明け方の若者たち | 凶弾(1949) | リスケ | 青い |
ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦 | ロード・オブ・モンスターズ | 水戸黄門(1978) | 性本能と原爆戦 |
10番街の殺人 | 軍艦少年 | 世界で一番美しい少年 | ザ・娼年倶楽部2 オンナたちを悦ばせる性戯の秘訣 |
綺麗に咲いた | モスラ<4Kデジタルリマスター版> | 北海ハイジャック | 白昼の無頼漢 |
明け方の若者たち日時 2021年12月31日17:10〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン1 監督 松本花奈 就職の内定が決まった祝いの飲み会で「僕」(北村匠海)は「彼女」(黒島結菜)に出会った。つまらない飲み会を抜け出し、明大前の公園で飲み直す二人。 数日後、下北沢の小演劇に彼女に誘われ観に行った僕。その晩僕たちは初めてホテルで結ばれた。 就職したのは大手の出版社。配属されたのは希望とは似ても似つかない総務部。仕事は楽しめない。 彼女に誘われ、レンタカーで旅にでた僕。海の見える立派なホテルに泊まり、とても楽しかった。 しかしそれから彼女から連絡が途絶えた。実は彼女は・・・・ 北村匠海の新作。年末の12月31日公開とは珍しい。勇んで観に行ったが大はずれ。 公開前の映画紹介の時から思っていたが(でも誰も指摘しない)、前半の展開は「花束みたいな恋をした」とまるで同じ。 盗作か?と思うぐらいだ。 明大前で出会って飲み直すとか、下北沢で小演劇を観るとか、全く同じではないけどかなり似ている。そして意に添わない就職をするとかさ。 「何だかなあ」という気分で観ていたら、今年観た映画で最大の「えっ?」が起こる。 彼女から連絡がこなくなってそれで落ち込んで会社の同期と飲みに行ってそこで同僚が「やっぱり結婚してたらなあ・・・」という。 私は一瞬なにが起こったか解らなくなって大混乱。 そこで映画は回想シーンで彼女が自分は結婚していると告げる。 つまり僕は相手が結婚していると知ってつきあっていたのだ。 いややいやいやそれはだめでしょう。 単純に不倫はいけないという話ではない。それもあまりよくないが、映画だからそれは許そう。 主人公は知っていて我々観客が知らない構成が許せないのだ。 私の話の作り方ではやってはならないことなのである。 それはもう「探偵が犯人だった」並である。金田一耕助や明智小五郎が犯人というのは許せないのだ。主人公の知っていることと観客が知ってることはイコールであるべきなのだ。 そうでないと映画中の僕の苦悩が共有できないではないか? 観客の私は主人公にだまされた思いなのである。 もうここで完全に心が離れた。その後、彼女と別れた僕が苦悩しても「ああ、そうですか、勝手にしてください」としか思えないのだよ。 それと一泊旅行で行ったホテルのシーン。二人でセックスする。僕の腰は動いて明らかに挿入してるだろう。 でも二人ともバスローブを着たまま。いやいや、彼女の胸ははだけて乳ぐらい吸うでしょう。僕も全裸で彼女に乗れよ。 まあ北村匠海と黒島結菜という人気俳優に全裸でカラミは出来なかったのはまあ理解しよう。(許してないけど) だとしたら夜景だけ写して声だけの方がまだよかったよ。なんだよ、あの中途半端な嘘くさいセックスは。あんなセックスする奴いるかよ。 (北村もシャワーシーンでケツ出せよ) 北村匠海が本作のキャンペーンの為のインタビューで「下北沢とか高円寺とかなんか既視感があった。あんな朝を迎えたこともあって、まるで自分の人生を観てるかのようだった」という趣旨の発言をしていたけど、そんなもんなのかねえ。 端から見てると役者としても主演作連発の人気俳優、そして歌の方も今年は「猫」がヒットした。順風満帆で「全部手に入れた男」じゃん。 それでもそんな挫折感とかあるのかねえ。 ロケ地として新宿2丁目のBYGS前でロケしてるのが驚いた。北村匠海と黒島結菜がいたら大変な騒ぎだろう。それとも深夜だから大丈夫だったのかな。 まあとにかく衝撃の展開がついていけずに不快感だけが残った。 今年のワーストワン決定である。 凶弾(1949)日時 2021年12月日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 ベイジル・ディアデン 製作 1949年(昭和24年) 戦後間もないロンドン。終戦後の混乱で育った子供が青年となり、彼らの中には犯罪者になるものいて犯罪が絶えなかった。今日も逃走中の犯人が一般市民を射殺する事件が起こった。 ベテラン巡査のジョージ・ディクソンは新人警官のアンディ・ミッチェルの指導をする。ミッチェルは住む場所に困っており、ジョージは自分の家に下宿させる。死んだ息子の部屋が空いているのだ。 家出人の届出があった。町で見かけた少女ダイアナがその家出人とわかったが、「どうしても帰りたくない」という彼女を成人に達しているので強制的に帰らせることは出来ない。 ダイアナはトムという不良とつきあっていた。トムは友人と宝石店の主人の家に強盗に入る。宝石店の主人は軽症で済んだが、店の鍵が盗まれたことに気がついた。宝石店に駆けつけたが、そのときには店の宝石はなくなっていた。 ダイアナは映画館に就職した。トムたちはその映画館を襲撃しようと計画。拳銃も手に入れた。早速映画館を襲ったが、映画館から出てきた客に強盗の現場を見られ、近くにいたディクソンがやってきた。だがトムはディクソンを撃つ。 「警視庁物語」のDVDボックスの解説に「影響を受けた作品」として紹介されていたのが本作。 「警視庁物語」とはちょっと違うけど、ヒーロー的警察官や探偵が活躍し解決するわけではない。本作の中心はベテラン巡査のジョージと新人のアンディである。 ジョージは息子を亡くしている。説明はされていないが、おそらく戦争で亡くしたのであろう。兵隊だったのか、空爆で死んだのかは明らかでないけど。 復興している町だけでなく、子供が遊んでいる広場にはまだまだ瓦礫や崩れたままの建物がある。 そして警察にはあらゆる人がやってくる。警邏中のジョージたちにも道を尋ねる人もいる。冒頭でジョージが駅を訪ねる人に道を教え、ラストでもアンディが同じことをしている。 また警察署にも犬が迷子になったとか、娘が家出したとかの相談が迷い込む。子供に「迷子なの」と訪ねるアンディにジョージは「この子は迷子じゃない。警察でもらえるお菓子目当てだ」と諭す。こういった描写はのちの「複数犯罪」に似ている。 拳銃は子供が持っているのを警官が発見。