2023年1月

    素晴らしきヒコーキ野郎
ミスタームーンライト
〜1966 ザ・ビートルズ武道館公演
みんなで見た夢〜
レジェンド&バタフライ ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団 俺たちの絆
姉妹相姦 いたずらな魔乳 魔性の、香り あっぱれヒールズ びっくびく除霊棒 ようこそ東映殺影所へ
恋のいばら 暴走機関車 トリュフォーの思春期 若き勇者たち
ファミリア 姿なき訪問者 U−571 非常宣言
金星ロケット発進す 囚われの女 パットン大戦車軍団 カプリコン・1
終末の探偵 名探偵再登場 黄色いロールスロイス 思春の森

素晴らしきヒコーキ野郎


日時 2023年1月30日
場所 Blu-ray
監督 ケン・アナキン
製作 1965年(昭和40年)


イギリスの新聞王ローンズリー卿(ロバート・モーリー)は娘パトリシア(サラ・マイルズ)の恋人で飛行士のリチャード(ジェームズ・フォックス)の提言でロンドン・パリの飛行機競争を開催することになった。
それを聞きつけた世界中のヒコーキ野郎がロンドンに集結。フランスのピエール、ドイツのホルスタイン大佐(ゲルト・フレーベ)、イタリアのポンティエリ伯爵(アルバート・ソルディ)、そして日本からがヤマモト(石原裕次郎)。その中でもアーミテージ卿は妨害工作をしてでも勝とうとする。
いよいよレースはスタート。ヤマモトはアーミテージ卿により事前に飛行機が傷つけられていたので、離陸直後に墜落。
果たして勝者は誰?


子供の頃、テレビ放送で少し見た映画。昔から「外国映画に日本人俳優が出演した映画」「外国映画で日本でロケした映画」が好きなので、これも石原裕次郎がでてるから観たのだ。
先に書いちゃうけど、石原裕次郎の出演は4シーンほど。

ますは飛行大会の案内状が届くところ。ここは日本語で話す。そしてなかなか出てこなくなって、飛行機でロンドンの会場に着くところ。前夜祭のパーティのシーン、レース開始のシーン。
ところが石原の乗る機は(妨害工作のために)離陸した途端に墜落する。
日本の扱いひどいよなあ。まあこんなもんか。

で墜落した飛行機で、裕次郎が助けに来た消防隊員に「ナイフをくれ」というと消防隊員が「ハラキリか?」と躊躇する。すると裕次郎は「脱出のためにワイヤーを切るんだよ」という。
「日本人=ハラキリ」のイメージなのですね。

そうなのだ。この映画のお国柄描写が実にステレオタイプというか、偏見というか、60年代というこの時代はまだそういう見方だったのか、恐ろしく偏っているのだ。

フランス人は女と見れば声をかける(フランス人パイロットが出会う女性にすべて声をかける。そしてその女性は別人なのだが同じ女優が演じている)、イタリア人は子沢山の家族主義、ドイツ人は堅物で規則一辺倒でマニュアル人間、アメリカ人は開拓人間、というイメージなのだ。

コメディだからなのかも知れないが、完全にバカにしてる感じだし、ある種の差別意識、選民意識を感じてなんだか不快だった。
だからよけいに笑えずにひたすら2時間半耐えたことになる。
正確にいうと1時間20分ぐらいで休憩が入り、あまりのつまらなさに寝てしまったのだ。続きの1時間は翌日の30日に見たという次第。

映画自体のレースが始まるのは休憩後の後半になってからだし、出場メンバーに案内状が届くところからシーンが始まるので、話がまったく進まない。
意外とがっかりな映画だった。





ミスタームーンライト〜1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢〜


日時 2023年1月28日13:55〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン1
監督 東考育


昭和41年6月のビートルズ武道館公演に至るまでの過程・その影響を関係者インタビューと記録映像でつなぐドキュメンタリー。

まずは東芝の当時の洋楽担当者の話から。
宣伝部は洋楽と邦楽の両方をやっていてどちらかというと洋楽には力を入れてくれなかった、ならば自分が動こうと思った、ということで今なら危ないような作戦で広めようとする。

ラジオ番組の電話リクエストの受付の女子大生バイトにビートルズのリクエストを優先的に受け付けるようにしたとか、学生バイトにリクエストの電話をかけさせたとか。

ビートルズの武道館公演は3ヶ月前に決まったと言われている(そうだが)それは時間的に無理、少なくとも64年頃から交渉をはじめ、65年10月公演を目指していたが、(おそらく)ビートルズのイギリスでの勲章授与と重なって延期になったのではないか。

当時は外貨の持ち出し制限があったから、読売新聞社の正力会長に代行してもらったという。それもビートルズが勲章をもらったから、「日英の音楽交流」というタテマエも出来らしい。

そして66年6月末から7月に公演になったが、会場の武道館。本来は当然武道をする場所だから外野の反対も多かったそうで。でも武道館自体は「それほど使ってなくて閑古鳥が鳴いてるから」公演には反対ではなかったようだ。

ビートルズの来日時には羽田での混乱を避けるため、横田基地への着陸が予定されていたそうだ。でも台風で遅れたりしたが結局羽田への着陸になったという。
JALの客室乗務員の方がビートルズの大ファンで有名な来日時のハッピをきてもらうように頼んだとか。この客室乗務員の女性がミーハーで(今はおばあちゃんだけど)、ジョンに上着のしわをアイロンで直してほしいと言われて上着を渡されてその上着を抱きしめたとか、ミーハー全開である。

前座は尾藤イサオと内田裕也。とにかくお客さんの歓声がすごかったという。映画「ハードデイズナイト」でもイギリスの女性ファンが失神するシーンがあったが、初期のビートルズ人気を支えたのは若い女性だったようだ。今ではアーティストっぽい扱いだけど、当時はアイドルだったんだなあ。
「歓声はすごいしアンプも今と比べるとしょぼかったのに、よくビートルズは音が拾えたなあ」と尾藤イサオ(だったと思う)が言っていたけど、その話、ビートルズのコンサート映像のドキュメンタリー映画でリンゴが「肩の動きなんかで歌っているタイミングを感じていた」と言っていたと思う。

加山雄三がビートルズに会った話。スキヤキ食べた話もしていた。この映画ではでなかったけど、以前(確かラジオだったと思うが)加山がビートルズに会った後、知人に「サインもらいましたか?」と聞かれて「サインはもらうものじゃなくてするものだと思っていたので、サインをもらう発想がなかった」と言っていたのを思い出す。

黒柳徹子は武道館公演を見ていて、隣の女性が失禁してお漏らしするのを目撃したとか。
ビートルズの武道館公演には右翼は反対していたそうで(たぶん愛国党の)街宣車が反対ビラを蒔いていた。

ビートルズが日本の音楽史に与えた影響は計り知れなく、ビートルズがあったからグループサウンズブームがあったし、作詞作曲を自分たちがやる、というスタイルが一般的になったのもやはりビートルズが業界を変えたという。
その直接影響を受けた世代が吉田拓郎とかの70年代前半の人、サザンの桑田はデビューは78年だがこのあたりだともう「作詞作曲は当たり前」になってきていて、奥田民生の世代では「ビートルズはスタンダード」という感覚ではないか?という話が出てきた。

そうかあ。ビートルズの解散は1970年だからサザンのデビューまで7年しかない。時間の感覚が体感的には違うな。もっと感覚があるかと思っていた。

ビートルズの曲はあまり出てこないから、音楽を聴きにいこうとすると物足りないけど、いろいろなエピソードが聞けてファンとしては十分満足出来た。よかった。





レジェンド&バタフライ


日時 2023年1月28日10:00〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン7
監督 大友啓史


東映70周年記念大作!
ストーリー省略。
戦国時代の武将、織田信長と濃姫が夫婦となってからの物語だ。
何せ東映史上最高の製作費という噂である。歴史的に有名な大合戦の見せ場に次ぐ見せ場と思っていた。

さにあらず。木下藤吉郎とか柴田勝家とか斎藤道三とか登場するけど、対して活躍なし。驚いたことに馬が出てくる合戦シーンなんかありゃしない。
そりゃ馬は出てくるけど信長が戦場に向かって駆けていく、とかで騎馬隊同士の決戦とかはない。今はもうそういう馬がいないのか?製作費が足らないの?東映史上最高なんでしょ?
だから合戦シーンは延暦寺の僧兵と白兵戦と本能寺の変のシーンぐらいで桶狭間の合戦もない。それでいいの?俺はそれほど時代劇好きじゃないから、いいけどさ。

信長はかっこだけの男で中身がなく、口ばっかの男として登場。初夜では信長があまりに威張り散らすので、濃姫が投げ倒すという展開。えっ、そういう信長像ってありなの?狩りの勝負を濃姫とするのだが、濃姫の方が圧勝。いいの、そういう描き方をして。俺よく知らんけど。

要するに信長の陰には軍師的なアドバイスを与えた濃姫がいて、濃姫が体調を崩してから信長の勢いがなくなった。かつての狂気にも似た勢いを取り戻してもらおうと光秀は徳川家康との食事の席で、光秀を叱咤する、という芝居を打つ。しかしそれは家康には見破られていて、光秀はもう信長を見限って本能寺の変に至った、という解釈。

