マックイーンの絶対の危機(ピンチ)日時 2023年5月28日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 アービン・S・イヤワーズJr 製作 1958年(昭和33年) アメリカの田舎町。高校生のスティーブとジェーンは町外れでデートしていた。その時、赤い物体が近くに落下するのを見かける。 その物体の近所に住んでいた老人が落下地点に行ってみる。サッカーボール大の物体が落ちていたが、中から液状の物体が出てきて老人の手に張りついた。 スティーブたちも帰ろうとしたときに助けを求める老人と遭遇。町へ戻って医者に見せることにした。医者は診たこともない物体に驚愕。徐々に大きくなって老人を飲み込んでしまったその物体。そして医者も飲み込まれてしまう。その現場を外から窓越しに見たスティーブは警察に通報するが、普段から素行に目を付けられていたため、信じてくれない。 一旦家に帰されるスティーブとジェーン。 だが物体は近所の自動車整備工場を襲い、スーパーを襲い、ついに映画館に進入した。スティーブとジェーンのいうことをやっと警察に信じてもらえたが、二人は近所の食堂にその物体に閉じこめられてしまう。 地下室に逃げ込む二人と食堂の主人夫婦。 スティーブ・マックイーンがブレイク前に初主演した映画。それで有名なのだが、それ以外は全く観る価値なし。 「ウルトラQ」のような30分なら面白い程度のネタとアイデアなので、低予算だからと言って安易すぎる。 冒頭はいいとして、老人を医者まで送っていく途中で、不良グループの車を追い抜いたとかでその後、喧嘩になる。それで次の信号までバックで競争とか怪物とは関係ない話がだらだらと続く。 警察から信用のない人間の訴えだから警察が動かない、という流れにしたかったのかも知れないけど、怪物とは関係ない部分で話がもたもたするので、こっちとしてはイライラする。 肝心の怪物だが、ジェル上の物体。同時代の東宝の「美女と液体人間」に登場した液体みたいな感じ。 これがスーパーや映画館で巨大化していくのだが、特撮のミニチュアカットがあるのだが、これが1、2秒レベルである。ここはちゃんと10秒は見せてほしい。2秒撮影するミニチュアを作ったのだから、10秒見せてもいいだろうに。なんか感覚がおかしい。 で解決方法としては消火器をかけて動きが止まったことから2酸化炭素や寒さに弱いということになる。あれ、最近見た映画にも消火器をかけるて弱る話あったよな。もうすでに忘れてるけど。 ラストは警官が空軍に「低温で弱ったところをヘリで北極まで送ってくれ」と連絡し、次のカットで北極に何かを落とすカットで終わり。 「THE END」と出て、その文字が「?」に変わる。 「ゴジラ対ヘドラ」と同じオチ。 実際に続編ができるんだけどね。 日本のテレビ放送時のタイトルは「SF人喰いアメーバの恐怖」。 こっちのタイトルの方があってますね。なんだよ、「マックィーンの絶対のピンチ」って。 はざまに生きる、春日時 2023年5月27日16:20〜 場所 テアトル新宿 監督 葛 里華 雑誌編集者の小向春(小西桜子)は3年目だが、まだまだ編集長に怒られる毎日。その編集長に若き画家として注目を集める屋内透(宮沢氷魚)の取材をする。率直な物言いに戸惑う春だったが、屋内はアスペルガー症候群と知る。興味の赴くままに行動する屋内は月食がきれいだから一緒に見ようと突然連絡してきたり、果ては団地の壁に無断で絵を描いて怒られたりした。 後輩の中西(平井亜門)が屋内の絵のファンで彼を雑誌で特集しようと言い出す。春が企画書を書き、編集長にダメだしをされながら何とか企画は通った。 屋内の純粋さに惹かれていく春。雑誌の写真撮影のために今注目されている女性カメラマンを屋内に会わせる。その女性カメラマンもこだわりや思いつきが強い方なので、春たちはちょっと引いたが、屋内とは気があったようだ。 雑誌の特集は成功した。しかし春は屋内がその女性カメラマンとつき合っているらしいと知る。 