男子高校生の日常日時 2021年4月29日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 松居大悟 製作 平成25年(2013年) 男子校に通うタダクニ(菅田将暉)、ヨシタケ(野村周平)、ヒデノリ(吉沢亮)の3人はいつもつるんでいる。試験期間中でもヨシタケ、ヒデノリはタダクニの家に行き、マンガを読んだりだらだらしてるだけ。 タダクニたちの高校は近くの女子校と合同で文化祭を行うことになった。 普段から女子と接触のないタダクニたちは女子とどう接触していいかわからない。 説明会に来た女子と思わず手が触れてしまったり、目があったりと何かと意識してしまうタダクニ。タダクニたちは教室でお化け屋敷を開催することになった。 女子を向かいいれる準備の一つで男子トイレを女子専用にすることになったが、小便器をどうするかで悩んでしまう。 菅田将暉、野村周平、吉沢亮という今や若手のトップ(野村は最近イマイチだが)になった3人がデビュー間もない頃に共演した映画。 前から気になっていた映画だが、あんまり評判はよくない。でもまあこの3人は好きな俳優なので鑑賞。 ああ評判がよくない理由がなんとなく解った。主役の3人がとにかく輝いていないのだ。3人ともまだ開花してないというか開花させてないというか。 そもそも引きの画が多くて3人のイケメンぶりを楽しめない。ドキュメンタリー的な撮り方を狙ったのかも知れないけど、結果的には俳優を生かせていない。 女子校の一人で割とリーダー格で山本美月、さえない生徒会役員で太賀出演。「桐島」以後の二人の共演だ。 それにしても昭和の高校生ならともかく、今時の高校生もあんな感じなんだろうか?いつの時代も案外変わらないかなあ。みんながみんな「思い、思われ、ふり、ふられ」の世界でもないだろうし。 タダクニがちょっと目があっただけの子を意識するとか、ガムテープを借りに来た子にドキドキするってちょっとウブすぎるよ。 山本美月は「桐島」に続いての自己主張の強そうな感じ。お化け屋敷を見学に来て脅かされた時に腕に当たって怒り出し、「バカ?」と言い出す。 こういうのはやっぱり山本美月ならではである。 でも男子トイレを女子用にする際に小便器に芳香剤を入れたり、トイレットペーパーを三角形に折ったり彼らなりに努力はするが、それをことごとく否定されてかわいそう。両方ともありそうなんだけど。 原作コミックはきっと「あるある」ネタのマンガなのだろう。ドラマ的盛り上げを排除したかった演出方針は解るけど、結果的にはうまくいっていない。 残念。 エアポート2014日時 2021年4月25日 場所 DVD 監督 ジェームズ・コンデリク 製作 2014年(平成26年) ハワイのカウラ島付近で大規模の火山の噴火が起こった。海底火山が爆発し、新島をいくつも作っている。 そんなところへロサンゼルス発ハワイ行き7389便がやってきた。海からの噴火に巻き込まれ、機長、副操縦士ともに死亡。 乗客の一人、パイロットのリックは操縦桿を握ることに。 米軍ハワイ本部でも火山活動をキャッチし、島の住民を避難させることを優先させ、司令官の大佐はタワー軍曹の「旅客機救出を」の進言を聞き入れようとしない。 7839便の中では乗客の一人クリーガーが恐怖にかられてリックを外へ出そうなどと言い出す。居合わせた航空保安官によってトイレに監禁されたが、事態は好転しない。 7839便の運命は? 三度目の緊急事態宣言となり、大手のシネコンは緊急事態宣言期間の5月11日まで休館を決めた。月曜日までは営業し火曜日から休業とか「うちは座席数を減らして」「うちは通常営業」など対応はまちまち。映画館には休業補償は「1日2万円」と言われ、ユーロスペースの北條支配人は「香典か!」と言ったという。 私自身は上野オークラに行く積もりだったが、休館になったし、また自宅のインターフォン工事もあったので結局出かけずにうちにいることにした。 それで何か観るかということで、去年の9月に伊勢佐木町の中古DVDショップで3枚500円で買った航空パニック映画を観ることに。 「火山を飛行機が襲う!」という派手がジャケットデザイン。アルバトロスのビデオ作品。 火山なんかどうなるかと思ったら、すべてCG。割とちゃちい。まあ低予算映画だからこんなもんか。そもそも航空パニック映画って操縦席と客席、管制塔の3つぐらいセットがあれば後はロケで済むので話がデカい割には低予算が可能なのだ。 話の方は無茶苦茶テンポも早く、次々と事件が起こる。機長が死んで(ここでなぜ死んだかよくわからない。操縦席の窓が割れた訳じゃないだろう?)、お決まりの乗客がパイロットになり、そして乗客の一人がパニックで凶暴になる。 自動操縦を切るためにキャビンアテンダントに操作させたら燃料が捨てれてそれに火がつきあわや大爆発。そもそも火山の場所なんてそんな広くないのになぜ旅客機は居続けるんだ?どうやら自動操縦がONになっているので旋回し続けるとかよくわからない。 もっとすごいのはエンジンに火山弾がひっかかり邪魔になったので、それを乗客の一人が外にでてはたき落とすという展開。おいおい飛行機の扉開けたら大変なことになるだろ?そしてこの乗客、結局死ぬ。そりゃないだろう! 救援の飛行機に乗り移りために貨物室の扉を開けて飛び乗るとか「?」な展開。でこの救援機、火山弾に当たって墜落。おいおい乗客の一部も死ぬじゃないか。 最後は火山の大噴火が起きるとして戦闘機のミサイルでマグマ溜まりを撃ってマグマが噴火しないようにするという作戦。 はあ?火山なめんなよ! で戦闘機だけの攻撃ではだめで、乗客を助け出した後、怪我したニックにすべてを任せ旅客機に爆弾積ませて火山につっこむ! リックに「頼むぞ!」ってそりゃないだろう。いくら怪我して助からないと言ってもなあ。 まあパイロットが特攻をするって「ウルトラQ」の「東京氷河期」を思い出した。 次から次へと事件が起こって飽きさせないんだけど、「そんなアホな!」的展開でちょっとあきれた。 まあこんなもんか。 牝臭 とろける花芯日時 2021年4月24日18:15〜 場所 アテネフランセ文化センター 監督 瀬々敬久 製作 1996年 カラスとカゴメは二人組のストリートギャング。カーセックスを楽しむヤクザ者を襲った後、そのヤクザの兄貴分・ヤマト(伊藤猛)にすごまれるが、「ここは奴らの縄張りだ」と許されてしまう。 一方で夜逃げしてきた中年夫婦(小林節彦・伊藤清美)と出会うカラスとカゴメ。 ヤマトは「お前の親分の了解を得ている」と不思議な男から人殺しの命令を受ける。2回目の依頼は自分が世話になった兄貴(下元史朗)を殺すことだった。 カラスとカゴメのカップルにトンビ(川瀬陽太)という男がやってくる。 瀬々敬久初期作品特集3本目。 国映製作のピンク。新東宝配給。(前の「獣欲魔 乱行」も新東宝配給) 助監督は榎本敏郎、監督助手に坂本礼。 私は知らないので全く解らなかったが松本大洋「鉄コン筋クリート」を下敷きにいわばパクった作品だそうだ。 上映後、脚本の井土紀州さんと瀬々監督のトークイベント付き。 「鉄コン筋クリートをやろうとしたわけではなく、最初は小林節彦が演じた中年夫婦がお台場で車で自殺した事件があってその事件をベースに作ろうとした」んだそうだ。 映画にも防波堤にイルカの絵が出てくるが、これは現場にあったもので「ああこの絵をあの夫婦も見ていたのか」と思い、映画に入れ込んだという。 映像が青や黄色のフィルターをかけた映像や広角レンズで捉えたカットも多い。 トークイベントの際観客からこの点に質問があったが、「主にカメラマンの判断だが、虚構的な話なので、そういう作ったような映像が多くなった。また岩井俊二が流行った時期で、逆光とかそういう点でも岩井俊二風になってしまった」という話が出て納得した。 さっきの「獣欲魔 乱行」もこの映画もエロ目的でピンク映画館に入った人はがっかりするような映画である。作者の肥大した思いが先行する。 