2022年9月

    オーソン・ウェルズ IN ストレンジャー
僕らの方程式 イリヤ・ムーロメッツ
(「豪勇イリヤ 巨竜と魔王征服」)
真夜中のパーティー 麒麟の翼〜劇場版・新参者〜
真夏の方程式 容疑者Xの献身 シャレード さかなのこ
あばずれ 息をするように
地平線がぎらぎらっ イルカの日 ミカドロイド スパイキャッチャーJ3 SOS危機一発
呪いの血 NOPE/ノープ 神田川のふたり ブレット・トレイン
ある色魔の告白 色欲の果て 喪服妻暴行 お通夜の晩に 禁断スワップ 丸出し夫婦 この子は邪悪

オーソン・ウェルズ IN ストレンジャー


日時 2022年9月25日
場所 DVD
監督 オーソン・ウェルズ
製作 1946年(昭和21年)日本劇場未公開


戦犯委員会のウィルソンはナチの逃亡者を暴くためにナチ戦犯のマイネケを釈放し、目的の人物と会うまで尾行することにする。
ウィルソンの見込み通り、マイネケはかつての上司のフランツ(オーソン・ウェルズ)がアメリカのコネチカット州のハーパーという町にいると知りそこへ向かう。
しかしマイネケは姿をくらましてしまう。
フランツは古時計が趣味で詳しい。この町にも壊れた教会の時計台があり、チャールズ・ランキンという男が修理しようとしていると知る。
ウィルソンは過去1年にハーパーにやってきた人間をピックアップ。その中にチャールズ・ランキンはいる。しかもマイネケは最後にランキンの勤める高校に入っていった。
ランキンとその家族と話して一旦は疑うのをやめたウィルソンだが、彼が会話の中で「マルクスはユダヤ」と言っていたのを思い出す。マルクスをユダヤというのはナチだけだ。
ランキンは最近判事の娘、メアリと結婚していた。ウィルソンはメアリの弟のノアに協力を願い出る。


コスミック出版の廉価版DVDセット「ミステリー・サスペンスコレクション」の1本。テレビ放送はされたことがあるようだが、劇場は未公開。
DVDではタイトルに「オーソン・ウェルズ」が着く。

1946年の映画だから、ナチだドイツだ強制収容所なんて昨年の話である。劇中、ランキンと結婚し、信じ切っているメアリを目覚めさせるためにナチのユダヤ人強制収容所の記録映像を見せる。
我々は当然として知ってるが、当時の人には強烈だったろう。
この映画自体、「ナチの残党を見つけだすのにご協力を!」という政治的プロパガンダがあったのかも知れない。

ランキンはマイネケが自分に会いに来たことを知っている人物。ランキンとしては生かしておけない。ウィルソンもそれを察しているので、家政婦に「絶対にいつも行き先を聞き出すように」と指示し、彼女も協力。
メアリが黙って出かけようとするので、心臓発作を起こした振り(たぶん)をして引き留めるところはもう少しユーモアを交えてもよかったのではないか?もっと面白くなった気がする。

最後の最後ではウィルソンがついにランキンを時計台に追いつめる。
ラストは時計台の鐘が響く中対決かなと思っていたら期待通りの展開で実によい。
時計台の外に逃げ、壊れた時計台の周りを回る機械仕掛けの人形に刺されるあたりは「王道!」の展開でいい。

しかし中盤で「悪い奴のやったことの証拠を見せて、心変わりをさせようとする」というあたりは「第三の男」にも通じる。
こっちの方が先だから、多少は影響を与えているんでしょうね、きっと。





僕らの方程式


日時 2022年9月25日
場所 DVD
監督 内田英治
製作 平成20年(2008年)


下倉(中村優一)、加藤トミオ(相葉弘樹)、長谷川ユウキ(兼子舜)の3人は鉄道研究会。今、鉄道のジオラマ作りに夢中で大会に出品するために明日までに完成させなければならない。しかし吉川(桐山漣)や横松(三浦涼介)からは「キモイオタク」とバカにされている。
下倉はあこがれの女生徒、椿(中別府葵)に勇気をもって告白の手紙を出す。そして放課後に落ち合った。
その頃、椿の家では「娘を誘拐した。3千万円用意しろ」との新聞の切り抜き文字を使った手紙が入っていた。
ただちの警察が動き出す。日出原警部(柳沢慎吾)を中心としたメンバーが椿の家に張り込む。犯人から電話があった。紙袋に3千万円入れて外にある携帯電話を持てという指示。メールで駅前の喫茶店で別の紙袋を渡される。そして紙袋に入っていた服に着替えろという。
しかし公衆の面前で着替えたために警官の林(渋川清彦)に職質される。
それを振り切って椿の学校へ向かったが。


イケメン枠の俳優のイメージDVDを格安で集めていた時があり(今は単なる無駄使いなので止めた)、その流れで購入したDVD。中村優一主演。

誘拐事件が一人の警察官の勘違いから大騒ぎになってしまう、というコメディなのだが、どうも笑えない。
作った人は練りに練った積もりなんだろうけど。
たぶん、面白く感じる人もいるのだろうけど。

まず柳沢慎吾が刑事役で出てきてしらける。
正直、私は彼があまり好きではないのだ。お笑いタレントなので、ここで刑事役で出てきても「はい、ここで笑ってくださいね」と言われてるような強制されてる気がしてしまう。

そしてこの警官がバカなのである。周りに張り込みの刑事がいるのだから、なんとかならんのか?無線を使うとか。まあ無線は後半尾行して「相手に聞かれるとまずい」という理由で切ってるけど。
またこの警官がアホで学校のトイレに行ってそこで忘れてきてしまう。

あらすじには書き忘れたけど、地元のライブハウスに出演予定の2人組ユニットの一人がいなくなると言う事件発生。残った方は今は教師をしている友人に臨時に代役を頼み、夜の学校で練習中で不良たちは追試の試験問題を盗もうとして学校に進入、そして全員がそろって、どう言うわけか高校生が犯人にされてしまう。
事実はミュージシャンと女子高生が組んだ狂言なんだけど。

結局、どこか私をイライラさせる展開でどうにもこうにも楽しめない。
中村優一も顔はいいけど、どうにも華がない。ヒロインも全く魅力なし。
どこかボタンの掛け違った映画な気がした。




イリヤ・ムーロメッツ(「豪勇イリヤ 巨竜と魔王征服」)


日時 2022年9月25日
場所 米国版DVD
監督 アレクサンドル・プトシコ
製作 1956年(昭和31年)(日本公開昭和32年)


イリヤは立派な体を持つが、手足が動かなかった。そこへカリン王の軍隊がイリヤの村にやってきて恋人のワシリーサを連れ去った。
略奪が終わった頃、巡礼の旅人がやってきて、いただいた水のお礼にとイリヤに薬を飲ませる。するとイリヤは体が動くようになり、キエフの王、ウラジーミルの元へに向かう。
途中、旅人を困らせる怪物ソロベイを倒し、そのことでウラジーミルに認められる。そしてカリン王の砦にいたワシリーサを助けることができた。
ウラジーミルはイリヤに他国への貿易の旅を命じる。しかしその船団はカリン王の襲撃に合い全滅。それをイリヤの失敗と思ったウラジーミルはイリヤを幽閉する。
ウラジーミルの側近にカリン王に通じるものがいたのだ。そしてその側近によってイリヤは食べ物も与えられない。
ワシリーサは子供を生んでいたが、再びカリン王の部下に捕らえられる。
8年が経ち、息子も10歳の少年だが、武道では誰にも負けなかった。
カリン王は再びキエフ侵略を計画。ウラジーミルはイリヤを再び戦列に加えようとする。裏切り者の側近は「イリヤは死んでいるのでは?」と言ったが、彼は生きていた。それはワシリーサが作った魔法のスカーフのおかげで、そのスカーフに描かれたリンゴの木が実体化して食べ物を彼に与えていたのだった。
いよいよキエフとカリン王の決戦が始まる!


「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の公開で、キングギドラに再び注目が集まった頃、「キングギドラの元ネタの映画はこれだ」とツイッター(だったと思う)で紹介されていたのがこれ。
米国でDVDになっていてリージョンフリーで日本語字幕付きが発売されていたので、アメリカアマゾンから取り寄せたのだが、何となくそのままになっていたDVD。やっと観賞。

1956年で、カラー、シネスコ。
冒頭、巡礼の旅人たちが、山の神様から「わしはもう年だ。誰か勇者にこの刀を与えてくれ」言われるところから始まる。この神様が巨大で身長20mぐらい。しかも馬に乗っていてその馬もでかい。
神様はやがて岩になってしまうというファンタジックなシーンから始まる。

それである村に場面は移るのだが、美しい娘ワシリーサが歌を歌う。
そして隣の家の窓からおっさんが見える。
このおっさんに見えたのが、今回の主人公イリヤなのだ。
もっとすらっとしたイケメンじゃないの?でっぷりとしたおっさんじゃん。

そしてキエフに向かうのだが、途中で子泣き爺みたいな容姿の怪物と遭遇。このソロベイは口笛を吹くと突風となりあらゆるものを吹き飛ばしてしまう。この時にこのソロベイの頬がぷくーと膨らむ。
この特殊メイク(当時はそんな言葉もなかったろうが)がなかなかの出来だった。

そしてイリヤは幽閉され、その間に息子は大きくなる。せりふでは「まだ10歳だが20歳と同じくらいの腕前だ」と誉められる位に成長。
これがすらっとしたイケメンで、アメリカ映画なら、こっちが最初からイリヤだろう。

カリン王はいよいよキエフに侵攻。そしてウラジーミルに「貢ぎ物として金銀を持ってこい」と言わせる。イリヤは一計を案じ、持って行く隊列に金銀真珠をばらまくように指示する。
それで「すいません、道に落としてきたようです」といい、カリン王は自分の部下に探させる。しかし部下たちは「なかったです」と嘘の報告。
ここでイリヤがその家来の一人をひっくり返し、金銀を懐から出させてしまう。実際に一人の男(小柄とはいえ)ひっくり返すのだから、このイリヤを演じた俳優もなかなかの怪力?それとも仕掛けがあったの?

