2019年6月

   
八甲田山
<4Kデジタルリマスター版>
泣くな赤鬼 新聞記者 ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
<4DX3Dマキシマムバトルエディション>
ザ・ファブル カラオケや兆治 ぞろ目を狙え 地獄の如く狂おしく
日本のいちばん長い日(4K) 町田くんの世界 僕はイエス様が嫌い パラレルワールド・ラブストーリー

八甲田山<4Kデジタルリマスター版>


日時 2019年6月30日10:00〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン11
監督 森谷司郎
製作 昭和52年(1977年)


明治34年(1901年)10月、日ロ戦争も避けられない状況下、青森弘前では陸軍がロシアと戦うために寒中での軍隊について研究が必要と参謀長(大滝秀治)から進言される。その一つとして冬の八甲田山の踏破を提案される。青森第五連隊の神田大尉(北大路欣也)、弘前第三十一連隊の徳島大尉(高倉健)にその任務は命じられた。また児島大佐(丹波哲郎)と津村中佐(小林桂樹)の間で「両隊は八甲田ですれ違うようにしましょう」と約束してしまう。
神田隊が八甲田の西北を越えていくため、徳島隊は八甲田の南を十和田湖沿いに進んでいくことになった。徳島隊は総距離240kmの大行軍となった。そのために徳島隊は少数精鋭で行くことになる。
神田隊はそれに比べて50km程度の距離になったため、「それでは見劣りする」と上官の山田少佐(三国連太郎)が200名の大所帯に決定してしまう。しかも大隊本部として自分も同行すると。
大隊本部は指揮をしないという約束であったが、不安しする声もあった。
明けて1月、徳島隊は出発した。天候は徐々に悪くなる。
神田隊もついに出発した。途中道案内を頼まれたと村人が申し出るが、山田少佐は「金目当てか。軍隊には地図とコンパスがある」と却下してしまう。山田少佐の介入が事態を悪化させていく。


「午前十時の映画祭」枠での上映。
4Kリマスターされ、先日日本映画専門チャンネルで放送され、録画した。でも観ていない。
今回せっかくだからと封切り以来42年振りに鑑賞。
封切り当時観た鑑賞はやたら長くて退屈、というかいい印象はなかったなのだが、今回はちょっと別の感想を持った。

実際それほど面白い映画ではない。神田隊は右往左往して結局遭難するだけ。大人になってみると山田少佐の余計な介入が指揮を混乱させ、悪循環に陥っていく。その神田大尉の苦労は察することが出来る。
これが大人になって社会人経験を積むと分かるんだなあ。

それよりも今回思ったのは撮影の過酷さだ。もちろんそれなりに安全な場所で撮影してるんだろうけど、神田隊のシーンではすごい数の兵隊が登場する。実際に200名ぐらいいたんじゃないか?数えた訳じゃないが、カットを割って多く見せる、みたいな感じはない。これだけのエキストラを現場に連れて行って撮影するご苦労を想像すると頭が下がる。
今と違ってCGで人数を増やすなんて当時出来なかったろうし。

しかも吹雪の中だから役者も非常に見分けがつきにくい。今どっちの隊か分からなくなるということはなかった。
神田隊と徳島隊では天候が違うので分かるというものあるが、画面を観ていると徳島隊は画面の左から右に進んでおり、神田隊は右から左に向かっている画が多い。
これって意識的だったのかなあ。私の思い過ごしかなあ。
確かめるためにもう一度観る気にはならないけど。

それにしてもただ遭難して人が死んでいくだけの話なのに、観ていて割と退屈しないのはやはりCGなんか使わない本物の画の力というべきか。
当たり前だけど70年代大作中心主義の時代の映画は今観ると見応えが違いますよ、やっぱり。






泣くな赤鬼


日時 2019年6月29日14:00〜 
場所 丸の内TOEI2(地下)
監督 兼重 淳


城南工業高校野球部の顧問で厳しい指導で知られていた通称「赤鬼」の小渕(堤真一)は胃の調子が悪く病院を訪れたときに後ろから「赤鬼先生!」と声をかけられる。振り向くとそこには10年前の教え子、ゴルゴこと斉藤智之(柳楽優弥)がいた。斉藤は今は結婚して子供もいるという。「大人になったなあ」と再会を喜ぶ小渕。
ところが斉藤はガンでもう余命長くないと言う。斉藤の妻雪乃(川栄李奈)が知らせてくれたのだ。
高校時代の斉藤は野球のセンスはよかったのだが、小渕にしてみると気迫が足らなかったのだ。センスはいまいちだが、気迫は斉藤に勝る和田と同じサードポジションを競わせる。
しかしそんな小渕の思いも伝わらず、「やる気とかがんばるとかよく分からない」と徐々に野球に対する情熱を失っていく斉藤。不良仲間とつるむようになり、ついには警察沙汰になってしまった。それがきっかけで画工まで辞めてしまう斉藤。
入院した斉藤を見舞う小渕。「何か欲しい物はあるか」と言われ「ない」と答える斉藤。しかし「和田に会いたい」「野球がしたい」と答える。
それをかなえるべく動く小渕だったが。