今日のアテネフランセではエロ目的で観に来てる人はたぶん一人もいないと思うし、全員瀬々監督作品を観に来ている理想的な観客だと思う。 こういう「作者の思い」が先行した映画はゲイ映画でやられるとむちゃくちゃ腹が立つ。でも通常のピンク映画でやっても別に腹が立たずに「興味深い」という気になる。 何でだろうと思うのだが、やっぱり「若い女性のおっぱい、尻を見せる」という最低限の必要なことはやっている。しかしゲイ映画だと池島ゆたかと大杉漣のカラミなんかを見せられても困る訳ですよ。最近でいえば森羅万象のお腹を見せて「はい、男の裸を出しました」と言われても「ふざけるな」という感じである。 森羅万象や大杉漣がダメということではない。じゃあ樹木希林のおっぱい見せてピンク映画として許されると思う? それに女性のエロはあふれてるけど男性の裸はそれほどあふれていない。 ゲイ映画はやっぱり「若い」男の裸を見せてくれなきゃと思う。 だから若い男の裸をちゃんと見せてくれればある程度は許容する。 さらに言えば普段はノンケとして自分を偽って生きてきてゲイ映画館でやっと男の裸を堪能出きると思って来たのになんかだ自意識過剰な映画を見せられてもなあ。 そういう観客の目的を無視した映画作りをされちゃうと腹が立つんだよな。通常のピンク映画なら女の裸はよそでも見れるけど、ゲイ映画の場合、よそでは男の裸はあんまり見れないもの。 またどう考えてもやる気のない映画もあるし。観客は数少ない機会でやってきてるんだから、お客さんのことも考えてよ!と言いたくなる。 瀬々作品とは関係ないけど、なんかそんな「ゲイ映画との違い」も考えた。 獣欲魔 乱行日時 2021年4月24日17:00〜 場所 アテネフランセ文化センター 監督 瀬々敬久 製作 1989年 永チャン(小林節彦)はチンピラだったが、今は逆に後輩のヤクザ・仁丹(伊藤猛)から借金の取り立てを受ける日々。 永チャンはテレクラにいき、モモという少女と知り合う。キャンピングカーを持っている永チャンはモモが行きたがってる京都に行くことに。 仁丹は親分の命令である男を殺すが、逆に風向きが変わり組からも追われることに。逃げる途中の東名のパーキングエリアで永チャンと出会い、3人で京都を目指す。 モモはかつてのグリコ森永事件の犯人の一味だという。子供の声が脅迫電話に使われたが、その子だというのだ。事件当時、家族で車で全国に毒入り菓子をばらまいたという。 永チャンは女房と子供は東京においてきていた。仁丹に連絡を取った永チャンの妻は仁丹と京都で会う。そして仁丹は永チャンの妻を犯す。 永チャンの妻は永チャンと再会し、殺す。 瀬々監督初期作品特集の2本目。今回はピンク2本と学生時代の自主映画1本だ。ストーリーを書いたけど、うろ覚えで適当である。 ピンク映画になって小林節彦とか伊藤猛が登場し、馴染みの俳優が出てくる。 瀬々監督が「グリコ森永事件」を題材にしたピンク映画があるとは聞いていたがこれのことだったのか。 男二人(一人はヤクザ)と少女の旅、という点で前の「ギャングよ 向こうは晴れているか」にも通じる。 映画そのものは面白くないんだけど、モモと永チャンは今は廃墟になった「建設中に地盤が緩いことがわかって建設が中止になったホテル」が登場し、廃墟が好きな方としては観ていて楽しかった。 また前半で海沿いのパーキングエリアで車を停めて電話するシーンがあるが、このPAが静岡に行く途中の由比PA。ここで永チャンが家に電話するんだが、公衆電話ではなく、非常用連絡電話を使っているので「電話してるふり」とか「相手はいないのに電話している」という設定なのかと思ったら、そうでもなく普通に電話している設定でいいらしい。 無断で撮っているのだろう。 フィルムセンター所蔵のプリントで時々傷はあるものの、状態はよかった。 ギャングよ 向こうは晴れているか日時 2021年4月24日16:30〜 場所 アテネフランセ文化センター 監督 瀬々敬久 製作 昭和60年(1985年) やくざ者のテツ、右翼少年のボウ、少女の3人は旅に出る。 テツは対立するヤクザから追われていた。追ってきたヤクザに襲われてテツとボウは死ぬ。少女は生き残った。 映画一揆外伝<草莽篇>と題し、いつものアテネフランセでの瀬々敬久監督の滅多に上映されない初期作品の上映会。 この映画は30分の作品。 ピンクではなく瀬々監督が京都大学在学中に撮った映画。 馴染みの俳優は出てないし訳が分からない、ということはないが、いかにも「自主映画」という感じで、この後2本の瀬々監督のピンク映画を観たので非常に印象は薄い。 やはり1日に3本観ると最初に観た映画は忘れてしまう。 戦場のメリークリスマス 4K修復版日時 2021年4月23日18:45〜 場所 新宿武蔵野館スクリーン3 監督 大島渚 製作 1983年 ストーリー省略。 大島監督が亡くなったときの追悼上映で(その時はフィルム上映だったと思う)観たのだが、今回4Kリマスターしたというので一応拝見。 昔の映画だと「4Kリマスター」で映像がきれいになって新たな発見があったりするのだが、封切り時にも観てるので「4K修復」といわれてもちょっとピンとこない。 そもそも修復しなければならないほど前の上映が悪いとも思わないし。 それでも好きな映画なので、とりあえず観る。 映像はデジタルらしい「パキッ」としたエッジのクリアな映像。 これは特に見慣れた感じだが、音声の方はクリア感が増した。 特にトム・コンティのせりふが実に聞き取りやすくなった。フィルム時代が何いってるか聞き取れない部分も多かったが(実はこちらが何回も観てせりふを知っているということもあろうが)、かなりクリアになったと思う。 それはすばらしいことだ。 内容に関しては特に以前からの感想と変わるところなし。 それよりも「今」のことだ。 3回目の緊急事態宣言が25日日曜日から発令されることになった。 去年の4月の1回目の時は映画館は全面休業。(今考えると感染者の人数は少なかったのだが) 2回目の今年1月から3月は映画館は20時までに上映終了が基本だった。(ラピュタ阿佐ヶ谷は「協力金が出ないから」という理由で21時以降のレイトショーも実施していた) でも今回は映画館も対象。神保町シアターは早々に24日(土)から休業を決め、この日から始まる金田一耕助特集は延期となった。 TOHOシネマズや新宿ピカデリーは昨日あたりからチケットの先売りはやめ、ネット販売も当日分のみとし今後どのような事態になっても対応しやすいようにしている。 これを書いているのは4月24日午前中なのだが、明日以降も映画館の上映がどうなるのかさっぱり見えない。しかも今回は東京、大阪、京都、兵庫の4都府県のみ。従って神奈川や埼玉の映画館は営業可能。 しかし23日から上映だった「クレヨンしんちゃん」の新作は延期を決めた。 一応5月11日までのGWのみを緊急事態宣言期間とするわけだが(先に日を決めるのはおかしいという意見も多い)、「ゴジラVSコング」はどうなるか。 延長だって十分にあり得ること。 地方は緊急事態じゃないけど、東京大阪が緊急事態では大作は公開しづらいだろう。 結局はオリンピックに固守する余りに振り回されてしまう。 本気でオリンピックを開催したいのなら本気でコロナを封じ込めなければならないはずだが(補償を十分にしてロックダウンするとか)、「金は使いたくない、でも五輪はやりたい」と誤魔化すことばかり考えている政権。 とにかく住んでいるのがいやになる日本である。 ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 <4Kドルビーシネマ版>日時 2021年4月17日20:40〜 場所 丸の内ピカデリー・DolbyCinema 監督 金子修介 製作 平成11年(1999年) ストーリー省略。 昨年末からの平成ガメラ4K化上映の最終作。この4月16日から東京の丸の内ピカデリーと大阪ブルグ7で上映開始。その他の地域は徐々に公開されていくようだ。 この映画、初公開の頃からだめである。 