警視庁物語 追跡七十三時間日時 2020年4月29日 場所 Amazon prime video 監督 関川秀雄 製作 昭和32年(1957年) 深夜のガソリンスタンド。タクシーがやってきて給油の後、再びそのタクシーはやってきて拳銃で店員を撃ち、3万5千円の現金を奪っていった。 朝になり犯行が発覚。また近くで乗り捨てられたタクシーと死体が発見された。ガソリンスタンドで使われた拳銃とタクシーの運転手を撃った拳銃は同じと判明。またその数日前に上野の倉庫泥棒の際にも使われたものだ。拳銃は昨年米軍将校の自宅が泥棒にあった際に盗まれたものとわかった。 他の盗品も洗っていると上野公園で高級腕時計を売っている男が判明。男を逮捕し事情を聞くと盗んだ拳銃は新橋の焼き鳥キャバレーで司会をしている源さんという男に売ったという。宮川刑事(南原伸二)が源さんに近づいたが怪しまれ失敗。 しかし別の男が宮川に近づいてきた。その男は拳銃を売るという。その男を逮捕しようと追うが逃げられ車にはねられた。病院に運ばれたがしばらくして死亡した。その男、小森がタクシーやガソリンスタンドの犯人と思われたが、小森の内縁の妻アヤ子によるとその犯行の際は刑務所に入っていたという。実は小森の持っていた拳銃はアヤ子が枕荒らしをしたときに客から奪ってきたものだったのだ。 その客・坂田(加藤嘉)が住んでるドヤも判明。張り込んでみるともぐりの医者(花沢徳衛)が入っていった。その医者から事情を聞くと坂田の弟分(今井俊二〜健二)が上野の倉庫泥棒に入った時に警官に撃たれたのだ。 長田刑事(堀雄二)たちは張り込み、ついに帰ってきた坂田とその弟分を逮捕した。 「警視庁物語」シリーズ3作目。 アマゾンプライムビデオで鑑賞したが本来はスタンダードサイズなのに、なぜかビスタサイズで再生された。調整は利かなかった。だから終始横に延びてる違和感を感じながら鑑賞。(そういうこともあるのだと勉強になった。300円は勉強代である) 今回も拳銃強盗もので盗まれた米軍の拳銃が出所。容疑者が交通事故で死んじゃまずいだろうと思うけど、そういえば他の「警視庁物語」でも犯人が追いつめられて自殺とかあったから、作者はあまり気にしてないのかも知れない。 前作は監督が小沢茂弘だったせいか、ラストにパトカーの追跡とか拳銃の撃ち合いとかあったけど、今回は監督変わって地味に逮捕されて終わる。 拳銃がパンパンにたまたま盗まれただけだったとか細かい展開が多くていいですね。 今回は上映時間も53分と短く、空振り捜査をしてる時間はなく、順調に進む。そうそうこのシリーズも初期は堀雄二が活躍してたんですね。 あと若手の宮川刑事(南原伸二)も。 後半になって刑事も入れ替わっていき、その辺の変遷も楽しい。 面白かった。近日次も見たい。 大統領の陰謀日時 2020年4月29日 場所 DVD 監督 アラン・J・パクラ 製作 1976年(昭和51年) 1972年6月、ウォーターゲートビルにある民主党の選挙対策本部に5人の男が侵入して逮捕された。ワシントンポストの新人記者ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)は裁判の取材を命じられる。気乗りがしないボブだったが、逮捕者の所持金がみんな1000ドルを越えていたことやCIAの元関係者だったことで疑いを抱く。 同僚のカール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)も同様の疑惑を抱く。主幹のベン・ブラッドリー(ジェイソン・ロバーツ)は二人にこの事件の追及を命じる。 ボブの情報源である通称ディープ・スロート(ハル・ホルブロック)は金の流れを追えとヒントをくれた。逮捕者に支払われた小切手の振り出し人を当たると、それは共和党の選挙資金として集められた金だった。 選挙資金の管理人やそのスタッフに取材を始める二人。 だが事件の核心には触れられない。ようやくベンの許可がでて記事になったが、共和党から「悪意に満ちたデマだ。ワシントンポストの主幹のブラッドリー氏は反ニクソンだが、報道の自由はまた別の問題だ」と全否定される。 世論の関心もウォーターゲート事件は決して高くない。 ニクソン大統領を辞任に追いやったウォーターゲート事件暴いた二人の新聞記者の活躍を描いた作品。この事件の当時は小学生だったので、「ウォーターゲート事件」という名前はよく知っていたが、具体的な内容はさっぱり知らないまま48年が経過した。 76年のこの映画の頃は映画の観始めで、当時スターだったロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマンの共演は話題だったけど、娯楽アクション大作、って訳でもないから観なかった。 山本薩夫の「金環蝕」や「不毛地帯」は関心があったけど、所詮アメリカの内政問題なので、と関心がイマイチだったのである。 それは今もあってアメリカの大統領選は(今年あるが、現時点では現職のトランプ優勢と言われている)もう一つ関心がない。私に選挙権がないから関心も日本の選挙ほど真剣になれない。 この映画のラストでは二人の新聞記者で全貌が暴かれてニクソンが辞任するかと思ったら差にあらず。「え?」とちょっと驚いた。 ニクソンが72年の11月の選挙で勝ち。翌年1月に再度大統領に就任する。それを伝えるニュース番組の奥で二人の記者が黙々とタイプをたたいているところで映画は終わる。 そして字幕でその後の展開が説明されていく。 映画としては主人公たちが敗北し、「負けないぞ!」「もう一度!」というところで終わるのだ。 映画を見終わってから調べてみると結局ニクソンが辞任に追い込まれるまでまだまだ先の74年8月。実に最初の進入事件の2年後なのだ。 これでは映画としては描ききれないので、ここで区切りをつけたのだろう。 アメリカ人には出てくる名前がそれなりになじみのある人かも知れないけど、私には初めて聞く名前ばかりなのでどうも頭に入らなくて混乱した。 そして地味な取材でボブかカールが誰かのところに行って話しを聞く、の繰り返しだから画的にも単調。 当たり前だけど記者が襲われる、というようなアクションシーンもないし。 期待したほど面白くはなかったな、というのが本音。 レッド・オクトバーを追え!日時 2020年月日 場所 blu-ray 監督 ジョン・マクティアナン 製作 1990年(平成2年) ロンドン在住のCIAの情報分析官ジャック・ライアン(アレック・ボールドウィン)はイギリス情報部から提供を受けたソ連の新型潜水艦の形状に疑問を持っていた。アメリカに帰り潜水艦の専門家に見せると「無音の推進装置かも知れない」と言われる。これが本当ならソ連はいつでもアメリカの沿岸に近づくことが出来る。 その潜水艦レッド・オクトーバーのラミウス艦長(ショーン・コネリー)はある計画を抱いて処女航海に出発した。 アメリカの潜水艦ダラスもレッド・オクトーバーを発見。バート艦長(スコト・グレン)はただちに追尾するが見失う。無音推進装置を使ったのだ。時を同じくしてソ連艦隊がアメリカに向かっている。 ライアンもCIA本部に呼ばれ軍や政府首脳に事態を説明。軍はソ連が攻撃を仕掛けてきたと判断するが、ライアンはラミウス艦長の亡命説を主張。 提督(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の指示でライアンは大西洋の空母エンタープライズに出動。しかし司令官以下亡命説には否定的。 そしてダラスに乗り込みラミウスと接触を試みる。 この映画も公開時に観ている。確か今はTOHOシネマズ渋谷になっている渋谷東宝で観た気がする。あんまりにも面白くて、見終わった後暇だったので(そのころはそれほど映画を観てなかったので)横須賀まで行って潜水艦を見てきた気がする。(いや行こうかと思っただけで行ってないかも知れない。午後の早い時間の回を見れば4時頃終わってそのあと横須賀に行けば暗くなるから止めた気もするのだな) 公開から30年(!)ぶりにblu-rayで再見(このblu-rayだって数年前に買ってそのままになっていたのをコロナ問題で外出自粛のため鑑賞。 面白いなあ。 レッド・オクトーバーは亡命か攻撃か?から始まって、亡命させたくないソ連艦隊の潜水艦の追撃やら、アメリカ軍内部の説得、(最後の最後のダラス艦長も疑う)、そしてラミウスの関係ない乗組員の退艦、実はKGBのスパイがいた、などなどの要素を満載で飽きさせない。 キャラクターとしては本来はただの分析官が重要な位置を占めると同時にダラスのソナー要員が重要なポジションを占めるのがいい。やっぱり「現場」の人間が重要な位置を占めるのがいい。 そして最後には二人とも最前線(この場合はレッド・オクトーバー)に乗り込むのがいい。やっぱり主人公は現場に行かないと。 ちなみに「ジュラシック・パーク」のサム・ニールがラミウスの副官役で出演していたとは知らなかった。 サスペンスフルでこれだけ面白い映画は久しぶりな感じ。 やっぱり素晴らしいですよ、名作。 警視庁物語 魔の最終列車日時 2020年4月28日 場所 Amazon prime video レンタル 監督 小沢茂弘 製作 昭和31年(1956年) 東海道線の夜行列車。連結されている郵便車を強盗が襲い、局員3名のうち2名死亡、1名は足を撃たれただけで助かった。品川駅で凶行が発見され、生き残った者の証言から川崎と品川の間で犯行が行われたと判断。金を列車から投げ落とし、仲間が拾ったのだ。 拳銃の弾や薬莢から拳銃はゲルニカと断定。この拳銃は去年京都の銀行強盗で使われたのと同じ型だが、別の拳銃だった。 警察は当初生き残った1名による狂言の可能性も考えたが被害者の手に拳銃を撃った後がないことからこの説はなくなった。 列車に残っていた薬莢より撃たれた弾丸の数が一つ多いことから、刑事たちは沿線をくまなく捜査。ついに薬莢を発見した。またその近くに残っていたタイヤ痕から犯人が逃走に使った可能性のある車を特定。また現場に血の付いた封筒が落ちていた。その封筒の裏にかかれていた数字は襲われた列車の時刻と判明。血は被害者のもの。封筒の表にあった「木村雄三」という男の身辺を洗う。 木村雄三の実家に行き、その恋人をたどり彼の勤務先のキャバレー「8番街」に行ってみたが、すでにやめていた。翌日、木村の自殺体が発見された。8番街と同じビルにある森田商工という会社では犯行に使われたと思われる車と同じ型の車を使用している。 長田刑事(堀雄二)は社長の森田(山形勲)に会い、彼の指紋を採取した。その指紋は京都の事件の犯人と一致した! 警察の追求を察知した森田は8番街のママや部下逃亡。しかしパトカーとの追跡は振り切れず、外苑の絵画館前で銃撃戦となり、ついに逮捕された。 「警視庁物語」シリーズ第2弾。 なんだか急にまた観たくなったので、検索したらアマゾンプライムに300円の有料で視聴可能だったので、早速観た次第。 やっぱりいいねえ、「警視庁物語」。俳優が地味でみんな普通にスーツにシングルのコート姿である。