2021年7月

   
日蓮と蒙古大襲来 パンケーキを毒見する めくらのお市の物語
真赤な流れ鳥
みな殺しの霊歌
砂の香り 戦慄の七仮面
多羅尾伴内
大列車作戦 復讐の七仮面
多羅尾伴内
 
釈迦 星空のむこうの国 アジアの天使 女は幾万ありとても
唐人街探偵
東京MISSION
ハニーレモンソーダ 東京リベンジャーズ ゴジラVSコング

日蓮と蒙古大襲来


日時 2021年7月31日17:25〜 
場所 角川シネマ有楽町
監督 渡辺邦男
製作 昭和33年(1958年)


鎌倉時代、蓮長(長谷川一夫)は長い修行の末、修行を終えた朝の説法で「今の仏法は間違っている。これより法華経をと信じなさい」と訴え、諸先輩の怒りを買う。
そんな蓮長をしかる両親(千田是也、東山千栄子)だったが、逆に蓮長に諭され、弟子になる。そして自らは日蓮と名乗るようになった。
鎌倉で法華経を説く日蓮。しかし時の権力の怒りを買い、伊豆へ島流しへ。だが若き執権補佐北条時宗(市川雷蔵)の恩赦で鎌倉へ戻される。
しかし幕府内の政権争いの余波で再び佐渡へ流されてしまう。
途中、日蓮を疎ましく思う一派に処刑されそうになるが、首をはねようとした依智の三郎(田崎潤)の刀に雷が落ち、処刑は失敗に終わる。
後に三郎は雷のショックで目が覚めたのか、日蓮を尊敬するようになる。
そんな頃、日蓮は常日頃から心配していた外国による日本侵略が現実になってきた。蒙古の軍勢がやってきたのだ。
時宗たちは日蓮を伴い博多へとやってきた。


大映の歴史大作「日連と蒙古大襲来」。この手の大映大作は「釈迦」「秦・始皇帝」とかあるけど、どれも冗長で好きになれない。
映画専門チャンネルでも放送されてるしソフト化もされてるので、観る機会はあったのだが、今回初めて観た。こういった映画は家で観たら退屈でなんども停止再生を繰り返すので見終わるのに5時間ぐらいかかるだろう。(本来の上映時間は138分)
前年に「明治天皇と日露大戦争」のヒットも受け、をそれにあやかっての監督登板は渡辺邦男。
「明治天皇」も冗長だったが、これも負けない。

日蓮は当時の為政者からすると「政権に逆らい国を乱す新興宗教」だったわけで、弾圧の対象になったわけだ。天災疫病、政治腐敗と世が混乱しているというが、それは今にも通じる。案外、いつの時代も政治は乱れ天災は起こるともいえる。

「立正安国論」を書いたりして(具体的な内容は映画では出てこない)当時の庶民としては救国の士であったのだろう。宗教家というより愛国者だったとも言える。

以前より外国勢力の日本侵攻を心配していて(まあ予言というより予測なのだが)、蒙古軍が博多に上陸するとなると弟子を率いて博多へ。
そして祈りを捧げる。
その祈りが通じたか、嵐が起こり蒙古軍船はすべて沈没。
日本侵攻は阻止された、という訳。
(文永の役1274年、弘安の役1281年の2回蒙古軍の侵攻はあったわけだが、映画では1回)

映画では祈りと嵐がカットバックで示されてさも日蓮が嵐を起こしたように見える。だが一般的にはその嵐は「神風」と言われ、「日蓮風」とは言われない。実に残念だ。

特撮カットは主に蒙古軍の船とそれらが嵐に遭うところ。
ここは見応えがある。
でも全体的に冗長で好きになれない。
映画館でなければ観る気になれない映画。










パンケーキを毒見する


日時 2021年7月31日12:10〜 
場所 新宿ピカデリー・シアター3
監督 内山 雄人


菅義偉は第99代内閣総理大臣。山形県の農家に生まれ集団就職で上京し、代議士の秘書になって横浜市議会議員を皮切りに政治家になった苦労人、と言われているが、実は裕福な農家の生まれで、父親は村会議員を務めた名士。
このドキュメンタリーは菅の国会答弁を安倍晋三のはぐらかす答弁を「ご飯論法」と例えた法政大学の上西教授の解説でみるところから始まる。
検証した答弁は学術会議任命拒否問題。

また菅は時々勝負に出る体質があるという。
90年代末、小渕、梶山、小泉が総裁選に出たとき、一番勝ち目のない梶山を押したのは菅。
2000年代末、麻生に総選挙を迫ったのは菅。
結果を見ると両方とも負けている。
菅は勝負が好きだが、強くはないようだ。

映画には出てこなかったが、今回のオリンピックの時も開催か否かで「俺は勝負に出たんだ!」と菅は言ったという。
選挙で勝負に出ても国民は負けないけど、今回のオリンピック開催は負けたら感染爆発という大問題である。
すでに7月28日、29日と東京の新規感染者は3000人を越え、史上最高である。31日は4000人超えをした。
オリンピックで金メダルラッシュと同時に感染者新記録なのだから、コロナまでオリンピックに参戦してるようだ。

新聞赤旗の安倍晋三の「桜を見る会」事件の話から、なぜ大新聞がスクープしなかったことをきっかけにマスコミの問題の話をする。
例えば菅が総理就任後、パンケーキを食べる会を新聞記者と開いたとき、参加しない社と参加する社がある。
こういう何社も集めての時は当たり障りのない話しかしない、だから出てもネタが取れるわけではないが、それでも「うちは書いていない」と上司から言われると困るので、一応出るのだという。

また菅と会った人は会ってから菅批判を止めるか、批判が弱くなるという。
会ったときに「ご意見ありがとうございます。参考にさせていただきます」と頭を下げるという。そうすると「俺の意見を聞いてくれた」となんか懐柔されるらしい。
よく言う「政治家って実際に会うといい人」って奴だ。
そんなの一般市民ならともかく百戦錬磨のジャーナリストなら交わせそうに思えるのだが、そうでもないのかな。

政治家のインタビューもある。立憲民主の江田憲司が出てくるが、彼は立候補を菅から勧められたそうで、それ以前から菅を知っていた江田は「菅は平気で嘘をつく人ではない」と言っていたのが違和感が残った。
えっ?国会では嘘つきまくってるのに。

石破茂も登場。石破氏はあまり好きでないが、菅よりはまだまともだ。
安倍晋三や菅が総理になれるのはやはり選挙に勝つからだという。
石破「自民党は投票率は低い方がいいと思っている。投票率が高いと政治が動く場合があるから」
インタビュアー「投票率を上げるには?」
石破「まあ義務化するかとか」
イ「出来ますか?」
石破「法律は出来るでしょう」
法律は出来ても実際に国民が投票するかは別問題ということらしい。
イ「でも自民党はそんな法律作らないでしょう」
石破「そうだね」

やはり小選挙区は問題があるという。
小選挙区導入の時に小泉純一郎が「そんなことをしたら党の執行部の顔色を伺う議員ばかりになる」と心配したという。
私自身は小選挙区が必ずしもいいと思わないが、かといってすぐに中選挙区に戻せとも思わない。
そもそも中選挙区は「選挙区の有権者の数が多く、範囲も広くなるから金がかかり金権政治の温床」と言われたのだから。