なんかこう野球部の顧問と生徒の心の交流みたいな話で、運動部が苦手な私には苦手である。しかし予告編で柳楽優弥がいい感じだったので、他に特にみたい映画もなかったので見てみた。
(新宿とかで見たかったのだが、時間があうのが丸の内だけだったのだよ。それに他の映画館は1日1回とかになってたが、丸の内はまだ1日3回上映。東映配給かと思ったら角川作品。新宿では角川シネマってなくなったしね。)

根性論精神論で攻めてくる赤鬼先生は苦手である。いやもちろん技術だけじゃダメで戦う「意志」も大切だとは思うけどさあ。それに走りすぎると戦争中の「大和魂」の話になる。何事も行き過ぎは気をつけたい物です。

やっぱり柳楽優弥はいい。病院で再会したとき「やっぱり赤鬼だあ」と笑う顔が実にいい。目が細くなって実に親しみやすい笑顔なのだな。
そして「先生、教え子の葬式って出たことある?」というあたりの柳楽は実にすばらしい。柳楽に関しては予告編で見せてる気もしますが。

私などは柳楽優弥目当てで見てるわけですが、映画としてはやっぱり主役は赤鬼先生な訳です。
だから「死にゆく生徒のために何が出来るか?」という視点で映画は描かれちゃうんだな。

10年前に斉藤が抜けた野球部は甲子園出場寸前まで行ったのだが、地区大会の決勝で敗れてしまう。それがきっかけでいまいちやる気をなくしたらしい赤鬼。
今の学校は進学校で野球部は弱いし、小渕も特に力を入れていない。
だが最後にはまたやる気を出す、という展開でラストを迎え、やっぱり小渕のドラマなのである。

だからこっちが期待した死にゆく生徒柳楽優弥を見たくて行くとちょっと外されたのであった。




新聞記者


日時 2019年6月28日19:00〜 
場所 新宿ピカデリー・シアター5
監督 藤井道人


外務省から出向で今は内閣調査室に勤務している杉原拓海(松坂桃李)。最近の仕事は文部省の官僚の女性スキャンダルを公安と共に暴くことだった。同僚はツイッターなどでその官僚をたたくツイートをして世論誘導をしている。
東都新聞の女性記者、吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は首相のお友達のジャーナリストがジャーナリスト志望の女性をレイプした事件が不起訴になったことに憤りを感じていた。
そんな時、東都新聞に匿名で新潟に作られる計画の書類がFAXで送られてきた。文科省の主導ではなく、内閣府という総理直結の部署が担当だ。
東都新聞のデスクの陣野(北村有起哉)は吉岡にこの種類の意図するものを調べるよう命じる。
杉原の元に外務省時代の上司、神崎(高橋和也)から連絡があった。久しぶりに会ったが、神崎は何か悩んでる様子だった。
数日後、神崎は自殺した。
取材に行った吉岡だが、遺族にあまりに無神経な質問をする他の記者につい怒りをぶつけてしまう。そんな吉岡と話す杉原。
杉原も神崎の死に疑問を感じ、自分なりに調べ始める。
吉岡も単なる自殺ではないと調べ始める。二人はやがて驚愕の事実に出会う。


近頃珍しい硬派な映画。宣伝はあまりされていないが、初日の夜7時の回の新宿ピカデリーは満席である。(もっともスパイダーマンはもっと入ってると思うけど)

現在の安倍政権を真っ向から批判する映画。結局真相がうやむやになった(された)加計学園問題をモチーフにしている。
またそれだけではなく伊藤詩織さんレイプ事件なども入ってくる。
杉原はそんな仕事に疑問を感じないわけではなかったが、「これが国の、国民のため」と思ってやっている。

基本的にはこういう映画は好きである。評価したい。私の今年のベストテンの上位に入るだろう。
だからこそ「こうだったらもっとよかった!」と思う点がいくつかあるのであえて気になった点を書く。

1、新設予定の大学を「大学の形だが、実は生物兵器の研究施設を作ろうとしている」と話を広げたこと。その方がショッキングだが、ここまで現実とのリンクしていきただけに、かえって嘘くさくなったなあ。
私は以前「加計学園はなぜ獣医学部を作ろうとしているか、それは人間と動物の改造人間を研究する施設だからだ。外国人留学生は実験台にされるためだ!」と思ったことがあるので、同じような発想をした人がいるのでうれしかったけど。
でも加計学園に関しては単に「安倍総理のお友達に金銭的便宜を計った」ということで他意はなさそうだが。