でついに「キエフに突撃!」となっていきなり三つ首竜登場!
ここはねえ、事前に「何か怪物を飼っている」と振りがなきゃ。
「海底軍艦」だって事前にマンダは示していたでしょ。
この竜が登場するのはもう映画が終わる10分前くらい。

たしかに空を飛ぶ姿などはよく似ている。でも作った東宝の人たちからそういう話が出たことがないなあ。
空を飛ぶシーンと地上に降りて火を噴くシーンもある。ここの火を吹くシーンでは原寸大の竜も作られていて、実際に火も噴く。なかなかワイルドな撮影だ。

後はとにかく人海戦術でエキストラの兵士が多い。カリン王が「高台に上って見たい」と言えば人々が人間ピラミッドを作る。
もちろん全部人間ではなく、小山に人間が張り付いているんだろうけど、それにしても数百人はいるのではないか?
あとカリン王は奴隷10人ぐらいを4つんばいにさせてその上に板を敷いていつも座っている。意味ないけどとにかく残忍性を描いている。

そんなカリン王も最後はイリヤに命乞いをする卑怯な奴だけどね。

ソ連映画なんてあんまりみないので、それは勉強になりました。









真夜中のパーティー


日時 2022年9月24日
場所 blu-ray
監督 ウィリアム・フリードキン
製作 1970年(昭和45年)


マイケルはゲイの友人のハロルドの誕生パーティを自分のアパートで開催。集まってのは数学教師のハンク、彼の恋人で写真家のラリー、黒人のバーナード、そしてオネエ丸出しのエモリー。そしてマイケルの恋人のドナルドもやってくる。そのパーティの準備中に今はワシントンに住む大学時代の友人のアランから「今ニューヨークに来てるんだ。ちょっと会えないか」とマイケルに電話がかかってきた。「今日はパーティなので会えない」と断ったマイケルだが、アランが電話口で泣き出したので、「少しなら」と会うことにした。しかしアランは来ない。
みんなも揃いだしてパーティは始まる。しかしハロルドがなかなか来ない。逆にアランがやってきてしまった。
一応ストレートのアランにあわせて普通の会話をしようとするが、エモリーはどうしても出てしまう。
ホモ嫌いのアランはついにエモリーを殴ってしまう。まずい空気になったところへハロルドがやってきた。
マイケルも機嫌が悪くなり、「人生で一番愛した人に電話をするゲームをしよう」と言い出す。


ウィリアム・フリードキンが「フレンチコネクション」の成功の前に撮った作品。日本ではこの映画が最初に公開されたフリードキン映画だったらしい。

重い映画だなあ。
昨今のBLドラマ全盛と比べると隔世の感がある。とは言ってもゲイとなかなかオープンに出来ないことは変わらないけど、それにしてもこの時代に比べると少しは開かれてきたのではないか。

ラストを書いちゃうと後半マイケルがエキセントリックになっていくのは、「もともと自分がゲイである事実に耐えなれなくて精神的に不安定になっている」ということなのだ。

一番好きだった人に告白するゲームをする中で、それぞれの初恋、それも男性への初恋、つらかった初恋の思い出が語られる。
僕なんかこの場にいたら怒り出すだろうね、悪趣味だって。

黒人とユダヤがメンバーにいるのだが、この辺の差別とか境遇はちょっと私には解りづらい。
ラストでドナルドが「アランはなぜ泣いていたか言ったか?」「いや言ってない」というマイケルとの会話がある。
これは「ゲイじゃなくたってつらいときはあるんだよ」と言いたいのではと解釈した。

舞台劇の映画化なので正直せりふの応酬になっており、字幕を読むのだけで疲れる。もう1回観たら好きになれるかも知れない。
コメディリリーフとして登場した、ハロルドのためにエミリーが用意した売り専ボーイが面白かったかな。





麒麟の翼〜劇場版・新参者〜


日時 2022年9月23日
場所 NETFLIX
監督 土井裕康
製作 平成24年(2012年)


日本橋の麒麟の像の下で男が刺殺されて発見された。被害者は青柳武明(中井貴一)。大手金属工場の製造部長だ。近くで不審人物が発見され、警官が職質をかけたところ逃走し、交通事故にあい数日後、死亡した。
死亡した男は八島冬樹(三浦貴大)。彼は殺された青柳の工場で派遣社員として働いたことがあった。その工場で派遣切りにあっており、警視庁の刑事松宮(溝端淳平)が聞き込んだところ、彼は事故にあったが労災隠しで何の補償も得られなかったらしい。それを恨んでの犯行か?
しかし地元日本橋署の刑事の加賀(阿部寛)はそんな方針に納得がいかなかった。青柳の会社は新宿、自宅は練馬、家族に聞いても日本橋に何しにいったかがさっぱり解らない。
そこに事件を説くカギがあると加賀はにらみ聞き込みを続ける。すると青柳はここ数ヶ月水天宮をはじめとして折り鶴をお供えしていると解った。
果たして何のために。青柳の息子、悠人(松坂桃李)が何か知っているようだ。


山崎賢人で検察するとこの作品が引っかかる。2012年の映画だから私が意識する前の作品だ。いつか観ようと思っていて、今日は台風の影響もあって映画館にはいかない日なので「ガリレオ」シリーズに引き続いて鑑賞。原作は同じく東野圭吾。今日は一日東野圭吾特集だ。

TBSで「新参者」というテレビシリーズがあっての劇場版長編。だからテレビシリーズを観ていないとよくわからない部分もある。
加賀の父親(山崎努)との確執とか、街の商店街の演劇のポスターに向井理が出ていたりして「今度は主役でよかったね」という。よくわからない。たぶんテレビシリーズのつながりがあるのだろう。

山崎賢人は被害者の葬儀のシーンで初登場。松坂桃李の同級生役で登場。簡単な会話しかしないので「友達Aと言った役柄かな」と思っていると後半になって俄然重要度が増してくる。

「日本橋の橋の上というより正確に言うと麒麟の像にたどり着いて亡くなった」と聞いて息子の悠人は何かを感じる。ここで息子にあった何かが関係しくると分かる。
それは中学時代の突然水泳部を辞めた件、同じ頃にあった水泳部の後輩がプールで事故に遭った件が関係していた。
備忘録で書いているので真相を書くと水泳の大会で後輩の菅田将暉がフライングをして失格になった、それを先輩である松坂桃李や山崎賢人が「今から練習!」と称して事実上のいじめに近い特訓を行った、ところがそのときに菅田将暉が溺れる事故になってしまった、それを顧問教師の劇団ひとりは「おまえ等いなかったことにしろ!」と言われてごまかした、それで菅田将暉は一命をとりとめたものの、植物状態になってしまった。
その件を調べた中井貴一は、息子とはうまく行ってないから同級生の山崎賢人に話を聞いた、事故の真相がばれると困る山崎は中井貴一を殺した、という真相。

かなりこじつけだなあ。
山崎賢人と平日の夜の7時に日本橋で会うのだが、なんで日本橋で会ったのか?高校生と会うなら昼間の方がいいだろうし、日本橋なんてなんでそんなところで会ったのか?

そして麒麟の像が羽ばたく姿が、ここから日本の道はすべて始まるというわけですべての始まりという希望を比喩している訳なのだが。それは解るけど、ちょっと強引。

それより松坂桃李、山崎賢人、菅田将暉の3人が同時に共演したことがあったことが驚いた。
松坂と山崎は「今日、恋を始めます」で同級生役で共演はあったけど、3人まとめてとなると聞いたことがない。
なんかものすごく貴重な映画を観た気分。





真夏の方程式


日時 2022年9月23日
場所 NETFLIX
監督 西谷弘
製作 平成25年(2013年)


湯川学(福山雅治)は海底資源開発の住民説明会のアドバイザーとして、
波瑠ヶ浦にやってきた。電車の中で小学4年の恭平と出会う。
湯川が泊まった旅館は緑岩荘という旅館だったが、恭平は緑岩荘の主人川畑重治(前田吟)の甥にあたり、夏休みに遊びに来ていたのだ。
その緑岩荘に同じように泊まっていた塚原正次(塩見三省)が翌朝海岸で死体となって発見された。夜散歩にいった塚原が堤防から足を踏み外して死んだと思われたが、検視の結果、一酸化炭素中毒死と判明。
警視庁の多々良管理官(永島敏行)は塚原が元警視庁の刑事で、よく知っている人物だったため、他殺を疑い、刑事の岸谷美砂(吉高由里子)を派遣させる。
塚原は15年前に荻窪で起こった三宅伸子(西田尚美)殺害事件のことを調べていたらしい。しかもこの事件の犯人として逮捕された仙波(白竜)はこの波瑠ヶ浦の出身なのだ。


引き続き、ガリレオシリーズの「真夏の方程式」。映画としては5年振りだったのだ。今回も地味な事件である。「容疑者Xの献身」のアバンが派手な事件だったのだが。もっともテレビシリーズは原作者が「怪奇大作戦」の線を狙った短編シリーズだったそうだから、科学トリックはそっちにあるらしい。長編は人間ドラマに比重が置かれていくらしい。
確かに今回も科学トリックは出るには出るが、それほどのことではない。

塚原は三宅伸子の殺人事件が仙波が犯人ではなかったと考えて、刑期を終えた仙波を探していたのだ。そのことを推理した岸谷と湯川は終末医療のホスピスにいた仙波を探し出す。

この仙波との対面のシーン、明らかに「砂の器」を意識してるだろう。川畑重治の娘、成実(杏)が実は仙波の娘ではないかと湯川たちは疑っているのだが、成実の写真を見せて「こんな人は知らない」と言わせるなど、パロディ、もしくはオマージュ、もしくは模倣だろう。

