2020年2月

   
初恋 Red 1917 命をかけた伝令 遊星王子 恐怖の宇宙船
遊星王子 AI崩壊 影裏 御用牙 かみそり半蔵地獄責め
スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 不良番長 突撃一番 不良番長 一網打尽 ファンシー
ピンクゾーン3
ダッチワイフ慕情
ノーパン!欲情処理課の女 バイバイ、ヴァンプ! 御用牙
性の劇薬 前田建設ファンタジー営業部 ヲタクに恋は難しい 愛国者に気をつけろ!
鈴木邦男

初恋


日時 2020年2月28日19:20〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン3
監督 三池崇史


葛城レオ(窪田正孝)はまだ無名だがこれから期待されるボクサーだった。彼は赤ん坊の頃に捨てられていて天涯孤独。ある試合で負けるはずのない相手からノックアウトされたことで病院で診察してもらう。結果は脳に腫瘍があり、余命はわずか。
モニカ(小西桜子)は父親が闇金で借金をし、その借金の代わりにやくざに売り飛ばされた女。しかもシャブ中だ。
大伴刑事(大森南朋)はあるヤクザ組織の若手幹部加瀬(染谷将太)から相談を持ちかけられる。「組のシャブを持ち逃げしてモニカって女のせいにする。そこで俺がシャブを奪ってる間にモニカを一晩過ごしてほしい」
その話に乗る大伴。
大伴がモニカと会ったときモニカは父親の幻覚を見てつい駆けだしてしまう。それを追いかけているときにレオが通りかかる。女の子が男に追いかけられている状況を見てつい大伴を殴ってモニカを逃がしてしまう。モニカはレオの手を取って駆け出す。一方加瀬もシャブを奪うのに失敗し、シャブを預かっていたヤス(三浦貴大)を殺してしまう。それを知ったヤスの恋人のジュリ(ベッキー)は復讐に燃える。
組長代行(塩見三省)は「中国の連中だったらことを構えるな」というが組の幹部・権藤(内野聖陽)はだまっちゃいない。


ここまでで3分の1ぐらいかなあ。
久々の日本クライムアクションだ。監督は三池崇史。主演は「ケータイ捜査官7」の窪田正孝。窪田は「ケータイ」がデビュー作で三池は監督だったわけで約10年ぶりの組み合わせ。

かつての70年代東映現代アクションをテイストを残した悪党がたくさん登場する。普通悪玉の計画通りに進んでいくことが多いが、この映画、トラブル続き。
モニカが幻影を見てつい逃げ出したことが始まり。一方で加瀬も目だし帽をかぶっていたが、あっさりそれを取られてしまい顔を見られたことから殺さなければならなくなり、殺したことからジュリが復讐の鬼と化す。

後半ホームセンターのユニディ(大伴は「ユニディって何でもあるな」って宣伝付き!)にこもってしまうので、前半の移動の多さからすると「静と動」なのかも知れないが、ちょっと残念。
最後まで突っ走って欲しかったかな。
またちょっとキャラクターが多すぎて少し見せ場が散漫になってしまったのが残念。

あとタイトル。「初恋」なんて映画の内容に似合わないタイトルをつけてたたために内容が伝わりにくい。ちょっと損してるんじゃないかなあ。
私も観る前は具体的な内容を知らずに「窪田正孝が余命短いボクサーを演じる」ぐらいしか知らなかったもん。

文句ばかり言ってるようだが総じて面白かった。
出演の窪田正孝、冒頭と最後にボクシングシーンがあるが、締まったからだが素晴らしい。
冒頭では「お前勝ったらガッツポーズぐらいしろよ」と言われていたが、後半のシーンでは自然にガッツポーズ!彼も今度の事件というかモニカとの出会いで生きる目的が生まれたようだ。

冒頭の東映のフィルム時代の波のマークもよい。
「カツベン」もそうだったけど、最近の東映は戻したのか?







Red


日時 2020年2月24日14:10〜 
場所 新宿バルト9・シアター3
監督 三島有紀子


雪の山道を一台の車が走る。乗っているのは男(妻夫木聡)と女(夏帆)。
塔子は立派な家に住み、かわいい娘もいる。夫・真(間宮祥太朗)は仕事で忙しく毎晩遅い。ある晩遅くかえってきた真に「食事は?」と聞くと「食べてきた」と答え、しかし同居する義母が「煮物あるよ」というと「じゃ食べよう」という。
夜のセックスも一方的にフェラチオさせ、自分だけ果て「よかったよ」と行ってくれる。結婚記念日に高級すき焼き店に行っても「豆腐食べなよ。春菊も」と言ってくれるが肉は勧めない。
そんな日々に夫に連れられていったパーティで昔の恋人・鞍田に再会する。鞍田は送ってくれた。
また働きたいと思う塔子。鞍田は今自分が働いている建築事務所を紹介してくれた。やがて塔子と鞍田は体を重ねるようになる。
ある時、新潟での鞍田と塔子が担当した仕事の確認のため、現地に行かねばならない。しかし鞍田は最近仕事を休んでいる。彼は数年前に血液のガンに冒され、それが再発したのだ。
塔子と二人の関係を知る小鷹(柄本佑)。大雪で帰れなくなった。しかし真は「どんなことをしても帰ってこい」ときつく言い放つ。
困り果てたとき、鞍田が車で現れた。


この3連休、金曜日の夜からずっと映画ばかり見てる映画マラソンなのだが、11本目のこの映画で最後。2、3日は映画はいいかな。

ピンク映画が男の恋愛妄想映画だとすれば、本作は女子の恋愛妄想映画。
少女コミックの実写化と同じである。
「私も子育てと夫の世話だけでなく、昔の彼とかいい男が現れてセックスして、仕事も出来て充実した人生を送りたい」という女子の願望通りに主人公は動く。
言っておくがそれが「いけない」と言っているのではない。
男の私にはその妄想は理解するけど、共有したり共感は出来なかった。
だからこの映画って性差で評価が分かれたりするのかなあ。

夫の方も自分勝手だが、悪気はない。というか自覚はない。自分が料理を作ると食べないくせに母親の料理は食べる。
セックスは自分だけがイって終わり。一応「気持ちよかったよ」というから気を使ってるつもりなのが始末が悪い。
結婚記念日に高級すき焼き店に行っても豆腐とか春菊とかは「食べなよ」というけど肉は「食べなよ」とは言わない。「接待できた店だけど塔子にも食べさせたかった」と言ってる。これも「気を使ってるつもり」なだけに始末が悪い。

そういう中で優しい元彼に会ってセックスして彼はフェラさせずに足までなめてくれて私を感じさせてくれる!ってなったら、そういう男の出現を待つわな。
さっきの食べ物の話で言えば新潟でラーメンを食べたとき、具をこちらに入れてくれる。「夏にはハモを食べにいこう」と言われてうれしくなるし「ハモはあげないけど」と言われても許しちゃう。

そして最後に新潟から大雪で帰れなくなったとき、電話で夫に「娘のために今夜は絶対帰ってこい!お前母親だろ!母親であることが最優先の仕事だろ!」と言われる。それを聞いた同僚が「そんな!100年前かよ!」という。そしたら「男は1000年前から男なんだよ!」という。

うん、塔子の気持ちはよく分かる。やっぱりなんだかんだ言っても「子育てはやっぱり母親が中心、主役。男は手伝うだけ」っていう感覚はあるんだろうなあ。
まあ子育てに専念したいと思っても金銭的に働かざるを得ない人も多いだろうけど。

でも結局は不倫で塔子は鞍田に行ってしまい、しかも鞍田は死んで遺体の荼毘に立ち会っている。娘が迎えにきても帰らない。
このラストは受け入れられなかった。やっぱり最後には家族のもとへ帰った方がいいと思うし。
でもやっぱりそれはしたくない、っていう女の意志もある訳で、気を使ってるつもりで全く相手に気を使ってない男に三行半をつけたくなる気持ちも分かる。でも子供がかわいそうだと思うしね。しかし子供のためだけに我慢も出来ないか。

という感じで何となく現状に不満を持ってる女子の恋愛妄想映画。
女の考え方などが分かって、それはそれで面白かった。

あと予告編で妻夫木が夏帆の足なめをするような激しいセックスシーンがあって、この調子だと妻夫木がケツぐらい出すかも知れないと思って観ていたがそれはなかった。残念。








1917 命をかけた伝令

 
日時 2020年2月14日11:25〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン6
監督 サム・メンデス