へ〜、藤吉郎ばかりが重用され、自分は冷遇されたのでそれで信長を憎んだとかと思っていたけど、実際はなぜ謀反に至ったかはよくわからないようですね。だからこんな説もありなのか。違う、という証拠はないし。

本能寺の変のシーンで追いつめられた信長が本能寺の床下から逃げだし、濃姫と船に乗って新天地にたどり着く、という展開。「はあ?いいの?『柳生一族の陰謀』も真っ青だよ?」と思っていたら、これは信長のイメージシーンだった。ホッとしたと同時にそのくらいはじけてくれてもよかったかな(誉めるかどうかは微妙だけど)とも思う。

そんな中でも綾瀬はるかは本当に好演していた。はっきり言ってキムタクより迫力があった。キムタクは面長で、鼻の形などはよく見る信長の肖像に似ていて、見た目はいいのだが、それにしてもいつものキムタクである。この人はなにをやっても「キムタク」にしか見えないな。
徳川家康を演じたのは斎藤工だったとはクレジットを見て知った。

でもこの映画、興行収入の目標はどれくらいなのかなあ?
なかなか厳しいと思うよ。




ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団


日時 2023年1月22日
監督 東條昭平
製作 1974年(日本公開1979年)


太陽が地球に近づき始め、地球では雨が降らなくなり干ばつに襲われていた。タイの少年たちも雨乞いの踊りを始めた。
その中でコチャンはみんなが踊っている近くで古い仏像の頭部を盗む泥棒を目撃した。正義感の強いコチャンはその泥棒を追いかけるが泥棒はコチャンを殺してしまう。遠いM78星雲からこの様子を見ていたウルトラの母はコチャンをM78星雲につれてきて、タイの伝説の英雄、ハヌマーンとして生き返らせる。
一方、雨対策として若きヴィルット博士は人工雨のロケットを完成させ、それを実行に移していた。
ハヌマーンは地球に帰り、仏像泥棒を倒し、日照りで日射病になっていた友達のアナンを助け、宇宙に行き太陽に地球に近づき過ぎだから帰ってくれと頼む。太陽は願いを聞きれてくれた。
ヴィルット博士の実験ロケットは成功。小雨が降った。続いて本格的に連続してロケットを打ち上げようとした時、機器のトラブルが上層部から報告され、実験中止命令が出る。自分のロケットに自信を持つ博士は実験を強行。だが博士の予想に反してロケットは次々と自爆を始めた。
地割れが起こり、その中から5匹の怪獣が現れた。
ハヌマーンは5匹の怪獣たちと戦いを始める。それを見たウルトラ兄弟、ゾフィー、マン、セブン、新マン、エース、タロウはハヌマーンに加勢する。


タイではウルトラマンも人気だそうで、「キングコング対ゴジラ」の頃に円谷プロに見学に来ていたチャイヨープロのソンポート・センドゥアンチャイが74年にタイで製作した映画。日本では70年代後半のウルトラマンの復活の波に乗って「実相寺昭雄監督 ウルトラマン」と同時公開された。
日本でのソフト化はVHS、レーザーディスクまでは発売されたが、その後、円谷プロとチャイヨーの権利関係の裁判による関係悪化のためらしいが、DVDにはなっていない。まあなったところで売れるかどうか微妙ですが。

この時に見ていて今回40数年ぶりの鑑賞だったのだが、内容は全く忘れていたが、ハヌマーンが奇妙な体勢(卍のような形)で飛行するシーンとやたらと手を動かしての喜びの踊り(そんな感じなのだ)はよく覚えていた。
とにかくハヌマーンはこれで覚えたし、今でも忘れられない。

お話の方はほんとにテキトーで、最初の「太陽が地球に接近する」という危機はあっさり回避される。(そもそも太陽が地球に近づく、ていうのがなんだか変なのだが)
日本版タイトルに偽りありなのだが、主役は完全にハヌマーン。だからウルトラマンたちは1時間過ぎてから登場する。
怪獣もゴモラ以外は私は知らない怪獣。Wikiなどによると「タロウ」などに出た怪獣らしい。
(ロケット基地の職員が「タロウ」の隊員服を着ているから、たぶん着ぐるみが手近にあったせいなのかも知れない)

それにしても泥棒がコチャンを銃で撃ち殺すとかで残酷である。
そして今回思ったのが、怪獣対決でも残酷なのだな。ある怪獣は頭の皮をはぎ取られて頭蓋骨だけになって、さらに手の皮(肉)も引っ張られて骨だけになる。さらに「骨にしてやる!」的なことをハヌマーンが言って実際に骨だけになるという残酷な倒し方。日本人の発想では出てこない倒し過多だと思うが、脚本に書いてあったからそう撮ったのだろうか?

脚本は映画では若槻文三単独のクレジットだと思うが、Wikiではソンポートと淡豊明(この人、検索してもこの映画しか担当作品が出てこない)と3人の共同。まあソンポートが書いたシナリオを映画化し、日本語版の台詞とナレーションを若槻さんが書いたのだろうか?

とにかく円谷プロがハヌマーンを映画化し、それにウルトラマンがゲスト出演したという形の映画。出演者も素人臭い人ばかりで、「2gether」を撮ったタイとは全く別物のタイ映画。
珍品は珍品ですけどね。









俺たちの絆


日時 2023年1月21日13:20〜
場所 光音座1
監督 山崎邦紀
製作 OP映画
(山崎はポスターでは「崎」、チラシ等の表記では「タツ崎」)


多摩の領主・村野家の三男、国利(平川直大)は恋人米村タカシと結婚の報告をしようと故郷に帰ってきた。故郷の家は長男の作蔵(なかみつせいじ)が守っていた。作蔵は村野家の顧問弁護士のフクダと愛し合う仲であったが、家の存続のために国利に結婚させ男の子を生ませようと計画していた。
タカシを作蔵に紹介した国利だが、案の定大喧嘩になった。
その家には次男がいたが、タマキチという名前だが、作蔵も「お前のタマは多摩ではなく、金玉の玉だ!」と食事中に言い放つぐらいの変わり者だった。そのタマキチはその家に住んでいるおじさん(荒木太郎)とは仲がよかった。
その晩、国利とタカシは家の大浴場に入る。そこへフクダと一緒になった。二人が出て行ったあと、フクダはタカシにキスされる夢想をする。
そして翌朝、タカシは散歩に出ようとしタマキチに「どこかいい散歩する場所はないか」を訪ねたところ、タマキチは土蔵に連れて行き、そこでおじさんも交じって体を重ねる。
国利と作蔵は再び話し合ったが、やはり平行線。そこへおじさんが現れ、「実は私は君たちのお父さんの恋人だった。君たちのおかあさんは単なる子宮でしかなかった」と告白し、話し合いはまたお開きに。
国利とタカシは意外な展開に驚く。そこへフクダがやってきてタカシの名字が米村ということを確かめる。フクダはこのタカシという男に何かを感じていた。


久々の光音座。最近は観た映画ばかりなので、自然と足が遠のく。今日の同時上映は「青春肉弾戦」(工藤克己主演映画だ)。こちらは脚本・山崎、監督・浜野佐知なので、今週は両方とも山崎脚本だ。

結局その本作では、「血統」「家父長制」批判の映画で「そんなことより個人が輝いている方がすばらしい」的な主張である。
それにしても国利は元パンクロッカーという設定で金髪、そしてタカシはその仲間という設定らしいのだが、主演の二人がまるで魅力がない。

同時上映の「青春肉弾戦」の工藤克己はまあイケメン枠なんだが、この映画の主演二人はまるで男優としての魅力なし。
少なくともゲイ映画で観客に魅力を感じさせるとは思えない。
特にタカシは周りを魅了するような男でないと話が盛り上がらないのだが、40歳ぐらいのショートカットのヘアスタイルで、革ジャンとか着てロッカーっぽくしてるけど全然魅力なし。山崎は誰に向けて映画を作っているのか。

で、このタカシという男が、この近所で昔領主に重税で苦しめられた一家の末裔らしいとフクダが解説する。横溝正史的な地縁血縁の怨念、みたいなものを出したかったのかもしれないが、そもそもフクダの説明でちょっろっと解明されるだけで謎解き的楽しさはまるでなし。
(光音座は音が悪く〜単に小さい?〜2回目に観て初めてタカシの秘密が分かった)
そもそもタカシの役者には周りを魅了する魅力は感じないし、単なるこじらせた不良中年にしか見えない。

で結局また作蔵と国利が大喧嘩になってフクダと作蔵が恋人関係と分かってさらに大喧嘩で、そこへタカシも加わって作蔵が犯し、その作蔵を国利が犯し、タマキチも犯し、フクダも犯すという(順番は違ったかもしれない)大団円だが、ロングでワンカットでやってるだけだからまるで盛り上がりなし。
山崎は小林悟とは違った意味でゲイ映画に対してやる気を感じない。

