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漫画誕生日時 2019年11月30日12:00〜 場所 ユーロスペース2 監督 大木 萌 昭和18年、戦争が激しくなる頃「漫画奉公会」が結成され、その会長に北澤楽天(イッセー尾形)が就任した。その晩、集まった漫画家たちとの酒の席で若い漫画家たち、近藤日出蔵造(吉岡睦雄)、横山隆一(芹沢興人)、杉浦幸夫(中村無何有)らからは「あんたの漫画はもう古い」と罵倒される。 そんな時、内務省の役人・古賀(稲荷卓央)から呼び出しを受ける。 「漫画についてその歴史からいろいろと教えてもらいたい」と言われ、楽天は自分の人生を語り出す。 まずは横浜時代。英字新聞社に勤めていた楽天だが、そこで外国の風刺画にふれる機会が多く、大いに勉強する。親友の岡倉一心は幸徳秋水を心酔し、運動にも力を入れ、楽天にも「お前の絵はただうまいだけだ」と言われる。 そんな時、福沢諭吉の時事新報社から誘いを受け、そこで風刺画を描くようになる。ある時ドイツ皇帝を描いた絵がドイツ大使館から抗議を受け、それで役人に呼ばれる。しかし役人を言い負かし、それがきっかけで政治家ともつきあいが生まれる。 秋水は雑誌「東京パック」を創刊。これが大ヒット。弟子を数人雇い分業していく。 新人も出入りし、岡本一平のように弟子に誘われたが「自分の描きたいものがある」と断るものもいた。 内務省の古賀は「これからは資源節約のため、新聞雑誌のページは減らす、ついては漫画のページはなくす」と言われる。しかし政治家との付き合いから大逆事件で逮捕された岡倉を助けてやった過去を持つ楽天はその要請を拒否できない。 「漫画としてあるべき品位」を追い求め、一方では「求められれば描くのが仕事」と矛盾することも主張する楽天。彼の求めたものは何だったか。 日本初の漫画家、北澤楽天の生涯を描いた作品。昨年の東京国際映画祭でも特別上映され、一般公開が待たれていたが1年経って公開。 (撮影はもっと前の2017年だそうだ)。 公開が遅れた理由の一つに若き日の北澤楽天を演じた橋爪遼がクスリの問題で逮捕されたこともあったようだ。(橋爪功の息子ね) 「漫画誕生」っていうからもっと歴史を描く作品かと思ったら、というより北澤楽天の生涯である。 風刺画はあったが(今では一こま漫画ともいうが)、「漫画」という言葉を使用したのはこの北澤楽天だそうで。 その後も弟子(今でいうアシスタント)を雇って分業的に作品を作っていったり、用は漫画誕生というより「漫画家」という商売を確立したわけだ。 当初は風刺画などで政治批判の反体制的かと思ったら、「東京パック」のヒットで大儲け、「国際問題」と当局から注意を受けたら逆にそこから政治家とのつきあいも始まり、親友を釈放してもらったりしている。 そして最後には漫画奉公会という戦争に協力する会の会長である。 紆余曲折というか流されるままに生きてきたようにも見える。 ポスターには「私だって、私なりにやってきたんです」とある。これが言い得て妙ではないか? 漫画で政治批判をして戦争に協力し大金持ちになる。矛盾してるようだが、彼なりの判断である。 「漫画に品位がない」と後輩の作品に苦言を呈するが、「世間に求められれば応えるのは当然」ともいう。 内務省の役人に「あなたの本当に描きたかったものは何ですか?描いてみてください」と言われ、描いたものを役人から「見下げ果てた人ですね」と言われる。 ここで楽天がなにを描いたかが明確ではないのだが、どうも奥さん(篠原ともえ)の絵を描いたようだ。 戦後は故郷の大宮に戻り、近所の戦死した家族の写真を元に似顔絵を描く。 それは戦争に協力したことへの罪滅ぼしなのか、それとも本当に喜んでもらえるものだけを描こうとしたのか。 漫画への興味はなくなったようだが、やはり手塚治虫の「新宝島」が出版されると読まずにはいられない。 チラシには「時代に逆らわず描いていたら時代に忘れられました」とある。 これも言い得て妙だなあ。 クリエーターとしてどうあるべきか、を問われたような気がした。 弟子に誘われたが断った岡本一平は岡本太郎の父だったとは! 出演はやっぱりすごいイッセー尾形。そして楽天の一番弟子役で櫻井拓也が出演。 最後に主要メンバーのその後が説明されるが、櫻井拓也の演じた小川治平は38歳で早世したと出る。櫻井拓也自身はもっと早く31歳で亡くなったが、死後の直後に大宮で特別上映されたこの映画で早世する役を演じていたとは偶然にもほどがある。 あとこういう単館系の映画にありがちな画の汚さがない。撮影は高間賢治。さすがである。予算も少ない中、美術、衣装が立派だった。 よかった。もう1回観てもいい。 オレンジロード急行日時 2019年11月24日14:30〜 場所 シネマ・ノヴェチェント 監督 大森一樹 製作 昭和53年(1978年) トラックの後部に放送機材を積み込んで非合法の無許可FM放送を行っている、流(森本レオ)、ファイト(小倉一郎)、ダンプ(中島ゆたか)、メカ(志麻哲也)と、警察無線を傍受して警告をしてくれる羽島(河原崎健三)の5人。羽島がアメリカに渡ることになり、ここらで潮時と考えていた。メカはこれをきっかけに故郷の和歌山に帰る。 一方、鈴木鈴之助(嵐勘寿郎)と田中もと(岡田嘉子)は町ゆく車を止めて運転手が降りた隙に車を盗む泥棒をしていた。 