2020年8月

   
家光と彦左と一心太助 狂武蔵 青くて痛くて脆い
弱虫ペダル おかあさんの被爆ピアノ 劇場版ウルトラマンタイガ
ニュージェネクライマックス
サンシャイン・アフター・ザ・レイン 思い、思われ、ふり、ふられ ぐらんぶる 団鬼六 奴隷船
三十路過ぎの人妻
午後の不倫タイム
多感な制服
むっちり潤い肌
テイクオーバーゾーン のら犬作戦

家光と彦左と一心太助


日時 2020年8月30日19:00〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 沢島忠
製作 昭和36年(1961年)


家光がまだ将軍になる前の時代。新年が明けて江戸城は新年の祝賀で大忙しだ。そんな時、家光(中村錦之助)ではなく弟の忠長(中村賀津雄)を将軍にせんとする一派が家光の暗殺を企てた。
家光の側近の彦左(進藤英太郎)はなんとしても家光の命を守りたい一心で知恵を絞る。
そんな時、以前から出入りしている魚やの一心太助(中村錦之助)が家光様にうり二つと気づく。
太助を「天下の一大事のためだ」と説得し、太助を家光の身代わりにする。
果たして家光を守りきることが出来るのか?


ラピュタ阿佐ヶ谷「痛快!東映時代劇まつり」の特集上映で鑑賞。
東映時代劇なんて一番観ないジャンルだし、観るつもりもなかったのだが、ポイントが貯まって招待券をもらったのだがその有効期限が9月1日で何でもよいから観ようと思っていった次第。
自分が特に関心のないジャンルの映画をたまには観るのはよいことだ。
そういえば最近してなかったなあ。

1月3日の正月封切りだったらしく、映画は正月ムードで始まる。
太助が将軍の生活になじめずに、長袴を履いて歩いて時々転ぶところとか、家光が魚河岸に行って悪い奴と喧嘩になり「こちらには奉行がついてるんだぞ!おまえ奉行が怖くないのか!」と啖呵を切られ、「怖くない」というあたりは爆笑である。
(しかしこの悪奉行が最後に家光に懲らしめられる場面を期待したが、それはなかった。そのような小悪党に映画ではかまってられなかったのだろう)

あと太助は腕に「一心如鏡」の入れ墨をしているので、家光にも左腕に墨で書く。これが後に家光が偽物と解る解らないにつながるかと思ったら、それはなかった。

忠長は子供の頃に彦左に言われたとおり兄を助けていく気持ち。忠長を将軍にしたいのは悪い側近・本多上野介(薄田研二)(ちなみに菅官房長官に似ている)。最後には焦った本多は家光を襲うが、忠長が助けに入り、そこへ太助も駆けつけ大立ち回りで本多たちを倒す。
勧善懲悪の明快な時代劇。

それにしても江戸城のシーンの侍の多さとか、魚河岸のシーンの人の多さは目を見張るものがあった。これ正月の大作扱いだったのか?それともいつもこのぐらいのエキストラ(といっても現代劇じゃないから大部屋俳優だ)が多かったのか?

「一心太助」もの本作を含めて5本ぐらいあるそうだ。他の映画にも錦之助が演じる家光が出てるらしい。彦左は今まで太助と家光がそっくりと知らなかったのか?そのあたりの関係がどうなっていたのか機会があれば他の「一心太助」も観て確認したいところだ。






狂武蔵


日時 2020年8月30日15:05〜 
場所 Tジョイ・プリンス品川・シアター5
監督 下村勇二


宮本武蔵(坂口拓)によって吉岡一門の清十郎、その弟の伝七朗を倒された。果たし状によって武蔵に対決を挑む吉岡一門。こちらは数百人を揃えた。吉岡一門の忠助(山崎賢人)が清十郎の跡継ぎの幼い又七郎のもとを離れた瞬間に武蔵は上から奇襲し、又七郎は亡き者に。
その瞬間から武蔵対数百人の死闘が始まった!
そして7年後、忠助は再び武蔵に戦いを挑む。


坂口拓が77分のワンシーンワンカットでチャンバラを撮影し、オクラになっていた素材を完成させた映画。
そもそもなんでその映画が未完成に終わったかは詳しくはパンフレットにも書かれていない。
「園子温の映画で10分ぐらいの死闘を撮る予定があり準備をしていたが突然中止になって、そのまま中止にするのもなんだから用意していた機材で坂口拓が77分ワンカットで撮った」としか書いてない。
要するになにか企画があって撮影中に中止になったわけではなく棚ぼたで撮っておいた素材を今回生かして映画を完成させたということでいいのかな。

それって最初の機材とかのお金は誰が払ってるのかね?園子温の映画の企画から出てるの?権利はどうなるの?
などと考えるのは無粋である。

3年ほど前からクラウドファンディングでお金を集め(300万円ぐらいらしい)、「キングダム」で坂口拓と共演した山崎賢人が2日間出演してくれることになり、77分の前後のシーンを再撮影したようだ。
山崎が出演してなかったら私も観なかったと思う。
(そもそもチャンバラにはあまり興味がないので)