子供はなぜかへそを曲げてなにも話さない。父親が警察とは口を利くなと教えているかららしい。 やっと拳銃を拾った現場を教えてくれた。そのテムズ川をさらう。 出てきたコートを見つける。宝石店襲撃の現場に落ちていたコートのベルトの元のコートだ。売った店から客がわかった。ダイアナの父親だ! その周辺を探る刑事たち。(刑事部屋の警部がバーナード・リー) 自分たちが刑事に目をつけられたと悟ったトムは「俺にはアリバイがある!」と逆に警察署に出頭する。 しかし結局は追われる羽目に。 逃げたトムはドッグレースの会場に逃げこむ。この大勢の観客の中からどうやってトムを逮捕するか、というのは黒沢の「野良犬」の影響を与えたのかも知れない。 このシーン、レース場外にいるノミ屋(?予想屋?)たちが犯人逮捕に協力しようとして手話や合図でトムを追いつめるシーンがおもしろい。 そして警官隊に追いつめられ、アンディが逮捕。 巡回の警察官が休憩中にダーツをしたり、合唱をしたりの本筋とは関係ない描写もおもしろい。 また映画館での犯人の目撃者のアベックが口げんかばかりして取り調べにならずにバーナード・リーがうんざりするシーンなどの町の人々の描写が細かい。 こういったスーパーヒーローが活躍せず、町の人々の悲喜こもごもを犯罪を通して描いていく映画として、「裸の町」などにも通じるものがあるだろう。 映画を見終わってスタッフ、キャスト紹介のページを見ていたら犯人のトム役はダーク・ボガードだったようだ。バーナード・リーは分かったけどこちらは全く解らなかった。 リスケ日時 2021年12月29日21:00〜 場所 池袋シネマロサ2(地下) 監督 鈴江誉志 製作 令和3年(2021年) カメラマンとして働くユウスケ(野島健矢)は中学時代からの友人成田梓(野川大地)に久々に呼び出された。今は銀行員になった梓。 「今度結婚するんだ。式とかは挙げないけど、記念にお前に写真を撮ってほしい」 ユウスケと梓はかつてつきあっていた。しかし梓は結婚する人生を選んだ。同僚に「前につきあっていた人から結婚写真を撮ってくれるように頼まれた」と話す。相手は無邪気に「マジすか。その女デリカシーないですねえ」 結婚式場で写真を撮る。梓の結婚相手のハナはいい人だった。 梓のいないところでハナの写真を取り、その人柄に安心するユウスケ。写真を取り終わった後、駅まで送っていくという梓。 その道で「お前も誰かと幸せになれよ」という梓。今まで我慢していたものが爆発し、「お前以外の誰と幸せになれるんだよ!」と叫んでしまう。 Twitterを見ていたらゲイ映画らしいこの「リスケ」という映画を知った。年末のロサで20時から上映。「IFS」というインディーズ映画(自主映画)の年末再上映企画。その中で「ボーイズプラトニック〜鈴江誉志監督特集to be〜」と題する短編2本立て上映。 「青い」49分と「リスケ」32分。「リスケ」はフルバージョンと銘打っているが、これは11月にあった八王子ショートフィルム映画祭ではグランプリを受賞した。 かつての恋人が結婚するのだが、相手が自分たちの結婚写真を撮ってくれという切なすぎる作品。 ユウスケの元彼の結婚相手、ハナがいい人だったのでなぜかほっとする。 同僚に話してもカミングアウトしていないユウスケの同僚は完全に「女の恋人」が「新しい彼氏」と結婚するのを見せるのだと思っている。 もちろんユウスケもいちいち説明したりしない。 元彼と帰り道二人になり「お前も誰かと幸せになれよ」という。 ここで今まで押さえてきたユウスケの感情が爆発。 この二人の道を歩く長回しのシーンがすばらしい。 二人の役者が完全に役に同化している。 ユウスケ役の野島健矢は八王子映画祭で「審査員特別賞」を受賞したそうだが、それも納得の出来である。 野島健矢は神木隆之介風の小柄な感じ。これからの活躍に期待したい。 鈴江監督は1998年生まれのまだ23歳。 若いなあ。ボーイズ映画(というジャンルが別にあるわけでもなかろうが)を現在中心に撮っているようだ。 このままいけば今の今泉力哉監督ぐらいの評価は得られると思う。 「青い」の方は作風とか理解していなくて戸惑ったが、再見すれば評価が変わるかも知れない。 この「リスケ」ももう一度見たい。 もう一度見たい、と思わせるだけ、この映画は力がある。 今後に期待したい。 青い日時 2021年12月29日20:00〜 場所 池袋シネマロサ2(地下) 監督 鈴江誉志 製作 令和元年(2019年) 高校3年生のハヤト、レン、アスカの3人は写真部。 ハヤトは実は密かにレンに想いを寄せていた。親友のような3人だったが、ある日レンは「俺、アスカとつきあってる」という。 高校生写真コンテストにレンやアスカが応募するというので、自分も応募してみるハヤト。しかし落選。レンは入選した。 卒業後は進路が別れる。ハヤトは卒業式に出る気になれず、学校を休んだ。 「リスケ」を見に行ったとき同時上映されていた作品。 鈴江監督は初めてだったが調べてみたら1998年生まれ。この映画は21歳の時の作品になる。 高校生が写真部の部室でジェンガなどをしながら「コンテスト応募する?」「いや勉強あるから」などと他愛のない会話を延々と繰り返す。 正直、あまりに事件もないので「どうよ?」と観てる間は思ったのだが見終わってみるとハヤトがレンに対するあこがれというか、もやもやした感情が伝わってきてよかったと思う。 こういう事件がないのにとりあえず見せきるのはなかなかの力量である。 49分あるのだが、その長さでこれだけ事件がなくても見せるのは今後に期待したい実力を感じた。 ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦日時 2021年12月29日 場所 ムービー・プラス録画 監督 ダニエル・ラスコ 製作 2021年 地球にある物体が落下した。それは冷戦下に冷戦解消の目的で米ロで共同で打ち上げた探査ロケット、エルベだった。そのエルベから何者かが出てきたことが探知された。 翌朝、かつての関係者の娘で、今は科学者のマーフィー博士たちがエルベに向かった。そこで見たものはエルベに搭載して発射したチンパンジーが巨大化した姿だった。そしてエルベの中で異星人が入れたと思われる物質を発見した。 チンパンジーはただちに研究所に輸送された。そこへロシアのエヴァ博士も研究にやってきた。その晩、エルベの警備をしていた兵士が何物かにころされた。再び調査に向かったマーフィーたちが見たのは巨大化したトカゲだった。どうやら異星人が巨大化する物質を入れて地球に送り、そのガスを吸ってトカゲも巨大化したようだ。 