また20代の世代になぜ管政権の支持率が他の世代に比べて高いか、の話題。
政治運動に携わる学生に言わせると「そもそも若者は新聞を読まない」
これは致命的だなあ。正直三流大学ならともかく、有名大学クラスでも新聞読まないってどういうことなのか。

正直ほとんどが既知の情報で映画としても面白味は少ない。
秋には絶対に任期満了の総選挙がある。
その結果をどう出すか。
国民の側が問われていると思う。






めくらのお市の物語 真赤な流れ鳥


日時 2021年7月30日21:00〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 松田定次
製作 昭和44年(1969年)


お市は7歳の時に母親に捨てられた。母親は男に「娘を捨てろ」と言われたのだ。その男なくしてはいきられなくなった母親はお市を捨てたのだ。
泣きながら母親を探すお市。雨が降り、雷が近くの木に落ちた。そのショックで目が見えなくなるお市。
大人になったお市(松山容子)は居合い抜きの達人になっていて、ある村で追われてる仁平(多々良純)という老人を助ける。同じ旅籠に泊まった二人。お市は自分の過去を語り出す。捨てられたお市は弥助に拾われ、数年前に弥助は何者かに殺された。その男たちはお市にも手をかけようとしたとき、助けてくれたのは浮田(長門勇)という浪人だった。お市に剣の才能があると見抜いた浮田はお市に剣を教える。「もう教えることはない」と言って祝いに赤い仕込み杖を渡す。「夫婦になりたい」と言われた浮田だったが、「俺はお前を幸せに出来ない」と逃げ出してしまう。
そんな過去があったお市だが、追っ手に追われた仁平は逃げ出す。
仁平はある村はずれで娘が身売りされると知る。実はその娘・およねは仁平が20年前にその家の前に捨てた子供だったのだ。
お市はおよねを買い戻そうとおよねが身売りされた町、高崎の賭場に乗り込む。そこでいかさまを見破り、70両を手にする。
その金でおよねを買い戻そうとするが、女将に断られる。事情を話すお市。実はその女将こそがお市の母だったのだ。
賭場と女郎屋は主人が同じだった。その店に遊びに来ている客の伝蔵(天津敏)によって殺されていた。仁平を狙ったのも弥助を殺したのも伝蔵だったのだ。3人はかつて強盗をしていて、今は表の稼業で成功してる伝蔵が過去を暴かれたくないために2人を殺そうとしたのだ。
伝蔵に加勢する奴らは浮田が斬った。お市は弥助の敵で伝蔵と向き合う。


話は全部書いた。結構長いな。
主演の松山容子さんはボンカレーのパッケージの和服美人。実は名前もよく存じ上げなかったし、こんな映画シリーズもあること自体知らなかった。
たぶん「めくら」という言葉が引っかかってテレビ放送もソフト化もされなかったからよけいに知名度が下がったのではないか。
シリーズが4本もあればそこそこ売れたということなのに。

今回ラピュタ阿佐ヶ谷で上映でそのチラシで存在を知った次第。シリーズ4本上映なんてもうないかも知れないので、とりあえず1本だけでも観ようと思ってきた次第。
誰がどう観ても「座頭市」の女版。

監督は東映の松田定次。だからなのかどうかはわからないが、コテコテの時代劇。映画自体は劇画の実写化。だから最初の仁平を助けるチャンバラではお市が斬る度に真っ白な画面に血しぶきがかかる劇画的なカットが挿入される。

お市が雷で目が見えなくなるなんて「なにそれ?」っていう感じなのだが、まあ気にしない。大人になったお市がメイクが完璧で、白粉も口紅も完璧。おまけにつけまつげ。「目が見えないのになんで化粧が出来るんだ」などとつっこむのは野暮。

おまけに別れた親子の再会とか(しかも仁平と娘、お市と母とWだぜ)、育ての親の敵討ち、などコテコテの時代劇。
こういうのを照れなく出来るのはやはり昔ながらの松田定次だからか。若い監督なら「リアル路線」とか言ってお市のメイクももっと乱れていたかも知れない。

そしてノースター。松山容子はやっぱりボンカレーで知られた人なので、スター女優とは言えないだろう。ゲストは多々良純と長門勇。二人とも名バイプレーヤーだがスターとも言い難い。
特に長門勇のとぼけたいるが、やるときはやる!というキャラクターが妙にかっこいい。

この映画、おそらくはメインではないB面作品だったと思われる。
それでもそれなりに評判はよかったろうから、4本も作られたんだろうな。






みな殺しの霊歌


日時 2021年7月25日14:40〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 加藤 泰
製作 昭和43年(1968年)


マンションの一室で安田孝子という女性が猟奇的に殺された。孝子は死ぬ前に4人の女性の名前と住所のメモを書いたらしい。その4人と孝子は高校の同級生だった。孝子が死んだマンションでは数日前に飛び降り自殺があったばかりだった。
川島(佐藤允)は仕事場の近くの中華料理屋で働く春子(倍賞千恵子)と知り合う。たまたま新宿で出会った二人は喫茶店でお茶を飲んだ。
また殺人事件が起こった。犯人は川島だ。捜査本部はマンションの事件と手口が似ている、被害者が高校の同級生であったことから関連を疑い始める。
川島は仕事場近くのクリーニング店で働いていた少年に焼香に行った。この少年が先日自殺した少年だ。
川島は中華料理店の主人から「春子と付き合う気があるなら」と春子の過去を教えてくれた。彼女の兄が極道もので、たまに帰ってくると親や弟や妹も殴って金を持ち出す男だった。それでついに殺してしまったのだ。
事情を知っている中華料理の主人が嘆願書を作って執行猶予になっただという。
また一人死んだ。警察も自殺した少年の話は最初は無関係と思っていたが、焼香に来た男が容疑者に似ていたことから関連を疑い始める。


ラピュタ阿佐ヶ谷「松竹レアもの祭り」での上映。まったく通っていなかったが、前から見たかった映画だし、今日は佐藤允さんの息子さんの佐藤闘介さんのトークイベント付きなので鑑賞。

話は全く知らなかったが(ラピュタに掲示してあったポスターの「嬌声をあげて少年を犯すメス豚ども!目撃者の残忍な復讐がはじまる!」っていうのは観る直前に知った)「性格異常者が連続殺人を犯す」という話かと思ったら、すごくまともな映画。

この映画、シナリオの構成が実によい。ミステリーとして一級である。
最初の自殺にしても説明的に出てくるのではなく、地元の警察官(大泉滉)とマンションの管理人の雑談で「この間は自殺で今度は殺人。ついてないね」という。
そして川島が中華屋の壁に貼ってある指名手配一覧のポスターの一部が切り取られているのを写す。それだけ。それが何を意味するのか最初はわからない。

また犯人(佐藤)と警察、被害者たちの動きを3つの視点から描くことにより、事件が断片しか観客には提示されないのに、徐々に徐々に断片が埋まっていく。
これはもう知的快感である。

