2019年5月

   
ゴジラ
キング・オブ・モンスターズ
溢れる淫汁 いけいけ、タイガー 変態おやじ ラブ・ミー!イッてんだぁ〜 空母いぶき コンフィデンスマンJP
二つのゼロ ツンデレ娘 奥手な初体験 三十路義母 背徳のしたたり 告白羞恥心 私が、痴女になった理由
うちの執事が言うことには 愛がなんだ チア男子!! クレヨンしんちゃん 
新婚旅行ハリケーン 失われたひろし
ジョーズ ゴジラ須賀川に現る 主戦場 ある少年の告白

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ


日時 2019年5月31日21:05〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン9
監督 マイケル・ドハディ


2014年のゴジラのサンフランシスコ上陸から5年。あの時に男の子を失った家族がいた。そのラッセル家の妻、エマ(ヴェラ・ファーミガ)は今は未確認生物研究期間、モナークで怪獣の発する音声について研究していた。娘のマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)と共に中国でモスラの孵化の瞬間に立ち会おうとしていた。
モスラが孵化し幼虫が産まれた時、謎の武装勢力がマディソンとエマ、そして怪獣の音声を発する装置を拉致していった。
それをモナークの芹沢博士(渡辺謙)はエマの夫マーク(カイル・チャンドラー)と合流。エマたちを探す。
武装勢力は過激な地球環境保護団体で地球を人間の開発から解放させ元の姿に戻すことを目的とした組織だ。彼ら南極で凍結されているある巨大モンスターに向かった。
追いついた芹沢博士一行だったが、そこでエマ自身が怪獣を覚醒させるのを見る。彼女は怪獣たちを覚醒させ、彼等と人間が共存していく世界を目指していた。
巨大な怪獣、モンスター・ゼロは覚醒した。しかしそれだけでなく世界各地で怪獣たちが覚醒を始めた。エマが行ったのではない。モンスター・ゼロ、古代の神話ではギドラと呼ばれていた生物の仕業だ。
やがて怪獣王ゴジラが目覚める!


ワーナー、レジェンダリーによる「モンスター・バース」シリーズ第3弾にしてゴジラ登場の第2弾、本日いよいよ公開である。
前作は世界公開が5月、日本公開が7月だったので待ちきれずにわざわざソウルまで観に行ったのはいい思い出。今回は世界同時公開だそうでそんなことせずに済んだ。

さてさて、今回の新作、前以上に「ゴジラ愛」に溢れている。しかもその原点は昭和ゴジラにあると思うので「アメリカにも本当に昭和ゴジラが好きな子がいるんだなあ」と感心してしまった。

話はこの後、ラドンがメキシコの火山から登場(やっぱりラドンは火山とは縁が深い)、世界各地に怪獣出現というのはすこしづつ出てくる。(この一連のシーンはまるで「怪獣総進撃」の世界各地での登場を伝えるシーンを思わせる)

そしてキングギドラを最初「モンスター・ゼロ」と呼称するのは通である。アメリカでは「怪獣大戦争」のタイトルでもキングギドラをモンスター・ゼロと称していた。このことは日本人は知らない人が多いだろうから、アメリカのオタク向けのネタである。
結局神話に従って「ギドラ」と呼ぶのだが、首が再生したりして「自然の摂理に反している」と言われ「だから地球の生物じゃない」ということで宇宙怪獣になっているのがいい。
「VSキングギドラ」や「怪獣総攻撃」では地球の怪獣になっていたのが気になっていたからなあ、俺は。キングギドラはやっぱり宇宙怪獣ですよ。

アメリカ軍が密かに開発した兵器、オキシジェン・デストロイヤー登場。
「3キロ四方の生物は死滅する」ふれこみだが、とにかく名前だけでも登場させたかったのだろう。その意気込みは買う。

一度はオキシジェン・デストロイヤーで活動を停止させたゴジラを覚醒させキングギドラに対抗させるために核兵器でゴジラを覚醒させる展開に。
誰かがゴジラの前で操作しなければならない。そこで芹沢博士が自ら向かう。うーん、渋いねえ。1作目で自分の命と引き替えにゴジラを葬った芹沢博士が同じ名前の博士が今度はゴジラ自分の命と引き替えにゴジラを覚醒させるとは!

最後の決戦ではゴジラとギドラが戦い、モスラはラドンと戦う。ラドンがギドラの手先になっているが、物語上3対1ではやりづらく、ラドン対モスラになったかと思われる。ラドンは最初にギドラと戦ったときにきっとギドラに操られる、もしくは完全にギドラに負けたので従うようになったのですね。ラドンを非難するツイートを見かけたけど、仕方なかったのでしょう。
ですから東宝ではなかった「モスラ対ラドン」が見られます。

世界各地に登場する怪獣、なんかだクモンガもどきやマンモスもどきが登場。東宝の他の怪獣も使えばよかったのに。東宝と契約がなかったから使えなかったのかな?

また音楽も伊福部ゴジラサウンドやモスラの歌(歌はさすがにないけど)も登場し、ハリウッド映画でゴジラのテーマが聞けるとは思わなかった!
ホントにゴジラ愛に溢れている。

取り留めのない感想が並んじゃったけど、ホントそんな感じなのだなあ。
そしてエンドクレジット。亡くなった中島春雄さんに賛辞捧げられ、スチール写真まで出てくる。
でもその上に板野義光の名前があるのはちょっと違和感。同じに並べるのはどうも・・・って感じだが、まあ死んだ人をどうこういうのは止めましょう。

エンドロールが終わった後、例の環境保護団体が残っていたギドラの首を漁師たちから買うシーンがある。ってことは自作でもギドラ出てくるの?
それともギドラとコングがなんらかで合体(遺伝子操作とか)して巨大化して強くなったコングとゴジラが戦うの?
来年公開で楽しみである。

IMAX3D版で二度目を観ての追記
1、6月1日18:00〜109シネマズ木場のIMAXで3D版鑑賞。
うーん、3D感は特になし。これ後付け3Dじゃないのか?