警察の源田刑事(原田芳雄)は海賊放送も自動車泥棒も面倒に思いながらも追いかける。 今後を迷っている海賊放送の面々に和歌山に帰ったメカから「こっちに遊びにきませんか?」と誘いを受け、「これを最後の放送にしよう!」と出かける流、ファイト、ダンプの3人。 鈴木たちはある日、車を盗んだものの、後部座席に子供がいたことに気づく。源田刑事は「誘拐事件だ!」と大張り切り。 しかし今度は海賊放送の面々の車がダンプが降りた瞬間に鈴木たちに盗まれてしまった!流とファイトはそれでも放送を続ける。 大森一樹監督の商業デビュー作。城戸賞受賞作の映画化。 封切り時も観ていたが、今回41年ぶりに鑑賞。 当時もうすでに映画監督になりたいと思っていたから新人監督のデビューということで大いに関心があって観に行ったのだ。 でも当時「これが?」ときょとんとして帰ってきたと思う。 その辺の心境を書くには当時の(あくまで私から見た見解)映画界についてメモしておこう。 日本映画は70年代に入って今までのビジネスモデルが通用しなくなって混乱を極めていた。しかしいつまでも混乱だけしている訳にもいかず、一方アメリカでは「ジョーズ」の大ヒットでスピルバーグの登場、「遠すぎた橋」がこけて「スター・ウォーズ」の大ヒットで世代交代が叫ばれていて、そして日本でも角川映画の登場でとにかく新しい人を入れようという機運だった。 その中で大林宣彦監督も劇場映画デビュー。新人発掘にはシナリオ賞の創設ということで松竹の映画を支えた城戸史郎の名を冠にした城戸賞が作られた。 その受賞作で自主映画を撮っていた大森一樹監督が商業デビューである。 もっとも松竹大船のスタッフは猛反対し(大人になってみれば解ったが自社の助監督から新人をデビューさせるのではなく、その辺の若者を監督にするのは耐えなれなかった)、基本的に松竹のスタッフではなくフリーのスタッフで編成されたらしい。まあ大変だったろうな。 そんなこともつゆ知らず、スピルバーグのような映画を期待していたのだろう。完全に肩すかしだった。 当時はそんなこと解らなかったが(青春真っ盛りどころか青春が始まってもいないぐらいの頃)、海賊放送の面々は「もう8年やってきたけどそろそろ潮時かなあ」と思ってるあたりは「自主映画長いこやってきたけどそろそろかなあ」と思っていた大森一樹とその仲間たちのことである。 そうなるとラストでメカの実家の漁船に乗って、「羽島さん追いかけてカリフォルニアまで行こうか!領海でたら海賊放送ではない!」と言っているあたりは迷いながらも「まだまだ続けていこう!」という大森一樹の決意を感じる。 彼は結局は映画監督としてなんとかやっていけたけど、夢を追いかけてそうなはならなかった人も多いだろうなあ。(当たり前だ) それにしてもよく解らないのが鈴木たちである。 鈴木と田中もとの関係もよく解らない。「最近知り合った」というだけだ。 そして和歌山に旅をするのだが、目的は「幼なじみでアメリカに渡った友人との思い出のみかんの木を見に行く」というもの。 そのみかんの木のあった場所は今はその友人が後に土地を買って別荘をたてている。今は友人は亡くなって未亡人だけが住んでいる、という話。 なんか感動的に語られてるけど、そのみかんの木のところに言って突然みかんの枝を折る。 「なんであんなことしたんですか?」と田中もとに言われて鈴木は「何ででしょうなあ。私も急にそんな気になった」と言うだけ。 そういわれてもさっぱり解らないよ。 この辺がどうにも理解できず、当時「どうしてこれが賞を取る?」みたいな気になったし今回も変わらなかった(もっとも今回見るまで内容は完全に忘れていたけど) でも鈴木たちの自動車泥棒の手口が田中もとが車を止めて道を渡る手助けのために運転手が降りたところを鈴木が盗むとか、故障して止まっている車の横に立ち、別の車を止めたところで盗むとか、警察に捕まる前に太鼓橋の前で車を止めて歩いてるカップルに「あなた方が100万人目の渡す人です。この車はプレゼントです」と言って渡して渡った先には警察がいるとか、そういうネタは笑えましたね。 まあ「青春の終わり」というものは41年前には解らなかったけど、今ならよく解る。その辺は理解できましたけどね。 それにしても大森監督も商業映画は初めてで「用意スタート」の声を出し忘れてカメラが回らなかったとかいろいろあったらしい。 新人にありがちな「あちこちから意見がでて当初とは違うしっちゃかめっちゃかな映画になった」ということはなかったらしい。一応「城戸賞を取った!」というのは免罪符になったようだ。 脚本の直しもせいぜい「上映時間を90分以内に納めるために短くしてくれ」という程度のものだったらしい。 ラストの空撮は「冒険者たち」からの引用だそうで、そういう過去の映画の真似、リメイクというのが大森監督がいつまでも「自主映画」の枠からでしか作ってない気がする。 「ゴジラVSモスラ」(脚本のみ)のインディ・ジョーンズのパクリなんてやめてほしい!と思ったもんなあ。 41年ぶりに再見していろいろ面白かった。 本日は上映後に大森監督と小倉一郎さんのトーク付き。そういえば森本レオさんて最近見かけないけどどうしてるのかなあ。 また映画に出ていただきたいです。 決算!