1917年、第一次大戦時のフランス。ドイツ軍とイギリス軍は向かい合っていた。スコットフィールド上等兵とブレイク上等兵は将軍から直々に命令を受ける。ブレイク上等兵の兄が所属する連隊が明朝ドイツ軍に総攻撃をかけるが、それはドイツ軍から猛反撃にあい全滅の恐れがあるので中止せよという命令を連隊長のマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)に届けろというものだった。
電話線が切断され伝令を走らせるしか方法がないのだ。ブレイク上等兵は俄然張り切る。二人はイギリス軍の陣地を出て、ドイツ軍が撤退した元敵陣地に入る。上空ではドイツとイギリスの飛行機が撃ち合っている。
果たして二人はマッケンジー大佐の元へたどり着けるか。


「全編ワンカット!」などとあおった上であとで「疑似ワンカット」と言われたこの映画。アカデミー賞も本命視されていたが、結局韓国の「パラサイト」が受賞という意外な結末。

全編ワンカットなのかはつい「ここでつないだ?」と意地悪な見方をしてしまう。でもスコットフィールドが銃撃で気絶して朝を迎えるまでは黒みになってるから確実にここでカットしている。
第一全編ワンカットなら映画の上映時間と実際の時間が同じにならなきゃいけないけど、一晩明けてるもん。

実際にどこでカットを割ったとかつないだとかはあまり重要ではないと思う。
戦場にいる臨場感を描きたかったのだとは思うが、どうなんでしょうねえ。
というのは私はこの映画だめだったのだ。

いやもちろんいい映画だと思うよ。でも私は手持ちカメラで画がぐらぐら揺れると船酔い状態になるので、常にカメラが動くこの映画はだめだった。
観ていて気持ち悪くなるのだよ。これは比喩ではなく、実際に船酔い状態になる。それでもう完全だめ。

「戦場を臨場感を持って疑似体験してもらう」という制作者の意図は分かるし、否定する気はないのだが、私は体質的にだめ。
こういう人ほかにいるかな。

あとカットが長く移動が多いとなにかと大変なので、正直無駄に苦労してる気がする。
もちろん塹壕の作ったり何千というエキストラを配置したりで大変なのは観ていて分かる。でも映画を誉めるのにそこを誉めるのは本質ではない気がする。

内容でよかったのは、普通仲間の方が死んで「お兄さんがいる連隊を助ける」と使命に燃えている方が最後にたどり着くと言うもの。
それが墜落したドイツ機のパイロットを「つい」助けてしまったために殺されてしまうというもの。
ここは映画のセオリーを外していて意外でよかったなあ。

あとやっと大佐の元にたどり着き、最近私が知ってる数少ない俳優のベネディクト・カンバーバッチが出てきたのは驚いた。まあ出演者名を事前によく見てれば分かったんでしょうけど。
そして大佐が命令を了承し「でもどうせ来週には突撃って命令が来るんだ」と言う。
なんか空しかった。

という感じでいい映画だとは思うが、戦場の描写とか今まで見たい映画で(私は)もう見飽きてしまった感じがした。
でもこういう映画を作り続けることは大切なので、意義のない映画だとは思わない。ただ私にはだめだった、というだけの話で。








遊星王子 恐怖の宇宙船


日時 2020年2月23日20:55〜 
場所 新文芸座
監督 若林栄二郎
製作 昭和34年(1959年)


アメリカ帰国予定の科学者が乗った飛行機が消息を絶った。自衛隊機がそのコースを飛行してみると「巨竜だ!」と言い残して遭難した。そうしているうちに真城博士も誘拐された。
誘拐したのは銀星の独裁者、まぼろし大使だ!巨竜とはもちろんまぼろし大使の宇宙船。その宇宙船には真城博士をはじめ誘拐された各国の科学者がいた。まぼろし大使は真城博士たちを使って地球に降伏勧告をさせようとしたが真城博士は拒絶した。
まぼろし大使は遊星王子に邪魔されないように地球に部下を送って遊星王子を探させる。遊星王子の招待は靴磨きのロクさんと解る。
遊星王子に変身する前に攻撃しようとするが失敗。
まぼろし大使は宇宙船で銀星に逃れるが遊星王子も銀星まで追いかける。
銀星では番人の巨人に襲われるがなんなく撃退。
王子もまぼろし大使の本拠地奇岩城に攻め込み、博士たちを救出した。


「遊星王子」の第2弾。というか前後編で2本撮りだったのかも知れない(たぶんそう)。
書き忘れてたけど「遊星王子」は「月光仮面」を制作した宣弘社作品。
本作はその映画版。
「月光仮面」の影響下にあるせいか、「スーパーマン」のように自分で空を飛んだりせず、あくまで小型宇宙船に乗る。
演じるのは梅宮辰夫だが、正直素顔のロクさんの時間は短く、ほとんどが遊星王子になっている。(テレビ版では梅宮ではない)

脚本は2本撮りの割にはテキトー。第1作でまぼろし大使(演じるは岡譲二)は死んだかと思ったら死んでない。別の侵略者がやってきてもよかったと思うが。
第一「独裁者」で「大使」ってどういう位置づけだよ。んで名前が「まぼろし」かよ。なんだそれ?

せっかく出てきた巨人だが、いつの間にかやられている。弱い。
結局奇岩城に遊星王子が侵入して助けるんだけど。

あと一郎君たちに「遊星王子のおじさん」とおじさん呼ばわりである。子供からすると「おじさん」だろうけど、一応「王子」なのになあ。
やっぱり「月光仮面のおじさん」の影響なんだろうか。

出演者では警視庁組では神田隆と山本麟一で、なんだか「警視庁物語」と世界がつながってる!あと自衛隊幹部で増田順司と織本順吉。

帰りにふと思ったのだが、東宝(円谷)はあれだけ特撮SFを撮ったのにヒーローものは「ウルトラマン」まで撮らなかった。しかもやっぱり「怪獣」がベースなので、巨大化する。
しかし東映のSFは「宇宙快速船」といい、等身大ヒーローである。
これはやはり時代劇で「鞍馬天狗」の頃から「一人のヒーローが悪と戦う」というお約束(というか社風)としてあったと考えていいのだろうか?(というか私はそう解釈する)

それが「キャプテンウルトラ」につながり、やがては「仮面ライダー」「戦隊もの」につながっていった気がする。
そう考えるとそういう特撮ヒーロー物の歴史の1本として考えてもいいと思う。

突っ込みどころ満載だけど楽しかった。






遊星王子


日時 2020年2月23日19:40〜 
場所 新文芸座
監督 若林栄二郎
製作 昭和34年(1959年)


真城博士たち一家がテレビでボクシングの中継を観ようとしたとき、突然テレビの電波が乗っ取られ「銀星からきたまぼろし大使」という男から「明日東京へ行く」と放送された。
警視庁の刑事たち(神田隆、山本燐一)が向かうとそこに宇宙船が現れ攻撃してきた。そこへ遊星王子と名乗る青年が現れ、事なきを得た。
遊星王子は真城博士の息子一郎とその親友誠君に「助けが欲しいときはこのダイヤルを回すように」と機械を渡していく。
まぼろし大使は真城博士が開発したロケット燃料が欲しいのだ。この燃料さえあれば地球と銀星は1日半で行くことが出来る。
まぼろし大使が真城博士をねらっているのを知った一郎君たちは家の近くにいたまぼろし大使とその部下に捕まってしまう。
そして遊星王子を呼んで助けてもらった。
真城博士はロケット燃料の実験をする事になった。ところが博士の弟子がまぼろし大使に操られ、燃料の資料を盗みだそうとした。王子の活躍でそれはくい止められたが、いよいよ実験が始まった!はたして?