んで77分のワンカットなんだけど、そういう何か計算があってそうなったわけではなく、「人も機材もあるから77分ワンカットで決闘シーンを撮っておけばなんとかなるんじゃない?」的発想で77分のカットは撮られたようだ。

正直、もともとチャンバラに興味がないのでだんだん飽きてくる。それにどうしても武蔵の後ろ姿から撮ることも多く、主役なのに背中しか出てない。大変だったと思うし、その点はお疲れさまである。

でもそれが面白いかというとそれは別。
僕なんか黒澤の「椿三十郎」の対決シーンが一番好きな対決、っていう人だから、長々とやられても退屈するばかりである。
途中で吉岡一門の間で「こんなことに意味があるか?」と喧嘩になったり、最後には雨が降ったりするのは工夫がされてあったけど、落とし穴に落とすとかの何か仕掛けがあってもよい気がするがそれは無理だったか。

時々血しぶきが出るけど、血しぶきが一瞬出てすぐに消えるから、CG合成なのだろう。
でも最後の雨は本物だったのだな。

山崎賢人、後半で武蔵と対決するがその形相がものすごい。
両の眉が山形になっており、あんな表情は初めて見た。
時代劇初だそうだが(「キングダム」は時代劇ではない)、なんか新しい分野も開拓した感じで山崎賢人ファンとして見逃さなくてよかった。

本来は新宿武蔵野館の12時05分の回に観るつもりだったが、満席で不可。調べてみたらTジョイ品川で上映してるのでやってきた。
ここはプリンスカードがあると200円引きになる。
交通費を考えるとそれほど得ではないかも知れないが、横浜行きの前後であればうまく使えそうだ。







青くて痛くて脆い


日時 2020年8月29日15:30〜 
場所 109シネマズ名古屋・スクリーン11
監督 狩山俊輔


田端楓(吉沢亮)は大学に入学、そこで秋好寿乃(杉咲花)という同じ1年生に出会う。秋好は授業中に「暴力がすべてなくなれば戦争はなくなると思います」と理想論を堂々と主張し、周りからも引かれていた。
楓は人を傷つけない、傷つけられないために人と程良い距離感を取って生きること信条としていたが、秋好が距離を縮めてきて秋好の理想を助けるために「秘密結社モアイ」を始めた。モアイはゴミ拾いやフリースクールの訪問などのボランティアから始めていた。
3年後、今は楓も就職が決まっていた。モアイは今は就職のための人脈作りサークルに成り下がっていた。楓は「モアイは僕が作った。一緒に作った奴は死んだけど」という。
この3年間に何があったのか。そして友人の前川(岡山天音)とともにモアイをぶっつぶす計画を立てる。


数年前「君の膵臓をたべたい」がヒットした住野よるの原作。
吉沢亮主演というだけで観た。
内容は予告編を観てもよくわからない。岡山天音が「少数で巨大組織をぶっつぶすとか俺好きなんだよね」と言ってるからそういう社会派サスペンスを期待したが全く違った。

はっきり言うけどおじさんが見ると学生のコップの中の争いで見ていて共感できない。
観客には「秋好は死んだ」とミスリードさせられてたが、実はちゃんと生きている。
友人は秋好しかいなかった(たぶん)楓が、秋好が大学院生の脇坂(柄本佑)とつきあい始めて嫉妬して自分からモアイを去ったのだ。

そして秋好としてはたぶん社会奉仕をする間に「なりたい自分になる」というコンセプトからも企業とのパイプを作っていたのだろう。
でも大人になってみると思うけど、学生のことなんか学生が期待するほど考えてないよ。要は従順で一緒に働きやすい年下しか求めていない。
妙にあーだこーだ意見がある奴は使いにくいよ。そういう人は起業した方がいい。「俺が日本を変える!」という若者がいるけどそういって何も出来なかった奴が今まで何人いたことか。
完全に期待してないのである、私なんかは。
まあ数少ない日本を変える人になる可能性もあるから否定はしないですけどね。
企業のOBとの交流会なんて単なる女子大生との合コンにしか見てないよ、きっと。

映画は楓のそういった被害者意識(それも勘違いみたいなものだが)の元に話は進む。
「モアイが企業にメールアドレスなどの個人情報を流していた」ってそれは確かに誉められたことではないけど、それほどのことかあ?
幹部の天(清水尋也)が女子大生を漁っている、という噂を元に探っていったら単に口説きベタだっただけ、というオチ。天はそんな悪い奴じゃないとなる。
まあ若い男女が集まれば恋愛の一つや二つ起こるけどね。

結局楓もモアイの告発をして、でも後悔するという展開。
見てる途中から思ったけど、主役が吉沢亮でイケメンすぎるから話に現実味がないんだ。たとえば岡山天音の方が主役だったらもっと話に実感がこもった気がする。