5人の仲間の中で一人生きている女性を問いつめる刑事たち。
ここで事件のきっかけが明らかになるかと思えば「女性が輪姦したって、輪姦したとはいわないか」「お前が女性に輪姦されたらどうだ」「弟が回されてそして復讐ってならわかるが、犯人は無関係だろ」と動機がピンとこない。

映画を見てる時は「ああ少年を犯したところははっきりと説明しないのか」と思ったが、これがある。
生き残った最後の一人を島が追いつめ最初の、マンションに監禁する。そこでそのシーンが示される。
女たちは8mm映画らしいものを見ている。ブルーフィルムだろう。それをやってきたクリーニングの配達の少年に「見なさいよ」と言う。
「あの子だって楽しんだじゃない」とたぶん射精したであろう。
しかし菅井きんに犯されたんじゃさぞかしショックだろう。
少年は自殺。

島は少年とそれほど親しかった訳ではない。島の職場の建設現場から挨拶する程度だったという。しかし島も妻の間男を殺害した男で逃亡中。
少年の邪気のない笑顔にいやされていたのかも知れない。

島は警察に追いつめられ、中華屋に電話する。「春ちゃんに明日行けないと伝えてくれ」
完全にノワールである。
島は逮捕されることなく、少年と同様に飛び降り自殺。

翌朝、春子は待ち合わせ場所で雨の中、待っている。
カットアウト、「完」
いやすばらしい。
とにかくもう一度見たい。

なんかこう胸にくるものがあって書ききれないんだよね。
リメイクしたい。






砂の香り


日時 2021年7月25日10:30〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 岩内克己
製作 昭和43年(1968年)


水泳に打ち込んでいたが体を壊した徳良敦(中山仁)は海辺で大人の色気のある女性(浜美枝)と知り合った。敦の友人たちが海に遊びに来たとき、女性と海岸で会う。友人の一人の橋本が彼女を知っていて、亜紀子という名前で彼女も有望な水泳選手だったと教えてくれた。徳良は彼女の言いしれぬ美しさに引かれた。
しかし彼女には何か秘密がありそうだ。彼女も過去については聞くなという。
やがて彼らは夜の海で結ばれる。二人の関係が進展してるのを知った橋本が彼女は夫の愛人を殺害し、今裁判中で保釈で出てきている状態だと教えてくれた。
亜紀子は「夏が終わったら別れよう」という。徳良は承知しない。
やがて裁判の判決が下った。正当防衛で無罪。裁判所の前で徳良は亜紀子を待ったが、彼女は徳良を無視して出て行った。


ラピュタ阿佐ヶ谷・浜美枝特集の最後の作品。これで完走したことになる。今回は他に「青島要塞爆撃命令」「日本一のホラ吹き男」「100発100中」「キングコングの逆襲」が上映されたがこの辺は観ているので今回はパスした。

この「砂の香り」、今回はニュープリント上映。
この上映があるまで知らない映画だったが、見所はあった。
チラシには「全裸水泳シーンが話題に」とあったが、「どうせ逆光のシルエットでしょ」と思っていたが、思った以上に大胆だった。

いやいやそんなエロ話ではなく、感想は最初から。
江ノ島付近を舞台にし、青年と年上の女性の恋、ということで小谷監督の「はつ恋」を思い出した。こちらが1968年だからこっちの方が先。
青年が高校生ではないので、その分大人の描写である。

まず亜紀子と海で紹介され、亜紀子たちが海に入っているときに徳良は彼女が着ていた服にほほを寄せ、においを嗅ぐ。
いやもうピンク映画的エロさである。

観てる間、70年代になってからの映画だと思っていた。71年に日活がロマンポルノになってから、本格的にエロに走るのだが、それよりまだ3年早い。
東宝も一歩表現を踏み込めばピンク映画になりかねない内容の映画をよく作ったものだ。
浜美枝にしても全裸でバックヌードだし、中山仁に抱かれるところでは乳首も出している。(上半身裸で立つ、とかそこまではっきりはしてないが)

脱ぎは当時からあったろうけど、それは「脱ぎ専門」「お色気担当」とはっきり区分けされていたであろう時代。その中で主演級の浜美枝(しかも007の後だ)がヌードとはずいぶん大胆な扱いだったわけだ。
ご本人はどうだったんだろう。

この亜紀子というのが挑発的で、海に泳いで出て「もっと沖まで行きましょう。追いついたらキスしてあげる」などという。
今の私ならそんなこと言われたら怒るね、「海をなめるな!」って。
こういうキャラクターは私には書けないなあ。

それとこの映画の特徴の一つが能の多用。
徳良の友人が能に凝っていて、という理由でホームパーティの席でその舞を披露する。退屈になった女の子に橋本が「あれは夫の愛人を殺す妻の話なんだ」と説明する。
映画では繰り返し亜紀子が猟銃を撃つようなショットがあり、かつて何か事件があったことを思わせる。

そしてBGMとして能の音楽を多用しているが、これが完全に失敗(に私には見える)。
「はつ恋」の時はスウィングルシンガーズで実によかった。こういう失敗があったからこその成功なんだと思えてくる。

能の音楽を聞いているといらいらするし、亜紀子という女も好きになれないし、映画としてはあまり好きではないのだが、「浜美枝のヌード」「昭和43年という時代」という観点で見ると見るべき価値はある。
(そうそう都電がまだ走っていたのは驚いた)
観てよかった。












戦慄の七仮面  多羅尾伴内


日時 2021年7月24日 
場所 DVD
監督 松田定次 小林恒夫
製作 昭和31年(1956年)


白昼起こった銀行強盗。犯人は車で逃走したが、たまたま通りかかった片目の運転手(片岡千恵蔵)のタクシーによって行く手を阻止され、逮捕に至った。
警視庁の大沢警部(宇佐美淳)たちは持っていた拳銃が新品だったことから大がかりな拳銃密輸団の存在を推定する。
キャバレー・リラで小塚と大原というヤクザもの同士の撃ち合いがあった。大原は死に、逃げようとした小塚を片目の運転手がかくまった。
小塚が先日の銀行強盗が使った拳銃と同じものを所持していたことから、小塚を使って拳銃密輸団を突き止めようとする多羅尾伴内。
小塚の実家を保険の外交員という老人が訪ね、小塚の身辺を洗う。小塚は妹に最近数字が刻まれたコンパクトを送っていた。
片目の運転手が小塚をかくまった場所に戻ると小塚は居なくなっていた。
小塚はあるホテルで拳銃自殺していた。しかしホテルの従業員も同じ階の客も銃声は聞いていないという。多羅尾は小塚の女を当たってみた。


多羅尾伴内シリーズ、東映5作目。これで今は原版がないと言われる「曲馬団の魔王」を除いては全部観たことになる。作品によって全然違う!ということもなく、一定の路線だ。

冒頭、銀行強盗という派手な犯罪から始まる。銀行強盗団の話か?と思ったらその話はすぐに終わって拳銃の密輸団である。
あちこちで事件が起こりまくる!ということもなく、キャバレーでの女の取り合いの話だ。

この小塚の殺人がダンサーを引き抜かれたという女の取り合いのようで、密輸団の争いなのかよく分からない。
小塚の親分がやらせたのかと思ったら、結局は小塚の親分も密輸団の仲間らしい。

