若い季節日時 2021年5月30日 場所 ラピュタ阿佐ヶ谷 監督 古澤憲吾 製作 昭和38年(1963年) プランタン化粧品の女社長ケイ子(淡路恵子)は激怒した。ライバルのトレビアン化粧品が自社が来月1日に発売開始予定の飲むクリーム・ホワイトロマンと同様の製品を今日発売するというのだ。 早速デパートや特約店だけでも出来上がった製品を早速売り出す。 そこで活躍するのが宣伝部のガールズ・令子(団令子)、久美(藤山陽子)、美枝(中真千子)、弓子(浜美枝)。 今日はなんとかなったが、ケイ子は社内にスパイがいるのではないかと疑いだし、人事部長の有馬に調査を命じる。有馬は社内で給仕をしている九馬(坂本九)に社員の動向を見張れと命じる。 またケイ子はフランスからケン加賀見という化粧品の研究者が帰国すると聞き、プランタンにスカウトしようとする。加賀見(谷啓)はいったんはトレビアンに傾いたが、結局はプランタンに入社してくれた。 九馬の働きで南川常務(平田昭彦)がトレビアンの幹部と会っているのを目撃する。 加賀見のおかげで液体口紅という新製品が発売できる見込みとなった。 ところがトレビアンは今回はなにも仕掛けてこない。逆に怪しい。 NHKのテレビドラマ「若い季節」の映画化。バラエティ番組だと思っていたらwikiによれば日曜8時のミュージカルドラマだったらしい。 この映画も出演者は豪華で、淡路恵子、クレージーの面々、坂本九、ジェリー藤尾、有島一郎などなど豪華な面々。渡辺プロ総出演か。 本作で中心になるのは団令子、浜美枝、中真千子、藤山陽子の若手女優陣。しかしこれも調べて見るとNHKにはでてなかったらしい。 まあそうだろうねえ。 クレージーの面々はでてるし、商売敵との決戦とか、クレージー映画に似ている。だからクレージー映画にカウントされることもあるのだな。 基本ミュージカルなので、植木も坂本も歌う。 植木が「サラリーマンは〜」と「どんと節」を歌いかけると、坂本が続きを歌い、そのお返しと坂本が「上を向いて」と歌い出すと植木が続きを歌う、という遊び付き。 結局谷啓のケン加賀見はトレビアンが送り込んだニセモノ。本物が最後に出てくるので、「どんな大物か」と思っていたらビンボ・ダナオが登場。 えっこれ誰?と思ったら淡路恵子の旦那だったらしい。 そういう夫婦共演のオチか。 ラスト、谷啓の方は正体がばれるのだが、平田昭彦常務は逃げるだけ。 ここは彼にもお仕置きしてほしかったかな。 正直、出演者が豪華すぎてかえって誰が主演かわからない散漫な感じがする。 惜しい。 隼の魔王日時 2021年5月30日 場所 DVD 監督 松田定次 製作 昭和30年(1955年) プロ野球東京レッドソックスと大阪フィリーズの試合の途中で強打者高塚が三塁の手前で倒れた。その場に居合わせた医者(片岡千恵蔵)が死亡と確認。死因は毒物。毒のついた矢が高塚に刺さったようだ。 早速捜査を開始した多蘿尾伴内。警視庁に聞き込みにいくと暁探偵社の高森真砂子(喜多川千鶴)と出くわす。暁探偵社の久保木所長もこの話題の事件を解決して宣伝に利用しようとしている。 高塚はダンサーのエミー石川とつきあいがあったようだ。そのことから高森は手がかりをつかもうとしたが、うまくいかない。 多蘿尾はベースボールスター社の写真とスポーツ特報の写真が同じことに目を付けた。ベースボールスターの中原が特報社の戸川に写真を提供したと証言したが、戸川はその晩に毒殺された。 また今度はフィリーズのスター選手青池(安部徹)が殺された。 事件の裏には野球賭博が絡んでいるようだ。 東映に移っての「多蘿尾伴内」シリーズ3作目。(2作目の「曲馬団の魔王」はDVDのリーフレットによると「原盤不明」のため欠番、とある。残念ですね。 とにかく満場の野球場で選手が殺されるというショッキングなシーンから始まる。しかし「どうやって殺したか?」はあまり追求されない。 吹き矢状のもので撃ったんだろうとは想像されますが。 今回は喜多川千鶴扮する女探偵登場なのだが、彼女はライバルでもなく助手でもなくただうろうろするだけ。 この高森に「2紙の写真が同じ」と話した直後にカメラマンが殺されたりしたので、最後の最後に多蘿尾は「あなたが黒幕なのですね」と誤った推理をする。 これは珍しい。 ここで高森が「私はあなたから得た情報をすべて所長に報告してました!」と言ったので暁探偵社の所長(三島雅夫)が黒幕の一人と判明する。 最後にレッドソックスの選手が恋人が誘拐されて仕方なく八百長に荷担しようとなったときに、「臨時コーチに来てもらった」として多蘿尾伴内登場!(と言っていいのか?) 片目の運転手ならともかく、いきなり臨時コーチな無茶だろう、と思ったらDVDのリーフレットの解説でも同じことが書いてあった。 劇場でみれば爆笑だったのかも知れない。 そして犯人はスポーツ新聞の社長と探偵社の社長と材木屋の社長だったと最後に藤村大造暴かれる。戦争中に工作員をしていた連中のようだが、そういう調査はまったく説明せずにいきなり解説。 さっきまで高森が黒幕と思っていたんじゃないか!というのはなし。 そういえば安部徹がホテルの密室で殺されたとき、「密室殺人!」とあおっておいて、「扉を開けようとした被害者を鍵穴から刺した」とあっさり見破る。もう少し引っ張ってもいいんじゃないか? 材木屋の件だが、最後の最後に野球選手とその恋人が殺されるようとするのが、材木屋の回転鋸。多蘿尾伴内が駆けつけるとわかっていても原等はしますねえ。 やっぱり回転鋸は画的に派手で栄えますねえ。 最後の謎解きは颯爽と服を取り去る藤村。(階段の上ではない) ここで銃撃戦となるのだが、最後には藤村の弾も尽き万事休す!となるのは珍しかった。 まあ警官隊がやってきて大丈夫なんですが。 今回は車には装備がなし。しかし多蘿尾が携帯式のラジオを持っていて、今みると何でもないが、当時は珍しかったらしい。 週に1本ぐらいは楽しみたい多蘿尾伴内である。 劇場版 ほんとうにあった怖い話2019〜冬の特別編〜日時 2021年5月29日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 鳥居康剛 製作 2019年(令和元年) 第1話 Trick or Treat 宇川雄都(橋本祥平)は加藤という女性に会う。雄都は先日あった不思議な出来事をはなすのだった。 雄都は大学の友人リュウ、コウイチとともにある廃墟にやってきた。オカルトサイトで見かけたある儀式を行うためだ。それは一番年下のものが参加者の髪の毛を使った料理作り、完食したら悪魔と契約を交わし、願い事が何でもかなうというものだった。 コウイチが料理を作り、雄都とリュウはサイトに書いてあった通り建物の周りに逆十字を書いた。その時、コウイチの悲鳴が! 中に入ったリュウと雄都だったが、たまたま鍋を吹きこぼしただけだった。しかしなんだかコウイチの様子がおかしいし、料理の中に人間の指や耳が入っているように見えた。怖くなったリュウと雄都は帰ろうとするが、コウイチは反対した。気がついたら雄都は家に帰っていた。 加藤はそのオカルトサイトの運営者だった。加藤が言うにはオカルトサイトに書いたことは自分の創作で何の根拠もないという。 しかしコウイチはその後一流会社に就職したし、性格も変わったようだし、例の廃墟では白骨死体が発見されたりした。 雄都はあの晩、コウイチは一人で悪魔と契約を交わした気がしてならない。 廃墟、悪魔との儀式、血の色の鍋、無鉄砲な若者、とホラーの要素を詰め込んだ一品。それなりに楽しめる。 第2話 PHANTASM 田岡美優の夫の姪の明日香は昨年のハロウィンの直後に事故で亡くなった。今年もハロウィンが近いある日、部屋の掃除をしていたら明日香が気に入ってたぬいぐるみが出てきた。 その日から美優の家の中ではお菓子が落ちていたり、トイレットペーパーが部屋中に散乱してるといういたずらが起きる。 てっきり夫の仕業と思っていたが、違っていた。ハロウィンの晩、明日香が現れる。美優は明日香を抱きしめ、お菓子を与えた。明日香は消えてくれた。 美優は明日香のぬいぐるみをお寺で供養してもらった。 どっちかというとファンタジー系の「いい話」なので怖さはない。 