ポスターの出演者の欄に「平井亜門」の名前を見つけたので、それだけで見に行った映画。女性の雑誌編集者とアスペルガーの画家の恋とか、まあそれだけなら私は見ないな。 まず、どうにも設定に納得できない。チラシとかの映画のストーリー紹介で「春は仕事も恋もうまくいかない日々を送っていた」とあるので、てっきり独身女性かと思っていたら、彼女は結婚している。 はあ?それなんだよ?不倫じゃん。 そりゃ夫と気持ちがすれ違ってうまくいかなくなってることもあるだろうけど、なんだかなあ。この主人公、好きになれない。 そしてお相手がアスペルガーという設定。 なんか安易なんだよな、キャラをたてればいいってもんじゃないだろう。 私の知人にもアスペルガーはいるけど、つき合いにくい。こんな綺麗に恋愛対象には私はならないよ。 アスペルガーを批判するつもりじゃないけど、アスペルガーの人を好きになる主人公の気持ちがどうも共感できない。 とは言っても悪い点ばかりではなく、春が「人が左側にいないと落ち着かない」という性格を利用して、夫が右側に来るとか、屋内が左側にきてくれるとかの心地よさを映像で表現した点はよかった。 また春と屋内がガラス工房に見学に行き、そこでガラスの花瓶を作る。 花瓶が二人の心のつながりの象徴として、ラストに春が割るのを戸惑っているときに代わりに割ってしまう描写はよかった。 主人公が夫がいる設定の恋愛ドラマではどうにも違和感を覚えて映画の中に入れなかった。 平井亜門は後輩役として好演していた。思ったより出番は多かった。そこは満足。 桜のような僕の恋人日時 2023年5月27日 場所 NETFLIX 監督 深川栄洋 製作 2022年(令和4年) カメラマン志望だった朝倉晴人(中島健人)だが助手の道が厳しくて、今はバイト生活。そこでクーポン券に誘われて行った美容室で美咲(松本穂香)に出会う。「お仕事は?」と聞かれてつい「カメラマン」と答えてしまった晴人だが、美咲に髪を切ってもらううちに彼女に惚れてしまう。勇気を持ってデートに誘うとしたとき、晴人が急に振り向いたせいで美咲は晴人の耳たぶを切ってしまう。それがきっかけで晴人は美咲とデートすることができた。そのデートの日、「実はカメラマンではない」と伝えてしまう。怒った美咲だったが、再度晴人がカメラマンの修行を始めたと知り、思い直す。 そのころ、美咲は体調が悪かった。精密検査をしたところ、「早老病」という通常より何十倍の早さで歳をとる難病と判明。数ヶ月のうちに老婆になってしまい、死を迎えるのだ。 晴人は美咲に結婚を申し込む。その場では答えなかったが、数日後、晴人のアパートに美咲はやってきた。そして結ばれる。 だが、その日から何も言わずに晴人に連絡を取らなくなる美咲。憔悴する晴人を見かねた美咲の兄は、美咲に決着をつけるようにいう。 美咲は主治医に協力してもらって「実は前に付き合っていた美容学校の先輩と今は暮らしている。私のことは忘れてほしい」と電話で告げる。 中島健人主演のNETFLIXの映画。NETFILXが映画かどうかは別にして、要するに2時間程度の映画的フォーマットで作られた作品。 難病もの、なので「何だかなあ」と思いながら見たのだが、私の意識の変化なのか、泣いた。 2000年代に「どちらかが病気で死ぬ映画」をさんざん嫌っていたのになあ。 まず私自身も歳を取って「老い」とか「死」に対する意識が変わったのかも知れない。 まだ人生をスタートさせたばかりの美咲にとっていきなり「老い」と「死」に直面するのは辛すぎる。 晴人に嘘をついてあきらめさせる美咲。別れを告げられた晴人が「バカにしやがって!」と怒り、号泣する場面はとにかくつらい。 そして「早く楽になりたい」と言い出した美咲を見かねた美咲の兄は晴人に本当のことを話す。 そこから姿を見られたくない美咲と晴人のふすま越しの会話が始まる。 晴人は合同で写真展を開き、美咲を誘う。最終日、美咲は一人で写真展を見に行く。たまたま様子を見に美咲の家に行った晴人とすれ違い。 晴人は雪に倒れた老婆を起こしてあげる。 ここで「美咲!」