最後の最後に密輸団が集まるのだが、結局は小塚が死んだホテルの社長、支配人(十朱久雄)、客(加藤嘉)も全員密輸団の仲間なのだ。
今まで出てきた悪そうなのが全部悪者として藤村大造によって警察に逮捕されるのだ。

最後は密輸団のアジトで階段の前で変装を解き、「正義と真実の使徒、藤村大造だ!」と明かすわけだ。階段の上でこれをするのってこれが初めてだったかな。
今回、藤村は片目の運転手、多羅尾伴内、老人、手品好きの紳士、船長、異国の富豪、藤村なのだ。最後の変装を解くときは異国の富豪なのだが、これが禿かつらをかぶっている。変装を解くとき禿かつらを脱ぐのはかっこよくなかったのか、最初からソフト帽はかぶっている。だから顔と服の変装だけ解くという感じ。

あと藤村さんは普段は片目の運転手に姿を変えて町のパトロールのために街を回っているようだ。

特にどうということはないが、一定のレベルの面白さだった。
あとのカラー2作品もすでに映画館で観ているがおいおい観ていこう。

そういえば最後に悪者に「貴様は誰だ!?」と言われて「セブン・フェイス!」と英語で答えていた。珍しい。初めてのパターンじゃないか。








大列車作戦


日時 2021年7月18日 
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 ジョン・フランケンハイマー
製作 1964年(昭和39年)


連合軍によるパリ解放も近い1944年8月、ドイツのワルドハイム大佐はフランスの数々の絵画の有名作品をドイツに運ぼうと躍起になっていた。
美術館長のビラールはフランス鉄道のラビッシュ(バート・ランカスター)に頼むが、その行動の価値に疑問を感じる。だが最初の機関士のブルが給油管に細工をして機関車を故障させて遅らせた。それがワルドハイムにばれ、ブルは射殺された。
ラビッシュとその仲間はそれを見てこの作戦の実行を決意。各駅に手配して駅名を書き換えさせ、操作場のある駅で密かにもう一度逆戻りする作戦を実行した。そして機関車も破壊。しかしドイツ軍がなんとか移送させようとする。
ロンドンのフランス政府側から、空爆の際に見分けをつける為に貨車の屋根を白く塗るように命令が下る。無茶な命令だったが、なんとか実行。
ドイツ軍に発覚したが、屋根を白く塗っていた方が空爆されないと知り、そのままに。
ただ一人となったラビッシュは線路に爆弾を仕掛け、美術品のドイツ行きを阻止しようとする。


戦争アクションとして有名な映画だが、今まで未見だった。なんとなく観たくなってレンタルしてみた。
カラーかと思ったら白黒である。しかし「パリは燃えているか」「史上最大の作戦」も白黒だから「白黒イコール低予算」ではあるまい。
しかし主演のバート・ランカスター以外は私の知ってる顔はない。
(フランスが舞台なのに全員英語を話しているのはこの際気にしない)

数年前の「ミケランジェロ・プロジェクト」と同じように美術品をドイツに奪われないようにする話。しかし若干トーンが異なる。
「今美術品なのか?」というどうしても抜けないのだ。

最初ラビッシュも「絵画のために仲間の命を危険にはさらせない」ということで断る。しかしブルが「国の宝だ」と聞かされて命を懸けて機関車を故障させたあたりからやる気が変わる。

しかし結局は仲間は死んでいき、最後の最後ではドイツ軍は機関車にフランス人を乗せて破壊工作が出来ないようにする。
ラビッシュは最後には線路留め具を一人ではずし、なんとか列車を止める。
ワルドハイムはたまたま通りかかったドイツ軍の車列を止め絵画を積もうとする。もうここまで来ると狂気である。
機関車に乗せていたフランス人を射殺。
ラビッシュもワルドハイムを射殺するが、爽快感は少ない。

そしてモネ、ゴッホ、ピカソなど名前の入った木箱のカットと死んでいった人のカットのモンタージュ。
果たしてこの人たちは死ぬ必要があったのか?人の命より絵画は大切なものなのか?
そういった問いかけを観客に与えてくる。

「ナバロンの要塞」のような「万歳、万歳」のムードはない。
あるのはむなしさだけだ。音楽も少なく、ラビッシュが一人で歩いていくカットで映画は終わる。
むなしさでいっぱいのラストだった。
評判の高さも納得した。








復讐の七仮面  多羅尾伴内 


日時 2021年7月18日 
場所 DVD
監督 松田定次
製作 昭和30年(1955年)


深夜4時の銀座。片目の運転手(多羅尾伴内)は客を拾い汐留町まで乗せた。客の男が降りるとき「13」の番号が書いたバッチを落とした。それを届けようとした運転手だが、いきなり銃で撃たれる。
翌朝、昨日の男・中津が死体で発見された。現場に駆けつけた多羅尾伴内は男に撃たれたあたりまで警察を案内。そして男を見失った建物に入るとそこには血痕があり、犯行現場と知れた。現場の建物は吉村(加東大介)という男の建設会社の所有だった。
多羅尾伴内は大沢警部(宇佐見淳)に大規模な犯罪集団の存在が疑われると話す。最近にあった被害金額が高額な事件のひとつに元伯爵今大路(山村総)が被害にあった事件があった。
今度は相互金融の副理事長岡戸(三島昌夫)の自宅が襲われ、たまたま自宅に保管していた会社の金5千万円が盗まれた。
この事件も中津の結社が関係しているのか?


「多羅尾伴内」シリーズ第8話(東映4作目)の「復讐の七仮面」。
冒頭から片目の運転手で変装中。藤村さんって暇なときはこうして変装して運転手の振りをして町をパトロールしているのか?
話の作りから言えば最初にたまたま多羅尾(もしくはその変装)が事件に遭遇しないとその後に事件に関わってくるきっかけがつかめない。

今回は黒ずくめの頭巾をかぶりまるでKKKの如き犯罪集団の集会から話は始まる。その結社のメンバーを示すバッチを落とすとは大概バカだが、所詮は犯罪者である。

その後、頭のおかしい元陸軍大佐源清盛(名前からしてふざけている)、会計士、神父、金庫破りの政吉に変装し、事件を暴いていく。
事件は今大路がどうも怪しいと思わせる。今大路は実は借金まみれで資産はない。自分の理事長の金を自作自演で盗んだのではないかと疑われる。
自らもその結社のメンバーとなって結社の秘密を暴く。

ここでこの映画のよいのは普通なら結社に入った時点で真犯人が分かってしまうのだが、頭巾をしているので最後の最後まで結社のボスが誰だか分からない。今大路ではないかと最後まで疑われる。

最後の最後で藤村大造になって真犯人が暴かれるが、それが三島昌夫!
三島昌夫は一見善人に見えるが実は悪い奴、という役が本当にうまい。いつも悪い役とは限らないので、見分けがつかないのだよ。

それにしても今回の変装、見所は気違い軍人。源清盛という名前もおかしいが、「お金で心配は無用。神がついている!」ポケットから札束を出すのだが、それが新聞紙を切っただけの束。話の流れからすると必ずしも軍人でなくてもよい気がするが(かえって人目に付くじゃないか)、映画としては面白い。