私が最近流行のハーフコート(丈がスーツと同じくらいでお尻までしかない)タイプではなく、丈が膝あたりまであるロングコートを好んで着るのはこの「警視庁物語」や「七人の刑事」のコート姿の影響である。 今回は拳銃による列車強盗。残された拳銃の薬莢とか、弾のライフルマークとかを刑事たちが「情報」として報告するのではなく、技官の元に行って説明を聞くという丁寧に説明しており、科学捜査の重要性を描いている。 後半になって木村雄二の手紙が見つかってからは理詰めで行っていたのが偶然に頼る展開になるのはやや残念。 だいたい木村雄二宛の手紙の封筒の裏に犯行計画を、メモするとかなんだそれ?俺がプロデューサーなら「前半は最高なのですが、この木村雄二の名前が出てくるあたりをもう一工夫お願いできませんか?」と長谷川公之にいうところだ。 刑事は堀雄二と南原伸二が主に活躍。課長の松本克平とか主任の神田隆はそのまま。花沢徳衛とか山本麟一はいるけどせりふもほとんどなし。 最初は被害者を一応疑いそれが空振りの終わるとか実際の警察の動きも描かれておりこのあたりのリアルな感じが私の好きなところ。 アマゾンプライムビデオは再生が途中で止まるとかのストレスもなく、快適。 まだシリーズの半分しか観てないので、今後も観ていきたいと思う。 日本誕生日時 2020年4月26日 場所 DVD 監督 稲垣浩 製作 昭和34年(1959年) まだ神々だけだった時代、イザナギ、イザナミの二人の神によって日本が作られた。 時代は下る。オウスノミコト(三船敏郎)は人々の人望も厚かったが、父景行天皇(中村鴈治郎)の女官に手を出した兄が許せなくて追放した。 しかし兄を殺そうとした罪を放っておくわけにもいかず、オウスノミコトは西国のクマソ兄弟を征伐する。クマソの弟(鶴田浩二)はオウスノミコトの強さにひれ伏し、これからは日本武尊(ヤマトタケルノミコト)と名乗るよう頼んで果てる。 ヤマトに帰った日本武尊だが、彼を恐れる天皇の側近(東野英治郎ら)は日本武尊に今度は東国の征伐に行くように命じる。 しかし側近らに命じられた相模の国の大伴(田崎潤)によって火攻めにあう。すんでのところで脱出した日本武尊の一行はヤマトに帰ることにする。 しかしヤマトの国に入る直前で襲われ、日本武尊もついに命を果てる。 彼は白鳥となって高天原へと飛び立った。 東宝映画1000本目の記念作品として公開。 上映時間3時間の超大作である。1時間10分ぐらいで休憩が入る。 この映画、あまり評判がよくないせいかはたまた上映時間の長さのせいか、映画館でかかることは少ない。(短縮版も存在するようだ) コロナ禍で自宅でDVDを観るしかないので以前買っておいてそのままになっていた講談社のゴジラシリーズの番外編として発売されたバージョンで鑑賞。普通にDVDも出てるから、それほど人気がないわけではないのか。 80年代の学生時代にレンタルビデオ(VHS2本組)で観ただけでそれこそ鑑賞は30年以上ぶりだ。 なにしろ3時間の大作なのだが、まったりとしたテンポでやたら長く感じる。それでとにかくいい印象がなかったので、30年間再見しなかったわけだ。 再見して驚いたのが、幻想的な神話のエピソードの映画化だと思っていたら、それは国造りの話と有名な天照大神の話とヤマタノオロチのエピソード。あとは日本武尊の話である。 日本武尊の話も冒険エピソードかと思ったら結局は権力争いの話で、神話というより日本史の話である。 天照大神は国造りの話をしたばあさん(杉村春子)が同じように皆に聞かせる話として、ヤマタノオロチの話は日本武尊の叔母の倭姫(田中絹代)から草薙の剣を預かった日本武尊がこの刀の由来としてはなす形としてインサートされる。 ヤマタノオロチとの戦いだが、これが面白くない。ヤマタノオロチも湖から首だけを出してるだけで全体像が見えない。考えてみれば神話の挿し絵なんかでも首が8本しか描かれておらず、全体像って観たことないなあ。 しかも日本武尊が飛ぶわけではないので、短い刀をいくら振ってもヤマタノオロチにダメージを与えてるように見えない。 だからぜんぜん盛り上がらない。 それでも駿河の国に入って富士山(今と形は違う)が元気よくモクモクと噴煙を上げてる様は見応えがある。 そして東征をやめて船で帰るのだが、そこには伊勢神宮の巫女でありながら日本武尊を愛してしまい日本武尊も思ってる女性(司葉子)が乗ってるために神が怒って海を荒れさせる。 この嵐も円谷特撮の見応えの一つ。 (あと尾張の国でも女性(香川京子)に愛される。日本武尊、モテモテである。この女性の元に草薙剣は残してくる。だから名古屋の熱田神宮には草薙剣があるのだ) そしてヤマトの国に帰る直前に日本武尊は討たれる。その体は白鳥になるのだが、そのときに地震は起こり、山は噴火し、湖は反乱し敵を倒していく。 このあたりの大災害は円谷特撮が充分に堪能できる。 でもまあ全体的にはテンポもまったりとして戦い方も馬にも乗らずスピード感に欠け、刀でやり合うだけで合戦の楽しさはない。 やっぱり人気がないのも納得のだるさである。 ガン・ホー日時 2020年4月26日 場所 DVD 監督 ロン・ハワード 製作 1986年(昭和61年) ペンシルバニア州のハドレービル。自動車工場が閉鎖され、町は失業者があふれていた。工場で働いていたハント(マイケル・キートン)は日本のアッサン自動車(圧惨自動車)に工場誘致のプレゼンに向かう。坂本社長(山村総)以下の重役陣の反応は鈍く、失敗と思っていたがアッサンはやってきた。ハントは工員とアッサンの労使調停役を命じられる。 はじめは歓迎したハドレービルの人々だったが、朝の体操の習慣から始まってやたら厳しい製品管理、家庭の事情の早退は認めないなど労使の不満は高ぶる。 アッサンの日本の工場では月間15000台生産が最高と聞き、この工場で15000台を達成したら給料をあげる約束を取り付ける。 厳しい目標に「13000台だったらどうなる?」と問いつめられハントは「まあ多少は給料あがると思うよ」と言ってしまう。 しかし早朝夜間の残業も強いられ、従業員の不満たまってくる。 工場長の高原になんとか掛け合うハントだが、高原も本社からの要求の厳しさを吐露する。 そんな時、本社から坂本社長が視察にきた!果たして目標は達成するのか? これも大分以前(記録を見ると2008年1月だ)に買ったまま棚に眠っていたDVD。山村総が出演してるアメリカ映画と聞き、買ったのだ。 製作は1986年。70年代後半から80年代末までの日本が一番強くて日米貿易摩擦をしていた頃の話。同じ時代のNHKドラマ「勇者は語らず」は日本側から見たドラマ。こちらはアメリカ側から観た日米貿易摩擦である。 日本の会社の朝の体操はよほど奇異に見えるらしく、高倉健が中日ドラゴンズの監督を演じた「ミスター・ベースボール」でも描かれてたな。 また高原とハントとが東京で初めて出会うのが、高原が「管理者養成学校」でしごきを受けてるシーン。 これも奇異だよなあ。日本人が見ても奇異なのだが、あれは軍隊式教練である。日本はあの軍隊式から抜け出せない。 直接軍隊経験がなくても軍隊式で成功した経験を持つ大人がいる限りなかなか消えないだろう。とは言っても「パワハラ」というワードのおかげで最近はかなり減ってきてるとは思うが、まだまだだろう。 結局最後はみんなで力を合わせて15000台を何とか達成、社長も最初は「組立不良がある」と言って認めなかったが、工員の頑張りを認めて達成を確認する。 ラストは日米和解するというコメディとしては定番というかおきまりのラスト。 山村総以外の日本人キャストの日本語はかなり変。 冒頭に日本に行ったハントがアッサンの本社に行くまで日本のあちこちを歩くが、銀座、秋葉原、浅草のほかに新幹線やカプセルホテル、田園風景まで登場。 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた今は昔を感じることの映画。 一度はナンバーワンを取った日本だ、また頑張ればいいじゃないか。 今ではそんな気にさせる映画だ。 書き忘れたけどこの映画、日本では劇場未公開でビデオ発売とテレビ放送のみ。まあそうでしょうねえ、やっぱり変な日本が登場するもん。 でも「アメリカ人にはこう見えた」っていうように解釈したい。 ミッシング日時 2020年4月25日 場所 DVD 監督 コスタ・ガブラス 製作 1982年(昭和57年) 1973年南米チリ。クーデターが起こり、軍が政権を握り街には死体があふれている。アメリカ人のチャーリー(ジョン・シーア)とテリー(メラニー・メイロン)は観光に行ったビーニャからアメリカ軍のタワー大佐の車に乗ってサンチャゴに帰ってきた。が、街は戒厳令になり自宅には帰れず二人はホテルに一泊。翌日やっと帰宅できた。 帰宅し妻ベス(シシー・スペイセク)との再会を喜ぶチャーリー。翌日チャーリーはアメリカに帰るテリーを空港まで送っていったが空港は閉鎖されている。 ベスは友人のフランクとデヴィッドを訪ねるが、帰宅すると家は荒らされチャーリーはいない。 ニューヨークのチャーリーの父親、エドワード・ホーマン(ジャック・レモン)は息子の行方不明の連絡を受け、ワシントンを駆け回り国務省や議員を訪ねていた。アメリカにいても埒があかないので彼もサンチャゴに。 ホーマンは大使館などを訪ねるが「息子さんは逮捕者にも処刑者のリストにもない。どこかに逃亡されているのでは?」というばかり。 ベスは何度も同じ答えを聞かされているので怒りを隠せない。 ホーマンとベスはチャーリーの友人など訪ね、誘拐の前後の事情を改めて聞いていく。 テリーはビーニャのホテルで出会ったバブコックという自称退役アメリカ軍人の話をする。 1982年のカンヌ国際映画祭パルムドール&主演男優賞受賞作品。 この映画は公開当時観ている。ただし封切り館ではなく、確か文芸座(建て替え前の)で観たと思う。 「Z」のコスタ・ガブラス監督だし期待して観に行ったが、どうも今一つだった気がする。 またラストでアメリカ大使館の人間に「もしニューヨークでマフィアのことを嗅ぎ回って殺されても警察は戸惑うばかりですよ」と言われるが、その理屈になんとなく「それも一理あるな」と思ってしまったのだ。 今回、コロナ禍で映画館が休館なので引き続き「買っておいてそのままのDVD」を観ている。2006年1月に買っているから随分そのままになっていたものだ。 観直してみてやっぱりイマイチなのである。 正直、さっきのアメリカ大使館の理屈なんとなく分かる気もするのだな。 それと事件を追っていくが、どうも真相に迫れないのである。 ビーニャのホテルでパブコックという自称退役軍人だが、実は諜報工作を行っているらしい男に会った、そこではアメリカ軍人も多くいた、チャールズは「フィン」という左翼系の新聞の手伝いをしていた、だからクーデター軍をアメリカは容認していたことが分かるといけなかった、だから処刑した、ということらしいのだが、どうにも「らしい」の連続ではっきりしないのだな。 結局アメリカ大使館側は「チャーリーはどこかに潜伏、逃亡しているので解らない」という線でごまかそうとし、ホーマンもアメリカ大使館に疑い始める。フォード財団という民間からの情報で殺害されたと知り、追求すると「よく調べたら処刑されてました」と回答する。 