梅宮達夫追悼特集での上映。東映にはプリントがないらしく、国立映画アーカイブのプリントだ。だから今夜の1回のみの特別上映。

冒頭から銀星のまぼろし大使の宇宙船が登場するのだが、これが「海底軍艦」の轟天号の寸詰まりにしたような可愛いデザイン。
そして遊星王子の乗る小型宇宙船も丸みを帯びたデザインで可愛い。
フィギュアとか出たら欲しくなっちゃうレベルだよな。

特撮の方だが宇宙船の方はとにかく可愛くて笑っちゃうのだが、テスト用ロケットが奥に写っていて手前に人間がいる合成(あるいはグラスワーク?)はなかなかのものだった。

遊星王子が呼ばれてから登場するまで1秒とかからず、「もう少しじらしがあってもいいんじゃない?」とか思うけど、可愛い。
肝心の遊星王子は普段は靴磨きをしていて誠君やもう一人の女の子の面倒を見てる設定。車で学校まで送り迎えされそうなセレブの一郎君とはどう考えても接点がなさそう。不思議だ。

また靴磨きの青年が遊星王子に変身するシーンはないのでたぶんそうだろうとは思うけど、定かではない。
でもラストのロケット実験のシーン、まだ実験段階なのにまぼろし大使が「俺はこれに乗って銀星に帰る!」と言って無理矢理出発して大爆発。
バカかよ!

遊星王子は一郎君に「銀星に行ってまぼろし大使の本拠を攻撃してくる」と手紙をおいて出発しました。

なおこの映画は60分のSP。





AI崩壊


日時 2020年2月23日15:45〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン8
監督 入江悠


近未来。病気を直したり人々の健康を管理するためにAIソフト「のぞみ」は開発された。しかし開発者の桐生(大沢たかお)は自分の妻(松嶋菜々子)を救えなかったことからAI開発に興味を失い、娘とともにシンガポールで暮らしていた。今は妻の弟の西村(賀来賢人)がHOPE社を立ち上げ「のぞみ」を運営してる。
桐生が総理大臣賞の授与が決まり、また千葉に新しいサーバーセンターが完成したのでその落成式に出てほしいといわれ渋々日本に帰国。
しかし突然「のぞみ」が暴走を始め、各病院で停止した。それにより医療現場は大混乱。サイバーテロとして若き管理官桜庭(岩田剛典)は桐生を犯人と断定。桐生は逃亡。警視庁の犯罪対策ソフト「百目」で追跡を始める。
しかし「のぞみ」暴走の余波で桐生の娘・心がサーバールームに閉じこめられた。
警視庁のベテラン刑事合田(三浦友和)は桐生が犯人でない可能性もあり得るとして独自の捜査を開始。
はたして真犯人は?その目的は?


近頃AIが話題である。「AIが仕事を奪う」とか「AIは人間を楽にする」「頭の使い仕事はAIが行って人間は機械では出来ない短銃作業だけを行うようになる」とか近未来の予測は様々。
むしろこの映画で怖いと思うのは「監視カメラ社会」と「自動認証」。
監視カメラ社会は確かプラチナデータでも描かれたが、この警視庁の百目はもう一歩進んで人々のスマホや車のドライブレコーダーのカメラなどネットにつながっているものはすべて進入して情報集めに利用される。
法的には問題がありそうだが、技術的には出来そうなので妙に怖い。

そういった近未来描写はあるけど、「無実の人間が犯人にさせられ逃亡の旅に出て、ラストで真犯人を捕まえる」という話の基本は実に王道。
しかも定年間近の刑事が新しい技術を疑って進んでそれが正解!っていうのもお決まりの展開だ。
まあ王道なんだろうなあ。

で思った通り犯人は岩田剛典のエリート官僚。「この国は生産人工が50%を切って老人ばかり。役に立たない人間は選別する」という発想で「のぞみ」を暴走させたというオチ。
先月観た「カイジ・ファイナルゲーム」も若手エリート官僚が国家の危機を防ぐために暴走する、という点では全く同じ。
しかもキャスティングも福士蒼汰に岩田剛典というイケメンで、さらにビシっとしたスーツに銀縁めがねって発想が同じだなあ。
もうちょっと違っても良さそうだが、それは偶然の一致か。
エリートって勉強ばかりしてきたから逆に服装がダサくてもいいと思うけど。

でも娘がサーバールームに閉じこめられる原因が「落とした写真を探すため」ってちょっと苦しいなあ。そういう愚かなミスはしてほしくないな。

最後はエリート官僚は捕まって主人公の疑いは晴れる。
余貴美子が総理で黒田大輔が「のぞみ」のスタッフとか「シン・ゴジラ」とキャストが被るのが楽しい。







影裏


日時 2020年2月23日11:40〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12
監督 大友啓史


震災が終わってしばらく経った頃、薬品会社の今野(綾野剛)は配送部の西山(筒井真理子)から会社帰りに呼び止められた。「課長死んだんじゃないかと思うけど何か知ってる?」
2009年に埼玉の本社から転勤で盛岡にやってきた今野。独身で盛岡に知り合いもいない今野は孤独な日々を過ごしていた。
その夏、配送部の日浅(松田龍平)と知り合う。距離を近づけてくる日浅を特に拒むでもなく一緒に酒を飲み、釣りに行った。
翌年の冬、突然日浅は会社を辞めた。しばらくは音信がなかったが、突然自宅に訪ねてきた。今互助会の会社で営業をしているという。営業成績はいいらしい。
また一緒に釣りに行ったりする日々が続いたが、ある晩、今野は日浅にキスをする。「おいやめろ」と拒絶する日浅。
しばらくは何事もなさそうな日々が続いたが、キャンプに行った晩、何となく険悪になり泊まらないで帰る今野。
そして震災。西山の話では互助会の会員に何口も入ったし、30万円も貸しているという。もちろん今野もなにも知らない。
日浅の実家に行ってみる今野。そこで父が話してくれた。
「次男とは縁を切りました。彼は東京の大学に行っていると行ってましたが実はその卒業証書は偽造なのです。彼は私に嘘をついていたのです」


ノーチェックだったのだが、「ゲイの話」と聞いて興味がわいて観てきた。原作は芥川賞受賞作だとは見終わってパンフレットを読んでから知った。へー知らんかった。無知の恥をさらす。

ミステリーっぽい話かと思ったら、そうではない。
延々と今野と日浅の交流が続くだけ。正直退屈した。
今野が日浅にキスした後なにか急展開するかと思ったが、そうでもない。

「いつまでだらだらと事件も起きずに二人の日常が続くんだ!」と思っていたら國村隼の父親が登場し事態一変。
彼は大学に行っておらず仕送りと授業料をもらい続けてきたのだから、彼は平気で嘘がつけるタイプの人間だ。
後半、今野や西山に会員の入会をしまくっていたのだから、日浅が「県でトップを取った」という話も嘘だった可能性が高い。

でもこういう「平気で嘘をつける人」っているんだよなあ。
しかも今野はゲイなので、いくら恋心を持っていてもおおっぴらには出来ない。
西山は日浅の会社に電話したとき「どういうご関係ですか?」と聞かれ嘘でも「彼女です!」と言えばそれなりに説得力はある。
その点今野の悩みは誰にも共有されない。

そして中村倫也演じる今野の元彼も登場。今は手術したらしい。
「盛岡に行くときいろいろ捨ててきた」と言われてるから、今野と元彼もきっと手術するしないで喧嘩して疲労していたのかも知れない。
そんな時に転勤の話がきて(あるいは今野が希望したのか)これ幸いと乗ったのかも知れない。

そしてラストシーン。
川で日浅の幻影に浸っているとき、美青年が「今度両親に会ってね」と言われ今野も了解する。
そうか、新しい彼も出来て今度はちゃんと相手の両親に認めてもらえそうなんだね。幸せみたいでよかったね。
そんなバックグランドを「今度両親に会ってね」の一言で説明させるせりふが素晴らしい。

松田龍平があまり好きではないのでそれほど気持ちが入らなかったが、中村倫也とか最後の新しい彼氏とかは好感が持てたので、非常に個人的な感情が入っているけど、(ラストは特に)よかったと思う。
観てよかった。







御用牙 かみそり半蔵地獄責め


日時 2020年2月22日21:00〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 増村保造
製作 昭和48年(1973年)