トカゲもチンパンジーもワシントンに向かう。マーフィーは異星人の電波で両方とも操られていると確信。チンパンジーの方はまだ意志があり、完全に異星人に操られてはいないようだ。 マーフィーは今は引退したエルベ計画のメンバーだった父親と合流。異星人からの操縦を遮断するために妨害電波を出すことに成功。 しかし火力でチンパンジーを倒すことに焦った米軍は、その妨害電波装置も破壊してしまう。 予備の設備を準備するマーフィーたち。 ワシントンでトカゲとサルの怪物が対峙した! 「ゴジラVSコング」の公開の頃に一部で話題になった「APE VS MONSTER」がこの映画。 タイトルはまったく違うけど、ムービープラスで放送されたので録画してみた。 わざわさ同名タイトルの「ロード・オブ・モンスターズ」の方も予習して観たけどなん繋がりもない。 正直それほど期待していなかったので、大きくがっかりはしない。 冒頭の「宇宙船が戻ってきた!」っていうのは「ウルトラQ 宇宙からの贈り物」みたいでいいですねえ。 肝心の怪獣たちだけど、出番が少ない。とにかく人物のリアクションばかりを取って肝心の怪獣たちの秒数が少ない。 特に最後のトカゲとサルの対決、サルの方がトカゲの首をつかんで骨を折る感じで一発で死んじゃうもん。 もう少し戦ってほしかったなあ。 それでもサルがワシントンのタワーに上るところなんざ、オリジナルの「キング・コング」からの伝統で高いタワーの上る画が出てきたのはよかった。 気になっていた映画が出来て満足でした。 ロード・オブ・モンスターズ日時 2021年12月29日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 マーク・アトキンス 製作 2019年(令和元年) ケルマディック海溝で海洋資源の調査を自社の海中ドローンで行っていた社長のビリー・フォードだが、そのドローンが突然何物かに破壊された。 なにが起こったか、部下とともに潜水艦で調査に向かう。 そこへフォードが違法な開発を行っていないかを監視するために海洋調査団体のサラも乗り込む。 深海で見たものはヒトデ型の怪獣だった。そのヒトデの上に座礁したフォードたちの潜水艦だったが、怪獣も浮上してなんとか脱出した。 サラはかつて自分が反論した大学教授のレナが研究していた「古代からの伝説に登場する怪獣」ではないかと直感する。今は南の島で隠居生活を送っているレナに会いに行く。 レナはサラの話を聞いてその怪獣は「テング」ではないかと悟る。テングは「破壊者」の意味で、溶岩を血とする生き物で、人間には止められないという。 ビリーは海軍のホーン将軍に進言するが、まったく聞き入れてもらえない。 ビリーはテングの体内に爆弾を送り込んで爆発させれば倒すことが出来るかもしれないと考えたが、民間人の介入を嫌うホーンによって失敗した。 サラの話ではある火山にいると言われる「生きた山」と言われる怪獣と戦わせるしかないという。 テングは途中で無数の卵を生む、というより発射した。その卵からは羽の生えたテングが無数に生まれる。 親テングも火山を求めてその島にやってきた。「生きた山」は覚醒、テングとの戦いが始まった! 「ゴジラVSコング」が公開された頃、その便乗映画がネットで紹介されていた。それがムービープラスで年末に放送され、その便乗映画にはさらに前作があると知ったが、そちらは録画し忘れた。でもネットで検索したらTSUTAYAにあったので早速レンタルした次第。 謎の海底生物発見!という冒頭はなかなかよい。 しかも登場人物たちはみんな「KAIJU!」と日本語で言っている。もう「スシ、テンプラ、フジヤマ」なみですね。 実は話はあまり進んでいないのだが、ヒトデの腕に乗って浮上してどうのこうので45分ぐらい(映画は90分)かかっている。 大きな破壊とかなかったけど、ここまでは楽しめた。 途中、ヒトデの上にいるときに空軍による空爆が行われ、なぜかパイロットは日本語で交信。潜水艦の乗員も「バクゲキ ヲ ヤメナサイ!」と日本語で訴える。なぜここで日本語が出てくるか意味不明だが、日本の怪獣映画へのリスペクトは感じられる。 その後、卵が発射されてその中からプティラノドン(ラドン)風怪獣登場!という訳だが、そこは街をおそったりするようなパニック描写はなし。残念。 博士の助言に従って、火山島にいる怪獣を目覚めさせテングと戦わせるが、怪獣が覚醒したところでテングはそのヒトデ状の手足で後ろから羽交い締め。 「生きた山の目に血を与えれば助かる」という古代の伝説の中にある「目」は火口の比喩ではなく、実際の目ではないかとビリーは考える。 例のテングのひなから血を石につけて手製の弓で怪獣の目に放つ! となればここで怪獣はとたんに強くなって大怪獣バトル!になるかと思いきや、とたんに二つの怪獣は結晶体になって固まってしまう。 う〜ん、惜しかったなあ。 「生きた山」の方の怪獣は映画の終了約10分前に出てきたから、どうなることかと思ったんですが、ちょっと残念でした。 でも日本の怪獣映画へのリスペクトが感じられてよかったです。 アサイラムを「低予算」とバカにする人もいるけど、河崎実映画の10陪以上は使ってると思う。 水戸黄門(1978)日時 2021年12月26日 場所 時代劇チャンネル録画 監督 山内鉄也 製作 昭和53年(1978年) 常陸の国の西山荘で悠々自適の生活をしていた水戸光圀(東野英治郎)だったが、そこへ加賀の国より由美(栗原小巻)という男装した女性がやってきた。加賀の領民のためにならないことが行われようとしているという。 それを聞いた光圀はなじみの一行を引き連れて加賀へ出発。 先行している弥七(中谷一郎)から柏崎のある旅籠で面白いものが見れると手紙が届く。 そこでは偽黄門(ハナ肇)、偽助さん(植木等)、偽格さん(谷啓)がいた。地元の代官(遠藤太津朗)はこちらを本物と思い、賄賂を送る始末。 それを知った光圀だが、もともと偽黄門たちも自分たちから名乗ったわけではないので、許すことにし代官は厳重注意で済ませた。 加賀へ入った光圀たち。 上代家老の奥村(三船敏郎)は村井(安部徹)によって謹慎させられていた。村井は自分の娘を殿の側室とし子供を生ませ、その子を跡取りにして藩の実権を握ろうとしていたのだ。 奥村の家臣であった石川(竹脇無我)でさえ今は村井に寝返っている。 殿の綱紀が江戸から帰ってきた。奥村は長子の新之助は病気弱で殿の仕事は勤まらないので自分の孫でもある松千代を世継ぎに、と進言する。 しかしその時石川が意義を申し立てた。 時代劇専門チャンネルで放送していたので、録画してみた。最近月形龍之介のも観たし。 この映画は公開当時から知っていた。