もう一人、中津の妹(中原ひとみ)を訪ねて聞き込みをするのだが、「ヨハネ神父」に変装する。片言の日本語を使い、鼻も高くするために付け鼻をしてるよう。
相変わらずの脱線ぶりで楽しい。

あと本作とは関係ないが、新聞記者役で「マイティジャック」の服部隊員(大きな眼鏡をかけた機関担当)の福岡正剛が出ていた。彼の「マイティジャック」以外の出演作を観るのは初めてかも知れない。






釈迦


日時 2021年7月17日17:15〜 
場所 角川シネマ有楽町
監督 三隅研次
製作 昭和36年(1961年)


インドのカピラ城でシッダ王子が誕生した。生まれてすぐにすっくと立ち、「天上天下唯我独尊」と言った。
20年後、青年なった王子。スパーフ城の王女のヤショダラ(チエリト・ソリス)の婿を選ぶための武芸大会が行われた。勝ち進んだのはダイバ・ダッタ(勝新太郎)。武芸に強いダイバ・ダッタが優勝と思われたが、ヤショダラのたっての願いでシッダ(本郷功次郎)と決勝戦となった。シッダが勝ち、ヤショダラはシッダと結婚した。
6年後、シッダは民の苦しむ姿を見て自分だけがこんな贅沢な暮らしをしていていいのかと悩み出す。やがて出家を決意した。
ヤショダラに未練のあるダイバ・ダッタは「シッダが戻ってきた」とうそをついてヤショダラに近づいた。しかし嘘はばれ。ヤショダラは命を絶った。
それを聞いても修行をやめないシッダだったが、やがて悟りを開く。
彼の元には権力争いで目をつぶされ今は城を追放されたクナラ王子もやってきた。クナラ王子の目は治った。
シッダを倒すことしか眼中にないダイバ・ダッタはバラモン教に帰依し、その修行を積み魔力を身につける。
そしてアジャセ王子が自分の両親に対する不信感につけ込み、その国を乗っ取ろうとする。


今年「妖怪大戦争」のリメイクがまたあり(また監督は三池崇史だが)、その公開記念として妖怪特撮映画祭が角川シネマ有楽町で開催。妖怪映画、怪獣映画(「大魔神」昭和「ガメラ」など)。未見の作品を数本干渉予定。

でその1本がこの「釈迦」。タイトルだけは聞いてるけど、誉めてる人がいない映画。
いつの時代の話かと思ったら釈迦の誕生は紀元前500年前。その頃の話らしい。

インドは暑い国、というイメージなのか男は肩をだしてストールのようなものを巻いてるだけなので、なんだか半裸状態。出演者全員(と言ってよい)は乳首を出しているので見てるこっちは目のやり場に困る。
女性も基本薄着である。あるシーンでは女性が薄着で舞い踊るのだが、ブラジャーに相当するものをつけずに乳首隠しのシールを貼っていた。
妙にエロい。この映画、お釈迦様の大層ありがたい映画のようであるが、エロ目的の観客、あるいは勃起してしまった少年がいたんじゃないだろうか?

そんなことはともかく、この映画日本初の70mm映画である。ただし大映封切り館の劇場が70mmの設備をあまり持っていなくて70mmで上映できた映画館は少なかったのではないだろうか?
(設備を持っている洋画劇場で公開して、封切り館の館主が怒ったという話を聞いたことがある)
今回はデジタル上映だが、一応冒頭「70mmスーパーテクニラマ」と表示される。

で肝心の映画の内容。さすがに誉める批評を読んだことのない映画だけあって退屈である。映画館で見てよかった。自宅でのテレビ鑑賞なら退屈のあまり何度も一旦停止をして鑑賞に何時間もかかったろう。
「日本誕生」とかどうしてこうなるのか?

時代劇ならテンポのあるせりふ回しも出来たかもしれないが、高貴な方ばかりなので妙にまったりと話すのであり、その辺が全体的にテンポがとろいのだ。
大作だと構えてしまうのかねえ。

本作が「ベンハー」「十戒」などのハリウッド製史劇に影響を受け、テレビの普及などで観客の動員数が減ってきた昭和36年という時代に、「日本でも豪華大作を!」という目的で作られ(アジアの仏教国で売れると思ったのではないかと思う)、そういう意欲があったろうけど失敗し、別に評判を聞くこともなく「強者どもの夢の跡」という感じが強い。

本郷功次郎のブッダだが、悟りを開いてからは遠景だったり、逆光のシルエットだったり、影だけで表現され、実際には写らない。
まあ恐れ多い方なので実際の俳優が出てこない方がよかったと思います。

特撮的にはラストでダイバ・ダッタの魔術に対抗し、バラモン教の石像が倒れるシーンは迫力あり。そして地が裂けダイバ・ダッタはそこに落ちるが慈悲深いお釈迦様は彼をも救う。そしてダイバ・ダッタも改心する。
最後に亡くなるときに弟子たち(川崎敬三や根上淳)が「私たちはまだ修行が足りません。もう少し生きてください」と懇願するが、「たとえ何百年生きても誰かがまだお願いしますという。だからいつ死んでも同じ」という趣旨のことを言って亡くなった。

とにかく大映オールスター映画。「日本誕生」みたいな感じ。
しかし釈迦の伝記映画だと思ったら、その周囲の人々の権力争いの話ばかりだったな。




星空のむこうの国


日時 2021年7月17日14:00〜 
場所 シネリーブル池袋
監督 小中和哉


高校生の森昭雄(鈴鹿央士)は最近同じ女の子が登場する夢ばかり見ていた。それは2ヶ月前から。2ヶ月前、昭雄はトラックにひかれそうになったところを親友の尾関に助けられた。
昭雄と尾関が一緒にバスに乗っているとき、隣のバスに例の美少女を見かける。あわててバスを降りて追いかける昭雄。追いついたものの少し話しただけで彼女は消えていった。
家に帰ってみたら自分は死んだことになっていてリビングには遺影が置いてあった。
不思議に思っていると2階の窓から例の女の子がやってくるのが見えた。しかし車に乗った男女に彼女は連れ去られてしまう。追いかける昭雄。お彼らが入ったのは病院だった。そこで尾関と出会う。
尾関の話ではここでは2ヶ月前に昭雄は交通事故で亡くなったというのだ。尾関はお前はパラレルワールドからやってきた別の世界の昭雄ではないかと言う。


鈴鹿央士の初主演作ということで鑑賞。どっかで聞いたタイトルだなあ、と思っていたのだが、86年に小中監督が商業映画デビューした作品のセルフリメイクだそうだ。道理で聞いたことがあるタイトルだ。そのときに主演だった有森也実が今度は美少女、理沙の母親役で出演。

理沙は血液の病気で小さい頃からずっと入院中。んで彼氏の昭雄が天体好きで流星群を見る約束をしたのに2ヶ月前からこなくなった、という展開。
それで別の世界からやってきた昭雄が彼女との約束を果たすためにドクターストップを振り切って彼女と海まで流星群を見に行く、という話。