好きな人もいるらしいのだが、どうにも好きになれなくてねえ。 「ガメラを憎む女の子」という話の根本がだめ。そりゃガメラと怪獣の対決で死んだ人もいるだろうけどさ。でもその話をすると怪獣映画の根本を問われてる気がしてしまう。 だから「それは映画にしちゃだめ」というネタなのである、私にしてみれば。 それに「1」「2」にあった「何かがやってきたドキドキ感」「ワクワク感」がない。怪獣映画としての楽しさがないんだなあ。 渋谷対決にしても「徐々にやってくる」の楽しさがないのだよ。 もっとも「あえてそれをやらなかった」ってのも解るけど、私が観たい怪獣映画ではない。 また今回渋谷での対決のシーンで改めて思ったが、被害を受ける人の描写が多いのだな。センター街で吹っ飛ぶ人の数とか。でもそういうのは怪獣映画ではなあ。 まるで監督が交代したかのような違和感を感じるのだ。 京都駅のセットとか立派なのだが、奈良の言い伝えとか、山崎千里の「日本の根幹に関わる人」とか日本の「日本書紀」「古事記」神話につながるような部分も興味をそそられたが、そこはあまり深く語られない。 「G1」「G2」は今回の4K上映で2回づつ観たけど、今回の「G3」は一回でいいや。 誰がハマーショルドを殺したか日時 2021年4月17日14:00〜 場所 シネマノヴェチェント 監督 マッツ・ブリュガー 1961年、アフリカのコンゴ内戦の調停のために国連事務総長のハマーショルドが乗り出した。しかし彼の乗った飛行機はンドラ空港の近くで墜落した。結局パイロットの操縦ミスで片づけられたが、事件当時から他殺説はあった。 映画監督兼ジャーナリストのマッツ・ブリュガーはこの事件の調査を開始する。 シネマノヴェチェントで上映。ノーマークの映画だったが、(いつどこの映画館で公開されたのだ?イメージフォーラムあたりかな?)友人に誘われたので見てみた。 映画の構成としては監督が黒人女性の秘書相手に映画の構成を述べていってそれをタイプ打ちさせるという形で進んでいく。 正直、それほど面白くない。 マイケル・ムーアの映画のように取材対象者が怒り出す、という画的な派手さがないのだな。 地元の人の目撃者の話ではまるで撃ち落とされたかのような爆発の仕方だったという。そして「俺は撃ち落とした」と言っている人がいたという。 そして「南アフリカ海洋研究所」という通称サイマーという名前の傭兵機関にたどり着く。 ここが撃墜の準備をし、最初は爆弾を仕掛けたが爆発せず戦闘機による撃墜の手段を取ったというのだ。 最後にはこのサイマーの元メンバーだった人まで登場し、CIAの指示で数々の謀略も行っていた言う。 そこのリーダーは黒人撲滅のため、「無料診療所」と称してHIVウイルスを地元の人に注射していたというのだ。 まあ私なんかは素直なので「CIAの謀略もあったかも知れない」「黒人撲滅計画もナチのアウシュビッツもあったのだからあり得たかも?」と思っていた。でも結局は「アフリカは日本人にとっては遠い世界で身近な問題として考えられない」ということ。 でも本日のゲストの佐々木俊尚さんは「どこまでホントかわからない」という。黒幕のサイマーのリーダーとか「いかにも怪しい」という人物だがホントに悪い奴は見た目は普通、という。 「極端な話出てくる人物は全部役者の可能性だってある」という。 そういう虚実を織り交ぜて作ることで観客を惑わせる、試している映画ではないか?とい私見を披露。 森達也さんはパンフレットの文章でも少なくとも「取材は本物」という観点に立って論を進めている。 言ってみれば「川口浩探検隊」同様の一種のフェイクドキュメンタリーの可能性もあるというのだ。 どうなんだろうねえ。私なんかは対象者が嘘を言ってる可能性はあるとは思うが、取材そのものまで嘘だとは思わなかったけど。 果たして真実はどうなのか?いや何が真実かわからないということがこの映画のテーマだったかも?と言われるとそうかな、とも思えてくる。 BULE/ブルー日時 2021年4月16日20:20〜 場所 グランドシネマサンシャイン・スクリーン10 監督 吉田恵輔 瓜田信人(松山ケンイチ)は弱小ボクシングジムのトレーナー兼選手。ボクシングに対する姿勢は基本を大切にするのだが、勝てない。 高校時代からの親友の小川(東出昌大)は日本チャンピョンまであと一歩だったが、最近脳に不安を感じていた。小川の彼女の千佳(木村文乃)は学生時代からの友人でもある瓜田に、小川に脳の精密検査をさせるように頼む。診断結果は脳にダメージが起き始めておりこのままでは認知症のような症状が起きる恐れがあると注意を受けた。 ゲーセンで働く楢崎(柄本時生)は同僚のちょっとかわいい女の子にいいところを見せようと思って「俺、ボクシングをやってる」と言ってしまう。でもその子は自称モデルの同僚の方に関心があるようだ。楢崎は瓜田のジムに入る。基礎から教えようとする瓜田だが楢崎は「とりあえずやってる風に見えるようになればいいんで」と言う。 最初は試合に出るつもりなどなかったが、割とセンスは良く、瓜田やジムの会長にプロテストを受けるよう言われる。 松山ケンイチ、東出昌大らがボクサー役の映画。実際のボクシングは全く関心がないけど、ボクシング映画は割と多いのでみることが多い。男優がかっこいいからね。でも今回はパスしようかと思ったが、いまおかしんじ監督がツイッターやブログで「泣けてきた」と誉めていたので見ることにした。 主役の3人が実にいい。 松山ケンイチは連戦連敗の選手。10試合連続で負けている。だがトレーナーとしては実に柔和で「やってみましょう」「基本を大切にしましょう」「なかなかいいですね」「素質ありますよ」などと教え方がいい。 あんなトレーナーなら私もやってみようかと思ってしまう。 髪を赤く染めたイケイケの練習生からは「瓜田さん基本が大事とか言いますけど勝てないじゃないですか!」と責められ、「まあそうなんだけど」と苦笑いする姿がいい。 そのイケイケはたぶん「基本が出来てない」という理由でプロテストに落ちてしまう。一方弱くても基本が出来ている楢崎は合格。納得いかないイケイケはジムでスパーリングをして楢崎に倒され、ボクサーを止めるように医者から言われてしまう。 小川は物忘れや平衡感覚がどんどん悪くなる。試合に勝ってチャンピョンになったものの、インタビューで危うさを露呈してしまう。 そういったドラマの中でラストへ。 瓜田はやっぱり負けて引退、楢崎も勝てない。小川は体のことを考え引退。 それでもラストシーンではそれぞれがボクシングから抜け出せずにランニングをしたりシャドーボクシングをしたりする。 負けても負けても「好きだから」という理由で何度でも立ち向かう姿勢はすべてのことに共通するだろう。 また脚本では省略が絶妙だ。楢崎も「プロテストは受けない」と言っていても次にはプロテスト会場に向かっていたり、すぐに終わったシーンになる。 小川と瓜田がボクシングの戦術について話してるときにアパートの大家たちから「うるさい」と言われ、すぐ次では引っ越しのカットになる。 こういった間合いは「百万両の壷」を思い出した。 見逃さないでよかった。 街の上で日時 2021年4月14日14:25〜 場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・スクリーン1 監督 今泉力哉 古着屋で働く荒川青(若葉竜也)は恋人の川瀬雪に浮気されてそれを責めたら「別れる」と言われた。 古着屋で男女がシャツを選んでいたが、彼らは恋人ではなく女が男を好きででも男は彼女のことは2番目に好きでこれから1番好きな人に告白するための服を買いにきたという。 ある日、青の店に美大の女子学生・高橋町子がやってきて卒業制作の自主映画に出てほしいという。「演技とか出来ないし」と迷った青だったが、行きつけのバーのマスターに「それって告白じゃない?」とか言われて出演することに。 撮影現場には人気俳優の間宮武(成田凌)も出演のため来ていた。青は控え室で「元カノが間宮さんの大ファンでした」と伝える。 