第3話 THE DOOR 小畑亜矢子は会社の近くの公園でお弁当を食べるのを楽しみにしていた。ある日、外国人の女性は亜矢子のことをじっと見ているのに気づく。なんだか不気味だ。夜になるとその女性が首に巻いていた緑のスカーフが首に巻き付く夢を見る。 親友のハルカに相談する亜矢子。ハルカの妹のノゾミは霊感があり、3人で例の公園に行ってみる。外国人女性はいた。ハルカが意を決して「何かご用ですか?」と話しかける。 その女性はミッシェルといい、亜矢子が今すんでいる部屋に前に住んでいたという。あの部屋にはあの世とこの世をつなぐ扉があるという。 亜矢子はハルカやノゾミと一緒に部屋を調べてみると、何から怪しげな☆マークや木の枝で作った十字架があった。気持ち悪くてそれを外す亜矢子。ノゾミが捨ててきてくれた。 その晩、亜矢子や下半身がない死体などが押入から出てくる。 実は捨てていなかった十字架をハルカが渡してくれて亜矢子は助かる。 ミッシェルに電話してみたがつながらない。管理会社に問い合わせてみると以前住んでいた人が「ここは場所が悪い」と言って出て行ったという。 例の十字架や☆はケルトの伝説にあったという。 怪しい外国人とかの要素はあるが、「ケルトのおまじない」とか言われるとなんだかな。 ここは日本なんだし、日本の伝説で攻めた方がよかったと思う。 なんでケルトの言い伝えの「あの世とこの世」がここに出来たかはっきりしないし。 あと亜矢子の部屋広すぎ。一応設定では「都内の小さな広告会社に事務職で勤める」というのだからワンルームではないか? まあ本筋とは関係ない批判で申し訳ないが。 今回の3本、1話目がおもしろかったが、後の二つはイマイチだった。 このシリーズ、不気味な音楽に助けられてるところが大きいですね。 劇場版 ほんとうにあった怖い話2018日時 2021年5月23日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 KANEDA 細田孝之 製作 平成30年(2018年) 「音楽」(監督 KANEDA) 「私」が都内の大学に進学して一人暮らしを始めた頃、アパートの隣の部屋では週末になると恋人がやってきて音楽をならしていた。 ある晩、疲れて帰った日にアパートの前で軽く女性とぶつかった。すぐに寝てしまったが、夜中に音楽で目を覚ます。深夜3時だというのに隣の部屋からは音楽が流れてくる。不審に思って他の住民と部屋に入ってみるとその部屋の住人と恋人が死んでいた。 それから「私」は髪の長い女性を見かけるようになる。 「ほんとうにあった怖い話」もなれてきたので癖になって過去作をレンタルで借りてみた。 最後には髪の長い女性に部屋で襲われる!という展開。ところがこれが幽霊でも何でもなく隣の部屋の住人を殺した真犯人。アパートの前で「私」とぶつかったため、監視していただけだったのだ。 「ほん怖」にしては珍しく理由がはっきりしている。こういうのもありなんだ、と思った。 「ほん怖」らしさは最後の襲われるところで携帯からいつも隣の部屋から流れていた音楽が鳴った、というところ。 やっぱりすべて説明がついては「ほん怖」らしくない。 「孤独な女」(監督 細田孝之) 女子大生のサキはいつも一人でいる女子学生が気になっていた。ある晩、サキは近所の踏切で彼女が一人でたたずんでいるのを見かける。「大丈夫?」と声をかけたが、途中で電話が入りそのままになっていた。 その後、彼女が鉄道に飛び込み自殺をしたと知る。 それからサキは彼女の影に悩まされる。 最後にはその孤独な女性が部屋にまでやってくる。LINEの着信で「どうして止めてくれなかったの?」と入り、彼女の意志が伝わってくる。 最後にはサキが「私、関係ないじゃない!」と叫んだことですべてが終わる、という展開。 なるほど、こういう展開でいいんだ、と思った。 「殺人者」(監督 KANEDA) アヤコの父の死によって実家が空き家となった。夫のシンゴ共に掃除やってきたアヤコ。しかし夫のシンゴは少女を見かけると言い出す。 帰りによったコンビニでシンゴは拾った鎌で人を殺してしまう。 夫が狂気にむしばまれていくというホラー。 恐怖にかられて人を殺すというのは定番の展開。しかしエピソード毎に定番だけど同じでなく、ゆるいホラーとして楽しめた。 「殺人者。、その後」(監督 KANEDA) 「殺人者」の後日談としておまけ。これ尺が足らなくて追加したんじゃないかと安易な作り。 アヤコに来てもらってインタビューをするが、彼女はモゴモゴとして大してしゃべらない。顔は全面モザイク。シンゴは心神喪失として無罪になった。 詳しい人にインタビューしてきました、とスタッフがいい、これが裁判に詳しい人かと思ったら、怪しげなフリージャーナリスト、日本魍魎研究会、などのそっち系の人ばかりで、こっちの人の方がなんだか不気味。 最後にはアヤコが結局帰ってしばらくカメラが回る。いつまで回してんだと思っていたらカメラがパンしてアヤコが鎌を持っておそってくる、でカットアウト。 一応オチはついていた。 こんな感じの緩いホラーで私は好きになりました、このシリーズ。 片目の魔王 多羅尾伴内シリーズ日時 2021年5月23日 場所 DVD 監督 佐々木康 製作 昭和28年(1953年) ある漁船の上で乗組員の一人が筏に乗せられ、海に捨てられた。男の筏は偶然発見されたが警察の事情徴収に対し、名前すらも語らなかった。 その男は結局釈放。出てきたところを謎の船員崩れに話しかけられ、「住む場所が欲しかったら入船町の楽々荘に行きな」と言われる。 その後、男は狙撃されるがなんとか脱出出来た。 キャバレー・エンパイヤの社長岡部(進藤英太郎)はホステスの渡名喜姉妹を毎晩自宅まで送り届けていた。 筏の男は楽々荘を訪ね、その老管理人に自分は相川鉄夫という名だと打ち明け、老管理人は彼に拳銃を預けた。 相川はエンパイヤを訪ねた。入るときに支配人の手塚にポケットのものを聞かれ、拳銃が見つかってしまった。しかし手塚は「使わなければかまいませんよ」と返してくれた。 しかしその晩、エンパイヤには相川が乗っていた漁船の船長たちもやってきていた。相川を発見する船長たち。しかし銃声が響き、船員の一人が死に相川はその場から逃走した。 警察とともにやってきたのは多羅尾伴内(片岡千恵蔵)。 伴内は渡名喜姉妹から、相川は渡名喜姉妹の父がビルマから日本二帰ってくる途中で立ち寄った無人島に「片目の魔王」と呼ばれる大きなダイヤを隠してきたという事実を知る。それを相川は取りにいったのだ。 続いて漁船の船長たちも死体で発見。果たして真犯人は? 「多羅尾伴内」シリーズ第5作。大映の4本に続いての映画化だ。 要は永田雅一と喧嘩して東映でシリーズ再開という訳。脚本は比佐芳武だが監督は違う。 まだこの頃はモノクロスタンダード。 全く上映される機会がないのだが、今回ベストフィールドからプリントがないこの次の作品の「曲魔団の魔王」をのぞいて全6本がBOXでDVD化。このBOX定価25000円ほど。かなり高いが他にみる方法もないので買った。(もっとも東映チャンネルで過去に放送はあったようだが) 藤村大造は今回、船員くずれ、楽々荘管理人、片目の運転手、多羅尾伴内、ダイヤ好きの元伯爵、そしてダイヤ鑑定人のアラブ人に変装。 やっぱり外国人に化けるのが笑えますよ。 最後の謎解きにシーンでは「七つの顔の男だぜ。ある時は・・・」はやってくれるが、階段を前にして、という訳ではない。このパターンはまだ確立されていない。 でも「三十三の足跡」ではやらなかったようだから、やっぱりうれしいですね。 最後には黒幕の進藤英太郎と藤村のカーチェイスと銃撃戦。 藤村の車はフロントガラスの前に防弾ガラスが出てきて撃たれても平気平気。007も真っ青だ。 あと5本あって(未見は3本だけど)週に1本くらい楽しもうか。 女性自身日時 2021年5月23日10:30〜 場所 ラピュタ阿佐ヶ谷 監督 福田純 製作 昭和37年(1962年) 矢代真理子(藤山陽子)は丸の内の東京化工に勤めるBG。ある日、帰りがけに給湯室で同僚の悠美子(浜美枝)が多久孝平(佐原健二)にキスされてるのを目撃する。 悠美子は孝平と結婚を望んでいるが、孝平にはつきあうつもりすらない。 真理子は悠美子に頼まれて近くの銀座のバー・ホワイトでいるので連れてきてほしいという。