弱虫ペダル


日時 2020年8月26日19:00〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン11
監督 三木康一郎


高校生になった小野田坂道(永瀬廉)はアニメ研究会に入るのを楽しみにしていたが、なんと休部状態。そんな時、学校への坂道を走る小野田の姿を見て自転車競技部に入部する今泉(伊藤健太郎)は小野田に競争を挑む。ママチャリで走る姿に今泉は小野田の可能性を感じ、自転車競技部に誘う。小野田は千葉から秋葉原までの電車賃を節約するために自転車で往復していたのだ。
今泉の幼なじみで自転車店の娘、寒咲(橋本環奈)や大阪からやってきた鳴子(板東龍汰)も小野田の可能性を認めている。
入部早々、60キロのレースを試される。部長の金城はそれで新入生の実力を見極めようとしていた。小野田の力は部長も認めた。小野田は坂道に強い。同じく坂道が得意な巻島(柳俊太郎)と組み、特訓する。
そしてインターハイ予選に今泉、鳴子とともに小野田も出場する。


永瀬廉主演映画。
ストーリーを思い返してみても話がないんだよなあ。
自転車で疾走するシーンが多く(というかほとんど)でドラマがまるでない。
橋本環奈なんか単なる出てるだけでまるで印象に残らない。
何でもかんでも橋本環奈を出せばいいってもんじゃないだろう。

まあ自転車で走るシーンの撮影はすばらしい。車などの撮影の場合は車自体を台車に乗っけてそれを牽引し、牽引してる車から撮影する事が多い。つまり役者は実は運転していないので演技に集中できる。
でも今回は「CG使ってません」と宣伝してるし、実際に自転車が走りながらカメラも併走してるのだろう。
永瀬をはじめとする出演者もそこは立派だった。

でもドラマがないのだなあ。小野田は友達がいない性格で自転車部入って初めて仲間が出来て感激している。でもアニメへの情熱はどうなった?
少しはアニメ好きのエピソードも入れてよかったのでは?

あとレースも展開にヤマがなさ過ぎ。小野田は事故に巻き込まれ(事故そのもののシーンはない)リタイヤしかけるが追いつく、というのがクライマックスだが、もう少しひねりがほしい。
それに5人ほとんどまとめて走っていて部長や今泉たちが小野田が事故に巻き込まれたのを知らないっておかしくないか?

それでも巻島先輩は「俺、みんなとつるむの苦手なんだよなあ」といいつつ参加する一匹狼的な存在は柳俊太郎の個性と相まって記憶に残る。
永瀬廉はずっとめがねをしているのでそのイケメンぶりが生かされないのが惜しい。
ライバル側のキャラクターも弱く(というか全く印象にない)、自転車レースシーン以外は見る価値なし。




おかあさんの被爆ピアノ


日時 2020年8月23日10:00〜 
場所 新宿K's cinema
監督 五藤利弘


広島でピアノの修理・調律をしている矢川(佐野史郎)は爆心地から3km以内で原爆の被害を受けたピアノの修復を行い、そのピアノをトラックに積んで全国で演奏会をしていた。
関東に行ったときに江口菜々子(武藤十夢)という女子大生から話しかけられる。彼女の母親・久美子は最近矢川に祖母が使っていたピアノを預けたという。そのことを菜々子は久美子から聞かされておらず、新聞記事になったことで知ったのだ。
もう一度関東にやってきた矢川の元にまた菜々子がやってきた。広島まで乗せていって欲しいという。一旦は断ったが「どうしても」という菜々子を断りきれずに乗せる矢川。
菜々子は自分の祖母が暮らしていた広島のことをもっと知りたかったのだ。しかし両親は菜々子が広島のことを知るのをいやがる。
菜々子の祖母のピアノは修復が難しいと言っていた矢川だが、なんとか修理してくれた。そして8月6日での演奏会で菜々子はそのピアノを弾くことにする。


戦争映画(と言っていいのか)は好きな方なので、ケイズシネマでポスターを観て気になったので鑑賞。
いやー正直言って今時どうかと思うよ。
クソ真面目すぎてちょっと敬遠してしまう。人間正論だけでは生きられない。
冒頭に出てくる第五福竜丸での演奏会なのだが、「父を返せ、母を返せ、私を返せ!」と中学生たちが叫ぶパフォーマンスを見せられるとこっちはかえって引いてしまう。
今井正でもここまでやらないよ。

途中別の原爆ピアノを寄贈した老人を訪ねるのだが、「戦争はやっちゃいかん!」と叫ぶシーンなど、「いやそれは分かっている。ただだめだ、と言い続ければいいのではないでしょう」と言いたくなる。
戦争はいけないことは分かってるんですよ。でも人々は起こす。どうすべきなのかを考えなければいけないのでは?