2、ギドラの声があの独特のオリジナルの電子音(?)でないのが残念。

3、ラドンがギドラに従って覚醒したためか、ギドラの手下となってモスラと戦う。いったん負けて画面からいなくなるが、ラストになってまた登場し、ゴジラにひれ伏す。
ラドンよ、お前主演映画も持ってるんだからそんなに卑屈になるなよ。

4、やはりオキシジェンデストロイヤーが力弱すぎ。ゴジラさえも死滅出きるんだからさ。名乗るのはちょっとおこがましい。






溢れる淫汁 いけいけ、タイガー


日時 2019年5月26日19:25〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 国沢 実
製作 OP PICTUERS


夜毎バイクにまたがって男を漁る女、ジュンがいた。このジュンは実はアンドロイド。そのジュンを倒したのは同じくアンドロイドのマナ(佐倉絆)だった。
この2つのアンドロイドの成り立ちは3ヶ月前にさかのぼる。
かつてはDVDアニメのキャラクターだったマナだが、これを元にアンドロイドを作成するプロジェクトが起こり、DVDでのクリエーターだったタクマ(小滝正大)も呼ばれてソフト面を担当。ハード面は海老塚という科学者が担当した。
マナは生まれたが、同時に廃棄したはずの試作品が、自動的に生成され、マナと対局のキャラクターのジュンが生まれたのだった。
そのジュンを倒したが、今度はマナにジュンのキャラが乗り移ってしまったのだ。淫乱になっていくマナ。
しかし海老塚がマナにも淫乱になる要素を最初からインプットしていたのだった。マナとタクマは海老塚を倒し、二人で旅に出たのだった。


話はこんな感じ。脚本は切通理作さん。昨年に引き続き、切通=国沢コンビの第2弾だ。
国沢作品って特撮作品のパロディネタが多いし、特撮好きの私には楽しめそうなのだが、これがなぜか面白くないんだな。
何だろうなあ、佐倉絆に魅力を感じないからかな。

ピンク映画では女優の好みで映画の好き嫌いも出るような気がする。
よかったピンク映画はやはり女優さんもよかった印象だものな。

それよりこのところオークラ映画で活躍なさってる小滝正大さん(役者として初めて観たのは「勃ちっぱなしエブリデイ」というゲイ映画)が準主役で活躍されていたのはうれしかった。
いつもはワンシーンだけとかだったから。
イラストも描ける方なので、そういった方面でもますますご活躍いただきたい。

あとマナが出てくるアニメのタイトルが「ポーラ・ボーン」というのは笑った。なかなかマイナーなネタをぶっ込んできます。
あと廃棄されたジュンの部品が一つになるところが「怪奇大作戦」の「かまいたち」の回で、ラストで操り人形が一つに戻るところに似てる気がした。こちらは意図的ではなかったかも知れませんが。





変態おやじ ラブ・ミー!イッてんだぁ〜


日時 2019年5月26日17:16〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 池島ゆたか
製作 OP PICTUERS


会社をリストラされた康彦(なかみつせいじ)は暇に任せて公園で「中高年恋愛講座」のチラシを見つける。妻に離婚され男手一つで子供を育てあげた30年。今やその息子も美容師として一人前になっていて結婚もしている。残りの人生の伴侶が欲しくなった康彦はその恋愛講座に通ってみたが、先生(長谷川千紗)はやたらと厳しい。
同じ講座に通う小さな自動車整備工場の社長の五郎は風俗通いで素人童貞、講座のあるビルの清掃人だったマタゾウ(牧村耕次)は事情があって童貞を貫いていた。
講座の助手をしているあかね(かなで自由)はデリヘルのバイトもしていた。五郎がいつものようにデリヘルを呼んで見るとなんとあかねだった。
そのことがきっかけで五郎は本気であかねに惚れてしまう。
マタゾウは偶然、DV夫が先生に乱暴な態度を取っているのを見てしまう。
また康彦は実は妻とはセックスした記憶がないと告白する。みんなが話を聞くと実は今の息子は妻が別の男との間にできた子供らしいと解る。
落ち込む康彦だが、嫁(松井理子)は優しく接していてくれる。


池島ゆたか監督作品。
第31回ピンク大賞優秀作賞受賞作品(最優秀作品賞は城定監督の「世界で一番美しいメス豚ちゃん(恋の豚)」)

池島作品だし、ちょっと期待したが、正直、それほどでもない、っていう感じ。悪くはないのですが。

あかねは今までつきあった男がろくでもないのばっかりだったので、男の愛は信じない。そして先生とレズの関係にある。ところが先生の夫がDV男で、あかねが家にいるときにやってきて見つかってしまう。そこでDVが始まり、あかねは五郎に助けを求める。やってきた五郎は先生の夫によって車いすになってしまう。
そして彼の愛をにほだされ、愛し合うようになる。

また康彦の息子も浮気をしてるのがばれてしまい、それでついに康彦は息子を追い出す。嫁は「私はお父さんと暮らしたいです」と残ってくれて仲良く家族になっていく。

家族がテーマという池島さんらしいと言えばそうなのだが、ハッピーエンドすぎるのか物足りなさを感じた。

同時上映は後藤大輔監督「喪服不倫妻 こすれあう局部」。こちらは以前グリソムで「ベッドパートナー」と2本立てで見たので、感想省略。






空母いぶき


日時 2019年5月24日18:20〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン5
監督 若松節朗


20XX年12月23日未明、日本の南西の波留間群島の初島に謎の漁船団が上陸、海上保安庁が警告したが海上保安官たちは拘束されたという情報が入った。
垂水総理(佐藤浩市)はただちに空母いぶきを旗艦とする第5護衛艦隊群を派遣した。いぶきは建造中から「攻撃型兵器」として憲法違反の指摘を受け、難産の末生まれた艦船だった。艦長は空自のパイロット出身の秋津(西島秀俊)、副艦長は新波(佐々木蔵之介)、群司令は涌井(藤竜也)。その日、たまたまネットニュースの記者、本多(本田翼)、東邦新聞の田中(小倉久寛)も取材のため乗艦していた。
東京では外務大臣の城山(中村育二)が「毅然と態度に出るべきだ」と強行論を主張する。
いぶきは敵から攻撃を受け、戦闘機の乗降エレベーターが破損、しばらく戦闘機は発鑑出来ない。これだけの戦闘能力を持つのは東南アジアに出来た新国家、東亜連邦だ。まだ建国3年だが、某国の後ろ盾もあり、空母も有する軍事国家だ。
波留間群島に向かう第5護衛艦隊群。
近づくにつれ敵からの攻撃を受ける。それを交わし、戦線を離脱する護衛艦はつゆき、潜水艦はやしお。
日本は専守防衛の原則を守りつつ、島を奪還することが出来るのか?


本年度邦画最大の期待作「空母いぶき」。公開初日の今日、仕事もそこそこに切り上げ、早速劇場へ。(観客はおっさん率高し)
結果は本年度ベストワン級の面白さ!

日本は憲法上、専守防衛である。自衛隊そのものが違憲だという考えも成り立つ。しかし自衛隊は「最小限度の装備は自衛の範囲。自衛権は自然権として憲法以前に認められている」という解釈の上に成り立っている。
それが今回のような不法占拠でどう対応するか?

昔なら空母対空母で一気に決戦になったろうけど、日本は「専守防衛=撃たれるまで撃たない」が原則なので、うかつな攻撃は出来ない。
しかもハプーンや魚雷で一気に攻撃してしまったら、人道上の非難を受け、国際世論を見方につけることは出来ず結果的に不利になる。

この「一気に攻撃できない」「いかに敵に最小限の被害で敵を撃退するか」の頭脳戦となる。
その海戦の面白さ!
主砲の撃ち合いなんて今更観れるとは思わなかった!

