という。かなわないだろうと言ってたけど、仕事が無くてぶらぶらしていた椎名くんに仕事を紹介した。「私」にその話を振られて「彼には感謝している」ということを言う。新保くん、彼の心に住んでるじゃん。 一方、「私」は椎名くんの心には全くいなかったとは! また読者モデルのあかねを雑誌で見て「こんなになったら人生思うままだね」と言っていた「私」とサツキ。その彼女が10年後に結婚した相手とは?そして椎名くんの結婚相手とは? ばらばらだった人間関係が繋がっていくエンディングは心地よい。 人間、人から見てうらやまれてもそれほどじゃないし、また逆もあり得る。 帰りに紀伊國屋でつい原作本を買った。もう一度観たい。初見では観逃したいろいろが見えてきそうな気がする。 面白かった。 走れ!T校バスケット部日時 2018年11月4日13:00〜 場所 新宿バルト9・シアター3 監督 古澤 健 小学生の頃からバスケが大好きだった田所陽一(志尊淳)は一番応援してくれた母の死も乗り越え、白瑞高校バスケット部に所属し活躍していた。 しかしある日中学時代からの親友がイジメにあっているのを助けたのだが、今度は自分がイジメのターゲットになってしまった。 学校はイジメの存在を認めようとせず、陽一は転校する道を選んだ。 転校した多賀野高校(通称T校)では部活はしないと決めていた。しかしT校のバスケ部のマネージャー佐藤浩子(早見あかり)は白瑞で活躍してた陽一が転校したと知り、バスケ部に勧誘する。 はじめは断った陽一。しかし英会話で通う教会でモーガンさんという外国人に会い、「君を必要としているチームがあるはずだ」と諭される。 バスケ部のキャプテン俊介から「3on3で戦ってお前が負けたらバスケ部に入る。勝ったらお前の好きにしていい」と言われ、その勝負を受ける。 バスケをするうちにその楽しさを思い出す陽一。陽一は勝った。「俺の好きにしていいんだな。ならバスケ部に入る」 陽一という戦力を得て、キャプテンの俊介を助けつつT校は徐々に強くなっていく。 志尊淳主演映画。少女コミックの実写化とかこういう若手俳優が主演の映画は好きなので鑑賞。 結論から言うと面白かった。 冒頭のイジメのシーンは私にはきつい。ああいうイジメのシーンはどんな映画でも苦手です。「ミスミソウ」なんか全編イジメの映画だったからきつかったなあ。 そのイジメの相手と最後に(スポーツとは言え)対決するとはハードな展開である。まるで捕虜になって拷問を受け、解放された後で再び対決するという戦争映画みたいなストーリー展開。 というか娯楽映画の王道なのだろう。そんな男臭い映画とは一見無縁はスポーツ映画でやる発想がすばらしい。 全国大会を目指し始めていきなり勝ち抜いていくというのが出来過ぎな気もするが、今回は仕方ないかも知れない。ここでリアリズムを持ち込むのは間違いだ。 途中で白瑞との喧嘩や、それによるキャプテンの交通事故などの波乱を含みつつ、決勝戦。 そこで根本的に転校したばかりの選手には出場資格がないという話になり、合宿に行った先の変なおじさん(竹中直人)がバスケ連盟の偉い人だった!というのも出来すぎ。でもまあ許すか。 千葉雄大や竹内涼真のワンシーンゲスト出演とかのサービスも旺盛で、ここに出来すぎ感は漂うものの、王道の娯楽映画として面白かった。 期待より良かった。 性獣のいけにえ日時 2018年11月3日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 麿 赤児 製作 昭和60年(1985年)新東宝 大学生のミハシが山奥の下宿屋にやってきた。大学に通うための正式の下宿屋が決まるまでの短い間のつもりだ。女主人の名はカワモトユキコ。 ミハシが部屋に入って荷物を整理しているとユキコの兄というタカシ(大杉漣)が入ってきた。「この部屋は僕のお気に入りの部屋でね」。無礼なタカシに怒ったミハシだが、2階にあるこの部屋は階下の住人たちの生活を上からのぞき見ることが出来た。 妻を暴力で支配する遊び人の男、背中に大きな入れ墨をして両足のない軍人を愛撫する女、女を全身くまなく愛撫する男。 しかしミハシも拳銃を隠し持っており、何者か解らない。 ある日ミハシがこの家の周りを歩いていると刑事に遭遇した。2年前から連続して女性の殺人事件が起こっており、被害者が最後にいた場所と死体の発見現場を結ぶ線にこの家があるという。 この家の住人の正体は? 大杉漣さんが2001年に書かれた本「現場者」が追悼の意を込めてこの9月に文庫化。それを読んでピンク映画時代に記憶に残ってる作品の一つとしてあげられていたのがこの映画。 本の中では「撮影後、この映画がどうなったか解らない」と書いていらっしゃるので、大杉さんは完成作品はご覧になってないかも知れない。 西洋甲冑と絡んだ、画面から逆バンジーのような消え方をした、と書いておられたので、どんなすごいシーンかと思ったら、映画を観るとそれほど変ではない。 むしろ逆バンジーのシーンはどこのシーンかよくわからなかった。 もう一度観てみるか。 やっぱり映像は監督の頭の中にあるので、現場でそのカットだけを演じると「変なカットだな」と思っても、つないで観ると全体の流れの中では違和感の無いこともある。 あと大杉さんの記憶の中で、記憶が増幅されてる部分あるのではないだろうか? 全体として多少は変わってるけどそんな訳解らん映画でもないし、独特の空気感のある映画でした。 まあピンク映画として気分が盛り上がる映画でも無かったですが、「麿赤児に作らせてみよう」という空気があった時代なのですね。そんな気がしました。 |