この映画の製作者たちは「核兵器を使わせないためには原爆の被害を伝えねば!」と思ってるのだろうし、それも間違いではないのだが、それで世界中の人々が核兵器に反対になるわけではない。
だって落とす方は被害を受けないのだから。

菜々子の母親は原爆2世ということでいろいろと不都合があったらしい。だから自分の娘にはそんな思いをさせたくないということで広島から遠ざけようとする。菜々子が「2世だとどんなことが不都合なの?」という趣旨の質問をするのだが、「自分で調べなさい」と母親は言い放つ。
あとで何か説明があるかと思ったら、ない。
いやそれはないんじゃないかなあ。

関川秀雄の「ひろしま」は原爆で亡くなった人々の頭蓋骨を外国人観光客に売る少年が出てくる。
そこまで追い込まれてしまうのだ、ということ。
原爆2世もおそらくは結婚とかで男の親に「子供に何か後遺症が起きると不幸だから」と反対されることもあるのだろう。

そういう原爆を落とした国とか戦争を起こした偉い人だけでなく、市民の中にも自分たちに立ちはだかるものはあるのだ、ということを描くべきなのではないだろうか?
単に「戦争はだめだ!原爆はだめだ!」と叫ぶだけでは浅いと思う。

そしてクライマックス。
菜々子が修復したピアノで演奏家を行う。(その前にピアノの演奏で「故郷」とかの童謡を歌うのだが、それも何だかなあ)
そのクライマックスで菜々子はまだ未熟なので演奏が出来なくなってしまう。

いやいやその展開はないでしょう。ここは弾ききらないと。
まあ母親が助け船をして一緒に演奏して母娘の絆が戻る、ということなんでしょうけど、私なんかは「下手ならまだ出てくるな!」と思ってしまうよ。

ちなみに佐野史郎の役は当初大杉漣が演じる予定だったのだが、亡くなったので佐野が代役になったそうだ。

カット割りも無駄に多くて(切り返しが多くて)素人っぽさを感じたし、とにかく「この映画では人々の心は揺さぶらない」と思ってしまった。










日時 2020年8月22日19:00〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン11
監督 瀬々敬久


昭和から平成になった年に漣と葵は北海道で生まれた。
二人の出会いは美幌の町の花火大会。遅れてやってきた漣と竹原だったが、漣は自転車で転んで怪我をしてしまう。その時に目の前にいたのが葵と弓だった。葵に一目惚れする漣。
サッカー部の試合の時には葵はお弁当を作って応援に来てくれた。しかしある日葵はいなくなってしまう。葵の父は亡くなっていて、母親の新しい恋人がDV男でその為に札幌に母と逃げ出したのだ。
漣は葵を探して札幌に行く。葵に「二人で青森のおじさんのところへ逃げよう」と逃げ出すが、結局は連れ戻される。
大人になった漣(菅田将暉)。竹原は弓と結婚することになり、その結婚式で上京する漣。その会場で葵(小松菜奈)に再会する。しかし二人の会話はぎこちなく、しかも葵は高級外車に乗って帰って行った。敗北感を覚える漣。
葵は中学卒業後年齢を偽ってキャバクラに勤めていた。その時によくしてくれたお客の水島(斎藤工)とつきあうようになっていたのだ。
漣は北海道のチーズ工場で働き、先輩の桐野香(榮倉奈々)とつきあい、結婚し、子供も出来た。が、彼女は癌に犯され亡くなった。
水島はファンド会社を運営していたが、リーマンショックで会社が倒産。沖縄に逃げているのを葵を見つけだし、一緒に暮らす。しかし水島はお金をおいてどこかへ行った。葵はキャバクラ時代の先輩の玲子(山本美月)を頼ってシンガポールへ。


瀬々監督作品。5月に公開予定だったが、コロナによる映画館の休館で8月21日に公開がずれた。
20数年にわたるラブストーリーということでいまおかしんじ監督作品「れいこいるか」と引き合いに出されるので、観に行った。

当たり前だけど「れいこいるか」とはなにもかも真逆である。
こちらはオールスターの海外ロケもある超豪華な映画だ。
何しろ無駄にスターがでている。
漣の親友竹原が成田凌、水島の部下に片寄涼太、シンガポールで一緒に働く青年に高杉真宙、竹原の2番目の妻に二階堂ふみ。

そして北海道、東京、沖縄、シンガポールと豪華ロケ。
どの土地もとにかく美しく撮ろうとしていて、観光地の絵はがきのような美しさだ。美男美女に美しい風景、もうこれ以上の豪華さはない。

まあそんな感じで豪華恋愛一大絵巻である。
そこで繰り広げらる波瀾万丈の愛の物語。ベタすぎるくらいべたな展開。
こういうのがダメな人にはダメだろうけど、私は好きですよ。
やっぱり映画は美男美女を楽しむのも楽しみ方のひとつですから。

