2019年3月

   
ボヘミアン・ラプソディ L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ
運び屋 男ざかり ハルキのセイギ
〜東春樹のボッキ診断書
ジャレッドの旅立ち
妻の母
媚臭の甘い罠
月夜釜合戦 狂つた一頁
(活弁ピアノ演奏付き)
家族のレシピ
岬の兄妹 翔んで埼玉 君は月夜に光り輝く ウルトラマンR/B(ルーヴ)
劇場版 セレクト!絆のクリスタル
超淫乱家族
生いじり
喪服妻と縄 そっと剃って! ハッテンバ・ラブ・ストーリー 絶対痴女 奥出し調教
濡れた愛情 ふしだらに暖めて 歯まん サムライマラソン キングコブラ

ボヘミアン・ラプソディ


日時 2019年3月30日18:05〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン3
監督 ブライアン・シンガー


ロンドンの空港で荷物の積み込みのバイトをしていたフレッド・バルサラ(ラミ・マレック)は趣味で音楽を作っていた。ライブハウスで見かけたバンドが気に入り、楽屋を訪ねてみる。そのバンドのボーカルが「君たちとではせいぜいパブ周りで終わりだ」と抜けていく。
それを知ったフレッドは自らを売り込む。歯科医の勉強もしているドラマーのロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)に「そんな歯並びで歌えるのか?」と言われたが少し歌って見せたフレッドの歌声は見事だった。
フレッドはロジャー、ギターのブライアン・メイ(グウィリム・リー)ともにバンドを結成、バンド名を「クイーン」とし、自らもフレディ・マーキュリーと改名。後にジョン・ディーコンもベースで参加。
彼らの音楽がEMIの目に留まり、デビューが決定した。「キラー・クイーン」が大ヒット。彼らはロック界の頂点へと。
フレディはまだ売れない時代に知り合ったメアリー・オースティンと恋人関係にあったが、やがてフレッドはゲイに目覚めていく。
ソロデビューの話もフレディの元にきたが、一旦は断る。しかしバンド内の曲の名義、ギャラの配分などの話し合いに疲れたフレディはソロアルバムを作成する。しかしソロになってメンバーのありがたさを実感。
伝説のチャリティーコンサート、ライブエイドの出演でメンバーは再結集した。


昨年11月に公開され未だに上映中の大ヒット映画。
新宿ピカデリーでは1日1回の上映だが、キャパが2番目に大きいスクリーン3での上映だ。それでもまだほぼ満員だ。

昨年の段階ではクイーンはろくに知らないし(そもそも洋楽は私は疎い)パスするつもりでいたのだが、「クイーンを知らない世代でも楽しめる」と聞いて、大ヒットしている話題作は一応気になるので観てみようと思いつつなかなか時間が合わずにこの時期になった。

結論からいうとそれほど心は動かされなかった。やっぱりクイーンに対する前知識、思い入れの違いだろう。
クイーンを知ってれば「あのときああだったのか!」的なおもしろさがあったに違いない。それは「キングコブラ」を観たときの感激のように。

それに応援上映とかやってるから、映画の半分はライブシーンなのかなと思っていたが、それほど多くはない。あれだとラストのライブエイドのシーンぐらいしか「応援」出来ないんじゃないの?

フレディ・マーキュリーがゲイだと自覚始めるシーンで、アメリカのツアーに行ったとき、バスの移動でドライブインでトラック運転手がトイレに入っていくのを見てつい扉の前まで行ってしまうという描写がおもしろかった。

フレディは最後エイズで亡くなるのだが、80年代前半はまだまだエイズに対する知識もなく、治療法延命法も解ってない時代だし、「エイズ=ホモだけの病気」だと思われていた。今ではそうではないと理解されているが。

クイーンのことを知らないと言っても「キラー・クイーン」ぐらいは知ってるし、他の曲もちらっと聞いたことはある。
結局映画の中では「ボヘミアン・ラプソディ」はフルで聞かせてもらえなかった。ネットで検索してちゃんと聞いてみようと思う。






L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。


日時 2019年3月30日12:50〜 
場所 イオンシネマ・シアタス調布・スクリーン11
監督 川村泰祐


親の仕事の関係で一人暮らしをする高校生の葵(上白石萌音)は実は同級生で学校一のイケメン柊聖(杉野遙亮)とつきあっていて、なおかつ同じアパートの同じ部屋に住んでいた。二人がつきあうようになったのは元々同じアパートだったのだが、葵が誤って柊聖の部屋を水浸しにしてしまい、その償いからだったが、今は二人はラブラブで住んでいる。
そこへ柊聖のいとこの玲苑がやってきた。玲苑はアメリカに住んでいたが、かつて一緒に住んでいた柊聖をアメリカに連れもどすために日本にやってきたのだ。
どうやらつきあっている女がいて、その女のために日本を離れないようだ。玲苑は柊聖ほどの頭があれば日本のような狭い世界ではなくアメリカの大学に行って世界を相手にする男になってほしいと思っていた。
柊聖の彼女を探す玲苑。やがて葵とわかり、彼女がどれほどの女か見極める!と3人で暮らすようになった。


山崎賢人・剛力彩芽主演で映画化された「L・DK」(「・」は本当はハートマークで表記)。この映画の成功が現在の少女コミック映画化ブームになったと思う。以前は1年に2、3本だったが、今は毎月1本公開されてるイメージだ。この手の映画に批判的な意見もあるのは承知しているが、私はいいと思うよ。若いきらきらしてる男女が主演の映画というのは見ていて気持ちいい。

しかしそれが主演の男女を気に入れば、という前提付きだ。
上白石萌音は「ちはやふる」で覚えたが、特に好きではないが好感の持てる女優だ。
横浜流星はいままで彼の出演作を何本も見ているが、まるで記憶に残ってない。嫌いではないが、特に好きではないのだろう。
吉沢亮などは「オオカミ少女と黒王子」で出演シーンは少なかったものの、記憶に残り現在の活躍はうれしい限りである。

問題は杉野某である。
顔はまあ街で見かけたらイケメンになるのだろうけど映画で見ると何も魅力がない。まあ本作は横浜流星の方がいい役で見せ場もあるから目立ちようがないかも知れないが。

それにしても「アメリカの大学に行く」ってのがステイタスなんだなあ。
私自身がアメリカにあこがれる気持ちがないからかも知れないんだが、「安易な発想」という感想が拭えない。

結局のところ、前作の山崎賢人=剛力彩芽のコンビに比べれば格落ちした二番煎じの映画にしか見えなかった。残念。







運び屋


日時 2019年3月30日10:25〜 
場所 イオンシネマ・シアタス調布スクリーン11
監督 クリント・イーストウッド


永年家族を顧みずにデイリリーの栽培に熱意を捧げたアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は新世紀になりインターネット通販などの影響で事業がたちゆかなくなった。娘の結婚式よりユリの品評会を優先させたような男を家族が迎え入れてくれるはずもない。
娘のパーティに来ていた男に「生涯交通違反なしなんだって?よかったら車を運転する仕事を紹介するよ」と言われる。
アールはそのときは聞き流したが、一度だけやってみることにした。
車を運転し、遠くの町のホテルの駐車場に車を停める。車を離れて戻ってみると約束通り金があった。100ドル札が100枚あるような札束に驚く。
一度だけの積もりだったが、退役軍人会館が火事で閉鎖の危機にあったり、孫娘の学費のために運び屋を二度三度と繰り返す。
最初は荷物に関心を持たなかったが、ある日荷物を開けてみると覚醒剤らしきものだった。道に車を停めていたので警官に声をかけられたが、なんとかやり過ごす。
麻薬捜査官ベイツ(ブラッドリー・クーパー)はアールたちの輸送路を捜査していた。一味に協力者を作り、あるルートを通る黒いトラックがその車との情報を得る。
しかし見つからない。アールはヤクを運ぶ途中、孫娘から自分の妻が危篤と連絡を受ける。見舞いに来るように言われるが「今はいけない」と断る。しかしヤクの運搬を途中で中止し、妻の元へ。
ヤクの密売人もベイツも賢明にアールを探す。