仕方なくホワイトに行き孝平を連れ出した真理子だが、待ちくたびれた悠美子は帰っていた。 一方会社の方では同僚の石本(藤木悠)な強引なプロポーズに困る真理子。家に帰れば姉の真喜子(原知佐子)にお見合いの話があるが、姉は好きな人がいてお見合いには興味がない。しかしその姉がつきあってる船井(伊藤久哉)は浮気ばかりしていてろくな男ではない。 石本は悠美子と組んでお互いの恋を成就させるために真理子と孝平の仲を引き裂こうとする。 真理子は姉の代わりにお見合いをする事にする。だがその相手・柴北(立川寛)は孝平の親友だった。柴北も真理子を気に入り結婚を考える。 ラピュタ阿佐ヶ谷モーニングの女優特集。昨日までは司葉子で、先週の土日は「その場所に女ありて」が上映され、2日続けて観に行った。 土曜日の方はいまおか監督に上映を知らせてあったので、一緒に観た。 宝田明も非公式でサプライズで来た。 で、今日からが浜美枝特集。浜さんは数少ない私の好きな女優なので、未見の作品はなるべく通おうと思う。 主演は藤山陽子。藤山陽子といえば「海底軍艦」だが、この映画が主演第1作だそうだ。 上映が始まって驚いたのが白黒だったこと。いやチラシには白黒と書いてあったが、カラーだと思いこんでいたのだ。 映画自体は丸の内サラリーマンのラブコメ。 藤山陽子って顔はきれいだけど、やっぱり表情に乏しく人気がでなかったのもわかる感じ。要は女優としての魅力に乏しい。 浜美枝まだまだあか抜けない感じ。でもこの映画の公開が5月で「キングコング対ゴジラ」が8月。そんな時間差がないようには見えなかったがなあ。 佐原さんの演じる孝平という男はやたら気前がよくて悠美子に2万円貸しても(今でいうなら20万以上か)「返さなくていいよ」という男。 冒頭のキスは「返さないからその代わりにキスをしてくれ」と悠美子がせがんだという訳。その理屈はよく解らんが。 この悠美子だが、なにかあると「ハンカチ貸して」と行って涙を拭いて鼻をかみ、ハンカチを自分のポケットに入れてしまう癖のある女。 ラピュタのチラシにも書いてあったけど、このキャラクターは笑った。「ちょっと自分勝手なところがある」っていう性格付けをよく表してましたね。 結局悠美子は自分から身を引き、近所の魚屋の息子(中谷一郎)と結婚することに。真理子も孝平とつきあいだし、姉の方も船井が交通事故を起こしたことをきっかけに女遊びは止めるとなって結婚。 でも姉の方はうまく行かない気が・・・ 正直それほど面白くないラブコメ。やはり藤山陽子の女優としての力のなさか。 いのちの停車場日時 2021年5月22日11:00〜日 場所 TOHOシネマズ川崎・スクリーン7 監督 成島 出 東京の大病院で救急救命医として働いていた白石咲和子(吉永小百合)だったが、大事故が起こったために混乱している現場で交通事故の少女が運ばれてきた。多くの怪我人に対応している咲和子は少女の対応がおろそかになってしまう。見かねた事務員の野呂(松坂桃李)が点滴の針を刺したことが問題となり、「責任者は自分」と病院を辞めた。 そして故郷の金沢に帰り、実家の父と同居し、在宅医療を行うまほろば診療所に勤めることに。 院長は仙川(西田敏行)は交通事故の後遺症でほとんど車椅子。看護師の星野麻世(広瀬すず)との二人だけの診療所。ここは在宅医療を中心に行っている。在宅医療はガンの末期の患者などが入院より自宅滞在を望んだ患者たちに対する対応だ。 「死ぬまで芸をしたい」と芸者を続ける者(小池栄子)、ゴミ屋敷状態の家で妻を看取る夫婦(泉谷しげる、松金よね子)、金に糸目はつけないからというIT長者(伊勢谷友介)、小児ガンの少女。そして咲和子の父(田中ミン〜サンズイに民)も足の骨折が元で脳に障害が起き、激痛を感じるようになり安楽死を望む。 吉永小百合の最新作。東映作品。5月21日昨日の公開だが、東京などは緊急事態宣言の映画館は閉館中。迷った結果だろうけど、公開延期はせずに緊急事態宣言以外の劇場では公開。 首都圏は東京のみ緊急事態宣言で大手シネコンは休館中。ところがお隣の神奈川県は開いているので、今日光音座に行く前によって鑑賞。 今(というほど最近のことではないが)テレビドラマは「医療もの」が非常に多い。刑事物と並んでの安定のコンテンツらしい。各局常に1クールに1本は医療もがある。大都会の大病院を舞台にしたものや、田舎の診療所を舞台にしたものなど様々。だがまあ同じような話である。 結局、患者毎に毎回エピソードが作れるので、連続ドラマとしてはやりやすいし、生きるの死ぬので盛り上げやすいのだろう。 (私はほとんど見ないけど。でも1月期では北村匠海が看護師役で出演した「にじいろカルテ」は観た) そんな感じでテレビドラマでもOKな感じである。 それにしてもこの咲和子の年齢設定はいくつなのだろう?たぶん50代じゃないかと思うのだが、演じている吉永小百合は75ぐらいである。 高倉健も最後は80代でも60代ぐらいの役を演じていたが、もう無理ないか。もう白髪の70代の役を演じてもいいんじゃないかなあ。 出てくる人がいい人ばかりでもう私のような心のねじくれ曲がった人間からするとこっぱずかしくなるヒューマンドラマ。 さすがに子供がガンで死ぬ話はうるっときたけど。 最後は安楽死を父が望んでいることを院長に打ち明ける。「それは犯罪です」と諭す院長。咲和子は冒頭の野呂の一件でも「野呂君は人間として間違ったことはしてません!」と「法律」より「人間として」を重んじる正確だと示されているので、「安楽死か?」と思った。 結果としては一晩たって夜明けを見た父が「美しい」ということをいうので、結局安楽死は思いとどまり、なんとか持ち直したようである。 このカットで深いフェードアウトになる。「続きあるの?」と思ったがエンドクレジットになったので、これからの父のことは監督もパンフで行っていたが「観客の想像にゆだねる」と言っているので、まあ私は「奇跡が起こった」と解釈した。 今日は舞台挨拶中継付き。吉永、広瀬、松坂、西田、泉谷、みなみらんぼうが無観客の丸の内東映から全国の200以上の映画館に向けて中継。 とにかくこの映画は完成直前に岡田裕介は亡くなるしでなにかと死が絡む。 そこでみなみらんぼうが発言中に「体調が悪い」と一旦舞台から下がるというハプニングもあって、どきどきさせられた。 とにかく見てるこちらが照れてくるようなヒューマンドラマ。 愛のコリーダ 修復版日時 2021年5月16日17:00〜 場所 新宿武蔵野館2 監督 大島 渚 製作 昭和51年(1976年) ストーリー省略。 というか物語で見せる映画じゃないんだよな、これ。 「愛のコリーダ」を劇場で見るのは3回目である。 1回目は80年代(たぶん82年)の池袋文芸地下(昔の方)の大島渚特集での公開時のバージョン。 2回目は2000年に「愛のコリーダ2000」として大幅に原型に戻しての上映。そして今回。 本来は4月25日公開予定だったが、コロナ禍で上映予定だった新宿武蔵野館は休館。5月12日になってから緊急事態宣言が緩和されたため(というか補償なき休館は無理なので)延長期間になってからは上映再開。 テアトル新宿などの中クラスの映画館はミニシアターと同じく上映再開。 大手のシネコン(TOHO、松竹、東映、ユナイテッド、109、イオン)は休館継続である。 だから本来5月14日公開だった「ゴジラVSコング」は公開延期。 でも5月14日にゴジラストアから新キャラクターのメカゴジラのフィギュアが紹介され「ネタバレだ!」とファンの間で一悶着。 まあ仕方ないんですけどね。 今回は「戦場のメリークリスマス」と同時に公開でパンフレットも共通。 「戦場のメリークリスマス」が<4K修復版>と宣伝しているので、「愛のコリーダ」も4K化したのかと思ったら、こちらは単なる<修復版>としか記されていない。 でも「2000」の頃はまだフィルム上映が当たり前だったから、この時はフィルムだったのだろう。 今回はデジタル化しての上映である。 「初公開版」はぼかしだけでなく、トリミングがあり、定が吉蔵の首を絞めるカットなど、真ん中をトリミングして定と吉蔵のカットだけを上下につなぎ、マルチスクリーンのようになったカットがあり当時「なんじゃこれ?」