映画の後半、空母甲板で起こった、助けた敵パイロットが日本パイロットを射殺するシーンはこの映画でもっともキツいシーンである。
「撃ってはだめだ」という冷静さが求められる。
劇中何度も「仇を討ちます」と部下かいきり立つが、「それは目を曇らせる」とたしなめるシーンが出てくる。
これは旧軍でも言われていたことだし、現代の日本の政治家などにももって欲しい考えだ。

そして最後には記者本多が撮影し、配信した動画によって(映画ではあまり強調されないが)国際世論を傾けさせ、停戦に導く。
「宣戦布告」でも描かれたが、現代では最後は情報戦である。

事が終わった後、総理と官房長官が「50対50で終わってよかったですね」「確かに。100対0で勝っていたらその恨みが残ることになる」。
また外務省では「相手の非を徹底的に暴きましょう」「いや、我々の仕事は正義を貫くことではない。お互いに一番有益な方法を見つけることだ」という趣旨のせりふがあったことが興味深い。
「正義を振りかざすことがよい結果を生むわけではない」といういい結論だと思う。

この映画、公開前には佐藤浩市が「総理はストレスでお腹を壊しやすい」という設定にしてもらった」という発言をしてそれがツイッター上で炎上した。観てみたらトイレから出てくるだけだし、知ってて観なければ解らない程度だ。ネトウヨ(というよりネトバカ)はこの映画を邪魔したいのだろうか?
てっきり「憲法改正」に利用されるのではないかと思っていたのだが。

あと原作は敵は中国だが、東亜連邦に変更された件。
「原作の許し難い改変」と噛みつかれているようだが私はこれでいいと思う。
パンフでも脚本の伊藤和典さんや原作のかわぐちかいじさんが語ってるけど、まず「映画を作ってる途中に日中関係が改善されたら映画として成立しなくなる」。そして伊藤さんはツイッターで「中国を悪者にする映画を作ることが目的ではない」という趣旨の発言をしている。
そう、この映画は「日本の目指すべき専守防衛のあり方」を描く映画だから、架空の国でかまわない訳である。
でも「フィリピンのトランプ」と言われた大統領を生んだフィリピンがヒントになってる気がする。(モデルというほど似てはいない。あくまでヒント程度である)

もう劇場で2回ぐらい観たい。





コンフィデンスマンJP


日時 2019年5月19日12:20〜 
場所 109シネマズ木場・スクリーン3
監督 田中亮


3人組の詐欺師ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の次なるターゲットは香港の女帝ラン・リウ(竹内結子)だった。
ランが持っていると言われるパープルダイヤが目的だ。ダー子は自分をだまそうとしたモナコを弟子として仲間に迎える。
ランが占いに凝っていると聞き、ダー子とモナコが占い師になって彼女に近づく。だがすでにジェシー(三浦春馬)という男がランに近づいていた。
ダー子とジェシーは因縁があった。彼と恋人役で詐欺を働いたとき、実際に恋に落ちたのだ。ジェシーもランが持つパープルダイヤを狙っていた。
ジェシーはダー子と組もうと言い出す。
そしてランは初恋の元夫を今でも好きだという情報を得てランにパープルダイヤを持たせて海外へ行かせる作戦に出た。
ジェシーがそれを止めさせ、ダー子が「ジェシーは私のもの」と言わせ銃を撃つ。ジェシーは病院に運ばれるのだが。


昨年のフジテレビのドラマ「コンフィデンスマンJP」の映画化。
ドラマは観ていない。東出が出演しているし、詐欺師ものは好きなので観ようかと思ったが、どうも番組宣伝を観ると演技過剰な気がして観なかった。
今回はその映画版だが、まあ拝見。

予想通り過剰な演出(音楽とか、カットとか、役者の演技、表情とか)がいやになった(得てして最近のテレビは過剰すぎる。少しでも派手にして飽きさせないように誰にでもわかるようにという配慮なのだろうが)。
途中で帰りたくなったし、ジェシーが撃たれたのは騙しだというのは解った。

それでもその後二転三転し、誰が誰を騙しているのかさえ混乱していく展開はやっぱり面白かった。
過剰な演技と演出が気になるから、テレビ版も積極的に観たいとは思えなかったが。

三浦春馬を観るには久々だったが、大人の男の色気も出てきて実によかった。今回東出は騙しの実戦には参加せず、あまり活躍がないのは残念。これは小日向さんもだけど。
長澤まさみも日本の代表的な女優になってきたなあと実感。

まあ飽きずに観れたけど、正直あんまり書くことがないのだな。香港ロケもフジテレビが予算を書ければ出来ない範囲じゃないし。
テレビシリーズのゲストがちょこちょこ顔出してるので、テレビシリーズから観てるファンにはたまらないのだろう。
来年あたり第2シーズンもあるのかも知れない。






二つのゼロ


日時 2019年5月18日19:48〜 
場所 光音座1
監督 浜野佐知
製作 大蔵映画


あるゲイバーでカウンターの内側に若い男女とその父親らしい男の写真が貼ってある。
ある街の市長の米山(杉本まこと・現なかみつせいじ)は今日も秘書(久須美欽一)の運転する車で市役所に登庁した。車から降りたとき、バイクに乗っていた青年がこちらを見つめているのに気が付いた。青年は何も言わないが、その視線に釘付けになる米田。
ある晩、娘のむつみがボーイフレンドを今度の日曜に紹介したいという。
会ってみるとそれは先日の青年だった。名前を汐見シュン(破壊三郎)という。
翌日、シュンは市役所の米山に電話をかけてきた。「すぐに会いたい」というので会いに行く米山。「僕たちは出会ってしまったんだ」といい、抱きつく。一旦は断った米山だが、再びシュンの部屋を訪れ体の関係をもってしまう。
娘の彼氏として米山の家に出入りするシュン。そして娘の目を盗んで体の関係を続ける二人。むつみはシュンが結婚しようと言ってくれたという。
真意を確かめる米山。「娘さんの夫なら自由に会えますから」。
娘の彼氏とこんなことをしてはいけないと別れを切り出す米山。
しかしシュンはまた米山の家に遊びにやってきて、今夜は泊まるという。
米山はいけないと思いつつ、シュンと自分の家で関係を結んでしまう。
だがそれをむつみに見られてしまった。ショックを受けたむつみは自殺を図る。幸い命は取り留めたが、娘の自殺未遂、そして娘の婚約者と関係を持ったことは「ホモ疑惑市長」として週刊誌で報道された。
その1年後、あるゲイバーで働くバーテン。それは米山だった。飾ってある写真はシュンが家にやってきたときにバーベキューを楽しんだ時の写真だった。