結局、成実が仙波の娘である事実を塚原によって事件を蒸し返されたくない川畑重治が煙突を塞いでボイラーを不完全燃焼させ、塚原を殺したのだ。
足の悪い重治には煙突に上ることは出来ないので重治は恭平に「花火をしよう。どこかに火の粉が入るといけないから窓など塞ごう」と言って煙突を段ボールで塞がせたのだった。
その行動の意味を恭平は解らなかったが、大人になってその行動の意味を知ることになるのを湯川は気にかける、という展開。

15年前伸子を殺したのは成実だったし、「子供たちが自分の責任ではない行動で、罪に関わってしまう」という展開が面白かった。

めちゃくちゃ名作、という訳ではないけれど、十分楽しめた。
それだけ。






容疑者Xの献身


日時 2022年9月23日
場所 amazon prime video
監督 西谷 弘
製作 平成20年(2008年)


隅田川沿いのアパートに住む花岡靖子(松雪康子)はかつてはホステスをしていたが、今は近所で弁当屋を開いて中学生の娘、美里と幸せに暮らしていた。しかし前夫でDV男の富樫がアパートにやってきて復縁を迫った。思わず殺してしまった靖子と美里。その音を隣の高校の数学の教師、石神(堤真一)が聞きつけた。靖子に好意を寄せていた石神は事件の隠蔽を行う。
大森の河岸で身元不明の遺体が発見された。持っていた簡易旅館の鍵から宿泊者の富樫と警察は突き止める。富樫の交友関係から花岡靖子が容疑者として浮かび上がる。しかし犯行時刻と思われる12月2日の19時頃には花岡靖子親子にはアリバイがあった。親子で日比谷で映画を観て食事をしてカラオケに行っていたのだ。
刑事の草薙(北村一輝)と内海(柴咲コウ)は旧知の物理学者、湯川学(福山雅治)に事件の協力を依頼する。全く興味が持てない湯川だったが、花岡の隣人が石神と聞いて俄然関心を持った。
石神は湯川の大学の同期生で、物理学と数学の違いはあれど、「天才」と認めていたほどの男だったからだ。


最近「沈黙のパレード」が公開され、またまた宣伝が多くなってきた「ガリレオ」シリーズ。実はテレビも映画も1本も観たことがない。最近、シネコン映画で観たいものがさっぱり見あたらないので、「沈黙のパレード」は観ようかと思う。しかしいきなり観るのはなんなので、映画版1作「容疑者Xの献身」をアマプラで無料鑑賞。

冒頭、羽田沖で謎のプレジャーボートの爆発事件が起きたと報じられる。これが巨大な電磁石を利用した弾の発射装置で行われたと説く湯川。
いきなり大仕掛けな映像で、引き込まれる。いや面白そうだなあ、と思って見始めたら、タイトル後は隅田川の川沿いに住む親子がDV男を殺す話になる。
「古畑みたいにタイプなの?」と思ってみたいたが、いつまで経っても物理学はぜんぜん登場しない。

オチは「犯行日を実際の犯行日と1日ずらす工作を行ったので、花岡親子のアリバイは完璧だった」という話。
犯行の動機も「石神は研究者になりたかったが、親の介護の問題で研究室に残ることは出来ずに三流高校の数学教師にしかなれず、自殺も考えたが、隣に引っ越してきた花岡親子と出会って救われた。だから石神は花岡が思ってる以上に花岡に恩義を感じていた」というもの。

警察の捜査が及ぶにつれて石神は「自分がやりました。花岡さんには自分はストーカーをしていて、前の夫に嫉妬して殺した」というストーリーをでっち上げる。
まあ湯川には見破られるんですけどね。

ドラマとしては面白かったといえば面白かったですが、物理学は全く関係ない話。その点がちょっとがっかりだった。






シャレード


日時 2022年9月19日
場所 DVD
監督 スタンリー・ドーネン
製作 1963年(昭和38年)


スキーの旅行先で離婚を決意したレジーナ・ランパード(オードリー・ヘップバーン)。旅行先から帰ってきたらアパートはもぬけの殻で何もない。そこへ警察がやってきて「あなたの夫は列車から落とされて亡くなりました」と教えてくれた。しかも夫は偽名だった。夫の正体は?
困り果てたレジーナをスキー場で知り合ったピーター(ケーリー・グラント)が慰める。夫の葬儀に背の高い男テックス(ジェームズ・コバーン)、禿た男ギデオン、右手が義手のスコビー(ジョージ・ケネディ)がやってきたが、3人とも夫の死を悲しんでいるわけではない。そこへアメリカ大使館のバーソロミュー(ウォルター・マッソー)から呼び出される。彼の話ではレジーナの夫と葬式に来た男たちは戦時中にアメリカ情報部の仕事で金塊を運ぶ任務についていたが、その金を持ち逃げしたというのだ。
レジーナの夫がその金を独り占めしていたので、3人が追いかけてきたらしい。もう一人ドイルという男がいたが、彼は戦闘中に死んだらしい。
テックス、ギデオン、スコビーの3人が「金の隠し場所を言え」と脅迫してくる。頼れるのはピーターだけ。しかしそのピーターもテックスたちと通じていた。


ここまでで40分ぐらい。
これも以前買ったコスミック出版の「ミステリー・サスペンスコレクション」の1本。1963年の映画だが、Wikiによると「作品中に著作権の表記がないため」パブリック・ドメインとなったそうだ。もったいない。単なるミスだろう。

夫がいきなり亡くなって実は夫は偽名だったという松本清張的な出だしだが、オードリー・ヘップバーンの明るさもあって深刻にはならない。
「しかしこの旅行先で知り合ったケーリー・グラント、あやしいなあ」と思っていたら途中で悪人3人と通じていたと開かされる。
その後も「死んだドイル」「その弟」「貧乏育ちの泥棒」などとコロコロと名前が変わる。ここまで来ると最後の最後にはいい奴なんだろうなあと思ったらそうなった。

兎に角出てくる奴がみんな怪しいので、ウォルター・マッソーのCIA職員も怪しく見えてくる。でもアメリカ大使館で会ったんだから大丈夫だよな、と思っていたらやっぱりだった。

25万ドルの隠し場所は実は珍品切手だった、というのは今観ると意外感はない。ちょっと物足りない。
私は手紙の中で「歯医者の予約を変更した」というから、これが何かの暗号ではないかと思っていたのだが、違ったなあ。

とにかくヘップバーンとグラントの競演は知っていたけど、ジェームズ・コバーン、ジョージ・ケネディ、ウォルター・マッソーの出演は映画が始まってのクレジットで知ったから「おおっ」と思った。
この時代の役者はスター感があっていい。

最近映画を見てもつまらなく感じるとこも多いが、これは面白かった。
先日DVDで川島雄三の「イチかバチか」を観たけど面白かった。
やっぱり昭和30年代の映画って性に合うらしい。





さかなのこ


日時 2022年9月18日18:00〜
場所 テアトル新宿
監督 沖田修一


ミー坊は子供の頃から魚が大好き。最初は特にタコが好きで毎週母親と水族館に行き、閉館まで魚を見ていた。
小学生の頃、近所の魚好きのおじさん(さかなクン)と知り合いになり、その人の家に遊びに行った。時間を忘れて魚の絵を描いていたら警察に連絡され、誘拐犯として任意同行された。
高校生になったミー坊(のん)は相変わらず魚が好き。不良たちに絡まれたが、その天真爛漫さで総長(磯村勇斗)も他校の不良のヒヨ(柳楽優弥)ともうまくやっている。
高校を卒業し、水族館でバイトを始めたが、どうにもうまく行かない。寿司屋で働き始めたが、ここも違う。「魚に詳しい」ということで歯医者に飾る水槽の魚の選択をやってみたが、マニアックすぎて不評。
しかしペットショップの店員になって多少は居場所が見つかった。
大人になった総長の紹介で、ある寿司屋の店内イラストを描く仕事をもらった。その店は高校時代のかみそり籾の店。
大人になったひよは今はテレビのディレクター。彼の紹介でテレビタレントとしても活躍するようになった。


魚好きのテレビタレントのさかなクンの半生の映画化。さかなクンをテレビで見かけるようになってどのくらいになるのか?10年ぐらいかな。
要するに「好きを貫け!」という映画なのだが、好きを貫けなかった私には観ていてつらい映画だった。

父親は「この子はちょっと変わってて大丈夫か?」と心配する。高校の三者面談でも「この子はさかなが好きで魚の絵を描くのが好き。それでいいじゃありませんか」という。さすがに先生も「いや将来困るのはこの子ですから」。

私なんか完全に常識に捕らわれた人だから、先生の意見に大いにうなづいてしまう。
小学生の頃のおじさんの家に遊びに行ったとき、「大丈夫かなあ。夜遅くなってないかなあ?」とひたすら主人公の行動に心配になる。案の定、「誘拐では?」と警察に疑われてしまう。
あれ逮捕されたんだろうか?非常に気になった。最後の最後でミー坊がテレビに出てるのを観ているシーンがあるが、その時に漁師の手伝いみたいなことをしているようだが、あの後どうなったか気になる。
ミー坊が大人になってそのおじさんの家の跡地に行って売り地なっているのを見るシーンはあるけど。

そして気になったのが、高校生になってから母親とアパートで二人で住んでいること。あれ、離婚したの?そのあたりの描写は一切ない。
また小学生の同級生が桃子がホステスになって男に捨てられてミー坊の部屋に転がり込む。でも途中で出て行ってしまう。
ここもなんか気になるなあ。

それにしてもミー坊が好きを貫けたのは周りの協力があってのことだ。
母親、総長、籾、ヒヨなど。もちろんミー坊に人間的魅力があったからこそ、協力してくれたのはわかるけど。
「ああやって好きだけで人生生きていければいいよなあ」とか考えてしまった。もちろん両親の離婚(たぶん)とか、いろいろ映画には描かれていないつらいことはあったろうけど。