2、主人公の女性記者の設定について。父親もジャーナリストだったが過去に首相に関する汚職スキャンダルを追求したところ「誤報」と反論され、自殺に追い込まれた過去を持つ。ここまではいいのだが、吉岡は母は韓国人でアメリカで育ったという点。しかも演じるのは韓国人女優。
いや韓国人女優は立派なものである。日本語の発音も違和感が見事だ。日本人女優かと思ったくらいだ。しかし普通に日本人女優が演じてもいいんじゃないかのか?内容的に日本人女優では引き受けてくれなかったから韓国人女優にしたのか?杉原の妻役の本田翼が主役でもいいじゃん。
(もっともそれだと「空母いぶき」に続きジャーナリスト役で似てる気もしてしまうが)

3、新聞社のシーンでカメラが動きすぎ。
どういう演出意図があるのか知らないが新聞社のシーンになるとやたらとカメラが揺れるのだよ。私はこういう揺れる画が嫌いなので見づらくていらいらした。

4、吉岡の書いた記事が新聞に載る過程でデスク一人の判断で掲載されている。いやもちろん水面下ではあったと思うが、映画ではもっと編集局やら営業部やらの動きを描いてもよかったのでは?

5、杉原が内閣府の知り合いの部屋に入って大学新設の書類を盗み見て写真を撮るシーン。そんな今時見れるのか?今は重要なものはみんなパソコンの中で書類では存在しないのでは?
ちょっとやすっぽかったかな?

6、杉原の上司の多田(田中哲司)のキャラが作りすぎ。内閣調査室のシーンも妙に青白い映像にして劇画チックな感じで好きじゃない。(あくまで好みになりますが)

でもこの多田のせりふで「安定した政権が結果的に国家の安定的運営になる。それがこの国にとって大切だ」(だいたいこんな感じ)とか「この国の民主主義は見せかけでいい」とかなかなか政権側の本音が見えてよい。

そして最後に「外務省の戻って数年外国で過ごし、日本に帰ってこい」という誘いの乗ってしまう(たぶん)杉原。最後に交差点で会った吉岡に「ごめん」とつぶやいたように見えた。
神崎も杉原も心の中では「違うなあ。そうかなあ」と思い悩みながら仕事をする官僚の方々の苦悩は感じた。
すべての官僚がこういう苦悩を抱えてると信じたい。いやもちろん政権にしっぽを振ることに疑問を感じない人もいるだろうけど。

話題になってヒットする事を希望する。






ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
<4DX3Dマキシマムバトルエディション>


日時 2019年6月23日15:30〜 
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン4
監督 マイケル・ドハディ


5/31の封切りから数えて3回目の鑑賞。6/1に109シネマズ木場でIMAX3Dを観ている。
そのときに思ったのはこの映画の3Dバージョン、3D感まるでなし。
たぶん3Dカメラで撮ってないんだろうな。
そういう後付け3Dははっきり言ってぼったくりである。

椅子が揺れたり水しぶきのミストが噴射される4DXだが、今回は(ゴジラ公開は祭りみたいなものなので)話のタネにと参戦した。
私は4DX否定派なので、あまり期待はしてなかったが(なぜ否定的かというとあれはアトラクションであって映画ではないから。「画」と「音」だけで表現するのが映画であると思うから)

ところが今回は怪獣バトルシーンでは揺れる揺れる迫力満点。ゴジラが熱線を吐くシーンで首元に熱風が出てくるのには驚いた。
この4DXもいろいろあるらしく、通常の「スタンダードエディション」もあるらしい。でも今回は「マキシマムエディション」ということで揺れぐらいは通常より多いそうだ。

今まで「ジュラシック・ワールド」「シン・ゴジラ」と2本しか4DXを体験してなくて「大したことないなあ」と思ったけど、これはさすがに満足しました。
でも3Dはいらないと思う。3D感はまるでない画だし、めがねオンめがねは観にくい。

あと今まで3回みて思ったけど、やっぱり画が暗いのが気になる。
第一基本逆光の画が多いのだな。怪獣のシーンでも太陽の逆光とかカミナリの逆光でシルエット気味の画が多いし、さらに水しぶきとか雨でどうもくっきりした映像ではない。
まあこの辺は監督と私の画の趣味の違いである。

逆光の画も時々ならかっこいいが、全編逆光だとねえ。
そのあたりがこの映画を手放しでほめられない理由である。
小ネタはよかったんですけどね。






ザ・ファブル


日時 2019年6月23日12:00〜 
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン7
監督 江口カン