クリント・イーストウッド監督作品。去年のイーストウッド監督作品は見なかったが、ここ最近、イーストウッド作品は「そこそこおもしろいけどそれほどでもない」という毎回65点ぐらいの感じしか受けないのだな。
今回自身の監督作品での主演は「グラントリノ」以来11年ぶりだそうだ。ええ、「グラントリノ」ってそんな前だっけ?5年ぐらい前の感じしかしなかったのだが。

予告編で見たイーストウッドはもうよぼよぼのイメージ。実際87歳とか。そりゃすごい。

実話だそうで、主人公が家族を省みない人間だったと聞いてさぞ「女遊びばかりしていた男」と思っていたがさにあらず。
ユリの栽培というきわめてまっとうな仕事に熱中していたのだ。
実際仕事というのは達成感もあり、いやなことばかりじゃない。やりがいのある面もある。でなきゃこれだけの人間が熱中するはずがない。

途中で自分が運んでいるのはヤクだと気づくのだが、両親の呵責に苦しめられるわけでもない。麻薬犬の鼻を芳香剤(かな?)でバカにしたりしてやり過ごす。

最後には警察側にヤクの組織を摘発させいっぱい食わすのかと思ったらそうでもなく、単純に捕まる。
それにしても麻薬取り締まり官が朝食を食べてるドライブインで「家族は一番だ。大事にしなよ。そうでないと俺みたいに娘に口も聞いてもらえなくなる」という会話をした相手だったと知るシーンがよかった。

それほどよくもないが、外れもないイーストウッドの映画は、アメコミの映画化に占領されたハリウッドには必要な映画だと思う。
あと何年か解らないが、活躍してほしい。




男ざかり


日時 2019年3月25日10:50〜 
場所 日劇ローズ
監督 新倉直人
製作 OP映画


新田組の組長が出所した。若頭の半沢、3年目の岩井、昔からの子分のマサ(坂入正三)が向かえに出て、伊豆の別荘に入ってもらった。
岩井はまだ入って4年目、二人で風呂に入り、親分のしゃぶられ、自分も親分のモノをしゃぶらせられた。
岩井は4年前に両親が借金取りに追われて首をつり、その恨みを晴らすためにヤクザになった。親分は半沢は昔取り立てをやっていたと話す。
どうやら半沢が自分の親を死に追いやったと知った岩井は組を抜ける。
東京に帰り少年刑務所時代の仲間のミナミたちを呼び出す。
若頭の妹みすずは岩井に惚れてるらしい。
3人で車を盗んで伊豆にやってくる。ミナミはたまたま見かけたみすずを強姦しようとする。「こいつは関係ない」と止める岩井。
自分が死に追いやった夫婦の子供が岩井だと知った半沢は、「わびにきた」と素直になって岩井を海岸に呼び出す。
半沢の男気にふれた岩井は逆に「兄貴」と抱きつき、そのまま二人は海岸で絡み合う。
一方ミナミともう一人の仲間はマサが酒を飲ませ、やがて「入れ墨はどこですか?」「かっこいいですねえ」という会話からやがて絡み出す。
翌朝、一人の刺客がやってきたが、半沢が倒してしまう。
そして岩井は組を抜け、ミナミともう一人は東京に帰り、マサも「俺も連れてってくれ!」と組を抜ける。
刺客は逆に組長の風呂の相手をさせられる始末。
岩井は「兄貴!」と組に戻る、で終わり。


監督は新倉直人。相変わらずやる気も感じないし、「どうしてそうなる?」の展開が続く。
坂入正三とミナミたちのカラミなど完全に「男どうして犯せばいいんだろ?」という感じの投げやりでやる気もサービスも感じない。

こんな映画作ってたんじゃ、客も離れるわな、と思わせる映画だった。






ハルキのセイギ〜東春樹のボッキ診断書


日時 2019年3月25日9:50〜 
場所 日劇ローズ
監督 難波冬樹
製作 ENK


本来はセルビデオだったのをなぜか劇場公開もしてしまったらしい映画。
東春樹という役者は覚えていない。ENKの映画には出てなくて、ショー専門だったのかも知れない。

カメラ目線で春樹君とデートするパート、ENKの南大介が春樹君にインタビューするパート、その他春樹君のシャワー、オナニー、ショー(の練習風景?)のパートが交互に登場し、どれかのパートが15分ずつ出てくるような構成ではない。
デート、シャワー、ショー、インタビュー、デートみたいに続いていく。

映画ではなくビデオ作品だからカラミの描き方は激しい。
インタビューでは東京の練馬生まれ、身長163cm、体重48kg。
顔は田村正和の若い頃を50%引きしたような感じ。
インタビューのノリも悪いし、あまりやる気を感じない。

デートは最初に待ち合わせて電車に乗って「山下公園行きたいね」とか行ってるけど横浜ではない。
最後は居酒屋で食事してカウンターで脱がせて後ろを犯される春樹君。

その前に今のストーリーとは関係ない、シャワー、オナニーと続いてカラミ。そこでは相手役を掘ってたのにね。

インタビューは普通の質問から、インタビュワーの南大介が突然「好きな番号言ってごらん」春樹「?別にないです」大介「いいから」春樹「じゃ3番」の会話の後、洗濯ばさみを南大介が出し春樹の乳首を摘む。
その後ろうそく、張り型、電マと続き、最後は大介と絡む。
映画ではそういうのないけど、春樹の後ろの穴のアップもある。

そしてヤングHOMOショーの衣装をつけて踊ってるところ(たぶん客はいなくてビデオの撮影だけだと思う)

いつ頃撮影されたかも解らないが、こういうのもあったんだなあ。





ジャレッドの旅立ち


日時 2019年3月24日16:45〜 
場所 広島・横川有楽座
監督 ダスティン・ランス・ブラック
製作 10%プロダクション


ジョージアの田舎からロスに出てきたジァレットはとりあえずユースホステルに泊まった。同室になった奴・ハビエアは「時々ビジネスで使うから」と言われる。
掲示板に出ていた「盲目の女性を世話する」というバイトに応募する。
ヘインズ夫人で昔は目が見えたのだが今は盲目。採用になり、ヘインズ夫人にも気に入られる。息子のマシューが忙しくて世話できないのでヘルパーを雇ったのだった。
ヘインズ夫人の夫は映画監督で、ヘインズ夫人も昔は女優だった。それで今でもきれいなのだ。
ジァレットが宿に帰ったが、ハビエアが仕事中で部屋に入れない。代わりの近くの部屋のロバートの部屋に泊まるが、ゲイのロバートが誘ってきた。
ジァレットはヘインズ夫人の家に住むことになった。マシューもゲイで、アンドルーという恋人がいるがやっぱり他の男への欲望は抑えきれない。
マシューがジァレットをデートに誘う。二人きりかと思ったら車の助手席にはアンドルーがいた。食事の後3Pに誘われるジァレット。


広島に昨年出来た(というか的場シネマと有楽座が移転した)横川有楽座。ピンク映画2本にゲイ映画2本という4本立て上映。ものすごい。それって需要あるの?