そんなより荒木太郎が口ひげ姿で登場し、なるほど昭和天皇っぽい。例のお蔵入りされた映画、なんとかならんかな、と改めて思った。







姉妹相姦 いたずらな魔乳


日時 2023年1月14日13:35〜
場所 上野オークラ劇場1
監督 渡邊元嗣
製作 OP映画


買い物大好きな玲奈(ティア)はカード破産寸前。姉の有希子(真木あずさ)も今回は助けてくれない。
自殺を見せかけて同情させて借金を肩代わりさせようとする。彼氏のユウタ(久保田泰也)は金持ちの息子だが、今は親に勘当されこちらも自殺寸前。過去の男も組長の奥さんと不倫して逆に殺されそうになっているとか全く当てにならない。
そんな時、有希子が以前つきあっていた宏(野村貴浩)がやってきた。妻と別れたので有希子と一緒になりたいとかいうけど、実は会社の金を使い込んで、その穴埋めをしないと逮捕されるという立場。本音は有希子の金が目当てだった。


3本目。こちらは別に目当てではなかったのだが、初めて見た女優さんだったが、ティナが美人だった。
ハーフなのか日本人離れした顔立ちで、しかも脱ぐとおっぱいは丸くて大きい。たぶん2000年代の映画だと思うけどなかなかのレベルだ。
「ティナ 女優」で検索すると玉城ティナしか出てこないので、詳細はよくわからないけど。

しかしせりふというか演技はだめだめで、ここまで素人なのも珍しいレベル。ただし美人なので、とにかく画面には映える。

結局、宏にもだまされそうになる二人だが、宏は逮捕させて(その前に宏と玲奈と有希子の3Pのシーンという豪華なシーンがある)、有希子の貯金で玲奈のカードローンは完済するという結末。
私だったら何らかの方法で借金を返済する結末を選びますけどね。姉の貯金はなくなっちゃたんだし。
ティナの爆乳が見所の、それだけで十分な映画でした。





魔性の、香り


日時 2023年1月13日
場所 上野オークラ劇場1
監督 池田敏春
製作 昭和60年(1985年)
(タイトル表記は映画本編では「魔性の、香り」と「、」があるためその表記とした)


出版社につとめる江坂(ジョニー大倉)はある雨の晩川に身を投げた女を助け自分の部屋に連れて行く。女の名は秋子(天地真理)。彼女の話では大阪に住んでいたが、夫の嫉妬と暴力に耐えかね逃げてきたのだという。
秋子はとりあえず江坂の部屋に住むことになった。
3ヶ月が経った。江坂はいきつけの喫茶店で、ある男が電話で秋子という女とデートする約束をしている聞いてしまう。翌日、その男は殺された。
新聞社につとめる義兄に聞いてみると警察の調べでは滝村豊(高野長英)という男の名刺が現場に落ちており重要参考人だという。秋子の夫の名前も滝村だった。
江坂はその容疑者の滝村を訪ねる。滝村は温厚そうな男だった。秋子から聞いた話とは違う。滝村は今は赤羽に住んでいるし、東京生まれの東京育ち。滝村の話では嫉妬深くて暴力を振るうのは秋子の方だという。滝村はそんな秋子がイヤになって別に女を作ってしまったが、それが原因で暴れたのだという。
江坂は「秋子が滝村に罪をかぶせるために江坂が喫茶店で会ったことのある男を殺したのではないか」と考えるようになった。
その疑問を秋子にぶつける。彼女は聞き終わってトイレに立った。その時にまだ聞いていなかった留守電を聞いてみたら、義兄から連絡が入っていた。殺人事件の犯人は滝村の内縁の妻の方で、秋子に罪を着せようとしていた、という。
江坂は屋上に向かった。秋子が飛び降りる姿を見た。


天地真理である。1970年代に清純派アイドルとして活躍したが、いつの頃からか迷走し出す。そしてにっかつロマンポルノに出演して話題になった。当時ちょっと話題だったがポルノ映画はあまり見る範疇ではなかったので見なかった。今回「ヒールズ」との同時上映されるので、いい機会と思って観てきた。

思った以上に面白く、ラブサスペンスとして十分に楽しんだ。このジャンルとしては傑作だ。
「かわいそうな女を自分の家に入れて最初はよかったけど、徐々に女が疑い出す」というの、いいですねえ。私も経験があるから解ります。

最初は一応疑うんですよ。この映画でも助けた翌日に仕事に出るときは江坂も銀行の預金通帳は引き出しから出して自分の鞄にいれている。しかし体の関係を持つようになって許し始めるんですよねえ。
でも素性を知らない女だから、どこか疑ってしまう。

そんな男の心理をついた良質なサスペンスでした。

天地真理はおっぱいはあまり大きくなく、それほどでもない。彼女って実はちょっと豚鼻なんですが、それでも笑顔が愛嬌があって庶民的な感じがよかったんでしょうね。
彼女も鬱病になったのかテレビの生中継で歌を歌うことがあって、そこで急に歌えなくなって放送事故レベルの放送を観たことがあった。その後(だったか)ヌードもある写真集の発売があってこの映画の出演があった。
調べてみたら現在71歳。お元気かなあ。







あっぱれヒールズ びっくびく除霊棒


日時 2023年1月14日10:30〜
場所 上野オークラ劇場1
監督 塩出太志
製作 OP PICTURES


ヒールズの3人、あゆみ、マキ、茂子は「怪しい事件を何でも解決する」とテレビで紹介された。
その番組を見て死んだと聞かされていたあゆみの両親が訪ねてきた。驚喜するあゆみ。その頃マキのところにもテレビを見た女性がやってきた。「朝になると知らない男性の家にいるんです」。両親との再会に忙しいあゆみはおいて、マキと茂子で今回の事件に立ち向かう。
その女性には死神がとりついて若い男性の精液を吸い取ろうとしていたのだ。女性の意識の中に入り死神と対決するマキと茂子。マキがあゆみに連絡を取り、なんとか死神を倒した。しかし死神はあゆみの母親にとりついていたのだ。
しかし翌朝、3人ともおばあさんになっていた!元に戻るには吸血鬼の血を飲めば戻るらしい。吸血鬼を探す3人。やっと見つけたが吸血鬼の妻は死神だった!つまり吸血鬼はあゆみのお父さん!


ヒールズシリーズ最終作。冒頭に今までのダイジェストが出たが、だいたい記憶にあったので、たぶん全部見てるかな。今回が(私にとっては)3作目。

今までに登場した折笠慎也のDV男とか、緑人間のスーシーとか、謎の侍など過去キャラの再登場で最終作にふさわしい豪華さ。
それにしても死神と対決するシーンなどCGとかの合成で、ピンク映画ではないような画作り。もはやピンク映画のジャンルを越えて「ゴーストバスターズ」的コメディだ。

しかしオークラ映画のような低予算でもこれだけグリーンバックによるCG合成が出来るようになったから安くなったものだなあ。

裸になるのは主にきみと歩実と西山真来だが、裸は全面に出てこず、コメディに徹した点がよかった。




ようこそ東映殺影所へ


日時 2023年1月9日
場所 東映チャンネル録画
監督 高橋浩
製作 令和3年(2021年)


底辺アイドルグループ「WISH」のサキ(桃月なしこ)、カホ(寺本莉緒)、メイ(工藤遙)の3人は東映のホラー映画「ユガミ」の続編への出演が決まり、大泉東映撮影所にやってきた。
初めてのメジャー作品に興奮する3人。助監督の古田(若林元太)に撮影所を案内してもらったが、「スマホ禁止なので」と古田に預けさせられた。途中で捨てられた死体のマネキンは妙にリアルだ。
監督に挨拶したが、撮影に集中してるせいかろくに挨拶もしてくれない。
昼の弁当は叙々苑の焼き肉弁当でその豪華さに3人は喜ぶ。
夜になり、本番が近づくがカホが緊張のせいかせりふが出てこない。メイはあきれてその場を抜け出し、別のスマホで知り合いのプロデューサーに連絡を取る。彼女は枕営業もしてるのだ。
しかし電話をしてるとき、何者かに襲われた。2階の窓からメイが屋上から落ちるのを見るサキとカホ。驚いて外に出ると今度は自分たちが映画に登場する怪物に追いかけられる。
出演者の岩井(富田健太郎)に助けられる。


東映撮影所を舞台にしたホラー映画。
こんな映画いつ公開したんだ?と思って調べてみたら配信専用だったらしい。とにかく低予算で何でもつくらにゃいけない現在は大変だ。
この映画、全編東映大泉撮影所で撮影されている。撮影所の前の道でも(スーパーがある)撮影されている。

結局「ホラー映画に出演できると思っていったら、その映画は撮影中にホントに人を切り刻んで撮影していた。だから殺される役で底辺アイドルが選ばれた」という話。
監督が田中要次で撮影所長が嶋田久作。撮影所長ってそういう権限があるのか?と思えなくもないが、まあいいでしょう。現実とは違うんだから。

サキがカホを助けるために、別の班の特撮用着ぐるみの中に隠れて脱出するアイデアはよかったと思う。
で、オチをどうつけるか?夢オチか?

と思いきや予想と違った展開。
カホはいったんは警察に行くが、次のカットでは撮影所長と対峙している。それで「あたしたちはマネキン。でも別の服を着せれば輝き方も違います」と言って全裸になる。

いやいやそれはまずいでしょう。エロドラマならともかく、一応ホラー映画のジャンルなんだから。それに枕営業を肯定的に扱うラストってどうよ?