実話だからそうそうサスペンスフルに描けなかったのかも知れないけど、「Z」のようなグイグイと力強く真相に迫っていく強さが感じられない。 それは今回も観ても思ったなあ。 「Z」は特に名作だから比較すればどれでも落ちるのかも知れないけど、もう一つ迫力不足の感は否めない。 主演のジャック・レモン。この頃はコメディを離れシリアスな演技にも挑戦していたけど、「働きもしないで外国でプラプラしているどら息子夫婦」に反感を覚えながらも駆け回る姿は立派な父親像を表現していたと思う。そこはよかった。 大陸横断超特急日時 2020年4月24日 場所 DVD 監督 アーサー・ヒラー 製作 1976年(日本公開1977年) 出版の仕事をしているジョージ・コードウェル(ジーン・ワイルダー)はロサンゼルスからシカゴまでシルバー・ストリーク号の鉄道の旅に出た。隣のコンパートメントのヒリー(ジル・クレイバーグ)と幸運にも大人の関係になりかける。 ベッドでシャンパンの飲んでいるとき、男の死体が落ちるのを目撃する。 翌朝ジョージは驚いた。ヒリーが持っていた本の著者が夕べ見た死体の男なのだ。ヒリーはその男の秘書なのだ。ヒリーのボスの部屋に行ってみると怪しい男たちが部屋を荒らしている。ジョージはその中の大男(リチャード・キール)によって列車から放り投げられてしまう。 ジョージが歩いた先に見つけたのが、ある農家。そのおばさんに送ってもらおうとしたら、車ではなく飛行機で送ってくれた! 再びシルバー・ストリーク号に乗り込んだ。そこでただのセールスマンと思っていた男(ネッド・ビューティ)が実はFBIでデブロー(パトリッック・マクグーハン)が偽の美術品売買をしており、ヒリーのボスはそれを暴こうとして殺されたのだ。彼が残した証拠の文書はどこに? 1977年4月日本公開だそうで、そうすると「エアポート77」と同時期の公開だったのか。その前に「カサンドラクロス」「新幹線大爆破」とか列車ものが続いていたのだ。 もちろんこの映画も封切り時に観ている。 ラストでシカゴ駅に列車が突っ込んでいくシーンは圧巻だった。 テレビの映画紹介番組などでもこのシーンは見せ場として放送されたから、記憶に残っている。 (しかし当時は家庭用ビデオもないから録画していたわけではない。映画館で観たにしてもせいぜい続けてみた2回ぐらいのはずだ。どうして何回も観たような気がするのだろう。若いから記憶が鮮明だったのか。脳内再生を繰り返し行っていたのか) DVDも買ったのが2009年2月だというのに、封も切らずに10年以上そのままにしていたのを、今回のコロナ禍で映画館に行けないので鑑賞。 「えーこんな映画だったんだ」というのが感想。 特に前半でジョージとヒリーが出来てしまう展開は「何に惹かれたか」という理由付けが全くない。きっかけらしいきっかけは最初に誤ってジョージがヒリーの着替えを見てしまった、というだけ。それから20分ぐらい二人で食事して酒飲んでそのまま部屋に帰ってキスをして、ジョージの手がヒリーの胸元に入っていく、というご都合主義も極まれる展開。 逆にこの女なにかたくらんでるんじゃないか、と思えてくる。 普通なら二人は喧嘩していてラストで和解してキスする、っていう展開になるはずなんだけど。 公開時の映画評で「普通はこうならない、という展開をする。普通、主人公は列車を降りない、普通最後の大暴走は止めるだろ」というのを目にした覚えがある。 だから「女性とも普通はこんな簡単に進展しない」という逆説だったのかと思う。 農家のおばさんが飛行機に乗る、ただの出版編集者(かな?本人は出版の仕事と言ってたけど)が何のためらいもなくリチャード・キールを水中銃で撃ったり出来る。 というアクションコメディなら分かるのだが、どうも監督はまじめにサスペンスものを撮ってる気がする。 脚本家(かどうかは分からんけど)がコメディと思っている、監督は「バルカン超特急」以来の伝統の列車サスペンスを撮ろうと思っている、そんなずれを感じる。 だからどっちにも振り切れずに中途半端な65点ぐらいの映画になってる気がするな。 「だめじゃないけど、イマイチ」と言ったような。 原因の一つに主役のジーン・ワイルダーがあまり好きになれないのだな。日本で言えば大泉洋のようなポジションなのかも知れないけど。 かなり面白くなりそうな要素は多いけど、失敗作ではないけど微妙な作品になってしまった気がする。 それを今回再見して強く思った。 コンテイジョン日時 2020年4月22日 場所 NETFLIX 監督 スティーブン・ソダーバーグ 製作 2011年(平成23年) 香港へ仕事で行ったベス・エムホフは途中どこかへ立ち寄り、ある男に会ってからミネアポリスの自宅に帰った。再婚の夫ミッチ(マット・デイモン)の前で倒れてしまう。そのまま病院に行って死亡した。またベスの連れ子のクラークも同じような死に方をする。 同じ頃、東京でも一人の男がバスの中で死んだ。それをネット上の動画で見たフリーの記者アラン(ジュード・ロウ)は新聞社に持ち込むが相手にされない。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)のチーバーはエリンをミネアポリスに派遣し、ベスの病気について調べさせる。ベスは香港の帰りにシカゴで昔の恋人と会っており、その男も死んだ。その事実にショックを受けるミッチ。 またWHOもレオノーラを香港に派遣。ベスの香港での立ち回り先を調べ、彼女が行ったカジノで出会った人々が亡くなっている事実を突き止める。どうやらベスが最初の患者で間違いなさそうだ。 アランはネット上でレンギョウという薬草がこの病気に効く、と動画を流し、一稼ぎしようとする。 CDCではアリーがベスから採取した血液からウイルスMEVー1の検出に成功したが、培養が出来ない。サンフランシスコのサスマン教授の研究によって何とか培養に成功する。 広がる病気に人々はパニックになり、食料の買い占めやレンギョウを求めての暴動が起き始める。 2011年11月に公開された映画だが、全く知らなかった。どこで上映されたのだろう。内容からして私が好きそうなパニックものだし、知っていたら観に行ったと思うのだがなあ。 世界は今新型コロナウイルスで前代未聞の事態に陥っている。4月8日に緊急事態宣言が発令され、東京、神奈川、千葉、埼玉の映画館はすべて休館になり、居酒屋などは休業要請が出ている。ただし要請だし、政府は休業補償を出さないで要請だけしている。 数日前にやっと全国民に一人10万円配ることになったが、世帯主の銀行口座にまとめて振り込む、となったのでDVや児童虐待など問題を抱えてる人や、そこまで行かなくても世帯主が独り占めしてしまう家庭もあって問題だ、と言われている。 そういう時代だが、この映画も3月の下旬に配信やレンタルなどで話題だと聞いてNETFLIXにあったので鑑賞。 確かに現状に酷似している。 「人間は顔に無意識に手を当てるので、そこから感染する」とは今回のことがあって初めて知った。だからマスクはウイルスを遮断しないが、手が口に触れるのは防ぐことが出来る。 中国から始まって世界中に感染していく。 ネット上でデマが巻かれ、そのデマの首謀者を逆に「真実を教えてくれる人」とあがめられる。この映画ではアランは「レンギョウが効く」とデマを流し、さらに自分が感染したふりをしてレンギョウを飲み、完治したように見せかける。 最後には政府に拘束されるが、保釈金が彼のファンによって用意され保釈される。 最後はどうなるかと思ったらアリーがワクチンを開発し、猿には効くことがわかり、自らに注射。感染している自分の父に会い、自らが感染するか実験する。 それで有効性が確認され、ワクチンは製造される、というラスト。 でもそのワクチンを接種する順番を誕生日で決めていき公平な順番になるようにしたり、香港の人々がレオノーラを人質にとって自分たちに優先的にワクチンを回してもらおうとしたり、そのワクチンも偽物を渡されたりと一つ一つがありそうなことである。 ただし現実にはマスク不足になるってのは予測されなかったな。 CDCのチーバーは途中でシカゴに住む恋人に政府の都市封鎖の情報がでる前に教えたことから表に出るなと言われる。 その恋人に教えているところを普段から親しい掃除係に見られてしまった贖罪として、自分の分のワクチンを与えるとなる。 一見美談にも見えるけど、おいおいまた情にほだされて優先順位を変えてないか?ちょっと気になった。 それにしてもこの映画で現場で活躍する3人(ミネアポリスに行った人、CDCでウイルスの研究をする人、香港に調査に行った人)は全部女性である。女性も第一線で活躍するなあ。最初の感染者も女性だし。 (最初この医師3人の区別が付かなくて混乱した。私はバカである。) 第七機動部隊日時 2020年4月21日 場所 amazon prime video 監督 レスリー・セランダー 製作 1952年(日本公開1962年) 空母プリンストンも今はジェット戦闘機が活躍する時代だ。 幹部のダン・コリアー(スターリング・ヘイドン)は太平洋戦争中のことを回想していた。 1944年秋、ジョー・ロジャース(リチャード・カールソン)率いる新戦闘機隊が着任した。ジョーが新人を育て、そのまま着任したのだ。 一機、着艦に失敗しそうになったのでやり直すように命じたが、無視して着艦。結果的には大丈夫だったが、艦載機に被害を及ぼしかねない行為にダンはパイロットに謹慎を命じる。 ジョーは「彼は兄が戦死し闘志に燃えています。彼の士気を下げるのはよくないと思います」と進言するが、ダンは却下する。 日本の輸送船団を急襲する初出撃。敵が無防備なだけあってこちらの圧勝。浮かれるパイロットたちにダンは「自信を持ちすぎるな」と冷たい。 日本軍と抗戦になったとき、ダンとジョーはそれぞれの別になって戦った。しかしジョーが「敵を攪乱せよ」との命令以上に撃破してしまった。 戦果を誇るジョーだが、「勝手な行動はかえって危険を招く」とにべもない。 プリンストンもマッカーサーのフィリピン上陸作戦の一翼を担うことになる。上陸作戦の支援だ。日本軍の攻撃もあり、プリンストンも攻撃を受け、甲板が一時使用不能。復旧班により甲板の修理は完了し、攻撃隊は発艦。無事上陸作戦は成功した。 再び現代。今や飛行隊長となったジョーが無理な着艦をしたパイロットを謹慎処分にしている。 話は全部書いた。 最近、太平洋戦争映画をよく見るのだが、アマゾンプライムビデオで「レイテ海戦を描いた作品」とし紹介されていたので鑑賞。 正直おもしろくない。 まず隊員の個性を感じられない。「詩を書くのが得意」とか「元レーサー」とか紹介されるのだが、この紹介の仕方も説明的だし、第一知らない役者ばかりなので、全く頭に入らない。 主役の飛行隊長自体がスタンリー・ヘイドンという個性派俳優でスターではない。(この人の映画は「博士の異常な愛情」の攻撃命令を出すリッパー将軍しか知らないのだが) 戦闘機の発着艦とかは実際の撮影で、この映画用なのか記録用なのかは判然としないけど、その辺は見応えがありますがね。 