「トラック野郎」との2本立てての豪華番組。松下電器の一社提供のTBSの人気番組の劇場版。 今では「テレビ番組の劇場版」というのは当たり前だからなんてことはないのだが、公開当時は一般的でなかったので「テレビでタダで観れるものを誰が観るんだ!」と批判的な意見があった気がする。 まあこれ1本立てではなく、あくまで「トラック野郎」の併映だから成り立ったんだろうけど。 映画版なのでシネスコ。テレビ放映も考えてスタンダードサイズかと思ったらそんなことはない。 しかしお話の方は完全にテレビサイズ。「劇場版だから!」と派手演出があるわけではない。 いやないこともないか。ゲストが豪華なのだな。 加賀に向かう途中で新潟の柏崎で偽黄門と遭遇するのだが、これがハナ肇、植木等、谷啓の面々。そういえば東宝のクレイジー映画では水戸黄門やらなかったなあ。 やっても面白そうだけど。 でもはじけ方も足らないので、もう一つである。 これが伏線になるわけでもなく、完全にテレビドラマの1エピソードの時間配分。 そして加賀についてからも別に黄門様ご一行はそれほど活躍もなく、竹脇無我が悪家老の味方になって、それを幼なじみの武士の和田浩治が決闘を申し込んだむとか、黄門様は中心ではない。 また三船敏郎が正しい城代家老を演じていて、貫禄十分。しかし殺陣のシーンでは、往年の殺陣に比べたらスピード感に乏しかったかな。 劇場版ならではの大軍勢の登場とか、周りの各藩も巻き込むとか話のスケールを大きくしたり、大火事になって屋敷が燃えるとかのケレン味はなし。(冒頭で山小屋は燃えたけど) キャストがクレイジーと三船という豪華版だが、話はひたすらテレビサイズ。 でも考えてみたら水戸黄門ってまじめに観たことなかったなあ。 由美かおるがいないと思ったら、由美かおるがレギュラーになるのは、西村晃の時代だったのですね。 東野英治郎の笑い声も響き、テレビシリーズの水戸黄門はやっぱりこの人だな、と思わせる。 月形もよかったけどね。石坂浩二や里見浩太朗は観たことがない。 性本能と原爆戦日時 2021年12月25日 場所 DVD 監督 レイ・ミランド 製作 1964年(昭和39年)日本公開(1962年製作) ハリー(レイ・ミランド)は妻アン(ジーン・ヘイゲン)は息子のリック、娘のカレンをつれて早朝にキャンピングカーを率いて自家用車で旅にでた。 しかし山の上からカミナリのような光を見てさらにキノコ雲を見た。どうやら核戦争が起こったようだ。最初はなにも報じなかったラジオもやがて政府の緊急放送が聞こえてくる。ロサンゼルスだけでなく、ニューヨーク、シカゴ、そしてロンドン、パリも核攻撃されたらしい。 アンは自分の母が待つ家に帰りたがったが、ハリーは「もう家はなくなっている」と拒絶した。 ハリーは「まだ田舎なら原爆のことを知らないかもしれない」と脇道に入りガソリンをめいっぱい補給、開店前の食料品店へ。大量の食料品を買い込み、金物屋に行き銃を買う。しかし現金がなく小切手で買おうとすると「登録をしなければなりませんので」とごちゃごちゃ言ったので銃を向けて略奪。途中で若者3人に襲われるが銃で撃退。 そしてキャンプ場に入りその洞窟でなんとか生活を始める。 しかし近くに誰かやってきたのがわかる。それは例の金物屋だった。その金物屋も夫婦ともに誰かに殺された。殺したのは前に襲ってきた若者3人組だった。 そのうちの2人がカレンを襲った。ハリーとリックは2人の家を襲って殺す。その家に閉じこめられていたマリリンという娘を救い出す。 やがて若者3人のうちのリーダーがマリリンを連れ戻そうとやってきた。 マリリンはそいつを殺したが、応戦でリックが足を撃たれた。 ラジオは終戦を告げている。治安を取り戻そうとしている町へ帰っていく一家。 Twitterで販売会社のフォワードが「今月の新作」と紹介していたのがこの映画。 終末戦争ものは大好きなジャンルだし、「性本能」って言葉がそそられる。 どうやら大蔵映画の配給だったので、大蔵貢らしい扇情的なタイトルなのだろう。「性本能」の部分は割り引いて期待しないにしても終末戦争ものファンとしては観たくなる。 父親が暴徒から家族を守って安全な土地へ行く、っていうのは「SF最後の脱出」にもあった内容だが、今回の主人公は「家族を守るためだから仕方ないんだ」とばかりに自分が暴徒と化している。 妻の母親は見捨てる(まあ確かに冷静に考えれば助かってないけど)、銃は略奪する(金は後で払うから貸しだ!って言うけど)。 ここまでは一応屁理屈で言い訳してるけど、幹線道路を渡ろうとしたとき(車が次々と通り過ぎ渡ることが出来ない)に道路にガソリンを撒いて火を放つ。急に車は止まれないのである車は火だるまになって運転手も火だるまに。でもハリーは平気な顔をして道を渡る。 目的地のキャンプ場についたら、途中の小川の橋を自分たちが渡ったら壊してしまい、誰かが入れないようにする。 いや〜実にワイルドである。 こういう映画、最後はどう決着させるかだ。 あと5分ぐらいのところで息子が撃たれる。 さあどうなる?と思っていたら、近くの町に行って医者を見つけて応急手当をしてもらい、さらに大きな町へ輸血を求めて向かう。 途中軍隊に出会ってすぐ近くに臨時病院があると聞く。 ハリーたちを見送った兵隊は「健康な人が5人増えたな」という。 国家再建のために一人でも健康な人間が必要だ、という訳なんだろうけど、病院に向かう車のカットで終わり。 因果応報でハリーが殺されるわけでもなく、夢オチでもなく、しょぼい特撮もなく、レイプシーンとかエッチなシーンがあるわけでもなく、毒にも薬にもならず、トホホでさえない(「原爆下のアメリカ」はトホホだった)無味乾燥な映画だった。 トホホを期待したのだが、それさえなくがっかりだった。 10番街の殺人日時 2021年12月19日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 リチャード・フライシャー 製作 1971年(昭和46年) 1944年、ロンドンのリリントンプレイス10番地のアパートで住人のジョン・クリスティ(リチャード・アッテンボロー)は女性を殺害し、アパートの庭に埋めた。 1947年、ティム・エヴァンスとベリル・エヴァンスの若い夫婦がクリスティの上の部屋に引っ越した。クリスティは昔からの住人のため、新参者の夫婦にあれこれと口を出す。 ティムとベリルにはまだ赤ん坊の娘がいたが、次の子供をベリルは妊娠していた。しかし経済的な理由から子供を産むことはできない。そのことで喧嘩が絶えなかった。クリスティは「私は医学の知識があるからなんとかしてあげるよ」とベリルに声をかける。 