と思った覚えがある。 今となってはこのバージョンももう一度観てみたいものだ。 デジタル化したせいなのか不明だが、今回際だって感じたのは主役の二人の肌の美しさ! 松田瑛子の乳房なんか乳頭はピンク色で美しかったなあ。 藤竜也も色気がムンムンでした。 結局今回のバージョンはヘアはOKで性器が見えるところはぼかしが入る感じ。 途中、幼児と幼女が部屋の中で真っ裸で走り回り、定に男の子が捕まってオチンチンを掴むシーンがあるが、ここなど幼女幼児の股間にぼかしがはいる。えっ、ここ入れるの? でも今回思ったのは定があれほど執着した吉蔵のオチンチンを画面に写さないのは肝心なものが抜けてることにならないだろうか? 「伯林漂流」は表現に妥協がなかったから、私の心を動かした。 今回もそれが写らなかったら、やっぱり定の心境は表現できない気がする。 海外版のソフトでも買って観ない限り、真価は解らないのかも知れない。 劇場版 ほんとうにあった怖い話 事故物件芸人2日時 2021年5月15日19:25〜 場所 池袋シネマロサ2(2階) 監督 天野裕光 CASE1 売れない芸人の高木総一郎は古本屋で「芸人日記」という勅使河原ナユタという人が書いた日記に惚れ込んだ。勅使河原は旅をしながら土地土地で芸をして暮らしていたのだが、ある温泉旅館に泊まると不思議なことが起こるというのだ。その旅館に行ってみたが途中で乗ったタクシーがまず怪しい。 そして部屋に泊まったが特になにもないかに思えた。しかし続きの部屋に缶コーヒーが転がっていくと自然に帰ってくる。言葉を発するとその言葉がこだまのように帰ってくる。外で何か音がするが扉を開けても誰もいない。 窓を見ると自分が真っ逆様に落ちていく姿が見えた。やっとその旅館を抜け出した高木だが、自分の精神状態が普通でないと思う。 CASE2 売れない芸人の伊勢ノボルは男女でコンビを組んで漫才をしているが、練習してもどうにもならない。ある日ネットで「ある駅の裏に止まっているタクシーに乗ると自分自身と向き合える場所に連れて行ってくれる」という情報を得る。 何か変化がほしいノボルはそのタクシーに乗ってみた。どこへ行くかわからない。やがて運転手は昔の飢饉で人を食べた時代の話をし始める。 怖くなったノボルは帰ろうとするが返してくれない。 やっとの思いで逃げ出したが、帰ったとたんに交通事故で死ぬ。 運転していたのは相方の彼氏だった。 CASE3 売れない漫才コンビの平見隆と鷲尾拓也は「事故物件に住んでみた」などの動画をネットにあげていたが、「ある旅館に191号室に泊まると怖いことが起きる」という書き込みを見つける。 その旅館に行ってみたが到着するといきなり「芸人さんですよね。お待ちしてました」と歓待を受ける。女将がいうには「団体客を盛り上げる芸人さんですよね?」という。 しかし団体客がいる様子もない。夜になって女将が「お願いがあります」と言って部屋にやってきた。そしてこの地方に伝わる「人喰い伝説」の話を始める。「で、お願いとはなんでしょう?」「ですから私たちに食べられてほしいのです」 気づくと相方がいない。調理場では相方が縛られていた。料理人が包丁を研いでいる。なんとか逃げ出す二人。だがその後も普通には暮らせなかった。料理人が包丁を持ってどこまでも追いかけてくるのだ。 ブロードウエイの「ほんとうにあった怖い話」シリーズの新作。 もうこれで3本観ている。「実際にあった投稿をもとにした再現ドラマ」という体だが、本当はオリジナル作品だと私は思っている。 だとすると最後には主人公は生きて帰れねばならないという縛りがでてしまう。ここがやりづらいなと思っていたが1作目も2作目では主人公は死ぬ。 ではどうするかというと1作目では「これが私の最後の投稿になります」と何回も途中経過を投稿した形になっていて、最後は桜の木のアップでいかにも「この後私は首を吊った」というように見える。 そして2作目では交通事故にあって最後の最後に「投稿」というボタンを押す。そうして「今までの経緯を死の直前に投稿した」という形を取ったのだ。 3本で75分。1本が25分の短編。血しぶきもでないし、私のようなスプラッターが苦手な人にも見れる内容だ。これぐらいの怖さが私にはちょうどいいんですよね。 (釈由美子が出演した海外ホラーの予告編をやっていたけど妊婦とか謎の伝染病で顔が変な色になるとか、目の色も変わるとかそういうビジュアルがきついのはだめなんですよ) また今回気がついたのは特に音で怖がらせている。 とにかく終始不気味な音楽が流れる。まあ音で演出をごまかしているとも言えるのだが。今書いてる脚本の参考になったな。 出演しているのは実際の芸人さんたち。私は一人も知らない人なのでほんとに「売れてない芸人」である。場内は女性が多かったが、どうも出演している芸人さんのファンらしい。 3本ともタクシーが登場し、2話目はタクシーが話の中心。 同じタクシー、同じ旅館で撮影し、撮影の効率を計っているのも勉強になる。 昔の新東宝路線ってこんな感じだったのかな、と思わせる作品。面白かった。もはや癖になってきた。次も観たい。 既出のシリーズはレンタルで借りるか。 密告日時 2021年5月9日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 製作 1943年(日本公開1950年) フランスの田舎町。ジェルマン医師の元に「カラス」と名乗る人物からの怪文書が出回る。精神科のヴォルゼ医師の若い妻ローラとの関係を暴いたものだった。またジェルマンが担当した妊婦が続いてお産がうまくいかず子供が死んでしまったことを「堕胎医」と中傷していた。 ジェルマンの隣のアパートに住む美人のドニーズとの関係さえも中傷のネタに。 病院のガン患者に「もう余命はない」というカラスからの手紙が送られ、その患者は悲観して自殺した。ローラの姉で看護婦のマリーが疑われ逮捕される。 しかしその葬儀の席でまたもカラスの手紙が。手紙は葬儀会場の上の方から降ってきたので、その時に階段席にいた18人の中にカラスはいることになった。 ヴォルゼ医師の指導の元、18人全員にカラスの手紙を書き取らせる。何時間も書き取らせれば最初は隠せてもやがて絶対に癖が出てくる。 長時間のテストの間にドニーズが体調を悪くする。 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー作品。 クルーゾーの映画は出来るだけ観ていきたい。TSUTAYA宅配レンタルであったのがこの1本。 うーん、だめじゃないっていう程度でちょっと弱いというのが印象。 怪文書が次々と送られてくるのはいいんだけど、殺人が起きるとかではないのでいまいちインパクトが弱い。 でも最後の5分になって怪文書を書いていたのは実はドニーズだった、ってなって、いや実はローラってなって、いやいや実は・・・というどんでん返しは面白かった。 さらに解った後でそのカラスの正体は殺される。 死体のあった部屋から出ていったのは自殺した患者の母親。 そしてその母親が去っていくシルエットが何ともカラスのように見える。これを書いていて気がついたが、実は彼女がカラスだってこと? いやいやそれはないか。息子を死なせているからなあ。 でも「カラス」というのが憎悪の象徴と考えれば彼女も「カラス」である。 ラスト5分のドンデン返しは面白かった。 この映画、ドイツ占領下のフランスで作られたわけだが、MOVIE WALKER(旧キネマ旬報データベース)によると「フランスの地方都市の腐敗を描くという目的がゲシュタポ批判に変わってしまっているとの理由で上映が禁止された」とある。 えーそんな風には感じなかったけどなあ。 そもそも「密告」っていうこと自体がゲシュタポ批判なのか? よくわからん。 らせん階段日時 2021年5月9日 場所 DVD 監督 ロバート・シオドマク 製作 1946年(昭和21年) この町では女性の連続殺人事件が起こっていた。最初は顔に傷のある女性、次の知的障害のある女性、3人目は足の不自由な女性。 町外れにウォーレン夫人が大きなお屋敷に住んでいた。