瀬々監督らしさがまったくないという批判もあるだろうけど、これほどまでのオールスター豪華恋愛映画は観たことがないくらいで立派だと思う。
楽しかった。

個人的にツボだったのは吉岡睦雄さん、二ノ宮隆太郎さん、和田美沙さんが出演していたこと。特に吉岡さんはキャバクラ時代の小松菜奈に絡むいやな客役。破壊的だっただったなあ。
あといまおか監督の新作のタイトルは「葵ちゃんはやらせてくれない」。
この映画の葵ちゃんはやらせてくれるけどね。




劇場版ウルトラマンタイガ 
ニュージェネクライマックス


日時 2020年8月22日11:30〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン7
監督 市野龍一


ストーリー省略。というかわけわからん。
もう最近のウルトラマンは設定(というか前提)を理解していないのでついていけない。
それでも観たのはやはり濱田龍臣がゲスト出演しているから。
もう出てくる怪獣よりウルトラマンの方が数が多い。なんだそれ?って感じである。

「タイガ」は昨年のウルトラマンで今年は「ウルトラマンZ」。
こちらはゴメスとかペギラとかオールド怪獣が出ているのでなんとなく観ている。
「タイガ」は去年ちらっと観たが、主役が特にタイプではないし、設定の主人公がいる組織も民間の警備会社みたいな設定でついていけなくて挫折した。

今朝、中村獅堂の息子の話がテレビに出ていたが、ウルトラマンのファンデお気に入りはダダだそうだ。「なんでダダとか知ってるの?」と思ったらアバンタイトルのエピソードが博物館の特別展示で「バラージの青い石」が盗まれるというもの。
その盗みにきたのがダダだった。そうかあ、だから知ってるのかあ。

とにかくニュージェネレーションになると完全に訳が分からない。
ウルトラマンがジェダイ戦士や戦隊ものみたいになってるし。
ウルトラマンタロウが「ウルトラ警備隊長」みたいにすごく偉い立場なのが笑ってしまう。
私なんかにはタロウなんて下っ端なので。

それでも取り合えずウルトラマンの映画はこれからも観たいと思います。




サンシャイン・アフター・ザ・レイン


日時 2020年8月15日10:00〜 
場所 日劇ローズ
監督 マイク・エイサー
製作 1996年(平成7年)


ヨハン(ヨハン・ポーリック)と仲間5人はこの夏を最後にそれぞれ別の人生を歩き出す。ヨハンはロンドンに演技の勉強に、ダニエルは兵役になどなど。ミカエルは最年少で故郷に残る。
ヨハンとダニエルは親友でセフレでもあった。夏の思い出にお互いに体を刺激しあう。
ダニエルは兵役への不安から終止不機嫌だった。仲間が励まそうとプールに落としたりしてはしゃいだが、かえって不機嫌になった。
そんな中、ダニエルは砂浜でカナダ人の旅行客と知り合い、お互いに楽しむ。
ミカエルはヨハンを求めてきた。最後だからお互いに楽しむ。
ダニエルは軍隊の人間関係が不安だったが、カナダ人と親しくなったことで自信がもてたのか機嫌が直った。
夏は終わりそれぞれの人生を歩み始める。


大阪に来たので日劇ローズ。9時過ぎに新世界に着き、まだ入り口のシャッターが半開きだったがタイムテーブルだけ確認。近くのマクドで時間をつぶし、9時50分過ぎに入ったらもう始まっていた。
しかし友達の別荘に入るところから観たので、見逃したのはメーカータイトルぐらいだと思う。だから今回は全部観たことにする。
次の予定があるので、次の上映で頭を観るわけにはいかなかったのだ。
(ちなみに同時上映は私の嫌いな「かちんこ!平成任侠外伝」だった)

本来はビデオ作品なので特にストーリーがあるわけではない。
ずっとカラミが続くような作り。
それもキスと体への愛撫とか、胸にキスするとかのソフトな感じ。
もろだしだから股間へのぼかしはあるけど、射精はなかったなあ。

カラミはすべて屋外。砂浜やら草原やら花畑やらで、景色の美しさが美青年の美しさに似合う。
ヨーロッパの体のきれいな美青年たちのカラミが続くので、観ていて美しい。やっぱり美男が出てくるといいね。本来日本のゲイ映画もこういう感じで行ってほしかったが、まあ出演者探しが大変なのでその路線はいけなかったろう。

過去に本作はDVD化されており、今は中古で入手可能。(ひょっとしたら持ってるかもしれない)下手にストーリーがなく、美青年ばかりの登場なので、ぼーっと環境ビデオのようにながら観をするにはいいかも知れない。楽しかった。