2022年に榊英雄監督のセクハラ事件があってから、「もうそういうのは止めよう」という空気になっている。(現実に無くなったかは知らないけど)
2021年作品だから、まだ榊監督の件が明るみに出る前。
その当時はまだありだったかも知れないけど、こういう枕営業を肯定的に扱うのはどうかな?と思った。

まあ46分の中編だし、飽きる前に終わったのでよかったです。







恋のいばら


日時 2023年1月9日15:50〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12
監督 城定秀夫


ダンサーを夢見てクラブでバイトしている莉子(玉城ティナ)はカメラマンの健太朗(渡邊圭祐)とつきあっていた。ある日、バスの中で桃(松本穂香)という女性に話しかけられる。話があるというのでついて行くと、桃は健太朗の元カノだという。桃の友人がリベンジポルノで交際中に撮った写真がばらまかれて仕事をやめなければいけなくなったりして、自分も健太朗に写真を撮られたので、それを削除するのを手伝ってほしいというのだ。最初は断った莉子だったが、自身も健太朗との仲に不安を感じ、自分の写真を削除するためにも協力することにした。
健太朗は自宅に認知症になっている祖母(白川和子)と同居している。まず莉子は健太朗のパソコンのパスワードを盗み見る。桃が鍵を持っていたので家に入ろうとしたが、カギが変わっていた。
莉子は健太朗に映画を誘われたため、二人で見に行く。映画館の中で健太朗の鍵を抜き取り、桃に渡し映画の間に合い鍵を作ってもらった。
鍵は出来たがドアチェーンがかかっていた。祖母がチェーンをかけたのだ。


新作連発の城定秀夫。12月に「夜、鳥たちが啼く」が公開されたと思ったら1ヶ月経たないうちにもう新作である。
内容はほとんど知らずに観た。

桃が「私は健太朗の元カノ」と話しかける。ここで違和感があった。桃は図書館につとめ地味なタイプ。一方莉子はダンサーで派手目なタイプ。真逆の二人が同じ男性とつきあうだろうか?と。
その違和感は正しく、途中で桃は「私は健太朗の元カノじゃない」と言い出す。

このあたりから映画は急展開を始める。
映画の冒頭で、莉子は健太朗の部屋にあった珍しい洋書の写真集を同じ本とすり替える。そしてその本をゴミ捨て場に捨てる。その光景を見ていた桃はその写真集を拾う、という様子が示される。
果たしてこの写真集は何なのか?

途中でこの写真集は桃が渡したものと解る。ほかの女が渡したものが彼氏の部屋にあるのが許せなかったのか?
また桃は本心では莉子が「なりたかった自分」に見えたという。

二人の微妙な関係はよく解らないながらも共感するものがあった。
不思議なラブサスペンスというべき映画で、「悦楽交差点」を思い出させる良作だった。

本作、オリジナルかと思ったら「ビヨンド・アワ・ケン カレと彼女と元カノと」(2004年)という香港映画のリメイクだそうだ。
城定監督も公式HP内のインタビューで言ってけど「あまり日本では知られてない映画」だそうで。こちらもちょっと観てみたい。

最後の方で健太朗のカメラマン助手役で平井亜門出演。
なんかうれしかった。






暴走機関車


日時 2023年1月8日
場所 DVD
監督 アンドレイ・コンチャロフスキー
製作 1986年(昭和61年)


真冬のアラスカの重犯罪者刑務所。囚人マニー(ジョン・ボイド)は3年間の独房は不当な扱いだという裁判に勝訴し、独房を出た。もともと所長のランキンににらまれてのことだったが、恥をかかされたランキンは囚人の一人にマニーを殺させようとしたが失敗した。マニーは脱獄を決意、洗濯物係のバック(エリック・ロバーツ)の助けで脱出でき、バックも同行していた。
鉄道操作場にたどり着いた二人だったが、ある4連の機関車に乗り込んだ。しかしその機関車は発車直後機関士が死亡し、暴走を始めた。
だがマニーとバックはその事実を知らない。


黒澤明が「トラ・トラ・トラ!」の前に企画して結局流れた映画がこれ。
原作脚本として黒澤明の名前もクレジットされている。
以前「サブウエイ・パニック」と2本組でDVDとして発売されていて、安かったので購入してみた。公開時、劇場でも見ている。公開は1986年、「トラ」以前としても黒澤が企画したのは1968年頃だろうから、まだ20年経ってなかったんだ。公開時は「ずいぶん古い企画を持ち出したなあ」と思ったけど、今になってみるとそれほどでもない。何せこの映画を見てから37年経っているのだから。

以前見たときは面白かった覚えがないのだが、今回はまあ楽しめた。少なくとも今日DVDで見た3本(3本ともいわゆる額縁再生だった。これって気になるんだよなあ)の中では一番面白かった。

しかし根本的に乗れないんだよな。まず主人公の設定。
凶悪犯なのである。所長から不当な仕打ちを受けたという設定だが、マニーの犯した犯罪について詳しくは説明されない。マニーが無実の罪で収監されているとかなら解るけど、凶悪犯でしょ?なんか好きになれないのですよ。所長のランキンもひどいけど、悪い奴と悪い奴が戦ってる感じで「好きにしてくれ」って気になる。

前からの貨物車が引き込み線に完全にいかなくて最後部と衝突するとか、老朽化した橋がわたれるか、とか見せ場は数カ所用意されている。
しかし根本的に囚人二人と機関助手1名、危険になる人間の数が少ない。
それに脱走犯二人なら「仕方ないんじゃない?」って気になり、どうにも盛り上がりが少なくなる。

最後にこのままいくと化学工場が危険になる、ということでこの機関車は引き込み線に誘導される。そして所長自らが機関車の乗り込んでマニーと対決する!となる。
所長自らが凶悪犯と対峙するのもなんだかあり得ない感じだし(所長はそういう現場上がりではなさそうだから)、第一、ヘリで乗り込めるなら最初から救助隊が1両目に乗り込んで列車を止めればよかったんじゃない?

バックの方も「1両目にはいけなかった」ってすごすご帰ってくるし、所詮は強姦野郎でしかない。
なんかいろいろと惜しい映画だったな。








トリュフォーの思春期


日時 2023年1月8日
場所 DVD
監督 フランソワ・トリュフォー
製作 1976年(昭和51年)


フランスのある地方都市。パトリック(ジョーリー・デムソー)の小学校にジュリアン(フィリップ・ゴールドマン)という少年が転校してきた。
校長は担任に「前の学校で問題児だったらしいから気をつけて」と注意を促す。
この町の子供たちは元気でいたずらばかり。
小学校の健康診断の日、レントゲン写真で裸になったらジュリアンの体にはたくさんの痣があり、虐待を受けていたことが発覚する。
パトリックは夏休みの林間学校で知り合った女の子とキスをした。


この映画は公開当時にもみている。当時、「がんばれ!ベアーズ」とか「ボーイズ・ボーイズ」とか少年少女を主人公にした洋画が時々あったのだ。なんとなく同世代の子が出ている映画には興味があって、映画の内容が「大人の見た子供だなあ」と思いつつも見ていた。

タイトルに「トリュフォー」というけど、当時の私はまだトリュフォーの映画は見たことがなく、「未知との遭遇」に科学者役で出た人で俳優としても活躍する、というイメージしかなかったと思う(確認したら「未知との遭遇」は78年で後だった)。今でもトリュフォーの映画って見てないけど。
(今調べてみたら1984年で52歳で亡くなっていたんだな。若いなあ)

この映画、大きなストーリーがある訳ではなく、子供たちの日常を描いたエピソードが続いていく。
2歳になったグレゴリーは母親が近所の女性とおしゃべりに夢中になっている間に買い物かごにあったパスタをめちゃくちゃにする(でも母親が怒るシーンはない)、母親が財布を捜しに家を出た間に10階のマンションの窓から落ちてしまうが、けろっとしている。
このグレゴリーのエピソードはイライラ、ハラハラさせられる。

またシルヴィーはお気に入りの汚れたバッグを持って行くいかないで両親に怒られ、両親だけが食事に出かける。そうすると拡声器を使って「お腹がすいた、お腹がすいた」の大声を出す。見かねた近所の人たちが食べ物を差し入れる。このエピソード見てると子供が嫌いになる。

まあそんな感じでほほえましくもあり、イライラもさせられる。
今Wikiで調べてみたら、トリュフォー自身も親の離婚でいろいろあったらしく、ジュリアンのエピソードは自身の過去を投影していたのかも知れない。ジュリアンが無銭で映画を見るエピソードも出てくるし。

ジュリアンについては先生がみんなに報告する形で「子供というのものは選挙権もないし、不自由なものだ」という趣旨の発言をする。やっぱり自分の子供時代のいらいらが投影されていると考えても無理はないだろう。

最後はファーストキスで終了。
ここは微笑ましい終わり方でよかった。
トリュフォーのデビュー作「大人はわかってくれない」が見たくなった。




若き勇者たち


日時 2023年1月8日
場所 DVD
監督 ジョン・ミリアス
製作 1984年(昭和59年)


世界が不安定になり、NATOも解散した頃、コロラド州のある町の高校ではいつものように授業が行われていた。しかし校庭に無数のパラシュートが降りてきた時から一変する。ソ連を中心とした軍隊がアメリカに攻めてきたのだ。
マット(チャーリー・シーン)は兄のジェットや友人たちと車で逃げる。山に逃げるため、父のガソリンスタンドにより、食料品なども持ち山に逃げる。1週間程度は山で仲間6人と暮らしていたが、状況を確認するために山を降り知り合いの家に寄った。そして町は敵に占拠されていると知る。そこでエリカとトニーという二人の少女も預かることになった。
町の人々が敵に虐殺されていると知ったジェットたちは、ゲリラとなって戦うようになり、自分たちのことをアメフトチームの名前にちなんで「ウルヴァリン」と名乗り、次々と敵を攻撃していく。