撮影は間宮はすぐに終わったが、青はガチガチに緊張し、何テイクしてもうまくいかない。帰り際に「すいませんがカットします」と言われてしまう。 仕方なかったものの打ち上げには参加。そこで城定イハという衣装担当の女の子と二人で2次会へ。と言ってもそこはさっきまで控え室に使っていた彼女の部屋だった。取り留めもなく恋バナをする二人。 結局泊まっていく青。翌朝、帰り道に雪とバーのマスターが一緒のところに遭遇。「好きになったのってマスターなの?」「違う、そうじゃない」 今泉力哉監督作品。本来なら去年公開の予定だったがコロナ禍で公開延期。この4月に公開された。ちょっと見に行くの迷ったんだが見逃さなくてよかった。 恋愛群像劇である。主役をはじめ私にはなじみの薄い俳優がほとんどだ。 それが妙にリアルなのだ。登場人物もキャラが立ちすぎることはなく、なんとなく「隣にいそうな若い男女」という感じだ。 ワンカットも長く、せりふの間合いも絶妙である。 特に城定イハの部屋に入った青がかなり長いカットで恋バナをするあたりは演技の呼吸が実に見事。 そして翌朝の青たちと雪が鉢合わせして喧嘩になるあたりは実に面白い。 登場人物の出入りが実に妙ですばらしい。 さらにそこへイハの元彼もやってくる。 (そのシーンの始まりで最初の方でシャツを買いにきた若者がいた。ちらっとしか写らないが、果たして女の子は一緒にシャツを買いにきた子だったのか?もう一度確認したい) 極めつけは雪の新しい彼氏が実は人気俳優の間宮だったこと。どうやって知り合ったかは全く描かれないが、演じている成田凌の実際の恋愛を見ている位リアルだった。 感想めいたことが書きづらい映画だけど、とにかく脚本が絶妙だし演じてる役者もリアルで作り物感がまるでないリアルさがあった。 今年のベストテン確実な映画。 よかった。 日時 2021年4月14日14:25〜 場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・スクリーン1 監督 今泉力哉 古着屋で働く荒川青(若葉竜也)は恋人の川瀬雪に浮気されてそれを責めたら「別れる」と言われた。 古着屋で男女がシャツを選んでいたが、彼らは恋人ではなく女が男を好きででも男は彼女のことは2番目に好きでこれから1番好きな人に告白するための服を買いにきたという。 ある日、青の店に美大の女子学生・高橋町子がやってきて卒業制作の自主映画に出てほしいという。「演技とか出来ないし」と迷った青だったが、行きつけのバーのマスターに「それって告白じゃない?」とか言われて出演することに。 撮影現場には人気俳優の間宮武(成田凌)も出演のため来ていた。青は控え室で「元カノが間宮さんの大ファンでした」と伝える。 撮影は間宮はすぐに終わったが、青はガチガチに緊張し、何テイクしてもうまくいかない。帰り際に「すいませんがカットします」と言われてしまう。 仕方なかったものの打ち上げには参加。そこで城定イハという衣装担当の女の子と二人で2次会へ。と言ってもそこはさっきまで控え室に使っていた彼女の部屋だった。取り留めもなく恋バナをする二人。 結局泊まっていく青。翌朝、帰り道に雪とバーのマスターが一緒のところに遭遇。「好きになったのってマスターなの?」「違う、そうじゃない」 今泉力哉監督作品。本来なら去年公開の予定だったがコロナ禍で公開延期。この4月に公開された。ちょっと見に行くの迷ったんだが見逃さなくてよかった。 恋愛群像劇である。主役をはじめ私にはなじみの薄い俳優がほとんどだ。 それが妙にリアルなのだ。登場人物もキャラが立ちすぎることはなく、なんとなく「隣にいそうな若い男女」という感じだ。 ワンカットも長く、せりふの間合いも絶妙である。 特に城定イハの部屋に入った青がかなり長いカットで恋バナをするあたりは演技の呼吸が実に見事。 そして翌朝の青たちと雪が鉢合わせして喧嘩になるあたりは実に面白い。 登場人物の出入りが実に妙ですばらしい。 さらにそこへイハの元彼もやってくる。 (そのシーンの始まりで最初の方でシャツを買いにきた若者がいた。ちらっとしか写らないが、果たして女の子は一緒にシャツを買いにきた子だったのか?もう一度確認したい) 極めつけは雪の新しい彼氏が実は人気俳優の間宮だったこと。どうやって知り合ったかは全く描かれないが、演じている成田凌の実際の恋愛を見ている位リアルだった。 感想めいたことが書きづらい映画だけど、とにかく脚本が絶妙だし演じてる役者もリアルで作り物感がまるでないリアルさがあった。 今年のベストテン確実な映画。 よかった。 KYOTO MY MOTHER'S PLACE日時 2021年4月14日11:00〜 場所 シネマヴェーラ渋谷 監督 大島渚 製作 1991年(平成3年) 50分のドキュメンタリー作品。 存在すら全く知らない映画だったが、シネマヴェーラのチラシによるとBBCの依頼を受けて故郷京都の歴史と母についての想いを描いた作品。 ラストで「ディレクターズシリーズ」みたいな表記があったから、活躍する映画監督に「自分の故郷や原点を紹介する作品を作ってください」というシリーズがあったのかも知れない。たぶんその1本なのだろう。 日本では放送されていないが、きっとBBCには色んな映画監督が「故郷を語る」という作品を作っているのだろう。 基本外国人向けなので、日本人には既知の京都の歴史なんかについて大島のナレーションがつく。 大島の母は京都の女学校に通っていたが、当時は女は「子供のうちは親に、結婚したら夫に、老いては子に従え」という三従の教えが強かった京都では学校出て就職など考えられない時代だった。 結婚したのが農林省の役人で水質管理などの仕事をしていたので瀬戸内海の任地を転々。大島ものびのびした子供時代を送ったそうだ。 (渚という名前も海にちなんだものだったそうだ) そしてその父が小学生の時に死に、実家の京都に帰り渚とその妹を育てたという。 大島は京都の町がさっきの女性観をはじめとして「古い日本の象徴」だったそうで、松竹の大船撮影所に入ったときは「これで京都と別れられる」と思ったという。 しかしそんな京都を嫌う大島監督だが、やはり「自分は京都人」という感覚があるそうだ。 彼の既存の日本の価値観に対する反骨の精神も「昔ながらの日本」の象徴の京都に対する反発からくるのだと思うと、大島渚の考え方を少しわかったような気がした。 その意味では観てよかった。 同時上映は「私のベレット」 昔新文芸座で観て以来の二度目の鑑賞だったが、白黒だと記憶していたのでカラーだったので驚いた。しかもニュープリント同然のピッカピカのプリント。 記憶はあてにならん。 続 組織暴力日時 2021年4月13日 場所 東映チャンネル 監督 佐藤純弥 製作 昭和42年(1967年) 銀座の街に丸和商事という会社が設立された。社長は兵藤五郎(渡辺文雄)。銀座のバーにおしぼりや氷を卸すまともな業者と思われたが、銀座を縄張りとする昔からのヤクザ友田と対立。警察の北川警部(丹波哲郎)も最初は「丸和はカタギ」と思っていたが、兵藤が友田の車を爆破するに至り見方を変えた。 兵藤は銀座を征すると銀座商事を設立。関東のヤクザ組織、政動会と対立するかに見えたが、兵藤は一転、政道会に加わることで対立はいったんは収まった。政道会のバックには与党の大物議員権堂(水島道太郎)がついていた。 兵藤は銀座を押さえことで新橋にあるパシフィッククラブというシカゴギャングが経営するギャンブル場も手にした。そこへ通っていたのは与党の長老政治家大和田(柳永二郎)。大和田は権堂とは政敵同士であり大和田は兵藤を使って権堂をつぶしにかかった。 それは太平洋不動産による高速道路の用地買収に絡む汚職だった。 高速道路のコースを変更させ、太平洋不動産が事前に買っておいた土地を買わせ、その利益が太平洋不動産によって権堂にながれているというのだ。 政道会は兵藤と対立する榊組(内田良平)を使って兵藤をつぶしにかかるが。 先月、東映チャンネルで放送のあった「組織暴力」。