忠臣蔵日時 2019年11月23日19:20〜 場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン7 監督 中村義洋 元禄年間、赤穂藩は城主浅野内匠頭の方針で「武士たるもの戦の心構えを忘れてはならぬ」と火消しの演習を繰り返し行っていた。 そんな時、浅野は江戸城で吉良に刃傷に及び、即日切腹なった。 城は明け渡しとなり、「殿の無念を晴らすため」と籠城を言うものもあったが今で言う退職金の額を考え、城は明け渡しに。 しかし吉良を討ち入りを考える一派もおり、お家再興派の手前「討ち入りはする気はない」という方向でいくことに。 だが、吉良は隠居になったと聞いた大石は「それでは今後吉良におとがめがいくことはない」と討ち入りを考える。 「討ち入りをする気はない」とお家再興派や吉良側の思わせるために(喜んで)芸者遊びをする大石。 それでも迷っていた大石だがお家再興はないと判断し、ついに討ち入りを決意。しかし浅野の妻の持参金、現在の価値で9000万円の資金は残り少ない。 武具などを買わねばならない。さてどうやりくりする? 「武士の家計簿」「殿、利息でござる」などの「お金の側面から時代劇を作るシリーズ」の第3弾という訳。 冒頭、そば一杯が16文であったことから、そば現在でいうと480円とし、1文=30円で換算されていく。 パンフレットにいろいろな価格がでておりお銚子12文360円、お寿司4文120円、鰻丼64文1920円となっており、感覚に近い。 鰻丼などは当時も高級品だったのだな。 面白いと言えば面白いのだが、予告編でだいたい見せており、それ以上のものはない。 それにしても勘定方(今の会社で言えば間接部門)は金をケチりまくり、いわゆる武士の方の出費を抑えまくる。このあたりは現代の会社経営と同じで共感を持って観ることができた。 ラストに討ち入りのアクションがあるかと思ったら、それはなし。 また基本的にコメディだからか(吉本も製作に加わっていることもあり)岡村隆史、桂文珍、村上ショージ、木村祐一、西川きよしらの出演。 岡村隆史は大石役の堤真一とW主演のような言い方をされるが、映画の3分の2ぐらいのシーンで死んでしまい、W主演と言うほどでもない。 宣伝でそう言ったのか。 横山裕が不破数衛門役でなかなか似合っていた。 また千葉雄大は浅野の切腹時の介錯人でワンシーンでせりふなし。 妻夫木聡は軍師の役で山鹿流の兵法を説くが、最初と最後だけの出演でファンとしては物足りない。 最近注目の鈴鹿央士(現在放送中の「おっさんずラブ・in the sky」にも整備士で出演中。ただし本筋にはまだ絡んでないけど)が岡村の息子役で出演。 こういう変形の忠臣蔵もいいが、正当派の忠臣蔵も久々に観たいと思う。 今では難しいかも知れないが。 熟女の誘惑 入れ食いの宿日時 2019年11月23日11:36〜 場所 シネロマン池袋 監督 小川欽也 製作 OP PICTURES 建設会社の社長秘書をしている芳子(白木優子)は同じ会社の圭二(櫻井拓也)とつきあっていたが、芳子は34歳、圭二は24歳で年の差を気にしていた。 社長の大川(なかみつせいじ)は温泉旅行に芳子を誘い、圭二は運転手として同行することに。今は妻を亡くしている大川は芳子のベッドに侵入し関係を持つ。一方優秀な社員として圭二は認められており社長は自分の娘を紹介する。 一方でOLの山下は将来有望と言われる圭二に近づいて部屋に行き、服を脱いで半ば無理矢理関係を持ってしまう。 社長の娘とも関係を持ってしまった圭二だが、芳子のことも気になる。 シネロマン池袋での「櫻井拓也追悼上映」での上映。 櫻井さんの出演作品は全部見たいと思っているので、これからも気をつけてチェックしていかないと。オークラと光音座とこのシネロマンをチェックし続ければなんとかなりそうな気がする。 正直、社長の娘とOLに迫られてしかもOLの方はストーカーまがいの強引さで迫られて恋人だった年上女性は社長に寝取られてもうどうしようもない関係になってくる。 「こりゃラストは修羅場だな、小川欽也監督もやるねえ」と思っていたらてっきり社長の娘に心変わりをしていたと思った圭二は芳子のことを「好きなんだ!」と言いだし、困った芳子は会社を辞める。 んで社長の方も「じゃあ私の伊豆の別荘でしばらく休みなさい」と言い、従う。 それで圭二も芳子を探すために会社を辞めると言い出すと社長は「彼女は私の別荘にいる」と教え、彼らを祝福する。 そして社長は自分の娘と「二人ともフられたようだな」と納得している。 おいおい自分がものにした女を部下が奪っていくんだぜ。てっきり社長は激怒して圭二を会社を辞めさせるとか、話が破滅に向かうかと思ったらハッピーエンドかよ。 訳わからんなあ。 小川欽也監督は2017年に1本撮っているが、前半の伊豆旅行のシーンなどロケ地も同じだし、たぶん2本撮りだろう。 もう1本は「悶絶上映 銀幕の巨乳」。封切り時の感想と特に変わりなしのため、感想省略。 未亡人民宿 美熟乳しっぽり日時 2019年11月23日10:35〜 場所 シネロマン池袋 監督 池島ゆたか 製作 OP映画 山奥の温泉宿・月影荘で仲居の夫を亡くして2年のアキエは今日も夫を思ってオナニーしていた。この宿の女将も春菜も未亡人。アキエも夫を亡くしたショックで自殺しようと思ってこの宿に来て、助けられたのが働くきっかけだった。 ある日、春菜とアキエは橋から飛び降りようとしているナツミを助ける。