キングダム | 八つ墓村(1996) | ホロ酔いの情事 秘め事は神頼み |
手ごめにされた新妻 夫と義父と・・・ |
ノーパン秘書 中出し接待 |
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キングダム日時 2019年4月30日19:40〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン6 監督 佐藤信介 紀元前春秋戦国時代の中国。7つの国に別れもう500年も戦争が続いていた。その中の秦の国では奴隷の少年のシン(山崎賢人)とヒョウ(吉沢亮)が出会った。二人は「天下の大将軍になって奴隷から抜け出す」という夢を見て二人で剣術に励む。 そんな時、今の大臣・ショウブンクン(高嶋政宏)に出会い、ヒョウだけ身請けされる。 しばらくして瀕死の重傷でヒョウが村に戻ってきた。「ある村の家に行け」とシンに言い、彼は息が絶えた。 シンが行ってみるとそこにはヒョウそっくりの青年がいた。彼はこの国の王のエイセイ。ショウブンクンは、万が一の時の替え玉としてヒョウを連れて行ったのだ。彼らの予想は当たり、エイセイの弟のセイキョウが兄を追い出し王となったのだ。エイセイの母は踊り子でセイキョウの母は王族の出。セイキョウは卑しい身分の者が王族であるのが許せなかったのだ。 ヒョウが死んだ原因はエイセイにあるとエイセイに複雑な感情を持ったがショウブンクンにも合流し、金目当ての道案内カリョウテン(橋本環奈)と共に援軍を頼むために山の民・ヨウタンワ(長澤まさみ)の元へ。 果たしてヨウタンワはエイセイたちの援軍になってくれるのか? 原作はベストセラーコミック。んで主演は山崎賢人。いかにも安易な企画だなあ、山崎賢人のコミックものも「ジョジョの奇妙な冒険」という大失敗作もあるので、あまり期待してなかったが、公開後、大ヒットだし今年の興行成績邦画ベストワンも狙えるようなヒット中である。 しかもツイッター上では評判もいい。 観ていて気がついた。「ああこれは『スター・ウォーズ』なんだ」と。 いやもちろん「スター・ウォーズ」は時代劇の宇宙版でこちらがコピーなのだが、逆輸入した感がある。 王族が反乱軍に追われ一旦は逃げるが、民の力を借りて同盟国に逃げて再び攻め込む、ってまさに「スター・ウォーズ」じゃないですか。 しかも「隠し砦の三悪人」ですらある。 黒澤映画で言えば今回の山崎賢人は「菊千代」の役所である。 3mはありそうな巨人が出てくるとかなんかもう「スター・ウォーズ」である。 アクションシーンももちろん吹き替えもあろうが山崎本人のシーンも多そうだ。 甘いマスクの山崎だが、今回の「野生の少年」の役もぴったりである。はまっている。本人は舞台挨拶などで「代表作にしたい」と言っていたが、山崎賢人にとってもターニング・ポイントになったろう。 また吉沢亮もクールな感じがすばらしい。クレジット上で4人で1枚だが、今回はトリをとっていいような出来だった。橋本環奈も出過ぎずに控えめな感じで「スター・ウォーズ」ではR2ーD2みたいな感じ。 あと本郷奏多をはじめ、満島真之介など若手役者陣が総じていい。 ラストでは秦の国はエイセイに戻り、彼は中華統一を目指す。「スター・ウォーズ」みたいな3部作を期待する。原作のまだまだ1割ぐらいのようだから、まだまだ続けられるだろう。 山崎賢人の成長が楽しみである。 八つ墓村(1996)日時 2019年4月20日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 市川崑 製作 平成8年(1996年) ストーリー省略。有名な原作だし自分もだいたい覚えている。 公開時も観ているが、そのときの印象も残らなかった。 「八つ墓村」と言えばそのタイトルのインパパクトもある金田一耕助ものの代表作。 私自身としては世代もあって1977年版が印象が強い。 この映画は今はなき渋谷宝塚(今の渋谷交差点の前のツタヤがある場所にあった)で観た記憶があるが、がらがらだったと思う。(平日に観たのかも知れない) 金田一が石坂浩二ではなく、当時人気のあった豊川悦司である。 これが違和感があってどうもなじめない。金田一は数多くの役者が演じていて、だいたい違和感はないのだが、私は好きじゃないな。 そして森美也子が浅野あつ子なのだな。製作にフジテレビが入ってるが、なんか当時フジのトレンディドラマで人気のあった俳優をキャスティングした感がある。 そして主役の寺田辰弥に高橋和也。男闘呼組解散後、俳優として活躍しているが、ちょっと華がない。 事件に巻き込まれていく主人公なのだが、寺田辰弥に観ているこっちは惹かれないのだが。原作はこの寺田辰弥の一人称形式で、金田一は辰弥の目を通して描かれる。また辰弥が事件の犯人と疑われるのだが、そういう点からは描かれていない。 だから映画として主役が金田一なのか、寺田辰弥なのかどうも軸足が定まらない感じがする。 その辺が今一つになってしまった原因ではないだろうか? 余談だが、この1年前に(私は同時期だと記憶違いしていたが)テレビの2時間ドラマでこの「八つ墓村」がドラマ化され、そのときは片岡鶴太郎が金田一だったが、寺田辰弥は岡本健一だった。 録画したVHSテープがまだあると思うが、もう一度観てみようかなあ。 同じ男闘呼組のメンバーが同じ役を演じたことに当時は妙な感慨があった。 77年版が大ヒットしたし、インパクトも強かった。 クライマックスで必然性がなく多治見家が炎上するシーンは、映画的迫力が満載だった。やはり「砂の器」チームが見せた「画の演出」はこちらの方がインパクトがあったのだな。 それに比べるとセットは重厚だし、文句はないのだが、派手さでは負けたことは否めない。 