思い、思われ、ふり、ふられ


日時 2020年8月14日13:00〜 
場所 TOHOシネマズ二条・スクリーン1
監督 三木孝浩


高校1年生の由奈は自分のマンションで子供の頃みた絵本に出てきた王子様そっくりの男子を見かけ一目惚れ。数少ない親友の朱里(渡辺美波)の家に行くと、なんとその彼がいた。朱里の弟だと紹介された理央(北村匠海)だが、双子にしてはなんか変だ。実は朱里の母親と理央の父親が再婚し家族になっただけの関係だった。理央の様子から理央は朱里が好きなのだと察する。
由奈は理央と話してるときに「自分は好きな人がいるが打ち明けられない」というが理央は「言った方がいいよ。それでふられないと次にいけないじゃん」という。
由奈は意を決して理央に告白。しかし理央は由奈をふった。
理央も雨の日に、ついに朱里にキスをする。
それを実は由奈の幼なじみの和臣(赤楚衛二)は見てしまう。密かに朱里を好きな和臣は理央の気持ちを知って自分の気持ちにふたをする。
果たして彼らの行き着く先は。


北村匠海である。それだけで初日に観た。いや〜北村匠海がすごい。
色気満点である。由奈に朱里への気持ちを察せられた理央が「内緒」と唇に人差し指を立てるシーンがあるが、この目の色気がすごい。
そう思ったのは私だけではないようで、パンフレットの北村のインタビューにも出ている。

その後は夏祭りがあったり、文化祭があったり、朱里の元カレが出てきたり、由奈も別の男に告白されたりのお決まりのとしか言いようがない展開が続く。
文化祭でコスプレをする事になって理央は王子様ファッションをするのがいい。さすが北村匠海、かっこいいですね。

そして複雑な恋の終わりはこれまた定番の海外に行く話。
理央の父親がアメリカ転勤になり、通訳を目指す朱里は家族を壊さないためにアメリカへ。理央は残ることになる。

だから正直後半はお決まりの感じが強いが、前半の「好きになってはいけない相手を好きになる」というジリジリはよかったなあ。

こちらがファンということもあるが、4人の中では北村匠海が圧倒的な存在感を誇る。とろんとした目つきがなんとも言えない色気を放つ。
それに引き替え、女子二人は何となく似ているので、時々ごちゃごちゃになる。髪型とかもう少し変えてもよかったのでは?

神戸ロケだが、特に神戸、という訳ではなく、和臣が朱里を「夜景がきれいな隠れた場所」に連れて行くシーンがあり、物語のポイントなので神戸が選ばれたのだろう。
物語では特に神戸、とは言われてない。

とにかく北村匠海がすごかった。今まで観た北村匠海映画では一番好きなかも知れない。





ぐらんぶる


日時 2020年8月7日19:00〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン1
監督 英勉


大学生活を夢見て島にある大学に入学した伊織(竜星涼)だったが、気がついたら全裸で大学に寝ていた。あわてて下宿しているおじさんの家に帰ったが、そこで美少女に出会い、また気がついたら全裸で大学に寝ていた。しかも今度はもう一人全裸で寝てる奴にも遭遇した。
もう一人は耕平(犬飼貴丈)。二人で保安室に残されてた防犯カメラのビデオを見てみるとそこには夜中に全裸で運ばれる自分たちが写っていた。
実は伊織のおじさんの家の「ぐらんぶる」というバーを拠点にするダイビングクラブ「PeekaBoo」のメンバーが新入部員勧誘として伊織と耕平を酔いつぶして全裸にしてキャンパスに運んでいたのだ。
先輩たちにダイビングの体験をさせてもらい、そこで見た景色に感動し入部する二人。
しかしダイビングの機材を買うには金がいる。今度学園祭で行われるミス&ミスターコンテストに伊織の従姉妹・千紗が出ることになったが。


予告編で全裸でキャンパスを走り回るシーンがあり、「いったい何が起こったか」という不条理ミステリー的なものを連想してしまった。また大学生がひたすら全裸になっているのでそこも興味がわいた。
「ぐらんぶる」の意味することは全く理解していなかった。
それでそこそこ楽しみにしていたので、初日に駆けつける。
がっかり。これほど期待とがっかりの落差が激しい映画も珍しい。

一言でいうと全編「体育会系のノリ」という奴で、私は完全に苦手。
お堅いことを言うようで申し訳ないが、キャンパスで全裸で寝ていたのは先輩が酔いつぶして全裸で放置した、ということである。
これって犯罪ではないか?

そもそも新入生歓迎会で高校出たての酒の飲み慣れない奴に酒を無理矢理飲ませて酔いつぶすことに賛成できない。
今年はコロナ渦で大学もやってないからそういうニュースはなかったが、毎年数人新入生歓迎会で急性アルコール中毒で死者が出る。
昔はそれほどではなかったが、大学生の子供がいてもおかしくない歳になって親の悲しみが痛いほどわかる。
「今まで育ててやっと大学に入って先輩から酒飲まさせられて死んだ」なんてつらすぎる。

この映画ではそういう先輩たちを責めたり止めようとする人物は登場しない。さらにいたづらでミネラルウォーターのペットボトルにウォッカか何か強い酒を入れたりして酔わせようとする。
とても私には許せない。

そしてそれを登場人物の行為を「当たり前」「何がいけない」と製作者も思ってるだろうし、原作マンガの読者も受け入れてるのだろう。
日本人の「意識」を見るいいテキストになった気がする。