感動的ないいラブストーリーなんだけど、おじさんの私にはだめだった。
理沙は病院を出たら命に関わると言われている。実際この映画でも最後には亡くなってしまう。

おいおいそれは駄目だろう。
親の立場に立ってみれば彼氏の約束とかで外に連れ出されて娘が死んでその彼氏は勝手に自分の世界に帰って行ったのでは泣くに泣けないよ。
医者が止めるのに「私の体は私が一番わかっている!」なんて言われたら「生意気言うんじゃない!」と一発殴ってるね、私なら。

だから病院から抜け出した後半が完全に映画から心が離れてしまい、しらけるばかり。理沙が病気でなくてもよかったりしないか?あるいは最後は死なないとか、奇跡が起こって病気がよくなるとか。私が意見を言える立場ならそう言ってしまうなあ。

ロケは千葉市。千葉市のモノレールはつり下げ式、他では見ない形。まるで空中をモノレールが飛んでいる感覚にも見え、SF的画にはぴったりだ。
時折主人公たちの後ろをモノレールが通るが、明らかにわざと狙って入れてるだろう。
あとは五井駅から出ている小湊鉄道か。

千葉の風景が効果的に選択されており、そこはよかった。
元の「星空のむこうの国」もみたいと思ったが、ソフト化はされたが今は廃盤らしい。いつか鑑賞したい。

(HP更新中に分ったが旧「星空のむこうの国」は2011年にグリソムの小中監特集で観ていたことが判明。観たことすら忘れ、新作を見てなんの記憶へ刺激もなかった。自分が恐ろしくなる)







アジアの天使


日時 2021年7月16日18:30〜 
場所 テアトル新宿
監督 石井裕也


剛(池松荘亮)は幼い息子をつれてソウルにやってきた。彼の兄・透(オダギリ・ジョー)が「ソウルにいい仕事がある」と言われて決死の思いで日本の家も売ってソウルにやってきたのだ。だが透はかなりテキトーで実際には仕事はない。透は今は韓国コスメを市場で安く仕入れそれを日本に向けて売っている。
一緒に仕入れに行ってショッピングセンターに行った際に催事場で歌っている歌手を見かける。誰も聞いていないその歌を剛は聞き入ってしまう。
その後に入った市場の食堂でその歌手がサングラスをかけ泣きながらお酒を飲んでいるところを剛は見かける。韓国語が話せないが、つい声をかけてしまう。
歌手ソルは兄と妹の3人暮らし。兄ジョンウはバイトで収入は低い。妹ポムは喘息持ちである。
透の会社では透の相棒に商品を持ち逃げされ、すべてを失った。ソルは事務所の社長から一方的に契約を切られた。社長とは体の関係もあったがこの様だ。久しぶりに兄妹3人で両親の墓参りに行くことにする。透たちも「今度はワカメの輸出だ!」とワカメの買い付けに向かう。
偶然乗り合わせた列車で透、剛たちとソルたちは出会う。


石井裕也の新作。というより私には池松荘亮の新作である。池松の出演作は「宮本から君へ」以来ではないか?
池松荘亮の出演作はだいたい観ているがじゃあなにがよかったかと言われると困る。作品自体はいまいちなのだが、あのぼそぼそしゃべるような感じがいいのだなあ。イケメンすぎないところがいいいのだな。

でこの映画なのだが、「言葉は通じないけど心は通じる」みたいな話で異国人同士の物語ではよくある話で新味もないもない。
正直「だからなに?」って話なのだ。

日韓の歴史認識問題に話を特化すればまた違ったろうが、そういうわけでもなく、単なるラブストーリー。
別に大きな事件が起こるわけでもなく、子供が迷子になったり、ソルが途中で熱を出したりとか事件は小さい。

ソウルは私は3回ほど行ったことがあり、ミョンドン付近はまあ分かる。
剛たちが最初に服を買いに行ったりするのは南大門市場か西大門市場かそんな感じで、なんだか懐かしい気分になった。
韓国自体が道路の盲人用の黄色い標識などが日本と同じものを使っているので、町を歩いていると外国という感じがあまりしない。
もちろんハングル文字の看板を観ると外国と気づかされるのだが。
あとコンビニのGS25が懐かしい。韓国のコンビニってイートインスペース付きが基本だったな。

映画に話を戻すと剛と徹は子供の頃に天使を見て、それが西洋人風ではなくアジア人のおじさんでしかも首筋をかまれた記憶がある。それが天使だったか、彼らの見間違いの何かだったかは判然としない。
そして事務所を首になって失意のソルは橋で同じく天使をみる。

その天使がラストに登場する。演じるのは芹澤興人である。なんだか「イサク」の佐藤宏さんを思い出した。
この天使の扱いがピンとこないなあ。
こういうの登場させる目的がわからない。

結局のところ池松荘亮の出演以外には意義を見いだせない映画だったなあ。私には。






女は幾万ありとても


日時 2021年7月11日10:30〜 
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 杉江敏男
製作 1966年(昭和41年)


浜野志郎(児玉清)と紀子(浜美枝)は新婚カップル。新婚旅行から帰ると新居の団地へとやってきた。母の教えに従って近所にご挨拶。
向かいの家はサラリーマンの矢田部晃(藤木悠)と裕子(池内淳子)に子供が一人。下の階は放送作家永島洋介(高島忠夫)とアナウンサーの敏子(草笛光子)、パイロットの長谷川順一(宝田明)と元スチュワーデスの逸子(白川由美)と今度幼稚園にあがる娘の昌美。
挨拶に行ったその場で志郎は矢田部たちの麻雀に11時までつきあわされ紀子はカンカン。
矢田部の子供が変な言葉を教えると逸子は矢田部家を敵視している。裕子も対抗して「車を買おう」と言い出す。妻に勧められてスバル360を買った矢田部だが、朝5時に起きて会社の近くの無料駐車場に車を置く生活に。
志郎は結婚前から通っていたバーのママ美津(久保菜穂子)に誘われてまた店に行くが、そこでばったり洋介と出会う。洋介は歌手の沢田ゆき子(沢たまき)を誘って飲みに行ったのだが、ゆき子の方はあくまでも仕事上のつきあいのつもり。
ある晩団地の見慣れない女性(若林映子)がやってきた。長谷川と逸子は家族で銀座に食事に行くが、そこで美津に誘われている志郎を見かける。


ラピュタ阿佐ヶ谷のモーニング浜美枝特集での1本。67分のSP。まあ特に見せ場もなくだらだら続き、役者も「いつもの感じですね」とばかりに演じるというただの時間つぶしにしかならないような映画。
話の方は団地の女性は長谷川の博多での浮気相手。向こうではバーで知り合った彼女には独身と言ってつきあっていたが、彼女はそれを信じて東京まで出てきた始末。

長谷川は「僕が悪かった。君の言うとおりすべて甘んじて受けるよ」と言い訳するが、その姿は「その場所に女ありて」と同じ感じ。
逸子は離婚するつもりはなく、彼女に手切れ金を払って別れてもらおうと翌日博多に行くことなる。

そして志郎の方も逸子が「あなたのご主人が車で女性と行くところを見た」と大きなお世話の話をする。こんな女性では長谷川も別れたくなるだろう。
またアナウンサーの敏子はテレビのディレクター(青島幸男)に言い寄られている。ただし敏子は永島のことが好きだし、沢田ゆき子もその気はないということで決着が付く。
万事こんな感じの特になにもない映画。