出演はミー坊を演じたのんが素晴らしい。天真爛漫なその笑顔は誰でも魅了してしまう。
あと不良役で三河悠冴が出ていた。




日時 2022年9月18日14:00〜
場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・シアター1
監督 松居大悟


25歳の寅井さわ子(福永朱梨)は10代の頃は同級生とつきあっていて初体験もしたが、20歳をすぎた頃から同世代には興味が持てなくなり、バーでおじさんに話しかけられたことをきっかけにおじさんと興味がわいてきた。街で見かけたおじさんの写真を撮り、それで独自のアルバムを作っていくのが今の趣味だった。
おじさんは野球の試合とか自分の知らない世界を教えてくれたりする。会社の上司の大河内(津田寛治)に嫌いではなかった。しかし自分の家では父とはうまくいってない。話しかけても答えてくれないこともある。
そんな時、同世代の社員の森(金子大地)がよく声をかけてくるようになった。森は転職したが、送別会の晩、さわ子は森に誘われた。
さわ子は休みの日に森のアパートに遊びに行き、結ばれた。二人はそれから頻繁にあってセックスを楽しむ。
しかし森には別に女がいるらしい。


前もあったけど日活ロマンポルノのリブート企画の3本の1本。
いまさらロマンポルノでもないと思うのだが、やはり映画会社である以上、映画を何か作らねばならないのか?
とにかく最近は作品が多すぎる。この手の恋愛系映画は比較的低予算で作れるから、まあとにかく量産される。(エロVシネもこんな感じ)

だからあまり興味もなかったのだが、今回観たのは男優が金子大地だったから。
相手役が金子大地のロマンポルノならちょっと観てもいいかなと思ったのだ。

正直言うけど全くピンと来なかったなあ。
とにかく最近なにも引っかからない映画が多い。完全に私が時代とずれてきたのか。

まず主演の福永朱梨が全く魅力的に見えない。ただの地味目の女性である。そりゃおじさんは若い子が嫌がらないで自分と話してくれたことでうれしくなるだろうけど。
ついうんちくを垂れたくなるおじさん。まるで自分の姿を見てるようである。

いつの間には大河内部長とも仲良くなっている。しかし大河内も遠慮があるのか、体の関係には至っていないようだ。
一方森の方は彼女を称える詩など書いていい感じである。
しかし森の部屋から別の女が書いたメモが発見される(後ろの席で観たせいか、このメモがなにが書いてあるか読みとれない)。
「あれ?」と思っていたら、森の方から「俺はその子にプロポーズする」とか言い出す。

でそれで別れたと思ったら、また森の部屋に来ていて一緒にシャワーを浴び、体を洗ってるうちに森が勃ってきてそのまま(コンドームは着けたけど)挿入。
えっ別れたんじゃないの?女心は解らない。
でもこのシーンで勃起してきた森が「ちょっと待って」と部屋に戻ってコンドームを着けて戻ってきて挿入するのは面白かった。
そこは理解する。
ここが金子大地のバックヌードも楽しめた。

その後大河内と会っていて、大河内が慣れてきて胸をもみ始め「癒される」とかいうのはよくわかる。「お父さんはきっと寂しいと思うよ。話しかけてあげてね」というのは私も何となくいいそうである。
さわ子には「自分の娘より年下の女性の胸をもみながら父親の話をするって最低ですね」と返される。

部分的は面白かったシーンもあったけど、全体としてはひっかかるものがない映画だったなあ。





日時 2022年9月17日10:30〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 今井正
製作 昭和32年(1957年)


茨城県の土浦近郊。小作農の次男の次男(つぐお〜江原慎二郎)は堤防工事の仕事をしていたが、工事も終わり家に戻ってきていたが、貧乏農家に居場所はなかった。
ある日、地元の若者の兄貴格の仙吉(木村功)らと川向こうの農家に行く次男。そこで千代(中村雅子)の家を覗く。その家では地主の太田(山形勲)から田の返還を求められており、千代の母のよね(望月優子)は「この田が無くなったら生きていけない」と拒んでいた。
次男は仙吉に誘われ、漁の仕事を始める。魚の加工場の親方から船と道具を借り、売り上げのうち、4割を親方、6割が仙吉と次男の取り分とした。その6割のうち3割が次男の取り分だ。
貧乏で困るよねは夜にも漁に出る。そして禁止されている網で漁をしているところを警察に見つかってしまう。抵抗したよねはつい警官(須田健)の手を噛んでしまい、罪が重くなった。
その晩、仙吉と次男も漁に出ていた。しかし網が引っかかったせいで船が転覆、仙吉は命を落とすが、次男は千代に助けられた。
太田は「俺に1万円預けてくれれば町の有力者に掛け合ってやってもいい」と言われる。金のないよねは一旦は断ったが、警察に呼び出されて向かう。しかし罪に問われることを恐れたよねはどうしても警察に入れなかった。
駐在がやってきて「明日は署に行けよ。出ないと手錠をかけなければならならなくなる」。太田は「1万円も貸してやる。そのかわり、土地は返せ」と迫られる。八方塞がりとなったよねは湖に身を投じた。


学生時代に池袋の文芸地下で観て以来(たぶん)39年ぶりに鑑賞。
とにかく救いのない映画でトラウマだったのだ。
「雨の中を望月優子が警察署の前で何かをこぼしそれを必死に拾い集める」というシーンを記憶していて、雨の中を泣きながら拾い集めるというシーンがとにかく惨めでトラウマだった。
今回、そのシーンをもう一度確かめたくて鑑賞。

いやとにかく貧乏である。昭和32年の現代の話だが、小作農とか農作業は全て人力で、登場人物たちは金が無く、家族でもいがみ合っている。
幸せのかけらなどどこにもない。笑いながらの農作業ではなく、希望もなく、しかしわずかな金のために働かねばならず、若者は将来のなさを嫌う。そして家族がお互いをののしりあう。
もう悲惨の極みである。

そして若者は川向こうの村に集団でなにしに行くかと思えば(てっきり今で言うナンパに行くのかと思ったら)、覗きである。
仙吉は昔つきあった女を訪ね、その女も今は東京に嫁いでいるが、実家にたまたま帰ってきていたという。それで二人は出会って船の中で始めてしまう。女もちょっとはいやがってるけど、結局は許している。
不倫もありの世の中だ。

明治大正ならともかく昭和32年で覗きである。おいおい茨城県大丈夫か?
私が最初に観た1983年頃でさえ26年前である。私が小学校だった197年代前半でトラクターなどを使って機械化が進んでいた。田植機が発明されたのもこの頃(70年代)ではなかったか?

そんな悲惨な状況で昼は田圃、早朝はうなぎ漁である。(こんなところでウナギが採れたのだ)
それでウナギ以外の禁止されている漁法でよねは漁をして見つかってしまう。それで警察に呼び出され、少しでも印象をよくしようとウナギを持って行く。
ウナギを持って行っても警官は戸惑うだけだと思うけど、そこはよねの感覚ではうなぎを持って行く。だが警察署の前で人にぶつかってウナギの入った魚籠をひっくり返してしまう。

これが雨の中である。この雨が惨めさを増幅させる。ここがトラウマだったなあ。私は米をひっくり返したかと思ったが、記憶違いでウナギだった。

結局自殺しちゃうんだけど、なにも死ぬことはないような気がするのだが。
懲役になる、というのがただただ無骨に生きてきたよねには何よりも耐えられなかっただろう。
そして葬式の日、たまたま助けてもらったお礼に背広を着た次男がやってくる。そしてよねの死を知り、葬式に参列する。

生きていく希望もなにもない、陰々滅々とした映画だった。
主役は江原慎二郎だが、望月優子がすべてをさらう。






あばずれ


日時 2022年9月14日
場所 日本映画専門チャンネル録画
監督 渡辺 護
製作 昭和40年(1965年)


山川印刷の山川剛造(千田啓介)が鉄道自殺した。
その数ヶ月前、剛造はバーのマダムだった文枝(左京未知子)と再婚した。剛造には18歳の高校生の娘立子がいたが、立子も最初は文枝とうまくやっていけると思っていた。しかし文枝は会社の経理係の早田(天野良一)を誘惑。早田も会社の金の使い込みをしていて、しかも文枝に言い寄られて従うしかなかった。
剛造に多額の生命保険をかける文枝。立子は文枝が早田とある店に入るのを見かけ、二人の仲を怪しむ。そのことがきっかけで立子を文枝を憎むようになる。剛造は立子のために文枝と別居も考える。が、立子はバー時代に知り合ったヤクザに立子を誘拐し強姦させた。
身代金を要求され、払った剛造。しかし立子は戻ってきたものの、剛造のショックは計り知れない。早田と文枝に金を持ち逃げされ、剛造は自殺した。
立子はバー勤めを始め、やがて売春をするようになった。その中で客の一人が強姦したグループの一人、アキラだった。アキラは立子に惚れていた。アキラからあの誘拐強姦は文枝が組に金を払ってやらせたことと知る。立子は復讐を誓う。


日本映画専門チャンネルの「蔵出し名画座」枠で放送。昔のピンク映画である。とにかく白黒時代のピンク映画はサイレント映画並に貴重だと思っているので鑑賞。
日本映画専門チャンネルの解説によると渡辺護監督の初監督作で、このあと二度もセルフリメイクした映画だという。
また「雪之丞変化」をモチーフにしてるとか。知らんがな。
無くなったとされていたそうだが、2014年に16mm短縮版が発見され、今回はそれを使っての放送。

短縮版というけど、特に気にならなかった。早田が身代金を持って行ってから急に剛造が寝込んでいるので、このあたりが短縮されているのかも知れない。

というデータはさておき、一言で言っておもしろかった!
こういう水商売の女にだまされてすべてを失って、娘が復讐、っていいですねえ。こういう話って大好きです。

立子は売春婦になって稼いだ金でやくざを使って文枝が回転させたバーを襲う(具体的なシーンはないけど、閉店後の店を襲っていたらしい)。
そして剛造の命日に立子は文枝の店の閉店後に行き、そして早田を踏切に呼び出し、アキラを使って踏切に追い込み、電車にはねとばさせる。