ウォーレン夫人は病床で寝たきり、そして死んだ夫の連れ子で今は生物学者のウォーレン教授、その秘書のブランシュ、自分の息子で最近ヨーロッパから帰ってきたスティーブン、メイドのヘレンに家政婦のオーツとその夫、ウォーレン夫人の看護婦が暮らしていた。 ヘレンは子供の頃の精神的ショックで言葉を発することが出来ないが、耳は正常だった。 町の若い医者のパリーはヘレンをボストンの病院に連れて行って治療したいと申し出る。彼はヘレンを愛しているのだ。 大雨の晩、ウォーレン夫人はヘレンにこの屋敷を去るようにいう。 「らせん階段」っていうタイトルは映画の見始めの頃に聞いたことがあったが、この作品ではなく、ジャクリーン・ビセットでリメイクした作品があるのですね。自分が知っているのはビセットの方でしょう。 連続殺人事件で冒頭でホテルのパーティルームでサイレント映画がピアノ演奏付きで上映され、登場人物は馬車で移動が基本だから、1900年代の前半、日本でいうなら大正時代ぐらいが時代設定か。 この映画が上映されてるホテルの一室で殺人事件が起こり、冒頭のつかみはばっちりです。ところがそれからがいけません。 次の事件が1時間ぐらいたたないと起きないんです。 若くてイケメンの医者のパリーが探偵役として活躍するかと思ったら、それほどでもないです。 ブランシュが殺されてやっと事態が動き出します。いかにも悪そうなスティーブンが犯人かと思わせて実は・・・という展開。 備忘録で書いちゃうけど教授が犯人。 教授は父親から「弱いものが負け強いものが勝つ」という教育を受け、弱い女性を抹殺する強迫観念にとりつかれたのだな。 映画自体がほとんどお屋敷の中だけで進み、町で起こる連続殺人事件を描くわけでなく、嵐の一晩の話なのでかなり退屈する。 でも犯人に追われるヘレンだが、声が出ないので助けを呼べないというサスペンスはよかった。下からの照明がよけいに不安感をあおる。 このあたりはヒッチコック風のハラハラで最後は意外な人が犯人を殺し、ここはカタルシスがあった。 主役のヘレンのドロシー・マクガイアはオードリー・ヘップバーン風の美人。彼女は魅力がありましたね。 タイタニックの最期日時 2021年5月9日 場所 DVD 監督 ジーン・ネグレスコ 製作 1953年(昭和28年)日本劇場未公開 1912年4月。超大型豪華客船タイタニック号はイギリスからアメリカのニューヨークに向かって出航した。出航の直前、切符は売り切れだというのに富豪のスタージェス(クリフトン・ウェッブ)は三等客室の乗客から切符を買い取り乗り込んだ。 スタージェスの妻ジュリアはスタージェスと離婚し、娘のアネットと息子のノーマンをつれて故郷のアメリカで暮らそうとしていた。それを引き留めるためにスタージェスは無理してタイタニックに乗ったのだ。 大学のテニス選手のギフ(ロバート・ワグナー)はアネットに一目惚れ。早速声をかけるが相手にしてもらえない。 ジョージ・ヒーリーは牧師だったが、やがてはアルコールに溺れ聖職から追放された男。 氷山の情報はタイタニックにももたらされたが、電報の多さのためか混乱し、船長の元に届くのが遅れた。航海士から危険を指摘された船長だが、「自分も明日の朝見張りに立つ」と楽観していた。しかし濃霧の中から氷山が現れた。とっさに舵を切ったが正面衝突は避けられたものの、海面下で船体に傷が入り浸水が始まった。 船長は乗客にボートでの待避を命じる。だが全員が乗れる数のボートはない。 3年ほど前に買ったタイタニック映画。定価税抜き290円の低価格DVD。まあ衝動買いだな。コロナで家に籠もっているので去年の今頃と同じく自宅でDVD鑑賞。 冒頭で「事故調査委員会の報告書に基づく」とあるが、それほどドキュメンタリー的ではない。1時間37分の映画だが、タイタニックが氷山にぶつかるのは1時間以上経ってから。 それまではスタージェスとジュリアの離婚話である。 パニック映画を観たいので(まあそうだろうとは思ったが)、このあたりの話は退屈きわまりない。 イケメンな若者が娘に恋をする。この若者、ちょっと若い頃のディカプリオ(実は5月7日に日本テレビで「タイタニック」が放送され、ちらっと観た)に似たイケメン。あとで調べて観たらロバート・ワグナーである。まだ20歳そこそこの頃なんだろうなあ。 そして牧師の役が後の「原子力潜水艦シービュー号」でネルソン提督役で知られるリチャード・ベースハート。 こんな頃から活躍してるのですね。でも最後に全員撤退した機関室に「まだ少し残ってる」と言われて向かっていくぐらいで見せ場はありませんが。(ここで機関室で乗員を助けようと活躍する姿があればよかったのですが) 最後のタイタニックが沈没していくカットの特撮はなかなか。 2カットあるのだが、2カット目のロングで沈みゆくタイタニックの手前でボートが進んでいる姿は芸が細かい。 ドラマ部分は今更な退屈さを感じるが、後半の特撮カットはなかなか。 思わず巻き戻して二度観した。 なんのちゃんの第二次世界大戦日時 2021年5月8日18:00〜 場所 ユーロスペース2 監督 河合 健 関屋市では市長の清水昭雄(吹腰満)は平和記念館の設立に熱心。今日も市民ホールで説明会がある。そこへ送りつけられたのは少女の首だけの石像。記念館の設立中止を訴えていた。 送りつけた人は解っている。その町でBC級戦犯として裁かれた人の遺族の南野和子(大方斐紗子)だ。 昭雄の祖父は105歳でご存命。戦前から教師をしていたが、その頃から反戦を訴えていた男としてこの記念館の象徴になっている。 しかし和子に言わせれば戦時中は軍国主義だったというのだ。その証拠に昭雄の父の名は国勝という。戦争賛成の人間でなければつけない名前だという。 昭雄自らが和子の説得に行くが、まったく話し合いにならない。やがて取っ組み合いの喧嘩になり、和子は包丁まで持ち出す。包丁は取り上げたが町の問題になっている大きな亀で昭雄を殴る。昭雄は何とか助かったが、倒れた昭雄を見て殺してしまったと思った和子はショックで死んでしまう。 「極私的ランナウエイ」の河合健監督の新作。完全自主制作で配給も自分で行う力作だ。戦後75年以上経ち、平和記念館の設立を通し「反戦」を考える。 一言で言って面白かった。今年のベストテン入りである。 和子の孫の国際ボランティアをする紗江(西山真来)が登場し、話はさらにややこしくなる。 紗江は「この町の平和や広島長崎での悲劇だけでなく、今南スーダンで起こっている戦火を伝えなければいけません。今の平和を考えねば!」と訴える。 またこの関屋市ではなまずが住んでいた池にアメリカ産の亀が放たれ、生態系が崩れ亀ばかりの池になっている問題が起こっている。 アメリカ産の亀が日本を浸食する。これは戦後のアメリカ占領政策への皮肉か? 南野家の反対運動をやめさせようと昭雄は最後には金で解決しようとする。 ラストでとにかく南野家を納得させようと、祖父の誕生日会の席で謝罪させようとする。 その席で国勝の名前は自分の父がつけたもので、自分がつけたのではないという。 そして知事も自分のイメージアップにこの平和記念館を利用しようとする。 もはやあの戦争では何が本当で何が作られた美談なのか曖昧になってくる。 そして平和を追求する運動さえも政治家の何かに利用されてしまう。 21世紀、戦争の当事者はどんどんいなくなっていく。 戦争の形も変わってきた現在、20世紀の戦争を伝えるだけで未来の戦争を防げるかという疑問さえもある。 この映画はそういった事毎に疑問を投げかける。 コロナ禍で大型映画館は休業中。ミニシアターだけは上映中。興行的には厳しい時期での公開だが、今回の公開だけでなく、毎年8月にはどこかで末永く上映してほしい、そう思える映画だった。 力作。 卒業生日時 2021年5月7日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 原作・脚本・監督 エマニエル・アルサン 製作 1976年日本公開 ローラ(アニー・ベル)はマニラ空港から都心へ向かう乗り合いタクシーでカメラマンのニコルス(アル・クリーヴァー)と知り合った。ローラは性には開放的で、タクシーのいすが開いてないとニコルスの膝の上に座った。 ローラの父は民族の研究所の所長で牧師。山奥に住む「マーラ族」の研究をしているモーガン教授の講義の発表に助手をローラは行う。 