あと宅麻伸が演じた辰弥の従兄弟にして、森美也子が想いを寄せる人物、77年版にはいなかったので「オリジナルか?」と思ったら原作にはいたらしい。不勉強で申し訳ない。 ホロ酔いの情事 秘め事は神頼み日時 2019年4月20日13:36〜 場所 上野オークラ 監督 竹洞哲也 製作 OP PICTURES あることがきっかけで人と関わってはいけないと思い、人と話せなくなった美和(川上奈々美)。家で過ごすか、熱燗の日本酒を保温ボトルに入れて神社の賽銭箱の陰に隠れて過ごすのが日課になっていた。 ある日、神社にお参りにきた中年男、清水(イワヤケンジ)と姿を見せないながらも会話をするようになる。 美和は叔母の夫岡崎(津田篤)が店長をしている居酒屋でバイトしたが2週間で出来なくなった。 その居酒屋でバイトするかえで(相澤ゆりな)は岡崎と不倫していた。 会いたくても会えないを繰り返す岡崎にいらだちを覚えるかえで。 そのかえでを慕ってくれる大学の先輩の高井(櫻井拓也)。 かえでは美和につらい心境を吐露する。美和もついに自分の過去を話し、心の負担を取り除くのだった。 竹洞組新作。今日は舞台挨拶付きで櫻井拓也さんも登壇だ。しかも去年の竹洞監督の「つないで手をはなして(R15版タイトル)」の主演した川上奈々美である。私は正直言ってピンクの女優さんを見ても「いいな」と思うことは少ないのだが、この川上奈々美はよかった。裸になるとおっぱいは小さいのだが、それにしても表情がいい。 今回はメンヘラっぽい女の子なので見ていていやだったが(そういう娘はキャラクターとして苦手なのだ)、最後には自分の心の引っかかりを吐露するシーンはよい。 彼女の中学時代の親友が毎晩「死にたい」と言ってきたので、最初は励ましていたが、それも疲れてしまい、つい「ホントは死ぬ気なんてないんでしょ!」と言ってしまったのだ。その後彼女は自殺した。それで自分の言葉が人を殺してしまったと思っているのだ。 かえでは腕にリストバンドをずっとしているので、美和はかえでがリストカットの後を隠してると思っていたのだ。しかしそれは思い過ごしで、単に中学の先輩からもらったリストバンドだったのだ。 (ここでリストバンドをはずした腕のアップのカットがないのがよかった。やはり説明的すぎるのはよくない) 美和も最後はやり直すことを決意し、堂々と街を歩く。 今日の舞台挨拶で4代目マスコットガールのきみと歩実が「最初のシーンとラストでは美和のメイクや下着が替わっていて、そこに彼女の変化を感じられた」と言っているのが印象的だった。そうかあ、男にはそこは解らんかったなあ。 出演ではイワヤケンジの中年男がよい。押しが強くないところがよかった。 手ごめにされた新妻 夫と義父と・・・日時 2019年4月20日12:40〜 場所 上野オークラ 監督 深町章 製作 新東宝映画 会社の上司の勧めでなんとなく結婚した明子。男性経験もろくにないまま結婚したが、夫の夜の生活が変態で困っていた。 週刊誌で知った霊媒師に「変態の霊が家にとりついていると思うので除霊してください」と頼む。 霊媒師はとりあえず話を聞くことに。 明子の夫はまずフェラチオを要求、「そのくらいは今時普通でしょう」と諭す霊媒師だが、その後縛りによるSM、浣腸、それを義父に見られる、困り果てて実家にも友人にも相談できずに仕方なく義父に相談したら、却って義父に犯された話をする。 「これはいくら何でも・・・」と霊媒師もやっと家に来てくれた。 霊を呼び出してみると戦争中に結婚してすぐに召集され戦死した、明子の家の場所に住んでいた霊が出てきた。 霊媒師によって霊は除霊され、平和になった。はずだったが、また明子が霊媒師のもとにやってきた。 「先生、淫乱の霊をもう一度呼んでください。私物足りなくて」 明子が霊媒師に自分の性生活を説明するという「オムニバス形式」のピンク映画。作劇的には面白味がないのだが、書く方は楽である。 霊媒師に明子が相談してるシーンが、岩のある海岸に折りたたみイスをおいただけ。 予算がない故の設定だと思うけど、意外にはまっていた。 あと最後に出てきた霊が「戦争でろくにセックス出来ないまま死んだ兵士の霊」っていうのが好き。私はこういうのが好き。 最後の明子が「もう1回淫乱の霊を呼んで」というのはピンク映画らしい、でもちょっと蛇足なオチだと思った。 ノーパン秘書 中出し接待日時 2019年4月20日11:41〜 場所 上野オークラ 監督 小川欽也 製作 OP 小泉真弓は小さな証券会社につとめるOL。ノーパン好きの社長と時々社長室でお楽しみ中。 社長の紹介で上得意のお客さんのキシイ(なかみつせいじ)の接待後、酔った真弓をつれてラブホテルへ。 二人で楽しんだ後、キシイは「君も株をやってみたら」と勧める。 学生時代の元彼のイサオにあがりそうな株を聞き、ちょっと儲ける真弓。 「もっと情報ないの?」とさらに聞き出すと、イサオは今六本木のキャバクラ嬢とつきあっていて、そのお客さんからの情報では東西工業が9月に増資する予定だという。定期預金をおろしてその株を買う真弓だったが、東西工業の株は下がるばかり。 その話をキシイにすると「それはあり得ない。ガセをつかまされたんだよ。君が損した分は私が補填しよう。その代わり今夜は」とまたラブホテルへ。 結局キャバ嬢の情報は客がキャバ嬢の前でよく見せようと言っただけのガセだったと解る。 真弓は結局結婚。キシイと社長は驚くのだった。 本日は竹洞組の新作のため上野オークラへ。同時上映の1本は小川欽也監督作品。 昔ながらのピンク映画。 あらすじにはあまり関係なくこの他に証券会社の社員ヤギと顧客の医者の奥さんが関係があるということでカラミのシーンがあり。 東西工業の株が最後に上がる、というオチもなく映画は終わり。 