ファブル(岡田准一)は凄腕の殺し屋。今夜も数十人を一挙に殺してきた。そして仕事が終わった後、スベリ芸人の「ジャッカル富岡」の芸を見て大笑いするちょっと変わったセンスの持ち主。
ある日ボス(佐藤浩市)から「1年間普通の人として暮らせ。そして人間的に太くなれ」と言われ、ボスの紹介で大阪にやってきた。
大阪で真黒カンパニーの会長(光石研)を訪ねる。会長は社長の海老原(安田顕)にファブルの家を用意させる。この日からファブルは佐藤明としての生活が始まった。
しかし内心ファブルを面倒に思った海老原はチンピラを使ってファブルを追い出そうとする。だが失敗。仕方なく面倒を見ることに。
海老原の弟分小島(柳楽優弥)が出所してきた。小島は自分がムショに入るきっかけを作った男を殺す。しかしそれは専務の砂川(向井理)の子分で、この事をきっかけに砂川はクーデターを起こそうとする。
そのころ小島は元グラビアアイドルのみさき(山本美月)を使って売春をしようとしていた。
ファブルは海老原のチンピラに殴られたとき、心配してくれた娘。それがきっかけで彼女の勤めるデザイン会社でバイトすることになった。
みさきは小島に拉致される。しかしその小島を砂川が雇った殺し屋フード(福士蒼汰)が拉致した。
それを知ったファブルはみさきと小島を救出しようとする。


岡田准一主演のバイオレンスコメディ(という言い方が正しいのか?)。
後半のゴミ処理場でのアクションなどさすがである。でもこのシーン、設定上ファブルがずっと顔の隠れる毛糸の帽子を被っている。
ここがなあ、せっかく岡田がやってるんだから顔見せなきゃもったいないじゃん。
もちろん原作のしばりとかあるのは分かりますが、う〜ん。

でもちょっと人が死にすぎ、血が多すぎかな。私としては少し嫌悪感が残った。
あとアクションが早すぎて逆に分かりづらいんだよね。スローモーションでやられてもなんだが、早すぎてアクションを堪能する感じじゃないんだよ。早く終わりすぎてしまって。もう少し「貯め」とか「間」があってもいいような。こっちが年取っただけかも知れないが。

それにしても柳楽優弥、福士蒼汰のワルぶりがいい。柳楽はさすが何をやらせてもうまい。シリアス、コメディ、アクションなんでもOKで今後の日本映画を引っ張っていく存在になるんじゃないか。カンヌ男優賞も伊達じゃない。
福士蒼汰はこういった狂気の役は珍しいが、結構似合っている。
さわやか青年も好きだが、こういった役も悪くない。

岡田准一は先月テレビ朝日で「白い巨塔」で財前五郎を演じ、アクションのない役。さすがにちょっと無理があった。でも最終回の後半で病気に倒れてからは哀愁を誘ったな。
ファブルは自宅では全裸でトレーニングとかするし、寝る時はベッドではなく空の浴槽で全裸で寝る。要するに裸の姿が割とあるのだが、肌の艶とかはさすがに中年だなあ。福士蒼汰の肌がぴかぴかしてる感じからするとやっぱり歳だな。
最近はガチムチのちびで(身長170cmないから)の体型になってアイドル時代とはちょっと違ってきたが、今後の日本映画のアクションシーンを牽引してもらいたい。





カラオケや兆治


日時 2019年6月22日12:15〜 
場所 シネマノヴェチェント
監督 市川 徹


榊原雄三(布川敏和)はヤクザの幹部として活躍していたが、ある日ネッシーが布団にやってきて「自分らしさとは?」みたいな話をして生き方を迷う。
1年後、横浜の藤棚商店街でカラオケスナックのマスターをしていた。
普段は葬儀屋で事務の仕事をしている薫(竹内晶子)とかまぼこ屋の嫁のすみれ(原めぐみ)が常連だった。二人は中学からの同級生で、CDもそれぞれ出していた。
薫は公園でお弁当を食べている時にそこで占いをしている婆さんに「運命の人が現れる」と予言される。
薫はある男性と出会い、結婚の約束をする。すみれもある男性と不倫をして「事業を起こすので銀行の融資を受けるために店の土地の権利書を貸してほしい」と言われ断っていた。
ある日商店街に大事件が起こった。多くの店がある男に土地の権利書を奪われたのだ。それは薫やすみれを口説いた男と同じだった!
ヤクザが横浜に「IR」が出来るのでその地上げを行っていたのだ。
その地上げを行っていたのが、雄三がかつていた組だった!