私が前の方で見たことも関係するのだが、手持ちカメラでやたらと振るし、ぐらぐら揺れるし、アップの連続で引きの画がないし、見づらい見づらい。
今日の4本目だからか、それとも手持ちカメラで画が揺れたからか気分が悪くなった。
話の方はおもしろくないし、だらだらと1時間35分も続き、イヤになる。

結局どうなったのかなあ。3Pはしなかったと思う。最後はマシューは降られて、ジァレットはヘインズ夫人に惜しまれながら仕事を辞める。
最後にヘインズ夫人は「夫のおかげで贅沢で豪華な暮らしは出来たけど、本当に好きだったのは別の人と後で気がついた」と言われ、本当に好きな人を大事にすることを学ぶジァレット。
それで最後はロバートのところにいったような気がする。
いや田舎に戻ったんだっけ?
もはや話もろくに覚えていないぐらい、見てて飽きてくる映画だった。


本日は博多から小倉に出て小倉名画座で「フーテンのHOMOさん 夢人間」「十八歳」を鑑賞後、広島に移動してこの前に「走る男たち」を鑑賞。3本とも見てるので感想省略。





妻の母 媚臭の甘い罠


日時 2019年3月24日14:45〜
場所 広島・横川有楽座
監督 関根和美


木内貴志(牧村耕次)は若い妻・美沙と再婚し、幸せな日々だった。しかし最近ポストに「お前の妻は若い男と浮気している」という脅迫状が届いていた。
困った貴志は学生時代の恋人の智子に相談する。実は美沙の母親でもあるのだ。学生時代につきあっていたが、卒業後は自然消滅、そしてそれぞれ別の人と結婚。美沙の母親を紹介されたとき、かつての恋人だったので驚いたが、二人がつきあっていたことは内緒にすることにした。
智子は会社の人じゃないかという。
しばらくして智子から連絡があった。美沙を訪ねてみたら今から出かけるというのでつけてみたら、美沙の前の恋人の一ノ瀬と会ってるのを見たちうのだ。
貴志は美沙を問いつめるとあっさり認めたが、先物取引で200万円の損失を出し、それを立て替えてもらい返済しているというのだ。
貴志は今度は実の娘が母を嫌ってしたのではないかと思い、娘を問いつめたが逆に「私がそんなことする訳ないじゃない!」と切れられてしまう。
智子にいろいろ相談するうちに二人はまた関係が戻ってしまった。
ある日、智子の部屋でライターを探してるときに脅迫状に使った新聞の切り抜きを発見する。
実は智子が犯人だったのだ。
娘が貴志といちゃいちゃしてるのを見てつい嫉妬したのだった。


こんな感じの話。
智子が犯人というのは最初からだいたい読めた。それにしても自分の再婚相手の母親がかつての恋人だった、というのはすごい設定だなあ。
今「正しい恋愛のススメ」というドラマをDVDで見てるが、それもあるシナリオライターが自分の息子の恋人(ウエンツ瑛士)と出来てしまう話。
まあ息子の友人に手を出す母親の話もピンクではあるけど、それ以上の設定だなあ。

この設定が認められるかどうかで感じ方が変わってくる気がする。
私は違和感が残ったが。

牧村耕次はおっぱいをなめるとき、舌をつきだしてきて妙にいやらしい感じだった。それが印象に残った。





月夜釜合戦


日時 2019年3月21日18:50〜 
場所 ユーロスペース1
監督 佐藤零郎


大阪、釜ヶ崎。ここは日雇い労働者と街娼のあふれる町。
メイ(太田直里)は飛田で公娼を今は街娼となって町に立っている。
大洞仁吉(川瀬陽太)はメイたちの住むアパートでその日暮らし。
大道芸人の逸見は釜ヶ崎のヤクザ、釜足組の宴会に呼ばれていく。釜足組の跡目のタマオ(渋川清彦)は跡目を継ぐのがいやで家を出ていたが、この度戻ってきた。その宴会だったのだ。逸見はこれをきっかけに釜足組に入れて貰おうとするが、許されない。逸見と息子の貫太郎は釜足組の宝物の「釜」を持ち出してしまう。これを返す代わりに組に入れた貰おうという魂胆だ。
しかし結局組には入れてもらえず、その晩逸見は火事で死んだ。放火を疑われることもなく事故として片づけられた。
釜足組は組の宝の釜を取り戻すため、釜ヶ崎の釜を全部買い戻そうとする。


「つきよのかまがっせん」と読む。去年ぐらいから大阪で公開され、ツイッターの私のフォロワーでは少し話題になっていた。内容は知らないけど釜ヶ崎でオールロケした映画らしいとだけ知っていた。
パスしようかと思っていたが山中貞雄の「百萬両の壷」をモチーフにしていると聞き、俄然観たくなった。

観てみたが、「百萬両の壷」をそのままリメイクという感じではない。
釜ヶ崎に住む人々の無限のパワー(という言い方がいいのか不安だが)を描くことが一番のテーマだろう。

明るくむちゃくちゃなパワーに圧倒される。
主人公の二人に加え、釜ヶ崎の人々を支援する活動家、ヤクザ、町の浄化と称してヤクザと結びつく警察、それと癒着する再開発業者、そして空き缶拾いの二人組の男をはじめとする町の人々。

町の人々役で色んな人々が登場するが、これが役者ではなく本物の町の人々も多いらしい。
立ち飲み屋で「釜ヶ崎がなんで釜ヶ崎っていうか知ってるか?」という話題になって複数の人がそれをいうのだが、その「間」とかがいかにも素人っぽい。それを聞いていく川瀬陽太さんがなんとか「(彼らの台詞を)拾っていく」様が楽しい。

監督は実際に釜ヶ崎で支援活動をして釜ヶ崎に根づいた人だそうだ。そうだろうなあ、町の人との信頼関係がないと撮れそうもない映画だった。

この映画、16mmで撮影され上映も16mmで行われている。
フィルムのざらつき感がたまらなく合っている。パンフレット代わりに「批評新聞」というのを売っていたが(製作者がつくった機関誌らしい)ここで「今の時代16mmで撮ること」の難しさを延々と語られている。
そんなに難しいならやめればいいのに、と私なんか思ってしまうのだが、そこは目指すものが違うのだろう。

最後は釜ヶ崎を警察やヤクザと結びついて再開発を目指す業者が、火事を起こして警察に事故にして作戦が進行していた、ということ。
釜ヶ崎の人間は団結して彼らを追い出す。

釜ヶ崎の公園(通称三角公園)に炊き出し用の大きな釜があって(これは実際にはないものだろう)そこにメイが隠れたのだが、その釜を持って売ろうとする奴が出てくる。
その連中に釜が湿地帯のような場所にもっていかれるのだが、中から声がして驚いて逃げていく。
顔を出したメイが一言「釜(釜ヶ崎)あらへん」
再開発が進み、だんだん変わっていく釜ヶ崎を象徴する台詞だったような気がする。

「岬の兄妹」と違って明るさにあふれており、その点がすごく好感が持てた。






狂つた一頁(活弁ピアノ演奏付き)


日時 2019年3月21日14:00〜 
場所 近代文学館講堂
監督 衣笠貞之助
製作 大正15年(1926年)


作品紹介省略。
今回の上映会は映画関係ではなく、この映画の「新感覚派映画連盟」の一員の横光利一展の関連企画として上映。
だから名画座の映画館にはチラシがおいておらず、客層も映画ファンというより文学ファンが多かったようだ。

上映素材は国立映画アーカイブ(旧・フィルムセンター)が作成したオリジナルプリントを79分の映写スピードでDVD化したもの。
70年代に公開された音楽がついたサウンド版は、フィルムの(上映映画でいうと左側)に光学トラックをつけたため、左側がトリミングされているのだが、今回はオリジナルの画角での上映だそうだ。

それで解った。途中「大福引」のシーンで「大福引」の文字の片方の端が切れており、どうにも不思議だなと思っていた。
今回の上映では「大福引」の文字はちゃんと映画の中央にある。
やっぱり!こうでなくちゃあ。

弁士は片岡一郎、ピアノ演奏は上屋安由美。
最後に質問を受け付けていただいたので聞いてみたら、今回の台詞は、川端康成が残した脚本をベースに片岡氏の解釈(アレンジ)も入っての弁だそうだ。

最初に踊り子の後ろで大きな玉がくるくる回るシーンが印象的だが、時々「くるくるくるくる」という擬態語を片岡氏が挟む。
これはこの玉がくるくる回った様子と「狂った」の最初の文字のダブルミーニングで、片岡氏のアイデアだそうだ。

それにしてもやはり弁士がつくと映画の解釈がまるで違っている。
妻が狂人になったきっかけは自分にあると主人公の小間使いの男は思っているのだが、「妻を狂わせ、娘の結婚も破綻にしてしまう。なんて俺は罪深い」という贖罪の念がよりいっそうよく分かる。