正直それほどでもなかったが、最近こういう東映の現代ヤクザ映画(実録路線ではないギャングもの)は観てなかったので引き続き鑑賞。 クレジットではトップは丹波哲郎だが、前回と同じく丹波は脇役。警察としては常に後手後手で面目がない。 事実上の主役は兵藤の渡辺文雄である。 でもねえ、これミスキャストじゃないかなあ。少なくとも私には役柄ではないと思った。もちろん渡辺文雄さんは名優なんだけど、この役じゃないんだよなあ。 渡辺文雄さんだとカタギの実業家にも見えるので、「カタギの実業家がヤクザにいじめられながら商売をしていく話」かと思って見始めたらヤクザの友田が時限爆弾で殺される。ここでもう「ええ?」となった。 この後、与党の政治家に近づいたりで徐々にのし上がっていく。 太平洋不動産の件では担当者の係長(露口茂)を締め上げていく。 それが権堂と大和田の代理戦争になっていく。 最後は榊を使って兵藤を亡き者しようとし、政道会側と兵藤の手打ち式の会場を出たところで兵藤は榊に殺される。 ここがあっさりなんだなあ。最後には兵藤の死に顔のアップとか死に際の一言とかもう少しあってもいいんじゃないだろうか? カタルシスがないのだよ。 丹波の警部も結局はなにも出来ずにパトカーで落ち込んで終わり。 兵藤の部下の谷隼人が大和田に発砲するのだが、それを止めてしまう。 いっそのこと殺させちゃえよ。 そのくらい弾けてほしいよ。 あらすじだけ読むと面白そうなのだが、監督の意図なんだろうけどわざと盛り上げない方向に行ってるので私には「カタルシスのない盛り上がらない映画」になってしまった。 残念。 復讐は俺に任せろ日時 2021年4月11日 場所 DVD 監督 フィリッツ・ラング 製作 1953年(昭和28年) 警察官のダンカンが拳銃自殺した。ダンカンの妻は遺体のそばにあった地区検事宛の手紙を発見。それを読むとラガナという男に電話する。ラガナは警察に届けるように言う。 殺人課のバニオン巡査部長(グレン・フォード)は現場検証に立ち会う。 他殺を疑う点はなく、自殺と断定された。しかしバニオンのもとにルーシーという女性から電話がある。会って話を聞くとダンカンは今の妻と離婚して自分と結婚の約束をしていたので自殺するはずがないという。 ダンカンの妻に確認したが、「主人の浮気は今に始まったことじゃない」と取り合わない。 しかし翌日ルーシーが死体となって発見された。裏に何かあると疑うバニオン。 捜査を打ち切るように上司からも命令される。さらに自宅にも脅迫電話がかかってきた。 バニオンの妻がバニオンの車で出かけようとしたとき、車は爆発し妻は死んだ。 犯人逮捕を目指すバニオンだが、上司から「警察を辞めてからにしろ」と言われ、警察バッチを返すバニオン。 車の修理工場からスリムという男が爆弾を仕掛けたと思われる。しかしスリムは死んでいた。スリムにはラリーという男から電話があり、折り返しの電話を頼まれたという証言が得られる。 その連絡先は酒場だった。そこでラガナの部下のビンス(リー・マーヴィン)という男と出会う。ビンスは酒場で女に手を上げ、それを止めるバニオン。 ビンスは怒って出ていくが、ビンスの女のデビーと知り合った。 彼女に話を聞いてみる。デビーはビンスのもとに帰ったが、「バニオンと会ってたろう」と熱いコーヒーを顔にぶっかけ、彼女は顔に大やけどを負ってしまう。 クラシックの映画をDVDで見たい気分だったので、去年「裸の町」を見るためにかった コスミック出版の著作権フリーの映画の10枚セットのうちの1本を鑑賞。 今スーパードラマTVで放送中の「ミステリー・ゾーン」を観ているので、クラシック映画を観たい気分になったのかも知れない。 監督はフィリッツ・ラング。 娯楽映画の監督として期待が持てる監督だ。 冒頭、男の自殺から始まり、その妻がどこかへ電話する。 この相手のラガナという男がどういう男かよくわからない。映画の途中でもバニオンがラガナの邸宅に押し掛けるシーンがあるが、この男が「なんか偉い人」というのは解るが、警察の上層部なのかどうかよくわからない。 結局、暗黒街のボス、ということなのだが、それはセリフで明確にしてほしかったな。 それとも訳が悪くてはっきりしなかったのか?はたまた身なりなどで当時の人は「こいつ悪い奴」と分かったのだろうか? ラガナが暗黒街のボスとなるとその部下のビンスもワル。そうなると話がすっきりしてくる。 最初の方でバニオンの妻が爆死するので驚いた。そういう伏線もなく、 いきなり爆発だったからなあ。 そしてビンスが自分の女に熱いコーヒーをぶっかける展開にも驚く。 (ここ「ロンググッドバイ」を思い出した) この女が雑魚キャラかと思ったら、後半になるにつれ比重を増す。 自殺したダンカンの夫人も悲劇の未亡人ではなく、悪い奴で「悪事の証拠をばらされたくなければ金を払え」とラガナを脅す。たいがいな女である。 大やけどをしたデビーは「そのそもあの女が悪い」とダンカン夫人を殺し、ビンスにも熱いコーヒーをぶっかけ復讐する。 こういう具合に悪い奴を退治するのは主人公ではなく、デビーなのだ。 バニオンが悪い奴を撃ち殺すシーンを期待していたので、あまりの展開に驚いた。 確かに元警官だからあまり無法なことはさせられないんだろうけど。 だから後半の悪人がやられるシーンではバニオンは蚊帳の外に置かれてしまう。 でも意外な人物が最後に悪い奴を撃つので、その意外性はよかった。 面白かった。 砕け散るところを見せてあげる日時 2021年4月10日20:35〜 場所 新宿ピカデリー・シアター3 監督 SABU 高校生の真っ赤な嵐(北村匠海)はお父さんはヒーローだったと語る。彼の父は真っ赤な嵐が生まれる直前に冬の川での事故に遭遇し、落ちた人を助けて亡くなった。 父・濱田清澄(中川大志)は高校3年生の秋、1年生の女の子がみんなにものを投げられているのを目撃する。やめさせる清澄だが、物を投げられていた女の子は「大丈夫?」と声をかけた清澄に対し「ギャー」と叫んでしまう。 不思議な子だと思った清澄だが、気になって仕方ない。土曜日、友人たちとの会話で気になったことがあった清澄は、夕方公園の女子トイレに確認に行く。案の定、そこの用具入れに例の彼女は閉じこめられていた。 彼女・蔵本玻璃(石井杏奈)を助けた清澄はやっと心を開いてくれた。 テストの過去問を貸してあげると家に連れて行く清澄。母親と話が盛り上がり、遅くなったので送っていった。その途中で玻璃の父(堤真一)と出会う。 この父、何かおかしい。 出演者の中に北村匠海があったので鑑賞。ポスターの配列からいっても北村は助演で出演シーンは少ないとは思ったが、それでもファン故に見に行く。(最近で「この人が出てるなら観る」と思えるのは北村匠海に山崎賢人。福士蒼汰も行きたいのだが最近は映画に出てくれない) 冒頭から出てきたので気分はあがったが、すぐに出なくなる。 映画自体は20年以上前が中心。だから誰も携帯は出てこない。 全く内容を知らずにみたので、「いじめられてる女の子を助けた高校生の恋愛話」なのだなと思ってみていた。 でもそれにしても展開が遅いよ。特にトイレで助けるシーンでは玻璃は外から鍵のかかった倉庫に閉じこめられていて、中からは開けられない。でも鍵自体は彼女の足下にある。 清澄が隣の上から顔を出して鍵を清澄に渡せばすぐに出られる。でもなんかごちゃごちゃと会話をしていつまで経っても鍵を渡さない。 正直、ここはいらいらした。 玻璃は一種人間不信に陥ってるからなかなか清澄に鍵を渡せなかったろうけど、「話は出てからやれ!」と怒鳴りつけたくなった。私がライターならそうしたろう。(それが結果的に他人が読んで面白いかはわからない) そしてまたしばらくは恋愛ドラマが展開して、父親が出てきてから一変する。 父親が義理の母親について話す話がどうも変なのだ。そして父の態度も変。 私ならここからは病院で看護師をしている母が探偵役となって父の異常さに気づき、清澄が助けに走る!という展開にしたけど、清澄の母親も特別動く様子はない。 