劇場内にプレスシートが貼ってあったが、それが「安達方式で撮影された」(安達はプロデューサーの名前)とある。
何のことかと思ったら「同じセットを使って2本同時に全く違う映画を撮る。そうすることによってセットにかける費用が浮いてほかのことに回せる。映画はセットとかではなく、本来は中で繰り広げられる人間ドラマが重要なので、余計な費用がかからずにかけるべきところに予算がかけられる。大作とは智恵の詰まった映画のこと。この映画は超大作だ!」とか書いてある。

なんじゃそれ。セットの使い回しを自慢してどうする。東宝も予算削減でかなりつらかったんだろうなあ。
ところで高島忠夫と宝田明の共演って初めて観た。特撮映画でもそれぞれ主演してるが、共演はありそうでなかったなあ。

そして藤木悠の息子役の少年、どこかで見た顔だと思ったら、Twitterで偶然「ウルトラマン怪獣殿下」に出ていた少年の話が話題になっており、名前を確認したらまさにこの稲吉千春さんだった。そうかあ、道理でどこかで見た顔だ。










唐人街探偵 東京MISSION


日時 2021年7月10日18:30〜 
場所 TOHOシネマズ新宿スクリーン11
監督 チェン・スーチェン


「唐人街探偵」シリーズ3作目。今回は日本人キャストも多いので日本初公開。「1」「2」を観ていない日本の観客のためにシリーズの基本設定が説明される。まず探偵ランキングアプリがあってのランク1位は「Q」という謎の人物。2位が本作の主人公のチン・フォン(リウ・ハオラン)とその叔父タン・レン(ワン・バオチャン)、3位が日本の野田(妻夫木聡)、9位がジャック・ジャー(トニー・ジャー)。(ここまで日本公開用の説明)
日本の野田の誘いで日本で起こったヤクザの密室殺人事件を解決するためにチン・フォンたちはやってきた。事件はヤクザの渡辺勝(三浦友和)が池の中央に作られた部屋で敵対する組織のボス・スーチャウエイと面会してるとき、二人だけの話し合いだったが、途中で大きな音がして部下たちが入ったらスーチャウエイは殺され、渡辺は薬を飲まされ倒れていた。
現場写真を見た野田やチンだったが、死体検分のために病院へ。そこでスーチャウエイの死体を検分する。
スーチャウエイの秘書の小林(長沢まさみ)に詳しく話を訊こうと思ったが彼女は拉致されていた。
なんとか小林を救出したチンや野田たちだったが、いよいよ事件の裁判が始まる。このままでは渡辺の有罪は確定だ。渡辺を無罪にしなければチンたちは殺される!


話はこんな感じ。
ジャッキー・チェンの時代からあるアクションコメディで昔よりさらにパワーアップしている。そしてやたら派手。妻夫木も無駄にカラフルなスーツを着ている。しかしこの世界観なら違和感はない。
もともと妻夫木ってコミカルな要素のある方だから結構似合っている。

カラーのボールが道にバーンと広がる、とかおきまりである。
ちょっとくどいな、と思いつつ映画を見ていたのだがラスト30分の法廷での謎解きのシーンでぶっ飛んだ。

まず実は渡辺は中国残留孤児で38歳の時に日本にやってきた。そして妻と娘(これが小林の子供の頃)は渡辺が生きていくために日本のヤクザの婿養子になるために改めて結婚した、という設定。そして日本語もあまり話せない残された妻や子供は日本で苦労し、渡辺を恨んでいるという訳。
またボスもスーチャウエイもひどい男でスーチャウエイを殺し、その罪を小林が渡辺に着せようとしたというのが真相。

へー日本ではもう全く話題にならなくなった中国残留孤児問題がこんな形で映画にされるとは思わなかった。しかも日本の映画ではなく中国の映画でだよ。
これだけでも十分私にはインパクトがあったが、このシーンで「人間の証明のテーマ」がフルで流れるのだ。

椅子から転げ落ちそうになった。
あれも戦争のおかげで生まれた子供の数十年後の話だ。ここ、パロディとして笑っていいのか?それとも感動するべきなのか?
何より監督をはじめとした中国スタッフが「人間の証明」のことを知っていることに驚いた。佐藤純弥つながりなのかなあ。
佐藤純弥は「君よ憤怒の河を渡れ」が中国で日本以上にヒットしたと聞くし、「新幹線大爆破」とかもあるし中国の合作映画もあって中国では比較的知られてる監督だろうから、その可能性はあるけど。

あと渋谷スクランブル交差点のシーンがあるが、このシーン、足利市に組まれたオープンセットで、この映画のあと「サイレント・トーキョー」や「今際の国のアリス」(NETFLIX)などで使い回されて今ではパーマネントセットになっているらしい。

とにかくロケ地も新宿東宝前の広場でやってるし、驚かせられる映画だった。
「ゴジラVSコング」における小栗旬の扱いを見ると同じ外国映画でも出演するならハリウッド映画より中国映画だね、と思った。
同じアジア人で中国人のファンも出来そうだし。







ハニーレモンソーダ


日時 2021年7月10日15:30〜 
場所 新宿ピカデリー・シアター2
監督 神徳幸治


中学時代、いじめられていたことで高校に行ったら変わりたいと思っていた石森羽花(吉川愛)は進学校より八美津高校を選んだ。ある日、髪がレモン色の男の子、三浦界(ラウール)に誤ってソーダをかけられたことで界と知り合う。見た目はクールな印象だが、実は優しい。
引っ込み思案で友達が作れない羽花を「俺は石森係だから」と自分たちのグループに引き入れていった。
やがて羽花は界を彼氏にしたいと思うようになる。


毎度毎度の少女コミックの実写映画化。大抵見る。若手イケメン俳優が出演しているから。
毎回毎回同じことを言うけど定番の展開。「自己評価が低い女の子を学校で人気者のイケメンが好きになる」「夏祭り、海などに行く」「クリスマス」などのイベントが絡んで元カノが出てきて彼の家庭の事情の秘密とかが出てくる。順番は作品によって違うが要素は同じようなもの。最後はハッピーエンド、って感じ。
時々変化球の要素のある作品もあるが、今回のこれは完全に定番。
監督も会社も違うけど完全に各社競作のシリーズものみたいな感じだ。

本作に関しては羽花が作った質問ノートで「家族構成は?」というのを見てから途端に不機嫌になる。
ものすごい秘密があるのかと思ったら「母は3歳の時に死んだ。父は中3の時に失踪した」ということ。
言いづらいかも知れないがそこまでかなあ。それは俺がおじさんだからそう感じるのかなあ。

界は伊勢佐木町のバーで働いている設定。いやいや未成年はああいう店では深夜には働けないよ。それに時給1200円ぐらいじゃ暮らせないだろう。というマジなつっこみをするの野暮。かといっておじさんに体を売る設定にするわけにも行かないしね。(それをすると別の映画になってしまう)

そういう家庭の問題より、界の金髪、というかレモン色の髪には何か由来があるのだろうか?髪を染めたきっかけとかそっちの方が気になった。映画では説明がないけど原作にはあるんだろうか?