講義が終わったあと、ローラは裸にテニスウエアだけの姿でテニスを行う。 ある富豪の誕生日パーティに参加したローラとニコルス。 帰ろうとしたときにある男と知り合い、その知り合いの友人にも会う。 その男はヘリコプターを所有していて、空の上で自動操縦状態でセックスするのが好きだという。 そしてローラとニコルスは結婚。 マーラ族の研究のため、ついにもう一度そのマーラ族の住む場所に行くローラとニコルス、モーガン教授と愛人のミルテ(エマニエル・アルサン)。 マーラ族の習慣に従い、ローラは生まれ変わった。 「エマニエル夫人」の大ヒットで起こったソフトポルノブーム。 第2のシルビア・クリステルとしてアニー・ベルが登場。その主演作。 もう1本「愛の妖精アニー・ベル」という映画があったが、公開はこちらは76年10月、「愛の妖精」は77年4月だからこっちの方が早い。 「エマニエル夫人」の原作者のエマニエル・アルサンが原作・監督・脚本ということの方が売りだったのかも知れない。 エマニエル・アルサン、私は彼女はすっと西洋人だと思っていたが、タイ人だったとはこの映画を見終わって、ネットでいろいろ調べてるときに初めて知った。 「西洋人が東洋という神秘の世界で性の体験」という感じの作品だから、てっきり西洋人の視点だと思っていたのだ。 この映画もストーリーらしいものはないよ。 中盤の30分はパーティで知り合った男の家に行き、その男の友人が出てきて(しかも女装)、ヘリコプターでセックスする。 女装しているからゲイかと思ったら、愛人は女だしもう訳わからん。 マーラ族、というのは夏至から夏至までを「人の一生」とし、夏至を過ぎれば前の人生は忘れて夫婦関係も親子関係も仕事もまた新たに構築して次の人生を生きる、という生活を送ってる種族。ほんまにそんな種族がいるのか? 結局モーガン教授は人生をリセットすることにおそれを感じ、マーラ族の夏至の儀式には参加しない。ローラは参加し、向こうの男たちに犯され新しい人生をスタートさせる(ということらしい)。 アニー・ベルはショートヘアが似合う美人で、ノーパン姿でテニスをする所や、登場からノーブラで、乳房もくっきりと見えスリットの入ったスカートから見える足やアンダーヘアが実にセクシー。 もうちょっと人気が出てもよかった気がするが、映画がよくなかったかな。シルビア・クリステルはで「エマニエル夫人」という映画が立派だったからなあ。 夫がいても、恋人がいても他の男とセックスし、男の方は「彼女が喜ぶなら」とそれを認める、という発想は「エマニエル夫人」と同じで、要はそれがエマニエル・アルサンの考えである。 それより彼女が「砲艦サンパブロ」に出演していたと今回ネットで調べて知り、驚いた。 悪魔が来りて笛を吹く(西田敏行)日時 2021年5月5日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 斉藤光正 製作 昭和54年(1979年) 元子爵の椿英輔が富士の樹海で自殺体となって発見された。その少し前に銀座の宝石店で店長等に毒薬を飲ませて宝石を奪取する事件があり、その犯人として取り調べを受けたことを恥じての自殺と思われた。 しかし椿とよく似た男を子爵の妻アキコ(鰐淵晴子)が言い出したことから、占い師の目賀(山本麟一)を呼んで占いの会を催すことになった。 椿の娘の美禰子(斉藤とも子)は「何かあるのでは?」と思い、等々力警部の紹介で探偵の金田一耕助(西田敏行)に立ち会ってもらうことに。 その砂の占いでは砂に火炎の紋章が描かれ、アキコたちは驚愕した。 金田一が帰った後、深夜にアキコたちと同居している叔父の玉虫伯爵(小沢栄太郎)が殺された。しかも密室だったのだ。 金田一は正式に美禰子の依頼を受け、この事件を調査することに。 まず椿の自殺だ。美禰子の証言から椿の遺書は宝石店の事件が起こる前に書かれた可能性があると解った。 しかも椿は事件当日のアリバイとして神戸の須磨に行っていたという。 では須磨で何をしていたのか。椿と須磨まで同行したという三島(宮内淳)と美禰子、金田一の3人で須磨に向かう。 本来なら4月24日から神保町シアターで金田一特集が組まれ、その中で上映されるはずだった1本。コロナによる緊急事態宣言のあおりを受け、現在休業中。緊急事態宣言は一応5月11日までだが、今日現在、延長も視野に入ってきた。 それで劇場で観れるあてもなくなってきたので、レンタルDVDで鑑賞。 この映画、封切りの時にも観ている。42年前(!)だ。 原作も読んでいる。当時横溝ブームだったから有名作品は一通り読んでいた。 でもこの映画、ほとんど覚えていないのだなあ。 まあ金田一役の西田敏行が好きになれなかったんだよね。この映画、角川映画だが石坂浩二ではなく、新しく西田敏行。これが私はだめでなあ。 今回観直したけどやっぱりその印象は変わらない。なんか時々おちゃらけるんだよね。 結局アキコの兄の新宮(石浜朗)が妹に生ませた子供が実は三島とともに椿家で働く女中の種(二木てるみ)であり、三島自身は新宮が昔神戸にいたときに働いていた女中の息子。種と三島は恋人同士になっており、恋人になってから実は異母兄妹と知り、自分たちを苦しめる原因を作った悪魔として新宮を殺すのだ。 玉虫の殺害はあくまで偶然の結果。 この映画の面白くない理由は西田敏行が(私としては)ミスキャストということと、この新宮という男をもっと活躍させねばならないと思う。 新宮はもともとアップも少なく、どうにもわき役としか描かれていない。 そんな男を事件のキーマンとされてもなあ。 もう少し彼が登場するシーンを増やしてもよかったのではないか? あと須磨のシーンが長い。市川崑版ならこの辺はもう少しはしょったのではないか。 金田一の友人で闇屋のボス役で梅宮辰夫登場。闇市を歩くシーンがあるが、なんだか「仁義なき戦い」の冒頭のようだった。 ちなみにこの闇市のシーンで横溝正史と角川春樹が出演。 ふるさとポルノ記 津軽シコシコ節日時 2021年5月5日12:34〜 場所 シネロマン池袋 監督 白井伸明 製作 にっかつ 津軽の田舎町、おとこたちは出稼ぎに行き、男が少なくなっているこの村。 そこへ寺の住職の息子・良徳が京都の修行を終えて帰ってきた。 女たちはみんな良徳に夢中。特に寺で住職の世話をしているルメと村役場で電話交換や村の有線放送をしているカヨが夢中だった。 しかし良徳は幼なじみで今は学校の先生をしているさっちゃんに気があった。 無理矢理良徳と関係を結んだルメだったが、「自分は妊娠3ヶ月。良徳の子だ!」と言って結婚を迫る。 それを大声で叫びなから村中を走り回るものだから村は大騒ぎ。 だがカヨが放送でルメの話は嘘だという。 その騒ぎの中、良徳はさっちゃんと気持ちを確かめ合う。 今日の3本目。 とにかく私にはあわない映画だった。 まず津軽弁でせりふが何言ってるかよくわからない。 野良着を着て津軽弁の女性が着物をめくっても私はまったく何も感じない。そういうのがいい人もあるんでしょうけど(事実「農家の嫁」的な企画は今でも一定の人気があるらしい)、今日この前に上映された映画にでてきたつかもと夕希のようなエキゾチック美人の方が私は気分があがる。 夏の話なので、男たちが出稼ぎに行くのはおかしくないか?あれは冬の農閑期に出稼ぎにいくんだろ?だから正月とか帰る帰らないをしてるんじゃない? で村長も医者も警官も住職も女の着物をめくって、女たちもすぐに応じて始める。若い女だけでなく、おばちゃんもこんな調子。 そんなにやりまくらなくてもいいよ。やるならやるで少しじらすとか盛り上がりが欲しい。「したい」「はいよ」では盛り上がらない。 こういう「田舎物」がお好きな方にはいいだろうが、私は都会的な感じが好きなので、まったくあわないタイプの映画だった。 浴衣妻の下心 全身快感日時 2021年5月5日11:30〜 場所 シネロマン池袋 監督 下元哲 製作 エクセス 妻に逃げられ一人で銭湯を切り盛りする与三郎(荒木太郎)。近所のヤリマンの女子高生ともしていたが、彼女は近所のおじさんとは全員している。 ある日、閉店の12時頃浴衣美人(つかもと夕希)がやってきた。その美しさに見とれた与三郎は彼女を風呂に入れてあげる。 