彼女も夫を亡くして自殺しようとしたのだった。 そんな時、大学教授タニハラ(なかみつせいじ)、準教授ヒグチ(野村貴浩)、研究生オカモト(千葉尚也)の3人が月影荘泊まりにきた 3人は途中で村人に「あの宿に泊まるとろくなことはない!」と止められるが、この宿ではヤレるらしいと聞いている3人は無視してやってくる。 早速オカモトは春菜に夜這いをかけ成功。オカモトはアキエと風呂場でヤレたが、終わった瞬間に石鹸で滑って転んで頭を打って病院へ。 ナツミもヒグチと出来て、ヒグチは結婚を申し込むが二人で外を歩いているときにヒグチの帽子が風で飛んでそれを追いかけて川に落ちて流されてしまう。 実は春菜の夫の父(牧村耕次)は過去に関係を持ってしまい、それを知った春菜の夫はショックを受けて交通事故にあってしまったのだった。 オカモトも死に春菜の義父も勃つようになった。 3人も未亡人はこれからも温泉宿を盛り上げていくのだった。 本日はシネロマン池袋で「櫻井拓也追悼上映」とした番組が組まれているので行ってきた次第。この1本は池島ゆたか作品で関係ないけど。 なかみつせいじの教授が「マイミクさんから情報をもらった」というから2000年代の映画だろう。今はmixiもほんとに勢いがなくなったが、当時は全盛だったのだな。 個人的にはゲイ映画で活躍した千葉尚也の出演がうれしい。 「この温泉宿の女性と出来ると事故で死んでしまう」というホラー映画っぽい展開なのだが、なぜかそっちの方には話が行かない。 義父との関係とかそっちの方に重点がおかれ、ラストは4人でピース写真を撮る。 なんかどっかで迷走してる気がするなあ。ちょっと惜しいと思った。 脚本はいつもの五代暁子。 T-34 レジェンド・オブ・ウォー日時 2019年11月22日21:45〜 場所 新宿バルト9・シアター7 監督 アレクセイ・シドロフ 1941年、ドイツ軍はソ連モスクワまで後一歩に迫っていた。ニコライ・イヴシュキン少尉(アレクサンドル・ペトロフ)は近くの村に配属される。そこは司令部の撤退の時間稼ぎにされた場所だった。「最後まで戦え」の命令。イヴシュキンは初めての戦場だったが、部下の戦車兵とともにT-34を見事に操り、ドイツ軍戦車部隊指揮官イェーガー大佐(ヴィンツェンツ・キーファー)をきりきり舞いさせる。しかし結局は捕虜となる。 1944年、今は捕虜となったイヴシュキンはイェーガーと再会。 今度はソ連軍がベルリンに迫っていた。イェーガーは戦車兵の訓練のためにイヴシュキンに捕獲したTー34に乗り、的になるように命じる。 Tー34には砲弾は持たない話だったが、与えられたT-34には6発の砲弾、いくつかの手榴弾が残っていた。T-34を整備する間に「戦車兵の遺体を埋葬したい」と申し出、その遺体と砲弾を隠した。 イヴシュキンは隙をみて演習場を脱出、チェコに逃亡しようと計画をしていた。それには地図がいる。ドイツ軍のロシア語の女性通訳のアーニャ(イリーナ・ストラシェンバウム)が地図を盗むことを条件に脱走に参加させてほしいと申し出る。 ロシア映画。完全にノーマークで映画の存在自体を知らなかったが、ツイッターのフォロワーさんの間で評判がいい。あわててバルト9まで観に行った次第。 パンフレットは売り切れだったし1日1回の上映だが、「パンフレット再入荷しますか」と聞いたときに割とお客さんが入っているという劇場の人の話も聞けた。 砲弾が飛ぶ様を映像が超スローモーションになって、当たる様を見せるなど、2000年代前半に流行った映像で(たぶん「マトリックス」あたりから流行り始めた)逆に「新しそうだけどもはや古い」(という言い方が悪ければ最近観ないやり方)でちょっと苦笑したが、それよりも「指揮官同士の対決!」と言った知恵比べの方が面白い。 最初の村での戦車対決、一度に2台の戦車打ち抜いたりするのが驚く。 装甲貫通弾、っていうのだろうか?砲弾って当たったら爆発するものだと思っていたので、貫通する弾があると初めて知りました。 そして戦車同士がぶつかるぐらいに接近して撃ち合うなど既存の戦車映画では観たことなかったような戦い方の連発で興奮しっぱなし。 すげーなー。 まあ女性通訳とイヴシュキンがいきなり恋人になってしまう展開が無理矢理感が否めないが、それだけロシア映画もハリウッド化してるということか。 最後に橋の上でのイヴシュキン対イェーガーなどクライマックスもいい。 最後の最後で手をさしのべたイヴシュキンを橋の下へと引きずり落とそうとするなど、ドイツ軍の描写に遠慮がない。 Tー34のことを(というか戦車)のことをもっと勉強してもう一度観たらもっと楽しめそうな気がする面白さでした。 見逃さなくてよかった! オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁日時 2019年11月17日16:35〜 場所 TOHOシネマズ六本木ヒルズ・スクリーン6 監督 ユー・フェイ チーム・ウィングスはジアン(役所広司)をリーダーとする民間のエベレストでの救助チーム。女性の新人メンバー・シャオタイズ(チャン・ジンチュー)を入れたものの、無軌道の救助活動でかえってチームを危うくさせた。 そんな時、インド軍情報部の人間というヴィクターとマーカスという兄弟が仕事の依頼をしてきた。数日前に重要機密文書を積んだ飛行機がエベレストの頂上付近で墜落。その書類を奪還したいというのだ。