話は全部書いた。意外と長くなったな。
今日、光音座2でも映画を観たが、本日2本の浜野佐知=山崎邦紀コンビの作品を観た。
地位も名誉もある男が魅力的な青年と出会い破滅する話だ。
割と面白かった。

しかしそもそもシュンはどこで米山と出会ったかが気になった。
車に乗っている米山を見たからではないだろうし。また米山に近づくために娘のむつみの彼氏になったのだろうか?
その辺がせりふ一言でいいから明解にして欲しかった。

「彼氏の父親を好きになった」のか「米山に近づくために娘の彼氏になった」ではちょっと違ってくる気がするし。
でも娘が自殺未遂するというのはちょっとバッドエンド過ぎる気もする。
そしてゲイバーのバーテンとかのラストもなあ。

最初と最後に関わる部分で不満はあるものの、総じて面白かったと思う。
山崎単独監督作品ではなく、浜野佐知監督だとバランスのとれた作品になって、ほっとする。

本日の同時上映は友松直之監督「わがまま旋風(センセーション)」。以前観ているので感想はパス。
しかしカット割りは細かいし、セリフは聞き取りづらいし、話がよく掴めず(掴んでも同じことだと思うが)見ていてつらかった。
















ツンデレ娘 奥手な初体験


日時 2019年5月18日16:23〜 
場所 光音座2
監督 小関裕次郎
製作 OP PICTURES


田舎の澤井村の役場で働く幼なじみのちひろ(あべみかこ)と恭平(市川洋平)。
ある日ちひろに呼び出された恭平だったが、いきなりラブホテルに連れ込まれた。ちひろは処女を捨てたくて「毒にも薬にもならない男」の恭平を選んだのだった。しかし恭平も童貞でフェラされただけでイってしまった。
澤井村では村の男たちの結婚相手を探すために婚活パーティを開催しようとしていた。ちひろも恭平も実行委員。そしてパーティの責任者の早乙女課長は同じく同僚の緑子と不倫の中にあった。緑子は離婚して結婚してくれるわけではない早乙女にいらいらしていた。
そんな緑子にホテルに誘われた恭平は童貞を卒業出来た。
しかしちひろとの関係が進展するでもなく婚活パーティが始まった。
恭平、ちひろ、緑子も参加者を増やすために参加した。
そしてちひろは別の男とホテルに言ってしまう。
緑子に背中を押され、ちひろの元へ走る恭平だった。


市川洋平ピンク映画初出演作品。市川洋平は数年前、「連合赤軍」の舞台版が上演されたとき出演していて、その時に名前を覚えた役者さん。特に追いかけていたわけではなかったが、ピンク映画出演ということで鑑賞。
今回は初監督となる小関裕次郎氏で、脚本は井上淳一。
井上淳一は若松孝ニを描いた「止められるか!俺たちを」の脚本を担当。市川さんの出演はそんな縁だったのではないか。
ちなみに助監督として坂本礼、女池充両監督も参加。業界の人不足が現れている。まあピンク業界なんて将来性ないし、新規に入ってくる人はいないわな。

映画に話を戻すと、ちひろは妹との会話の中で「この土地しかすんだことがなくて、この土地しか住んだことのない人と結婚して近くに家を買ってこの土地で子供を育てて親の介護をして自分も老いていく」ことに疑問を感じ、かといってこの土地を出て行かなかったために結局何も起こらず30近くなってしまった。
「この土地から出たい」という感覚は「ここは退屈迎えに来て」にも通じる閉塞感でよくわかった。

そして恭平は親と同居なので、自分の部屋でヘッドフォンをしながらAVを鑑賞している。
セックスのやり方がわからなくなったとき、そのAVがイメージとなって自分に話しかけてくれる。このAV、最初既存のかと思っていたら、この映画のために新たに作ったものだと映画を観ていてわかった。
手間がかかっている。(AV嬢はしじみなどが演じている)

また恭平の死んだ父親として遺影だけで森羅万象が登場したり、婚活パーティのアドバイザーとして和田光沙など出演者も多く、新人監督を応援してるのか、脚本が出演者の人数を計算しなかったのか、豪華な映画。

ピンク業界もなかなか厳しい業界ですが、新人監督のデビューを祝いたいと思います。








三十路義母 背徳のしたたり


日時 2019年5月18日15:23〜 
場所 光音座2
監督 竹洞哲也
製作 OP映画


28歳サラリーマンの健吾は実家暮らしだが3ヶ月前に父の達郎は30歳の女性・キミと結婚した。2つしか違わないキミのことを母親とは思えず、どうしても女として観てしまう。キミは達郎のことを思って胸のあいた服をよく着ていて、健吾は気になる。
そこへキミの幼なじみのカオリが夫と喧嘩して家出してしばらく居候になった。
健吾は同僚のOLに公園でよく一緒になって弁当を食べていた。


竹洞監督作品だが、これはピンとこない。
登場人物がキミとか達郎とか、カオリとかカオリの夫とか同僚のOLとかいろいろ出てくるが、どうもがちゃがちゃと出てくるだけで話が進まない。

同僚のOLが「今度結婚するんです」と町で出会った健吾に紹介するのだが、それが牧村耕次。んでその後、牧村さんがそのOLをSMプレイで攻めまくる展開になる。本筋に関係なし。

話がぜんぜん進まないので、結局どうなったのかよく覚えていない。
健吾とキミは出来ちゃったんだっけ?
その程度の出来。残念。




告白羞恥心 私が、痴女になった理由


日時 2019年5月18日14:15〜 
場所 光音座2
監督 浜野佐知
製作 エクセス


カメラマンの貴之(山本竜二)はテレビで花占いをしているフラワーコーディネーターの聖子(本田聖奈)が好きだった。ある日、花の写真の依頼を受け、聖子に会うことが出来た。
その日から貴之の情熱は増す一方で聖子の写真を取り始める。公園で男と出会ってホテルに入った。男はテレビ局のプロデューサー篠原だった。
貴之は写真を届けることを口実に聖子の部屋に入り、盗聴器を仕掛けた。
そして聖子の会話を盗聴し、篠原に合い鍵の隠し場所を電話で教えてるのを聞きつけ、隠し場所のポストから鍵を取り出し自分の合い鍵を作った。
それから時々聖子の部屋に入り込む。
そして篠原の自宅に電話をかけ、篠原の妻に「お前の夫は聖子と不倫している」と告げる。妻から聞かされた篠原は否定したものの、何かあってはまずいと聖子と距離を置くことに。
聖子は時々押さえられなくなり町で若い男をナンパしてホテルで楽しむ。
若い男の方は自分が抱いた女がテレビタレントと知り、金を要求する。しかし貴之がそれを盗聴し、事前にその男を脅かして金の要求を止めさせる。
貴之が聖子の部屋に入っている時、予定より早く聖子が帰ってきてはち合わせてしまう。
最初は戸惑ったものの、結局は貴之を受け入れる聖子だった。