という感動の再会にはならない。 その老婆が美咲とは気づかないのである。 ここで抱き合うのもありだとは思うのだが、そういう展開にはしない。 美咲の死後、遺品を見て初めてあのときの老婆が美咲だったと知るのだ。 晴人の写真展の写真は美咲との思い出の場所を取った写真ばかり。 晴人の師匠(及川光博)はなんか意図を分かってくれたみたいですが。 なんかベタベタな難病もの映画ぽかったので、今まで後回しにしてたけど、こっちの意識が変わったのか、すごくよかった。 中島健人と松本穂香がよかった。 老ナルキソス日時 2023年5月20日18:40〜 場所 K's cinema 監督 東海林 毅 絵本作家で今は77歳になろうとしている山崎(田村泰二郎)は売り専ボーイのレオ(水石亜飛夢)を指名した。M趣味のある山崎はスパンキングを受けたが、失神してしまう。プレイが終わった後、山崎の行きつけのバーに行く二人。そこでレオは山崎が絵本作家で、レオが子供の頃によく読んでいた「みのむしもんた」の作者であることを知り、それがきっかけでLINEを交換。山崎はレオの美しさに惹かれる。 レオは本名は恭介で、年の近い恋人の隼人(寺山武志)と2年同居していた。隼人はパートナーシップ制度を利用してパートナーになりたかったが、父親のいない家庭で育った恭介は家族というものの距離感がつかめずに迷っていた。 そして山崎はかつての恋人の幹夫(村井国夫)をレオと二人で訪ねてみることにした。 話の方はずいぶんと省略した。幹夫を訪ねるのは後半の4分の1ぐらいで、その前はごちゃごちゃと話が進んでいる。特に縦糸というのはない話なのだ。 ゲイの老人と売り専の青年の話、というので期待というより興味は大きかったので、初日に行ってきた。1日2回上映だが、本日は舞台挨拶もあって2回とも満席。私は2回目の方に行ってきた。 元は短編映画だったそうで、その短編も各地で絶賛され、今回の長編化につながったとか。で、本作もロサンゼルスの映画祭で最高賞を獲得したとかで絶賛の嵐だそうだ。 しかし私は乗れないのだなあ。 まず前半のきっかけが納得できない感じかな。レオの指名時間が終わった後、「飲みに行かないか?」と山崎に誘われたレオは「はい」とついて行く。細かいことだが、ここが納得できない。 売り専は指名が終わったらさっさと帰るのが基本で、指名時間以外に無償で飲みに行くことはない。いや実はあるのかも知れないけど、基本的にない。 ここで違和感を感じてしまったのだろうか? またその場でLINE交換してるけど、普通はない。まあ子供の頃読んでいた絵本作家なので、通常の客とは違う扱いになるのかも知れないが。 それに監督も解っているけど、そこをこだわり出したら話が進まなくなるので、知っていて「あえて」映画的嘘にしたのかも知れないけど。 それとあまり山崎を好きになれないのである。 働いている様子もないが、割といい家に住んでいる。出版社からは「絵本を書け」と催促されているが、「書けないんだ。もう才能が残っていない」と描こうとしない。 そういう怠惰さも嫌い。 また60年代のホンダのスポーツカーも所有していて、富裕層である。 パンフに書いてあった裏設定では「みのむしもんたが重版されているので、その印税も今でも入ってくる」ということらしい。 そして彼は前立腺ガンを発病してるのだが、放射線治療は「原爆みたいなものを体に入れるのはいやだ」と拒否し、薬の治療は男性機能が低下すると言われて「去勢されるのはいやだ!」と拒否し、担当医(津田寛治)を困らせている。 一時が万事めんどくさいじじいなのである。 あと世代間の違いもあるのかも知れない。 山崎が20代を送った70年代はまだまだ「薔薇族」が創刊したばかりの頃で、ゲイとして生きるのも今より厳しかった時代だろう。 これが10年後の80年代になるとゲイ雑誌も上り調子の時代で、通常のアダルトビデオの時代になり、ゲイビデオも出始め、かなり今に近くなっている。 私とはその辺の世代間ギャップを感じるのだ。 しかし好ましくはあっても山崎のように老害的なものは感じない。 