夜の江戸。半蔵(勝新太郎)は怪しい奴を捕まえようと追いかけたが勘定奉行の一行とぶつかってしまい、喧嘩になる。とりあえず勘定奉行(小松方正)は許したが、十内(黒沢年男)という剣客と出会う。
その怪しい奴は死体から着物を盗んだのだが、死んだ娘は子を卸すことで死んだらしい。近くの寺で子おろしが行われてるとにらみ、死んだ娘の両親からよく通っていた尼寺が怪しいとにらむ。
尼寺に潜入した半蔵は、そこで住職が若い娘を金持ちの商人に売って遊ばせていると知る。そこへ踏み込んだ半蔵だが、勘定奉行その人も女のもてあそばれる姿を見て楽しんでいたと知る。
そんな時、金を狙う庄兵衛(佐藤慶)という大泥棒を捕まえることを命じられる。


シリーズ2作目。2作目になるとこっちもどんな映画か解ってきて観るポイントをつかめてくるから観やすい。

半蔵の下半身鍛え(風呂から上がって冷やしてぶっ叩く)のシーンもあり(これライブラリーなのかも?)、毎度毎度である。
さらに捕まえた尼寺の住職に黒幕を吐かせるため、網でつるし半蔵が床に寝てイチモツをアソコにいれて感じさせて「やめるか?」「いうからやめないで〜」と言わせるという爆笑もののシーンあり。

これ今のピンク映画にも転用できないか?女を犯して吐かせる刑事とかさ。

最後には半蔵の活躍で御用となる庄兵衛。小判関係の事件だから勘定奉行からもお褒めの言葉をいただき、「欲しいものを褒美としてとらせよう」と言われ、「ならば勘定奉行の首が欲しい」という。
こういうスパッとした勧善懲悪いいですねえ。

結局勘定奉行はお縄となる。
そして最後の最後に浪人となってしまった十内との対決。まあ「椿三十郎」の三船と仲代ですね。
そこまでの迫力のある殺陣ではなく、普通なんだけどそれでもやっぱりこいう展開は面白い。

勘定奉行のナンバー2で岸田森が出演なのだが、最初の方に出ただけで後半は出番がなくなり、ファンとしては残念。

今日は「不良番長」と「御用牙」という70年代前半のエロとバイオレンスの映画を見たわけだが、改めてこの時代は東宝(勝プロ製作だが配給は東宝。監督スタッフなどは旧大映メンバー)も東映もそれ一色立ったんだなあと改めて実感。
でも私は「不良番長」よりこっちの「御用牙」の方が好きだな。
「不良番長」ってどこか下ネタで汚いもんなあ。





スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼


日時 2020年2月22日14:10〜 
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン5
監督 中田秀夫


富田誠(田中圭)と麻美(北川景子)の結婚式に恋人の美乃里(白石麻衣)と出席した刑事の加賀谷(千葉雄大)。加賀谷は去年誠と麻美が殺人鬼浦野(成田凌)にねらわれた時に助けた縁だった。その帰り道、結婚になかなか踏み切ってくれない加賀谷に美乃里は愛想を尽かした。
しかしその美乃里をつけねらう人物がいて、彼女のスマホはハッキングされた。
その頃、警視庁公安部の事件記録に侵入者があったり、仮想通貨が盗まれたりのサイバー犯罪が起こっていた。そしてまた山の中で遺体が発見された。浦野が埋めた付近なので浦野の余罪と思われたが、被害者の特徴から浦野の犯行ではない可能性もあった。
浦野は黙秘を続けているが、加賀谷になら話すという。ネット環境を整えてくれることを条件に浦野は事件への協力を約束した。
浦野は今回の死体は自分にネット犯罪のすべてを教えてくれたMの反抗だという。そもそも浦野の死体の隠し場所はMが教えてくれたのだ。
加賀谷が以前勤めていたIT会社の社長の笹岡は加賀谷に復帰の願うが、加賀谷は断った。
麻美のスマホがハッキングされていることは加賀谷たちにも解ったが、警察上層部の判断は麻美をおとりに使うことだった。
果たして今回の事件の犯人は?


一昨年の秋に公開された「スマホを落としただけなのに」の続編。
前回は準主演だった千葉雄大の加賀谷が浦野との対決する。
浦野のキャラクターってどうみても「羊たちの沈黙」のレクター博士の影響にあるのだが、それを差し引いてもおもしろかった。

途中でM(井浦新)の顔が判明し、でもこのままでいくのかな、と思ったら最後に逆転。なんか怪しいと思っていたIT会社の社長が犯人だった。
そもそも加賀谷って元IT会社の社員という設定あったけ?と思ったが、今回は大活躍。

それにしても犯人は解ったが、起こっていた事件、公安部の侵入、仮想通貨の盗難、麻美のハッキング、神奈川県警のHP乗っ取りがそれぞれ別々の事件、というか犯人がいたというのは面白かった。見終わった後、少し考えたけど。

でも犯人の動機の根本にあったのが加賀谷への恋心だとはいじらしい。
そうだよなあ、千葉雄大みたいなのが周りにいたら、恋してもおかしくない。絶対応えてもらえないのが悲しい、切ない。
だから映画を見終わって実に切ない気分になった。

あと昨年お盆芸で人気を得たアキラ100%が浦野に服を奪われる警官役でゲスト。パンツ1枚になっていて隣にお盆があるからそれを手にとって股間を隠す、というギャグをやるかと思ったがやらなかったな。
一応隠すカットと隠さないカットで2つ撮って編集で選んだのかも知れない。

千葉雄大と成田凌にとっても代表作になったと思う。
細かいところを確認するためにもう一度観てもいいな。





不良番長 突撃一番


日時 2020年2月22日11:25〜 
場所 新文芸座
監督 野田幸男
製作 昭和47年(1972年)


神坂弘(梅宮辰夫)以下のカポネ団はブルーフィルムで一旗揚げようとし四国高松へとやってきた。地元のやくざともめたところを昔仲間の柏木(渡瀬恒彦)に助けてもらう。今はカタギになって桃太郎という店で板前をしている。弘の仲間の石松はすでに桃太郎の主人(佐山俊二)と顔なじみだったが、借金を残して自殺してた。「あいつは自殺するタマじゃない」と思ったらやっぱり生きていた。
地元のやくざがモデルガンの改造を行ってると知り、それを奪うべく地下道を掘って襲う。
しかし抗争は激化し、カポネ団の一人(地井武男)が殺されてしまう。
また桃太郎の店も借金のカタ奪おうとしている。カポネ団とついに対決が始まった!


こんな感じ。シリーズ13作。
全編高松ロケでタイアップ丸出し。予算は少なかったというが展開も早くシーン数も多いので貧乏さは感じない。トップ級のスターが出てないからかなあ。

それにしても高松がブルーフィルムが盛んとは知らなかった。もちろん映画内の嘘かも知れんけど。
8mmと16mmカメラを2台で撮ってる様は今村昌平の映画を思い出した。
地元の民話に乗っ取って桃太郎に扮してシーンがあるが、鬼が地元のかごかきの人で「じゃ会社に呼ばれましたんで」と帰るシーンが可笑しい。
あとみんなで大騒ぎしてブルーフィルムを観るシーンがあるが、スマホで誰でもポルノを観れる今となっては隔世の感がある。

この映画で一番笑った(というか呆れた)シーンは穴を掘って敵の地下室に行くシーン。二つの穴を掘っていくのだが下のチームが「のどが渇いた」というと上のチームが「しょんべんしてえ」としょんべんをする。それを下のチームがそれとは知らずに飲んだり(!)、上のチームが「温泉が出たぞ!」と大騒ぎするとそこは女湯の湯船に穴を開けてしまった!っていう感じ。
笑った。いまこういうの無理かね?
おしっことかはちょっといやかなあ。

それにしてもラストの敵への突撃で料亭でお祝いの事をしてるところへ殴り込む。これがバイクやジープで走り回るのだな。
もちろん東映のセットでやってるんだろうけど、それにしてもバイクやジープで料亭内を暴れ回るようなシーンはスターが出る映画でも観たことない。

観た人は「ストーリー忘れた」とかいうけど、出演者は敵も味方も同じような人で話の展開も早く覚えきれない。
あと1、2本観ればいいかなって感じでした。





不良番長 一網打尽


日時 2020年2月22日9:45〜 
場所 新文芸座
監督 野田幸男
製作 昭和47年(1972年)