筆者は高校時代に「日本に敵が侵略し、いままで平和を当たり前だと思っていた高校生が平和のありがたさを知る」という舞台用の脚本を書いたことがある。その脚本は様々な事情から上演されることもなく終わった。
その後、この映画が公開されたが、まあ特に評判になっている訳でもないし、観なかった。数年前にディスクユニオンでセール品で安く買えたので購入したが、そのままになっていたDVD。今回の休みはそういう映画を出来るだけ消化するのが目的なので、鑑賞。

はっきり言ってつまらん。
私が考えた脚本では確か高校生が安全地帯に逃れるまでの数日間を描いたものだったが、この映画は映画内時間が長いのである。

単なる高校生だったのにやたらと強い。銃の撃ち方を知っているのはアメリカならでは。子供の頃に鹿撃ちに連れて行ってもらった、というエピソードも出てきて「ディアハンター」の世界である。

で、話の縦軸(話がどこに向かっていくか)が全くなく、脈絡なく戦闘のエピソードが積み上げられる。女の子がおとりになって敵兵が追いかけてきたところを穴から出てきて襲うとか、途中でパラシュートで落ちてきた空軍パイロットを助けて一緒に戦ってもらったりとか、雪の中での戦いとか。
そういう戦闘シーンはそれなりにアクション映画としての見せ場にはなってるけど、縦軸がないので、「それでどうなるの?」という気にしかならない。

また若者のメンバーも8人ぐらいいるのだが、個性的に描き分けられてないので、減っても別に思いがわいてこない。これが「七人の侍」のような描き訳があったらまた違ったと思うのだが。
こういう戦闘が1年ぐらい続き、主人公のジェットとマットの兄弟が他の2人のメンバーを安全地帯に送る途中で戦死して終わる。
映画の中では戦争が終わるまで1年ぐらいかかったみたいだ。
やっぱり縦軸(目標)はほしいですよ。

本作の現代は「レッド・ダウン」。てっきり「赤(共産党)が降りてきた」という意味かと思っていたら「DOWN」ではなく「DAWN」なので「赤い夜明け」と訳すのが正しいらしい。もっとも「DOWN」とかけていたのかも知れませんが。




ファミリア


日時 2023年1月7日19:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン1
監督 成島 出


陶芸を生業としている誠司(役所広司)の息子・学(吉沢亮)が仕事先のアルジェリアから帰ってきた。現地で知り合った女性ナディアと結婚する報告をするためだ。施設で育ち、妻を早く亡くした誠司にとって喜ばしいことだった。
そんな時、近所の団地に住むブラジル人のマルコスが半グレ集団に追われているのを助ける誠司。お礼にと彼らのパーティに招待され、マルコスの恋人のエリカとも親しくなる。学とナディアは一旦アルジェリアに帰ったが、学は仕事が一段落したら会社を辞めて誠司と一緒に陶芸をするつもりだった。
マルコスたちが半グレに追われているのは、マルコスの仲間が彼らの金を持ち逃げしたからだった。その金を代わりに返済しろといわれるマルコス。
事情を知った誠司は施設仲間だった刑事(佐藤浩市)に相談するが、証拠が無くて手が出せないという。
そんな時、学の働くプラントがテロ組織に占拠され、学もナディアも人質になるという事件が起こった。


役所広司、吉沢亮が親子役で共演!である。それだけで私には観る価値がある。期待していたので、暇も手伝って昨日初日で2日目に観てきた。(午前中の上映では舞台挨拶もあったようだ)
しかいはっきり言って期待はずれ。

もう話がとっ散らかっているのである。
後半になると半グレに追われるマルコスの話と学たちがテロに合う話と平行してきて、まるで2本の映画を同時に見させられてる気分になる。

誠司はテレビのワイドショーで「犯人たちの要求は実は金だ」とワイドショーでコメンテーターが無責任にいうと自分の家を担保に1000万円借りようとする、また義理の兄夫婦も数百万だすと言い出す。さらにそれをもって首相官邸や外務省に押し掛けるのだよ。
おいおいそんなのだめに決まってるだろう。いっそアルジェリアに行くならまだ解るけどさ。

んで佐藤浩市の刑事から半グレのリーダーがなぜそんなにブラジル人を憎むかが語られる。曰く「ブラジル人が海岸で夜通しでパーティをして、その帰りのバスが幼稚園児の列に突っ込んだ。運転手も酔っぱらっていた」からだそうだ。その運転手はブラジルに帰ってしまい、半グレは1年かけて追いかけたが死んでいた、そうです。
そりゃもっともだ。いや、もちろんマルコスが悪い訳じゃないないけど、団地でもパーティやってバカ騒ぎしてるし、そりゃ恨みたくもなる。

マルコスたちに覚醒剤を渡し「これを団地の奴らに売ってこい。そして金を作れ」と言われる。それをヤクザにマルコスたちは売ろうとする。そりゃもめるよ。
話がてんでバラバラにあちこちに広がっていく。

さらに描写で半殺しにあって帰ってきたマルコスはエリカと屋上でセックス。おいおい今セックスしてる場合かよ!
完全に話が崩壊してるよ。

これだけ散らかった話だけど、最後は昔ちょっとワルだった誠司が一肌脱いで半グレに自分が刺されるようにし向け、警察に逮捕させる。
この展開は解る。いっそ誠司が「昭和残侠伝」ばりに殴り込んで殺してほしかったけど。

そうは言っても話はまとまるもので、マルコスが誠司の陶芸に興味を示し、「俺にも仕事教えてください」という。
つまりはマルコスと誠司は疑似親子になっていくという終わり方。

しかし話の散らかり方は私に言わせれば尋常ではない。私なら学がブラジル人の娘と結婚すると言い出し、最初は誠司も戸惑う。しかしやがて学は死んで、誠司の妻になる予定だった娘の幼なじみとか、弟のブラジル人と疑似家族になっていく、なら解るんだ。
またはアルジェリアの話は完全に回想とか、誠司の身の上話の設定だけにして、マルコスがやがて疑似の息子になっていく、でも解る。

「ブラジル人が娘と妻を殺して恨んでいる」という設定があるとどうしても半グレの兄貴を憎みきれなくなる。そりゃ恨むよ、ブラジル人を。

しかし「終末の探偵」といいこの「ファミリア」といい、「外国人との共生」がモチーフになる映画が2本同時に公開されているというのは、これからの日本を象徴している感が拭えない。
実に興味深い。




姿なき訪問者


日時 2023年1月7日
場所 DVD
監督 W・リー・ワイルダー
製作 1953年(昭和28年)


アラスカ上空で時速8000Kmで飛行する未確認物体を空軍がレーダーで探知。その物体は南下し、カリフォルニアのサンディエゴ沖で消滅した。その夜の7時頃からテレビやラジオの受信障害が起きる。
通信委員会のヘイズは調査に向かう。妨害電波の発信元付近に行くと女性が「夫と友人が謎の人間に襲われた」と言ってきた。ハヴァーズ刑事が出動。しかし「犯人はヘルメットをかぶった大男で、中の頭は見えなかった」と証言。刑事は最初は単なる殺人事件と判断。しかし妨害電波の発信場所が移動し移動先でまた殺人事件が起こった。また近くの石油精製所で火災が発生。目撃者は最初の証言と同じヘルメットをかぶった大男を見たという。
奇妙な事態を上部に報告する刑事だが、ワイアット博士を訪ねろと言う指示。訪ねて見ると博士の研究室には空軍少佐もいた。少佐の話では例の未確認物体とも時間が合い、未確認物体に乗ってきた可能性を指摘。
再び電波障害の場所に行ってみると、博士たちも例のヘルメットの男を見た。ある部屋に追いつめて入ってみたが、例のヘルメットや服があるだけだった。
その服やヘルメットを研究所に持ち帰り点検してみたが、服の繊維はまったく見たことがないもの。
博士の助手バーバラを部屋に残して博士たちは部屋を出たが、そのヘルメットが宙に浮いた。そう、宇宙人は人間には透明なのだ!