お金がなく堕胎は違法行為なのでおおっぴらには出来ない。ベリルはクリスティに処置を頼んだが、殺人が目的だった。 その晩帰ってティムはクリスティに妻は死んだと教えられる。警察への届けをいうティムだったが、「逆に君が殺したと思われる」といい、逃亡を勧める。子供はクリスティが知り合いに預けるという。 言われるままにしたティムだったが、子供が心配で結局警察に自首した。 しかし最初はクリスティの名前を出さずに「帰ったら妻が死んでいた。気が動転してマンホールを開けて遺体を捨てた」と供述。 しかし遺体はなかったため、かえって心証を悪くした。 裁判が始まり、窃盗や詐欺の前科はあるものの、第一次大戦では軍隊で活躍したクリスティの功績が評価されたが、クリスティは無関係、ティムは有罪で死刑、と決まった。刑は執行された。 数年後、クリスティは言葉巧みに女性を誘いこみ殺していった。 クリスティはアパートの隙間に隠し、それに壁紙を張って隠したがやがて次の住民が発見した。 クリスティは逮捕された。 話は全部書いた。 新橋のTCC試写室で3週間にわたりリチャード・フライシャー特集の自主上映が組まれ(どういうところが企画したかよく知らない)、その中にあったのが、これ。 観ていて気分が悪くなるような映画だった。映画と言うよりクリスティなのだが。 殺人の動機は普通は金とか女とか復讐と相場は決まっているが、この事件はどれも該当しない。 なんのために殺人をしてるのかさっぱり解らない。 それを演じるリチャード・アッテンボローが実に怖い。 「素人に堕胎を依頼するなんてどうかしてる」と思ったが、終戦直後で軍隊経験のある人が「俺は戦争中に衛生兵で傷の手当てぐらい朝飯前だ」みたいな人がそこら中にいた時代だ。 ティムは文盲だし、妻も教育程度はあまり高くないことは想像されるから、クリスティを「世話好きなおじさん」と思ってしまったのだろう。 それに違法行為だし金もなかったし。 ベリルを殺したらティムに気づかれるし計画性がないなあという気がするのだが、そもそもクリスティのような男を理屈で解ろうとしても無理なのだろう。 映画ではメインに扱われるティムの事件だが、終わった後はクリスティは妻も殺し(この妻が夫の殺人を知っていたにも関わらず黙っている)、「頭痛でお困りなら私がいい薬をあげよう」とか言って次々と女性たちを殺していく。 なにが目的かさっぱり解らない。 ネット情報では「死姦が目的」という記事も読んだが、とにかく理解不能である。 ラストでは指名手配されていたクリスティを警邏中の警官が職質をして逮捕。 ティムは冤罪が晴れ、一般の墓地に埋葬されたそうな。 それにしても不快感だけが残るような映画だったなあ。 映画に登場するアパートは実際の事件の現場だとか。実録犯罪ものとしてはとにかく一級品です。 でもなんで「10番街の殺人」なのだろう?ベンチャーズとは全く関係なし、映画の舞台も10番街ではない。 安易に乗っかったか。 軍艦少年日時 2021年12月18日12:35〜 場所 ヒューマントラストシネマ・スクリーン3 監督 Yuki Saito 長崎県の通称軍艦島の見える海辺でラーメン店を営む玄海(加藤雅也)と高校生の海星(佐藤寛太)。玄海は軍艦島の生まれだったが、幼なじみの小百合と結婚していたが、病気で亡くなった。 その日から店を閉め、酒浸りの日々。やくざっぽい不動産屋がこの土地を買おうと毎日来ている。 海星も喧嘩に明け暮れる日々。海星は絵がうまく、美術部だったが今はそこにも顔を出してない。それを心配する結。結は気が強いところがあったが、そんな結を海星の親友・純(濱田龍臣)は好きだった。 学校の不良、小西は海星の名前を語って地元の高校生からかつ上げをしていた。 そのことがきっかけで小西や同じくチンピラの小西の兄やそのダチと喧嘩になる。やがては結を襲うようになる小西たち。 今までは小西のいいなりになっていた純だったが、海星とともに小西たちとタイマンを張る。 玄海も同じく友人の巌(赤井英和)によって酒浸りの日々から脱するのだった。 話はかなり省略したけど最後まで書いた。 濱田龍臣目当てで観たのだが、正直私にはあわない。 まず酒浸りのダメ人間の玄海が好きになれない。私はダメ人間が好きになれないのです。 前にも書いたけど結果が出せないのは仕方ない。でもねえ、単に酒飲んでるだけの人間は好きになれないですね。だいたい店も開けなくてどうやって酒買う金があるんだよ。 そして小西たちのグループがもう犯罪者レベルである。 女子高生強姦しようとするとかもう警察のレベルでしょう。喧嘩でどうこうという段階じゃない。 「俺があいつを守る!」的な発想で相手を喧嘩で倒すのがヤンキー漫画のカタルシスなんでしょうけど、バカとバカの対決で巻き込まれる結がひたすらかわいそう。 赤井英和も警官なんだからあいつ等逮捕しろよ! 目当ては濱田くんなんだけど、彼目当てだけで観るにはちょっとつらかった。映画の出来は悪くないんだろうけど、完全に私の観たい映画ではない。もう私の方が企画者の望む観客ではないのだから仕方ない。 こればっかりは最初から求めてるものが違うのでどうしようもないなあ。 佐藤寛太は劇団EXILEのメンバーだそうだが、悪くはない。 願わくば濱田龍臣くんの主演映画が観たい。「ウルトラマンジード」以降、もう一ついい仕事がない感じなので。 軍艦島のロケはよかったが、話は軍艦島でなくても成立する。画にはなるけどね。 世界で一番美しい少年日時 2021年12月18日9:45〜 場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・スクリーン1 監督 クリスティーナ・リンドストロム クリスティアン・ペトリ 言わずとしれたヴィスコンティの名作「ベニスに死す」に登場したタジオ少年を演じたビョルン・アンドレセンのその渦中とその後を描くドキュメンタリー。 本人は登場せず周りの人間へのインタビューや資料で構成する形式かと思ったらさにあらず。本人が堂々と登場する。 一時期は死亡説なども出たビョルンだが、一昨年「ミッドサマー」に白髪の老人として登場。彼がビョルンとは知らずに観た人も多かったろう。 私は確か事前に知っていたので面長の顔に面影を残している感じがしたが、80ぐらいの老人に感じた。 実際は1955年生まれなので、「ミッドサマー」撮影時にはまだ60代前半だったわけである。 映画はアパートで「ガスコンロをつけっぱなしにして眠る、外出する」と苦情を言われ大家から追い出しをかけられているところから始まる。 彼の「恋人」と称する女性が登場し、部屋を片づけ掃除する。 