だいたいこんな感じのお話。
貴之のやってることは完全に犯罪だけど、「彼女のためになるなら」と尽くす姿になっていくのがなんだか面白い。
そして聖子の部屋に入り込んで彼女のベッドに頬をすり寄せ、自分も裸になって彼女の下着をベッドに広げて恍惚とした姿も表現が面白かった。

山崎邦紀脚本だが、自身が監督ではなく、浜野佐知が監督なので、いきすぎずバランスのとれた変態ぶりだった気がする。
今日観た3本の中では面白かった。






うちの執事が言うことには


日時 2019年5月17日19:30〜 
場所 新宿バルト9・シアター9
監督 九万真路


平安時代から続く名家の烏丸家。その一人息子の花潁(永瀬廉)は18歳でイギリス留学から帰国した。しかし帰国した翌朝、父は引退し、自分が当主になったと聞かされる。執事として自分とそれほど歳も変わらない衣更月蒼馬(清原翔)が付くことになった。
突然のことに戸惑う花潁。しかも衣更月が何かと「お言葉ですがそれはいかがなものかと」といちいちうるさい。
あるパーティで女性がトイレで倒れていたのを花潁が発見。しかし自分が暴行犯にされてしまう。花潁は色彩感覚が鋭いので、パーティの主催者がネクタイを変えたことを発見し、彼が犯人とわかり、なんとか免れた。
そのパーティで知り合った学生でレストランも経営する赤目刻弥(神宮寺勇太)と知り合う。
それがきっかけで刻弥は花潁の元に遊びに来るようになる。
しかしその頃から運転手がドローンにあおられて事故を起こしたり、料理人が通勤中にスリに間違われたりする事件が発生。
そして花潁が衣更月に渡したネクタイがゴミの中から発見され、花潁と衣更月の関係は悪化してしまう。


オープニングの東映マークがフィルム風の荒い粒子の波だけのヴァージョンで出た。去年の「孤狼の血」でも見たが(あれは作品的に70年代を意識していたが)今回はどうしてだろう?何か特に意図が有ったんだろうか?

ジャニーズの最近の人気グループKing&Princeのメンバー永瀬廉主演作品。キンプリのメンバーとしては平野紫耀がすでに「honey」などの2作品の主演作品があり、さらにこの秋には橋本環菜との競演作も公開の予定だ。

永瀬は扱いとしては2番手だが、私は平野紫耀より永瀬のほうが好みである。
そして同じくキンプリのメンバーの神宮寺勇太競演。キンプリはもともとMrKing(平野、永瀬、高橋海人)とMrPrince(神宮寺勇太、岸優太、岩橋玄樹)の合体ユニット。私の仮名ではKingの方が人気があって、Princeはおまけである。(岩橋玄樹は現在病気療養中)

そんな感じで好みの永瀬主演ということで、初日に見に行った。バルト9では400席以上の大箱で、初日の夜の回がほぼ満席である。もちろん若い女性が9割。

しかしつまらない。見ていて腹が立つとかそういうのはないけどつまらんなあ。
永瀬廉を観ているだけで楽しいからいやになることはないのだが、それにしてもである。

そのそも脚本、というか設定というか、構成がよくない。
原作はミステリーというが、どんなミステリーなのだろう?殺人事件が起こったりする本格ミステリーなのか、最近流行の「氷菓」のような日常の小さな謎、を解き明かすタイプなのか?

花潁が当主になって戸惑う話で30分以上費やされる。いつまで経っても事件は起きない。そして事件が起こったと思ったら、すぐに解決。
そして使用人たちに不可解な事件が起きるのだが、それも途中で犯人の目星はついたしね。
一連の事件が同一犯で、烏丸家以外の人間だとすれば犯人は一人しかいないじゃん。そしてそれは当たっていた。

だからもうミステリーとしてはぜんぜん楽しめないのである。
観てないけど櫻井翔は執事になって事件を解決するミステリーがあったよな。タイトル忘れたけど。あの「お嬢様はアホでございますか?」ぐらいのインパクトが欲しいよねえ。

そして執事の清原。これが全く魅力がない。彼に魅力がないというより永瀬廉と同格の人気者を持ってくる(いっそキンプリの平野紫耀とか)などしないとどうしても永瀬に負けてしまう。

もっとも制作者はそんなことはご承知で、主演は永瀬、で執事役は○○とだれか同格を希望していたのだが諸般の事情でだめだった、のかも知れない。

とにかく今回はシリーズものの「初回スペシャル」「ビギニング」でしかなく、今後、面白くなりそうな気はする。ヒット次第では第2作もあるだろうから、是非がんばってください。






愛がなんだ


日時 2019年5月12日16:00〜 
場所 テアトル新宿
監督 今泉力哉


半年程前、山田テルコ(岸井ゆきの)は友人の結婚パーティで田中守(成田凌)と知り合った。手がきれいな守ことマモちゃんを好きになるテルコ。毎週金曜日に呼び出されることが多く、金曜日はマモちゃんからの電話を待って仕事に手が付かない。
今日も病気で調子が悪いというマモちゃんの家に行ってうどんを作って食べさせる。だが夜中に「帰ってくれる?」と部屋を追い出されてしまう。
仕方なく親友の葉子の家で泊めてもらう。葉子は「そんな男と別れなよ」というが自信も仲原という年下の男を自分の都合よく使っていた。仲原はそれでも満足しているらしい。
守は自分の都合でテルコを呼び出したりするくせに、泊まっていったテルコを朝に追い出すように帰らせたりと一方的だった。やがて連絡もこなくなる。
久しぶりに連絡をくれた時に守はテルコにすみれ(塚口のりこ)を紹介してくれた。すみれはたばこを吸って肌も荒れ、がさつな女で自分より魅力があるように思えないのだが、守はすみれが好きらしい。
すみれもテルコを気に入ってくれたようで、時々呼び出し、テルコもそれを口実に守を呼び出した。
ある時、守の友人の別荘でみんなで過ごすことになった。来たのはテルコ、守、すみれ、仲原だった。
すみれは仲原の葉子との関係に「葉子って女最低だな」と非難する。仲原は反論し、妙な空気になる。


大ヒット中の映画。もちろん「ミニシアターレベル」での話だけど。
実際公開して1ヶ月近く経つのだが、観た回は満席。映画に登場するような20代の男女でいっぱい。この映画、カップルで観たら喧嘩にならないか?