近く開催されるヒマラヤ周辺国のサミットに関する書類だという。 危険すぎると断ったジアンだったが、チームの赤字のために地上のでの作業を引き受けるスヤに進められて引き受けることに。 早速出発したジアンたち。しかしヴィクターとマーカスは偽物だと連絡が入る。 日中合作映画。日本側はVapが参加している。 役所広司の出演作は基本的に観るので今回も鑑賞。しかもヒマラヤを舞台にし、いわゆるミッション遂行のお話である。面白そう。 ところがどうにも乗れなかった。 まず今回は字幕版と日本語吹き替え版が存在する。私は迷わずオリジナル音声の字幕版を選んだのだが、ここが失敗だったかなあ。 ジアンのせりふが中国語や英語なのだが、これが役所広司の声ではなく、外国人の吹き替えなのだ。私は役所広司ファンなので、声が吹き替えになると興味が半減するのだなあ。かなり声質は似てましたけどね。 鑑賞後にパンフを見たら、日本語吹き替え版では役所広司本人が葺き替えている。 失敗したかも知れない。もっとも日本語版を観たら観たでオリジナル音声が気になったろうけど。 んで話としては面白そうなのだが、これが今一つ。 どうしてだろう。 考えられる要因はいくつかある。 物語が始まるとエベレストの雪山の中ばかりになる。そうすると画も同じような感じになりがち。敵と戦うときもどうしても格闘ばかりになって同じような感じの繰り返しになってしまう。 そして余計なドラマ。 シャオタイズは5年前に恋人とエベレストに登って遭難し、自分だけ助けられたという過去がある。その遺体を探していて、また恋人が最後にモールス信号で送った2030の意味を探している。 結局それは白鳥座のことで白鳥座は「物語が終わって新しい物語が始まる」ということだそうだ。そんな複雑なこと残すなよ。意味分からんじゃん。 役所広司のジアンも娘を山で亡くした過去を持つ。 こういったドラマはサスペンスを阻害させている。 また書類を見つけてそれからどうする、というのも全くなく、地域に紛争を呼び込む書類だそうなのだが(いわゆるマクガフィンだ)、悪者二人が仮に手に入れたとしてもそれがサミットにどう関わらせるかの相手の作戦がないので、完全に不発に終わってしまう。 唯一の楽しみはヘリパイロットのハン(リン・ボーホン)がなかなかのイケメン。途中、一人で待機しているシーンで上半身裸で日光浴していて、体も逞しく、なかなかいい画になっていた。 このハンが基本的にパイロットなので山であまり活躍がないのだね。シャオタイズに助けられてるし。まあ女性ヒロインの方が作者の関心が強かったのでしょう。イケメンなんて作者にしてみれば刺身のつまなんだろうな。 スタジオで撮影してCG合成したカットも多数あるが、それにしても雪山の過酷な条件で撮影しスタッフ・キャストのご苦労はびしびしと伝わってくるのだが、かといって全体的には間延びした印象が拭えない。 惜しい映画だと思う。残念。 ひとよ日時 2019年11月16日16:50〜 場所 109シネマズ・シアター5 監督 白石和彌 15年前の雨の晩、タクシー会社を営む夫を妻こはる(田中裕子)は殺した。夫は3人の子供、大樹、園子、雄二に度重なる暴力を振るっておりそれから守るためだった。 「15年経ったら戻ってくる」と言い残し、こはるは自首した。 大人になった子供たち。大樹(鈴木亮平)は結婚して妻の実家の電気店で働き、園子(松岡茉優)は地元のカラオケスナックでホステスをし、雄二(佐藤健)は東京へ出て雑誌で風俗ライターをしながら小説家を目指している。 タクシー会社は今はこはるの甥に当たる進が引き継いでいた。 母親が殺人犯ということで言われなき嫌がらせを受けながら生きてきた3人。今は世間は忘れてくれていたが、こはるが戻ってきたことによって歯車が回り出す。 その頃、稲丸タクシーには新人運転手・堂下(佐々木蔵之介)が就職した。一見まじめそうな彼だが、実は足を洗った元やくざだった。 とりあえず新作が公開されば観ている白石監督作品。 夫がなぜ子供たちに暴力をふるうようになったかは特に説明がないが、こちらも家族の物語である。(偶然だが今日観た「影踏み」も家族間の犯罪の話だった) 大樹は離婚問題を抱えており(良き夫のような大樹だが、なぜ離婚話になっているか不明)、さらに殺人者の母親がいることが妻にばれますます回復が困難になる。 また堂下の息子が自分の昔の息子がシャブの運び屋にされていく。 雄二は一時は「子供を守った聖母」とまで言われた母を「聖母はやはり殺人者だった」という記事を書き、苦悩をぶちまける。 家族、親子という切っても切れない絆に縛られ、そして救われていく登場人物たち。まるで「砂の器」だなあ、と思う。 重量級の作品だし、田中裕子も佐藤健も松岡茉優も佐々木蔵之介もいい。 客観的に観て「いい映画」だと思うけど、なぜかそれほど私の心には残らなかった。 それにしてもこの映画の舞台は茨城県。「影踏み」も群馬県だったが、最近北関東ロケ、北関東を舞台にした映画が目に付く。 映画産業の中心は当然東京なのだが、そこから2〜3時間で到着し、適当に田舎で適当に東京に近いという利便性のおかげか。 地元のフィルムコミッションもがんばっているのだろう。 これからも北関東でロケ、舞台、という映画も増えていくのかな。 確かに東京が舞台ばかりじゃ、東京以外の人には親近感が沸かないと思うし、いい傾向なのだと思う。 