サイレント映画も途中で字幕が入るとどうしてもシーンのリズムが乱れる。(そこでシーンが中断されるから)
その点、字幕がなしならそういうテンポの中断はない。
衣笠たちがこの映画を字幕なしにしたのは「弁士がついて上映される」ことが大前提で当たり前と考えていたからではないか?
案外、サイレントで音楽なしでの鑑賞は考えていなかったのかも知れない。

また最後の質問コーナーで質問に答える形で片岡氏が言っていたが、「母親が死なせた子供は結婚する娘の下の子。子供は二人いた」んだそうだ。
そうか、それで死んだはずの子供の結婚話とかおかしいと思っていたんだ。

また妻を外に出そうとして周りから「君は気でも狂ったのか?」と責められ、「狂っているのは妻か?俺か?」と男が解らなくなるという展開も納得。

確かに切ない話だった。
弁士付きで観てよかった。

ちなみに冒頭のクレジットに英語字幕がついていたが、円谷さんは「Tsuburaya」と表記されていた。





家族のレシピ


日時 2019年3月17日13:10〜 
場所 イオンシネマ板橋・スクリーン4
監督 エリック・クー


高崎で父・和男(伊原剛志)叔父・明男(別所哲也)とラーメン屋を営む真人(斎藤工)。父が急死し、真人が10歳の時に亡くなったシンガポール人の母の日記を見つける。
母のことを知りたくて今は音信不通となっているシンガポールの叔父を訪ねる。シンガポールに住む日本人でフードブロガーの美樹(松田聖子)の力を借りて、叔父が経営するパクテーの店をたどることが出来た。
真人は祖母に会ったことがなかった。祖母は戦争中に父を日本兵に殺されていた。そのことが原因で日本人に敵意を持っており、日本人と結婚した娘を許せなかったのだ。
叔父と共に祖母を訪ねる真人だったが、祖母は真人に会おうことを拒絶した。
真人はパクテーのスープでラーメンを作る、ラーメンテーを作って祖母に持って行く。祖母は会ってくれなかったが、おいていったスープ、麺、具でラーメンを作り食べてくれた。
その味が気に入った祖母は真人を許す。


斎藤工主演で松田聖子も出演してるという知識だけで観に行った。斎藤工主演ならそれだけで観てもいい。
監督が日本人ではないでの「外国人が日本を舞台に取った映画なのかな?」と思って観たらちょっと違っていた。

冒頭は日本でラーメン店を親族で営む設定だが、父の死をきっかけに真人はシンガポールに行く。そこで父が母と知り合ったきっかけなどが語られていく。
途中、真人がホテルのテレビで「日本占領下を考える」という展覧会のタイトルが変更されたというニュースが流れる。
「あっ」と思っていたら祖母が日本人を敵視していた話になる。

歴史認識で「シンガポールは日本のおかげでイギリスから独立できたのだから彼らは日本に感謝している」と主張する人々が知ったら大騒ぎになるような内容。
宣伝が地味で2週目にも関わらず、ここイオン板橋では1日1回しか上映されないのはこのせいか。それとも関係ないか。

真人はその戦争展示会に行き、証言者の録音を聞く。「赤ん坊がぐったりしていると、やってきた日本兵がその赤ん坊を宙に投げる。そして落ちてくる赤ん坊を銃剣で突き刺した」というエピソードが語られる。
週刊新潮に書かれたら斎藤工も「売国役者」と言われてしまうかも知れない。

お話の方は日本兵に父を殺された遺族(つまり祖母)が日本人に恨みを持ているために真人の母が日本人と結婚したのが許せなかった。そして真人も拒絶していたが、パクテーとラーメンのコラボ料理を食べて思い直す、という展開。

お話は単純だが、料理のシーンが長く丁寧。「料理はすべての心をつなぐ」みたいな「いいお話」である。

松田聖子はシンガポールに住む日本人役。かなり老けた印象である。






岬の兄妹


日時 2019年3月17日11:00〜 
場所 イオンシネマ板橋・スクリーン12
監督 片山慎三
 

良夫(松浦祐也)は自閉症の妹の真理子(和田光沙)と二人暮らし。真理子は時々失踪する。今日もどこかへ行ってしまった。友人で警官の肇に相談するが、結局夜になってある人が真理子につけてあった名札で連絡してくれたのだ。実は男は真理子に金を渡し、体で遊んでいた。
良夫は足が悪く、そのことが原因で造船所をリストラされた。家賃も電気代も払えない。内職だけではだめだ。
仕方なく真理子を使って売春を始める。1時間1万円で最後までOK。
サービスエリアのトラック運転手に声をかけるが、そうはうまく行かない。繁華街ではやくざに脅される。
チラシを作ってポスティングする二人。
客は順調についた。しかしチラシのおかげで肇にもそのことがばれてしまった。
体の大きくならない青年・中村が何度か真理子を指名してくれていた。真理子はどうやら中村に好意を持ってるらしい。
そんな時、真理子の妊娠が発覚した。


はっきり言って観ていて途中で帰りたくなった。
私は知的障害者の出てくる映画が苦手なのである。どうも嘘くさく感じるし、彼らを理解した上で描いているのか疑問を感じるからだ。もちろん本当に障害者を理解した上で描いてるなら解るけど、なんか「知的障害者は嘘つかないから心がきれい」とか描かれるとダメである。

本作が「心がきれい」と描いたとは思わない。
しかし主人公たちを追い込むツール、道具、設定としてしか描かれてない気がする。
そもそも良夫は失業して生活保護とか受けられなかったのだろうか?
良夫が生活保護申請の知識がなくても、友人には警官の肇くんがいる。(この肇君を演じた俳優、どっかで観たと思ったら「男はつらいよ」の最後の方でくるま菓子舗の店員さんである)
警官ならそれぐらいの知識とかなかったのだろうか?

妊娠するが、どうしてコンドームをつけさせなかったのか?
「最後までOKですけどゴムはお願いします」と言わなかったのか?
もちろん知識のない真理子がゴムをはずしてしまうという可能性はありだけど、どうにもなあ。

肇くんが「お前は足が悪いんじゃない。頭が悪いんだ!」というのももっともである。

映画は妊娠して、結局は堕胎するのだがその前に例の中村青年に「結婚してやってくれませんか」と頼みに行く。
「好きですよね?」と言われて「好きじゃないです」と答える。

映画の始まりは真理子がいなくなったとして町を探し回る良夫から始まる。
そしてラストもまた真理子がいなくなる。良夫は海岸の岩の上にいる真理子を見つける。
ここで良夫の携帯がなる。仕方なく出る。映画はここで終わる。

正直、映画を観ていていやな気分になったし、救いのないドラマで帰りたくもなった。しかしこの最後の電話が希望が持てた。
私はあの中村青年が思い直して電話をくれたと思いたい。
あるいは売春のシマを荒らされたヤクザからかも知れないが、私は希望を持ちたかった。
映画は最後には希望があるラストであってほしい。

主演の二人は実にがんばった。和田さんはピンク映画のイベントで会う機会もありそうだから観たことは話そう。
迫力のある映画だと言うことは認めるけど、好きかと言われると好きにはなれない映画だった。









翔んで埼玉


日時 2019年3月16日17:00〜 
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン5
監督 武内英樹


かつて埼玉から東京に行くには川口で通行手形を見せなければいけない時代があった。
そんな時代、東京のエリートが集まる白鵬堂学園にアメリカ帰りの麻実麗(GACKT)が転入してきた。その類まれなる都会性に周りの学生はひれ伏す。しかし生徒会長の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)(※男子生徒)だけは敵対心を見せた。だが麗の都会性は百美は認めざるを得ない。百美は麗を意識するようになる。
二人で遊園地に出かけたある日、進入していた埼玉県人が逮捕される現場に遭遇する。それを見て麗はその母子を助けようとし、麗も実は埼玉県人だったとばれてしまう。
追われる麗、麗と行動を共にする百美。やがて埼玉解放戦線の伝説の男、デューク(京本政樹)に助けられる二人。
百美の父である東京都知事(中尾彬)は千葉県民に通行手形撤廃を条件に協力させる。
ここに千葉対埼玉の戦いが始まる。果たして東京は?