酒だけじゃない。
伊織が耕平に裸でいるときに「やった!今度は布団で寝ていた!」と喜んで抱き合うシーンがある。その場を別の女性に見られたときに「違うんだ!そういうんじゃない!」という。
いかにも「ゲイはよくないもの。恥ずべきもの」という無意識の思想を感じてしまう。

面白かったのは「(練習を)つきあってくれ」「あたしでいいの?」
「(潜るために)縛ってくれ」「それは危険。足で踏むならいいよ」という件を「愛の告白」「SMプレイ」と勘違いするシーンかな。

でも根本的に発想があわない人たち(おそらく原作も含めて)が作った映画で、今年のワーストワン候補である。










団鬼六 奴隷船


日時 2020年8月2日15:00〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 金田 敬
製作 2010年(平成22年)


ストーリー省略。
この映画は銀座シネパトスでの封切りで観ている。当時いまおかしんじ監督の「白日夢」を観た後で、愛染恭子にも関心があったからだ。
当時の感想を読むと「お金のかかったピンク映画」とも書いている。

その頃はまだピンク映画も観始めで俳優さんのことはいまおか作品の2000年代の常連の吉岡睦雄さんぐらいしか知らなかった。
今観ると川瀬陽太さんや那波隆史さんが出ていた。

川瀬さんはSM作家の鬼又の秘書と関係を持ってしまう編集者の役。今日、午前中に「テイクオーバーゾーン」を観たが、それにも出ていたがそれに比べるとまだ若いな、とか当たり前のことを思ってしまった。

そして那波隆史。愛染恭子が結婚した旅館の主人役。妻が吉岡睦雄と不倫してしまい、それに悩む役だ。
最後にはレインボーブリッジの夜景をバックに吊される愛染恭子を観て自殺してしまう役なのだが、その苦悩が実に伝わってきた。

あとは主人公は諏訪太朗。
SMというプレイに取り付かれてしまった人間たちの苦悩と悲劇を描き出し、名作だったと改めて認識した。
よかった。





三十路過ぎの人妻 午後の不倫タイム


日時 2020年8月2日13:50〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 坂本 太
製作 エクセス


瞳(中条理佐)の夫・コウジ(杉本まこと)は大学の助教授。悩みの種は未だ独身の姉・百合子(吉行由美)のことだった。
瞳と夫のセックスの音を聞きながらオナニーする百合子。
ある日、瞳は大学時代の先輩・ヨウコから手伝ってほしいことがあると追われる。実は近くの公園が5万円を払わないと扉が開かないトイレがあるのだが、そこに5万円を払った男性の相手をしてほしいというのだ。要するに援助交際。退屈していた瞳は二つ返事で引き受ける。
その交際を楽しんでいた瞳だが、百合子に気付かれるが彼女も参加し、なんとSM好きの金持ちの息子をゲットすることに成功した。
すべてがうまく行ったが、実はコウジはヨウコと関係があり、今回の仕事に瞳を誘ったのもコウジの入れ知恵だったのだ。


冒頭、有料トイレに5万円を払ってプレイするシーンから始まる。
そして瞳たちの話になって、またトイレのプレイシーンに戻ってやっとヨウコが瞳にトイレでの援助交際を持ちかけるという展開。

売春ものは様々な客がやってきてプレイの内容も様々できるというメリットがある。
事実、トイレ売春を始めた百合子は最初はSMの女王様になってムチを振るい、次にはおしっこを飲ませたりする。

それですべて丸く収まるのだが、実はヨウコが誘ったのはコウジが発案だったと明かされ、そのオチがよかった。
カラミのシーンも多く、ピンク映画らしい映画だった。





多感な制服 むっちり潤い肌


日時 2020年8月2日12:39〜 
場所 上野オークラ劇場
監督 加藤義一
製作 OP映画


天国で下界の人々の寿命を示すろうそくの番をしているテンコ(しじみ)は誤って一つの火を消してしまう。それがケイコ(佐々木麻由子)のろうそくで、下界では彼女は突然死してしまう。ゼウス様に頼んでもう一度ケイコの火をつけようとしたが時遅くケイコは骨になってしまった。
困ったケイコだったが、テンコの機転で今寿命として18歳で亡くなったマミの体に入ることになった。
マミの彼氏のヒロキは悲しんでいたが、突然マミが生き返ってびっくり。
しかも「私はケイコで人妻」と言い出すから大混乱。しかし話をよく聞いて理解し、ケイコの夫(なかみつせいじ)に解ってもらうよう協力するという。
ケイコの夫は突然現れた女子高生が死んだ自分の妻とは信じられない。
マミは毎日お弁当を作り、毎日「私しか知らないあなたのこと」を手紙にして書き続ける。
1週間が過ぎ、夫もやっと話を聞いてくれ二人で映画を見に行く。