布団も枕はぼろぼろ、何か虫の死骸や糞がある、と言われている。 はっきり言って廃人レベルである。 日本でいうなら生活困窮者レベルである。 ミュージシャンとして活動しているなどと伝わっていたが、あれを観ると「自称」でしかなさそうだ。事実、映画にも彼が観客の前で演奏するようなシーンは出てこない。 ただの自称ミュージシャンのホームレス寸前の男だよ。 話は「ベニスに死す」のオーディションになる。 「タジオのイメージにあう少年を世界中で探していたビスコンティがたまたま空港で見かけた少年にオファーした」という話を聞いたことがあったが(何で読んだか全く記憶にない)。ちゃんとオーディションに参加している。 「ちょっと背が高いか」と少し難色を示したビスコンティだが、大いに気に入ったそうだ。 カメラマンにも「正面からではなく、斜めからのアングルでの写真を撮って」と言ってるし、やはりたたずんでいる横顔が魅力的だ。 笑うこともあるが、笑うとあの神秘さがなくなってしまう。 さらに「ちょっと上を脱いで」と言われ戸惑うビョルン。 そりゃそうだよ。映画には裸のシーンなんて必要ないから、これはもうゲイであるビスコンティの趣味と判断する。 その後、下着なのかホットパンツ状の上半身裸に足を出したカットも出てくる。映画撮影中とかビスコンティの夜のお相手をさせられたりしなかったんだろうか? 「ベニスに死す」を観ればわかるけど、ビョルンはこの映画ではあまり演技らしいことをしてない。この映画中でも言っていたけど「歩いて、立ち止まって、振り向いて、微笑んで」みたいなことしいかしていない。 正直たたずんでいるだだけで存在感がある希有な逸材である。 しかし逆に言えばそれだけである。 この後、日本で公開された映画には出ていない。そのあたり、外国では「顔がいいだけ」と判断されていたのかも知れない。 そして特に日本で人気があったんだそうだ。日本で活動したのは1971年〜72年の間だったそうだから、私の記憶にはまだない。その数年後のマーク・レスターブームは覚えている。 このころは外国人美少年をつれてきてスターにする、というのがあったんだなあ。 しかし歌まで出していたのは知らなかった。しかも日本語で! この歌がこの映画のエンディングに流れるが、まあ素人である。そんな外国人少年に日本語で歌わせてうまい訳ないだろう。しかももともと歌手ではないし。 そして今の日本(コロナ前)の日本にやってきて当時のプロデューサーや酒井音楽プロデューサーと再会している。池田理代子も登場し、「ベルばら」の主人公はビョルンがモデルだとあかしている。 今のBLブームにもつながる存在だ。 今の日本でゴールデン街に飲みに行き、かつての自分の歌を歌っている(もうしどろもどろだったけど)。 しかしその後、「恋人」とは分かれたようだ。(この映画は数年間に渡って撮影されたものだそうだ) しかも「あんたなんかブタよブタ!」と彼女に罵倒されて別れを告げられるシーンも登場する。 普通そういうの撮らせるかあ? このあたりから私は現在のビョルンに対し懐疑的になる。 実際どうだったかわからないけど、生活困窮者っぽいし、「金になるなら」という理由で映画に出たんじゃないだろうか? ドキュメンタリーを撮らせる代わりにギャラもらったんじゃないかなあ? そんな気がする。違ったら失礼だけど。 そして彼の生い立ちの話。ビョルンは1月生まれだが、同じ年の12月に異父妹が誕生している。 彼の父親は不明。母はビョルンが10歳の時に失踪し、その後遺体で発見。 かなり奔放な母親だ。祖母に育てられ、14歳の時にビスコンティに見いだされる訳だ。 そういう両親不在のため、守ってくれる大人がいなかったためよけいに10代の時に周りの大人にいいようにされたみたい。 ゲイバーにも連れて行かれたらしく、もう金持ちのゲイの「歩くアクセサリー」状態の時期もあったそうだ。 映画の話があってプロデューサーのデュランのお金で1年間パリで過ごしたそうだ。このとき、お小遣いとして週500フランをもらっていただけだったという(たぶん邦貨で1万円くらい)。 その代わり食事代とか買い物は払ってもらっていたんだろう。 (そういえば先の恋人との別れ話で「あなたは日本でも全くお金を払おうとせず、私に払わせた」と言ってたけど、この頃に金を払ってもらう癖がついたか) 結局映画は流れた。どこまで進んでいたかわからない。 その後結婚(相手の女性については説明がない)。娘が出来二人目は男の子だったが、赤ん坊の時に急死したそうだ。 そういった不幸が次々と襲ったそうだ。 でも私の感想としては「特に技能があるわけでないのに顔がいいだけで超売れっ子になってしまい、その後は生活能力のないダメ人間」にしか見えなかった。 この映画に登場するビョルンは60代半ばなのだが、肌艶も悪く髪も白とグレーの混じった長髪でどちらかというと不潔というかみすぼらしい。 恋人にも見捨てられるし(そもそもどうしてつきあったのか不明だが)、ホームレス寸前のダメ男が「金になるから」という理由で出たドキュメンタリーにしか見えない。 しかもラストシーンは海岸にたたずむビョルン。 それとカットバックで「ベニスに死す」の夕陽をバックにしたタジオ少年のカットが出て来る。 いやもうやりすぎでしょう。 そう言えば映画が始まる前のCMで渋谷にある「にしたん美容クリニック」が流れた。郷ひろみが歌って踊っている。 ふと気がついて調べてみたら、郷ひろみとビョルンは同じ年。 かたやホームレス寸前、かたや今でもエネルギッシュで若々しく現役。 ビョルンの不運な運命も彼の責任だけではないけど、郷ひろみの活躍を観るとやはり何か複雑なものを感じざるを得ない。 正直、ビョルン・アンデレセンという男は好きにはなれなかった。 ザ・娼年倶楽部2 オンナたちを悦ばせる性戯の秘訣日時 2021年12月13日 場所 東映チャンネル録画 監督 貝原クリス亮 希美(架乃ゆら)はアキラと同棲中だが、たびたびアキラの用事で仕事を早退するので店長(麻木貴仁)からクビにされた。 そんな希美を心配する真由美先生(しじみ)。高校は中退した希美だが、高校の先生だった真由美先生はたびたび助けてくれた。しかし希美は真由美先生はちょっと疎ましく思っていた。 ある日新婚の先生の家に招待され、仕事も紹介されワインを飲んだ。酔っぱらった希美は先生の家に泊まったが、実はスマホで先生たち夫婦のセックスを見るのが目的だった。翌朝、スマホを見たら先生は夫のセックスの最中にあくびをしていた。 アキラは金に困って昔の友人のマサトに連絡を取った。マサトは今は竿師をしていて羽振りもいい。「俺にも紹介してくれ」と言われた渋々アキラを倶楽部のオーナー・ベニカに紹介する。 