特に甲板の修理の様子など穴のあいた箇所に鉄板を張ったり、燃えた木製の甲板部分に補修用木材を張って修理するところなど、今まで観たことない映像だった。 製作はウォルター・ミリッシュ。あの「ミッドウエイ」(76)のプロデューサーだ。 こういう記録映像を組み合わせて映画を作るという手法はこの映画からしていたのだな。 (日本公開が62年となっているが、スタンダードサイズでクレジットの出し方も昔風だからあれ?と思ったが、製作自体は52年。なるほどそれなら納得出来る) 日本軍はコクピットのパイロットのカットが数カットあるけど、特に台詞はなし。 映画全体としてはとにかく凡庸で盛り上がりに欠ける。脚本で各パイロットの個性が描き切れてなかったことが問題かな。 とにかく小森白の新東宝の戦争映画みたいで空母の実映像シーンは見応えがあるが、凡庸だった。 あまり聞いたことのない映画だったのも納得の出来だった。 ファイナル・カウント・ダウン日時 2020年4月19日 場所 DVD 監督 ドン・テイラー 製作 1980年(昭和55年) 1980年、米海軍の原子力空母ニミッツは国防省から派遣されてきたラスキー(マーティン・シーン)を乗せて出航した。 天候は快晴と聞いていたが、見たこともないような光の渦に巻き込まれた。高周波が乗組員を襲ったが、まずは問題はないようだ。 艦長のイエランド(カーク・ダグラス)は本部と連絡を取ろうとするが全く応答がない。ラジオを受信すれば40年代の放送をしている。 偵察機を真珠湾に飛ばせば撮ってきた写真の様子は今の真珠湾ではない。 レーダーに機影があるので、偵察に行かせたら三菱ゼロだという。 偵察に行った戦闘機からそのゼロ戦が沖に浮いていたヨットを攻撃しているという。イエランドはやむなくゼロ戦を攻撃させる。ヘリコプターで非行隊長のオーエンス(ジェームズ・ファランティーノ)にヨットの乗員、そして撃墜したゼロ戦パイロットの救助をさせる。 ヨットの乗員は大統領候補になるかも知れない大物上院議員チャップマン(チャールズ・ダーニング)とその助手のローレル(キャサリン・ロス)。 いったい何が起こっているのか。 この映画は封切りの時に観ている。1980年の夏の映画。「地獄の黙示録」はその3月に封切られた。マーティン・シーンもこれから大スターになっていくだろうと期待されていた時期である。 10年以上前(日付をみたら2009年だ)に買ってそのままになっていたDVDをコロナ問題で映画館がやってないから、溜まったDVD消化のために鑑賞。 オチも知ってるけど(細かいことは忘れていたが)、楽しくみた。 最近エメリッヒの「MIDWAY」とか昨日観た「ミッドウエイ運命の海」とか去年の「空母いぶき」とか空母が登場する映画を見たが、全部CG。 しかし今回は違う。本物の空母ニミッツ。 やっぱり本物の空母の甲板で本物の艦載機が出てくると迫力が違いますね。 それに今回、米海軍の協力があったからなのか、協力してくれたからそのお返しなのか、やたらと設備や性能の描写が丁寧なのだ。 もう「こういう画が取れるから、それ脚本によろしく」と言われたかのよう。 まずは艦載機の着艦。通常の飛行機の尾部からフックが出てきて甲板のワイヤーにひっかけてブレーキにするやり方。そしてそのフックが故障した機を着艦させるためにネットを張って受け止めるやり方。 戦闘機への空中給油。給油が必要なほど遠方には行ってないだろうと思うけど給油のシーンがある。 そして艦内では「戦闘配置に付け!」で食事中の者も脱兎のごとく駆け出しヘルメットをかぶり銃を構えていく様などなど。 ヘリを使って海の漂流者を助けるとかね。 とにかく空母や艦載機のメカの動きのオンパレードなのだ。 私はミリヲタじゃなくて単なるミリタリー好きなので、十分に楽しめる。 話の方は結局信じがたいけど自分たちが真珠湾攻撃の前夜にタイムトリップしてしまったと認めざるを得なくなる。 捕虜にした日本兵が銃を奪ってチャップマンやローレルを人質にしたり、ごちゃごちゃうるさいチャップマンとローレルと一緒に真珠湾ではなく無人地区に送ったら「真珠湾に連れて行け!」と信号弾の銃で脅迫したり(結局銃が暴発してヘリの機内で信号弾が爆発、それでヘリも爆発〜ってなるのか?)、いろいろあって艦長は米海軍として「アメリカを守る」ために日本空母部隊の攻撃を決断。 いよいよ出撃!となった段階で再びあの光の渦が発生し、もとの時代に帰る。 そうして艦を降りたラスキーは、あの時代に取り残されたオーエンスと再会、というオチ。 オチ知ってたけど、それにしてもミリタリー描写がよくてそこが十分楽しかった。 今週みたい映画では一番おもしろかった。 ラスト・タンゴ・イン・パリ日時 2020年4月19日 場所 DVD 監督 ベルナルド・ベルドリッチ 製作 1972年(昭和47年) パリのあるアパルトマン。ジャンヌ(マリア・シュナイダー)はそのアパルトマンの空き部屋の張り紙を見て管理人に部屋を見せてくれるよう頼む。管理人はめんどくさそうで、何とか鍵を借りて入った見たらすでに中年男(マーロン・ブランド)がいた。ジャンヌはその男に犯される。 ジャンヌには恋人がいて「テレビ局に企画が通った」と二人のデートの模様をムービーカメラで撮影を始める。 男はポールというアメリカ人。フランス人の妻が昨夜、浴槽で手首を切って自殺した。 ポールは自分の名を言わず、ジャンヌが自分の名前を言おうとしても聞こうとしない。 ジャンヌの恋人は「来週結婚しよう」と言う。ポールは妻の不倫相手に会い、同じガウンを送られていたと知る。 ジャンヌはもう会うのはやめようとするが、ポールはついてくる。 ジャンヌの家に入ってきたとき、父の遺品だった軍隊時代の拳銃でポールを撃った。「彼は名も知らない男です」。ジャンヌはそう言った。 「エマニエル夫人」が公開された頃、「最近はセックスシーンが激しい映画が増えた」としてこの映画に言及されてることが多かった。 今から考えると邦画もエロが多かったのだが。この映画の頃はまだ映画を自分で見に行くような歳ではなかったが、映画雑誌で触れられてるうちに「いつか機会があったら」と思っていた映画。 実はDVDも10年以上前に買ってあったのだが、買ってしまうと「いつでもみれると思ってしまい、そのままになっていた。 映画の内容とは関係ないが、このDVD、紙ジャケットが古くなったような端や背表紙がすり切れたようなデザインになっている。不良品かと思って他のDVDも観たら同じようにダメージを受けてるので「なんだデザインか」と思った覚えがある。こういうのはよくないですよ、不良品と間違えられる。その成果それ以後、こういうデザインのジャケットは見かけない。 今回コロナ問題で映画館が休館していて(緊急事態宣言が全国に拡大され、昨日から全国の映画館が休館となった)、その間にたまってるDVDを見ている。最近はもう「前からもう一度見たいとちょっと思っていた映画」ばかり観ている。 で面白かったかというと別である。話題になったから記憶にあってだからちょっと観たいとは思ったが、面白そうだと思っていたわけではないのだ。 だからそのままになっていたのである。 喪失感を持った中年男と恋人に何か不満を持っている若い女、という二人が流されるままにセックスを重ねる物語だが、私にはぜんぜん響かない。 だから2時間9分の映画だが、途中で離脱を繰り返し、4時間ぐらいかかって観たよ。 DVDは<オリジナル無修正版>と書いてあるが、今ならそのまま公開されるであろうレベル。マリア・シュナイダーの黒々としたアンダーヘアがはっきりと写っている。思ったより毛深く、面積も広いってなに観てるんだか。それは映画では重要ではないだろうけど、当時としては「ポルノ映画ではないのに下の毛が写ってる」で話題になったんだろうなあ。 で、こういうだらだらとした話は話の終わらせどころが難しく、結局相手を殺すということで終わりになる。 面白くはなかったけど前から気になっていたことが完結した感じで、観てよかった。それは確かである。 ミッドウエイ 運命の海日時 2020年4月18日 場所 アメリカ版blu-ray 監督 マイク・フィリップス 製作 2019年(令和元年) 1942年6月4日。日米海軍はミッドウエイで激突し、日本海軍は空母4隻を失う戦果となった。アメリカ軍のドーントレス爆撃機の操縦士のノーマンと副操縦士のリーはゼロ戦に撃墜され、太平洋上に着水した。 機は沈み、二人は海の上でライフジャケットのみで救助を待つことに。 リーは腕を負傷していて止血のため腕を縛り、応急処置したがやがて死んでいった。 救難信号を受け取った偵察機PBYも出動するが二人を発見できない。 エメリッヒの「MIDWAY」のブルーレイを注文したときに関連商品としてamazonに紹介され、「便乗企画だな」と思って値段も10ドルぐらいだったからつい買ってしまった。ジャケットの絵から着水した飛行士の話らしいと分かる。このエピソードはジャック・スマイトの「ミッドウエイ」にもエメリッヒのそれにも登場する。 原題は「Dauntless:The battle of Midway」。最初のドーントレスって何のことかと思ったら爆撃機の名称だったのですね。 日本未公開かと思っていたら、今年2月にヒューマントラストシネマ渋谷とシネリーブル梅田で行われた「未体験ゾーンの映画たち2020」で上映されたそうだ。そういえばそんなチラシを観てこれも「観に行こうかな」と思ったけど時間が合わなくて止めた覚えがあるような気がする。 ようするにアメリカのVシネである。もっとも日本のVシネよりも予算は多そうだ。 前半の30分ぐらいまででミッドウエイ海戦が描かれ、日本の空母攻撃シーンもある。パイロット目線の描写だから、海戦の全体、つまりその後の飛龍の反撃とかはないけど。 主人公たちはエンタープライズからの発艦だが、甲板上のシーンなどバックが合成なのが丸わかり。なんとなくCG臭いのだよ。これがエメリッヒの「MIDWAY」だと気にならないから、やはり金のかけたCGは密度が高いのだろう。 メイキングが特典映像として入ってたけど、それを見ると艦内のシーンもグリーンバックの前で役者は演技し、艦内風景は合成のようだ。かなり低予算である。 んでラストなんだが、主人公二人は当然ラストに助けられるはず。このまま漂流して映画が終わりじゃあ、映画じゃない。いや映画にはなるけれど面白くない。 途中鮫か?と思ったらエイだったりとか雨が降って少しは水が飲めたりするが顔は火膨れのようになっていく。 何日か漂流して(「しかし飲まず食わずだぜ。3日は持たないだろ。排泄物だってあるんだし」などと考えながら観る)、やっとPBYが発見。 PBYに向かって泳いでいく。PBYも一人救助に向かう。 主人公が泳いでいく、PBYも泳いでくる人を向かい入れる、がカットバックであって、PBYに乗せた人の顔がはっきりする。 すると主人公とは別人の顔をしている。巻き戻してみたら、発艦する時にエンタープライズ甲板上で主人公と話していた奴である。 「?」と思っていたら、字幕で説明。 「1942年6月4日、ノーマンとリーは着水した。二人はPBYに発見されることはなかった。6月30日、戦死認定され、海軍十字章がノー万に送られた」と出る。 