横浜の藤棚商店街を舞台にした映画。ノヴェチェントの1階は以前からカラオケスナックだったのですが、昨年、オーナーが引退されたてしばらく空き店舗だったそうで、そこに以前富山でご当地映画を作っていた市川監督が、拠点をここに移し藤棚で1本映画を撮ったということだそうです。
ですから市川監督は普段はカラオケスナックのマスターをしてるそうです。

そういう地元密着映画ですが、正直、藤棚商店街に関係ない私が観るとかなり「痛い」映画だ。とにかく素人の自主映画丸出しである。
主役のふっくんも妙にへたくそである。元ヤクザの役だが、全く似合っていない。二人の歌手が登場するが、はっきり言って「ただのおばさん」にしか見えず、女優としての魅力は皆無。

そして「演技が下手」とも違うなんだか痛い感じ。演技過剰というのかな?なんか演技が説明的すぎるのだ。
映画の中に商店街の人々が登場するが、逆に素人臭さもなくかえって普通の役者さんかと思った。

そして話も面白くない。
最初に小さなネッシーが出てくるが何の意味があるのか?
最初の5分ぐらいで「河崎実の映画か?」と思った。しかし河崎実の映画の方がずっとまともである。

んで結局ふっくんの昔の組がやってることなので、そのコネでなんとか納めると思ったら、雨の降ってる神社で(たぶん日程的に雨天決行したのだろう)ごちゃごちゃ商店街の人々とふっくんの元部下の滝沢(木村圭作)(でもまさか滝沢秀明をもじった訳ではあるまい。世代がふっくんとは違うしな)がごちゃごちゃもめてるところへ親分(九十九一)が登場し、納める。

それにしても九十九一が髪がまっしろになっていて老けたなあ。
あと結局その占いの婆さんがネッシーの化身だったという落ちが付くのだが、だからなんだという話である。
素人が書いたとした思えないような脚本に演出。
富山で作った数本の方がまだ映画ぽかったけどなあ。

藤棚商店街の人々が自分たちが楽しむためだけに作った映画。
この映画では知名度アップとかにはつながりそうにない。







ぞろ目を狙え


日時 2019年6月16日14:29〜 
場所 光音座1
監督 堺 勝朗
製作 ENK


吸血鬼ドラキュラの本拠地はイギリスのシェトランド諸島だが、分家のHOMOキュラの本拠地はシベリアの最北端のリャホフ諸島。
地球の人口が増加しすぎて食糧問題などが起きつつあるのを憂慮した神々はその末端のHOMOキュラの神(堺勝朗)に男の人工を減らすよう命じる。
言われたHOMOキュラの神は百八(久須美欽一)にJAPANのTOKYO出身のぞろ目の日生まれの20代の3人の男の生き血を吸ってくるよう命じる。
百八とその先輩のボッキーは早速東京へ、ボッキーが作ったリストに基づいてラーメン屋の出前持ち、学生などを次々と待ち伏せして襲っていく。
とりあえず3人終わったのでまだ時間はあると百八は男漁りに出かける。
ホモ映画館でボッキー先輩と鉢合わせしたり、若いホモカップルにとりついたものの、タチだと思った方がウケだったりで失敗ばかり。
そんな時、農大の学生の森竹(西本健吾)が交通事故にあったのを助ける。相手から100万円の示談金をせしめた百八は森竹のけがの世話をする。しかし森竹は200年前に崖から落ちたが助けられなかった弟にそっくりで襲うわけにもいかない。
そんな時、ボッキーから「あと二人襲ってこい」と指令がきたと言われる。しかも森竹もそのリストに載っていた!


堺勝朗監督作品。
コメディが得意の堺勝朗だが、今回は監督作品。久須美欽一主演だが、久須美は面長で、マジな顔をするとちょっとクリストファー・リーにも通じるドラキュラ顔である。
案外、企画の始まりはそんな事だったのかも知れない。

前半、出前持ちと学生と二人しか血を吸ってないはずなのに(血は首ではなくイチモツから)なぜか「もう3人終わった」と言っている。あれ、俺の勘違いかな。

そして百八の男漁りとなり、旅役者の二枚目とか、ホモ映画館に行ったりする。だから割と登場人物は多い。
この旅役者がなかなかそれなりにイケメンで、ENKで主役も出来そうな感じ。

そして後半森竹が登場し、百八はかいがいしく介抱する。
しかしこのとき百八がテレビを見ていてブータンの映像が流れて「私の国だ!」となる。うん、設定がよく解らん。世界各地にHOMOキュラはいるのかな?