そして文枝を乗せて海に行き、テトラポットに追い込んで文枝を殺す。
アキラが立子に好意を持っていたから協力してくれたが、自分を強姦したアキラを許すことが出来ずにアキラも殺す。
そして自分は海に向かって歩いていった・・・
というラスト。

ロングショットで海に向かって歩いていく立子の画が情感たっぷりである。
もう30秒あっても良さそうだが、ここはピンク映画が故にフィルムの無駄使いをなくすために早めにカットをかけたのか。

女に騙される男、それに復讐する娘。
とにかく好きな話で、面白かった。








息をするように


日時 2022年9月14日
場所 日本映画専門チャンネル録画
監督 枝 優花
製作 令和3年(2021年)


親の離婚で東京からこの田舎町にやってきた中学生のアキ(伊藤万里華)。東京でも友人に告白しても「俺、そういうんじゃないから。普通だから」と拒絶されていた。
この町にきても誰ともなじめなかったが、クラスで人気者で勉強もスポーツも出来る完璧な男、キイタ(小野寺晃良)が気にかけてくれた。
「自分なんかがキイタのような完璧な人間には釣り合わない」と距離をとった時もあったが、駄菓子屋のおばちゃんが「アキくんだからじゃない?」と言ってくれてキイタと初めて会話をした公園に行ってみた。
二人は手を握った。


ぜんぜん知らなかったが、2021年9月18日に公開された映画だそうだ。上映時間は22分の短編。

アキは男の子だが演じるのは女性。
ふむ、中性的な感じをだしたかったのか。
22分の短編だし、登場人物はほとんどアキとキイタだけで、あとは台詞一つだけのクラスメートが2、3人。

自分がゲイでおかしいのかもしれないという迷いを抱える中学生が自分を認めてくれる友人に出会えた!という喜びで終わっている。
アキはキイタを「完璧!」と言ったが、実はキイタも体に痣があり、家庭内暴力を受けている可能性がある。
その辺は話が広がらない。
まあ「完璧な人間はいない」ということを表現したかったのか。

映像は夕日を使った夕景が美しく、悪く言えば岩井俊二っぽい。
まあ長編化して「出会い篇」から始まってこのあとどうなったかを映画化してほしいな。




地平線がぎらぎらっ


日時 2022年9月12日
場所 DVD
監督 土居通芳
製作 昭和36年(1961年)


ある刑務所の雑居房。年上のカポネ(多々良純)、インテリの教授(天知茂)、船員の海坊主、強姦の色キチ。そこへ嫉妬深いバーテン。このメンバーにマイト(ジェリー藤尾)と名乗る若造が入ってきた。最初は生意気なマイトを懲らしめようとするカポネだったが、海坊主が「あいつは刑務所に入った時の殺しで盗んだダイヤがどこかに隠したままらしい」という話を聞きつける。
海坊主が一足先に出所してその話の真偽を確かめた。どうやら本当らしい。
カポネは一転、「脱獄させてやるからダイヤの分け前をよこせ」とマイトに迫る。脱獄はなんとか成功。
まずは海坊主の家に集合。しかし警官を巻くうちにカポネと教授とバーテンが遅れた。マイトと色キチが先についていたが、鈍重な色キチを殺そうとする海坊主だったが、隙を見て色キチに殺された。
合流したマイト、カポネ、教授、色キチ、バーテンの5人はグロンサンの宣伝カーを奪う。
その車に乗ってダイヤの場所に向かう。しかし警察も追ってくる。


小林信彦氏の「日本の喜劇人」のジェリー藤尾の章で評価されていたこの映画。かなり以前(ひょっとしたら学生時代?)にレンタルVHSが出ていたので(しかもいつも行くレンタル店ではなく、高田馬場のレンタル店だったと思う)借りて観ている。そのときの印象では「小林氏が絶賛するほどではないな」と思ってみた覚えがある。
再見してみたいと思いつつ、機会を逃していたので廉価版のDVDを購入したのだが、そのままになっていたのだが、巣籠もりで再見。

劇場で観るとまた違うのかも知れないけど、脱獄するまでが長いなあ。
脱獄することはわかってるんだから、そっちに話が行ってほしい。
延々と「生意気だ!」「締めてやる!」が繰り返され、話がもたもたしている。

そして金ノコを差しいれてもらい、それを使って鉄格子を切るという割と古くさい手口。ところが前の晩になって部屋を変えられてしまう。結局インテリ(らしい)教授が錠前を釘を細工したようなもので開け、死刑台室を通って脱獄。
本来は死刑室は拘置所にあって、刑務所にはない。
だから本来はあり得ない設定なんだけど、「死刑台をくぐって脱獄」という「死刑も恐れない」という彼らの悪党ぶりを象徴するシーンか。

その後のダイヤの分け前を増やすために殺し合う設定は面白い。
しかしどうにもこの脱獄囚がアホなのだ。
もともと強姦で捕まった色キチが3人の女を襲う。もう少し待てば金が入るのに強姦。アホかよ。まあだから強姦なんだろうけど。
そして未遂でマイトに助けてもらった女性(星輝美)が徐々にマイトに好意を示すという展開。

最後には女房が戻ってる実家がすぐ近くだから、という理由で車を捨てて(「警察が張り込んでるぜ」と注意されてるにも関わらず、だ)女房に会いに行って女房は新しい男といて暴れ出してしまう、という展開。
こいつもアホだなあ。まあだから犯罪者なんだろうけど。

最後にはマイトはいきなりマムシにかまれて毒が回り出す。
星輝美は医者を呼びに行き、カポネと教授が無理矢理にダイヤの隠し場所に連れて行く。
結局カポネと教授は殺し合って死に、マイトもマムシの毒で死ぬ。
ダイヤは結局マイトの嘘。地平線の太陽の輝きがまるでダイヤの輝きのように見えるという話。

正直、ジェリー藤尾より多々良純や天知茂の方が目立っていた。他の3人は顔知らない役者ということもあるけど、この二人に比べたら格が落ちる。
ジェリーは頑張ってるけど、やはり多々良、天知に比べたらもう一つだったという印象。

新東宝作品にしては面白かった、という条件付きな印象。







イルカの日


日時 2022年9月12日
場所 DVD
監督 マイク・ニコルズ
製作 1973年(昭和48年)


海洋生物学者のジェイク・テリル(ジョージ・C・スコット)は南の島で妻と数人の仲間とイルカの研究をしていた。
彼に資金を提供しているのはある財団。その財団の窓口の担当者から資金打ち切りを言われ、仕方なく現在の研究を教えた。
それはイルカに言葉を教え、コミュニケーションを可能にしようというものだった。財団の紹介で記者のマコーニーがやってきたが、重要なことはなにも教えなかった。
しかしジェイクはマコーニーがすべてを知ったらいいと知る。財団にも説明し、記者会見が予定される。記者会見のため、本土に渡ったジェイクだが、記者会見は突然キャンセル。
島の研究員から研究中のイルカのアルファとベータがいなくなったと連絡を受ける。どうやら研究員の一人、デヴィッドが手引きしたらしい。
急遽島に戻るジェイク。嵐になり、なにもできない。
そこへ記者のマコーニーがやってきて、この研究所に仕掛けられている盗聴器を発見。
彼の話では財団は盗聴器で研究内容を知り、デヴィッドも彼らに雇われていたらしい。マコーニーは財団全体を調査しており、それでわかったのだ。
財団はなにをたくらんでいるのか?


ずっと以前に買ってそのままになっていたDVD。ずっと以前テレビの洋画劇場でラストのイルカとの別れのシーンだけ数分見て、記憶には残っていた。
今回巣籠もり中なのでやっと拝見。
いや、ちょっと発想が地味だよなあ。

イルカが話すっていうのもなんだかな。第一声帯がないんだから単語を覚えてもどこまで発音出来るのか?
ひょっとして「猿の惑星」みたいな「動物が話す」っていうのがあったのか?

後半、アルファ(ファ)とベータ(ビー)を捕まえた財団の幹部が実は大統領のボートに爆弾を仕掛けようとする。
しかしファだけが逃げてきてジェイクの元に戻る。そこでマコーニーも大統領暗殺を察知し、ジェイクはビーに爆弾(とは言わないが)を取り付けないように指示。ファは逆に財団の幹部の船に取り付けて、自爆!

こんな感じで悪は滅びるんだけど、もう少しサスペンスが盛り上げられなかったものか?
「パー、スキ」などというファは可愛いのだが、それだけ。
でも結局はこの研究はつぶされると悟ったジェイクがファとビーを海に放つのだが、そこは切なかった。

ハリウッド映画にしては展開が遅くもたもた感が否めない。
やはりアイデアが弱かったかな。





ミカドロイド


日時 2022年9月11日
場所 DVD
監督 原口智生
製作 平成3年(1991年)


第二次大戦下の日本、陸軍はジンラ號計画という人間兵器の研究をしていた。選ばれた兵士がその実験台に選ばれた。しかし終戦間近の昭和20年8月、その計画は中止となり、葬りさられた。
現代日本。週末の渋谷の夜はにぎやかだ。電気工事人の富田(吉田友紀)は仕事帰りの夜の11時に会社から呼び出され、ディスコの入っているビルの電気設備の点検に向かう。
そのビルの地下駐車場では何者かによって、駐車中の車にいたカップルが惨殺されていた。彩子は友人と車に乗ろうと地下駐車場にやってきたとき、友人が殺された。
たまたま点検にきていた富田に助けを求めた。富田たちは配電室へと逃げ込む。そこの壁には今何者かが出てきたようは穴が開いていた。
そこにはかつて陸軍の研究所だった施設が広がっていた。
何者かがやってきたが、それに対抗する銃をもった男が二人やってきて助けてくれた。
彼らはいったい何者なのか?