ここ、静止させてKIAとかの単語も調べたよ。(KIA=戦死) 驚愕のラストだなあ。日本での上映で観た人が感想を書いていて、「ラストで『えっ』となった」と書いてたけど、そのことなんだな。 いや確かに普通に助かっては普通すぎるからなあ。 だからといってこのどんでん返しは驚くよ。 日本語字幕版でいつかちゃんと見直したいな。 僕が処刑される未来日時 2020年4月17日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 小中和哉 製作 平成24年(2012年) 浅尾幸雄(福士蒼汰)は20歳の大学生。親元を離れ一人で生活しているが、生来の気弱さのため定食屋で注文と違うものが出てきてもなにも言えない。 そんな時、道を歩いていると空からの光に包まれ気がついたら警察の取調室にいた。幸雄は5人を殺害したのだという。まったく状況がつかめない幸雄だが、弁護士の生方(関めぐみ)が事情を説明してくれた。 曰く「今は幸雄が20歳だった時代から25年後、この時代はアマテラスと呼ばれるコンピューターに管理され、死刑は廃止された。その代わり死刑相当の犯罪を犯したものを過去から連れてきて公開処刑を行う」システムになっているという。幸雄は自分が将来5人を殺害されるとは信じられない。 幸雄は殺人を犯した25年後の自分に面会する。それは子供の頃近所に住んでいた同姓同名の悪ガキだった。アサオにちなんで自らをキングアーサーといっていた奴だ。 「別人なんだからDNA検査とかして冤罪だと解ってもらえるでしょ?」と生方に訴える幸雄だが、アマテラスは間違いを犯さないという前提を崩したくない司法省長官(寺田農)は再審を認めない。 万事休すと思ったとき、独房のスピーカーからライズマン(吉沢亮)と名乗る男からの声が聞こえる。「今から10秒間扉の電子ロックが解除されるから逃げろ」。幸雄はそれに従い、逃亡し自分の無実を証明しようとする。 「TOEI HERO NEXT」という企画で東映製作の「仮面ライダー」や「戦隊もの」の出演が終わった若手俳優を使っての映画。3〜4本作られたと思うが、公開時も特に前売り券もなくパンフレットもないようなVシネに近いフォーマットでバルト9で1日1回1週間だけ上映されるような形態だったと思う。 福士蒼汰、吉沢亮の出演でこの作品はまあ残ってるが、あとの作品は知らん。出演者もメジャーではなくなったかな。「ヒーローものは若手スターへの登竜門」と言われて久しいがヒーローものに出たからといってスターになるわけではない。山崎賢人とかヒーローものに出ていない方もいる。 で本作だが、25年後の割には25年後を感じさせない。部屋とかは周りの照明を暗くして写さないようにしている。低予算感がある。 それに「自分の冤罪を晴らす巻き込まれ型」というのはよくあるパターンで、それ自体は行けないなくないが、方法として25年後の本当の自分を探す。 同じ時代に二人の自分、が鉢合わせしていいの?とちょっと疑問なのだが、パラレルワールドがどうとかでそれはいいことになっている。 だからタイムトラベルものって苦手なんだよ。 そして25年後の自分を探すためにまず実家の親に電話。そして勤務先を聞き出し、行ってみるが勤務先のホームセンターはすでに退職していた。しかし同僚が最近見かけたと聞いて行ってみると公園でホームレスしていたという流れ。もう少し色々あってもいいんじゃないかなあ。地方に行くとかそこまでの移動はどうするとか、行ってみたらすでに警察の手が回っていたとか。割とあっさりしすぎ。 でホームセンターを辞めた理由が殺人犯の方の浅尾幸雄がナイフなどの凶器を万引きしたのを見かけたがそれを止められなかったということ。なんんか偶然がすぎないか? 生方弁護士も親が冤罪で死刑になって自分も弁護士になり、ある殺人犯を冤罪だと思って無罪にしたらやっぱり真犯人だったという過去を持つ。そしてその被害者の弟が天才ハッカー・ライズマンになってアマテラスの間違いを暴く、という展開。 結局浅尾の冤罪を晴らすことが出来、浅尾は元の時代に戻る。そして家に帰ってら裁判員通知が来ていた、それで浅尾は「今までのようになんとなく流されるのではなく自分の意志をちゃんと言おう!」と決意するという話。(その裁判は生方の父の事件なのだ) 裁判員になるのが唐突だな、と思ったが、ウィキペディア情報では脚本の長谷川圭一が裁判員裁判が始まったときに思いついて書いた小説がベースになっているという。なるほど納得。 福士蒼汰が気弱な青年でこういう役は好きなので福士蒼汰ファンとしては楽しめた。吉沢亮は暗い役が多い。どうも世のプロデューサーは吉沢亮の使い方がうまくないのではないか? いろいろと話に疑問はあるが、まあ楽しんだ。 ザッツ・エンタテイメント日時 2020年4月17日 場所 THE CINEMA録画 監督 製作 昭和49年(1974年)ン MGMが創立50周年を企画して作った同社が得意としたミュージカル映画のアンソロジー。要するにハイライトシーンを抽出して編集した映画だ。 かつて当時活躍したスターたちが思い出を少し語りながら映画を紹介していく。 この映画、公開当時観ている。当時はチャップリンのリバイバルをはじめとして、「かつての名作映画」をリバイバルするのが流行っていた。チャップリンは観ていたし、淀川長治の「ラジオ名画劇場」(そんなタイトル)の影響もあって古い映画にはもともと関心を寄せていたのだ。 それに兄が買ったのだがこの映画のサントラLP(確か2枚組だった)があり、それも時々聞いていたからこの映画に登場した曲はよく覚えている曲もある。 今回先月にジュディ・ガーランドを描いた映画「ジュディ虹の彼方に」を観てもう一度観たいと思っていたところで放送されたから迷わず観た。 (翌日にはパート2も放送された。その翌日には「パート3」も放送されたが、チェックし忘れて録画しなかった。そもそも「2」は知っていたが「3」はいつ公開されたかと思ったら1994年のMGM創立70周年の時だったそうだ。公開されたこと自体、知らなかった気がする。まあ映画から離れていた時期だしなあ) 1929年に初のミュージカル映画が製作された。トーキーになってすぐの頃だという。日本でも東宝は「ほろよひ人生」とか作ってるから、トーキーになれば音楽映画を作ってみたくなったんだろう。 「雨に唄えば」はジーン・ケリーの映画の曲だと思っていたが、この頃からあった曲だったそうだ。 そして30年代から50年代にかけて量産されていく。 60年代になるとテレビの台頭などで映画界も変わっていくから大がかりなセット、大人数のエキストラが必要な大型ミュージカルは減っていったのだろう。 そんな歴史的解説はさておいて、やっぱりフレッド・アステアのタップは素晴らしい。映画を見てると音楽が消えてタップシーンだけになるときがあるのだが、このときはタップの音が軽快な音楽になる。パーカッションでもあるのだな。 フランク・シナトラは歌手で俳優と思っていたが、ミュージカル映画にも出演し、ダンスも踊っていたとは知らなかった。 この映画は見ているのだが、一部の曲しか記憶していなかったしそれに当時はフランク・シナトラが何者かもよく知らなかったのだ。 「歌も踊りもやってことないけど、会社の命令でやらされた」という俳優も出てくる。ジェームズ・スチュワートなどその一人。 クラーク・ゲーブルが歌って踊るなど、当時の観客には驚きだったようだ。 「ジュディ 虹の彼方に」にも登場したミッキー・ルーニーだが、彼は丸っこい印象でイケメンというよりお笑いっぽいイメージだったが、やはりそうだった。今回登場したミッキーも顔も丸く体も丸かった。記憶は間違っていなかった。 なんといっても圧巻はエスター・ウイリアムズ。「水着の女王」として数々の水泳をしながらのミュージカルシーン。今のシンクロナイズド・スイミング(今はアーティスティックスイミングか)である。 公開当時に観た覚えでは大プールで何人ものダンサーたちと踊り、水の中でも踊り、果ては彼女が乗った台がどんどん上に上がり、下には放射状に並んで泳いでいる中で、真ん中の開いたところに飛び込む!といった芸当もする。もはやミュージカルを越えてサーカスの曲芸である。 ミュージカルシーンしか観てないのだが、いったい全体はどんな映画だったのかと思う。DVDにはなんとかなってるらしいので、46年間の疑問を近いうちに確認してみようか知らん。 ジュディガーランド本人は登場せず、ミッキー・ルーニーやライザ・ミネリが登場し紹介する。何か事情があったのかと思ったが、69年に亡くなっていたのですね。 あと記憶に残っていたのは映画「雨に唄えば」のシーンで「MAKE IT LAUGH」のシーンか。 しかしそれにしても不思議でならないのは、この映画公開当時しか観てないのに妙に記憶に鮮明なシーンがあるのだな。家でサントラを聴いて脳内再生をしていたのだろうけど、それにしても鮮明だなあ。昔は入れ苗なしだったから、時間さえあれば2回続けて観ることも可能だったから2回観たのかな? MGMミュージカルってその後も観る機会はないし、今ならその一部はDVDで鑑賞できるから、特にエスター・ウイリアムズの映画など鑑賞してみたいと思う。 懐かしかった。 テンタクルズ日時 2020年4月12日 場所 blu-ray 監督 オリヴァー・ヘルマン 製作 1977年(昭和52年) カリフォルニアの海岸にいた赤ん坊が消え、クルーザーのデッキで掃除していた男が消えた事件が頻発した。新聞記者ターナー(ジョン・ヒューストン)は遺体を見てそのひどさに驚く。検死官の話では何かに吸い取られたようだと話す。ターナーは近くで行われてるトロージャン建設の海底開発が関係しているとにらむ。 各事件の共通点を考えるうち、電波が関係していると気づく。 ターナーは海洋学者のグリーソン(ボー・ホプキンス)に相談するが、今は潜水病で潜れない身体になったため、グリーンソンは仲間の潜水士2名を調査に向かわせた。しかしその2名も何者かに襲われた。 ターナーの妹デイリー(シェリー・ウインタース)は息子とその親友を近くで行われるヨットレースに参加させた。しかしそのレースも怪物に襲われた。怪物の正体は大だこだったのだ! そしてグリーンソンの妻ヴィッキー(デリア・ボッカルド)と妹、妹の夫もたこに襲われた。 グリーンソンはタコ退治を決意する。 77年6月公開。「ジョーズ」以来動物パニック映画が流行し、その1本として公開。ノースターのいかにも便乗映画!っていうのではなく、ジョン・ヒューストン、ヘンリー・フォンダ、シェリー・ウインタース(ぐらいだけど)オールスター感もあって大いに期待した。 また「トレンブルサウンド」(確か)と言ってユニバーサルがやっていた「センサラウンド方式」と同じような特殊音響もあってとにかく「大作」感が満載だったのだ。 ところがこれが大はずれだったのである。ここまで期待と違った映画も珍しいのではないか?史上まれにみるがっかり映画である。 公開時にみた記憶では、最初の方の犠牲者の首が海の中からドーン!と出てくるところはショッキングだったが、それしか覚えていなかった。 それもそのはず、それ以降全く見所がないのだ。 