結局神からの指示には逆らえず、泣く泣く森竹の血を吸う。(吸われた男は死ぬのである)
また女の体臭がある男はNGな設定。
最後の男が女とセックスした直後だったため、百八はその男の血を吸った後死んでしまう。

百八の能力がティッシュを1万円札に変えたり、人の体に乗り移ったり割るとテキトーに何でも出来る。
ここはちゃんと出来ること、NGなことを最初からルールを明確にした方がより面白くなったと思う。

西本健吾の素直な笑顔がよかった。




地獄の如く狂おしく


日時 2019年6月16日13:18〜 
場所 光音座1
監督 小林悟
製作 OP映画


今売り出し中のデザイナー大河原武(白都翔一)は最近マネージャーとして支えてくれる一郎(沢まどか)を疎ましく思っていた。今まで育ててくれた恩はある、しかしやたらと体を求めてくるので、つい邪険に扱ってしまう。
そんな時、業界の青木社長(港雄一)から「君のデザインなら海外でも売れる。僕が20億ぐらい売ってやる」と言われ、つい青木になびいてしまう。青木とバーで飲んだ晩、酔った武は青木の家に連れて行かれ、体の関係になってしまう。
朝帰りした武だが、また青木から呼び出しがあった。二人で海へ出かけたのだが、その誘いの電話を一郎は盗み聞きしていた。
青木と武が二人で砂浜を歩いていると3人組の暴漢に襲われた。青木は殴られただけだったが、武は林に連れ込まれ3人に犯された。
それを見ている一郎がいる。
青木は「ほとぼりが冷めるまで会わない方がいいかも知れない」と距離を起き出す。その前から頼まれていた青木の行きつけのバーのママの娘のパーティ用のドレスを届ける武。娘は「ちょっと胸が痛い」と言っていたがママは「きつく締めてるからよ。その方がやせて見えるわ」と気にしない。
その頃青木の元に武がこの間犯されているところの写真が送られていた。
「これは何だ!」と詰問する青木。さらに例の娘のドレス、抜き忘れた縫い針が心臓に達して命が危ないという連絡が入る。
「君とはもうおしまいだ」と青木に言われ、武はショックを受ける。
自殺も考え、海に入ろうとする武。それを見ていた一郎は武を助け、二人で抱き合い、「つらかった」と一郎は涙し、武も泣くのだった。


話は全部書いた。
正直、出てくる人物3人とも好きになれないし、共感も感情移入も出来ない。

売れだしたからと言って今までの恩を忘れる武はダメ、そして相手がいやがってるのに体を求め、そして自分から離れていくと暴行させるという一郎はもっとダメ。
考えてみたら金の力で武と関係を結ぶ青木がこの3人の中ではまともに見えてくる。

前から言ってるけど沢まどかは暗いのである。降られたからと言って相手に復讐するとは根性悪すぎ!これでは武くんも離れたくなる。
港雄一の青木がいちばん普通の悪役である。

最後に「つらかった」で抱き合うけど、あの展開では自分に嫌がらせをしてくるのは一郎って解っていたのか?解っていて許したのか?
最後にまたよりが戻るのも解らんなあ。

前半の港雄一が武とデキるシーンが割と長い。あと武が襲われるシーンも割と長い。だから話は単純でも1時間持つ。

こういう暗いねちねちした話はいやだよなあ。一郎が見送って陰でなく映画の方がまだよかった。(それも暗くていやだけど)







日本のいちばん長い日(4K)


日時 2019年6月15日10:00〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン11
監督 岡本喜八
製作 昭和42年(1967年)


ストーリー省略。
「午前十時の映画祭10FINAL」での上映。今回は「日本のいちばん長い日」や「八甲田山」も4K化で上映だ。

冒頭の地球をバックにポツダム宣言が表示されるのだが、さすが4K、文字がはっきり読める。同様に新聞記事が画面に表示され、当時の報道が出てくるが、これが記事の文章もはっきり読める。

メインタイトルがDVDなどで見るとどうも上下にゆらゆら揺れるのだが、今回はきちっと静止している。いつも気になっていたのだが、不思議なことに「あれ、今回は揺れない!」と驚いた。
揺れるのも期待しているのか、俺は?

4Kは画だけでなく音声もクリアに処理しているが、今回は冒頭のポツダム宣言を受信したときのモールス信号音も聞き取れた。

また米内海相が阿南陸相に「『戦局好転せず』と訂正するがそれでいいか?」と聞くささやきが聞き取れた。
このシーン、テレビやフィルム上映では米内がささやいて阿南がうなずくだけしか解らないのだが(もちろんそれでも十分なのだが)、DVDの字幕表示でなんと言っていたか明らかにあり(別に予想を超えることは言ってないけど)、今回音声も(わずかだが)聞き取れて満足。

今週先週とあまり映画を見ていないのだが、今日はこのあと「空母いぶき」と「ウルトラQ東京氷河期」の上映会にイオンシネマ調布で鑑賞。
「ウルトラQ」は最近トークイベント付きでイオンシネマ板橋で上映しているのだが、調布は中継での上映である。
円谷プロ製作のパンフが1100円だったので、迷ったが結局買う。
スチルばかりの事実上写真集で、私はちょっと期待はずれ。
ちなみに生で板橋で見ると3000円、中継は2000円である。