まあとにかく昔ながらのピンク映画。 ハンターキラー 潜行せよ日時 2019年4月19日19:20〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン1 監督 ドノヴァン・マーシュ ロシアのコラ半島沖で米潜水艦、タンパ・ベイはロシア潜水艦コーニクの追尾中にコーニクが爆発するのを確認した。救助に向かうべきと判断したタンパ・ベイだが、直後に魚雷攻撃を受け、沈没する。 ワシントンは事態の調査のため、DSRV(救難用小型潜水艦)を持つアーカンソーを出動。艦長には新任の叩き上げのジョー・グラス(ジェラルド・バトラー)を任命した。 ドネガン参謀本部議長(ゲイリー・オールドマン)はロシアとの戦闘を主張。しかしフィスク少将やNSAのノーキストは状況の把握を進言する。ただちに4名の特殊部隊が派遣された。 そこでは国防相がロシア大統領を監禁し、アメリカと戦端を開こうとしているとことだった。 「ならばこちらが先制攻撃だ」とドネガンは主張するが、フィスクたちは「特殊部隊にロシア大統領を救出させる」という大胆な作戦を大統領に進言する。 大統領は戦争の準備とロシア大統領救出の両面作戦を命令。 アーカンソーはタンパ・ベイの沈没を確認。そしてコーニクに生存者がいると知り、DSRVに救助させる。救助されたのは艦長・アンドロポフ(ミカエル・ニクヴィスト)。 ロシア大統領の救出にはフィヨルドに向かわねばならない。だがそこは機雷があり、進入するのは不可能に近い。ジョー・グラスはアンドロポフを案内人にしてロシア大統領救出に向かう。 タイトルもぱっとしないし、宣伝も地味なので思わず見逃しそうになったこの映画。久しぶりの潜水艦モノ。こういった戦争映画は好きなクチなので見逃すまいと見に行った。 予備知識なし。時代も現代なのか第二次世界大戦中なのかも知らずに見にいったが実におもしろい。潜水艦だけでなく、地上の4名の特殊部隊の活躍もあり、二度おいしい。 特にアーカンソーに乗ってしまったアンドロポフ艦長。こいつがいい奴なんだな。きっとロシア海軍でも立派な艦長なのだろう。 それにしても地上を俯瞰する衛星写真だけでなく、今はドローンや敵地の港まで偵察ロボが侵入して偵察動画を撮ったり音声まで録れるとは驚いた。本当かどうか解らんけど、今なら出来そうな気もする。 地上部隊によるロシア大統領救出(ここが割とあっさりだったが)、脱出、潜水艦と駆逐艦の対決、アンドロポフ艦長の説得、ワシントンの動揺、地上よりのミサイル攻撃、迎撃すれば米露全面核戦争というぎりぎりのサスペンス、最後にグラス艦長の取った決断とは?と完全に目が離せない。 こういう一触即発を防ごうとする男たちの骨太の映画は久しぶり。 面白かった。もう1回観てもいい。 本年度ベストワン候補。 四月の君、スピカ。日時 2019年4月14日17:05〜 場所 新宿ピカデリー・シアター10 監督 大谷健太郎 地味で暗いと言われて17年の早乙女星(福原遙)は田舎暮らしにあこがれた両親によって長野県に引っ越してきた。転校した高校で自分を変えようと思ったが、転校して10日しても友達は出来ない。 校舎で空を見上げてる時に輝く星に「君の名前はなんて言うんだ?」と独り言を言ってしまったのを天文部の大高深月(鈴木仁)に聞かれてしまった。 深月に一目惚れした星は天文部に入部。その天文部には宇田川泰陽(佐藤大樹)という深月の親友がいた。深月と泰陽は学校の女子に大人気のイケメンコンビで、星はクラスメートに嫌がらせにあう。 泰陽と星が二人でいるところを写真に撮られ、「泰陽をくどく身の程知らずの女」と噂を立てられるが、朝礼で泰陽は「口説いたのは俺だから!」と全校生徒に宣言する。 星は泰陽に心を動かされつつも深月のことも気になっていた。 そんな時、中学時代の天文部で泰陽の彼女だった天川咲(井桁弘恵)がこの街に戻ってきた。 咲は泰陽に近づき、泰陽も動揺する。果たして泰陽は咲が好きなのか? 深月と星の関係は? 先日、イオンシネマに行ったときに予告編が上映されていて知った映画。 劇場もピカデリーとイオンシネマでTOHOやユナイテッドシネマでは公開されていない。映画を見て知ったが、配給はイオンエンターテイメント。そういうわけか。 最近の少女マンガの映画化ものはなるべく観るようにしている。やっぱりイケメンと美女が出てるのはそれだけでいいですからね。しかも今回は佐藤大樹の水着姿が予告編で流れ、完全にノックアウトである。 腹筋の割れた体は実にきれい。この体を写すために水泳のシーンを加えたのではないかと思うくらい(原作では水泳のシーンはないそうだ) 「地味で暗い私に学校で人気のイケメンが惚れて私を奪い合う」という相変わらずの女子の妄想で、しかも元カノが恋のライバルとして登場する。 パターンなのだが、今回は天文部が舞台。天文部では大会とかもないからそこに向かってクライマックスはなし。 その代わり「星を賭けての水泳対決」をするのだ。 「黒崎くんの言いなりになんてならない」の時も思ったけど、女子の願望の中に「二人の男子に自分を賭けて戦ってほしい」というのがあるのだろうか? 女子ってそういう奴隷、(あるいはM)願望があるのか? そういうのを描くから、現実で「女は待ってる」とか勘違いする男が出てくる。 しかもこの女、「泰陽を好きじゃない」と言ったり、深月に一目惚れしたとかいうからラストでは深月を選ぶのかと思ったら、泰陽を好きになり、流星群の夜空をバックにキスして終わる。 ここは映画的にさすがに盛り上がったけど。 またこの福原遙というのがまるでかわいくなく、いや街で観ればきれいな方なんだろうけど、私の中では点数は低い。 (ちなみに点数が高いのは広瀬すず、二階堂ふみ、小松菜奈、中条あやみかな) でもさっきも書いたけど佐藤大樹と鈴木仁の水泳シーンがあるので全部許す。 