1979年か80年頃、タモリの「オールナイトニッポン」で流れ始めたさいたまんぞうという歌手が歌うコミックソング「なぜか埼玉」。
この曲が流行り始めた頃から(と言ってもベストテンに入るようなヒットではなかったが)、埼玉をからかうネタが流行るようになった。
「なぜか埼玉」そのものは確か「父がこういう変わったレコードを忘年会で貰ってきました」と番組宛に送られたことがきっかけだったと思う。

タモリだけでなく三遊亭円丈の新作落語に「足立区ランド紛争」というのがあった。フォークランド紛争時のネタだから1982年頃である。
埼玉が「足立区なんて埼玉だ!」として東京に攻め行って足立区を埼玉県に編入しようと攻めてくる話である。
その枕で「息子が家を建ててそれを親に報告した。春日部に家を建てたと言ったら『人の道を外れたことをするな!』と叱られる。『お言葉ですが人の道とは何でしょうか?』『人の道も知らずに育ったのか。人の道というのは小田急線、京王線、中央線を言う。これが西武新宿線になるとちょっと違う』」というネタだった。母親にも「春日部に家を建てるような子を産んだ覚えはありません」と言われ、息子はショックを受けて自殺するという話だったと思う。この落語、もう一度聞きたいなあ。

そんなことを思い出したのがこの映画。
予告でも使われたが二階堂ふみの「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わしとけ!」のせりふに象徴される埼玉をネタにするギャグの数々。
関東圏の人間には分かるけど、果たして地方の人間には笑えるのかな?
埼玉は「大東京」に隣接してるからバカにされるけど、地方に行けば十分都会で通用する規模である。そうなると関東圏以外の人には笑えるのだろうか?

衣装もネタもばかばかしいが金はかけて画は立派である。
この映画、大ヒットだそうだ。
大がかりにやったからこそ、受けたんだろうな。
東映もがんばったと思う。









君は月夜に光り輝く


日時 2019年3月16日14:15〜 
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン7
監督 月川 翔


岡田卓也(北村匠海)は高校2年生。新学期になって新しいクラスになったが、まだ会ったことのないクラスメートが病気で入院しており、励ましの寄せ書きをみんなで書いた。「会ったことないから」と書くのが乗り気ではなかった卓也だが、結局書いてしかも当人に届ける羽目になった。
入院しているのは渡良瀬まみず(永野芽郁)。「早く病気がよくなるといいですね」の卓也のコメントに「これって何か冷たくない?」と言われてしまう。彼女は「グミ食べたい」のメモを看護師に内緒で卓也に渡す。
卓也も今度はグミを買って訪れた。その際に彼女が父親に貰ったという大切にしているスノードームを壊してしまう。
お詫びに、と卓也はまみずはやりたくても出来ないことを代行することに。
まずはジェットコースター、山盛りパフェを食べる、人気のスマホを買ってくる。そのスマホを使ってテレビ電話で中継する。ショッピングモールに行く、バンジージャンプをする。
いつしかまみずを好きになっていく卓也。スーパームーンの晩、彼女を病室から連れ出し、屋上で月を見る。
そこで告白するが、彼女は倒れてしまう。


北村匠海主演作。最近一番のお気に入り若手俳優である。北村匠海主演でなければ観に行かなかったろう。
「春待つ僕ら」が消化不良だったため、今回は堂々とした主演でうれしい。(クレジット上では永野の方が上だが)

難病ものは一時に比べると減ってはいるがまだまだなくならないジャンル。こういうのは好きではないのだが、本作ははからずも少し泣いた。
スーパームーンをバックにした二人などいい画になっている。
ポスターの黄色いバックもこの月。

及川光博がまみずの父親役だが、卓也が訪ねてきて「君みたいな青年がいつかやってきて、『娘さんをください』って言われると思っていた」に続き「一度言ってみてくれ」のあたりは泣きそうになった。
私も卓也の立場ではなく、父親の立場で泣いている。
まああのくらいの子供がいてもおかしくない歳だからな。

北村匠海はどこかちょっと暗い感じがあり、どこやか物憂げである。その物憂げな表情が、どこかこの作品と似合う。
他の明るい感じの若手俳優ならちょっとこの感じは出ない。

「君の膵臓を食べたい」の時から観ているが、あの作品はそれほど評価しなかった。
本作とはどこが違うのか、検証のために再見したいと思う。





ウルトラマンR/B(ルーヴ)
劇場版 セレクト!絆のクリスタル


日時 2019年3月11日19:15〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン9
監督 武居正能


綾香市での怪獣と湊家の戦いがすんで1年。次男のイサミ(小池亮介)は宇宙考古学の研究でアメリカへ、妹のアサミ(其原有沙)は看護学校へと進学すべく勉強していた。しかし家の店を手伝っているカツミ(平田雄也)は自分の進路を見いだせないでいた。
そんな時、高校時代の親友、ゆきお(西井幸人)訪ねてみる。高校を卒業したらゲームクリエーターになる夢を持っていたが、今は就職したゲーム会社も辞めて自宅でゲームばかりの日々だった。
町に怪獣が現れ、ウルトラマンに変身するイサミとカツミ。そこへもう一人のウルトラマンが登場する。彼はジード。この世界とは別のパラレルワールドからやってきたウルトラマン。普段の姿は朝倉リク(濱田龍臣)。
そんなゆきおの元に悪のウルトラマン・トレギアがやってくる。そしてトレギアの言葉に従い、ゆきおは彼が考えた怪獣スネークダークネスになる。
トレギアの企みにより、別の惑星につれていかれるカツミ。
なんとか助け出され、3人のウルトラマンとアサミが変身したウルトラウーマンはスネークダークネスに立ち向かう。


一昨年、「ウルトラマン・ジード」は濱田龍臣目当てで観た。全く面白くなかったが、性格のよさそうな濱田龍臣を観てるだけで楽しかった。
今回のルーヴは「兄弟でウルトラマンになる」とか言われて、その世界観に全くついていけずに観なかった。これは去年も言ったけど、もう私がなじんだ「地球防衛隊がいて怪事件が起こって怪獣が最後に登場しウルトラマンが解決する」という基本はどこかへ行った。
まあネタ切れとか制作費とかいろいろと事情はあるんでしょうが、もはや「仮面ライダー」「戦隊シリーズ」「スターウォーズ」とも区別がつかない世界観である。
何回も同じ話をしてしまうけど、やっぱり最近のウルトラマンを観るとそういう年寄りくさい説教めいた感想を持ってしまう。
いかんいかん。

夢に挫折して悪の世界に入ってしまうが、ウルトラマンの助けで友人が元に戻る、という非常に道徳的なお話。
うん、悪くはない。子供向けにいい話だ。これからも君たち夢かなわず挫折するだろうけど、くれぐれもだからと言って悪の道に入らないでほしい。

んでウルトラマンがジードも含めて3人登場し、やたらめたら変身してバージョンアップして他のキングやらなんやら私の知らないウルトラマンがやたら出てくる。あれ絶対円谷プロの人間でも区別つかないぜ。

そしてドラマより怪獣大激闘が延々と続き(上映時間は70分だが合計40分以上怪獣バトルじゃないか?)、3分ルールもなく無限に戦い続ける。何回も言うけど世界観についていけない。

濱田龍臣を観に行っただけだからいいんですけどね。
濱田君、ジードの頃よりちょっと顔つきが大人っぽくなってきた気がします。
少女コミックの実写化とか出ないかなあ。
私がプロデューサーなら企画するんですが。