少なくともどうやってタコを倒したか?ぐらいは覚えていても良さそうだが、記憶にない。というか「なんか暗くてよくわからなかった」という印象がわずかに残っている。 見直してみたが、なんとグリーンソンが飼育していたシャチに倒させるのである。ここもね、普通、伏線(というか計画)があってシャチに倒させるならともかく、そういう予告はなく、シャチを水槽(というかオリ)に入れていったけど、タコに壊されて、グリーンソンが潜って結局岩が崩れてばたばたしてるといきなりシャチが現れる。 もう少し活躍しろよ、グリーンソン。 その前にもヨットレースの会場にタコが現れて阿鼻叫喚のパニックになるならともかく、なんかこう誤魔化そうとしてるんだな。最初から東宝特撮に依頼すればよかったんだ。 ほかにもターナーは結局何の活躍もしないのに主役とかトロージャンの社長のヘンリーフォンダは完全に顔見せでしかないとか不満も多いが、それは解説書に書いてある。 今回のblu-rayで一番よかったのは映像が鮮明だったこと。公開時はとにかくなんだかはっきり写ってなくてよくわからなかった、という印象あったから。 期待が大きかった分、がっかり度も大きかった。見たことすら忘れてる映画に比べれば、遙かに記憶に残る映画だったことは確かである。 オーメン・最後の闘争日時 2020年4月11日 場所 DVD 監督 グラハム・ベイカー 製作 1981年(昭和56年) 今や32歳でソーン財閥の社長となったダミアン(サム・ニール)。キリストの生まれ変わりが近々イギリスに現れると知り、駐英大使の座を大統領に進言して勝ち取った。現イギリス大使は奇妙な自殺をしたが、それもダミアンの思惑だった。 しかし27年前にエクソシストのブーゲンハーゲンがダミアンの父に託したメギトの剣はイタリアの修道士たちの手に渡る。 ロンドンに着任してすぐにBBCの女性キャスター・ケイトのインタビューを受けるダミアン。テレビ番組に出演中に修道士の一人に襲われそうになったが、ダミアンの秘書ディーンが気がついて難を逃れた。襲った修道士は死んだ。 ディーンはダミアンが悪魔だと知っていたが、自ら悪魔の使徒になっていた。修道士たちに何度も襲われるダミアンだが、何とか逃れることに成功した。 3月24日の早朝にイギリスで生まれた男の子がキリストの復活なのだ。ディーンにも子供が産まれたが、ダミアンには「23日の0時10分前生まれだ」と偽っていた。 イタリアからやってきた神父のリーダーがケイトに接触。ダミアンと恋仲になりかけている彼女にダミアンは悪魔だと教える。ケイトもダミアンの髪の毛の中に「666」の印を見つけ、確信する。 次々と起こる赤ん坊の変死だが、すべて事故で片づけられていた。ダミアンはディーンにも子供を殺すように伝える。 ケイトは神父と組んでダミアンを殺す計画をたてる。 「オーメン」シリーズ最終作。今回のDVDは数年前に「オーメントリロジー」として3本セットでBOXに入って中古で売っていたDVDを800円(BOX付きでだよ)で買ったもの。25周年記念BOXと書いてあるが、2001年に発売されたバージョン。DVD自体が20年近く君臨している媒体としているのが当たり前ながら驚く。 はっきり言っておもしろくない。 何でだろう。グレゴリー・ペックなどのスターが出演していないからか。 ちなみに主役のダミアンを演じているのが、知らない役者だと思っていたら若き日のサム・ニールだった。サム・ニールって「ジュラシック・パーク」以外知らなかったもので。 人の死に方も以前ほどショッキングさがなくなったことか。 まず第一は役者だろう。スターか否か、ということもあるが、1作目の新しい乳母役のビリー・ホワイトローとか、ブレナン神父役のパトリック・トラウトンとかジェニングス役のデビッド・ワーナーとか怖かった! 今回はそういう「なんだか不気味さを漂わせる役者」がいないのだな。 ダミアンを知る秘書役とか単なる腰巾着だし、第一自分の子が殺されそうになるとビビるとか小物感いっぱい。 あと動物。1作目では黒い犬、2作目では黒い鳥、が悪魔の使いのような役目を果たしていて、今回も犬が少し登場するが、規模は規模は小さくなってる。 あと豪華さ。 1作目の2作目もイギリスやアメリカの上流階級感があって何か豪華さがあった。 今回も狐狩りのシーンとかあったけど、ダミアンの狭いオフィスが多く、なんか豪華さに欠けたなあ。 1作目のDVDの特典で関係者のインタビューをまとめたドキュメンタリーがあるけど、その中で「目のアップ」について言及していた。 乳母や犬の目のアップが入り、いかにも何か邪悪な力を目から発しているようでこれが怖かった。このあたりはやっぱり演出になるから、監督の力量なんでしょうねえ。 1作目がというお手本があるのだから、研究すればよかったのだ。 そうすればもう少しまともになったかも? あとラスト。秘書の妻が黒犬によって気がおかしくなってアイロンを持ち出す。そこへ例の太鼓持ちが帰ってきて、驚く顔があって妻によってアイロンを顔に当てられ死亡。これ赤ん坊はどうなったのだろう? 発表されてるあらすじを読むと太鼓持ちが死んだことは書かれてるけど赤ん坊については触れられてない。でも流れとか、太鼓持ちのリアクション(DVDなのでこのシーンをもう一度見た)を見ると妻が赤ん坊に殺されたように思える。 しかし話としてキリストの再来を殺しちゃっていいの? 最後に結局ニュースキャスターの息子がダミアンの盾にされて殺され、その恨みもあってキャスターがダミアンを殺す。その後にキリストが現れるのだが、なんかしょぼい。ここは雨風吹き止まぬ中とかの演出がほしかったなあ。予算、少なかったんか。 もう一つ書いておくと、ニュースキャスターの息子がダミアンの使いをするようになる。やはり少年、が悪魔の使いをするというシーンがほしかったからかな。もともと1作目が「無垢に見える少年が悪魔」というギャップが怖さをはじめとするすべての魅力の根元だったのだ。 だから本作も超絶イケメン級の美青年がダミアンを演じなければ作品の魅力はないのだ。 サム・ニールはいい役者だけど、今回はあわなかったかなあ。 さっき書いた特典映像のインタビュー、1作目の予算は220万ドルだったとか。当時の価格で4億円。ハリウッド映画なから安い方だよなあ。 ホラー映画は低予算でヒットが見込める、という当時のセオリーを表した映画だったんだな。 なんだかんだ言ってもこのシリーズは70年代のホラー映画の成功から、「スターウォーズ」をはじめとするSF映画に流行が移り変わっていく過渡期の一つの象徴として記憶されるべき映画だと改めて思った。 いい勉強になった。 オーメン2・ダミアン日時 2020年4月11日 場所 DVD 監督 ドン・テイラー 製作 1979年(昭和54年) デビッド・ソーンが息子ダミアンを殺そうとして射殺された事件は海外でも報道された。エクソシストのブーゲンハーゲンはその事件を知り、発掘された「悪魔の子」として描かれた肖像がダミアンとそっくりと知った直後、遺跡の崩落で亡くなった。 7年後、ダミアンは今は父の弟のリチャード・ソーン(ウィリアム・ホールデン)の家で暮らしてた。リチャードはシカゴで大企業のソーン産業の会長として活躍していた。従兄弟とともに陸軍幼年学校に進むダミアン。 ソーン産業では農薬なども生産していたが、新しい幹部が「世界で土地を買って自社の農薬と肥料で世界の食料危機をビジネスチャンスにしよう」と提案していた。しかし社長はそれを「土地を買い占め小作農を生み、貧富の差を生む」と否定的だった。 そんな中、ダミアンの周りでは人が死んでいく。まずはダミアンとリチャードの息子を別の学校へという叔母、ソーン産業の社長、ダミアンの出自に疑問を持ったり、新幹部の事業に反対するメンバーばかりが死んでいく。 リチャードもダミアンが悪魔の子と知るに至り、殺そうとするのだが。 「オーメン」の大ヒットに続いて作られた第2弾。これは公開当時観に行った記憶があるが、まるで面白くなかった覚えがある。それで最終作の3弾は観に行かなかった。昔の方が評価に正直だ。今なら「今まで観たから」と義務で観に行ったかも知れない。 面白くない理由は話がわかってしまってるからだ。 前作は観客は予備知識、またはお話の常識、としてダミアンが悪魔の子、と分かってるのだが、主人公たちがそれの調査に行って確認していく課程が楽しめる。またダミアンが生き残らずに死ぬラストもあり得る。 でも今回は最初からダミアンが悪魔の子と分かってるし、3作目もあると聞いているから(当初は4部作になると聞いていたが、実際は次が最終章。4部作というのが私の聞き違いだったのか、あるいは変更になったか)生き残ることも分かっている。 それでも作品を成功させる人はいるだろうけど、今回はそうではない。 主役がウィリアム・ホールデンなのだが、これがまるで機能しないのだ。 誰かが気づく、報告しようとするがその前に死ぬ、の繰り返しでウィリアム・ホールデンが事態に気づいて動き出すまでに時間がかかりすぎ。 それでどうにもウィリアム・ホールデンが影が薄いのだなあ。 変死のオンパレードなのだが、一つだけ覚えていたのは(というか映画の中でそこしか覚えていなかったが)アイスホッケーを湖に張った氷の上で行っていたが、割れてソーン産業の社長が落ちるところ。 氷の下を流されていき、全く浮き上がれない状態が続くシーンは怖かったなあ。 ダミアンの血液検査をした医師が「人間の血じゃない、山犬の血だ」と気づいてエレベーターに乗るが、エレベーター事故で落ちてしまい、それだけでなくワイヤーで体が真っ二つにされるところ。今まで忘れてたけど、観たら思い出した。 あと公開当時「ダミアン役がもっと美少年ならもっと盛り上がったのに」という女性映画評論家の批評を読んだ覚えがあるが(書いた人が誰だったか忘れた)、確かにまあ美少年といえば美少年だが、「超絶」というほどではないからね、今回のジョナサン・スコット=テイラーは。 それだけじゃないと思うけど(脚本の段階でもっとウィリアム・ホールデンの活躍させればよかったのだ)、凡作になってしまったのは否めない。 オーメン日時 2020年4月10日 場所 DVD 監督 リチャード・ドナー 製作 1976年(昭和51年) アメリカの外交官・ロバート・ソーン(グレゴリー・ペック)は待望の子供が産まれたと連絡を受けるがすぐに亡くなったと聞かされる。「妻になんていえばいいんだ」と悩むソーンに病院の牧師は「同じ時に生まれて母親が亡くなった子がいる」と告げられ、その子を引き取ることに。 程なく駐英大使に就任。一家はイギリスに移った。 子はダミアンと名付けられた。ダミアン5歳の誕生日に若い乳母が自殺した。その後、「斡旋所から紹介されてきた」というベイロックという中年の乳母がやってきた。自分たちに何かと意見するベイロックにソーンは若干いらだつ。 ある結婚式に親子3人で出席しようとしたが、教会の前でダミアンは暴れ出した。何かおかしい。 そんな時、ローマから来たというブレナン神父が話があるとやってきた。ダミアンは悪魔の子で殺さねばならないという。その後、神父は落雷にあった避雷針に串刺しにされて死亡した。 