1991年に東宝から発売されたオリジナルビデオ。当時ビデオレンタルが盛んだったから制作されたのだろう。東映は「Vシネマ」と呼んで低予算のアクションものなど製作していた。公開当時、レンタルビデオになっていたから借りてみている。
東宝の「変身人間」シリーズ、みたいなテイストなので期待してみたががっかりした記憶があった。

今回、公開当時から30年経って再見。
確かにねえ。今観ても面白くないのだよ。
私の好む話ならば「通り魔的殺人事件が立て続けに起こる。事件を追う(刑事でも記者でも被害者の恋人でもいい)が事件を追っていくと謎の人物に遭遇する。その男の話では戦争中のジンラ號計画の一人が事件を起こしているという。主人公たちはそのミカドロイドとついに対決!」となるわけよ。

ところが話はそうはならず、渋谷のディスコの地下で起こった一晩、というより23時から1時ぐらいまでのお話。
ホラー映画っぽいテイストもあるけど、怖くないのだなあ。

主人公が電気工事人なんだけど、なんでこの職業の人なんだ?その電気技術を生かした最後の対決があるかと思ったら、そういう訳ではない。
たまたま居合わせただけであり、登場人物を送ってきたタクシーの運転手でもいいことになる。

またもう一人の女性主人公が、バブル期のまさにディスコで踊っていたようなワンレンな子で、今観るとバブルそのもののファッションだ。
これがキャーキャー言うだけでうっとうしいだけ。後半になって男の傷ついた腕をスカーフで縛ったりしたあたりからまともになって、最後は手榴弾で対決したりするんだけど。

先に書いた話のもっていき方そのものも好きでないのだが、さらにメインの出演者で知ってる人が誰もいない。
警備員役で出てくる毒蝮三太夫しか知ってる役者が出てこない。
(特別出演の森本レオがいるけど、別にいなくてもよし、と言った感じの出演だし)

最後の地下室のセットは立派なんだけど、渋谷の地下にあんなのあるかあ???
特技監督は初監督で樋口真嗣。監督はこれまた初で原口智生。
このお二人がやるんだから、造形物とか映像は立派。
でもお話や役者に魅力がなさすぎる気がする。

「旧陸軍の秘密兵器がよみがえる!」って企画としては好きなんですけどね。










スパイキャッチャーJ3 SOS危機一発


日時 2022年9月11日
場所 投影チャンネル録画
監督 加島 昭
製作 昭和41年(1966年)


ニューヨークに本部を置く国際警察、通称チューリップの日本支部のコードネームJ3こと壇俊介(川津祐介)は横浜の港で「ディスマン」と呼ばれる男を追っていた。彼がボートで上陸しようとしたところを謀略破壊組織タイガーに目標の男は殺されてしまう。男はディスマンに接触しようとしていた男だった。彼の鞄の中身から「高いところ」ということが連想され、マリンタワーに行ってみる。同じく男が持っていた赤外線双眼鏡で街をのぞくとアドバルーンに「ミスターミラクル」という文字が浮かび上がった。そこで謎の女を見かけた壇だが、その女と一緒にいた男が殺された。
ミスターミラクル(室田日出男)というのは横浜のキャバレーで手品ショーをやっている男。そこに行ってみたが先ほどの女と遭遇。壇と女はミラクルの手品ショーで箱に入れられ拉致されたが、そこはマダムX(根岸明美)の船だった。
船の中には世界中の裏社会の男たちが集まっていた。そこでディスマンが持っているミサイル基地の地図がオークションにかけられようとしていた。


東映チャンネルでの放送。全く知らない番組だったが、チープなスパイアクションというのは想像できたので鑑賞。
本来はテレビシリーズだが3話分と23話、24話を劇場用に再編集したものしか残っていないという。これはその劇場版。
毎回前編、後編なので、後編の頭につく「前回のお話」をカットしてつなげてものではないのか。3本立ての添え物の1本で45分ぐらいの尺にはなる。

同時放送されたのが、現存する「SOS火山トンネル後編」「SOSポラリス潜水艦前編」「同・後編」
国際秘密警察、という設定が「キイハンター」に受け継がれたのだろう。J1こと日本支部代表は丹波哲郎だし。J2は江原槙二郎だが、現場にはあまりでないらしく、武器装備とかを担当しているようだ。
「火山トンネル」は前編を観ていないけど原子力学者の研究書類を奪うあれこれ(小林恒夫監督で、ゲストの一人が南広だ)。
「ポラリス潜水艦」はアメリカの原子力潜水艦「モービーディック」が行方不明になり、別の原子力潜水艦と交換しよう悪の組織タイガーから要求。しかし浮上したモービーディックは偽物と壇は見破り、タイガーの悪事は失敗に終わる、という展開。

壇の乗る車はコルベットで、これがホバークラフト装備で、海を走行できたり、小さな山ぐらいは越せる。(火山トンネルで閉鎖されたトンネルの入り口から飛び立って、反対側から進入するのだ)
「ポラリス潜水艦」の方で、J2の設定説明などがあるから、これが1話2話なのだろう。


で肝心の「危機一発」。
このディスマンは誰か?が焦点なのだが、なんとも怪しいのが室田日出男の手品師。だが彼はマダムXによって殺されてしまう。
彼が殺される直前にJ3に託したのが上半分は「Q」で下半分が「K」のトランプのカード。

とにかく、タイガー、マダムX、ディスマン、J3の四つどもえの戦いになる。
結局ディスマンは実は女で、マリンタワーで出会った例の女がディスマンだったというオチ(途中でわかったけど)

「キイハンター」との連続性はもちろんだけど、直接は関係ないとは思うけど「マイティジャック」にもつながると思う。つまり、この時代、007の影響で、映画もテレビもとにかくスパイ、国際秘密組織があふれていて、「マイティジャック」の設定も案外「ああ、いつもの感じ」と受け止められていたのではないか?
小林恒夫とか南広の起用などはこういったところにも関連があるかも知れない。

特撮シーンはちょこちょこあって、車が爆発するとか、J3の車が飛ぶシーンなど。一番派手だったのは、張りぼての潜水艦「モービーディック」に激突して、艦橋を壊すところ。
なんか、とにかくチープで楽しかった。








呪いの血


日時 2022年9月10日
場所 DVD
監督 ルイス・マイルストン
製作 1946年(昭和21年)日本劇場未公開


マーサは工員だった父を亡くし、今は金持ちの伯母の元に引き取られていたが、折り合いが悪く何度も脱走を計っていた。その脱走を不良少年のサムは手助けしてくれたが、今回も見つかってしまった。
連れ戻されたマーサだが、マーサの家庭教師とその息子ウォルターたちが取り直してくれた。しかし猫が嫌いな伯母が猫を杖で叩き出そうとしたとき、つい喧嘩になって伯母は階段から落ちてしまう。そしてマーサは杖で伯母を殺した。「男が侵入して伯母を殺した」ということにするマーサ、ウォルター、ウォルターの父。
18年が経った。サムも大人になり自動車で旅をしていたが、マーサたちの町を通りかかった時、車を電柱にぶつけてしまう。修理に持ち込んだが数日かかる。サムはたまたま知り合った女性、アントニをホテルに泊めた。しかし翌日彼女は保護観察違反で逮捕された。
サムはウォルターが今はこの町で検事をし、マーサと結婚して暮らしているのを知る。サムはウォルターにアントニの釈放を頼む。
ウォルターはサムが伯母殺しの件で脅迫にきたのではないかと疑い出す。
そしてアントニを釈放はしたが、彼女の夫という男が登場し町からつまみ出される。その男は私立探偵でウォルターが雇った男だった。


実は現在自宅で病気療養中である。ここ数日は感想を書かなくてもよい、映画館で観てソフトも買ったけどそのままになっていた映画、を中心に観た。ムービープラスで放送のあった「ミッドウエイ」(ジャック・スマイト)「ミッドウエイ」(エメリッヒ)「山本五十六」(役所広司)「山本五十六」(三船敏郎)「キスカ」「太平洋の鷲」「透明人間現わる」「透明人間と蠅男」などなど。エメリッヒが「当初企画したときは1億5千万ドルかかると思ったが、CGなど使って1億ドルで済んだ、とオーディオコメンタリーで言っていたのは印象的。

でそろそろ感想を書く映画を、と思って以前10枚セットで買った越すミック出版の「犯罪の世界」の未見の最後の1枚。

単なる「若い頃に殺人を犯した者が、10数年たってそれを知る男に脅迫を受ける」という話かと思ったら、そう簡単な話ではない。

マーサはもともと勉強は出来るがり勉タイプのウォルターより、不良のサムの方が好きである。殺人のこともあるので、事後の処理でウォルターの父の言いなりになり、財産目当てもあってマーサはウォルターと結婚させられた。
そして伯母の殺人は以前伯母の家で働いていた男が犯人にされ、死刑となった。その検事がウォルターなのだ。

だからマーサはサムに「ここから連れだして」的な思いをするが、サムは最近知り合ったアントニとのこともあり、そうは簡単にいかない。
なんかがちゃがちゃと三角四角関係が動き出すばかりで松本清張的サスペンスはあんまり感じない。

最後はウォルターがマーサを殺し、自分の自殺するという展開。
サムはアントニと車に乗って新天地へ。まあ若い頃に殺人をして他人に罪を着せたりしたので、因果応報という結末。





NOPE/ノープ


日時 2022年9月4日11:45〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン6
監督 ジョーダン・ピール


映画用の馬の飼育をしているOJ(ダニエル・カルーヤ)。彼の父親は牧場主だったが、数ヶ月前に空から落ちてきたコインが頭にぶつかって亡くなった。だがそんな偶然を不思議に思っていた。
元子役のリッキー(スティーブン・ユアン)は今は西部劇をテーマにした遊園地を経営していた。そのリッキーに数頭の馬を売り、なんとか牧場を経営するOJ。しかし妹のエメラルドは牧場をやる気はない。
突然停電があったり、上空に何かがいるのでは?と思ったOJとエメラルドは自宅上空を見張る防犯カメラを自宅の上に2台設置する。2台にしたのは1台停電で止まったときの為だ。
自宅周りではなく、上空を見張るようにカメラを設置したことに技術者のエンジェル(ブランドン・ペレア)は不信を抱く。ネットでも閲覧可能なので、エンジェルはその映像を盗み見したところ、全く動かない雲があることがわかった。
この雲はUFOなのか?それとも?