超淫乱家族 生いじり


日時 2019年3月10日18:01〜 
場所 池袋シネロマン
監督 池島ゆたか
脚本 切通理作
製作 エクセス


資産家の老人、高橋(平賀勘一)は子供はいたが今は別居して一人暮らしだった。通いの看護婦に下半身も世話してもらっていた。ある日、新聞の折り込み広告に「レンタル家族」の広告を見つけた。担当者を呼んで話を聞いてみると一人暮らしの人などに家族の暖かさを味わってもらうサービスだという。3時間で15万円。高橋は札束を用意し、「これで72時間頼む」とすぐに注文した。
やってきたのは長男役シュンイチ(山本竜二)、シュンイチの妻役、マサミ、次女のエリコとその夫マコト(なかみつせいじ)、そして末娘のカオル。
一晩目、高橋はマコトとエリコの夜の営みをのぞき見る。高橋は娘夫婦の営みを見るのが夢だったのだ。翌日、シュンイチとマコトは会社に行くと称して出かける。その間に高橋はマサミにセクハラをする。彼は息子の嫁にセクハラをするのが夢だったのだ。
シュンイチとマコトは「役者で食っていけない」というようなお互いの境遇の話でなんだか意気投合。散歩に出てきたマサミやカオルとも話をし、マサミとマコトもなんだかいい感じだ。
その晩、マコトとマサミは結ばれる。実は夫がいるというエリコとシュンイチも出来てしまう。
高橋も看護婦や元風俗嬢というカオルの力で満足する。
行為の最中に心臓発作を起こす高橋。
翌日本当の息子(池島ゆたか)夫婦がやってきたが生き返った(?)片端は「今頃来ても遅いわ!」と息子夫婦を追い返す。
高橋は合計4人の女性と交わり大満足。
やがて契約の時間が来て5人の息子、娘は東京に帰る。マコトとマサミは今回がきっかけで付き合うようだ。シュンイチはエリコをホテルに誘うが本当の夫が迎えに来て一緒に帰って行った。やはり本当の夫がいいらしい。


長かったが話は全部書いた。
映画評論家の切通理作氏の初脚本作品。氏はもともとピンク映画の脚本を書きたかったそうだ。

見ている間、レンタル家族という疑似家族が「そして父になる」などの是枝作品を思い出した。切通さんもツイッターで言ってたけど「万引き家族」を先取りしている。

そういう疑似家族を演じている間に本当の家族のような感情が生まれ出す。マコトとマサミはこのまま本当に結婚するかも知れない。
しかしエリコは本当の夫の元に帰るから、すべてのレンタル家族が本物の家族になるわけではない。
そういう「みんな家族以上の家族になって大団円」という終わり方、という訳ではなく、返ってよかった。

血塗れ人形が出てくる映画の後はこう言ったほのぼのとしてピンクでよかった。
言ってることは特にすごいことではないのだが、ほのぼのとしたピンクでよかった。

あとの1本は後藤大輔監督の「ベッドパートナー」。以前にグリソムで見ているので感想はパス。





喪服妻と縄 そっと剃って!


日時 2019年3月10日17:00〜 
場所 池袋シネロマン
監督 佐藤寿保
製作 エクセス


カズミはコスチュームプレイの店、「人形の家」で働いている。菊坂(池島ゆたか)という客が喪服を着てSMプレイをするのを好んだ。
菊坂は「あなたの旦那さんは亡くなりましたが生前『妻はSMプレイ好きだから、俺が死んだら頼む』と言い残されてしました」と言って自分で状況を作ってプレイを楽しんでいた。
ある日、カズミは初めての客に呼ばれていくとそれは夫だった。実は夫とのセックスが激しくて赤ちゃんを流産したことがあった。その子供にトオルと名前を付け、小さな人形をトオルと思っていつも話しかけているカズミだった。夫はカズミに帰るようにいうが「私は人を殺した女。縛られて罰を受ける」と言って聞かない。
カズミの仕事仲間のエミコが女子高生のコスプレで菊坂の元に言った。「今日はカズミさん来れないからあたしでいいじゃん」と言って絡もうとするが、菊坂の機嫌を損ねるだけだった。
菊坂はSMプレイにはまって妻を自殺させたことがあった。それを悔いていてカズミに「一緒に死のう」と言ってお互いの首を縄で縛って行くのだが。


獅子プロ製作の佐藤寿保作品。
SMだけでなく、流産させた赤ん坊の代わりに手のひらに乗るような小さなキユーピー人形(正確にいうとキユーピーではなかったと思うが)が出てきてそれが血塗れになるとか、描写がとにかく暗い。

佐藤寿保らしい陰惨さが漂う。
やっぱりピンク映画は「明るく楽しい」のがいいよ。大蔵が「血はだめ」という決まりがある、という噂があったけど、そういえば大蔵ってそういう陰惨な映画はない。明るく楽しいばかりではないけど陰惨さはない。
悲しいというより切なさだ。

結局最後は二人との死ななかったが、全体的に漂う陰惨さが私は受け付けなかった。





ハッテンバ・ラブ・ストーリー


日時 2019年3月9日12:16〜 
場所 光音座1
監督 山本竜二
製作 ENK


中学教師の山本(山本竜二)は最近ある公園のトイレに通っていた。先週ここで偶然に出会った肩に刺青のある青年に再び出会うためだった。
その青年は山本がトイレに入ると個室に誘い、彼の舌使いで昇天したのだった。もう一度逢いたい。
会えない日々が続くが、そのトイレで千秋(南条千秋)という男に話しかけられた。「誰かを捜してるんでしょう?」と話しかけられ、ただではいやだと千秋のアパートに連れて行かれる。千秋の話では例の青年は基正(石井基正)という名で、新宿の映画館によく行ってるらしいという。
千秋と絡んだ後、山本がシャワーを浴びている隙に千秋は山本の財布から名刺を抜き去った。山本が帰った後、千秋は自分の兄貴(池島ゆたか)と「たっぷり強請ってやろうぜ」と話し合う。二人はクスリを注射しあってセックスをする。
翌日その新宿の映画館に行ってみる山本。他の男に手を出されたものの、基正に会うことが出来た。映画館を出て基正を追いかける山本。
中央公園で話す二人。基正は山本の気持ちには答えられないと言う。
基正は今自分が住んでいるところに案内してくれた。そこは一見旅館だったが、中はゲイが集まるハッテン旅館だった。乱交場を案内され、「こういう束縛されないのが好きなんだ」という基正。
やがて千秋から山本の元に電話がかかってきた。「ホモをばらされたくなければ200万円払え」という。相談する人もなく困り果てた山本は基正たち旅館の住人に相談する。基正は「そういう奴は許せない!俺が話をつけてやる」と山本と二人で乗り込む。
兄貴や千秋にどつかれる山本。基正も犯されかけるが、山本は一念発起、二人に逆襲し基正を助けることが出来た。
基正も山本の気持ちに感動し、二人は結ばれた。


話は全部書いた。
山本竜二氏は以前(確か2017年11月)西荻窪のレストランで上映会のイベントで「ピンク映画でホモ映画を初めて撮る監督に『男を女に入れ替えれば話はいいんだろ?』と言われたことがありましたが、男同士にはハッテン場というものがあるんです!と言いました」と言っていたのを思い出した。
そう言えば京都西陣シネマを舞台にした「シネマ・ホモ・パラダイス」もハッテンバの話だった。

これも山本竜二氏のいう「ホモでしかあり得ない話」になっている。
脅迫された山本が学校の屋上で「ホモが教師になってはいけないという法律はない。なのに何でこんなに苦しまなきゃいけないんだ」と悩む。
確かにそうである。

公衆トイレというハッテンバ、ホモの集まる映画館、プロという脅し、乱交旅館とゲイの世界ならではの要素がちりばめられてる。
原案山本竜二、脚本五代響子とあるから山本竜二氏が提案した要素を五代氏が脚本にまとめたという感じか。

脅迫されるシーンなど観ていて痛々しくなるので、実は楽しかったかと言われるとそれほどでもない。あと山本竜二氏は顔が怖いので、悩める中学教師は似合わないのだな。脅迫する側の「兄貴」なら似合うのだが。

本日は2週間前に観た「あこがれ」を再見したくてやってきた。
11時の回と13時過ぎの回の2回「あこがれ」を観た。
いや名作です、この映画、私は好きです。
若い美青年に翻弄される中年男とかそういう話、好きですねえ。
「ベニスに死す」も根本は同じ話だと思う。
よかった。