佐藤大樹は今後の活躍が期待できる。鈴木仁はまだまだ演技が固い。メンズノンノのモデル出身だが、活躍は未知数(よくなるかも知れないし、だめかも知れないということ) 佐藤大樹は「センセイ君主」にも出ていたそうだが、記憶にない。とにかく次に期待。 映画 少年たち日時 2019年4月13日21:35〜 場所 新宿ピカデリー・シアター8 監督 本木克英 今はホテルとなった奈良少年刑務所。そこを訪れる親子がいた。 7年前、ある少年がこの刑務所に収容された。名前はジュン(京本大我)。彼は施設で育ち両親がいなかったが親友・隼人とお金を貯めて飲食店を持つことが夢だった。しかしその少年が自分を離れ、別の人と店をやるらしいと聞き、さらに隼人が「あんな施設上がりの奴とは出来ないよ」と言っているという噂を聞き、相手に暴行したのだった。 刑務所は赤房、青房、黒房と分かれていて、赤房のリーダーはジョー(ジェシー)だったが、青房のリーダー・コウタ(岩本照)と対立していた。 ジョーが刑務所に入る前にかわいがっていた少年がいたのだが、その少年を思ってグループからはずしたジョーだったのだが、それがきっかけで居場所を失ったその少年は結局死んでしまったのだ。その少年をコウタは知っており、「ジョーはひどい奴だ」と思っていたのだ。 それを知ったジョーはコウタに謝り、二人は和解した。 ジョーは母親と対立していたが、その母親はガンで長くないという。また青房のメンバーの中には妻がまもなく出産と連絡を受ける。 二人はどうしても外に出たい。脱走を実行。 その騒動の中、ジュンは塀から落ちて命を落とす。 奈良刑務所は今はホテルとなって解放されていた。そのホテルを親子で訪ねたのは刑務所で鬼看守だった中林(横山裕)だった。 ジャニーズジュニアたちによって演じられる舞台劇「少年たち」の映画化。松竹系の劇場で演じられる関係で本作も松竹配給。 ジュニアが大量出演する映画だが、同じく「EXILE」系の男性タレントが総出演する「PRINCE OF LEGEND」が東宝系で同じ時期に公開されるというが興味深い。 出演するジュニアたち、赤房が「Six TONES」、青房が「Snow Man」、黒房がいろいろの集まったもの。 てっきり21世紀生まれの今人気の「King&Prince」の次を担う若手メンバーかと思いきや、全員90年代生まれ。つまり20代半ばから20代後半。 そうかあ、だからかあ。 なんか見たこともない(本当は雑誌なので見てるのだろうけど記憶に残っていない)メンバーばかりで(それでも京本大我の名前は知っていたが、顔と結びつかなかった)、まるで魅力がない。 今後も伸びるような魅力も感じない。 用はもうアイドルとしては伸びしろがないようなメンバーばかりである。 「悪いことは言わない、アイドルやめてほかの道探せば?」と言いたくなる。 まあ大きなお世話なんだろうけど、それにしてもなあ。 原作となった舞台劇、初演は69年というからたぶんフォーリーブスが演じたのだろう。 それが2010年に復活して繰り返し上演されているそうだ。 対立する二つの不良グリープ、というのは「ウエストサイド物語」の発想だろう。 最近のジャニーズはそんなことはないが、フォーリーブスの「急げ!若者」もそうなのだが、両親がいないとか施設で育ったとか、やたら少年が不幸である。 たぶんジャニー喜多川がそういう「不幸な少年」がお好きなのだろう。そういう不幸な境遇にあっても元気いっぱい、とか「青春の光と陰」みたいな世界観なのだな。 だから少年を守ってやりたくなる心境をねらうとか。 正直将来性を感じないグループの出涸らし映画、とも言えるし、感想はそこに尽きるのだが、それでも少しはファンはいるようで1日3回上映されている。これが「PRINCE OF LEGEND」は1日1回上映だから、ジャニーズの勝ちと言えるだろう。 あっ冒頭で(パンフによると8分間)長いワンカットでカメラが移動しまくりのダンスシーンがあった(書いてなかったが、この映画ミュージカル映画である)。 このシーンはさすがだった。 記者たち 衝撃と畏怖の真実日時 2019年4月13日16:35〜 場所 TOHOシネマズシャンテ・スクリーン3 監督 ロブ・ライナー アメリカの中堅新聞社、ナイト・リッダーの記者のジョナサン・ランデーとウォーレン・ストロベルは911の惨事をテレビで見て衝撃を受ける。 アメリカ政府が今後どう対応していくか取材していく二人。 上司のワシントン支局長のジョン・ウォルコットはベトナム戦争の従軍記者経験もあるジョー・ギャロウェイ(トミー・リー・ジョーンズ)もこの取材に参加させる。 ブッシュ政権はイラクのフセインがアルカイダを支援し、「911の黒幕」「大量破壊兵器を持ち、いつでもアメリカを核攻撃出来る」という情報を出し、世論を「開戦」へ向けていく。 しかし中東情勢を知る人物には「フセインとビン・ラディンが組むとは考えられない」として政府の意見には疑問を持っていた。 国務省や国防総省の現場の人に取材するとやはり「イラクが黒幕であるはずがない」という意見が多かった。 ジョナサンたちはそれを新聞に掲載するが、NYタイムズ、ワシントンポストなど主要新聞は「イラク戦争支持」の立場だった。 イラク侵攻に否定的だったパウエル国務長官だが、最後には国連演説で「イラク侵攻」の必要性を訴える。 偶然だが911後のイラク戦争突入の誤りについての映画が2本同時に公開されている。今日観た「バイス」とこれ。 同じ題材だが、「バイス」は皮肉を込めて政治家の側から、本作は新聞記者の立場から。 映画ではこの新聞記者の話と平行してある黒人の青年が「祖国の危機だから」という理由で軍隊に入隊し、実戦に参加することなくイラクに着いた途端に攻撃を受け、脊髄損傷、車いす生活になった青年だ。 