すっと以前にやたらとディスクユニオンに通って中古DVDを買いあさっていた頃、100円で売っていたので購入。基本、50年代のゆる〜いSFは好きなのです。

DVDのジャケット全身銀色(だと思う。白黒だから)の半裸の男が美女を抱き抱えてる写真が使用されている。いつになったら姿を現すのかと思ったらこの宇宙人が死ぬ直前。つまりジャケットは詐欺です。

宇宙人の造形を考えたりするのが面倒になったのか「だったら透明人間でいこう」と安易さばかりを追求した感じ。話も一晩の話にして切迫感を出したのはよかったけどさ。

宇宙人ははさみで机を1回、2回、3回とたたいてなにやらモールス信号のような意思表示を行うが、これがなにを言ってるか博士にも意味不明。
ヘルメットは彼の呼吸用だが、地球の空気はあわないようだが、短時間なら生きてられる設定。
最後は窒息死するんだけど、最後に姿を現して叫んでいるような仕草をするが聞こえない。これが博士によると「人間には聞こえない周波数なんだろう」とどこまでも安易。

結局宇宙人の目的も素性もなにも解らず映画は終わる。
観客に喧嘩売ってるのかと思わせる安易さだが、こういうSFは嫌いにはなれない。
でもDVDは売っていいな。(売れそうにないけど。もともと100円だしな。今はアマプラで見られるようです。

ちなみに監督の弟も映画監督で、ビリー・ワイルダーという名前だそうで。兄弟仲は悪かったそうで、それも当然でしょう。案外、弟にお金でも借りていたのかも知れない。









U−571


日時 2023年1月7日
場所 DVD
監督 ジョナサン・モストウ
製作 2000年日本公開


第二次大戦中、大西洋ではドイツのUボートが幅を利かし、その被害は甚大だった。アメリカ軍はあるUボートが攻撃により故障し、救助を求めていると知る。米海軍は米軍潜水艦をドイツUボートに偽装し、助けにいく振りをして暗号機エニグマを奪取しようと計画。
計画は順調に行ったが、エニグマを奪取して自分たちの艦に戻ろうとしたところを攻撃を受け、艦は沈没した。仕方なく一行はUボートに戻り、これを修理しつつ脱出を試みる。この戦闘で館長は戦死。副長だったタイラー大尉(マシュー・マコノヒー)以下数名の乗員でUボートを動かし、帰還しようとする。
しかしドイツ駆逐艦に発見され、攻撃を受けることになる。


2000年9月日本公開のこの映画、公開時に観ていると思うがよく覚えていない。しかもサイトを始める前だから記録も残っていない。
でも面白かった覚えはあったので、ずっと以前に中古で買ったDVDがあったので鑑賞。

確かに面白い。
アメリカ人が敵のUボートを奪って計器も読めない中、情報部からこの作戦のために派遣されたエメット大尉とドイツ系のウエンツのドイツ語を訳してもらいながら操縦はハラハラする。

故障を直しながらの戦闘で、艦は100%の力を出せないというハンデ付き。駆逐艦の爆雷を交わし、急速潜行して、水圧でボルトが飛び出し、水が進入してくるという潜水艦ものおきまりの展開で進む。

観てる間は全然飽きないのだが、これが「もう1回観たい」とかはならない。
何故だろう?

考えてみたけどやっぱり主人公の副長のキャラクターが問題ではないではないだろうか?
作戦が始まる前の副長は「私はどうして艦長に昇進出来なかったんですか?それはあなたの推薦がなかったからだ」と艦長に詰め寄るシーンから始まる。

いや〜なんかこういう自信家のキャラは苦手である。それでまあ艦長は戦死し、必然的に彼が艦長になって指揮を執るが結構頑張って戦いには勝つという訳だ。
ベテランのクロフ軍曹(ハーベイ・カイテル)に「『俺もどうしていいかわからん』なんて言っちゃだめですよ」と諭される。
このクロフ軍曹が、年齢的にも近い感じで、親近感を感じた。

あとやっぱりスターかな。顔をよく知っている役者がいないとやはりどうも・・という感じである。
メイキングを観るとU571の実物大レプリカを作ったとか。まだまだCGが万能ではない時代の撮影を感じさせる。






非常宣言


日時 2023年1月6日11:45〜
場所 ユナイテッドシネマ・ウニクス秩父スクリーン4
監督 ハン・ジェリム


ベテラン刑事のク・イノ(ソン・ガンホ)は妻とホノルル旅行の予定だったが、仕事でキャンセル。妻だけがハワイに向かった。その事件とはネットで飛行機テロを予告する動画がマンションの隣の部屋の住民ではないかと子供から通報があったためだ。その問題のマンションに行ってみるとそこには体から血を流した死体があった。検視の結果、死因は何らかのウイルスが推測された。
インチョン空港。ここでは娘のアトピーの病気のためにハワイに向かうジェヒョク(イ・ビョンホン)がいた。そこで若い男(イム・シワン)に執拗に話しかけられ、不快な思いをしていた。しかも乗った飛行機はスカイコリア501便で同じだった。
ク刑事たちが調べたところ、例のマンションの住民は多国籍バイオ企業に勤務していたとわかった。しかしその企業は捜査に協力的でない。
さらに例の男はハワイ行きのクの妻が乗った飛行機に乗っていたのだ。
機内では例の男がトイレでウイルスを散布し、発病者がでていた。事件の概要は政府にも伝えられ、国土交通大臣も登場する。
果たしてスカイコリア501便の運命は?


あんまり宣伝はしていないが、久々の航空パニック映画。飛行機の中で感染テロとか怖いじゃないですが。撮影が始まったのは2020年になってかららしいので、企画は当然コロナの前からだろう。

苦言もあるけど、面白かった!
感染が始まりだして、乗客はパニック、そしてパイロットも感染が始まる。機長は危険だからと操縦室からでないようにしていたのに、感染、そして死亡。パイロットを失った飛行機が墜落寸前になるシーンは本当に恐怖。

そしてバイオ企業の事情を知っている者を追いつめるカーアクション。
ここはもう「ブリット」「フレンチコネクション」に負けないですよ。イ刑事の追いかける車が追突して横転する姿を外からのカットではなく、中からのカットのみで表現するのは斬新!

んで飛行機の方はアメリカでは着陸拒否、そして燃料不足の成田空港に向かうが・・・・なんと自衛隊に領空侵犯扱いで追い出されてしまう!
ここは驚いたなあ。てっきり成田に到着すると思っていたので。しかし考えてみればラストは韓国の空港のはずだから、こうなるよね。

韓国の空港に向かうが、なんと自国民からも「ウイルス感染なんだから着陸拒否すべきだ!」という世論が出てくる。
ひえ〜、そんな展開のパニック映画見たことないよ。でも案外そうかも知れないなあ。

さらに乗客もそれを受け入れ、家族に感染させるわけには行かない、と着陸を諦める。でもイ刑事はバイオ会社がウイルス開発と同じく開発した抗ウイルス薬を自らに投与し、安全性を証明しようとする。

この二転三転する展開には驚いた。脚本が良くできてますよ。
そして乗客だったジェヒョクが元パイロットで、操縦を行う、というお決まりの展開。

苦言というのはソン・ガンホの妻が飛行機に乗っているとか、ジェヒョクが偶然乗り込んだとかの設定。「新幹線大爆破」のいいところに誰も私情で動いていないところなんだ。
宇津井健の妻や子供がひかり109号に乗っている設定も作れたけど、そういうのはなしにして完全に「プロのお仕事」として描いた点なんだよね。

そういう不満点はあるものの、犯人役のイム・シワンの不気味なイケメンで恐さを増している。さしずめ日本なら吉沢亮が犯人役をやるような感じだ。

2時間半の長尺の映画だがほんとに面白かった。
もう1回観てもいい。







金星ロケット発進す


日時 2023年1月3日
場所 DVD
監督 クルト・メーツィッヒ
製作 1959年(昭和34年)


ゴビ砂漠で正体不明の物質が発見された。どうやら地球上のものではないらしい。かつてシベリアに落ちたツングース隕石は宇宙船が墜落したものと判明した。ゴビ砂漠で発見されたものは、シベリアの宇宙船が落としたものらしい。何か記録されいているようなので世界中の学者が共同で解読にあたった。その結果、金星から来た宇宙船が地球を探査にやってきたらしいと判明。
地球から金星に電波を送ってみたが、何の反応もない。金星に探査ロケット・コスモクラトールを送ることを決める。ロケットはついに発進。途中流星群にあうなどしたが、なんとか金星に到達。しかし妨害電波が出ているのか、地球との連絡は途絶えた。
果たして金星の生物と遭遇できるか?


谷洋子のことを検索してるときに発見したこのSF映画。DVDを2012年にアマゾンで安く(調べてみたら780円で購入していた)買っていて10年間そのままになっていた映画(画質が悪いからついそのままになっていた)。
今回のDVD消化で鑑賞。

例の砂漠で発見されたものはフライトレコーダーのようなものらしく、交信記録などが残っていたのだが、一部が解読できていない。地球の優秀な学者は金星ロケットに乗ったので、その中で研究が続く。
その結果、金星は地球攻撃を計画していると解る。しかしそれならなぜ地球を攻撃してこない?なぜ呼びかけに反応しない。

金星に行ってみるとそこには文明は残されていなかった。結局彼らは地球攻撃を考えたが、核兵器の事故で自滅してしまったのだ。
しかし装置だけは残されていたので、地球からの探検隊が誤って作動させてしまう。しかしそれも何とか止めたが、止めに行った3人の隊員は、救助することが出来なかった。というより、地磁気の変化で勝手にコスモクラトールが勝手に発進してしまったのだが。

要するに金星人は核戦争の準備をしているうちに事故で全滅してしまったという訳。これは明らかに冷戦下の核兵器による自滅を暗喩したものだろう。
原作は「惑星ソラリス」のスタニフ・レム。
この映画、東ドイツとポーランドの合作映画。そのせいか何となく野暮ったい。日本人として谷洋子が同行の医者役で出演。なぜかクレジットはトップである。
またクレジットやタイトルロゴが、中が空いている、枠線で文字を作るフォントでこれって「スターウォーズ」じゃない?偶然かな。