監督の東海林氏は現在48歳。 山崎とレオのちょうど中間ぐらいの世代である。私は山崎と東海林監督の中間ぐらいの世代である。 東海林監督は「短髪、ヒゲ、ガチムチ」という、ゲイ雑誌のグラビアから抜けてきたような見た目で「いかにもゲイ」という感じの方。 実際のゲイはみんなああではないのだが、今ではなんだか見本のようなルックスの方。 またパンフでは自身が全裸になっての画像が4ページにわたって掲載され、なかなか「山崎」的なナルシストなのかも知れない。 となると山崎は東海林監督にとっては「将来の自分」なのかも知れない。 そしてレオは「若き日の自分」か。 その両方でもない私としてはなんか居心地の悪さしか感じなかった。これが当事者でなかったら、まったく他人事として客観視出来たかも知れない。 私は強いていえばレオの彼氏の隼人が一番近いかな。 とにかく自分にはなじめないキャラクターで、映画の世界に乗れなかった。 主演の水石亜飛夢、「ベイビーわるきゅーれ」で死体処理係を講演していて、今後の活躍が楽しみな一人。 評価が高いという短編版「老ナルキソス」も観てみたいとは思う。 カルティキ 悪魔の人喰い生物日時 2023年5月20日 場所 DVD 監督 リカルド・フレーダ 製作 1959年(昭和34年)日本未公開 マヤ文明は西暦607年に突然移転していた。災害があったわけでもならしい。この原因の研究のため、遺跡の調査にきたジョン・フィールディング教授の一行。独自に調査に行ったニエトとウルマーのうち、ニエトが命からがら戻ってきた。とにかく錯乱していて何も詳しいことがわからない。彼らが向かった場所に行ってみるとウルマーの姿はなかったが、ムービーカメラが残されていた。現像してみると、二人は洞窟の中に入り何かにおそわれたのだ。その洞窟の池に行ってみて、潜水調査してみる。 そこには多くの白骨化した遺体と金銀などの宝飾品があった。その宝飾品を漁っているとき、例の怪物が現れた。メンバーのマックスがその怪物に腕をとられた。なんとか助け出したジョンだったが、怪物に接触された彼の腕などは壊死していた。 怪物はマヤ文明の碑文にあったカルティキではないかと推測。マックスの腕に残されたカルティキの一部を研究してみると、それは原始の淡彩母性物で、何億年も生きていた可能性がある。それが放射能を浴びると活性化するのだ! これも買ったまま10年以上放置していたDVDの1枚。買ったのは2010年1月29日である。たぶんアマゾン。DVDのジャケットからはカラー映画かと思った。 そんなことはどうでもよくて肝心の映画。 問題の怪物、カルティキなのだが、ぶよぶよとしたナマコというか、モスラの幼虫がただブヨブヨした感じになった怪物。単細胞という設定だから、いわゆる怪物的な形、容姿はしていない。 設定が設定だけど、やっぱりインパクトが弱いよな。面白味が全くない。 森の中の中の遺跡で怪物と人間がごちゃごちゃ戦う話かと思ったら、カルティキが洞窟から出てきた時点でガソリンを積んだ車をぶつけてカルティキ大炎上。燃えてしまってすぐに死ぬ。弱い。 それからメキシコシティに話は戻る。(イタリア映画だからイタリアが舞台という訳ではない) で、襲われて命は助かったマックスが重傷になって、カルティキのせいかどうか解らないが、性格が凶暴になる。もともとジョンの妻のエレンに恋していて仕方なく今の妻のリンダと結婚したことになっていて、そのエレンへの想いが爆発してくる。 エレンは金髪の色白の女性で、リンダは黒髪のラテン系っぽい女性。ここで恋のごちゃごちゃが出てくる。カルティキだけでなく、人間からも襲われる設定にしたかったのかなあ? でカルティキの破片に放射線を当てると活性化してしまうことが解ってきた。天文学者に聞いたところ、607年には彗星がやってきてその彗星から放射能が発せられていたらしい。それがカルティキの巨大化につながったとしたら万事説明がつく。 しかもなんと明日に1342年ぶりにその彗星が地球に最接近するのだ!って唐突な情報すぎるよ。