影踏み日時 2019年11月16日13:55〜 場所 109シネマズ川崎・シアター3 監督 篠原哲雄 真壁修一(山崎まさよし)は群馬県で夜に忍び込んで現金の窃盗を行うノビ師だ。県議会議員の稲村の家に忍び込んだとき、家には灯油が撒かれていて、まさに稲村の妻・葉子(中村ゆり)が自宅に火を放とうとしていた。とっさに止める真壁。その時幼なじみで今は刑事になっていた吉川(竹原ピストル)に逮捕された。 2年後、真壁は出所した。真壁を「集兄ィ」と慕う啓二(北村匠海)だけが迎えてくれた。真壁は「あの日あの時なにが起こっていたのか」が気になっていた。 稲村のことをバッタ屋(中尾明慶)に聞いてみると稲村はその後借金で破産し、妻の葉子も居場所が分からないという。しかし稲村の家の買い戻しに関西系のヤクザが絡んでいたようだ。 自分を逮捕した吉川を真壁が訪ねた晩、吉川は殺された。酔って橋から落ちたというが真相は分からない。 真壁も疑われるが、彼は「安西久子(尾野真千子)の家にいた」という。久子は幼なじみだった。その久子は保育園で働き、文具店の久能(滝藤賢一)にプロポーズされていた。 横山秀夫原作小説の映画化。伊参スタジオ映画祭を通じて横山秀夫と篠原監督、山崎まさよしが出会い、横山秀夫の方から自作の「影踏み」の映画化が持ち込まれたという。 吉川に続いて吉川が死の直前まで飲んでいたというスナックに来ていた裁判所の執行官が重傷のけがを負う。葉子を中心として人が襲われていく。 観ていて途中から啓二のことが気になりだした。こいつと真壁の関係が説明されない。真壁を慕う舎弟のような存在なのか? そしてよく考えると啓二は真壁以外の人間と会話しない。 吉川に会ったときもバッタ屋に会ったときも誰も啓二には話しかけない。 真壁には双子の弟がいた。真壁と弟は久子のことが好きだった。久子は優等生だった真壁とつき合いだした。それがきっかけだったか弟が万引きをした。高校教師だった母(大竹しのぶ)は高校を退職。ノイローゼになった母は弟を殺して家に火を放った。 久子と旅行中だった真壁は生き残った。 そう、映画に出てきた啓二は真壁の幻想だったのだ。映画は後半、この啓二との折り合いをつけていく真壁の話だ。そしてもう一つの双子、久能が登場する。この二人も同じ姿をしているもう一人の自分の存在に悩んでいる。 映画のラストで啓二は母に殺されたわけではないと打ち明ける。もっとも映画に出てくる啓二は真壁の架空の産物なので、これは自分なりの答えなのか? とにかく北村匠海がいい。後半死の真相を語る北村匠海のシーンでは思わず涙がこぼれそうになった。 この映画、北村匠海で持っていると言っても過言ではない。 よかったなあ。真相を知った今、もう一度前半を確認したい。 もう1回観ようか。ソフト化まで待とうか。 i-新聞記者ドキュメント-日時 2019年11月16日11:35〜 場所 109シネマズ川崎・シアター5 監督 森 達也 この6月に公開され話題になった松坂桃李主演の映画「新聞記者」の元になった新書を書いた東京新聞社会部の望月衣塑子記者を追ったドキュメンタリー。 別に松坂桃李の「新聞記者」のメイキングとかではない。別の映画である。 望月記者の名前はよく聞いていたが、実は姿はあまり知らなかった。顔は写真で知ってる程度。だから動く姿とかを見たのは初めてだったが、正直「映画に出てくる女性新聞記者!のまんまだなあ」と思った。 あのままで映画に新聞記者役で出ても全く違和感がない。 女性を容姿で判断するなというお叱りを受けるかも知れないが、美人である。ショートカットで活動的な姿で「ああいう女性に怒鳴られたい」と思う男性も案外いるのではないか?ひょっとしたら菅官房長官もそういうのがお好みなのかも? そしてなかなかおしゃれである。バーバリーのパンツ(ズボンのこと)で足を見せ、そして黒のブーツを履きこなす。趣味のある方はあのブーツで踏まれてみたいと思うだろう。 さらにルイ・ヴィトンのバッグを使ってるから(たぶん10数万円はすると思う)先のバーバリーチェックのパンツと併せて考えても高給取りなんだな。いけないと言っているのではない。予想と違っただけである。 もうちょっと身なりにはかまわないタイプかと思っていたが、結構おしゃれである。 何度もいうがいけないと言っているのではない。予想と違っただけである。 映画で扱われる事件は伊藤詩織さんレイプ事件、森友事件、辺野古の埋め立て問題、宮古島の弾薬庫の場所を隠していた件、そして記者官邸記者クラブでの質問妨害の件、など。 しかしツイッターを見て政治ネタを見てる私としては既知の話ばかりで、私がドキュメンタリーに求める「へー知らなかった!」は正直、ない。 だから映画を見ていてもさっぱり面白くないのである。 まあツイッターで政治ネタを見ない人には初めて知る話で、そういう人も日本には多いだろうけど、そういうタイプの人はこの映画は見ない気がする。 だから望月衣塑子ファンには既知の事実をなぞるだけで期待はずれだったなあ。 森達也なら何か期待したのが、この素材に関しては無理だったか。 その中でも何とかして官邸記者クラブに入り込もうとする森達也だが、どうしても旧態依然とした組織は変わらない。まあ変える気が記者も含めてなさそうだけど。 そして望月記者がなぜあれほど切り込めるのかが、最初の方に出てきた方が(お名前を忘れた、失礼)「政治部の記者は自分だけが知ってるネタを隠しているので、大勢の前で質問という形でも言わないの普通。