またキャタピラーで自走するロボットも登場。これはなかなか楽しい。
最後、残された3人が「助けてくれ〜」「おいてかないでくれ〜」というところは何かむなしい。もう少しやりようがなかったのか。

という訳で画質は悪いけど、50年代のSF映画っていいなあ。
このジャンル、まだまだ楽しみたいです。






囚われの女


日時 2023年1月3日
場所 DVD
監督 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
製作 1968年(日本劇場未公開)


ジョゼ(エリザベート・ウィネル)はテレビ局勤務。夫は現代芸術家のジルベール(ベルナール・フレッソン)。夫の作品が展示してある展示会で、ギャラリーを運営する青年・スタン(ローラン・テルジェフ)の家に飲みにくるように誘われる。
スタンの家で彼の撮った写真をスライドで見せてもらう。その中に女性が四つん這いになったヌード写真があった。今まで見たことがなかったため驚くジョゼ。
次にスタンの家に行ったとき、スタンがモデルを呼んで撮影するところを見学する。自分でもわからない衝動にかられるジョゼ。
テレビ局でも夫の暴力にあいながらも別れない女性の取材フィルムを見る。以前は理解できなかったが、今は解るような気がする。
やがてジョゼからモデルになることを申し出る。そしてスタンとも旅行に行き、それを逆に夫に知らせようとしてしまう。
彼女は離婚してスタンのもとに行こうとするが止めるジルベール。逆にスタンの元に向かうジルベール。ジルベールはスタンを問いつめる。
ジョゼはスタンの元に向かう途中で鉄道事故にあう。しかしそれは事故なのか、自殺なのか。
病院で意識を取り戻すジョゼ。面会に行ったジルベールを「スタン」と呼ぶジョゼだった。


「恐怖の報酬」「悪魔のような女」「スパイ」の3本組レストア版ブルーレイを買った頃、クルーゾーを見直そうと思ってアマゾンで検索したら出てきた映画。1000円ぐらいだから買ったのだ。でも何となく見逃していてそのままになっていたのだが、この正月はそういったたまったDVDを消化するつもりなので鑑賞。

60年代後半のサイケブームな感じである。
カラー作品なのだが、とにかく色使いが激しい。特に赤の使い方が鮮明になっている。中盤、印刷所にきたジルベールが「青の色がちょっと違う」と印刷を途中で止めさせる。クルーゾーだって本作では赤、青、黄の発色にはそうとうこだわったのではないか?

特にラストでジルベールとスタンが屋上で話すのだが(ジルベールがスタンを糾弾する)、そこの向かいのビルの窓の天幕(と言っていいのか)の赤が非常に際だっている。
これが不思議なことに前半では天幕は一部の窓だけだったが、このシーンの後半では全部の窓に赤い天幕がかかっていて、非常に目立つ。これは意図的なのか、あるいは撮影中に勝手に向かいのビルが天幕を張ってしまったのか?

内容的には今までそれを意識しなかった女性が、スタンの家でたまたまM的な女性のヌード写真を見てしまい、火がつく、という話。
話だけ聞くとどこにでもあるようなピンク映画のたぐいなんだけど、そこは主演のベルナール・フレッソンの魅力で貧乏臭さはない。
彼女のくりっとした瞳が非常にチャーミングだって単に私が好きなタイプなだけかも知れないが。

あとジョゼが事故にあって(あるいな自殺を考えた?)意識不明の時にコラージュの映像が続くのだが、これが「狂った一頁」に似てるのだな、そのカラー版と言った感じ。
クルーゾーが「狂った一頁」を観ていたのかは今となっては全く不明だが、もしそうなら面白いな、と思った。

これがクルーゾーの遺作。
「恐怖の報酬」や「悪魔のような女」でさんざん観客をいじめてきたクルーゾーが最後に撮ったのがやはり被虐性の世界の話とは。
「おまえ等これが好きなんだろ?このドM野郎」と言われた気もしないでもない。





パットン大戦車軍団


日時 2023年1月3日
場所 blu-ray
監督 フランクリン・J・シャフナー
製作 1970年(昭和45年)


1943年、北アフリカ戦線。アメリカ軍はドイツ軍に苦戦していた。そこへパットンが着任した。現場の兵士をみてたるんでいるとしたパットンは厳しい規律や訓練を科す。そして戦いは勝利した。
今度はイタリア・シチリア上陸作戦。イギリス軍のモントゴメリー司令官に手柄を立たせて自分が援護に回るような上層部の作戦には反対だったが、なんとかやり遂げた。
しかし病院を回ったとき、一人の戦争ノイローゼの兵士を「お前はただの臆病者だ!」と平手うちしてしまう。それが新聞に知れ渡り、本国で大問題になった。彼が解任され、イギリスに戻される。ノルマンディ上陸作戦司令官をねらっていたが、それは自分の副官であったブラッドリーにとられた。
イギリスでもある地方の講演会で「イギリスとアメリカが協力して世界の指導者になる」といい、ソ連をはずしたことがまたもや大問題になった。
連合軍はノルマンディー上陸後、ドイツ軍の反撃に悩まされた。ブラッドリーはパットンを第3軍司令官に任命。期待に応えたパットンだった。やがてドイツは敗戦。


タイトルだけは聞いていてblu-rayを買ったままになっていた「パットン大戦車軍団」。正月でこういう時間のある時に観よう、と思って鑑賞。この映画、2時間50分もあるのだよ。しかし面白くないのだなあ。
結局4時間以上かかって観た。ネットで検索すると好きな人は好きらしい。

しかしまあパットンというのはいやな男。戦争が大好きで戦わない奴は人間じゃない!的な考えの持ち主。ブラッドリーが「君と私では一つ違う点がある。私は業務で戦うが、君は好きで戦っている」というけどまさしくそうだ。
絶対好きになれないなあ。
まあ日本にもこういうタイプはいたんだろうけど、映画にはならんな。
映画になっているということは、やはりアメリカでも好きな人はいるんだろうな。結局戦争には勝ってるんだし。

だがパットンの部下の殴打事件が新聞で批判されるというのがアメリカのすごいところ。21世紀ならともかく、戦時中にこれが批判されるというのは日本人の感覚からするとすごい話だ。
私はとにかくパットンは嫌いである。

ネットで評判を見ていたら「パットンは今でいうならトランプ」という人がいて、言い得て妙だと思った。なるほど、戦争中のトランプと思えば、批判も多かったが人気もあったというのもうなづける。

しかし戦闘シーンもバンバン撃ち合ってるだけで特に「こうきたら、こう戦う」的な駆け引きはなく、面白さはない。
3時間はつらかったかなあ。
しかし長年どんな映画か気になっていたので、それを果たすことができそこは満足した。







カプリコン・1


日時 2023年1月2日
場所 DVD
監督 ピーター・ハイアムズ
製作 1977年(昭和52年)


人類初の火星探査有人宇宙船「カプリコン・1」は今打ち上げられようとしていた。しかし発射の数分前、3人の宇宙飛行士、ブルーベイカー(ジェームズ・ブローリン)、ウォーカー(O・J・シンプソン)らは宇宙船から降ろされ、密かに別の場所に移された。そしてカプリコンは無事発射された。困惑するブルーベイカーたちに事情を説明する計画責任者のケラウエイ博士(ハル・ホルブルック)。「今回の装備に欠陥が発見された。しかし計画を中止すれば、今後の宇宙計画そのものに影響を及ぼす。だから成功したと見せかける。君たちは中継だけをすればよい」
NASAのスタッフの中には「電波は近くからきているのでは?」と疑問を持つ者がいた。それを有人のテレビ記者のコールフィールド(エリオット・グールド)に話す。
最初は気にしなかったが何か感づいたコールフィールドはその有人の自宅を訪ねると友人はいなくなっていた。しかもコールフィールドの乗った車がブレーキが利かなくなるという故障を起こす。
そんな時、カプリコンは地球再突入の際に故障を起こし、宇宙船は消滅した。ブルーベイカーたちは自分たちも殺されると察知し、秘密の場所から逃亡する。しかし奪った飛行機は燃料切れのため砂漠で不時着。
コールフィールドは逆に陰謀を確信する。


1977年12月公開。お正月映画だった。この映画は封切り当時観ているが、45年ぶりの再見。今でも「面白かった」という人はいるけど、それは否定しないが「それほどかあ?」とずっと思っていた。
その辺が結局45年間も再見しなかった理由だろう。

「アポロは月にいっていない」という話は当時からあったような気がするが、それをアイデアにしたもの。
今回見直して思ったのはもう一つひねりが欲しい、ということ。

コールフィールドが疑問を持ち始めるのが「友人からの情報」だ。
ここはテレビマンなのだから、火星の中継画像を見て何か感づいて欲しい。「画像の光源が複数ある」とかさ。
(なんかそれっぽいカットがあったのでそこで気づくかと思った)

また宇宙飛行士が逃げ出したわけだが、ここが3人とも砂漠で歩き出す。
ここは変化を求めた方がよかったかなあ。墜落する途中でパラシュートで降りて、一人は砂漠、一人は森の中、一人は山の中、とか。
そして地元の人に助けられたと思ったら、裏切られたとか。なんかその辺はもっと膨らませた方がよかったかなあ。