全くノーチェックだったのだが、ツイッターで少し話題なので、鑑賞。基本UFOものとか好きだしね。
ピカデリーは設備に特によくないのだが、IMAX版も池袋ではやっているようだ。

60年代のB級SFのノリだが、ちょっと冗長なのだな。
元子役がテーマパークを経営しているが、この子役時代のホームコメディで猿が暴れ出して番組が中止になったという過去があるのだが、この伏線がUFOとは関係ないような?

UFOは実は生物で、エイのような形状で真ん中に穴があり、ここから吸い込んで地上の生物を補食する。この時に目があった奴を食べるので、基本そのUFOを見なければ補食されないらしい。
この「目があったら危険」というのが例の猿の暴れた番組、と関係あるのか?なんか意味不明である。

こんな危険な奴だが、エメリッヒの映画と違って米軍が出てきたり大統領が出てきたりするような話の広がりはない。
ひたすら牧場とその周辺である。

このUFO、近づくと停電する。映画の途中で有名なカメラマンに撮影を依頼する。話を聞いたカメラマンは自作したというサイレント時代のような手回しクランクのカメラ。(しかも途中フィルムチェンジのシーンがあるが、70mm位の幅はあった)

結局、テーマパークにあった人形型の巨大バルーンを上空に放つ。
そうすると例の奴は敵と思って補食する。中でバルーンが爆発して例の奴も爆発。

世界で最初に撮らえた映画が「走る馬」でその騎手だったのがエメラルドの祖先で、という話とか、手回しフィルムカメラとか、映画とかフィルムネタが使われており、監督とかの作り手のこだわりを感じる。
まあこんなものでしょう、という期待値が低かったので、がっかりも少ない映画でした。





神田川のふたり


日時 2022年9月3日11:40〜、14:25〜
場所 池袋シネマロサ2(地下)、アップリンク吉祥寺シアター3
監督 いまおかしんじ


中学の同級生、橋本(あだ名は神田)が突然死し、その帰り道の智樹(平井亜門)と舞(上大迫祐希)。神田のあだ名はの由来は小学生の時に家出して神田川をさかのぼったという話になり、神田川の源流の井の頭公園に行ってみようとなった。
途中でコンビニによったり、変なおじさん(佐藤宏)に自転車に乗って行かれ、おじさんがお団子を食べてる間に智樹の自転車が盗まれたりして八幡神社にたどり着いた。そこで神田が書いた絵馬を見つける。
「みおさんと両思いになれますように はしもと」と書いてある。みおさんというのは井の頭公園のボート乗り場で受付をしている女性。
智樹と舞はみおさんに神田の思いを伝えようと思い、井の頭公園に向かう。


いまおかしんじ監督最新作。7月から3ヶ月連続で5本公開(脚本作も含む)。そのトリがこの「神田川のふたり」。一番期待していたのはこれ。
なんといっても「アルプススタンドのはしの方」の平井亜門の主演ですよ!平井さんは最近お気に入りの若手俳優。その平井さんといまおか監督が組むとは!

冒頭40分はワンカットである。今回、配給がネット媒体にインタビューをかなり行ったが、常にこの40分ワンカットが話題になる。
3輪自転車の後部のかごの部分を座れるように改造し、そこにカメラマンは乗り込み時々降りて出演者を追っていたという。
ただし出来上がった映像を見て編集の段階で多少ズームさせて写ってはいけないものをトリミングさせたりしていたそうだ。

また途中、コンビニによっておにぎり買うシーンがあるが、実際にコンビニはない場所。そこで「ウィーン」と口の擬音で扉が開いてコンビニに入る。黒子が持っているおにぎりの棚からおにぎりを取って購入(お金を払う動きはない)。そして外で食べる。
先の多数のインタビューで「架空のコンビニ」とか「黒子」という話がでていたが、このことだったのか!
突然の黒子登場とか、不思議な神様(佐藤宏)登場とか、みなさん否定しないだろうか?

井の頭公園に着いてみおさんは今日は休みと知る。夜の吉祥寺を歩く二人だが、智樹が予備校に行くから帰ると言い出す。そして別れて再会し、結局カラオケボックスで一晩を過ごす。

智樹が同級生に途中で会って「おまえ数学最近着いていけないとか行ってなかった?」とか言われる。智樹も高校生ならではの悩みを抱えている。

このカラオケボックスで寝てしまった舞の足が見えるので智樹がジャケットを脱いでかけてあげたり、寝ている舞にポップコーンを食べさせるシーンがいい。なんかかわいいカップルですよね、二人。

あと智樹と合流するために舞が一人で自転車に乗ってるときに「智樹、智樹、智樹に会える」などの歌を歌ってるシーンがかわいい。

そしてみおさんにも神田の思いは伝えられる。
智樹も舞に告白してハッピーエンド。
さわやかな恋愛映画。少女コミックの映画化のようなすがすがしさがあった。
平井亜門と上大迫祐希がとにかくいい。二人を見ているだけでエンタメになる。
そして智樹も告白し、最後は出演者全員に南沙織の「17歳」で祝われてキス。
最後には黒子が被り物を取ると金髪。見事なオチでした。

いまおか監督映画には珍しいさわやかな恋愛映画。こういうのも撮れるんだなあ。

脚本は川崎龍太。いまおか監督の話では神田については2019年に亡くなった櫻井拓也さんを念頭に書いているのでは?ということだった。
みおさんに思い出してもらうのに神田を、金髪で眉のない子、という説明をする。

眉について智樹は「なんか整えようと剃ってるうちに全部無くなった」という。川崎さんと櫻井さんは日本映画学校の卒業制作で脚本と主演俳優の仲。以前その卒業制作「犀の角」の上映の時に井土紀州監督がトークイベントで語っていたのだが、櫻井さんは初主演ということで、気合いを入れて眉を整えたそうだ。そしたら撮影直前になって井土監督から「なんか印象が違う」ということで問いつめたところ「眉を整えた」という。

櫻井さん、川崎さん、眉、というとそんなエピソードが思い出された。
案外川崎さんの念頭にあったのかも知れない。

映画はとにかくよかった。






ブレット・トレイン


日時 2022年9月2日18:35〜
場所 新宿ピカデリー・シアター2
監督 デヴィッド・リーチ


木村は息子が誘拐され、ビルの屋上から落とされたが、奇跡的に命は助かって入院中。
レディバグ(ブラッド・ピット)は仕事に復帰したばかりの運の悪い殺し屋。今回の仕事は日本の新幹線に乗り込み、あるブリーフケースを盗み出すこと。東京駅から乗り割と簡単にお目当てのケースは見つかった。
この新幹線「ゆかり号」には別の殺し屋が乗り込んでいた。ミカンとレモンと呼ばれる二人組は白い死神と呼ばれる男の息子が誘拐され、それを救出してきたところ。例のケースはその息子の身代金として用意されたものだった。白い死神はレモンたちに息子と身代金を取り返すように依頼されたのだ。
さらに自分をプリンスと名乗る若い女の殺し屋も乗っている。
レモンたちはケースが無くなったことに気づき、探している間に死神の息子は殺された。
無関係に見える彼らだが、実はある事件に関係し集められていたのだった!


日本の新幹線を舞台にしたアクション映画、ということで気になっていて、観てきたんだがまあ期待はずれ。
一言で言うとこの映画、コメディアクションなのだろうが、監督と私の笑いのツボが違うらしくまるで笑えない。
(これは場内で笑い声がまるで聞こえないので日本人と笑いのツボが違う、と言っていいのかも知れない)

コロナもあって日本ロケは行われていないらしく(それでもロケハンぐらいはしただろうけど)、セットとCG。
新幹線は「ゆかり号」と名前を変え、外観は新幹線に近いが、中は別物。なぜか無人(スタッフもいない)食堂車があり、座席の対面式で間にはテーブルがある構造。そして品川、静岡、名古屋、米原、京都に停まる。
そして新幹線から降ろされてしまったみかんが、ホームから新幹線に飛びつき、後部運転席の窓を突き破って中に入る。

いやこんなことをいちいち指摘するのは野暮だと思うけど、「変な新幹線」の違和感が強くて物語に入れない。
これが日本人以外だったら解らないから違和感もなく楽しめたかも知れないけど。
トイレのウォシュレットネタがあったけど、あれなんか外国人からすると「スゲー!」にやっぱりなるのか。

カットのリズムも私には合わないなあ。せりふのテンポとかカットの間合いが早くてついて行きにくい。これは監督と私の感覚の違いなんだろうなあ。
「キル・ビル」+「マトリックス」の感覚という感じだろうか?