新宿でクスリを売って荒らし回る大東共友会を苦々しく思ってる神坂弘(梅宮辰夫)は路上でチンピラにいんねんを付け喧嘩になる。その時に弟分が殺されてしまう。逃げ切らないとなった弘は警察に駆け込み自首して逮捕され共友会から逃れた。
ムショで2年経ち釈放。その時に一緒に釈放されたのが力石(藤竜也)だった。釈放された直後に狙撃される弘。どうやら本当は力石をねらったようだ。弟分の恨みもある共友会の幹部、三木の女(真理アンヌ)に近づき、彼らのやってる賭場に進入。そして売り上げをかっさらった弘だが共友会に追われる。その時にチンピラの一団が助けてくれた。
彼らと組んで共友会に立ち向かう。


新文芸座での梅宮辰夫追悼特集での上映。ひし美ゆり子さんが出演と聞いて予定を変更して鑑賞。(ほんとはとしまえんで「スマホ2」「1917」「AI崩壊」の3本を観るつもりだった)

不良番長シリーズ15作目(全16作)
あらすじを書いたけどまだ序の口。3分の1にもなってないくらい。
安岡力也、谷岡ヤスジらのチンピラがカポネ団という訳でこれから共友会に喧嘩を売っていく。まずは金だということで共友会の横流し商品を盗みだし、共友会のキャバレーに行ってたまたま(!)火事になり、金庫を盗もうとするが、同じく泥棒(山城新伍)も仲間に加わる。
そこへ共友会のトルコ風呂で痛めつけられたトルコ嬢・ヨーコ(ひし美ゆり子)が助けを求めてやってくる。

この時のひし美さんだが、ファンとしては観てられない。
まず彼らの前に現れたとき、全裸に赤いコートで「あたしを抱いていいから助けて」とコートを全開にして裸身をさらす(もちろん股間は黒い四角あり)。さらに山城新伍が最初にやるのだが、「あかん、この女ガバガバやで。おまけにスースーしよる」。
「トルコで1日に6〜7人客を取らされ逃げようとしたらアソコに蛇をいれられ軟膏を塗られた」。悲しくなる。
さらにヨーコ自身も「タンタンたぬきのキンタマは〜」という下ネタの歌を歌う。もういたたまれないよ。

そんな感じで下ネタとナンセンスギャグの連発。
そんな中、一人渋い藤竜也なのだが、あまり活躍の場がなく、最後の決戦の前の戦いで死んでしまう。
うーん、日活アクションにおける宍戸錠的なものを期待したが、ちょっとはずされた。

それでもラストはダイナマイトをつかってばっかんばっかんの大爆発の連続で、悪役の室田日出男も八名信夫も内田朝雄も爆死でそれだけでなく、安岡力也たちのカポネ団も死ぬ。
梅宮辰夫と山城新伍だけが生き残り、「終」。

でも「終」の文字が左右から出てきて「次回は九州に行きます」「(客席に)あんた一人か?こっちはアベックやで、あんた学割やろ」というマンガアニメみたいな感じ。

低予算というけど、セットの数は多いしそれなりに金はかけてるよな。
でも調べて観たら2400万円という当時の東映では最低ランクだったとか。






ファンシー


日時 2020年2月21日19:25〜 
場所 テアトル新宿
監督 廣田正興


ある温泉町の郵便配達人、鷹巣明(永瀬正敏)は昼は郵便配達、夜は刺青の掘り師をしていた。今夜もやくざものの背中に墨を入れる。
彼は町外れに住むペンギンという名の詩人(窪田正孝)と仲がよかった。
ペンギンは部屋に冷房をかけ、文字通りペンギンのような生活をしていた。ペンギンは送られてくるファンレターに目を通し、時に読者と文通していた。そんな中で「月夜の星」という名前で手紙を送ってくる女の子が「先生と結婚して一生先生のお世話をしたい」と言ってきた。
その女はやってきて追い返すことも出来ずに一緒に生活を始める。ある日、詩の雑誌の編集部から懇親会の手紙が来る。外に出ることが苦手なペンギンに変わって月夜の星がいくことになったが、付き添いとして鷹巣も一緒に行く。東京の懇親会の席で、月夜の星は飲み過ぎて荒れ、二人はホテルに入る。


窪田正孝出演の映画と言うことで観に行った。最近はテレビドラマの方が多く、映画ではご無沙汰だった気がする。
内容が変わった感じだったし、Twitterなどで私の周りでは見た人の話を聞かないので、スルーしようかと迷ったが、結局鑑賞。

結論から言うと見逃さないでよかったと思う。ただし今年のベストテンに入れたくなるようなものでもなかったけど。
役者がよいのでそれだけでも見ていて気分がいいのだな。

まず主役の永瀬正敏。ずっと郵便配達人の制服のままネクタイをゆるめた姿は実にかっこいい。ああいうのにあこがれるんだよなあ、私は。
そして窪田正孝。
今回は性的に不能な詩人、という役柄だが、単なるイケメンではない独特の雰囲気を持ち、見ていて心地よい。

そしてストーリーには書かなかったけど、鷹巣の勤める郵便局の局長の田口トモロヲ。これが昼間は郵便局で夜は射的場をしながら女性の斡旋をしている。そんな奴はいないというつっこみはなしにしよう。
鷹巣の同僚で自分の妻を局長の商売の女にされたと喧嘩を売る吉岡睦雄。
吉岡さんもひさびさにいい役である。

あとは鷹巣の後輩でやくざの跡目を継ぎ、そしてホテルの社長もしている長谷川朝晴。「無理矢理やくざの跡目を継がされいいことなんかない」と常にグチを言っている。

そんなこんなでおかしな人々がいっぱいでその点は面白いのだが、映画全体は話は分かるのだが、だからかといって監督の思いがどうにも伝わってこない、言い換えれば何がしたいのかさっぱりわからない映画だった。

これでは興行的にきついわなあ。2月7日からの上映で3週目に入った金曜日の夜の回だが観客は20名ぐらい。これでは地方公開はしんどそうだ。
役者がいいので、それだけで見ていて心地よかった。








ピンクゾーン3 ダッチワイフ慕情


日時 2020年2月19日20:39〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 国沢実
製作 OP PICTUERS


看護師のさくら(佐倉絆)が新しい勤務先の病院に向かう途中で傷ついた戦士に出会う。彼を病院に連れて行くさくら。彼の名はカルロス(折笠慎也)。彼らはアンドロイドで女性とセックスするために作られたのだ。
病院のオカベ先生はダッチワイフであるカルロスたちの設計者であった。
カルロスと心を通わせるさくら。
しかし実はさくらもアンドロイドだったのだ!
地球は今宇宙人の攻撃に合っていた。彼らと戦えるのはアンドロイドだけ。それで本来はセックス用に開発されたアンドロイドが戦っていたのだ。そしてカルロスとさくらはお互いの心の交流でもっと強くなり、宇宙人の宇宙船を巨大になって叩き潰すのだった。


こんな感じの話。
「女性向けのダッチワイフ」ってそれダッチボーイとか言わないか?
カルロスたち(ほかにも治療中のアンドロイドは複数いる。橘秀樹とか)が「女性向けダッチワイフ」と言われるたびに気になった。

それはいいとして、なんとなくさくらがアンドロイドなのは解る。アンドロイドが心を持つようになる、という展開もアンドロイドものとしては定番の展開。
嘘はない。

でも基本的に佐倉絆ってあんまり興味がない女優さんだから、私としては盛り上がらない。(今好きなピンク女優は川上奈々美)
ほとんどが病院内で話は展開し、SF的な謎を秘めた展開でかつてのB級SFのテイストは十分で王道の展開だったと思う。そこはかえって捻ってなくてよかった。

あと橘秀樹さんの胸にはあざのような部分があると知った。前からそうじゃないかと思ってたけど。

佐倉絆もまもなく引退なのか。ここ数年のオークラを代表する女優さんだったことは確かですね。なんだかんだ言ってもちょくちょく観てるぐらい本数は多かったし。




ノーパン!欲情処理課の女


日時 2020年2月19日19:36〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 池島ゆたか
製作 新東宝