全く意味のない(この映画では「政権は何故イラク攻撃を行ったか?」は描かれないが、「バイス」では「石油が目的」と少し描かれる)このイラク攻撃、こういったただ無駄な犠牲者を生み出しただけ。 その怒りが伝わってくる(やや情緒的だけど)。 この映画で少し驚いたのは、2003年頃、アメリカの国内世論もイラク攻撃を支持していたということ。 日本では疑問視されていて、それについて行く小泉政権に対して批判的な意見が多かったと思うが、アメリカではイラク攻撃は支持された。 それは主人公の新聞記者たちが、恋人の父親(か親戚)から「核攻撃されてからでは遅いんだ。お前等はキューバ危機を知らないから平気なんだ」と非難される。 そうかあ。アメリカ国民は恐怖していたんだ。 911だけでなく、次なる攻撃があったら、今度は核攻撃や生物兵器だったら、そして自分の街がおそわれたら、という恐怖に駆られたのだ。 もちろんそう思わせたのはブッシュ政権だけれども。 「持ってるという証拠はない」という反論も「もし持っていたらどうするんだ!攻撃されてからわかっても遅いんだ!」という反論の前ではすべてかき消されてしまう。 恐怖をあおるというのは戦争に駆り立てるいい方法である。 それがよくわかった。 この映画、主人公たちは負けてイラク戦争を止めることは出来なかった。 カタルシスはない。 そのことは映画的に正直つらいのだが、やはり映画にして残しておくべき話である。 それにしても邦題はひどいと思う。 内容がわからないし、観る気にもならないよ。 バイス日時 2019年4月13日12:20〜 場所 TOHOシネマズ日比谷・スクリーン5 監督 アダム・マッケイ 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの時、副大統領のディック・チェイニーは重大な決断をした。 1963年当時、イェール大学の学生だったが、酒浸りで退学、地元の配電工の技師をしていたが、そこでも喧嘩騒ぎで警察のやっかいになっていた。恋人のリンは別れを考えるが、「二度としない」の言葉を信じてついて行く。 連邦議会のインターンシップに参加したチェイニーはそこでラムズフェルドと出会い、彼について行く。やがてラムズフェルドの補佐官としてニクソン失脚後のフォード大統領のスタッフになっていく。 しかしカーターが大統領となり、自身は下院議員の選挙に出た。心臓の持病を抱えていたが、妻のリンが夫に代わって遊説し、当選を果たす。 そしてレーガン政権下で活躍し、ジョージ・ブッシュ政権では国防長官にまで上り詰める。 しかし次女が同性愛者であることが理由か大統領候補としては先がなかった。チェイニーは政界を去り、石油会社のCEOに就任、優雅な人生で終わるかに思えた。 しかしブッシュの息子が大統領選に出馬するにあたり、副大統領になってくれと頼んできた。一旦は断ったが、結局は引き受けるチェイニー。 そこへ起きた911。彼はここがチャンスと世論を誘導し、911テロの黒幕はイラクのフセインと決めつけ、「大量破壊兵器を持っている」としてイラク侵攻を行った。 アメリカ政治に詳しくない私でもチェイニーの名前ぐらいは知っている。 ブッシュ(息子)政権下でイラク戦争を進めた人物として描かれる。 コメディというスタンスで描かれるが、日比谷で観ていた観客はどのシーンでも笑わなかった。アメリカでは爆笑のシーンがあったのだろうか? その辺が日本とアメリカでの登場人物の知名度の違いだろうと思うけど。 副大統領を打診されたチェイニーが迷って妻と話し合うシーンで「シェークスピア風にやってみましょう」とナレーションが入り(このナレーションの主が興味を引くのだが)、迷うのを演じるシーンは本来なら笑えるのかも知れないが、シェークスピアもアメリカの政治家も「ちょっと知ってるだけ」の私には特に笑えるというほどではなかった。 フセインとアルカイダのリーダーのビン・ラディンには関係がないのに、無理矢理「911の黒幕はフセイン」「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」というデマをでっち上げてイラク開戦支持の世論を形成する。 こういう「恐怖をあおって戦争を始める」というのはこれだけマスコミやインターネットが発達しても変わらないのだな。 日本でも起こっていることである。 またチェイニーの長女が議員に立候補するというのが日本と同じだ。ブッシュ家も親子二代で大統領だし、世襲政治家はどこでもある問題なのだ。 そして次女が同性愛者というのも事実とはいえ、作り話のようで興味深い。姉が選挙対策のために「私は同性結婚には反対です」という。 自由を自慢するアメリカだが、やはりまだまだ同性愛に関しては難しいようだ。 この映画、クレジットが始まると釣り針と釣り餌が横に写される。 前半でまだ幼い娘たちに釣りを教えるチェイニーの姿が出てくるが、そのときに娘に「お魚をだますのはいいの?」「それが釣りと言うものだ」と言うけど、このクレジットは「恐怖とか嘘の餌で国民を操るのが政治」という作者の主張が感じられる。 このシーンの後、映画中にも出てきた住民の意見交換会(と言っていいのか)のシーンになる。 そこで一人が「この映画、なんか変だとリベラル思ったら臭い」「本当のことをいうのがリベラルなのか」「クソリベラルだ」(正確には違う。とにかくリベラルの悪口。日本なら「パヨク」か)と言って喧嘩になる中、別の参加者の二人が「今度の『ワイルド・スピード』楽しみよね」というシーンになる。 「保守派(ネトウヨ)」「リベラル(パヨク)」「無関心」の3つに分かれるのはアメリカも日本も変わらないらしい。 