絶対痴女 奥出し調教


日時 2019年3月7日20:16〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 友松直之
製作 OP映画


公演を控えたある劇団。しかし主演女優のアカネが入院。演出は仕方なく代役を立てることになった。紹介されてきたのは魅力的な女の子サオリ。
劇団員の田中(津田篤)は同じ劇団の女優とつきあっていたが、サオリをつい口説いてしまう。そして二人は関係を持った。
同じように鈴木もサオリに近づく。そして二人は関係を持った。
演出家の元にアカネについての噂を教えてくれた。行く先々の劇団員とやりまくって人間関係を壊していく「劇団クラッシャー」の異名を持つらしい。
この劇団は宇宙人の存在についての芝居なのだが、サオリは「自分は宇宙人で、人間と仲良くなりたくてセックスしてるのだが、返ってうまく行かない」と打ち明ける。


友松直之作品。脚本は城定秀夫と共同。
新人劇団員のかわいい子が次々とやりまくっていく話。
時々公演の風景がインサートされ、宇宙人によるアブダクション(誘拐)が話される。主人公が宇宙人にたびたび誘拐され、その間の記憶がない、ということで夫に打ち明けても信じてくれなくて病院にいく、医者も信じてくれないというような話。

その公演の方の話で「ロズウエル事件」とか「エリア51」とか宇宙人とUFOの話では定番の話について肯定派と否定派が論争するとか、UFOがわりと好きな私にはそっちの方が面白かった。
(エリア51とかグレーの宇宙人とか聞くと「木曜スペシャル」世代としては楽しくなるのだよ)

最後に「みんなと仲良くしようとしてセックスしたら返ってまずくなった」というのは面白い視点ですね。うん、人間はセックスすると独占したくなる。他の遊びならみんなとしたくなるのになあ。

サオリが宇宙人だったのか芝居のワンシーンなのか曖昧になってるような作りだったが、友松直之らしい一ひねりした映画だった。

この後「淫ら好き 4人でしゃぶる」上映。こちらは数年前に新橋ロマンで鑑賞済みなので、帰った。






濡れた愛情 ふしだらに暖めて


日時 2019年3月7日18:58〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 高原秀和
製作 OP PICTUERS


いつか(小倉由菜)は自分を捨てたミュージシャンの元彼をバットでなってやろうとしたが、元彼と一緒にいた今の彼女にスタンガンで反撃にあってしまった。いつかが倒れてるところをサチコが助けて自分の伴侶とやっているスナックに連れて行く。介抱してとりあえず復活したのでいつかは帰って行った。いつかはサチコや彼女の伴侶の片桐(那波隆史)に好感を持つ。「いつでもまたいらっしゃい」とサチコは送った。
元教師のサチコはいつかの相談に乗るようになり、高校中退の彼女のために高校卒業認定試験を勧める。それがきっかけで始めたばかりのランチタイムだけのバイトに入ってもらうようになる。
ある日、スナックの夜の営業中に絡む客がやってきた。片桐は実は高校教師時代に生徒と関係を持ってしまい、さらにその彼女を交通事故で死なせてしまって10年ほど前にマスコミの話題になったことがあったのだ。
それがきっかけでサチコとは離婚。しかしサチコたちの子供が死んだことをきっかけで再び交際が始まり、今ではまた同居していた。
いつかが襲った彼女から逆襲を受けるいつか。彼女が雇った二人組の男にレイプされたのだ。失意のいつかは片桐に好意を寄せるのだった。


那波隆史さんと櫻井拓也さん出演作品。
櫻井さんはいつかが同居している友人が働いているイメージクラブ(でも本番もOKらしい店)に来る客役でワンシーンのゲスト出演。いつかがその客の「見てるだけでいい女の子がいて欲しい」という希望でヘルプに入ってるのだな。
那波さんは主演級の扱いで那波さんファンの私としては満足。

いつかもサチコも片桐も「このままでいいのか?」と思っており、いつかは高校卒認定にチャレンジするし、サチコもカレーライスというランチメニューを始める。片桐だけが特に何もしない。

片桐はなんとなく女に迫られれば断りきれない男。前の生徒との関係もそうだったらしい。妻がいるんだから断るときは断らなきゃ!って思うけど、いざと迫られたら関係を持っちゃうかな?
そういう「解っちゃいるけどやめられない」というのが人間だ。

最後の方で「あるもんしかない」と字幕で示される。
「人生望みすぎてはだめ」ということがいいたいのだろうが、字幕で示されると押しつけがましい。
ピンク映画にはそういう理屈は(私は)いいかなあ。

那波さんの主演級の映画で、そこはよかったです。




歯まん


日時 2019年3月6日20:10〜 
場所 アップリンク渋谷スクリーン1
監督 岡部哲也


女子高生の遥香(馬場野々香)は恋人の高校生洋一(中村無何有)と初めてのセックスで相手を殺してしまった。遥香の性器は挿入された相手の性器をちぎってしまうのだ。
相手が血だらけになったラブホテルから抜け出して家に帰る遥香。朝のニュースでは「男子高校生がラブホテルで性器を切られて殺害された」と報道している。
学校に行くことも出来ずに喫茶店で泣いてるところを裕介(小島祐輔)に声をかけられる。その後、裕介の姉だという女性・みどり(水井真希)からも声をかけられる。
遥香は洋一の性器を林に埋め、花を飾った。
その後八百屋(宇野祥平)に声をかけられ、車で林の中に連れて行かれ強姦された。そしてまた相手の性器をちぎってしまう。
死体を片づけようとしている時に裕介が通りかかった。二人は死体を埋める。
二人は心を交わすようになるが、そこへみどりがやってきて「もう裕介には近づかないで!」と言われてしまう。
裕介に別れを持ちかける遥香。納得しなかった裕介だが、今度はみどりに拉致されてしまう。実はみどりが裕介の姉でもない人で単なるストーカーだった。裕介のアパートで襲われたところでみどりの指が遥香の性器に入ったとき、指をちぎった。みどりを殺す二人。
裕介は遥香とセックス抜きでもつきあいたい、いや彼女に殺されてもいいとまで言ってくれた。二人は結ばれたのだが。


この映画のことは存在すら知らなかったのだが、今日いまおかしんじ監督がツイッターで「この映画の上映後トークイベントに参加します」と言ったので観に行った。

正直だめ。でも印象には残ったから、ただ「つまらない」というのではなく映画としての力はあるのだろう。
まず冒頭から彼氏の方が血しぶきをだし、遥香が血しぶきまみれになるのがもうだめ。私、血しぶき苦手。

それに「性器が男の性器を食いちぎってしまう」ってコメディにしかならないと思うが、これが実にシリアスに展開する。
そこが違和感なのだなあ。

トークイベントはいまおか監督、岡部監督の他は川瀬陽太さん、水井真希さん。水井さんは「こういった内容っC級ホラーにありそう」川瀬さんも「普通は男目線の話になるのが、女性の方が主人公になっている点が珍しい」と話されてたけど、そう思う。

女性の方が「私は愛した人とセックスすると相手を殺してしまう」って悩んでるけど、殺された恋人の洋介の方がもっとかわいそうだよ!