社長の城島は今日も社長室で秘書の恵とお楽しみ。城島は妻の幸江から今夜は外で食事したいと言われて食事。さては秘書との関係がばれたか!と焦ったが、特に何もなし。
恵の同僚の弘司は宴会の帰りに酔った勢いで恵がやらせてくれたのだが、それから弘司は恵に夢中で結婚を申し込む。しかしお金にならないセックスには彼女は興味はない。
翌朝、幸江は「昨日は言えなかったから」と城島に手紙を渡す。今日の昼に食事をするときまでに読んでおいて欲しいという。
その頃、会社に「私のパパの社長に会わせろ」と美樹という若い女がやってきた。追い出させる美樹だが、なんとか会社に侵入。
社長室では弘司と恵はお楽しみの最中。しかし幸江や社長が部屋にやってくる。設置中のテレビの箱に隠れていったんは外にでた弘司と美樹だったが、美樹はやっぱり戻ってくる。
実は美樹は幸江が結婚前に生んだ娘だったのだ。


切通理作さんの新作「ピンクゾーン3」を、観に来ての同時上映。

会社に若い女が現れて、妻がなかなか言い出せないということで、美樹が妻の城島が知らない子供だろと思ったが、やっぱりそうだった。
幸江が書いた手紙をゴミ箱に落として気づかないとかいろいろ引っ張るがそれほどのオチではなかった。

それでも全体的には明るいコメディ感覚の映画で、それは楽しめました。
あと美樹と弘司が会社を脱出するために大きな段ボール箱が欲しくて、無理矢理テレビの設置をさせるのはちょっと苦しい。
テレビの設置も伏線があるとかしないと唐突すぎるし、もう一工夫欲しかった気がする。





バイバイ、ヴァンプ!


日時 2020年2月16日11:40〜 
場所 ユナイテッドシネマ・アクアシティお台場・スクリーン3
監督 植田 尚


京平(寺坂頼我)は同じクラスの美貴(工藤美桜)が好きなのだが、なかなか言い出せない。今日もクラスメートの吾郎(とまん)相手に告白とキスの練習。
次の日、吾郎はセーラー服姿で登校してきた。完全に女になりきっているのだ。またクラスに大牙(高野海琉)と夜弥(マーシュ彩)というハーフっぽい容貌のイケメン兄妹(双子)がルーマニアからやってきた。
そのころ、京平の住む茨城県境町では同性愛者が続出していた。噂では吸血鬼がやってきて咬まれると同性愛者になってしまうという。
京平も最近やたらとのどが渇いたり、赤い色の飲み物がやたらと欲しくなる体の異変を感じていた。
京平とその友人は「同性愛者なら銭湯にいけば解るかも?」と近所のスーパー銭湯に行くが解らなかった。
京平は大牙たちが吸血鬼ではないかと疑う。本人に問いただすとあっさり認めた。
そして自分の父親(川平慈英)の死について何か知ってるようなことを言う。
おじさん(渡辺裕之)に確認する京平。それは驚愕の事実だった!


同性愛者に対し差別的な表現がある!とツイッターで話題のアイドル映画。上映中止の署名運動が起こっている。
上映中止になってからでは遅いと他の映画を見に行く予定を変更してお台場までやってきた。ここは以前は東宝系の映画館だったが、今はユナイテッドシネマ。昨日の舞台挨拶は満席だったらしいが、今日もキャパ320席のシアターだが、客は20名に満たない。
私は知らないが寺坂頼我というのが「祭nine」というグループのメンバーだそうだ。知らんけど。
こういう安易な映画を作ってイベント上映してDVD化してファンに売ろうというビジネスモデルは存在する。

ただし今回はさすがに安易すぎた。
こういう安易な映画ではホラーとかコメディがお好きである。「シグナル100」もそんな路線だが、あれは橋本環奈が出てるだけあって、最低限映画にはなっていた。

まずヴァンパイアネタが安易。もうやめてほしいな。
そしてヴァンパイアに噛まれた人間がゾンビ化して人間を襲う、っていうのはよくあるけど、それを「噛まれたらホモになって友達を襲うって面白くね?」っていう安易な発想で脚本を作った映画。
もうやめろ、バカが映画を作るとこうなる。
50年前の映画ならともかく、2020年になってもこのレベルとは恐れ入る。でも案外、これが今の日本のLGBTに対する意識を表しているのだろう。

まず「同性愛=女装」と思ってるようだ。ここが安易。また同性愛になるとまずは手近な同性とキスを始める。おかげで教室の中は男子生徒も女性とも抱き合ってキスしてる始末。
そして女子同士がキスをしてるのを見て男子生徒が「レズはいいよな」という。
発想がおっさん過ぎるよ。

また「ホモの吸血鬼を探すためにスーパー銭湯に行こう!」と言って主人公たちはスーパー銭湯へ。そりゃまあハッテン場の銭湯もあるだろうけどさ。撮影に使われた銭湯はよく許したなあ。

そこで体育教師役のゴリが(別に吸血鬼に噛まれたわけでもないのに)男子生徒の恋人といちゃいちゃしてる。
もう「毛深いたくましい男がホモだったら笑えるよね」という安易すぎる発想。ゴリは以前もセーラー服を着て女装ネタで笑いを取っていたが、こういうのはホント腹が立つ。


んでおじさんも実は吸血鬼。吸血鬼というのは永遠の命なので、子供を作る必要がない。だから同性愛になったという。よくわからない理屈。
主人公の秘密だが、主人公の父も吸血鬼だったが、女性を愛し(吸血鬼の世界では異性愛は「ド変態!」とされる)、そして日本で人間の女性と結婚し、主人公が生まれたというだ。
主人公の妹というのも実は妹ではなく、監視役でついていただけだという。
吸血鬼は年を取らないなら、妹は小さい頃はどうなってたんだ?と疑問がわくが説明はない。

そして例の転校生が吸血鬼かと疑って問いただすと認める。
あのなあ、シナリオの常識から言うと、「主人公が最初に疑ったのは犯人ではない」の原則からすると、ここは違わなければいけないのだ。
脚本が下手。

んで妹やおじさんは何十年も血を吸ってないから半ば人間化してるのだが、結局妹は吸血鬼に襲われてレズと化す。そして「お兄ちゃんごめん」といいながら美貴にキスしてしまう。
単なる同性愛ではなく、性欲の固まりの同性愛でブレーキがないんだな。
普通の同性愛だって性欲のブレーキはあるよ。

そしておじさんたちの仲間に元吸血鬼がいるのだが、そこへ「キリストの祖先」という男の子が登場する。(この男の子が偉そう)キリストは死なずに日本の青森に逃れてきた、という伝説を使っている。
そのキリストの子孫の力で吸血鬼の兄妹は異性愛に戻り、妹は兄への愛を告白する。映画の中で「今度は近親相姦かよ」というせりふがあったが、この吸血鬼兄妹は「実は兄妹ではない」というせりふがなかったけ?

低予算でホラーコメディまでは許そう。普通のゾンビではメイクに手間がかかるし、「ホモになれば楽!しかもみんな怖がるし」という安易すぎる発想。
結局、作ってる人々には「同性愛を差別しよう」「攻撃しよう」という意図はないと思う。
そこは「○○人死ね!」のヘイトスピーチとはちょっと違う。
そういうヘイトスピーチの人々は攻撃する意図を持って更新したり、デモをしたりしている。

ところがこの映画の制作者は「ホモはきもい、笑い物にするべきもの」という考えが当たり前すぎて疑問すらわかってない。
「his」の中で主人公が会社の飲み会でゲイをからかわれてうそをつかざるを得ない、というシーンがあったが、あれと同じである。
同性愛者をからかってるバカにしてる自覚すらない。

こういう人間が現在の日本にもまだまだいるという事実が分かる。
同性婚とか言って権利が認めつつあるような認識をしてるゲイがいるかも知れないが、実体はまだまだである。

あとね、基本これ男性アイドルファンの女の子向けでしょ。
笑いも下ネタが多すぎるよ。
とにかくバカが映画作るとこうなるという見本みたいな映画。
悪い映画の見本として長く語り継がれるべきだ。

ちなみに上映停止を求める署名が起こってるが、私は反対。
自分の意見と違う内容だから上映停止では「靖国」「コーヴ」「ハレンチ君主 いんびな生活」「主戦場」と同じだからだ。
上映停止運動が起こるのは「こういう意見もある」と提言するためには無意味とは思わないけど。
ただし制作者はなにも考えてないから、何で抗議されてるか理解できないだろうけど。






御用牙


日時 2020年2月14日21:00〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 三隅研次
製作 昭和47年(1972年)