それより今回は界の親友の友哉役で濱田龍臣出演!「ウルトラマンジード」以来ファンなのだが、さわやかなイケメンなのでこういう少女コミックの映画化で是非主演をしてもらいたいと思っていた。今回は助演だが、それにしてもよかった。吉沢亮もこの手の映画で最初は助演だったから出世の可能性はある。
今後の活躍がとにかく楽しみ。






東京リベンジャーズ


日時 2021年7月10日11:05〜 
場所 新宿ピカデリー・スクリーン3
監督 英 勉


だめだめのフリーターのタケミチ(北村匠海)。ある朝ニュースでかつての彼女の橘日向と弟が反グレ集団とやくざの抗争に巻き込まれて死んだと知る。今日もバイト先で怒られて意気消沈。ある日駅のホームで突き落とされ、電車が迫ってきた。
気がついたら自分は高校生に戻っていた。金髪姿イケイケだったあの頃。
しかしある喧嘩でボッコボコにされてから奴隷扱いになり、人生のすべての歯車が狂いだし、今のさえないフリーター生活になったのだった。
10年前に戻った世界で人生で唯一の彼女だった橘日向を訪ねてみた。
その晩、日向の弟の直人がいじめられてるのを目撃。それを助けて「おまえは日向を守れ」といい、握手をした。
すると現代に戻っている。助けてくれたのは大人になった直人だった。彼の話では自分はあの時タケミチに言われたことを信じて刑事になったという。そして直人の話ではタケミチと直人が握手するとタケミチはタイムリープするのだという。
タケミチはタイプリープして日向が死なないような世界にする。
反グレ集団、東京卍会の通称マイキー(吉沢亮)やその親友ドラケン(山田裕貴)がいなくなれば日向は死なない。


この6月後半から北村匠海がテレビのバラエティ番組にゲスト出演してこの映画の宣伝ばかりしている。映画が始まってフジテレビ製作と知って納得。ワーナー配給だから意識してなかったけど。
北村匠海、吉沢亮のイケメンが主演で、山田裕貴、眞栄田郷敦らの共演で話題。観客も女性客7割、原作ファン3割の感じだった。

予告とかチラシを観た段階で北村匠海のヤンキー姿には興味が失せる。北村の出演映画はここ数年全部観てるが、ちょっと迷った。
案の定、北村の金髪ヤンキー姿には違和感があってなじめない。
フリーターの時のぼさぼさ頭姿はOKなのだが。

それにしても東映やくざ映画(実録ではない任侠の方)の精神はこういうヤンキー映画に残ってるのだと思う。
今の時代でもある「男の絆」「俺が女を守る」みたいな「昭和的」発想はまだまだこういうコミックが人気を博すところをみるとまだまだ生きているのだな。
こういうのは「ミソジニー」「男尊女卑」につながる発想だと思うので、私は実は好きではない。

「お前は俺のダチな」(東映的に言えば兄弟分)、悪い組織といい組織、いい親分と悪い親分という展開は完全に「東映任侠」の世界だなあ。
最後の最後にタケミチがドラケンを助けるところなどはそうは言ってもぐっとくる。

こういうコミック(映画)が今でも受けるのだから、日本ではまだまだ男尊女卑の発想はなくならないだろう。
映画とは関係ないが、そんなことを感じた。





ゴジラVSコング


日時 2021年7月2日18:50〜 
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン9
監督 アダム・ウィンガード


髑髏島のコングは今はモナークの監視下におかれ、人工の空のあるドームに隔離されていた。島の少女、ジアだけが心を通わせていた。
アメリカのエイペックス社の社長シモンズは秘密裏に何かを建造していた。その秘密を暴こうとヘイズはエイペックスで働いていたが、なかなか正体はつかめない。その様子をネットで放送して、人気を得ていた。
マディソン・ラッセルはヘイズの放送を聞いていた。
そんな時にエイペックス社はゴジラに襲われた。また社長のシモンズは地球空洞説を唱えるネイサンに地球の空洞についての調査を依頼する。そこには怪獣たちのエネルギーになるような何かがあると思っていた。
ネイサンはコングに空洞の中の案内をさせるようにした。空洞の入り口がある南極にコングを運ぶ途中、ゴジラに襲われる。
マディソンはヘイズと合流、ついにエイペックス社に潜入する。
なんとか南極についたコングたちだったが、地球の空洞に進入することに成功。そこは怪獣たちが住む、見たことのない世界だった。


世界公開は3月、日本公開は5月を予定されていたのが緊急事態宣言による映画館休業で7月2日に公開延期。そもそも去年の公開予定だったからずいぶん待たされたがやっと公開でとにかく感慨深い。

先に言うけど、私の好みのゴジラ映画ではなかった。
まず私はどこか現実につながっていてほしいのだ。有名な場所に上陸する、自衛隊とかアメリカ軍が登場し通常兵器で応戦するが歯が立たない、そこで新たな奇策とは?みたいな展開が好きなんですよ。
そういう意味では2014年のギャレスのゴジラはよかった。現実との接点があった。金門橋も出てきたし。

そういう意味ではこの映画は私の好みではない。地球空洞説とかリニアモーターカーみたいなのでアメリカと香港がすでにエイペック社が完成させてるとか、なんか乗れないなあ。

それ以上に気に入らないのは「画」である。
逆光、もしくは怪獣の周りに光源があって暗くなってしまうのである。
Twitterの感想を見てると「怪獣バトルかっこいい!」というのが多いが、「画がきれい」とか「逆光やだ」みたいな映像に関しての感想はない。
前作「キング・オブ・モンスターズ」の時も逆光ばかりでいやだったけど本作もそんな感じ。
ゴジラとコングの空母の上での初戦も日が落ち掛けた夕方で、画面の奥ではないが横に太陽があって、どうも陰ができる。これは偶然できた画ではなく、完全に意図したもの。
また香港の決戦ではネオンがやたら明るくて、どうもコングやゴジラが暗くなる。いやなんだなあ、こういうの。

2作続けて逆光だけどハリウッドでは流行ってるの?
別に「テネット」とかそうじゃなかったから、流行ってる訳じゃないんだろうけど。
ギャレゴジの時のハワイ上陸の暗闇の中で照明弾を撃ち、M16でとりあえず応戦する、っていうのがよかったなあ。

そして小栗旬。ハリウッドデビュー、とか芹沢博士の息子、とか言われていたので、主要キャラかと思ったら完全にわき役じゃん。
キングギドラの骨を使ってメカゴジラを作ってそのオペレーターという訳なんだが、白目むいてイケメンが台無しである。
宝田明のカットとか今回の小栗旬とか日本でのキャリアはアメリカではまたく通用しない。渡辺謙、すごいよ。

そんな感じで結局は乗れなかったなあ。
まあここまできたら次回は「メカゴジラの逆襲」とか「ゴジラ・コング・メカゴジラ香港ニューヨークSOS」とかやってくれ。
何だったらエリア51で研究されていた宇宙生物が怪獣になる話でもいいぞ、と半ばやけ気味のなって劇場を後にしたのだった。