「空母いぶき」は6月1日に109シネマズ木場で2回目を見て本日3回目。面白いなあ、今年のベストワンですね。
細かいことが知りたいので、映画のノヴェライズ版を購入しようと思った。

ちなみに先週はPCの入れ替えもあり、また不思議と見たい映画がやってないので土曜日はヘアカットに池袋に行き、帰宅してPCに専念。
日曜日も昼すぎまでかかって夕方新宿にゲイ映画を観に行った。
この映画については別の場所で。





町田くんの世界


日時 2019年6月11日19:00〜 
場所 新宿ピカデリー・シアター5
監督 石井裕也


町田一(細田佳央太)は今時珍しい人がいい高校2年生。美術の授業で汚したために行った保健室で猪原奈々(関水渚)と出会う。
猪原の母親はアナウンサーだが、かつて不倫スキャンダルを起こし、それ以来猪原も何かと陰口をいわれるようになり、学校にあまりこなくなっていた。
栄りら(前田敦子)は町田と仲がよく、猪原と町田の仲が進展するのではと口が悪いながらも見守っていた。
ある日、西野亮太(大賀)が猪原に出すはずだったラブレターを受け取ってしまう町田。二人の仲を取り持つはずが、結局3人でデートにいく。
氷室雄(岩田剛典)は学校一のモテ男で、雑誌のモデルもしていた。1年後輩の高嶋さくら(高畑充希)とつき合っていたが、飽きてしまったのか氷室は別れを言い出す。
吉高洋平(池松荘亮)は雑誌記者だが、女優のスキャンダルばかりやらされ、うんざりしていた。そんな時、町田くんとバスの中で出会う。


石井裕也監督は特に好きではないが、別に嫌いでもない。
池松荘亮、岩田剛典、前田敦子、高畑充希らの20代の主演級の役者出演でなんか興味がわいた。

この20代の高校生たちが見事に違和感なく溶け込んでいた。やっぱりそのままで十分魅力的な役者ばかりなので、十分なのだろう。
また主役の新人二人もよかった。
町田くんは運動も苦手の設定だそうで(彼が運動をするシーンは特にないからはっきりしないが)、走り方が独特でかわいい。

でもはっきり言ってそれだけなのだな。
無類の善人がみんなに優しくするが、彼を好きな子は「私だけを優しくしてほしい」と嫉妬する、とかどこかで見たような話である。というか物語の定番のパターンとも言えるが。

そんな感じで役者だけを見て楽しんでいたが、話の方はだらだらと続き、いい加減飽きた。120分の映画だが、90分台だったら飽きずに楽しめたかも知れない。この辺がマンガ原作の映画の困ることころである。
(マンガは人気作の場合、連載のためえてして長くなっている場合が多いから)

あとこの間のGWで宇都宮に行ってきたせいで、ロケしてる場所が宇都宮だと解った。映画の中では物語の場所は特定されていないが地方都市の話なのかな。でも氷室がモデル活動をしてるから、やっぱり東京近郊か。

別に悪い映画だとは思わないが、かといってそれほど魅力を感じる映画でもなかった。





僕はイエス様が嫌い


日時 2019年6月2日17:15〜 
場所 TOHOシネマズ日比谷・スクリーン11
監督 奥山大史


星野由来(佐藤結良)は祖父の死がきっかけで祖母の町のキリスト教系の小学校に転校した。ミッション系の学校での礼拝など初めてのことで最初は戸惑う。やがて由来にはイエス様が見えるようになる。
友達もいない日々が続くが、和馬(大熊理樹)が話しかけてくれ、一緒にサッカーで遊ぶようになる。二人で流星群を見るために夜の学校に忍び込む二人。由来の家で人生ゲームをして遊ぶ二人。
和馬の家が別荘を持っていると知り、和馬のお母さんに頼んで泊めてもらう。
学校でサッカー大会があった日、和馬は交通事故にあった。和馬は重傷でお見舞いにもいけない。先生は「みんなに出きることは祈ることだ」と教室でお祈りをする。
しかし・・・・


24時間前まで存在すら知らなかったこの映画。ツイッターでこの映画のことをつぶやいていらっしゃる方がいて、そこに添付された二人の少年の画像が目を引いた。それは和馬役の大熊くんだったんだけど、内容も知らずに観てみた。

途中までは「ミッション系の学校に通いはじめて礼拝などに驚いた少年が自分の想像のイエス様と遊ぶ」というファンタジックなほのぼのした映画なのだな、と思っていた。
イエス様に「お金をください」と祈ってみると翌日、おばあちゃんが「おじいちゃんのへそくり見つけた」と1000円くれた。
レコードプレーヤーの上でイエス様はマラソンしたり、紙相撲の相手をしてくれる。