また写真ジャーナリストのジェニングス(デビッド・ワーナー)乳母やブレナン神父の写真を撮ったときに死を予言させる影が移っていたというのだ。 ソーンとジェニングスはダミアンの本当の母について調べるため、ローマに向かった。 「エクソシスト」の大ヒットを受け、「オカルト映画」「ホラー映画」というジャンルが大ヒットしていた頃。このころは同時にパニック映画もはやっていた。いまより刺激が強い映画が流行っていた時代だなあ。 この映画、高校生の頃に観たと思っていたが、76年なら中学生である。 コロナ問題で映画館が休館なので買ったままになっていたDVDを観るのだが、「バラキ」「カサンドラ・クロス」など70年代の映画に手がでてしまう。 2006年にもこの映画のリメイクが作られたが、公開規模は小さく、東京では六本木でだけ1日1回ぐらいしか上映されず、日曜の夜9時から「いやな時間だなあ」と思いながら観に行った覚えがある。 このオリジナル版を初見で観たのはたしか今はなき中日シネラマ。大劇場だ。 今回改めて思ったのはやっぱりグレゴリー・ペックである。この映画から私はグレゴリー・ペックのファンになったのだ。「ローマの休日」ももちろん好きだけど、ペックの風格というものが、この映画の「格」をあげている。「子供が産まれたにしては歳だ」という批評を公開当時読んだ覚えがあるのだが、なんのなんのペックの風格がこの映画の重厚感を増しているのだ。 やっぱりスター、一流俳優が出ると重みが違う。これは「カサンドラ・クロス」のバート・ランカスターでも思ったけど。 ジェニングスの首が工事現場の車からガラスが滑り落ちて切り落とされるのが一番ショッキングなシーンだが、このシーンはCMとか映画紹介番組で何度か観ていたので、初見の時はそれほどの衝撃はなかった。 一番ショックだったシーンはソーンがローマに戻ったシーンである。 ローマに戻ったソーンはダミアンが生まれた病院が大火事になったと知る。すべてを知ると思われる神父も火事で九死に一生を得たという。 その神父を訪ねてみた時、はじめは神父の顔の左半分だけを写す。 そしてソーンが肩を持って顔をこちらに向けると右半分が火事でただれていた!というシーンがショッキングだった。「オーメン」で一番怖かった記憶のあるシーンはここだった。 たぶん特別な見せ場ではないので特にテレビの映画紹介でも出なかったのだろう。 この映画がテレビ放送されたときに半分くらい観たのだが、このシーンは(たぶん時間の都合で)カットされた。 今回このシーンを楽しみにしてみたが、記憶と違っていた。ソーンが体の向きを変えたと思っていたのだが、単にカメラが切り替わっただけだった。あれっと思ったが、初見の時は想像していなかった「ショック」なカットだったので、びっくりして印象に残ったのだろう。 特に名作だと思わないし、基本ホラー映画は趣味じゃないので何度も観たくなる映画ではないが、自分の映画史では映画を見始めの頃に観たおもしろかった映画で、非常に記憶に残る映画だ。 それは確かである。 ラストで大統領に引き取られ不気味に笑うダミアンもいい。 カサンドラ・クロス日時 2020年4月8日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 ジョルジ・パン・コスマトス 製作 1976年(昭和51年) スイスの国際保健機構(IHO)にテロリスト3人が侵入し、建物を爆破しようとした。警備員との銃撃戦で爆破は免れたがテロリストはある研究室に逃げ込み、そこである液体を浴びた。1人は射殺され1人は逮捕、一人は窓から逃亡。スエーデン行きの大陸横断列車に乗り込んだ。 その列車には有名な医師・チェンバレン(リチャード・ハリス)、その元妻・ジェニファー(ソフィア・ローレン)、行商人のキャプラン(リー・ストラスバーグ)、牧師ハーレイ(O・J・シンプソン)、西ドイツの武器メーカーの社長夫人・ドレスラー夫人(エヴァ・ガードナー)、その愛人・ナバロ(マーティン・シーン)が乗っている。 アメリカ陸軍情報局のマッケンジー大佐(バート・ランカスター)はテロリストが浴びた液体は研究中の病原体だったと逮捕された男の担当医エレナに認めた。 「ただちに列車の乗客を隔離施設に入れるべきだ」と主張するエレナに対し、「どの国も引き受けない。ポーランドの施設に送る」という。 列車のチェンバレンと連絡を取り、すでに出ている感染者の対応に当たる。 ポーランドの施設に行くには「カサンドラ・クロス」と呼ばれる鉄橋をわたらねばならない。それを知ったキャプランは「危険だ。絶対に行きたくない」という。 前年に「ジョーズ」の大ヒットを受け、若手新人監督がもてはやされた70年代後半。この映画の監督ジョルジ・パン・コスマトスもその一人。「第2のスピルバーグ」と言われたものだ。その後は大した活躍はなかったようだけど。 2020年4月8日は新型コロナウイルス問題の緊急事態宣言を受け、首都圏のほとんどの映画館が休業を開始した日だ。(上野オークラ、光音座は4月9日から) そんな日に感染症を題材にした「カサンドラ・クロス」を観る。 レンタルDVDなのだが、4:3のテレビ用フォーマットなので、今観ると俗に言う「額縁仕様」である。 公開された頃、名古屋駅前の毎日ホール大劇場で「ラスト・コンサート」と2本立てて観た記憶がある。そのときは「めちゃくちゃ面白かった!」と思った覚えがある。 その後は40年以上、レンタルとかで観ようと思えばいつでも観れたのだが、なぜか観なかった。十分お腹いっぱいになったからもうよかったのかな? 実際、40年ぶりの鑑賞(ひょっとしたらテレビ放送とかで観たかもしれないが記憶にない)なのだが、結構覚えていた。 今(というか最近は多少は感染症に対する知識も身近になったので)観ると「そんな秘密の病気を研究する部屋に窓があるかあ?」「接触して1時間ぐらいで発症するの?」「高濃度の酸素を吸わせると活動が鈍る、ってそれぐらい研究段階でわかってろよ!」と突っ込んでしまったが、それにしても面白かった。 まず疾走する列車というのはそれだけでサスペンスが盛り上がりますね。 「バルカン超特急」の時代から「列車ものにはずれは少ない」です。 前半の感染した犬をかごに乗せてヘリでつり上げるシーン、途中駅で防護服を来た兵士に隔離される不気味さ、そしておそらく崩壊する橋に向かって疾走する列車、それを止めようとするチェンバレン博士をはじめとする乗客たち。 サスペンス満載である。 話も至極単純。乗客たちも訳ありそうで、OJシンプソンの牧師などいかにも怪しい。(実は麻薬捜査官だったのだが) リー・ストラスバーグの行商人はおそらくはユダヤ人で過去にナチスに妻と子供を殺された経験があるようだ。 列車を止めることをあきらめ、食堂車を爆破し連結器を切り離すチェンバレン。この列車の飛び移りとか列車ものではお約束だなあ。 ラストで乗客の半分は助かったようだが、マッケンジーは隠蔽が成功したと思ったらしく、さっさと帰る。おいおいいいのかよ? そう言えばこのラストがなんだか納まりが悪いと思った覚えがある。 そしてマッケンジーの部下のスタック少佐が「今見張りをつけました」と電話をするラストが初見の時は非常に印象に残った。 ラストに予想がつかないひねりがあった気がして。 キャストも豪華。 バート・ランカスターはこの頃はもう出演作が少なくこの後は「合衆国最後の日」ぐらいしか記憶にない。それでも貫禄十分。(直接関係ないが、マッケンジーがトイレから出るときエアタオルを使っていて、そんなもの当時の日本では一般的ではなく「すげー。未来的!」と思ったし、今でもトイレでエアタオルを見るとこの映画を思い出す。 マーティン・シーンは「地獄の黙示録」の前で、もう「黙示録」の撮影に入った頃ですでに出演は報じられていたと思う。それで次世代のスターとして注目されていた。 エヴァ・ガードナーとソフィア・ローレンは私は全盛期を知らないが、それでも存在感抜群。 OJシンプソンは「タワーリング・インフェルノ」に続くオールスターパニック映画の出演。(この後刑事事件を起こすのだが) 名作中の名作とは言わないが、今でも十分おもしろかった。 70年代の私の映画を見始めた頃の名作として、個人的にはものすごく記憶に値する作品だ。 東京上空三十秒日時 2020年4月5日 場所 DVD 監督 マービン・ルロイ 製作 1944年(昭和19年) 日本公開 1957年(昭和32年) アメリカ陸軍航空隊のドゥーリットル中佐(スペンサー・トレーシー)は特殊作戦を開始した。まずB25と乗組員を志願で集めた。作戦はきわめて困難かつ危険だったからだ。 テッド・ローソン(ヴァン・ジョンソン)も参加した。彼は新婚だったが、結婚してすぐに太平洋戦争が始まり、妻とはわずかしか一緒に暮らしていない。今回の作戦はまずはアメリカの航空基地に集合、そして訓練が始まった。宿舎は近くのホテルで妻も呼んでよいことになり、妻と暮らしながら訓練する。 作戦内容は直前まで秘密。通常より短い速度、短い距離で離陸する訓練が行われた。出撃命令は突然下った。妻とはろくに別れの挨拶も出来なかった。 左のエンジンに不調を感じながらも西海岸に飛ぶローソンたち。驚いたことにB25は空母ホーネットにクレーンで乗せられた。太平洋を日本近海まで接近し、そこから日本へ向けて発艦し爆撃するのだ。 敵艦に発見され、予定より早く発進するドゥーリットルたち。ローソンも乗り込んだが、左エンジンが起動しない。 77年の「ミッドウエイ」の冒頭に登場する東京空襲シーンの元の映像がこの映画、とは聞いていてDVDが1200円ぐらいで売っていたときに買ったこの映画。買ったのは日付を見ると2008年8月10日。実に12年という期間買ってそのままになっていたわけだ。コロナ騒動で家にいるのでDVDを見るのはいい機会である。最近エメリッヒの「MIDWAY」を見てその関連映画を観たくなったので鑑賞。 脚本が驚いたことに「ローマの休日」のドルトン・トランボだ。 後に赤狩りで追われる人がこの戦意高揚映画の脚本とは! (1944年の終戦前の映画だから戦意高揚映画でしょう) 前半、作戦の内容も知らされず、短い滑走で離陸する特殊な訓練を行う。 このあたりは特殊作戦ものの映画のおきまりで観客の気分は高まる。 そして発進。空母にクレーンで運び込まれる。 空母についてなれない陸軍のメンバーは船の中で迷子になったり、ポーカーで巻き上げられたりのお笑いを入れながら、いよいよ作戦開始へ! 「敵に見つかった、予定より早く出撃!」というあたりは戦争映画らしい盛り上げ方。しかもいざ出撃という時に左のエンジンが起動しない。あわや、というところで発艦出来たのも戦争映画らしい盛り上がり。 んで富士山が見えてどこをどう通ったのかさっぱりわからないまま、東京のどこを空襲してるのかさっぱりわからないまま(いやローソンたちには解ってるんだろうが、映画では特に説明はない)、空襲成功、日本脱出。 ここで映画は終わるかと思いきや、まだ1時間半である。この映画、2時間18分もあるのだ。 この後中国大陸の海岸に不時着するが、ローソンは足を負傷。中国人に助けられるが、結局は左足を切断する。