江戸北町奉行所の板見半蔵(勝新太郎)は毎年恒例の奉行所の与力や同心が署名する「賄賂などは受け取りません」という誓いに署名を拒否する。
「事実上もらってるも同然じゃねえか!」というのが彼の言い分。
さしずめ筆頭与力(西村晃)に何かないかと子分に尾行させる。
そんな時、去年八丈島に島流しになった竿兵衛(田村高広)が江戸にいるという噂を聞きつける。さらに竿兵衛の女(朝丘雪路)が筆頭与力の女になっているではないか?
一体どういうことだ?半蔵は調べ始めるが。


勝新太郎の「御用牙」というのはタイトルだけは聞いたことのある映画。今週からそのシリーズ3本をレイトで上映。
早速鑑賞した次第。

73年の映画だが、勝プロ製作、東宝配給だが、このころはエロ路線まっしぐらなんだなあ。
大映倒産、角川映画誕生前、という一番映画界が方向性を見失っていた時だが、エロ時代劇である。

半蔵はイチモツが巨大で、ふんどし姿でのくっきりと解る。こっちが見てるわけではなく、意図的に写しているのだ。
さらに風呂上がりに水で冷やして、ぶったたいてそれを鍛えるという(金冷法とか言ったかな?)を実践している。今じゃ聞かなくなったけど、そういえばこのころは風呂上がりに水であそこを冷やして鍛える、とか聞いたなあ。

それだけでなくゲスト出演のチャンバラトリオのメンバーに「あそこに真珠が入っている」と言わせている。
そんで朝丘雪路などを尋問するときにそのイチモツで責め立てて朝丘雪路に「ああ、いい。お願いだからやめないで。なんでも言うから」と言わせて白状させるという展開。
もうなんでもありだね。

そしてこの件には大奥からの指示があったと解る。大奥に出入りする弦白(杉田弦白ではない)(嵯峨善兵)が絡んでいる。その娘(渥美マリ)が大奥の誰それに気に入られていて、でも乳くりあってるわけではない、という。

結局渥美マリを捕まえて、網に入れて天井からぶら下げる。そして半蔵は横になってそそり立ったイチモツを渥美に挿入し、その網を回して「ああいい!」と言わせるという展開。
もうコメディだよ。エロコメだよ。

結局は大奥の誰それが渥美マリの体に白い入れ墨を入れて(風呂にはいると浮き出る)町の役者に恋文を送っていた、という結末。
結局それ以上はつっこまず事件は終わる。
途中で竿兵衛と半蔵の対決があるが竿兵衛はあっさり負けたな。

そして後映画が10分足りないからなのか、半蔵が夜泣きそばを食べていたら10歳ぐらいの女の子が「酒をくれ」と飲んでいく。
不思議に思った半蔵はその子の家に行ってみると父親が病気で一月と持たないが、苦しんでいる。娘はいっそ殺してしまうとするが親殺しは罪が重い。
それで「お前たち、外へでてろ」と半蔵が父親の首に縄をかけ、天井から吊す。
「自殺したんだ」と言ってとりあえず終わらせる、というエピソードが唐突に付け加えられる。

それにしてもふんどし姿の勝新太郎はものすごい色気がある。
なんだろうねえ。やっぱり華がある、って言うことなのかな。





性の劇薬


日時 2020年2月14日17:45〜 
場所 池袋シネマロサ2(地下)
監督 城定秀夫


桂木誠(渡邊将)は気がついたらある窓のない部屋に監禁されていた。裸でベッドに縛られた状態で、だ。
そこへ男がやってきて、自分の乳首や肛門を性的に攻める。誠は今まで感じたことのない快楽に身をもだえさせていく。
男、余田龍二(北代高士)は救急救命医として事故に遭ったものを助ける外科医だった。
誠はサラリーマンとして会社で献身的に働いていた。ある日「臨時ボーナスが出たから」と両親に沖縄旅行をプレゼント。両親が帰郷する晩、羽田に迎えに行く約束をしていたが、すっかり忘れ彼女とホテルにいた。
両親はタクシーで帰るが、交通事故で二人とも即死してしまう。
誠は自責の念にかられ会社も無断欠勤し酒浸りの日々に。
龍二には同じ医者の恋人(渡邊将・二役)がいた。だが彼は終末医療の担当で、日々死と向き合い、無力さにさいなまれ自殺する。
そんな時、その恋人によく似た誠がビルから飛び降りようとしているのを見かける。誠を助け性の快楽によって生きることを覚えさせようとする。


昨年、「城定秀夫がR18の過激なBL映画を撮る!」というニュースが飛び込んできて期待していた映画。原作はそのニュースをネットで見た帰りに買った覚えがある。(結局は途中までしか読んでないが)

昨日14日が初日で今日は2日目。昨日も今日も満席だそうで、まずはヒットはめでたい。予想通り女性客が多い(男性客も2割ぐらいいた印象。実際私の隣は男性だったし。城定ファンか?)。

んで肝心の映画だが、微妙だなあ。
こういったBL映画は基本支持したいのだが、今回はどうもイマイチである。
原因はいくつか考えられる。制作者側の問題というより受け手(私)が原因なこともあるが。

1、出演者二人がタイプではない。
昨年の「最短距離は回りくどくて、」は主演の向理来に好感を持ったので、演技は別にうまいとは思わなかったが、観ているだけで楽しくなれた。でも今回は年齢的な問題(二人とも30歳前後)もあるのか、どうにも華がないというか、タイプでないのか、まるで二人に魅力を感じない。
だからスクリーンを観ていても心が反応しない。
乗れない。

2、自殺とか嫌い。
自殺する話とかだめなんですよ、私。自殺には嫌悪感があるから。自殺する人の話を肯定的に観れないんだよね。だから「自殺しようとする」とか「恋人が自殺した」とかそれだけで暗い、というか話に乗れないんですよね。

3、最後に主人公が結ばれる。
桂木の方はゲイではなかったわけだけど、それでアナルとか開発されて感じるようになって龍二と最後にセックスするわけだけど、ノンケが開発されてゲイになるとか安易だなあ。
パンフの解説で柳下さんが「ノンケがゲイになるとかないけどファンタジーだからよい」と書いている。確かにゴジラは絶対に存在しないから、そういう言い方もあるけど、「ノンケ→ゲイ」ってなんかご都合主義すぎるよ。

今日はなんだか妙に疲れていたので、映画に集中しきれなかったのも事実だけど、それでも「目が覚めるような面白さ」はなかったもの事実。
もう1回観たら意見が変わるかも。






前田建設ファンタジー営業部


日時 2020年2月15日12:05〜 
場所 新宿バルト9・スクリーン2
監督 英 勉


前田建設はかつては「ダムの前田」と言われるぐらい大型建築を得意としていた。だが最近はコストダウンばかりに目が向けられがち。
広報グループのリーダー、アサダ(小木博明)はどこかに新しい市場はないかと考え、「アニメ世界に出てくる建造物を実際に作ったら見積もりはどうなるか」をWEBコンテンツの柱にしようと考える。
まず選んだのがアニメ「マジンガーZ」に出てくるマジンガーZの格納庫。格納庫なら前田建設の範疇だ。
熱く語るアサダに若手のドイ(高杉真宙)やエモト(岸井ゆきの)は全く乗り気でない。しかも他部署からは「我が社のノウハウが漏れる」と横槍が入る。
ドイもエモトもアニメを見させられても嘲笑したしない。
まずは穴を掘る部分の見積もりから始める。土質担当のヤマダの熱意に最初はついていけないエモトだが、穴掘りの現場を見て気が変わる。
そして今度は格納庫の扉だ。アニメでは汚水処理場の水プールが開いてマジンガーがリフトアップする。水の重さは300トンになると推定され、水漏れの心配もある。
ダムの水門を手がけたフワ(六角精児)に巻き込まれ、彼も熱意を持って当たっていく!