PRINCE OF LEGEND日時 2019年4月12日21:45〜 場所 新宿ピカデリー・シアター10 監督 守屋 健太郎 朱雀奏(片寄涼太)は資産家の息子。父親の願いで父親の初恋の娘が今経済的に困ってるらしいと知り、息子に彼女を幸せにしてやってくれと頼む。 その娘、果音に会ってみたが見た目は清楚だが、「僕が君を幸せにしてあげる」というと「はぁ?男の妄想押しつけないでくれる?」とあっさり断られてしまう。 一方近くのヤンキー校の番長(鈴木伸也)も実は奏とは異母兄弟で、同じく父親から果音を幸せにしてやってくれと頼まれる。 実は番長にとっては果音は半年前に見かけた「強い」美少女で運命の存在だった。 生徒会長は奏に対抗心を燃やしていた。奏に勝つために果音を彼女にしようとする。奏は自分を振った果音を今度は自分を好きにさせて見返そうと思っていた。 またダンス部のメンバーや、果音を子供の頃から知ってる美容師、自己愛の強い教師などが参戦。 伝説の王子を決める選手権が始まった! 半年くらい前から予告編を劇場でよく見ており、何となく気になっていた映画。 イケメンブームならではの企画。 私の感覚では山崎賢人の「L・DK」から少女マンガの映画化ブームが始まり、福士蒼汰の少女マンガの映画化でその路線が確立した。以降、東出昌大を初め、数々のイケメンが少女マンガの映画化に参戦している。 しかしまあ本当にイケメン、っていう感じなのは少なく、乱作すればBC級のイケメンが出てくる。私はこれを「事務所イケメン」と心の中で呼んでいる。 「実はそれほどイケメンでもないが、事務所などの売り方がイケメン枠で売り込んでいる」という奴。 この映画、そういう「事務所イケメン」の集まりのような映画だ。 イケメン枠と言っていいのはメインでは片寄涼太ぐらい。どうやらジャニーズに対抗するかのように男性タレントをプロデュースするいわゆる「EXILE」グループが中心の映画なので、その辺の「ジャニーズジュニア」的なメンバーもわちゃわちゃ出てるのだろう。 そしてこの映画、観る前からテレビのバラエティ番組みたいな映画だろうな、と思っていたらやっぱりそんな感じ。 パンフレットを少し読んだら深夜ドラマ枠がベースにあっての映画のようだ。 だから特に前半はナレーションも多く、各登場人物のエピソードも解説的説明的なシーンが続く。要するにドラマの総集編なのだな。 今までもドラマの続きを映画にする、というのはあったけど、映画は映画として(一応)成立していた。(「黒崎くんの言いなりなんてならない」とか) だがこの映画は完全に総集編の名場面集を観させられていて面白くも何ともない。 こういう言い方は普段はしないけど、こんなの映画じゃないよ。 作ってる方も「劇場用映画」を作ってるのではなく「ドラマの総集編の集金のためのコンテンツ」なのだろう。 金を稼ぐことは間違ってるわけではないし、それは否定しないのだが「ドラマを見てない人」「映画しか見ない人」のことも考えてほしいな。 「そういう人は端からターゲットにしていない」ということなんだろうけど。 やっぱりDVDで観たら途中で耐えられなくなって観るのをやめていたかも知れない。 ワーストワンどころではなく、観たことも忘れるような映画。 映画になっていない。(「映画とはなんだ?」とこの場合は質問しないでほしい) 新ハッテンバ・ラブ・ストーリー日時 2019年4月7日14:25〜 場所 光音座1 監督 山本竜二 製作 ENK 和田堀公園はハッテンバであり、毎夜男たちが集まってくる。今夜もやってきた若い男(石井基正)に群がる男たち。 ゲイ向けビデオを製作する山本(山本竜二)は新規のモデルにも「あと3万円払ってくれたらやらしてあげる」とからかわれ、困っていた。 そんな時、ビデオのネタになるかと思い、雑誌に載っていた「出会いの店」に行ってみる。そこでは男たちが半裸になり、それぞれ気に入った男と楽しんでいた。そこで和田堀公園にいい男が集まると聞きつける山本。 早速ビデオカメラを片手に行ってみた。そこでは例の若い男を中心に男たちが絡み合っていた。それをカメラに納める山本だが、運悪く相手に見つかってしまう。怒った男たちに囲まれた山本はビデオテープを差し出すしかなかった。 ビデオが撮れなかった話を業界関係者(池島ゆたか)にした帰り道、例の若い男が彼女らしい女と歩いているのを見かける。尾行すると二人でラブホテルに入っていった。彼らが出てくるまで待つ山本。出てきてからも尾行し、若い男の家まで行く。 若い男は「ずっと付けてきたんだろ」と呼び止める。 中に入って話を聞くと若い男は石井基正といい、ホテルに行ったのは彼女だという。「じゃあ君はバイなの?」と訪ねる山本に「ホモとかバイとか大人はみんな分類したがるんだ。そういうんじゃなくて好きなら何でもいいじゃないか」と基正は山本を抱いてくる。 山本も男の経験をしてその素晴らしさを堪能する。 帰って妻の誕生日に花束をプレゼントする。翌日、二人で新宿へ妻の誕生日プレゼントを買いにいく。 その帰り、基正と会う。基正とぶつかった山本は買い物の紙袋を落とす。基正はそれを拾い上げ、「奥さん、旦那さんを大事にしてあげてね」と言って去っていった。 話は全部書いた。山本竜二監督作品。 ご自身も男も女もお好きらしい山本監督らしい「男とか女とか好きなら関係ないんだ!」という主張。またこの前に上映されていた「ハッテンバ・ラブ・ストーリー」や「シネマHOMOパラダイス」と同じくハッテンバをモチーフにしている。 山本監督自身が「通常の男女の世界にはない、ゲイしかない独特の世界がハッテンバ」とおっしゃっているのを聞いたことがあるので、やはりこれも「ゲイ映画を作るならハッテンバをテーマに」となるのだろう。 