守にやたら尽くすテルコの行動、キモくも見えるかも知れないが、私には納得がいった。私自身にもそういうところはある。
自分の好きな人が他の女を好きでも何かしてあげたいっていう後半の展開、ちょっとそこまで「いい人」には私はなれないが、解らなくもない。
そんな感じがよかったなあ。

守が「俺って別に金持ってるわけでもかっこいいわけでもないだろ?何で好きなわけ?」というが成田凌ではかっこいいと思う。
パンフを読むと原作などのイメージからすると成田凌ではかっこよすぎるらしい。でも映画としては柄本兄弟みないた不細工な男が演じるより、成田凌の方が観ていてテルコが没入していくのが解る気がする。
難しいところだ。

結局守はテルコを選ばず、すみれを選ぶ。でもすみれとつきあうまで至ってないようだ。
テルコは「マモちゃんと同化したい」と前に行っていたのだが、守は「33歳になったら会社辞めて○○になる」が口癖。その中で「動物園の象の飼育係になりたい」と言ったのだが、ラストでテルコは象の飼育係になっている。
ここはイメージの様にも解釈出来るのだが、少なくともテルコはそうなりたいと思ったことは確かのようだ。

映画の中でも「本人たちがよければどんな関係でもいいんじゃない?」「でもそんなのおかしいよ」という会話があったけど、そうだよねえ。秦から見たら、もちろん本人も疑問に思ってるけど止められない関係ってあるんだよねえ。
理性では押さえられない何か、人を好きになるってその何かがあるからなんだろうな。
その「何か」は他人には理解できないことも多い。
そんなことを改めて考えた。








チア男子!!


日時 2019年5月11日11:10〜 
場所 TOHOシネマズ川崎・スクリーン2
監督 風間太樹


柔道一家で子供の頃から柔道をしていた晴希(横浜流星)だが、怪我をきっかけに柔道から遠ざかっていたが親友の一馬(中尾暢樹〜まさき)はチアリーディングをやりたいと言い出した。最低で7人必要でまずはメンバーに無理矢理誘われる。晴希もまた柔道に限界を感じていたのだ。
太っていることでいつも友人からからかわれている遠野(小平大智)、バク転が出来る二人組ゲン(岩谷翔吾)とイチロー(菅原健)、4年の溝口(浅香航大)らが参加。あと一人。
学生会が応援してくれ、女子チアリーディングチームにコーチしてもらう。その時のコーチから徳川翔(瀬戸利樹)という経験者が今年入学したはずだと聞く。
その翔を見つけ勧誘した一馬たちだったが、翔はかたくなに参加を断った。しかしなんとかチームに参加してくれることになったが、スタンツというメンバーを上に持ち上げる華麗な技の参加は断った。
学生会から文化祭で技を披露するパフォーマンスをして欲しいとオファーを受けた。文化祭に向けてがんばる彼ら。
そんな中、一馬が練習に参加しなくなる。


マイナー部活もの(というジャンルは用語はないけどいまや定着してると思う)、の新作。広瀬すずの競技カルタとか女子チアが本場アメリカを目指す話とか吹奏楽部とかいろいろあった。
今回は実話ではなく、朝井リョウの原作。

チアはぼんぼんを振って応援、というレベルではなく、アクロバット体操のレベルである。しかも水の中ではないから落ちたら大けがをしそう。

こういった話の定番のメンバー集め、出来るのに参加しない強者とか定番の展開。これをマンネリとか言ってはいけない。「王道」なのである。
集まったキャラもデブとか頭脳派とか(今回はこの頭脳が作戦に生かされることはないのだが、キャラとして)、お調子者とかまさしく「王道」

でもちょっと違いを感じたのは「みんな一つにならねばならない」と多くの作品が展開するが、主人公をはじめ全員始めた動機がバラバラではないかと悩み出す。

言い出した一馬も「自分の両親は死んだが、祖母が自分の娘のチアリーディングをしてる姿のビデオを見て反応してくれた。だから自分もチアをやって思い出してもらいたいという期待」吐露する。晴希も子供の頃からやった柔道に限界を感じていた。
そういう動機がバラバラでもいいじゃないか、と結論づけるのは新鮮でよかった。

ラストのパフォーマンス、どこか誰か「王道過ぎるのはよくない」と考えて失敗する展開になるのではないかとハラハラした。
結果として成功して本当によかった。

出演では横浜流星と瀬戸利樹がいい。
横浜流星はすでに何本も出演作を見ているが、まるで記憶にない。おそらくはクールな不良っぽい役で(たぶんに私の好きではないキャラのために)「役柄が」好きになれなかったのかも知れない。
今回は素直な好青年の役で笑顔がよかった。

そして瀬戸利樹。彼は「ストレイヤーズ・クロニクル」で知って以来注目していたが、「仮面ライダー」などにも出演したがもう一つブレイクがない。なぜだろう。少女コミック原作の恋愛ものなど十分主演がつとまるルックスなのだと思うのだが。
今回は過去にチアで仲間を怪我させて車いすにさせてしまったという挫折経験を持つ。
役柄もあっていてかっこよかった。クレジットも3番目で満足の位置である。

恋愛要素が全くなく(女の子にかっこいいところを見せて告白しようとかない)すがすがしい男子青春物語。よかった。






クレヨンしんちゃん 
新婚旅行ハリケーン 失われたひろし


日時 2019年5月4日13:25〜 
場所 TOHOシネマズ宇都宮・スクリーン3
監督 橋本昌和


旅行会社の格安新婚旅行ツアーでオーストラリアにやってきた野原一家。新婚旅行だが、今は子連れでもOK。ひろしたちは結婚したときはお金がなくて旅行にいけなかったのだ。
やってきたのはグレートババァブリーフ島。ここはまだまだ新種の生物が見つかる未開の土地で、観光客が入れるのはほんの一部の地域。大半は原住民の仮面族のみが入れることを許されていた。
この土地には美しいエメラルドの様なモノがあり、正体は不明だったが、このお宝をねらって世界中からトレジャーハンターがやってきていた。
インディ・ジュンコのその中の一人。
ある夜、ひろしは仮面族に誘拐されてしまう。
金環日食の日、仮面族のお姫様に花婿を差し出すとそのお宝が手に入るという伝説があるのだ。
ひろしを追ってみさえやしんちゃんの野原一家、インディ・ジュンコをはじめとするトレジャーハンター、そして仮面族の三つどもえの戦いが始まる!