あと真田広之。テレビのインタビューで「ずっとこのメンバーで仕事したい。撮影が終わらないでほしいと思える現場だった」という趣旨の話をされてたけど後半の4分の1ぐらいにならないと出番がないんだよな。

最後には終点京都駅を脱線して大爆破。あまりの展開に唖然。
まともな新幹線を舞台にしたアクション映画を期待した私が間違っていたようだ。





ある色魔の告白 色欲の果て


日時 2022年9月1日16:17〜
場所 シネロマン池袋
監督 江崎実生
製作 昭和43年(1968年)


自動車修理工の順(藤木孝)はレーサーと名乗って女を何人も口説き関係を持ち金を引き出していた。複数の女性から結婚詐欺や婦女暴行で訴えられたが、刑事の依田(高品格)には言い逃れをして逮捕されないでいた。
順を訴えた女の一人、ルミはクラブで働いており、そこのバンドメンバーで黒人とのハーフのサム(山本昌平)に告白されていた。
サムと順がナイフを持ってもめている時に誤ってルミが刺されて死んでしまう。そこへやってきた依田にサムと順は逮捕され、手錠をかけられる。
だが依田の拳銃を持って二人は逃走。しかし手錠でつながったままだ。
車を盗んだ二人だったが、サムが伊豆に行きたいという。伊豆には父親が違う姉がいたのだ。サムの父親は黒人だったが、姉の父親は白人で、姉自身も美人だった。
モデル、タレントとして活躍していた時期もあった姉だったが、芸能界で肉体をもてあそばれ、今は修道女になっている。
途中、二人は線路で手錠を切り離した。サムの姉は逃亡の手伝いをシてくれるかと思ったが、自首を勧められる。
二人は再び逃げ出す。
そこである別荘に隠れたのだが。


今回のお目当ての映画がこれ。ツイッターなどで「ロマンポルノ以前にピンク映画っぽい映画を作っていた。突然ロマンポルノが出来たわけではない」という趣旨の書き込みを見て初期の昔のピンク映画には興味があるので見に来た。

藤木孝が主演である。歌手として活躍し、その後俳優になった藤木孝である。「シン・ゴジラ」では副知事だ。

まあこの男が女をだましまくる男なので、主人公として全然応援できない(好きになれない)。「早く捕まれ」ぐらいの気持ちで見てしまう。
逃亡犯の話の場合、冤罪でなければ話は盛り上がらないよ。もしくはやむにやまれぬ理由での逃亡でないと。

二人の手錠を切り離すのはやっぱり鉄道の線路で。これが二人はトンネルの中で行う。映画を観てるときは「表でやったら列車に見つかって急停車されるからな」と思ったけど、単に撮影できなかったという理由かも知れない。

一方黒人のサムもなんとなく「ハーフで差別を受けた」という感じで被害者のノリなのだが、途中から順と一緒になって逃避行のうちに女を犯しまくって全然好きになれない。

特に姉のところを出てから、ゴルフ場で白人女性とキャディー(女性)がしているのを犯したり、そこでその白人女性の本来の恋人(女性)がやってきて順も加わって強姦になる。
なんだそれ。もちろん本筋には関係ない。

そしてある別荘に押し入ってそこにいた母と娘を犯す二人。完全に話はどうでもよくなって濡れ場ばかりの連続だ。一応逃亡犯ということで、アクション映画の体裁はあるけど、無理矢理濡れ場入れてくるなあ。

それにしても外注とはいえ、日活作品なので、ピンクよりは制作費は多かったようで、脱ぐ女優の数は多い。10人以上は脱いでるだろう。
最後は順が刑事から盗んでいた拳銃をとられ、別荘の人質だった母親の方に両方とも撃たれる。

その前にはサムと順はお互いに自分だけ助かろうとしていて疑心暗鬼なのだが、最後の最後の撃たれた後は「俺たち一緒だろ?」とサムがいう。
脚本も混乱している。

黒人のサムだがどこかで観た顔だと思っていたら、シネロマンのブログの作品紹介で山本昌平とあった。
あっこの間ラピュタで観たピンク映画に出てたじゃん。
やっぱり日本人俳優が黒く塗っていただけだったのか。

去年チャンネルNECOで観た西恵子主演の「BG ある19歳の日記 あげてよかった!」も裸こそないけどピンク映画まがいの話で、「いきなりロマンポルノが出てきたわけではない」の意見には大いにうなづける。
そうだよな、こういうエロチック路線の映画の数字がよかったから、ロマンポルノに大転換したんだよなあ。

映画史の勉強になった。







喪服妻暴行 お通夜の晩に


日時 2022年9月1日15:11〜
場所 シネロマン池袋
監督 遠軽太郎


官能小説家の栗林(小林節彦)はガンに犯されていた。彼は官能小説家としては売れている。ある日、旧知の原田の妻が訪ねてきた。原田と栗林は若い頃は作家志望でお互いにがんばっていたが、栗林は官能小説に転向した。原田はまだ小説を書き続けているようだが、なかなか売れない。ついに生活費に困り、原田の妻が栗林を頼ってきたのだ。
栗林は原田の夫婦生活を話してくれることを条件に金を貸した。しかしやがては体の関係を持つ。
栗林はガンで亡くなった。彼は原田に自分の遺影の前で妻とセックスすることを望んでいた。やがて原田の妻も加わり3人での行為となった。


本日は事情があって会社は休んでいる。
午前中はグランドシネマサンシャインで「この子は邪悪」を観た。それで午後は池袋で久々にピンク3本。

そうそう栗林は自分の妻が他の男としているのを観て自分の創作意欲をかき立てられる。
体が悪くなってからもそれは続き、妻が町で拾ってきた男とするのを見る。
その相手の男優が、真央はじめである。前に見た「禁断スワップ」にも白戸翔一が出ていた。二人ともゲイ映画でお見かけした顔で、普通のピンク映画の男優さんだったんだな。

あとこの映画には医者役で樹かずも出演。栗林は同行する看護婦に「先生とはやったのか?」と聞いて先生とのセックスの様子を聞いて満足。

カラミの多い映画でした。





禁断スワップ 丸出し夫婦


日時 2022年9月1日14:10〜
場所 シネロマン池袋
監督 小林 悟


大企業の経理部長の斉藤(港雄一)は会計事務所の佐野(白戸翔一)の妻秀子とやりたがっていた。斉藤の部下の課長はスワッピングを持ちかける。
試しに佐野夫婦と課長夫婦がスワッピングパーティを行うが、佐野は課長の妻としたものの、秀子は耐えられずにその場から逃げ出してしまう。
結局佐野の説得で秀子は斉藤とのスワッピングに応じることに。しかし斉藤とベッドに入ったが、「痛い!」と逃げ出してしまう。
課長は「部長と秀子さん、もう一組のカップルは別のカップルにシてみましょう」と提案。
現れたのは秀子の高校時代の家庭教師で秀子と恋仲だった人だった。二人は再び燃え上がった。


今回、この後に観る「ある色魔の告白 色欲の果て」が目当て。
完全に私にとっては添え物。
相変わらず小林悟テイスト。

最後になって秀子の初体験(たぶん)の相手が登場し、燃え上がるという展開。おいおい斉藤部長はどうなる?出来たのか?

そして佐野の貞淑な、スワッピングなど拒否してしまうキャラだったのに、初恋の人が現れたらさっさと燃え上がる。主人の佐野さんがかわいそうである。

相変わらずラストのまとまりを考えずに作ったような話で、「いかにも小林悟」でした。
それが最近「味」に感じられるから(通常のピンクなら許せる)、私もなれてきたのか。




この子は邪悪


日時 2022年9月1日10:30〜
場所 池袋グランドシネマサンシャイン・スクリーン11
監督 片岡 翔


高校生の四井純(大西流星〜なにわ男子)は市内で見かける精神の壊れた人に関心を持っていた。自身の母親も精神を壊し、1日中水槽を見ているだけ。純は祖母と暮らしている。
市内にある心理療法クリニック、窪医院に関心を持った。院長・窪司朗(玉木宏)は自宅に仮面をつけた小さな女の子を住まわせていた。
純は司朗の娘、花(南沙良)に話しかける。「昔一緒に遊んだことあったよね?」
司朗はある患者の心を開くためにまず自分のことを話し始める。5年前に家族で遊園地に行き、居眠り運転のトラックにぶつけられ、次女・月(〜るな)は顔に大やけど、母親は植物人間、司朗は足に傷害を残し、長女の花だけは無事だった。花は自分だけが助かってしまったと罪の意識を抱えていた。
司朗は「母さんが目を覚ました!」と自宅に母親をつれてきた。しかし花にはそれは別人にしか見えなかった。


ぶっちゃけ大西流星が出演しているから見に来ただけである。最近お気に入りのジャニーズでの急成長グループ、なにわ男子のメンバー。女性的な顔立ちがなんとも言えない美少年だ。
チラシには「予想外のストーリー、想定外のラスト、世にも奇妙な謎解きサスペンス!」とあるけど、それほどでもなかったなあ。

司朗は心理療法士(まあ精神科医と言っていいのか)なので人の心を操ることが出来、母親としてやってきた女性も実は元患者、次女も実は死んでいて、家族を再生するために児童虐待を受けていた子に次女の魂を植え付けた、というもの。

また秘密を知った純はうさぎと魂を入れ替えられ、純の体にはうさぎの魂が入り、純の魂はうさぎに入ってしまう。
魂の入れ替えなんて本当に出来るの?
そこが引っかかるのだなあ。いくら何でも飛躍しすぎてないか?

というかそれ以前に司朗の謎が徐々に明らかになるので、ラストの意外性がないのだな。ラストの10分ぐらいですべてを明らかにするような話のもって行き方をした方がよかったんじゃないかなあ。
まあそれまで特に出演場面がなかった純の祖母が最後の方で司朗に襲いかかるのは驚きがあってよかったけど。

ラストに結局偽物の母親と偽物の次女と花は一緒に暮らしている。
(司朗はすべてを知った次女に殺される)
でも次女も母親も戸籍上は死んでるよね?戸籍がないといろいろと生きていく上で不便だけどなあ。
そして母親は子供を生んでいる。そのときに司朗が治療の時によくやっていたように8の字に指を動かす。
これって司朗の魂を自分で胎内にいた嬰児に植え付けた、っていう解釈でいいの?
だとするとタイトルの「この子は邪悪」のこの子とはこの赤ん坊ということか。

つまらなくはないのだが、もう一つ意外感はなかったなあ。
個人的には二ノ宮隆太郎氏が児童虐待した父親役で虫を食ってるのが印象に残った。