高杉真宙主演映画。池袋に行ったとき、ポスターを見てこの映画を知った次第。1月31日公開で3週目だがバルト9はほぼ満席である。

ああこれは「黒部の太陽」や「富士山頂」に連なる土木映画だなあ、と思う。しかし決定的に違うのは「黒部」「富士」は現実の建設だが、これは架空である。
映画の中でも「今はコストダウンばかりに目を向けられるようになった」的なせりふがあるけど、ホントそうだよなあ。

そういう意味では「物を作る楽しさ」「困難を乗り越える楽しさ」を映画にした感じでとてもおもしろい。
仕事ってつらいことも多いけど、やっぱり困難な課題を解決できたときの達成感は楽しいんだよね。だからみんながんばるんだよ。
ただしそれは報酬が伴うとか、ある程度手が届きそうな課題でなければならないけど。

出演は岸井ゆきのの女子社員がいい。
はじめは全く興味がなかったけど、土質のヤマダさんの熱意を補だ差れっるとはいいねえ。日本の仕事人間にとって女神のような存在です。
その親しみのある笑顔がいい。「愛がなんだ」で注目を集めたが、これからの有望株ですよ、彼女は。

高杉真宙はサラリーマン役は初めてかと思うが、彼も今後が期待される。
とりあえずヒットしてるようだし、今後口コミでのロングランを期待したい。
「マジンガーZ」とかおじさんたちにも受ける要素大だからね。






ヲタクに恋は難しい


日時 2020年2月8日16:15〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン8
監督 福田雄一


アニヲタであることが恋人にばれてそれがきっかけでフラれて会社にも居づらくなって転職した桃瀬成海(高畑充希)は新しい会社で幼なじみの二藤宏高(山崎賢人)と再会した。実は宏高は極度のゲームヲタク。自分のことはアニメ好きと知っているが「くれぐれも会社には内緒にしてくれ」と頼み込む。そんな宏高から飲みに誘われ、家にも行った。家に行ってもゲームをする。
会社のハワイで商品撮影をするプロジェクトに参加することになったが、そのリーダーの樺倉(斎藤工)は厳しい。
BLマンガを描いてその同人誌をコミケでも売る成海だが、締め切り追われたところを宏高は手伝ってくれた。
ところが最近宏高の姿が見えない。会社も1週間有休を取っているという。
しばらくして会ってみたら宏高の部屋はアニメグッズであふれ、声優アイドルのイベントに行っている。なにがあったんだ?


「銀魂」などのヒット作で知られる福田雄一監督の新作。
正直「銀魂」でその世界観についていけず「たぶんもう見ないな」と思った福田監督だが、山崎賢人の主演となれば見に行かないわけには行かない。

映画を見ていて違和感を感じたのが、ゲーヲタの宏高がずいぶんグイグイと迫ってくることである。いくら幼なじみで子供の頃から一緒にゲームをしたと行っても自分の部屋にささっと呼ぶし、部屋もずいぶんきれいである。ゲーヲタってあまりものであふれるということはないのかな?
俺の周りのヲタクは収集に結びつくからものであふれるんだけど。

そして映画の途中で宏高は姿を消す。
ここが不満だったが、考えてみたらこの話は成海の視線で語られているのだ。ヲタクって男のイメージが強かったが、確かに女性にもヲタクはいるなあ。ジャニヲタとかそうだし。

だから宏高の心情などほとんど語られることはないのである。
「俺も男だから女の子とキスしたいと思うこともある」という趣旨のせりふがあるが、ゲームにはどんどん進めるのに実際の女の子には「行けない」のが多いイメージだからなあ。(実際私の周りのゴジラヲタは彼女なんかいなさそうな奴ばっかりである)

その辺が普通の少女コミックの映画化作品と同じく、「居心地のいい男子にぐいぐい迫られたい」という「女子の妄想」マンガなのだなあ。
僕は「ヲタク青年がなんとか勇気を出して女の子をくどく」話だと思っていた(期待した)ので、ずいぶん外された気分である。

話題のミュージカルシーンだが、これがすんなりはまっていて少なくとも去年の「ダンス・ウィズ・ミー」より数段決まっている。
ダンスがどうこうではなく、自然なのだな。
山崎賢人が踊ってる姿をみてなんだかこっちまで楽しくなった。

そんな感じで作者が描こうとしたものと私の観たかったものの違いがあって完全には楽しめなかったが、山崎賢人のめがねスーツ姿やダンスシーンは「眼福だった〜」と書いておこう。




愛国者に気をつけろ!鈴木邦男


日時 2020年2月1日18:00〜 
場所 ポレポレ東中野
監督 中村真夕


新右翼(という肩書きも適切でない気がするが)を追ったドキュメンタリー映画。鈴木邦男本人や周りの方々へのインタビュー、過去の活動の映像などを交えての構成。

私は鈴木邦男さんと少し交流がある。彼が出演するトークイベント、集会にも一時期よく伺ってイベント終了後は食事などに行ったことも多い。
きっかけは韓国映画「あんにょん・サヨナラ」だった。この映画はその前年に釜山国際映画祭に行ったときに鑑賞し、日本での公開が翌年夏のポレポレ東中野だった。ポレポレでの上映後のトークトベントに「靖国問題」の著者・高橋哲哉氏とのトークイベントに参加されたときだった。

全く無知だったので「右翼」というだけで「靖国養護派」だと思っていたが、実に温厚で、私自身が「首相が靖国に参拝することは反対だし、靖国に祀られたくないという人もいる。でも靖国に祀られることで心の安定を得られる人もいる。どうすればいいか」という問題を持っていたときに「靖国に祀ってほしいかどうかは遺族が決めればよい。靖国神社が一方的に決めるのはよくない」という発言をされ、腑に落ちたのだった。

それから鈴木氏のトークイベントに数多く私が出席し、鈴木氏にも顔を覚えてもらって、鈴木氏の紹介や、イベント後の飲み会で数多くの人と交流できた。

オウムの上祐史裕、松本麗華、若松孝二、足立正男、森達也、などなどその他多くのライターや活動家の方々とお会いできた。それは私自身の財産である。
また自分の上映会の「まぶしい一日」の2回目の上映会や「日本のいちばん長い日」と半藤一利氏とのトークイベントにもお客様としてお越しいただいた。そして三島由紀夫原作の「愛の処刑」のトークイベントにはゲストとしてお呼びすることができた。
本当に鈴木さんには感謝している。

鈴木氏の魅力はあの懐の深さだと思う。「絶対に」とは言わないが、氏はまず人のいうことを否定しない。
「あっ、そっかあ」と口癖のようにいい、常に人の発言に気づかされたリアクションをする。

多くの人は自分と違う意見があると「それは違うよ」「勉強不足だ。〜をしろ」と自分の正しさを主張する。
鈴木氏はそういう態度を取らない。「違う意見こそ聞く価値がある」と常々主張する。非常に我慢強い方だと思う。
たとえば「原発の集会で賛成派の集会には賛成派だけがあつまり、反対派の集会には反対派だけが集まってそれぞれ盛り上がって終わり。それでは何も進展しない」「アマゾンなどでは『この本を買った人はこんな本を買ってます』と同じ傾向の本が紹介される。これでは同じ意見しか入ってこない」という。
常に「反対の意見を聞く」ことをモットーにしておられる。

もちろん相手が真剣にやっている場合である。反対の意見でも真剣にやっているなら「なぜそんなに真剣になれるのか」と聞く価値を感じるのだろう。

私自身鈴木さんに「反対の人の意見を聞くっていらいらしませんか?どうしてそんなに聞けるんですか?」と聞いたことがある。
鈴木「うーん、色んな変な人をばかり会ってきたからかなあ。あと自分が間違ってると思ったらそれを認めるのは当然じゃないかなあ」
私「でも『俺が正しい、世間が間違ってる!』っていう人いますからねえ」
鈴木「確かにいるなあ(笑)」
そういう風にとにかく謙虚なのだ。ひょっとしたらこれだけの活動をしながらまだ自分に自信がないのかも知れない。

鈴木さんも2018年10月に転んで怪我をして入院したあたりから一挙に体調が悪くなった。
去年の秋から1月の末まで入院していて、今日の初日トークイベントにもこれるか危うかったという。私はこの公開日の前に会ったのが8月の阿佐ヶ谷ロフトAでの生誕祭だった。そのころにもかつてのフットワークの軽さからすると足が弱り、老け込んだ感じがしたが今回会ったときはさらに老け込んでやせていた。
顔がやせて人相が少し変わっていたからかなり弱ってきた感じがした。

かつてのフットワークの軽い、軽妙なトークの鈴木邦男はもう戻ってこないかも知れない。そう考えるとこの映画が撮影された2017年頃が最後の元気だった頃になるかも知れない。
いいときに映画を作ってくれたと思う。
ありがとう。