クレヨンしんちゃんの新作。今年はGWが10日もあるので、時間は作れるので観た。今回、福島県須賀川に円谷英二ミュージアムに行き、その帰り宇都宮のカプセルホテル付きグランドスパで1泊し、宇都宮駅からバスで10分ぐらいのTOHOシネマズ宇都宮で「午前十時の映画祭」で「ジョーズ」を封切り以来の劇場鑑賞をしてついでにしんちゃんも観た。

今回はインディ・ジョーンズにパロディ。未だにインディ・ジョーンズがネタになるのかと思う。
まあ面白くはあったし、そこそこ楽しんだが、すこし寝た。旅行の疲れもあったと思う。私は自宅以外で寝ると妙に疲れるのだ。

しかししんちゃんって「やっちゃいけない」ことやって危機に陥る。
たとえば仮面族の仕掛けた道の罠をわざと押してみるとか。それが「しんちゃん」の面白さなんだろうけど、気になった。

でも2001年以来ずっと観ているので19本観ている。来年も観るかどうかは微妙、と毎年言っている。






ジョーズ


日時 2019年5月4日10:00〜 
場所 TOHOシネマズ宇都宮・スクリーン7
監督 スティーブン・スピルバーグ
製作 1975年(昭和50年)


ストーリー、内容紹介は省略。
GWで福島県須賀川に円谷英二ミュージアムに行った帰り、宇都宮で1泊したので翌日は映画。
東京だったら観なかったけど、午前十時の映画祭で上映なので観た。
新宿では満員と言われていたが、こっちはがらがら。

数年前にブルーレイで鑑賞したときは「こんなたるい映画だったっけ?」と思ったがいやいややっぱり面白い。
やっぱり映画館とテレビでは集中力に差が出るね。
陰から死体やサメがいきなり出てくるカットで「どーん」と音もしてショッキングなシーンもあるのだが、封切り時と同じく椅子から飛び上がった。
やっぱり暗闇が恐怖とか集中力を増加させるのだなあ。

あとエンドクレジット後に公開当時は(「ジョーズ」に限らずすべてのユニバーサル映画でそうだったのだが)「When in Hollywood,Visit Universal Studio」というシンプルな広告イラストが出てくる。
これは作品には関係ないCM映像だから、ブルーレイにはなかった(と思う)

ところが今回このイラストもついての上映だった。
このイラストに数十年ぶり再会した。私にとってのこのイラストは「いつかは行きたい観光地」の広告だった。
ちょうどこの頃の70年代、不況のハリウッド業界でユニバーサル映画は「撮影所見学ツアー」というバスでスタジオを巡るツアーを始めたと聞いていた。
それが徐々にアトラクションが出来、どんどん豪華になって今のユニバーサルスタジオのテーマパークになったのだ。
だから私にしてみればハリウッド以外のユニバーサルスタジオのテーマパークは偽物である。
あれは「撮影所見学ツアー」があってのものなのだ。
(実際に92年頃行ったけど)

懐かしかったなあ。
こういう作品とは関係ない部分もデジタル化してくれたのがよかった。





ゴジラ須賀川に現る


日時 2019年5月3日 
場所 円谷英二ミュージアム
監督 鈴木健二
製作 平成31年公開(2019年)

今年1月にオープンした円谷英二の生誕地、福島県須賀川市の図書館やなども併設する(市民会館的なビル)tetteの5階にある円谷英二ミュージアムでの限定公開。
14分ぐらいの短編でメイキングと本編を連続してエンドレスに上映。
スタッフは監督鈴木健二、美術三池敏夫、撮影桜井景一、ゴジラ造形酒井ゆうじという本格的な顔ぶれ。
(正式なタイトルは「〜夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る〜」

ゴジラが須賀川に現れ、Tetteと駅まで人が逃げまどう。夕焼けの中ゴジラは進撃し、夜になって自衛隊のメーサー車や冷線砲車と対決するが、ゴジラはものともせず進撃する。

という内容。
ゴジラ映画の前半で田舎町を襲うシーンがあるけど、まさにこの感じである。新作ゴジラを観てる気分になった。
しかもこの映画のためにゴジラスーツを新たに作ったのだ。そしてそれは去年の11月3日の日比谷で歩いている姿をお披露目され、今は保存用に(たぶん中に立ってられるような補強材を入れた)手を入れられてこのミュージアムに展示されている。

メイキングで三池敏夫さん(だったと思う)「メーサー車のタイヤが上下するようにしたのでそこを見てほしい」とおっしゃっていたが、タイヤの上下とはサスペンションのこと。
60年代に「サンダーバード」を観た人が「サスペンションが利いている!」と驚いたそうだが、今回はこちらでもやろうということ。
立派だった。

この短編のためにゴジラのスーツは作るし、ミニチュアセットも組んでるし、かなりお金がかかっている。
須賀川市という営利団体ではない「公共施設」での展示、という条件で東宝も許可を出したろうから、おそらくソフト化もテレビ放映もないだろう。
本当はグッズとして販売してほしいけどね。

今回観て「私はこの初ゴジのデザインが好きなんだ」と改めて気付かされた。
上記の理由でソフト化はないだろうけど、手元に置いておきたいゴジラの「新作」である。

よかった。

またミュージアム自体の展示物も海底軍艦をはじめモスラなどのプロップが展示してあり、これが小さいながらも質のいいプロップなので大満足。
また隣には往事の東宝特撮ステージを再現したミニチュアもあり、島倉二千六さんの空の絵が展示してある。
面積は小さいが充実した内容で、「また来たい」と思わせる内容だった。
こちらもよかった。









主戦場


日時 2019年5月1日16:10〜 
場所 イメージフォーラム・シアター1(地下)
監督 ミキ・デザキ


「慰安婦問題」を扱ったドキュメンタリー。「コーブ」とか「靖国」みたいな大騒ぎになっても良さそうだが、全く話題になってない。何故だろう。一応「慰安婦否定派」にも発言の機会をあげてるからだろうか?
もっとも否定派(いわゆるネトウヨ的な人)の発言は映画の中でことごとく否定され、監督自身は「リベラル」(ネトウヨと同様の言い方をすれば「パヨク」)の立場とよくわかる。
だから同じく「パヨク」の私には観ていて気持ちがいい。

「慰安婦の数は20万人?」「強制連行はあったかなかったか」「金をもらっていた売春婦にすぎない」「性奴隷というほど奴隷状態であったか」などの論点を双方に意見をインタビューで対話させていくが、「慰安婦肯定派」の方が分がある。
登場するネトウヨはケント・ギルバート、櫻井よしこ、杉田水脈など。

ケント・ギルバートなんて80年代のヒット番組「世界まるごとHOWマッチ」で人気になった外国人タレント。一時期姿を見なかったが、今はネトウヨの代表だ。「ほらアメリカ人も我々に賛成してくれている」という援軍である。なんであんなになっちゃったのかねえ。それとも元々そういう人だったのか。それとも「こう言えば金になる」といういわゆる「ネトウヨ芸人」なのか。
櫻井よしこも昔は日テレの23時のニュース「今日の出来事」のメインキャスターで覚えた。この人もねえ。そんな人だと当時は思わなかった。