そしてついに父が祖母を殺し、玻璃の母までも殺していることがわかる。 でも「ここからは俺が守る!」とか言ってほしくなかったなあ。言ったところで高校生になにが出来るんだよ。 でもゴルフクラブで頭を何度も殴られたら死ぬだろう。私は死んだと思ったので「主人公が死んで物語はどう展開するのだ?」と本気で心配した。 結局の所、サスペンスでもなく高校生の純愛でもなくなんだかどっちつかずに「話が唐突に急展開する映画」でしかなかった。 中川大志は大して好きじゃないし。 夏の秘密日時 2021年4月7日 場所 日本映画専門チャンネル録画 監督 川上裕通 製作 昭和57年(1982年) 東京オリンピックの年、刑事の真山(若山富三郎)は殺人犯の北林(阿藤海)を追跡中に北林が人質を取ったのでやむを得ず射殺した。 北林には妻との間に赤ん坊がいたが、妻は失踪した。 17年後、オリンピックの年に生まれた真山の娘も今は高校生。その真山ちえみ(真鍋ちえみ)の学校に転校生の北林佐和子(北原佐和子)がやってきた。ちえみと友人の三井チャコ(三井比佐子)はすぐに佐和子と仲良くなった。 佐和子は近くのラーメン店に下宿していたが、ある晩、担任の倉原(岡本富士太)に呼び出された。倉原は「会わせたい人がいる」と言っていたが、その現場では車がやってきて倉原はひき殺された。佐和子も轢かれそうになったが、なんとか逃げ出した。警察に佐和子は疑われた。その晩から佐和子はいなくなった。 チャコは学校一の優等生でかっこいい澄夫(柄沢次郎)にラブレターを出したが、母親の幸江(松尾嘉代)に交際を反対される。 そんな時、佐和子が自殺したという連絡があった。崖から海に飛び降りたらしい。現場には靴と「さようなら」の手紙だけがあった。 それから数日後、ちえみたちの水泳部の部室に小田原城の絵はがきだけが届く。ちえみは「佐和子は小田原にいる」とチャコを伴って小田原に向かう。 「夏の秘密」、妙に懐かしい映画である。アイドル映画として企画されたが、そのアイドルは泣かず飛ばずで映画だけが残るという不思議な企画。 とにかくこのころの松竹ははずしまくっていた。 この映画が公開される前には15分ぐらいのプロモーション映像を作り、毎回予告編上映時に流れていた。 「今もっとも旬なアイドル、パンジー」という内容だったが、とにかく知名度ゼロ。 東宝のたのきん映画や、東映のシブがき隊映画に対抗して松竹としては作ったのだろう。「売れてから映画を作るより売れる前から映画で売り出すんだ!」ということだったんだろうけど、完全に目算ははずれた。 パンジーなんてコアな人しか知らないんじゃないか? 私も今回知ったのだが、パンジーってグループで曲を出したのではなかったのだな。てっきりキャンディーズ的な3人グループだと思っていたのだが、違っていた。それぞれがソロデビューし、必要な時に集まるという「たのきん」式なグループだったのだ。 この映画の主題歌「ナイトトレイン美少女」も本来は真鍋ちえみの歌だったようだが、映画では3人で歌っているバージョンが流れる。 (この曲、作曲細野晴臣、作詞阿久悠というコンビだ!) ピンクレディーのミーのソロ映画「コールガール」との2本立て。(監督は小谷承靖)だから新旧アイドルの組み合わせだったのだ。 映画は見たはずだが、ビートたけしの出演カットしか覚えていなかった。 で肝心の映画である。 原作として小林久三がクレジットされてるが、映画用に書いた小説かも知れない。小林氏は松竹の社員だったからな。 まあ主役の3人に魅力がない。 一番まともなのは真鍋ちえみだが、これにしたってアイドルとしては下の方。三井比佐子、北原佐和子にいたっては素人以下である。 町のかわいい子の方がなんぼかましだろう。 まず笑顔がない。北原佐和子はいろいろ秘密がある立場だが、それにしたって事件が起きる前ならとびきりの笑顔を見せてもらいたいが、まるで笑顔がない。 そして当然のことながら演技はだめ。最低限笑顔はかわいくあってください。 話の方も事件が起こった段階で、「松尾嘉代が阿藤海の女房だったんだろうな」と想像したが、その通りだった。だが潔いのはそれをあまり隠さず、45分ぐらい(映画の中盤で)ばらしてしまうのだ。 倉原先生とつきあっていて子供までおろした小林先生(丘みつ子)も松尾嘉代に殺されてしまう。 んでちえみたちが小田原に行って佐和子のいた施設に行ったらあっさり絵はがきを出したのが施設の園長(小林亜星)だとわかる。しかも佐和子は生きている。 その佐和子との再会はちえみが連れて行った犬がにおいで見つけてくれるというもの。安易だなあ。 真山元刑事が気になって調べてみると、なんと松尾嘉代のトルコ嬢時代に近所の屋台のラーメン(三谷昇)の孫だったのが、倉原先生だったいうのだ。これは伏線もなく唐突で驚いた。 倉原が残しておいた日記が丘みつ子を通じて松尾嘉代の元にわたり、いろいろと疑っていた澄夫に読まれてしまう。澄夫は松尾嘉代の今の夫の連れ子。松尾嘉代の夫は今外交官として海外と日本を行き来している設定。 結局トルコ嬢をしていた松尾嘉代だが、阿藤海の死をきっかけに海外に行き、一からやり直そうとする、そこで今の外交官の夫と知り合った、という設定。いや強引だなあ。 澄夫が残していったメモから佐和子が小田原の旅館にいると知り、車で駆けつける。そして包丁を持って旅館の乗り込み、逃げた佐和子たちを追って廃業した映画館に入る。そこが暗いのでライターで火をつけてそのライターがもみ合ってるうちに床に落ちて大火災! 強引すぎるよ。 松尾嘉代が包丁持って追いかけるシーンはまるで「八つ墓村」の小川真由美のようだった。 最後、松尾嘉代は自分の娘でさえ殺そうとするが、佐和子が小声で「おかあさん」と呼ばれて心が変わって炎の中抱き合って終わりである。 すごいなあ。こんな映画だったんだ。 ラスト、突然ビキニになった3人は砂浜で寝ころぶ。佐和子が落ち込んでおり、ちえみの肩にもたれ掛かる。チャコも寄り添って3人で肩を寄せ合って空撮の映像に主題歌が被さる、というラスト。 この曲が「夏の夜に見た秘密は、夏の夜に忘れましょう」というテクノポップ風。 歌もうまくないなあ、この3人。 とにかくどうにも人気が出そうにない3人の映画をなぜ松竹は公開したのか。3人はオスカープロモーションの所属だったようだが、オスカーが金出してるのかな。(製作は松竹ではなく、松竹映像) キャストは無駄に豪華でビートたけしが佐和子が下宿するラーメン屋の主人役で出演。 「戦場のメリークリスマス」以前で、当時のビートたけしは(少なくとも映画界では)「最近売れてきた漫才師」という評価でしかなかったことがよくわかる。 あと澄夫役の柄沢次郎。アップもないので、監督はまったく興味なかったんだろう。本来なら彼も小田原に行って活躍しても良さそうだが。 なかなかの二枚目で今ならイケメン俳優としてそれなりに人気が出たと思う。この頃はまだ「若手のいい男」俳優は求められていなかったのだ。 女性ファンにとってのいい男はジャニーズをはじめとした歌手だったのだ。 イケメン俳優が商売になるのは妻夫木聡の「ウォーター・ボーイズ」以降だと思う。 あとワンカットだけの登場だが、チャコの父親役でまだ売れていない頃の橋爪功登場。アップはないが声でわかった。 そしてちえみたちが所属する水泳部のコーチ役で木原光知子登場。 このコーチが小田原の施設から東京のちえみたちの高校に佐和子を連れてきたのだ。物語のキーとなりそうだが、意外と出てこない。 この映画が公開されてからもう40年近くなる。 ヒットしなかった映画だし、パンジー自体もこけたアイドルなので、この映画自体も二度と観る機会はないと思っていた。 しかし今回日本映画専門チャンネルの「80年代アイドル映画特集」で放送され再見がかなった。 映画自体は面白くないのだが、この頃の松竹の迷走ぶりを表す映画として私には価値のある映画である。 再見できてよかった。 