望月記者は社会部なのでその風土の違いもある」と言われていたのが印象に残った。でも政治部の記者はそのつかんだネタで別の形で政府を追い込んでいるようには思えませんが。 本作の出来とは関係ないが、手持ちカメラでとにかく映像が揺れるので、映像が揺れると船酔い状態になる体質なので、そこはつらかった。 2019年11月16日現在、安倍総理は毎年4月の「桜を見る会」が事実上総理の支援者に対する慰労会になっていて買収行為ではないかと言われている。この件、果たしてどうなるか。望月記者はどう動くか。 この映画の続きはツイッターなどで拝見させていただこう。 (本日は109シネマズで3本立て。dエンジョイパスで109シネマズのチケットが安く買えたのだが、その期限が11月末に迫っていたため集中的に観た。109シネマズは会員になると東宝シネマズだと1000円増しになるようなエグゼクティブシートが無料アップグレードされるので豪華な席で3本堪能できた) バラードに抱かれて日時 2019年11月9日14:20〜 場所 光音座1 監督 友松直之 製作 ENK 大阪湾でドラム缶に詰められた死体が上がった。たまたま捨てるところを見た人がいて通報されたためだった。死んだのは山本明彦(岡秀樹)。パンクロックのバンドマンで数年前にバイク事故で後ろに乗せていたヒロシ(三澤史郎)を死なせてしまっていた。 山本は梅田のエロビデオショップで働いていた。ここは紹介のあった人だけには社長が作った裏ビデオを販売していた。山本はヒロシの死を悔やみ、心療内科にも通っていた。 社長は山本を気に入っており体の関係があった。ある日山本が入荷したビデオを整理していると、ほかのビデオは7800円とかなのに28万円のビデオがあった。興味をもってそのビデオを観てみる。それにはヒロシににた男が殺されるビデオだった。 山本は突き上げられる衝動により、社長を殺した。そして社長の部下の松田(友松直之)などを殺しにいったが、持って行った銃が暴発し、逆に捕らえられた。そして吊され犯され殺されていった。 友松直之作品。友松監督は「囚われの淫獣」が面白かったが、その他はどうもだめである。この映画も妙に不快感が残る。 冒頭、山本のパンクロックのライブシーンと山本がバイクで疾走するシーンとロッカーのセックスシーンみたいなのがカットバックされる。 んでこのパンクロックのシーンが歌詞がただ「バーカ、バーカ」を連呼するだけ(違うかも知れないが、聞き取れない)でどうにもいらいらする。 そしてビデオショップのシーンとか社長とのカラミはまあいいのだが、例の殺人ビデオのシーンになるとテレビをのぞくとそのテレビの中のシーンで真っ赤な壁から手だけが出てきてなにやら生理的に不快感を覚える。 まあ好きな人は好きなんでしょうが、私には不快だったなあ。 そして社長を殺して松田たちを殺しにいったが捕まって吊されて仕舞いには血塗れ。私、血塗れがだめなんです。 もう悪趣味で不快感だけ。 んで冒頭のドラム缶が引き上げられたシーンになるが、発見者のカップルの女のほうが警官に事情を説明しているのだが、そのときに男の方がショックでおかしくなったのか「手、手」とやたらうるさい。 女の説明が聞き取りづらくなり、不快感を覚えさせるためにやってるとしか思えない。 ラストシーンは今まで山本の家に公衆電話から電話をかけていた男の招待が、実はヒロシだったと明かされる。そしてヒロシと山本は先ほどのドラム缶の場所で再会。「やっときてくれたんだね」とあの世で再会したようだ。 申し訳ないが、全体的に演出のセンスがあわず、終始不快感しか感じなかった。恋人が死ぬ話とか話が暗すぎるよ。バッドエンドだし。 どうにもあわない。 同時上映は吉行由美監督「せつないかもしれない」。数年前に鑑賞してるので、感想はパス。ただし主役の千葉尚之が以前より可愛く感じた。 こちらの感じ方が変わったか。 アナザー・ウエイ D機関情報日時 2019年11月4日14:30〜 監督 山下耕作 製作 昭和63年(1988年) 昭和20年1月。関谷海軍中佐(役所広司)は軍令部総長(芦田伸介)、軍令部次長(仲代達矢)からスイスに行ってウラン買い付けを命じられる。 伊号潜水艦に乗って太平洋を南下しインド洋、大西洋を北上し、まずドイツのベルリンへ。ドイツ上陸直前に敵の攻撃に合い、潜水艦は関谷の上陸を助け、艦長(高橋英樹)以下戦死した。 ベルリンに入り、ドイツ大使(戸浦六宏)の助けを借り、車でスイスへ。 スイスに行く途中、車は何者かに襲撃された。その後ドイツの特務機関と自称するハンスマンに助けられる。しかし再び襲撃され、関谷は気を失っている間にウラン買い付けの為に持参した宝石を盗まれてしまう。 その場からいなくなったハンスマンが怪しいと思う関谷はスイス公使(平幹二朗)の助けを借りハンスマンを追う。また関谷は死んだと聞かされていた親友の矢部中佐(永島敏行)が実は生きていたことを知る。 矢部に会った関谷だが、彼は「このままでは日本は負ける。少しでも日本を思うなら終戦工作をすべきだ」と主張する。 その会談の直後、矢部は射殺されてしまう。 果たして日本の運命は? 封切り以来観てなかったが、機会があって鑑賞。 役所広司が初主演だということと平泉征が憲兵(実際は特務機関員)で出ていた以外何にも覚えていなかった。 