山本はゲイ向けのAVを撮っているのだが、自身はゲイではないようだ。 こっちはゲイだと思っていたので、最後に妻が出てきて驚いた。 その辺がもう少し奥さんが前半にも出てきたら話のつじつまが合った気がする。 石井基正は顔はあまりタイプではないが、シャープな体つきはやはりセクシー。人気があったらしいのもうなずけた。 炎馬の如く日時 2019年4月7日13:15〜 場所 光音座1 監督 小林 悟 製作 大蔵映画 サラリーマンの美山幸二(寺田誠)。アパートに帰ると父親からの手紙が。「お前は大した奴じゃないんだから早く実家に戻って兄さんを手伝え」という内容。父は兄を優秀と呼び、自分を「出来の悪い」と言う。 兄夫婦に子供が出来たという写真を思わずカップめんにつけてダメにしてしまう。 腐ってあるバーに飲みに行く幸二。しかしその店の若社長、相馬に「お前なにこっち観てんだよ!」と因縁を付けられ、相馬の取り巻き3人にお尻に指を入れられて、射精してしまう。 恨みに思った幸二は若社長の後を付け、自宅を突き止め表札から名前を知る。そして電話帳から相馬に家に電話をする。無言電話。相馬の彼女がひろみという名前だと知ると、彼女の家にも無言電話をする。 得体の知れない電話におびえていく相馬。 一方幸二もあの時の射精が忘れられなくて、ゲイバーに行ってみる。そこで知り合った中年男(港雄一)とホテルへ行き、男同士のセックスを知る。 相馬はやがてノイローゼになり、店の景気も悪いという噂が出て取り巻きたちも去っていく。 無言電話をかける幸二。相馬の声を聞きながら自分のモノをしごく。 相馬と会い、ノイローゼになりかけている相馬は幸二に「助けてくれ」と懇願し、やがて二人は唇を重ねる。 小林悟監督作品。 いやもうめちゃくちゃである。幸二も兄へのコンプレックスから相馬に兄を重ねてしまう。(その前に兄夫婦と子供の写真をカップめんにつけてその上から箸でつつくって描写はどうよ?) それで選んだ手段が無言電話! こんな暗い奴が主人公。これじゃ幸二の父親じゃなくても「早く帰ってこい」と言いたくなってしまう。 そして相馬の方も父親が店を数軒持っていて、今じゃ若社長、と言う割には無言電話ぐらいでびくびくするヘタレ。 悪役の風上にも置けない。 一番うまくやるのは港雄一の中年男。 そしてラストでは相馬が幸二の前にひざまづき、幸二と唇を重ねるところで「終」。 不条理にもほどがある。 まあ山崎邦紀ほど訳分からんという訳ではないけれど、相変わらず意味不明な展開である意味小林悟節ともいえるけど、それを楽しむほど私は慣用になれない。 こえをきかせて日時 2019年4月6日19:00〜 場所 ユーロライブ渋谷 監督 いまおかしんじ モデルのハルカ(渡辺万美)は撮影中に貧血で倒れた。すこし休んで体が戻ったので、今日は帰ることに。帰り道、肉屋でステーキ肉を買う。 そのときの肉屋の店主・安春(川瀬陽太)の心の声が聞こえ、彼のはるかの体を想像する妄想まで見えてしまった。 ハルカはマネージャー(吉岡睦雄)とつきあっていたが、彼からは「仕事辞めて結婚しよう」と言われていた。 肉屋の安春は妻が若い男(長屋和彰)と浮気していた。何度も二人は「別れる」と言っていたが、なかなか別れない。 ハルカはまた立ち寄った安春の店で安春の心の声が聞こえることを言ってしまう。安春は「あんた、仲間だよ。そういうひと初めて会った」と言ってきた。 ハルカは同じ事務所の後輩の方が仕事が多くなり、行き詰まりを感じていた。安春も妻のことで悩んでいた。二人はテレパシーを使って心を通わせる。 しかし妻と別れ話でもめているうちについ安春は妻を殺してしまう。自分も自殺しようとした安春だが、死にきれずハルカが彼を助け、山小屋に隠れるのだが。 いまおか監督のレジェンド・ピクチャーズでの新作。今回はキングレコードが製作元になっている。 イタリア映画の「肉屋」がベースになっているそうで、その作品は以前に観ている。 医者から肉を食べるようにと言われた女性が肉屋に行き肉屋の親父と出会い密会する話だが、テレパシーは出てこない。 オリジナルの方で女性と肉屋がまるで心が通じていたかのようなシーンがあったので、「これってテレパシーじゃん」と考えたいまおか監督がこういう設定にしたと上映後のトークイベントでおっしゃってました。 その後「モデルの仕事がうまくいかない」「妻とうまくいかない」と努力してもなかなかうまくいかないもどかしさが描かれるのだが、どうもテレパシーの設定とうまくかみ合ってるように見えない。 なんだか別々の映画を1本にしたような違和感があるのだな。 レジェンドのいまおか作品は常に「やらされてる感」がつきまとう。 うまく言ったのは「島田陽子に逢いたい」ぐらいではないか? あと肉屋は御殿場でロケされている。「御殿場」という文字が見えたので(劇中に登場する肉屋の車も実際の肉屋の車だろう。ナンバーが「298」だったし)御殿場だと解る。しかしハルカは東京で活躍するモデルだし、どうにも土地の距離感が気になる。 「肉屋は御殿場ではなく東京の設定」ということかと納得しようと思ったが、途中で富士山が完全に見える場所で撮影されていたり、なんだか妙な気分。 まあ低予算だからそこまで出来なかったのかも知れませんが。 最後はまたハルカが映画の冒頭のように倒れるシーンに戻る。 また肉屋に立ち寄ると「何か?」と言われてしまうという夢オチ。 これも何かイマイチのラストだった。 麻雀放浪記2020日時 2019年4月6日14:15〜 場所 新宿バルト9・シアター5 監督 白石和彌 1945年11月に麻雀をしていた哲こと坊や哲(斎藤工)は雷にうたれ、気がついたら見知らぬ世界の路地に倒れていた。どうやら浅草らしいが景色が違う。実は東京オリンピックが中止になった2020年の東京だった。 