作戦は終わって後日談なので、観てるこっちはもう完全に盛り上がらないし、気分はさめている。 ここはもう映画にしなくていいんじゃいないかなあ。適当に説明しておけば。 ラストは妻との再会で足がなくなってることを気にするローソンだが、「そんなことは大したことではない」と言ってのける妻、という軍国の妻かくあるべし、という結論。 後半の中国の部分がなければそこそこ楽しめましたけどね。あそこは完全に蛇足です。それとも中国人に花を持たせることも目的だったのかな。 出撃シーンとか、東京空襲の特撮、合成はなかなかの出来。そこは楽しめました。 バラキ日時 2020年4月5日 場所 blu-ray 監督 テレンス・ヤング 製作 1972年(昭和47年) 1963年、ニューヨークのイタリアギャング組織、コーザ・ノストラの幹部、ジョー・バラキ(チャールズ・ブロンソン)が刑務所に収監された。バラキは自分の命が狙われていると思い、同じ刑務所に収監されているかつての仲間やボスのジェノベーゼ(リノ・ヴァンチェラ)に会う。 しかしバラキの殺害を命じているのはジェノベーゼだった。 バラキは全く関係ない囚人を自分を襲ってきたと思いこみ、殺してしまった。そのことがきっかけでバラキは陸軍刑務所に移送される。 そこでバラキはFBIの捜査官に自分がこの世界に入ってから今までのこと話すのだった。 「ゴッドファーザー」の公開でアメリカにおけるイタリアマフィアものが一時期流行った。その中でもこの「バラキ」はチャールズ・ブロンソン主演で流行った中でも大作の方だったと思う。 もっともチャールズ・ブロンソン自身もA級とB級の中間ぐらいにいた人という印象。今はあまり語られることもなくなったし。 そういえば「仁義なき戦い」は73年1月公開だから(「ゴッドファーザー」は72年7月、「バラキ」は72年12月)この頃は邦洋とも実録マフィア映画が流行っていたことになる。 「仁義なき戦い」は洋画に影響されたというより、「任侠もの」の反動として生まれてきた映画だと思うが、とにかく70年代前半はこういった「やくざ映画」が流行っていたのだ。(これが「ポセイドン・アドベンチャー」でパニック映画に切り替わっていくのだが。ちなみにこれも72年) そんな感じだが、この映画自体はテレビ洋画劇場(これも70年代に観たのだが)で半分くらい観ただけで、ちゃんと観たのは今回が初めてだろう。そんな感じなのだが、家にサントラLPがあったので(たぶん兄が買ったのだろう)記憶には残っているのだ。 数年前にブルーレイを買い、なんだかそのままになっていたのだが、今回コロナウイルス問題で映画館は閉まってるし、家にいなくてはいけないので、買ったままになっているDVD等の消化で鑑賞。 2時間5分の映画だが、長く感じたなあ。途中で電話がかかってきたとかあったのだが、結局4時間ぐらいかけて観たんじゃないか。 それは面白くないのである。 バラキは若い頃は泥棒だったが、刑務所で知り合った男に「出所して困ったときは訪ねてこい」と言われたのを頼りにマランツァーノ一家の一員になる。そのときに対立していたのがマッセリア一家。大抗争が始まったが、抗争に疲れたマッセリアの幹部、ルチアーノとジェノベーゼはマランツァーノにマッセリアを殺す機会を作る代わりに抗争の終止符を持ちかける。 バラキはマランツァーノの直接の配下に入ったが、ルチアーノとジェノベーゼは結局はマランツァーノを殺害してしまう、という広島やくざ戦争も顔負けの抗争になるのだ。 なんか面白くなりそうだが、そうならないのが不思議なところ。 演出も平板で同じようなシーンが続くからかなあ。 テレビ放送で特に印象が深かったのは(偶然そのシーンだけ観た気もするのだが)、マランツァーノが太平洋戦争が始まったあたりで「麻薬ルートを開拓する」と言って数年アメリカを離れ、故郷のイタリアへ。 その間に元歌手の妻が浮気をしてるらしいとバラキとその仲間に見張らせる。妻の方はなんと女と遊んでいたのだが(つまりレズ)、基本的には男も好きなようで、バラキの友人が誘惑されて乗ってしまう。 んで、マランツァーノの帰国後、それがばれて友人の方はあそこを切り落とされてしまう。バラキは目の前で苦しむ友人を射殺する。 このあたりは女性ヌードもあったし、あそこが切られるとか、まだ10代前半だった私には衝撃的だった。「バラキ」の記憶の半分はこのシーンの気がする。 ラスト、彼は獄中死するのだが、ナレーションで「彼は絶対に脱獄できない監獄ではなく、絶対に侵入できない監獄に入った」と言ったと記憶していたが、このソフトには字幕にもテレビ放送用の吹き替えにもそれはない。 おかしいなあ、と思っていたらキネマ旬報の映画紹介をベースとするMovie Walkerのデータベースに「バラキはジェノベーゼの死後まで、完全警備の独房の中で生きた。逃亡を防ぐためではなく、中に入り込めなくなっている独房の中でーー」とあるから、どこかで読んだストーリー紹介で読んだ記憶だったのだろう。 出演のリノ・バンチェラだが、英語版はおそらく吹き替え。イタリア語版もこのソフトには収録。アメリカ映画だと思っていたが、ディーノ・デ・ラウレンティスの製作で、Wikipediaによるとイタリア=フランス合作映画。Movie Walkerではイタリア=アメリカ合作映画。 どっちにしろラウレンティスの映画だし、イタリア色強かったんでしょうね。 すずしい木陰日時 2020年4月4日19:00〜 場所 新宿K's cinema 監督 守屋文雄 どこかの木陰。ハンモックで若い女性が寝ている。やがて陽は傾いていく。 内容を紹介するとこれだけである。 事前に「若い女性が木陰で寝ているだけの映画」と聞いていたのちょっといやなイメージがあったのである。私はそういう変わった、実験的な映画が嫌いなのだ。得てして実験は失敗する。斬新に思えることでも映画120年の歴史ではすでにやられてることが多い。 しかも96分ある。実験映画で96分はつらい。 と思って見始めた。最初は少し退屈である。 しかし途中から気づく。何かが起こっている。 私は最初、ハンモックの下にある蚊取り線香(たぶん)のたなびく煙で気づいた。 動いている、動いている。 女性が起きあがる、寝返りを打つ。 蝉の声がし続ける。 女性が起きる。「ピヨピヨピヨ」と鳴き真似をする。 やがて陽が傾き出す。西日で画面はハレーションを起こし出す。 レンズの反射が写り出す。 しかしそれも徐々に徐々に収まっていき、木々の隙間から太陽がちらりと見せる。 みんな感想で「なにも起きない。しかし確実に何かが起きている」 意味不明の感想。でも映画を観て「その通り!」と実感する。 「ゆく河の流れは絶えずして、しかし元の水にはあらず」という方丈記の一節を思い出す。 そう、時は流れる。 最初環境ビデオのようだと思ったが、これはちょっと違う。1時間半強の時間の変化を感じる。 主役は太陽、共演は木々、木陰、蚊取り線香、草たち、風、そして若い女性。 太陽は動く。それはまさしく大宇宙の営み。 こんな小さな空間をとらえただけで大宇宙の動きを感じさせる。 後半、私は太陽が沈んで徐々に陰が変わっていく様を観ていた。 「このまま日暮れまでいく?」と思った頃で、終わり。 96分の長さを感じさせない。もっと観たい気すらする。 96分でも飽きる映画はたくさんある。96分退屈させないとは大変なことなのだ。今日、昼間観た「リアル鬼ごっこ3」も同じくらいの長さだが、退屈しまくり。 しかし大自然のほんの一部を切り取っただけの映画では退屈しない。 「昨日と同じような今日」が続いても「10年前と今日」は確実に違う。 少しずつ変化している。その大きな時の流れの変化を少しだけ切り取った映画。 まさかこんな表現があるなんて。びっくりした。今年はいい映画との出会いが多い。 リアル鬼ごっこ3日時 2020年4月4日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 安里麻里 製作 平成24年(2012年) 近未来。ここは王様が支配する世界。ある高校に通うスグル(山崎賢人)はかつては陸上部のエースだったが、今は辞めていた。 ある日、王様がテレビで「これから特定の場所でリアル鬼ごっこを始めます。ターゲットになるのは血液型がB型の人です!」と言われ、学校が封鎖されマスクをかぶった男たちが乱入してきた。彼らはつけているメガネで瞬時に血液型を把握し、襲うことができるのだ。鬼ごっこは1時間。始まる時間は王様が自由に決められる。そして3日間生き残ったらプレイは終わりだ。 B型以外の生徒は自宅に帰される。 体育館に集まったB型の生徒たち。教師(戸田昌宏)が「みんなで協力して生き残ろう」とバリケードを作ったりするが、結局は教師は一人で隠れ、殺される。 スグルの親友のコダマはB型じゃないが、見捨てられなくて戻ってきた。 陸上部のオンジはかつてのライバルでチームメイトのスグルのことを恨んでいた。リノは同じくB型の小学生の弟が心配でならない。 山崎賢人で検索してたら出てきたこの映画。「リアル鬼ごっこ」が第1作は観たが、その後はついていけなくて観てない。 山崎賢人もまだ少女コミックの実写化に連続出演する前で、ブレイク前になる。 この頃から華のある美少年ぶりは変わっていない。 それにしてもこの映画1時間30分以上あるのだよ。 もう内容なんか追いかけられてるだけで何の仕掛けもない。 たとえば鬼を倒した後にゴーグルを見つけて彼らに発見されない工夫をするとか、鬼の人数が最初から決まっていて「あと何人だ」とかしないと話が進まないだろう。 時間も王様の気分じゃあ、ルールが敵の都合すぎてフェアに戦えない。 一応、死んだ人の携帯電話のカメラ機能を使ってパソコンと連携して監視カメラ網を作るって設定がテキトー過ぎないか。 まあ予算もないだろうし、脚本に手間暇かけられなかったとは思いますが。 見所は山崎賢人だけなのだが、彼が陸上を辞めた原因について一人語りをするシーンはやっぱり山崎の演技の見せ場である。 彼はオンジと100m走のインターハイ出場を争っていたが、スグルが勝ち取った。しかしスグルはプレッシャーからか試合が近づくにつれ走っているとめまいがするようになり、結局は試合当日逃げ出したのだった。 それをリノに語るシーンはよかったですね。 最後にオンジとスグルとリノだけが逃げおおせるのだが、3日目の24時になったところで、王様から「延長戦でーす」と告げられる。 すでに傷ついていたオンジは息絶える。そのときにピースサインの出来損ないみたいな手の動きをする。てっきりピースサインなのかと思っていたら、ネットで他の人の感想を読んだら、あれは陸上のピストルのサインだったらしい。解りづらいなあ。 エンドクレジットで今は有名になった人が生徒役で出てなかったかとよく見ていたら門脇麦の名前があった。どこに出ていたかは解らなかったが。 監督の安里麻里、どこかで聞いた名前だと思ったら、山崎の「氷菓」や昨年の「アンダー・ユア・ベッド」の監督だった。 へーこんな仕事もしてたんだ。 「リアル鬼ごっこ」はこの後「4」「5」として安里監督によって作られる。でもたぶん観ないだろうな。 今回も山崎賢人だから観ただけなので。 |