それはもっと前に出しておかなきゃ。 第一放射能が発せられたら人間にも悪影響あるんじゃないか?? ラストはジョンの家にあったサンプルも巨大化し、エレンもマックスに襲われる。そこへ軍隊がやってきて火炎放射でカルティキを撃滅するシーンは迫力がある。やっぱり火炎放射は迫力ありますね。 怪物の造形がインパクト弱い、よけいな人間関係がある、などの難点はありますが、怪獣映画としてのツボは押さえていました。 おとななじみ日時 2023年5月14日13:00〜 場所 新宿バルト9・シアター5 監督 高橋洋人 同じアパートの隣同士の部屋に住む春(井上瑞稀)と楓(久間田琳加)は20年前からの幼なじみ。春の家の隣に楓が引っ越してきたのがきっかけだったが、4歳の時に出会って今は二人は24歳。 しかし関係が近すて今更告白でもない二人。そんな楓のグチを同じく小学校からの幼なじみの美桜(浅川梨奈)と伊織(萩原利久)。 春は会社をクビになって無職になったが、行きつけのお店の常連のトメさん(松金よね子)の世話でハニワホテルでのバイトが決まった。 このホテルで伊織はパーティの企画を任され、美桜と楓も招待された。ところが当日のハニワの着ぐるみを着たダンサーのイベントが、着ぐるみの手配ミスで出来なくなった。しかし春の機転でボディペイントをしてなんとかイベントは成功した。 実はトメはこのホテルのオーナーで、今回のイベントの成功のお礼にとスイートルームでの宿泊を提供してくれた。美桜はダンサーの一人と帰ったが、楓、春、伊織の3人はホテルで一泊することになった。 毎度おなじみの少女コミックの実写映画化。主役の男優はジャニーズJrのHiHiJetsの井上瑞稀。Hihiは大してイケメンもいないし、正直どうかと思うのだが、いい仕事をもらってる。 今回映画を観るまで知らなかったのだが、高校生が主人公ではなく、24歳の社会人である。二人ともまだまだ新人。 そういう点が珍しい。 そしてクラス1番のイケメン優等生ではなく、どっちかというとアホ男子である。包容力を梱包力とかそういう覚え間違いが多い設定。「スーパー男子が好きになってくれる」という夢の設定もありだが、こういう親しみやすさも好きの対象なのかと思う。 女に貢いでもらうようなダメンズではないけど、どうもイマイチ頼りない。 でもまあ好きなのですね。 ラストで楓が弁当屋の会社なのだが、抜擢されて九州に向かう。 それを春が迎えにいくという展開だが、春のイメージシーンで空港のロビーでダンサーたちを交えて踊るシーンがあった。 あれすごいなあ。セットなのかな。それともグリーンバックの合成なのか。 そんなに予算のある映画とも思えないし、たぶんグリーンバックの合成なんだろうなあ。なかなか合成感がなくいい映像になっていた。 あとそれに続く飛行機の中のシーンで座席に座った春と楓を正面から撮ったカットがあり、ここは前の座席がなければ撮れないカットだから、これは撮影用のパーマネントセットなのだろうか? 作品の出来とは関係なく、そんなことを考えた。 映画全体としては可もなく不可もないラブコメです。 メンズ・サークル日時 2023年5月13日15:30〜 場所 光音座1 監督 山崎邦紀(クレジットでは「ヤマザキ邦紀」表記 製作 ENK ある山の中で5人の男たちがレオナルド・ダ・ヴィンチについて討論していた。彼の性癖、芸術から機械にまで彼の興味が及んでいた理由について。 売れないシナリオライターのヤマザキ(なかみつせいじ)は仕事がないので、酒場で聞いた「山に男たちがこもって乱交している」という噂を元に、それをネタに週刊誌に売ろうとこの山にやってきた。 でも一見誰もいないようで、彼の当ては外れた。しかし例のダ・ヴィンチの討論のリーダー格のメンバーが彼を夜の酒盛りに誘ってきた。そこは男同士で絡み合う世界。驚いたヤマザキだったが、メンバーの一人のマキャベリという青年の微笑みに魅了されてしまう。 メンバー以外の者が参加したことに反対者が出たため、ヤマザキは帰ることにした。その夜道でヤマザキは殴られてしまう。 