しかし女を物としか見ないアキラにベニカは呆れたが、一応やらせてみた。一方的なセックスにあきれ果てアキラを怒鳴りつけるベニカ。 腹いせに希美にベニカの店に電話させ、マサトを呼び出す。そしてホテルに入ったところでマサトを襲うアキラ。 しかしベニカは伝説の竿師トドロキ(森羅万象)に頼み裏社会の力を借りてアキラと希美を拉致した。 アキラは山奥の建設現場へ、希美は倶楽部の男たちのリハビリ施設に送り込まれる。 希美はアキラの世話や、交通事故で両手を怪我したS(山本宗介)、そして中年男のシュウヘイの世話をする。シュウヘイは特に怪我をしてる様子もないのだが、聞いた見たら勃起不全になったそうだ。3人の男たちの世話をするうちに、優しさを持って接してくれる彼らに心を開く希美。 リハビリのためでもあったが、希美が彼らに心開いていった。 タコ部屋に入っていたアキラだったが、脱走し、希美の元へ。だが希美はアキラの元へ帰る気はなかった。 アキラは真由美先生の希美の今していることをぶちまけた。 翌朝、ベニカがやってきた。3人とも元気になったので解放するという。自宅に帰った希美だが、真由美先生がやってきた。「ふしだらなことはやめなさい」。しかし真由美ためにトドロキに来てもらい、セックスの喜びを教えてあげた。夫も自分のセックスを反省し、お互いを思いやるセックスが出来るようになった。 希美はベニカの元で自分も手伝いたいと申し出た。 GWに観た「ザ・娼年倶楽部」の続編。 今日観る気はなかったが、録画の確認のために少し見始めたら、結局最後まで観た。別に面白かったわけではない。 話の本題は希美がリハビリのために施設に入ってからだが、ここまでで30分使っている。75分の映画(というかエロVシネ)なんだが。 前半アキラという「いくら何でもこんなアホはいないだろ?」というぐらいのバカでDV男が登場。こんな男は早く何とかしろ、と思いながら観ていたのでタコ部屋に入ってほっとした。しかし結局脱走。山奥だが歩いて逃げ出す。 最後は「警察に喧嘩で捕まった」という報告があるだけ。ここは事故にあって死ぬとかちゃんとオトシマエをつけてほしかったな。こういうバカはラストに死ななきゃカタルシスがありません。 パート1のあらすじと改めて観ると今回は前日談になるようだ。 そう考えると主役の希美が同じ役者で「1」ではベニカの秘書的な役割そしていたのも納得だ。 でも「娼年倶楽部」って言うくらいだから、やはり主人公は男でないと。 また真由美先生がしじみが演じていて、そんなに悪い先生には見えない。物語の流れとしては「いやみな押しつけがましい先生」であるならわかるんだけどねえ。そんな感じがしなかったので、真由美先生を悪く見る希美がなんとなく共感しない。 だいたいアキラみたいなDV男と同棲しちゃだめでしょう。 でもせりふで「アキラぐらいしか私といてくれない」って言ってたよな。 「3」もあるのでここまで見たら最後までつきあうか。 綺麗に咲いた日時 2021年12月12日11:05〜、13:15〜 場所 光音座1 監督 かわさきひろゆき 製作 ENK 明治10年、西南の役で西郷隆盛が死んだ。その遺体をむなしく見つめる男、中村半次郎。 10年前、ただの暴れん坊だった半次郎を拾い上げたのが西郷隆盛。半k次郎は西郷を一目見てその人間の大きさに惚れ、彼に命を捧げると誓ったのだ。 その半次郎が今京都でなそうとしているのは「ある男」の暗殺だった。その男には半次郎は以前桜の木の下で会っていた。その男も以前西郷さんに会ったときのような大きさを感じたが、今はその男を討つ立場である。 しかし最初は失敗。半次郎のほかジョウタロウ、キタロウ、セイシンの4人で事に当たっている。リーダー格のキタロウはジョウタロウを愛でていた。 しかし次の寺田屋の襲撃も失敗。度重なる失敗に内通者を疑い出すセイシン。セイシンはキタロウが内通者ではないかと疑い出す。しかしそこへ謎の男(野村貴浩)が現れ、セイシンを斬った。 謎の男はジョウタロウも殺す。ジョウタロウはキタロウと関係があったが、実は半次郎が好きだったのだ。 半次郎は謎の男を殺し、ついに一人で近江屋に向かう。そこで目的のあの男、坂本龍馬(岡田智宏)がいた。半次郎は龍馬を暗殺。 10年後、西南の役に破れ、西郷隆盛の遺体を見ながら自らも命を落とした。 11時5分の初回から見るつもりが電車に乗り遅れ、結局入ったのが11時10分ぐらい。冒頭の西南の役のシーンは見逃し、最初の襲撃を失敗して戻ってきたところから見たのだが、物語にさっぱりついていけない。 冒頭で西郷隆盛とか西南の役とかの説明があるので、そこを見逃すと物語に入れないのだな。光音座は音が聞き取りづらいから、よけいにさっぱり解らない。 でも2回目に最初から観たらちゃんとついていけた次第。 坂本龍馬の薩摩藩暗殺説に乗っ取った幕末秘話だったのですね。西郷隆盛と坂本龍馬という二人の巨人に出会ったことにより、心を乱されるという。 「男がその男気に惚れる」というなかなかの良作である。 見終わって「龍馬暗殺」で検索すると、主人公の中村半次郎は実在の人物で、実際に犯行説が出た男なのですね。そういう歴史のバックボーンを知って見るとよけいに面白い。 野村貴浩の謎の男がよく解らなかったのですが、あれは薩摩に敵意を持つ長州の人のようですね。 またジョウタロウ少年が割と美少年(役者不明)楽しめた。 坂本龍馬暗殺についての予備知識があればきっともっと面白く感じたであろう、歴史秘話を題材にした意欲作。 割とよかったと思う。 同時上映は「愛棒ー激情版ーヒロとマモルの事件簿」 以前の封切りの時に見たときは酷評したが、見直したら「ダークサイドに落ちた相棒の警官ヒロをマモルが救い出す話」で割と面白かった。 妙に「こういう話に違いない」と期待値が高かったので、逆に評価が低くなってしまったのだろう。 フラットな状態で見たら、案外面白かった。 モスラ<4Kデジタルリマスター版>日時 2021年12月11日9:00〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン4 監督 本多猪四郎 製作 1960年(昭和35年) ストーリー省略。 午前十時の映画祭枠で上映。4Kデジタルリマスターである。公開当時、ほんの一部の劇場だけで映画が始まる前に1分ほどの序曲がついていたそうだが、今回はその「序曲」付き。 それなりに心は動かされるが、映画本来の感想が変わるほどではないと思う。 今回、「ああきれいになったなあ」と思ったのはネルソンが小美人の興行を始め、その抗議の為にフランキー堺、小泉博、香川京子が楽屋を訪ね小美人と再会するシーン。 