そして最近何かと話題の杉田水脈議員(「みお」と読む)。
去年「LGBTは生産性がない」と雑誌「新潮45」に書いて騒動になり何故か「新潮45」は廃刊に追い込まれた。雑誌が廃刊になるのなら、杉田水脈も何らかの責任とれよ。

この映画の登場人物ではこの杉田議員が笑える。
「慰安婦問題は韓国と日本の仲を悪くさせようとする中国の陰謀なんです」「中国や韓国は技術力で日本を追い越せないんです。普通ならがんばって追い抜こうとするでしょうが、それが出来ないから嘘を言って日本をおとしめるんです」
この発言には場内失笑。それはいつの時代の認識だよ。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた80年代か。スマホ見てみろよ。サムソン、LG、ファーウエイ、そしてアメリカのiPhone。日本のソニーはスマホ事業は赤字だし、シャープだって今や台湾の企業だ。
どこが日本が一番なんだよ。

そして日本のネトウヨのバックには「日本会議」がいて、日本の再軍備の始まりは岸信介で安倍はその孫、という話も出てくる。
ちゃんと調べている。
そして「新しい歴史教科書を作る会」などのいわゆる右派の団体にすべて関わっていて、そのラスボス的存在として加瀬英明が登場。
「加瀬」という名字に聞き覚えがあったので調べてみたらやっぱりそうだ。「日本のいちばん長い日」にも名前だけ登場する。メインタイトルが出た後で東郷外相が「加瀬俊一を通じて連合国側に通達」(正確にはちがうけど)と言った時に登場した。その息子なのだ。

この加瀬英明もそうとうバカで(あえて言う)監督がインタビューで「肯定派の意見をどう思いますか?」と聞かれて(正確には違うけど)「私、不勉強なんで他の人の本とか読まないんです」と言い放つ。まったく悪びれてない。
「教科書には明るい話題を書くべき。暗い話題なんか書くべきではない」と言い放つ。それにカットバックして元日本兵士のインタビューがカットバックされる。「悪かった点は認めて謝るべきだ」と。

杉田水脈にしても加瀬英明にしてももう「日本は美しくて正しくてよい国
という幻想の中に生きている。そしてそれが幻想だとは気づいていない。
「だって幻想ではなく真実だから」そう信じ切っているので自分たちが歴史を否定しているとは思ってない。思ってないから悪いことをしているとも思ってない。だから何の悪びれもない。「だって日本はいい国なのだから」。その自信はどこから来るのだろう。もはやファンタジーの世界に生きている。「アイドルはうんこしない」と同じくらい自分の幻想の中に生きているのだな。
それがよくわかった。

そして女性蔑視、男尊女卑の発言を杉田水脈や稲田朋美が発言するのがよくわからなかった。「あなたたち女性でしょ?女性蔑視が許せるの?」とうのは私の疑問だった。
この映画の中で「彼らは自分たちは選ばれた階級の人間だと思っている」というところがあった。そうかあ、杉田や稲田は「自分たちは庶民の女性とは違うので、自分たちが蔑視されることはないし、庶民の女は蔑視していい」と考えているのだな。

そういう「ネトウヨ」の本音が解った。それだけでもみる価値があった。よかった。









ある少年の告白


日時 2019年5月1日11:00〜 
場所 TOHOシネマズ・シャンテ・スクリーン1
監督 ジョエル・エドガートン


大学生のジャレット(ルーカス・ヘッジズ)は母親とともにある施設に入った。そこは同性愛を矯正する施設だった。
ジャレットは高校時代につきあった女の子がいたが、彼女に迫られてもどうしても応えられなかった。大学の寮で仲良くなったヘンリーにある日犯されかける。ヘンリーは他の男にも性行為をしていると告白した。
大学からカウンセラーから家に電話があった。ヘンリーがどうやら話したらしい。ジャレットの父(ラッセル・クロウ)は牧師で、キリスト教では「男と女が愛し合って子供を作る義務がある」という考えから同性愛を禁止していた。当然父もその考えに従っている。
父は牧師仲間に相談し、ジャレットを同性愛を矯正する施設に入れた。
そこでは「男らしさ」を叩き込もうと姿勢から始まり、弱い少年に無理矢理バッティングをやらせ、頭にボールを当てても平気だった。
キャメロンという少年が自分のことを告白させられ「僕の問題で」と行ったところを「違う!『僕の罪』だろ!」とカウンセラーのサイクス(ジョエル・エドガートン)に言わされ、暴力まで振るわれていた。
自分の番になったジャレットはついにサイクスに反抗。母親に連絡し、この施設を抜け出す。


舞台は2004年。実話である。
なんか日本人にはニューヨークとかサンフランシスコのイメージから「アメリカではゲイは自由」と思われがちだが、実体は違うようだ。これが60年代の話ならともかく、2000年代前半のことである。
キリスト教は同性愛を禁じているので、信仰心が熱い人は「同性愛を罪」と考えるようだ。父親が牧師だから無理はない。

サイクスは実は精神科医でも心理学者でもない。だから彼の「矯正行為」は科学的には何の根拠もない。もはや「殴って鍛える」という単なる根性論でしかない。こういった施設を叩くのは簡単だし、私も観ていて怒りがふつふつと沸いてきた。

しかしよく考えてみたら父親もつらいところである。自分が信じ、また生活の糧としているキリスト教で禁じている同性愛行為を息子がしてると知ったら苦悩するだろう。警官の息子が(合法的なレベルで)反政府運動をしてるようなもんである。
ここは息子の視点の映画なので父の苦悩はあまり描かれないが。

その点母親は「私は神を愛しているし、私は私の息子を愛してるだけ」とさらっという。もちろんそう割り切るまで時間はかかったろうけど。

ジャレットが最初にヘンリーに行為を強要されるシーン、ベッドに入っていきなりアナルセックスをしようとする。これ事実なんだろうか?
どうも「ホモはケツを使う」という偏見じゃないかと思うがどうなのだろう?(「ブロークバックマウンテン」の時も思ったけど)
その後で、夜ランニングをしてるときにメールヌードの広告(たぶんボディシャンプーとか下着の広告)に怒りをぶつけてガラスを割ってしまうシーンはよかった。「こんなものを見せるな!」的な考えと「それに興奮してしまう自分」で複雑な気分なんだよね。「俺を悩ませるな」と。

日本では同性愛を禁じる法律はないし、宗教的禁止もない。「だから「日本のホモは幸せだろ」という意見もあるが、だからといって社会的に歓迎、容認されてるとは言い難い。
「ホモは矯正しろ」と思ってる人は少なからずいる、きっと。
それはきっと「中国、韓国と国交断絶しろ!」というのと同じようなメンタルだろう。
もう理屈ではなく感情の問題だから解決は非常に困難。かといってなにもしないではいつまで経ってもゲイは生きやすくならないだろう。
次世代のLGBTQのために我々は偏見をなくすべく努力し続けなければならない。