今年は上野オークラが新館になって10周年。今週は新作ではなくオープン時の番組を再現するそうな。
もちろん10年前はフィルム上映だったろうけど。

この映画、脚本は城定秀夫。
ラブコメのピンク映画であり、なかなか楽しい映画だった。
映画を観に行った後、公園で話す二人。
「結婚前によく映画に行ったけど実は映画はそれほど好きじゃなかった。映画は一緒にいるときに話さなくてすむから。君につまらない男と思われたくなかった」と当時観に行った映画のタイトルを何本か上げ、二人で感想を言い合う。
「夫婦でも知らないことは多かったんだな」「一生寄り添ってもお互いのこと半分しか知らないんじゃないかな」と受け入れるという結末。

一方ヒロキのためにマミの輪廻天性を行い、まもなくマミの生まれ変わりが生まれてお互いに18年後につきあい出すだろう、というまとめ。
面白かった。







テイクオーバーゾーン


日時 2020年8月2日 
場所 キネカ大森・スクリーン1
監督 山嵜晋平


両親が離婚し弟は母親と出て行き自分は父親(川瀬陽太)と暮らす中学3年生の沙里(吉名莉瑠)。父親はだらしなくお金にもルーズで仕事はしているが酒ばかり、日々のいらだちから得意の陸上部の練習も休みがちだ。
練習しなくてもその足の速さは誰にも負けなかったが態度が悪く、他の部員からの突き上げに部長の雪菜(糸瀬七葉)も悩んでいた。
ある日、おばあちゃん家に引っ越したはずの弟と近くのスーパーで再会。近所に引っ越してきたことを知る。翌日もまたスーパーで再会した。今度は母親も一緒だった。さらに雪菜も一緒だった。母親は雪菜の父親と再婚していたのだ。
弟が大好きな沙里は毎日のように弟に会いバスケットの練習につきあう。
ある日二人でおばあちゃんの家に泊まりにいく。「この家で一緒に暮らしたい」というがおばあちゃんは断った。
二人はそれぞれの家に帰ったが、翌日学校で沙里の事情がからかわれ、それに怒った沙里は暴れだし、誤って雪菜をけがさせてしまう。
そして沙里は停学になる。頭を冷やした沙里は「もう一度みんなとリレーで走りたい」と思う。


縁あってチケットを購入した映画。都内では新宿渋谷ではなく大森での上映だ。でも一同テアトルグループでの上映だ。

この沙里が実にめんどくさい女で前半はイライラして帰ろうかと思った。
父親は大した稼ぎのなさそうだし、頼んでおいた学校の支払いをしてくれないし、酒ばかり飲んでるし、貧乏だし、中学を卒業したら学校に行かずに働きたいと思っている。そんなイライラのはけ口で部活動では仲間を見下し好き放題。
母親はもともと上昇志向が強かったのに父親が意外とだめだったので、成績のよくない沙里をただただしかりまくっている。んで離婚。
家庭の事情でいらいらするのは解るけど、周りに当たり散らすのもなあ。
100m走だけでなくリレーが好きなのも、自分にバトンが回るまでは負けていたのを自分が逆転させると試合が終わった後にみんなが「ありがとう」って行ってきてそれが快感、といういやな女である。

だからもう主人公が好きになれないのでまったく映画に入れない。ホント帰ろうかと思った。
しかし弟がなかなかの少年だったのでそこからは観るに耐えられたかな。

最後はリレーで勝って東京へ引っ越すという雪菜の一家と競技場で別れ、一人で外へ出て駐車場で待つ父親の車に乗り込むまでをワンカットで撮っている。ここがチラシに出ていた「全てに牙剥く日々から新たに走り出すラスト2分22秒のワンカット」。

結局主人公が好きになれなかったから「ああそうですか」としか思えない映画だった。
残念。




のら犬作戦


日時 2020年8月1日10:30〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 福田 純
製作 昭和38年(1963年)


ストーリー省略。
この映画、2004年に浅草東宝のオールナイトで観ているが、話は完全に忘れていた。
前に観たときの感想では「最初の大隊長殺しの犯人が意外でないので残念だった」と書いている。
それも間違いではないが、今回はちょっと違う感想を持った。

それは敵に味方にもいい奴もいれば悪い奴もいる、ということ。
隠された阿片を私腹を肥やすために横取りしようとし、最後には「阿片は悪!」と手にした阿片を燃やしてしまう。

どっちかの国が悪でどっちかの国が善、という単純な国籍で善悪で区切る考えた方でないのがよっぽど進んでいる。
昨今のレイシズムに基づくような「○○人死ね!」という人が蔓延る現代日本からすると非常にまともな考えだ。

それと関沢脚本の巧妙さ。
佐藤允の手品師も面白いキャラだし、ラストで堺左千夫が勝手に将軍になってお祭りになって舞台にある樽から阿片を抜き出すあたり。
舞台の下からドリルで穴をあけるのだが、最初は間違えて別の場所を開けてしまい、二度目で成功するところ。
最初に失敗するというギャグが盛り上がるというあたりのテクニックがうまいなあ。
勉強になった。