マックス・モン・アムール日時 2021年4月3日15:20〜 場所 シネマヴェーラ渋谷 監督 大島渚 製作 1987年(昭和62年) パリ在住のイギリス大使館員のピーター(アンソニー・ヒギンズ)は平和な日々を送っていた。しかし最近妻マーガレット(シャーロット・ランプリング)の様子がおかしい。「友人の家に行く」と行って出かけるがその友人の家には行っていなかった。 探偵を雇い調べてみる。そうするとマーガレットはある安アパートに毎日行っているというのだ。探偵はたぶん男だという。しかしその男は全く部屋から出ないため正体が分からない。 ピーターは探偵から教えてもらったアパートに乗り込む。しかしベッドの中にいたのは若い男ではなく、オスのチンパンジーだった。 悩んだ末にピーターはペットとして自分の家で住まわせることにする。 彼の名前はマックス。マックスとの出会いは友人と行った動物園だという。彼の視線を感じ、数日通い、「サーカスにいた猿を引き取っただけだから」ということで売ってもらえたのだという。 マーガレットとマックスは単なるペットと主人の関係なのか、それとも愛し合う男と女なのか。 大島渚特集での上映。この映画は封切りの時に見ている。就職してすぐの頃で映画もすっかり観なくなったのだが(案外簡単に忘れられた)、それでも大島渚の4年ぶりの新作(「戦場のメリークリスマス」以来)なので、見に行ったのだ。 確か「戦場のメリークリスマス」の次にも関わらず、単館で公開され(確か有楽町のスバル座)ヒットもしなかった。 内容は記憶には残っておらず、マックスを乗せた車が夜の凱旋門前を走るカットしか記憶になかった。 それは確かに内容も内容だからだろう。 とにかく怪作だったのだ。 今回34年ぶりに見直したわけだが、やっぱり不思議な作品だった。 話は分かる。別に難解ではない。 しかし獣姦もののエロ映画ではない。シャーロット・ランプリングなど実にセクシーで美しいが、あくまでもアート作品だ。 動物と人間のセックスは可能か?チンパンジーの子供を人間が妊娠することはあるのか?などの疑問を動物学者に聞いてみる。答えはノー。 町の売春婦を自宅に連れ込み、マックスは彼女とセックスするかを試してみる。試みは失敗、彼女はマックスのタイプではなかったようだ。 大島が何を描きたかったかさっぱりわからない怪作映画なのだ。 見終わって翌日「異なるものとの共生は可能か?」と言うことではなかったのか? 大島がテーマにしてきたものは「対立するもの」が多く扱われた。それが対立ではなく、共生が可能かということではないのか? しかしちょっと比喩が難しすぎた気がする。 少年日時 2021年4月3日12:20〜 場所 シネマヴェーラ渋谷 監督 大島渚 製作 昭和44年(1969年) この映画は学生時代に文芸地下(だったと思う)、2009年に銀座シネパトスで鑑賞。 今回3回目の鑑賞。映画自体の感想は2009年と特に変わらないなあ。 最近子供が親に虐待される映画をよく見るのでげんなりしてしまう。 とにかく早く逮捕されないかと思っていた。 本日の目玉は主役の少年を演じた阿部哲夫さんのトーク付き。 樋口尚文さんが「大島渚全映画秘蔵資料集成」という本を作っており(本来4月に刊行予定でその発売を記念しての特集上映だった)、それを絡めての登壇。 出演のきっかけは施設にいた(ということはご自身もご両親がいない立場だったのか)時にイベント(たぶん芝居)の練習を見に来たスタッフが阿部さんに白羽の矢を立てたそうだ。 それからほとんど本人の意志に関係なく、出演が決まりほぼ半年(1968年の秋から1969年の初め)にかけて撮影が行われたそうです。 そしてお金のない現場なので小山明子さんは時々テレビドラマ出演で現場を離れていたという。 それだけでなく地元の企業のCMというかポスターに出まくって金を稼いでいたとか(すごいなあ)。 アフレコが多く、現場はとにかく過酷で(北海道の宗谷岬とか寒かったそうで)アフレコしながら現場のことを思い出して記憶に残っていったそうで。 その後20歳ぐらいの時に俳優としてやっていこうか考えて大島さんに仕事を紹介してもらったが、結局俳優は収入的に不安定だからやはり踏み切れなかったという。 「俳優はとにかく映画が好き、みたいな人じゃないと出来ないと思った」 そうで、司会の樋口さんも「それが正しいと思います」と言っていた。 また本日は大島監督の息子の大島新監督がお見えになっていたが、新さんの誕生日が1969年9月なので、スケジュールとかから逆算すると「仕込まれた日が特定できる」という話。 映画自体は私はそれほど好きではないが、やっぱり大島の「少年もの」と1本として重要な位置を占めるのだろう。 小さな冒険旅行日時 2021年4月3日11:00〜 場所 シネマヴェーラ渋谷 監督 大島渚 製作 昭和38年(1963年) 団地に住む少年(3歳ぐらい)は団地と道路の境界線(黄色い線)の先には鬼がいると教えられ、今まででたことがなかった。仕事に行く父親(佐藤慶)を見送りに行った後、黄色い線の向こうに10円玉が落ちてるのを見かける。その10円を拾うためについ、線を越えてしまう。 ゴミ拾いのおじさん(たぶん浜村純)はちょっと怖かったけど、出てみたら何とかなった。都電の停留所に行ったら人に紛れて乗り込んでしまう。 車掌(加藤嘉)も気にしていたが、結局車庫までやってきた。驚いた運転手(米倉斉加年)を変顔をしてあやす。電車を降りて今度は後楽園遊園地にやってきた。ホットドッグ売場のお姉さんは1個くれたが、それは他の子にあげてしまった。もう一つもらおうとしたが今度は「だめ」といわれる。 老人(左卜全)が気にぶら下がってる御札(?)を取ろうとしている。老人は団体バスに乗っていく。同じバス駐車場にいた修学旅行のバスに乗り込む少年。先生(小松方正)は驚いて途中でおろしてしまう。 浅草についた。侍の格好をした看板持ちが路地裏でたばこを吸っているところを目撃する。そして今度は競馬場へ。そこでスリ(戸浦六宏)とその女(小山明子)と出会う。 火事の現場にも出くわす。消防士のおじさん(渡辺文雄)は命がけだ。 今度は工事現場へ。工事をしているおじさんは遊ばせてくれた。 最後にはもう一度都電に乗って家に帰った少年だった。 備忘録として内容はだいたい書いた。 この映画、せりふらしいせりふはなく、少年の大冒険が描かれる。 冒頭に「製作:日本生命」次に「制作:日生劇場映画部」とクレジット。 保険会社のPR映画だっただろうか?でもどんな機会で上映したのだろう?(「私のベレット」もそうだけど) プリントの状態がめちゃくちゃ退色して、なんだか緑色のフィルターをかけた感じで全編緑がかっている。消防車の色なんか赤じゃなくて青というか紫がかっていた。 フィルムセンター所蔵のプリントで、ニュープリントなのだが、その元のプリントが退色してるのでこんな色だそうだが。 こんな時こそデジタル化して色の補正を行ってほしい。 ほんわかした話なのだが、「愛と希望の街」「絞死刑」「少年」に連なる少年もの、の系譜に属するのかも知れない。 性的な関心ではなく、大島は10代(あるいはそれ以下も含む)の少年に「無垢」「純粋」なものを託しているのではないだろうか? そう考えると「日本の黒幕」の時に「少年の視点を通じて日本の黒幕を描く」という最初のモチーフ納得がいく。 映画自体はほのぼのとした話だが、そういう大島の癖(という言い方が正しいのか)が確かめられて面白かった。 農家の嫁は、取り扱い注意!Part2有機ある大作戦篇日時 2021年4月2日19:20〜 場所 池袋シネマロサ・スクリーン2(地下) 監督 いまおかしんじ 瑠美(フミカ)は農家の嫁。夫の優作(石橋保)から「有機栽培を考えてる」と相談された。友人のアサミ(和田瞳)に相談するが「ええ〜大変だよ。やめときなよ」と言われる。だが優作は「師匠の頼みだから」という。その師匠というのは猪俣という男でスナックのママみどりも「怪しい壷を売りつけたりとにかく胡散臭い」と評判が悪い。 猪俣も実は麗子(並木塔子)という女にそそのかされていたのだ。