コスプレ女子と麻雀が打てる店に入ったが、金を賭ける賭けないで店員ともめて追い出されてしまう。それを助けてくれたのは店に誘ってくれたドテ子だった。彼女は芸能事務所に所属する麻雀アイドル。 「麻雀がしたい」という哲が意外とイケメンと悟った社長の大恩寺はドテ子がでている麻雀番組に哲を売り込み、「ふんどしをした雀士・昭和の哲」として売り込む。 人気が出た哲だったが、まだまだ麻雀がしたい哲にドテ子はオンラインの麻雀ゲームを教える。ランキング1位のミスターK(的場浩司)に挑む哲。 そのころオリンピックが中止になった国立競技場で進化したAIと人間の麻雀対決が計画されていた。哲、ミスターK、AIのユキ(ベッキー)、中国人のヤン(小松政夫)が勝負に挑んだ! 阿佐田哲也原作で和田誠監督による映画が有名な「麻雀放浪記」のリメイク(?)。 東京オリンピックが中止になった2020年の東京が舞台、と聞いていたが、ここまでぶっとんた世界観を持ってくるとは思わなかった。 この映画に登場する2020年の東京では人々は頭にチップを埋められ、警官が持つスキャナーにかけるとマイナンバーと連携され個人情報がすべて解るらしい。 そして人々はウエアラブルのディスプレイを観ている、っていう設定。 まあ近未来に対する違和感を描きたいのは解るが、それって「麻雀放浪記」でやることなの? そこが解らない。というか同意できない。 パンフレットの監督のインタビューによると「哲がタイムスリップした」というのはプロデューサーの甘木モリオ氏と谷島正之氏のアイデアで、白石監督も最初は戸惑ったが、最終的には承知した、という経緯のようだ。 結局この世界観に付いていけない限りこの映画には乗れないだろう。 正直、私はダメだった。 また竹中直人が(別に彼の責任ではないだろうけど)やたらとおならをしたり、うんこをネタとした笑いをとろうとするので私はさらにダメ。 下ネタというはこういう汚物ネタは私はダメなのだよ。 嫌い。 結局映画には乗れず、竹中直人の汚物ネタには嫌悪感を持ち、斎藤工のふんどし姿だけが見所だったな。 この映画、先日コカインで逮捕されたピエール滝が出演していることで変なことで話題になった。 でも出演シーンは少ないし、むしろ「元東京都知事」役で舛添要一が出演してる方が驚いた。 映画中で哲や賭博容疑で逮捕され、謝罪会見をさせられるというのが不倫が話題になったベッキー、ピエール滝出演と妙に現実とリンクし、苦笑いせざるを得なかった。 天然☆生活日時 2019年4月4日21:00〜 場所 新宿k's cinema 監督 永山正史 タカシ(川瀬陽太)は職も家族もない無職の50歳。一両編成の電車が走る田舎で叔父の介護を条件に本家の家に居候している。 その叔父も亡くなった。叔父の長男でいとこにあたるミツアキも離婚して故郷に帰ってきた。タカシやミツアキと幼なじみでつぶれかけてる食料品店のショウの3人で叔父の残した釣り堀屋を続けていく。 そこへ近所に都会暮らしに疲れた「自然サイコー」を訴える一家が引っ越してきた。古民家カフェを開くのが夢だという一家はタカシの住む家に目を付ける。 一家の古民家カフェで働く予定の女性を使ってミツアキをたぶらかす。作戦が成功してタカシの古民家を追い出されることに。居座って抵抗するタカシだが、古民家カフェの一家の中学生の娘が「タカシに襲われた」という噂を流し、タカシはホームレスに。 しかし寝泊まりする公園でタカシの趣味のボンゴ(太鼓)が壊され・・・・ 川瀬陽太主演。「月夜釜合戦」など主演作の公開が重なる最近話題の川瀬陽太である。見ようかどうしようか迷っていたのだが、本日は上映後にいまおかしんじ監督のトークイベント付きなので観ることにした。 古民家がある田舎と言ってもスーパーマーケットはあるし、僻地というほどでもないようだ。たぶん車で1時間も走れば県庁所在地クラスの街には出られるのだろう。 「自然が一番」を訴える自然志向の夫婦の夫を津田寛治が演じる。このクラスの映画で津田さんがでるとはちょっと驚いた。この津田寛治のエキセントリックぶりがなかなかである。あまり派手にならず、じわじわと迫る。最初はあたりがいいのである。 しかしある時、タカシやミツアキが飼っている亀を「外来種だ!」と言って嫌悪感を露わにし、最後にはふみ殺してしまう。 亀って勢いよく踏んだくらいでは甲羅は割れないような気がするが、割れちゃうの何だろうか?いやそれは大したことではない。 タカシは二連の打楽器、ボンゴを持っていてそれをたたくのが好きだ。 その演奏で「見上げてごらん、夜の星を」などが流れてくる。ほっとする気持ちになる。 そのボンゴをホームレスの時に先輩(?)ホームレスから「うるさい!ここはみんなの場所だ!」と言われて壊される。 それをきっかけにタカシは突然光りだし、ホームレスや例の「自然一家」を倒していく。 ここは痛快だったな。 光り出すのは謎だけど。 川瀬さんに聞いたら発光するのはもちろん映像の後処理なのだが、撮影現場でも後処理がうまく行くように川瀬さんは顔を緑に塗っていたそうだ。(その方が光りを足すときの顔の抜けがいいらしい) 監督とのいまおかさん、川瀬さんとのトークイベントで(私には)明確になったが、「映画に出てきた津田さん一家のようにやたらと正論、自分たちの中で通じる理屈を持ち出してきてそれを押しつけよとする人々に対する違和感、他の人々に対する慣用さを求めよう」ということがテーマだったようだ。 政治の世界だけではなく、映画のファンの間でも「映画はこうでなければならない」と自分の正しさだけを押しつけてくる人いるからなあ。 この映画に登場するタカシもショウもいわゆる「ダメ人間」なのだが、(私はそれほどでもないけど)愛すべき存在なのだろうな。 それはよくわかった。 |