それから毎晩彼女は閉店間際にやってきて、与三郎は彼女だけが入る時間を楽しませる。 近所では「浴衣を着た幽霊が深夜に現れてやらせてくれる」という噂が立つ。与三郎の友達の一人、熊川(なかみつせいじ)は噂を確かめたくて深夜のジョギング。そして浴衣美女に遭遇し彼女の家でやらせてもらう。 それを見る与三郎。 銭湯を売却する予定だったが、彼女のためにそれを延期させようかと思う与三郎。もうまもなく銭湯がなくなると知った浴衣美人は「今までのお湯のお礼に」と家に誘う。そして二人は関係を持った。 彼女と結婚を願う与三郎だったが、彼女は「夫は単身赴任してるだけ」と与三郎と関係を続けることを否定する。 ある朝、彼女の家の前で夫に「いってらっしゃい」と声をかける彼女を見て与三郎もあきらめがついた。 話はこんな感じ。 この映画の前に見た「愛人萌子 性生活」がよかったので、その後に観ると見劣りが激しい。普通のレベルなんだが。 主役の人妻役のつかもと夕希がいい。 タレントのローラ風のちょっとエキゾチックな顔だちで、スタイルもよい。 彼女の魅力がこの映画を支える。 あとは女子高生役のしのざきさとみ、与三郎の別れた妻役で風間今日子。 与三郎の近所の友人役でなかみつせいじ、久須美欽一らが出演。 愛人萌子 性生活日時 2021年5月5日10:30〜 場所 シネロマン池袋 監督 北畑泰啓 製作 エクセス 映画館の暗闇で肌を見せる女(葵あげは)。当然男たちが群がる。それを見つめている森下(なかみつせいじ)。森下はトイレに行って悶々としていると女がやってくる。二人は個室でさかりあう。 森下は小さな町工場を経営していたが不況で会社は倒産。妻にも逃げられた。唯一の楽しみは債権者に隠してあるわずかな財産でキャバクラに通うこと。ここで萌子と知り合う。 やがて二人は男女の仲になり、萌子は森下を「私、若い男はだめなの。森下さんはお父さんみたい。パパって呼んでいい?」 刺激を求めて映画館での露出行為につながっていった二人だった。 その映画館の帰り道、麻雀で負けた負け犬のような男、永山(石川雄也)に声をかける萌子。森下の工場で飲む3人。萌子は森下に永山とのセックスを見せつけて興奮させるつもりだったが、森下は我慢できずに3人でプレイした。 翌朝、萌子は永山の朝ご飯まで作っている。セックスだけならともかく二人の関係に永山が入ってくるのは森下は好まなかった。 しかし萌子にとっては森下も自分の快楽のための道具でしかなかった。 萌子は森下に毒を飲ませた。 ツイッターを見ていたらシネロマン池袋でロケされた、というので興味がわいてGWの5連休最終日は家でDVDを観るのを止めてシネロマン池袋へ。 朝の10時半からピンク映画である。 冒頭から映画館のシーン登場。しかし暗がりの中だから別に他の映画館にも見える。 今日の3本の中で一番面白かった。 森下は会社が倒産した男。「すべてを失い絶望するかと思ったが、意外にも開放感だけがあった」という。今までのしがらみに満ちた生活から解放されたのだ。 そしてキャバ譲と愛欲の生活。映画館での刺激的なセックスとどんどんエスカレートしていく。 ここまでは森下も人生を取り戻したかのような喜びがあったろうが、永山の登場から一転する。森下も所詮は萌子が楽しむための道具でしかなかったのだ。 「あなたが死の苦しみを味わってる中でするセックスは最高!」的なことを萌子はいう。 ここで森下も死んでいくのかと思ったら、なんと助かる。 「永山も萌子もいなくなったが、入ってきたホームレスに発見され私は一命をとりとめた」って急展開である。これ最初からそうだったのかなあ。 最初は死ぬ話だったのが、「やっぱり助けよう」と変わったんじゃないだろうか? この後も森下は萌子を求めて映画館に行くが、別の女が映画館を徘徊している。 その後、河原に座り込む森下。それを見つめる萌子、のカットで終わる。 仕事一筋だった男がセックスにおぼれていく話で、面白かったが、私はラストは森下は死んでいった方が好き。というか流れとして自然。死なないなら最初から毒など飲ませなければよかったのではないか? 屋根裏の散歩者(実相寺昭雄版)日時 2021年5月4日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 実相寺昭雄 製作 平成4年(1992年) 1920年代半ば。東京・本郷の遊民宿・東栄館に住む郷田三郎(三上博史)は下宿仲間が集まって酒を飲んでいる席に参加しても面白くない。 いや世の中すべてが面白くない。この郷田に明智(嶋田久作)は関心を持っていた。 下宿仲間の遠藤(六平直政)は「昔女と心中しようとしたが失敗した」と自慢話のように話す。「自分は歯医者だからモルヒネを持っている」 郷田は雨漏りが気になって押入から天井を調べてるうちに屋根裏に抜けられることを発見した。天井から見る人々の生活。 遠藤の部屋では遠藤が節穴の真下に口を開けて寝ているのを発見する。 この穴から例のモルヒネを垂らせば自殺に見せかけて遠藤を殺すことができる。遠藤が留守の昼間、郷田は遠藤の部屋に侵入し、モルヒネを盗んだ。 江戸川乱歩の名作を実相寺昭雄が映画化。この後1998年に「D坂の殺人事件」も映画化している。「屋根裏」は74分で確か「押し絵と旅する男」と二本立てで公開ではなかったか。 もちろん封切り時に観ている。テアトル新宿だったかなあ。 この映画に登場する嶋田=明智が私は好きなのである。 ぼそぼそと話すその感じがなんとなくいい。ラストの謎解きも淡々と話し「僕は警察の犬じゃない」と通報しない。でも私には郷田がこの後の人生、何かにおびえながら生きていき、それなりの罰を受けながら生きながらえていく感じがした。 劇団の人間が同じ下宿に住んでいて、一人の女を共同でセックスしていたり、未亡人が「兄の弁護士だった男(寺田農)」に緊縛され、男はその様子を絵に描いている。また同じ未亡人は下宿の女中と女同士の世界も楽しんでいる。 隣のバイオリンを弾くのはどこかの令嬢らしい。 こういった人間模様が描かれるが、かといって(たとえばヒッチコックの「裏窓」のような)ドラマはない。単なるエロスで出てくるだけにしか見えない。 とはいえ、ラストで未亡人が血塗れになっており、「ついには殺してしまったか」と一瞬ドキッとさせるがすぐに単なる血糊だったと判明。 そしてお嬢様もバイオリンのプロの演奏家ではなく、単なる「自分は演奏家と思いこんでるだけ」という精神を病んだ人間だったとわかる。 こういう風にドラマは一応あるが、「だからなんだ」という感じで付け足しである。 池谷仙克の美術がすばらしい。大正に建てられた和洋折衷の建築美を描き出している。映像もソフトフォーカスを使用し、暖色系の映像は上品でセックス描写さえも上品に見えてしまう。 映画全体でいえばそれほどではないのだが、この映画に登場する明智が妙に私は気に入っていて(たぶんいわゆる二枚目俳優が演じていない)、それだけでも記憶に値する映画だ。 ザ・娼年倶楽部 愛と快楽を与える魅惑のテクニシャン日時 2021年5月4日 場所 東映チャンネル録画 監督 貝原クリス亮 製作 令和3年(2021年) 売れない役者のキョウスケ(吉田タケシ)は自殺を試みたが、何度やろうとしても邪魔する女がいた。その女ベニカ(並木塔子)は自分は女性を喜ばせるクラブのオーナーで、キョウスケをスカウトしにきたと話す。 ほかにすることもないキョウスケは引き受けることにする。童貞で彼女いたことがない24歳のキョウスケはクラブのベニカの助手の希美(架乃ゆら)。 クラブの寮というマンションで二人で生活を始める。「女性を喜ばせる修行」と聞いて家事から始めたキョウスケだったが、それは必要ないといわれる。 希美の手引きによりテクニックを身につけたキョウスケ。希美が「もう大丈夫」というのでいよいよ初仕事。 お相手は常連のあやの(夏原唯)だったが、仕事の愚痴をいうあやのに「でもそれって」と反論してしまったり、ダイエット中というあやのをスイーツの店に連れて行ったり、かえって怒らせてしまう。 責任をとって希美は辞職。キョウスケは希美の名誉をはらすためにももう一度チャンスをもらった。それは倶楽部ナンバーワン・S(山本宗介)に指導を仰ぐことになった。 彼はあやのとのデートにキョウスケを同行させ手本を見せる。 