由来と和馬で学校前に神社に行った日、二人でお祈りをする。和馬は「今日の試合でたくさん点が取れますように」と祈った言う。由来は何を祈ったか言わない。

和馬は交通事故に会う。
ここはあまりの予想しなかった展開に椅子から立ち上がりそうになった。
由来たちは祈るしかできない。
祈りが通じて和馬が助かるという都合のいいハッピーエンドにはならない。
和馬の机の上には白い花が飾ってある。

由来は例の1000円で和馬が好きだった青色の花を買う。
そして学校でのお別れの会で弔辞を読む。
机の上に現れる神様。その神様を両手で叩き潰す。

神とは?祈りとは?
神社やキリスト教など宗教がごった煮になっている日本。
言葉にはならないが、それでも人は祈るしか出来ない。祈っても変わらなくても祈るしかできない。

そんなことを由来くんは解ったろうか?それはどう折り合いをつけていくのか?
彼は神社で何を祈ったのか?弔辞で流星群の思い出を最初書かなかったのか?書いてもなぜ「流星群は見えなかった」と嘘をついたのか?
流星群の思い出は二人だけの秘密にしてきたかっただろうか?

「僕はサッカーがうまくて勉強も出来てカッコよくて和馬くんにあこがれてました」と言った。その気持ちを深読みするのは間違ってるのだろうか?

そしてこの映画、携帯も出てこないし、出てくる1000円札は夏目漱石だ。おじいちゃんのへそくりだから昔のお金なのかも知れないが、やはり過去が舞台なのだろう。

主人公の二人を演じた佐藤結良と大熊理樹がすばらしい。
大熊くんは正統派イケメンで将来山崎賢人並みになりそうだ。佐藤結良もこれからが楽しみ。

そしてFIXの多い画面で攻めまくったこれが長編初監督という製作当時22歳の奥山監督。監督自身が子供の頃に友人を失った経験があり、それがベースになっているという。
これからが楽しみな監督である。








パラレルワールド・ラブストーリー


日時 2019年6月1日11:40〜 
場所 109シネマズ木場・スクリーン5
監督 森 義隆


人工知能やバーチャルリアリティを研究するアメリカ系企業バイテック社の日本研究所に勤める崇史(玉森裕太)は研究所の後輩麻由子(吉岡里帆)と同棲していた。ある日中学からの親友の智彦(染谷将太)の恋人として紹介される夢を見る。
それから自分の恋人であるはずの麻由子だが、智彦の恋人として紹介され、親友の恋人という関係でつきあっている夢を見る。
バイテック社の食堂で智彦が、この間ちょっとした実験を後輩の篠崎(清水尋也)にしたところ記憶が書き換わった、と話している。数日後、その後輩が発作を起こした。
智彦に会おうと思った崇史だが、先月彼は突然アメリカの本社研究所に異動したという。でも異動の挨拶をした覚えがない。中学時代の親友の俺になぜ?
崇史はある日、街で大学時代の友人、夏江(石田ニコル)に会った。夏江は「智彦さんの恋人の麻由子さんたちと1年前に会ったよね?」という。
いったい俺の記憶はどうなっているのか?


半年ぐらい前から劇場でよく予告編が流れていて面白そうなミステリーだな、と思って楽しみにしていた本作。
5月31日公開で、早速観に来たが完全に期待はずれ。

そもそも割と早い段階でオチが解った。
食堂で「実験で記憶が変わった」と話してる段階で、もうきっとこの先崇史の記憶が書き換わってるんだろうな、と想像がつくし、それは裏切られない。

別に俺が頭いいとも思わないが、誰でも解るんじゃないか?
でも玉森裕太が主人公で、友人をこれまたキモオタっぽいビジュアルにした染谷将太にしたものだから何となく「玉森と吉岡がつきあってるのがホントの世界」と思ってしまうのがミソと言えばミソ。
キャスティングの勝利ですね。

タイトルのようなパラレルワールドではないのでSF的要素はなし。
私の予想を覆すどんでん返しがあるわけでなく、予想の範囲のラストだった。
「金返せ」というレベルではないが、がっかりした。
感想もろくにない。

そうそう清水尋也くん、今公開中の「貞子」(たぶん観ないけど)にも出演していて、売れっ子若手バイプレーヤーになってますね。
彼にはこれからも期待してます。

あと吉岡里帆。最近活躍だが、時々顔が怖いときがあり私は特別好きではない。まあどうでもいい話で、要はそういうことしか感想が浮かばない。
田口トモロヲは安定だった。


本日はこの後、「空母いぶき」「ゴジラ」のそれぞれ2回目の鑑賞。
「ゴジラ」はIMAX3Dでの鑑賞。