麗子に本気になる猪俣。だが麗子には男(那波隆史)がいた。 ついに契約書を優作の元に持ってくる猪俣。その契約書を子細に見た瑠美は相手の会社が実は架空の会社と知る。 瑠美とアサミ、みどりはチームを組んで麗子の男に近づき、魂胆を暴こうとする。 「農家の嫁は、取り扱い注意!」の第2弾。といっても2本撮りなので「好評につき第2作」という訳ではない。 脚本は今回は宍戸英紀。 私にとっての目玉は那波隆史さん。 オールバックにしてサングラスをかけたやくざ役。いまおか監督作品らしく、ただ怖いだけでなくいまおか監督らしいおどけた演技も見せ、さすがに芸域の広さを感じさせる。 猪俣と麗子はくっつくかと思わせてやっぱりそうはならない。 Part1、Part2とも詐欺の話なので話のバリエーションがイマイチ。 ヒットすれば3、4と作られる可能性もあるので、ここは期待したい。 今度は若い女の子が痴漢に襲われるのを助けるとか、話は広がりそうだしね。 そして前作に登場した川瀬陽太と優作の間になにがあったのか、優作はどうも昔はちょっと悪いことをしていたらしい。 その辺が伏線を張りっぱなしなので(別にあえてそうしたわけではなく、単に脚本の詰めが甘かっただけらしいが)、是非とも完結してほしい。 フミカのキックは頭の高さより足が上がる本当に迫力なので、(特に高校時代の思い出を話すところでパンティ丸見えになるカットはすごいよ) ゆる〜いアクションものとして今後も続けてほしい。 農家の嫁は、取り扱い注意!Part1天使降臨篇日時 2021年4月2日17:20〜 場所 池袋シネマロサ・スクリーン2(地下) 監督 いまおかしんじ 瑠美(フミカ)は子供の頃ヒーローにあこがれて10歳で挫折、高校では生徒会長に立候補したが落選、警官になったが結局退職し、婚活を経て今は農家の嫁となった。 今は夫・優作(石橋保)と姑(宮下順子)との3人暮らし。姑の嫁いびりに対抗し、気晴らしは近所のスナック・みどりでママ(丸純子)で友人のアサミ(和田瞳)とカラオケやお酒を飲むことが気晴らし。 ある日、駒田さんというおばあさんが困っているのを見かける。駒田さんは息子の義孝が東京の会社でお金を使い込んだのでその穴埋めに300万円を請求されていたのだ。 瑠美はオレオレ詐欺ではないかと疑うが駒田さんは「息子の為になりたい!」と聞かない。 一方でみどりママはお客としてやってきた弁護士(川瀬陽太)を部屋に連れ込んでいたが、結局はこの男も実は泥棒。(しかも優作の昔の友人だった) みどりママは駒田さんにお金を見せ金として300万円貸し、瑠美とアサミは駒田さんがお金を渡した相手を尾行し、お金を取り戻そうとする。 いまおか監督のレジェンドピクチャーズ作品。 「農家の嫁」シリーズはレジェンドとしてもヒットシリーズだそうだ。「農家」という野暮ったさに美人グラビアアイドルが演じるミスマッチ感がいいのだろう。 主演のフミカさんは子供の頃空手経験もあり、実際に蹴りを入れたときの迫力がすごい。女子高生時代の回想シーンで足を振り上げ、パンティが丸出しになるが、このカットは立派だった。すばらしい。 (ちなみに10歳ぐらいの頃の瑠美の回想シーンで空手着を着てキックをするのはいまおか監督の娘のテルコさん) 面白いことは面白いが、アクションとかサスペンスに徹してないので、あくまでもゆる〜い感じ。 でも冒頭、セックスレスの優作に不満を感じた瑠美が「私を見て!」と服をまくってブラジャーを見せる(性格にはおっぱいを見せるだろうが、乳首は見せない)シーンなどのぶっ飛び感がいまおか監督らしい。 川瀬陽太がオレオレ詐欺の黒幕と思いきや、何の関係もない。 みどりママが脱ぎ要員として登場してるので、川瀬さんはたまたま相手役にされただけか。でも今の川瀬さんは俳優として大きくなったので、川瀬さんが出てくると「なんかあるぞ」と思ってしまうんだよね。 ゆるい部分も多いけど、宮下順子の嫁いびりとか、瑠美の風呂を覗く近所のおじさんとかコネタも楽しく、そうじて低予算のながらみエンタメとしてはよく出来てると思う。 トムとジェリー日時 2021年4月1日18:55〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン9 監督 ティム・ストーリー トムとジェリーはニューヨークにやってきた。セントラルパークでのトムとジェリーの喧嘩に巻き込まれてケイラ(クロエ・グレース・モレッツ)はバイトを首になってしまう。 ジェリーは一流ホテルのロイヤル・ゲート・ホテルに住むことに決めた。ケイラも普段はロビーにいる客に無許可で観光ガイドをしている。今日もある客に話しかけたが、その女性はこのホテルに週末行われるセレブの結婚式のスタッフに応募してきたのだった。ケイラはなんとかその女性を追い返し、ちゃっかり自分が面接を受けることに。なんとか臨時スタッフとして雇われることに成功。 到着したセレブのプリータとベンに挨拶し、ケイラはプリータに気に入られる。 しかしジェリーの姿がホテルに見つかり、ケイラはネズミ退治の仕事を命じられる。 「トムとジェリー」の映画化。「トムとジェリー」は子供の頃地元のテレビ局(確か名古屋テレビだ)で夕方によく放送されていて、「トムとジェリー」2本、間に短編アニメ1本、そして時間合わせのためなのか「予告編」としてもう1本トムとジェリーを時間がなくなるまで放送していた。 それを延々と何年もやってるから、何度も何度も同じ作品を観ていて結構覚えている。それにしても子供って気に入ったら何度も同じ作品を観るんよね。「ウルトラQ」も「ウルトラマン」も「怪奇大作戦」も観たわけだが。 DVD化されたけど少し買ったが今更感もあってほとんど観ていない。むしろ真ん中にやっていた「トムとジェリー」ではないアニメがもう一度観たい。こちらはソフト化されてないみたいだが。 で、今回の映画。実写の世界と合成、というのでちょっと引いたのだが見たい映画もやってないし(いまコロナ禍で映画の公開本数が減っているのだ)最近仕事も暇なので観てみた。 実写との合成は立派だし、今更技術的には驚かない。しかし違和感しか残らなかった。 オリジナルの「トムとジェリー」は徹底して動物たちだけの世界、視点で描かれていた。時には人間が登場することもあったが、それは黒人の(!今では考えられないキャラ設定だが)お手伝いさんの足下だけだった、。 そして人間のキャラクターもなんだか気に入らない。 主人公のケイラは嘘をついてホテルに雇われる。まるっきり詐欺師の手口でなんだか好きになれないなあ。さらにホテルに雇われても髪はボサボサとまではいかないが、乱れている。 サブマネージャーのテレンスもお客の前ではズボンのポケットに手を入れたまま話したり、態度でかいぞ。えっアメリカの一流ホテルってそれが許されるの? そして音楽。今風のラップが採用されている。 トムとジェリーの動きはさすがにオリジナルを研究していて、同じ動きをしている。キャラクターの色合いとか体型とか同じで違和感はない。 たとえばジェリーを手に捕まえて手を空けてみると何やらジェリーは自分の手をグーにしてのぞいている。トムが興味を持ってその中を見せる振りをして見せるとパンチ!というネタをちゃんとやっている。 そういう昔と同じギャグをやっていてそこはいいのだが、昔は映像をみながら演奏したのか、実にシンクロしたオーケストラ音楽がついていた。 でも今回は(古くさくて現代的でないと思われたのだろう)そういう音楽がなかった感じだ。 オリジナルを生かしつつ、現代風に実写との合成という最新の技術で作ったんだろうけど、やっぱりだめだよ。 ドラえもんだけアニメでのび太やジャイアンが実際の俳優が演じていてもたぶんだめだろ。 そういうことですよ。 あと作品とはちょっと関係ないが、結婚するセレブの女性がインド人らしい。昔なら白人の金髪女性だったと思うが、インド人と結婚という設定がアメリカ映画もグローバル化しているのを感じた。 たぶん、これからは当たり前で気にもならなくなるんだろうけど。 |