ここが小美人の合成のマスクのちらつきがどうにも気になっていたが、(ブルーレイとかDVDとかとは比較してないが)ここの合成の線がほぼなくなっていた。 これはうれしかったなあ。 中野昭慶監督から聞いた話だが、このカット、何度もやり直したそうでそれでも間に合わず、公開日の朝は不完全な状態で上映したそうです。 そしてさらにやり直したプリントを中野監督が渋谷東宝まで運んで劇場で差し替えて2回目の上映を行ったとか。 そのくらい難しいカットだったんだろうなあ。 あとは小泉さんから直接聞いた話だが、当初本多監督は中條博士のキャラクターを最初に登場した時のように「髭面の無精男」と考えていたらしい。 あの写真を撮る撮らないのシーンがあの映画の初日だったそうだが、実際にやらせてみて「やっぱりよくないな」と思って次の撮影からは普段の小泉さんのキャラクター通り清潔感のあるキャラクターになったんだそうだ。 でもその髭面キャラの小泉さんもちょっと観たかったですね。 そんないろいろな思い出が頭に浮かびながらの鑑賞でした。 リマスターのスタッフのみなさん、ありがとうございました! 北海ハイジャック日時 2021年12月5日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 アンドリュー・V・マクラグレン 製作 昭和55年(1980年) フォルクス(ロジャー・ムーア)は私設で潜水部隊によるテロ対策チームを作り、日夜訓練を重ねていた。 そんな時、ノルウエーを出航したイギリスのエスター号が新聞記者を装って乗り込んだテロリストによって乗っ取られた。エスター号は海上石油基地のルースとジェニファーへの補給船。テロリストのリーダー(アンソニー・ホプキンス)はクレマーと名乗り、2500万ポンドを要求した。 イギリス政府は海軍では対応出来ないとあきらめ、フォルクスたちに対応を依頼した。 海軍のブリンスデン将軍とフォルクス、ジェニファーのキング(デヴィッド・ヘディソン)は交渉のためエスター号に乗り込んだが、「お前の顔が気に入らない」とクレマーに追い返された。 計画が狂ったフォルクス。しかし自分の部下たちはまもなくエスター号に乗り込んでくる。フォルクスも潜水服を着て海からエスター号に乗り込むんだ。 まあ何となく前からみようと思っていたがそのままになっていたこの映画。何となくアクション映画を見たくて鑑賞。 一言でいえば期待はずれ、かな。同じシージャックものなら「東京湾炎上」の方が数段上である。 船の乗組員も医務室にある毒薬を取りに行ってそれを食事に混ぜて相手を倒そうとするが直前になって気付かれるってなんだか芸が少ない。 私が書いたらあの程度なのかも知れないけど、もう一ひねり欲しいよなあ。 その薬を手に入れた女性が海に逃げたと見せかけて救命ボートに隠れていたのはよかったけど。 そしてフォルクスが仕方なく自分も潜水服でエスター号に進入するんだが、その時に赤い潜水服を着ていく。フォルクスの部下がその赤い奴を見て敵と勘違いし、襲いかかるとかちょっと間抜け。 最後にクレマーに銛を打ち込んだ後、クレマーが最後の力を振り絞って爆弾のスイッチを押そうとするとか、フォルクスも詰めが甘い。 クレマーを銛で倒してすぐに爆弾のスイッチを無効化しなきゃあ。 ロジャー・ムーアって007以外では大した映画には出ていない感じがある。「ゴールド」とかさ。見てないけど。 あとシービュー号の艦長役のデヴィッド・ヘディソンの出演がうれしい。 また出てくる時計はSEIKO、テロリストにタナカ・エイジとヤマモト・サブロウという日本人が二人もいる。 ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われ日米貿易摩擦も始まった時代で日本も勢いがあったな、と思わせてしまった。 やっぱり「東京湾炎上」は完璧とは言わないですが、面白いですよ。 白昼の無頼漢日時 2021年12月4日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 深作欣二 製作 昭和36年(1961年) 東京郊外のある別荘に4人の男女が集められた。婦女暴行を繰り返した黒人兵トム、韓国と北朝鮮のWスパイの金山(春日俊二)、米軍基地から十を日本のやくざに横流ししたジョン(ダニー・ユマ)とその妻アン。 集めたのは宮原(丹波哲郎)だ。宮原には亜紀(久保菜穂子)という女とその弟三郎(曽根晴美)がついている。 宮原は大手町の本店から米軍基地に運ばれる現金輸送車の金、50万ドルを奪おうと計画していた。トム、ジョン、金山たちは断ることができない状況だった。 ジョンは黒人のトムをいやがり、トムもアンに色目を使い、トラブルの元になると判断した宮原と三郎は女を紹介するバーから混血娘の花子(中原ひとみ)をつれてきてトムにあてがった。 犯行予定日、雨が降って決行を中止する宮原。しかしそれは宮原に妙なあせりを生んだ。 地元のやくざ、芝山の義弟がトムに殺されており、宮原が何か計画をしていると知った芝山は宮原たちに目を付けた。 犯行当日、現金輸送車の警備員との銃撃戦の最中、トムが姿を消した。 打ち合わせ通り、亜紀と花子が金を持って現場を離れた。しかし亜紀たちは別荘には戻らなかった。持ち逃げしたのだ。花子の故郷の米軍基地の演習上跡地に逃げ込んでいた。宮原たちもそれを追ったが。 ラピュタ阿佐ヶ谷のモーニングで基地に関係する映画特集を行っており、その1本として上映されていた。今お金を少しでも節約したい事情があり、DVDレンタルで鑑賞した次第。 登場する米軍基地はおそらく福生の横田基地だろう。 黒人、韓国人、アメリカ人夫妻や米軍の黒人兵士とパンパンの間に生まれた混血児などが登場し、無国籍アクションな展開。 後の「キイハンター」の原点はここらあたりにあったと言ってもいいかもしれない。 しかし丹波哲郎が現金奪取後、亜紀に金を取られるのが納得いかない。それぐらい丹波(宮原)も読めなかったのか? 最後は全員死んで、という展開がやりたかったのはわかるけど(花子だけが生き残る)、丹波さんがしてやられるのもなあ。 出演では金山役の春日俊二(春日章良)と久保菜穂子、そして宮原が当座の金を借りにいく大物役に柳永二郎とマイティジャック関連の出演者がいるのが楽しい。 ダニー・ユマは「宇宙大怪獣ドゴラ」に出演のダン・ユマと同一人物。 中原ひとみは美少女だが、混血児として迫害される娘役。「白い粉の恐怖」では麻薬中毒患者だったが、東宝とか松竹にいたならお嬢さん役で出ていたろうに東映だったばかりに汚れ役が多い印象。 もったいない気がする。 |