これがなぜか面白くないんだなあ。「終戦の秘密工作」なんて面白そうな感じはするのだが。 最初の潜水艦での航行もそれなりに面白いのだが、盛り上がらない。これが密命を追って潜水艦で行く、とか「キスカ」の方がよほど盛り上がる。 そしてドイツに着いてから、早々に買い付けの宝石を奪われてしまう。アホである。この後さっさと取り返すならともかくこの宝石の話に行ってしまう。全然盛り上がらない。 そして死んだと思っていた矢部が出てきてすぐに殺される。 ここで「日本は負けるから戦うことより終戦工作をしよう」と言われ、ホイホイとは行かないが、アメリカのダレス(ロバート・ボーン)に会ったりする。 結局は終戦に工作に心が傾くのだが、本国に意見具申の電報を打つだけ。これも盛り上がらないなあ。 なんか面白くなりそうな要素はたくさんあるし、実際原作も読んだ覚えがあるのだが、ひたすら冗長なだけ。 ただしスイスロケは立派だし金はかかっている。ところが製作の「タキエンタープライズ」という会社がなくなり権利が浮いている関係で公開頃のVHSにはなったが、LD,DVDにはなってない。 もっともスタッフの助監督に藤由紀夫(「ムルデカ」の監督だ)の名前があったから、そっち方面が出資元という気もするのだがね。バブルの頃で金もあったし。 あと西村京太郎=山村美沙のつながりで山村紅葉も無駄に登場。 前半の潜水艦のシーンは川北特撮。 監督も途中で変わったらしいし、何か大人の事情の固まりのような感じである。 というわけで面白くなりそうな要素はたくさんあったが、すべて空回りした失敗作。 まあソフト化されても買わないけど。 ブラック校則日時 2019年11月2日18:45〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン6 監督 菅原伸太郎 脚本 此元和津也 小野田創楽(佐藤勝利)は地味な高校2年生。クラスでも目立たない存在だ。校則は厳しく、毎朝体育の手代木(星田英利)や英語の大多和が校門で服装の点検をしている。 クラスメートの町田は生まれつき髪の毛が茶色いが、「髪は黒」という校則によって「地毛証明書を提出するか黒く染めるかどっちかにしろ」と言われている。そのために登校せずに帰ってしまう。 そんな町田を創楽は心配する。なんとかしてやりたいが、校則なだけになんともならない。 「校則って変えられないかなあ」と親友の月岡中弥(高橋海人)に相談。 生徒の中にも「校則に逆らうよりテキトーにやり過ごした方がいい」と考える者は多い。 「ますは意識改革だ!」と中弥は教室で演説するが、効果なし。 校則を変えることともにとりあえず町田を登校させるために「地毛証明書」をなんとか使用する。両親の署名捺印と幼い頃の写真が必要なのだ。 ところが町田の両親は離婚していて、幼い頃の写真は父親がアメリカに持って行ってしまってないと言う。 SexyZoneの佐藤勝利主演映画。「ハルチカ」で映画デビューした佐藤勝利だが、「ハルチカ」はどちらかというと橋本環菜の映画であって、佐藤勝利は助演だった。 今回はKing&Princeの高橋海人とのW主演だが、佐藤の方が主演で高橋はあくまで助演である。佐藤勝利ファンとしては素直にうれしい。 よくある少女コミックの映画化とちがって恋愛要素はなし。創楽は町田のことが好きらしいが、彼女にしたいという好きでもなく何となくクラスメートとして気になるといった程度の存在だ。(宣伝では「大好きなあの子の為に!」とか恋愛要素を売ろうとしているが、あまりない) また制作者の方も町田役にモトーラ世理奈という新人をキャスティング。これがいわゆるアイドル顔の美人ではなく、「個性的」というマイルドな表現をせざるを得ないタイプ。顔はそばかすが多く、個性的である。 こういう子をキャスティングすることで恋愛っぽくならずによかった。 これは世の中を変えようとする話だ。生徒の中にも敵はいてみんながみんが一致団結するとは限らない。 一人が書き始めたことで(中弥らしいのだが)校舎の裏の壁が落書きだらけになる。そこは2ちゃんねる並の荒れようだ。 校則が厳しいと不満をいうもの、その不満がおかしいと避難するもの、ただ冷笑するだけのもの、この高校だけでない、社会の縮図である。 そんな中でも校則そのものは変えられることは出来なくても少なくとも彼女が登校できるように地毛証明書をなんとかしようとする姿はいじらしい。 これは高校の話だが、日本の縮図だ。政治に批判はしても「結局は非難しても無駄、従う方が無難」という大人たちと同じ。 そんな中でも出来る範囲でもがこうとする創楽の姿は美しい。 最後は主要メンバーが協力的になりすぎるのはちょっと気になったが。 よかった。もう一度観たい。 また本作は10月からの深夜ドラマ枠でも放送。同じキャストスタッフだが、展開は違うものになりそうだ。(こちらは現在3話まで放送。1話しか観てないけど) そして配信のHuluでも放送とか。これも違う話なのかなあ。 そしてパンフによると今年の8月〜9月にかけて撮影されたとか。 撮影終わって1ヶ月ちょっとで映画公開とか近年にない過密スケジュール。 おそらくテレビ版は現在絶賛ポスプロ中だろう。 それでなくても忙しいアイドルに3つの媒体の撮影ではかなりきつかったと想像される。 ソフト化されたら買いたいと思ってます。 |