終わった後、「セックスは粘膜のふれあいだけじゃなく、心を開かせたかどうか」と説く。それが出来るようになったかを試すためにベニカをいかせてみろと言われる。 ベニカがMと教えてもらったキョウスケはそれに従ってベニカをイカす。 ベニカもあやのにもう一度チャレンジする機会を与えてくれた。あやのも喜んでくれた。 ベニカに希美の居場所を聞き出すキョウスケ。しかしその前にキョウスケをベニカに紹介した男(森羅万象)の存在を教えてくれた。 その男はキョウスケの父だった。父も竿師で母は父の為に不幸になったのだ。「俺はあんたとは違う。俺は女性を幸せにする!」と宣言。 希美を迎えにいくキョウスケ。 童貞から卒業し、自信に満ちた男になったキョウスケだった。 話は全部書いた。東映チャンネルの録画のために番組表を見ていたときに「ザ・娼年倶楽部」というタイトルが面白そうだったので鑑賞。 ピンク映画のボリュームで役者も並木塔子とか山本宗介とか被ってる。 何よりストーリーがちゃんとしていて昨日みた「処女シルビア・クリステル 初体験」より何十倍もしっかりしていた。 基本風俗業の話は好きなので、面白かった。楽しめた。 主人公がもっとイケメンだったらもっと気に入ったけど、こういうバジェットの映画ではそれは無い物ねだり。 処女シルビア・クリステル 初体験日時 2021年5月3日 場所 DVD 監督 ビム・ド・ラ・パラ 製作 1972年(昭和47年) フランク(ヒューゴ・メッツェルス)は結婚しているが女遊びはし放題。今日も恋人のシルビア(シルビア・クリステル)とジョニーウォーカーをがぶ飲みしながら街中をドライブしていたが、運転を誤って路上駐車の車に激突。けが人はなかったが、「飲酒運転がばれるとまずい」とシルビアを置いてその場を駆け出す。 仕事もクビかと思われたが、会社はフランクが車の優秀なセールスマンなので不問にふそうとする。しかしフランクも仕事がいやだったのでいい機会と辞めてしまう。 妻のエヴァはそんな夫に愛想を尽かしながら夫婦を続けていた。 ある日、エヴァは妊娠していることが判明。しかし子供を作らない約束をしていたのに子供ができてしまい、フランクは激怒。家を飛び出す。 エヴァは夫婦共通の友人の弁護士に相談する。弁護士はエヴァに惚れていたし、エヴァもフランクと違って誠実な人柄にまんざらでもない。 しかし弁護士は一線を越えてこない。 アマゾンでいろいろ検索をしてるときに419円で売っているのを発見。しかも中古ではなく新品だ。 少し迷ったが、結局購入。今日届いた。早速観てみた。 やはり私の世代ではセックス・シンボルというと圧倒的にシルビア・クリステルである。 はっきり言うけどめちゃくちゃつまらん。いや面白い面白くない以前に話になっていない。破綻してるというのとも違うな。思いつきで書いていったというのとも違うな。ちゃんとお話を成立させようという気がないんじゃないか。 この映画、てっきり「エマニエル夫人」のヒットで急遽輸入され公開された映画かと思ったら、劇場公開はされてないらしい。ビデオのみだったようだ。 「初体験」もセックスの初体験ではなく「映画の初体験」で「処女作」という訳だ。この映画のあとに「エマニエル夫人」で大ブレイクする。 彼女はオランダ出身で、この映画の舞台もオランダのアムステルダム(っだと思う)。 主役はフランクで、とにかく働くことが嫌いで酒と女にしか興味がないダメ男である。しかも悪ふざけも大好き。 映画が始まってフランクがベッドで拳銃自殺をした後を発見される。 「えっ、ここからどうして自殺したか?」という回想のドラマになるかと思ったら、さにあらず。 実はフランクのいたずらだったというオチ。妻じゃなくても俺も怒った。 その後、飲酒運転しながらドライブ、シルビアにおさわり。事故も起こすわな。でも会社はクビにならないとかシナリオもぶれまくり。 そんな感じで妻のエヴァもフランクを許したと思ったら喧嘩したり、フランクも別の女にちょっかい出したり、エヴァも弁護士を誘惑したり、話が滅茶苦茶。 まともに感想書く気にもなれないよ。最後どうなったけ? シルビア・クリステル目当てで観ると大はずれ。例の飲酒ドライブの時に胸をはだける程度で裸も大してない。 ポルノ映画というほどセックスシーンを丁寧に撮るわけでもなく、なんだか中途半端な映画。でもこれがオランダのポルノ映画のレベルなのかな? 安いには理由があると改めて思った映画だった。 恍惚の人日時 2021年5月1日15:30〜 場所 ラピュタ阿佐ヶ谷 監督 豊田四郎 製作 昭和48年(1973年) 立花茂造(森繁久弥)は老妻が亡くなる頃からちょっとおかしくなっていた。老妻が亡くなり一挙に老衰が進む。妻の葬式にやってきた娘の京子(乙羽信子)に「誰ですか?」という始末。 茂造は息子の信利(田村高広)、嫁の昭子(高峰秀子)、孫の敏(市川泉)と4人暮らし。必然的に昭子が面倒を見るようになる。 茂造は夜中に起きて「昭子さん、昭子さん!」と騒ぐ。信利を見て「暴漢だ!警察を!」と叫び、「腹が減った」と困らせる。 老人会に入れたものの、仲良くしてくれたお婆ちゃん(浦辺粂子)に「年寄りは嫌いだ、あんたは臭い」と言ったために喧嘩になり、老人会もいけなくなる。福祉の人(野村昭子)に相談するが「今は認知症は精神病になってしまうので、精神病院しか面倒を見てくれない」 茂造は徘徊も激しい。トイレは壊す。仕舞いには自分の排泄物を顔に塗ったり壁にこすりつけたりする。 困り果てる昭子。買い物に行ってる間に電話が鳴り、その音にパニックになった茂造は雨の中、外に飛び出す。 昭子は近所を探し回り、公園で倒れてる茂造を見つける。 茂造は亡くなった。 有吉佐和子のベストセラーの映画化。当時小学生だった私でもこの小説は知ってた(もちろん読んではないけど)。「恍惚の人」は今で言うなら流行語大賞級だった。 それを森繁と高峰秀子で映画化。この映画のことももちろん知っていた。 今まで何となく観る気が起こらなくて見逃していたが、ラピュタ阿佐ヶ谷のメールマガジンでスタッフが「新高円寺とか近所でロケしている」と書いていたので興味を持って見に行った。 実際は新高円寺(知ってないとわからない)がちらっと写る程度で他のロケ地も特に知ってる場所ではない、 でも観ていてつらかった。こういう介護の話は堪える。自分の親、いや自分が将来こうなるかも知れないと思うと実に暗澹たる気分になる。 実際、信利も会社の同僚との麻雀のシーンで「長生きも考え物」というよなことを言っている。 茂造の奇行に振り回される昭子。場内ではそれを笑う人も多くいたけど、私はとても笑えなかったなあ。むしろ笑える人は何でなの?昭子の立場になったらいたたまれないよ。 実際「あたしが押しつぶされてしまう。夫や息子のためならいくらでも看病するけど、お父さんはいや!」と拒否する気持ちもよくわかる。 この映画、もう50年近くも前の映画だがまったく過去のものになっていない。現実は全く変わらない。2000年に介護保険制度が出来たが、うまく機能してるとは言い難いだろう。 信利は何かと逃げ腰で、なんだかんだと昭子にやらせようとする。 「お父さんおしめ見てくれた?」と言っても「まだ」といい、仕方なく京子が見ると中で排泄している。この後信利はすうっといなくなってしまう。 最初に寝小便をしたとき茂造は「夜中に暴漢がきて水をかけていった」という。ここから本格的に始まってくるわけだが、さらには妻のお骨を食べたりする。 福祉の野村昭子から「排泄物を食べちゃう人もいるんですよ」と言っていたが、最後には茂造も食べはしないが、壁や顔にに塗りたくる。 途中、介護の手伝いをすることを条件に学生夫婦が離れに越してくる。 この夫婦、あまり絡んではこない。 この映画、モノクロスタンダード。1973年ならカラーが当たり前の時代だが、なぜモノクロだったんだろう?最後の排泄物のシーンがやはりカラーだと生々しくて描きにくかったんだろうか? 当時のキネマ旬報とかに書いてあるかな。 この小説がベストセラーになり、認知、ボケ、ということが一般的になり、数年に1回認知症の老人の映画が登場する。 私はこの小説が社会にそういう影響を与えたと思っている。 好きな映画にはならないが、知識として観てよかった。 |