面白くはあったけど、もう一つ足らない感じがして残念な感じがしました。
たぶん45年前も同じように感じたのだと思います。







終末の探偵


日時 2023年1月2日17:10〜
場所 シネマート新宿・スクリーン2
監督 井川広太郎


連城新次郎(北村有起哉)はやくざの違法カジノでイカサマだと言って喧嘩になった。その賭場を仕切る昔なじみのヤクザ恭平(松角洋平)から自分のシマで起こっている放火事件について調べるように言われた。恭平の話では中国人マフィアが絡んでいるらしい。
その頃、フィリピン人を両親に持つミチコから親友のクルド人女性が行方不明になった件で相談を受ける。ミチコはかつて不法入国していた両親から生まれ、日本で生まれ育ったが両親はフィリピンに強制送還、彼女だけ親戚の家に預けられて育った過去を持つ。
近所であちこち聞き込みを行う新次郎。団地も今や半数は中国人となり、昔ながらコミュニティはなくなっている。
恭平がボウガンで撃たれる事件が起こった。恭平の部下か中国人の仕業と思いこみ、報復をする。それがきっかけで戦争になりかける。恭平の親分の笠原は実は適当なところで組を畳むつもりで、昔ながらの武闘派の恭平が邪魔だった。


この映画のことはツイッターで知ったのだったかな。基本探偵ものは好きだし、脚本は中野太さん。主演の北村有起哉は以前はそれほど好きでかったが、テレビドラマ(確か中村倫也の「美食探偵」)で刑事役を演じていてなかなか好演して以来、気になる存在だ。
今回はハードボイルド(という言い方も安易だが)探偵ものの主演。ビジュアルもなかかないい、ということで鑑賞。

単なるチャイナマフィアとの抗争という最近にありがちな話かと思ったらそうではない。人探しのあいてはクルド人女性、依頼してきたのは強制送還されたフィリピン人両親の間で生まれた女性(この子、実際にもいた)、そして聞き込みに行った先では住民の半分以上が中国人。
そこで行われる外国人差別、というよりイジメ。

なんでそんなに外国人をいじめるのかねえ、日本人は。
まあ単一民族で暮らしてきた人々からすると「なんだか解らない気持ち悪い人々」という感情がある。そういう感情が根底にあるから、「ゴミだしがどう」とか「マナーがどう」とか日本人でも守ってないこともあるようなことで毛嫌いする。
もう慣れていくしかないのかなあ。

そんな中でも起こったボウガン事件。実は犯人はヤクザではない。
「あっ、あいつかな?」と思ったら、そこはじらさずにその通りの男。ボラティアで団地の清掃などを行っている青年(青木柚)だった。
この青年が「世の中の役に立たない奴なんか殺してしまえばいいんだ!」と叫び、新次郎が「そんな線引き、簡単にしないでくれる」という。
ここはあえてせりふで言わなくてもよかったと思うけどなあ。

でも全体としてはそういう外国人差別問題も含みつつ、北村の中年探偵のかっこよさもあってよかった。
あと2、3本は見たい気がする。「探偵はバーにいる」みたいにシリーズ化しほしいな。








名探偵再登場


日時 2023年1月2日
場所 DVD
監督 ロバート・ムーア
製作 1978年(昭和53年)


1940年代、ドイツが快進撃をしている頃の架空の町、アメリカのサンフランシスコ。あるホテルで探偵が殺された。その探偵の相棒はルー・ペキンポー(ピーター・フォーク)。彼は殺された探偵の妻と長年にわたって関係を続けていた。警察は浮気がばれたために相棒をペキンポーが殺したと考えた。警察の尋問をはぐらかすペキンポー。
そんな時、ペキンポーに新たな依頼が舞い込んだ。相棒の探偵が追ってた人探しを引き続きやってほしいという美女が登場する。
聞き込みに行った先の酒場でペキンポーはかつての恋人が、現在の夫とやってきたのには驚いた。数年前、その恋人はペキンポーの前から姿を消していたのだ。今やフランス人と結婚していて、その夫はドイツ軍のゲシュタポに追われている。
そしてペキンポーに会いたいという人物が次々と現れる。どうやらかつて無くなったタマゴサイズのダイヤモンドを巡る争奪戦の様相が。


この映画、高校生の時にも見ている。前年に「名探偵登場」があり、同じニール・サイモンの戯曲でその姉妹編としての製作だ。
でも今回見直してみて思ったが、「マルタの鷹」と「カサブランカ」を組み合わせたパロディ映画で、この2本を観ていないと根本的に面白くないだろう。

まあもっともアメリカのコメディ映画って日本人とは笑いのツボが違うのか、まるで面白くなことがある。
今回もそれほど笑えないんだなあ。

まあ電話で呼び出されて「店に行けば解る。私は体が大きいからいすを二つ使っている」(「マルタの鷹」のファットマンですね)と言われて行ったみたらデブが何人もいて解らないとか。

今回相棒の妻とか、名前がたくさんある依頼人とか、バーの歌手とか、事務所の秘書とか、かつての恋人とか5人ぐらい女性が登場し、名前はもちろんなにがなんだか解らなくなる。
でもそれもコメディの笑いの要素なんでしょう。

この頃のピーター・フォークって「刑事コロンボ」が大ヒットし、大スターの仲間入りをしていた。しかしコロンボで忙しかったのか、そのイメージが付きすぎたのか、映画は「名探偵登場」この「再登場」「ブリンクス」ぐらいであまり活躍がなかったと思う。
「コロンボ」の方は僕もある程度は観ていたけど、当時ノヴェライズで読んだけでテレビの方は観ていない作品もある。
その後、90年代ぐらいになってもシリーズも再開されたようだし、未見の作品はたくさんある。
いつかちゃんと見直したいと思う。
「5時30分の目撃者」とか今でも印象に残ってるしな。



黄色いロールスロイス


日時 2023年1月2日
場所 DVD
監督 アンソニー・アスキス
製作 1965年(昭和40年)


1930年代のロンドン。外務省のフリントン侯爵(レックス・ハリソン)は新車のロールスロイスを一目惚れし、結婚記念日の妻へのプレゼントに購入した。
フリントンは競馬好きで、自分の馬が出場する明日のレースのことで頭がいっぱい。ある国の大使との会談もレース会場で行うとするほどだ。しかし妻のエロイズ(ジャンヌ・モロー)は自分の部下のフェインと浮気をしていた。レース中なら夫は見に来ないと思った二人はロールスロイスの中で会うことを約束する。フリントンは知人の女性に告げ口され、心配に
なって駐車場のロールスロイスを見に来た。客席でエロイズとフェインが抱き合っているのを見てしまう。いやな思い出となったロールスロイスは返品された。
数年後のイタリアのジェノバ。アメリカのイタリア系ギャングのパオロ(ジョージ・C・スコット)は故郷に婚約者のメイ(シャーリー・マクレーン)を連れてきて、ジェノバで黄色いロールスロイスを買った。メイはピサの斜塔や大聖堂を見てもなにも感じない。そこで知り合った観光客向けのカメラマン、ファーノ(アラン・ドロン)と知り合い同乗させた。
パオロは抗争で急遽アメリカに戻った。その間、ファーノのメイは密会した。そしてパオロが帰ってきた。報復を恐れたファーノとメイは別れた。でもパオロにはばれていたかも知れない。
1941年、ドイツがヨーロッパで侵攻を続けていた。イタリアの町でロールスロイスはアメリカの富豪ミレット夫人(イングリッド・バーグマン)に買い取られた。ユーゴスラビアにはドイツ軍が迫っているという情報があり危険と言われたが、ミレットは大丈夫と言い切って出発する。そのユーゴスラビア行きに是非同乗させてほしいとダビッチ(オマー・シャリフ)がやってきた。しぶしぶ同乗させ国境の検問もなんとか通過できた。やはりドイツ軍の侵攻は始まった。ダビッチは民兵を組織してドイツに立ち向かう。それに協力するミレット。一段落したところでアメリカに帰るミレット。アメリカで見てきたことを訴えるためだ。


あらすじだけでも結構な字数だったなあ。
この映画、これも実家にいる頃にオープニングだけ見た記憶がある。「黄色いロールスロイス」という映画が放送され、タイトルだけ覚えていたのだ。2009年12月29日に紀伊國屋のDVD売場で定価1500円を500円引きの1000円で購入した。しかしそれほど見たい映画ではなかったのでそのままにしてあった。

それから13年。片づけのつもりでやっと見た。
は〜、つまらん。
1月1日の夜から見始めたのだが、2話まで観て寝た。そして1月2日の朝に3話目を見た。

1話40分前後の3話のオムニバスなのだが、どうにも面白くない。
特に大きな展開があるわけでもなく、ダラダラと話は進み、「ああそうですか」としか言いようがないです。

感想も書きようがないなあ。アラン・ドロンとジョージ・C・スコットの共演ぐらいかな。あとはピサの斜塔が出てきたのは観光映画としてよかった。そのくらいかな見所は。

ロースルロイスの視点で物語を見るとか、いやちがうな、もう少し話の展開があるとか、「黄色いロールスロイス」という特異な車なんだからやりようがあったように思うがなあ。

この映画のことを知ったのは70年代だと思うから40年以上気になっていた映画だけど、観る価値はなかったように思う。
それを確かめるのも重要なことなのだが。




思春の森
監督 ピエル・ジュゼッペ・ムルジア
製作 1977年(昭和52年)