あと八百屋の宇野さんのレイプシーンが残酷というかムカつく態度でしかも長いという観てる私は不愉快になった。

インパクトのある映画だが、好きにはなれなかった。






サムライマラソン


日時 2019年3月3日16:45〜 
場所 TOHOシネマズ日比谷・スクリーン3
監督 バーナード・ローズ


幕末。浦賀にペリーがやってきて開国を迫ってきた。それを聞いた安中藩の城主・板倉勝明(長谷川博己)は城の侍を召集する。
召集を聞いて「謀反の計画か?」と思い違いをした勘定方の、実は幕府の隠密の唐沢(佐藤健)は江戸に「藩内に不穏な動きあり」という暗号を江戸に送ってしまう。
しかし板倉の申し伝えは「侍を鍛え直すために!」という目的で明日遠足(とおあし)を開催するということだった。一着のものには願いを叶えるという。
唐沢はそれを聞いてあわてて飛脚の手紙を取り戻そうとするがすでに遅し。
板倉の娘・雪姫(小松菜奈)は絵が好きで、江戸や外国に勉強に行きたがっていた。しかし板倉は許さなかった。雪姫はついに城を抜け出す。
辻村(森山未來)は雪姫との結婚を望んでおり、それを果たすためになんとしての一着になりたかった。しかし足軽の上杉(染谷将太)が一着と評判。この勝負で賭を開催している両替商の男からは八百長を言ってきた。
長年見張り番をした栗田(竹中直人)は隠居を言われるが、彼もまた今回の遠足に参加する。
しかし幕府はこの遠足の間に安中藩の取り潰しを狙って隠密を派遣した。


むかし「まらそん侍」という映画があったが、同じ安中藩でのマラソンを元ネタにしている。でもリメイクというつながりは何もない。
今回のこの映画、どうにも方向性を間違えたとしか言いようがない。
ジェレミー・トーマスがプロデューサーとして絡んでいるが、はっきり言って外国人監督にして何がなんだか解らん映画になった。

話のあらすじを聞くとコメディにしかならない。それをどうにもシリアスなタッチでやろうとしている。
城を抜け出すお姫様とか、結婚のために近道をする卑怯者とか、勘違いして江戸に「謀反」の報告をしてしまう慌て者とか、コメディ要素しか感じない。

それをシリアスに映画化したのだからどうにも収まりが悪い。
「この時代にマラソンを企画する変わった変わり者のお殿様の話」として描かなきゃいけないんじゃないかなあ。
結局最後に一着は誰で誰が願いを叶えたか?という結論はどっかへ行ってしまってしまって、「?」しか私の頭には残らない。

佐藤健、小松菜奈、長谷川博己、染谷将太、森山未來とはっきり言って無駄に豪華なのだがさっぱり面白くない。
企画のスタートでつまづくと後で修正が利かなくなって失敗したいい見本である。

この映画、公開2週目なのだが、今週からTOHOシネマズ新宿は1日1回、都内では日比谷だけ1日数回上映するというコケようである。
残念だったね、としか言いようがないです。









キングコブラ


日時 2019年3月2日 
場所 NETFLIX
監督 ジャステイン・ケリー
製作 2016年


ショーン・ロックハート(ギャレット・クライトン)は田舎から長距離バスでサンディエゴにやってきた。将来の夢は映画関係の仕事をすることだった。
まずはゲイ向けアダルトビデオ会社・COBRA VIDEOのオーディションを受けた。社長のスティーブン(クリスチャン・スレーター)は彼を大変気に入った。ショーンはブレント・コリガンという名前でゲイビデオデビューした。
ブレントの出演したビデオは大ヒットした。
同時に同業者にも注目を集めた。マイナーなビデオ会社のVIPERBOYZの社長ジョーとハーローも目をつけた。
ハーローとジョーは恋人関係にあった。ハーローは義父に犯された経験があり、ジョーは家族にゲイと解って縁を切られていた。事実上家族のいない二人はお互いに依存していた。
ブレントは自分のビデオが大ヒットし、スティーブンが高級車を新たに買い換えたりしたことが気にいらなかった。誕生日の祝いの食事の席でギャラのアップを要求した。ブレントの要求は1本1万ドル。スティーブンは「せいぜい1500ドルだ。それにお前を家に住まわせその生活費も負担している」と取り合わなかった。スティーブンは用意していたROLEXの腕時計を渡し自分なりの感謝の気持ちを表したつもりだった。
だがブレントはスティーブンが出かけている隙に会社の書類を見て自分のビデオで20万ドル以上も儲けていると知り納得がいかない。ほかの名前で他社のビデオに出演しようとするが、「ブレント・コリガンの名前で出ることが条件だ」と言われてしまう。
ブレントはスティーブンに「実は最初のビデオに出たときはまだ17歳だった。それを公表してやる」と言い出す。スティーブンは「そんなことをすれば困るのはお前の方だ!」と交渉は決裂した。
ブレントは警察に訴える。スティーブンの会社にも警察の手入れが入り、彼も窮地に立たされる。
VIPERBOYZのジョーも窮地に立っていた。ハーローとの贅沢な生活のために借金を重ねており、高級車も差し押さえにあっていた。
ブレントは他社のビデオに出演しようとするが、「業界全体のイメージが悪くなった。今は君を使えない」と断られてしまう。
大手のビデオ会社に断られたブレントはマイナーな会社だったジョーの接触を受けた。ビデオのギャラは破格だったが、やはり名前の使用が重要だった。ジョーたちはスティーブンに連絡を取ったが、「ビデオの売り上げの8割を寄越せ!」と言われ、決裂してしまう。
ブレントはスティーブンに詫びを入れ、二人の仲は修復するかに思えた。スティーブンの元にビデオモデルの新人応募にやってきた青年がいた。面接で気に入ったスティーブンだったが、それはハーローだった。彼は身分をかくしてスティーブンにあったのだ。
ハーローはスティーブンを滅多刺しにして殺してしまう。ジョーとハーローはスティーブンに家に火をつける。火事のニュースとして報じられたが、家主のスティーブンが他殺だと解り事件は急展開。
ブレントも容疑者にあがったが、彼は積極的に捜査に協力。ブレントはジョーとハーローの元に行き、彼らがスティーブンを殺したという発言をさせ、警察は確信を得て彼らを逮捕した。


話はほぼ全部書いた。
友人から「アメリカのビデオ会社の実話が映画化されている」とこの映画を紹介してもらった。日本ではDVDにもならず、NetFlix限定の公開のようだ。早速鑑賞。

実は(ということほどではないのだが)、ブレント・コリガンというビデオ俳優は知っていた。彼がコブラビデオで活躍していたのは2000年代前半。インターネットのおかげで誰でも海外の情報が手にはいるようになったいた。
そしていつの間にかブレント・コリガンの初期のビデオが発売中止になり、ネットを検索し翻訳サイトを使って調べて、どうやらビデオ出演時に17歳だったということが発覚し、彼の初期のビデオは回収された、ということまでは知っていた。

その後、社長が殺されたことは知らなかった。自分の知っているビデオモデルが殺人事件に関わったのだから、それを知ったときは驚いた。
アメリカではきっと世間一般では誰も知らなかったブレント・コリガンも殺人事件に発展したことでかなり話題になったろう。

この事件、様々な不幸が重なって起こってしまったと解る。
まずブレントがギャラのつり上げを要求したこと。これはビデオ業界に限らず古今東西の芸能界でも起こることだ。会社にしてみれば他の作品では赤字だったりするから、プラスマイナスゼロ、と思うだろうが、何も知らない生意気な新人なら「俺のおかげで儲けたくせに」となってしまう。

第2に金銭的な問題ではなくスティーブン自身がブレントを気に入っていたために手放すことをためらったこと。気持ちがなかったらもっと柔軟な対応をスティーブンもしていたかも知れない。

第3にヴァイパービデオの二人がそれぞれちょっと精神的に不安定な人間であったこと。ハーローにしてみればスティーブンの面接で義父とのトラウマがよみがえっただろうか?

映画はその後のブレント・コリガンの様子が描かれる。ビデオの監督主演として活躍している。「映像関係の仕事がしたい」という夢と「ビデオモデルとしてなら売れる」という現実をミックスさせているようだ。

ネットで検索すると一般映画に端役として出演したこともあったようだ。
だが出演したビデオを観る限り演技がうまそうに見えないし、その辺は要するに素人レベルである。

実際のブレント・コリガンとこの映画で演じたギャレット・クライトンはちょっと違う。ブレントはもっと華奢で細かった。アメリカ人にしては細い方だと思う。もっと少年っぽいのだな。
ギャレット・クライトンの方が青年らしいたくましさがある。

実話なのでとにかく興味深かった。コレクションしたいので日本でもDVD化して欲しい。
面白かった。