久々の光音座。このところ観た映画ばかりしか上映しなくなり、まあ日本の上映可能なゲイムービーもあらかた観たのだろう。 山崎作品なので、どうせ気に入らないだろうと思ってパスしたい気持ちもあったが、全部観るのが目標なので鑑賞。 山奥にこもって何かの課題を男たちが討論するってパターン、山崎作品には多いパターンだな。「アルティメット・マスターベーション」もそんな感じだったし。山崎邦紀は自分は頭がいいと思ってるので、自分の知識を書きたくてしょうがないのだろう。 でも結局ただの説明せりふの羅列に終わり、文章が長いし、光音座は音も悪いのでぜんぜん頭に入ってこない。というかそもそも「ダ・ヴィンチはホモセクシャルか、否か」などの論争が観客にとって面白いか?という問題である。 マキャベリがダヴィンチと同様に鏡文字(左右反転した文字)を書くという設定がある。だから何のなのだ、ということである。 山崎邦紀はぜんぜん観客のことを考えていない。というか考えても彼自身が男が好きではないので、わからないのだろう。だからこういう抽象論に逃げようとする。実は男女の恋愛と対して変わらないのだが。 一応書いておくと、シナリオライターのヤマザキのことを例のダヴィンチグループも仲間に入れる(それは主にマキャベリの誘惑もあってだが)。 でも中途半端な気持ちではいけないと、ヤマザキはグループを離れようとするが、周りに止められる。 「僕らはこれから世間に発信したい。ついては映画にしてもらいたい。何なら出演もする」といい、ラストではヤマザキが監督になって彼らを映画にしている。 だから何だよ、それ?しかもヤマザキはワインなど飲みながらディレクターチェアにふんぞり返っている。 とにかく山崎邦紀は、私にとっては唾棄すべき映画群である。 惑星アドベンチャー スペース・モンスター襲来日時 2023年5月6日 場所 DVD 監督 ウィリアム・キャメロン・メンジース 製作 1953年(昭和28年) 天文好きのウィリアム少年は、早朝の丘の向こうに光る物体が着陸するのを目撃した。急いで父ジョージを呼んでみたが、何もない。 しかし気になったジョージはウィリアムを寝かしつけた後、息子の言っていたあたりを見に行く。 朝になってウィリアムが起きたら、父は出かけていないという。心配になった母親のメアリーは警察を呼ぶ。そこへ戻ってきたジョージだったが、人が変わっていた。近所の女の子が突然例の場所で消えるのを目撃する。 その子の家に行ってみたが、その子はちょうと帰ってきた。でも何かが要すが変だ。警察に相談に行くが、相手にされない。警察は医者を呼んでくる始末。しかし女医のブレイクはウィリアムのことを一応信じてくれた。 ブレイクはウィリアムのことを知ってる天文学者に相談。普段から彼を知っている天文学者は彼が嘘をいう少年ではないと言ってくれた。 天文学者から陸軍に相談。メルベリー長官は不在だったが、フィールディレク大佐が応対してくれた。彼もウィリアムの話を信頼、ペンタゴンに連絡。応援が来ることになった。 大佐やブレイク、ウィリアムたちももう一度現場に行く。その頃、ジョージの勤務する工場で火災があり、メルベリーー長官が爆薬を仕掛けようとして失敗するなどの事件が起きる。 彼らはみんな宇宙人に頭に手術をされて操られており、用が済めばその仕掛けられたアンテナが爆発し、殺されるのだ。 フィールディレク大佐の指揮の下、宇宙船に対し攻撃が始まる。 しかしウィリアムとブレイクも捕らわれてしまった! 「買ったままで10年以上放置していたDVD」シリーズである。 午前中に観た「海底1万リーグからの妖獣」があまりに退屈で眠気を催したが、この映画は王道の展開でマトモ。 子供が宇宙人を目撃したが、誰も信じてくれない。大人たちは宇宙人の手先となり・・・という展開は王道である。 後半になってくると軍隊も出動して大がかりになっていく。 まあ戦車が貨車に積まれて大移動するシーンとかは何らかのアーカイブ映像なんだろうけど、なかなかうまくつないでいる。 軍隊も20名ぐらいはいて、それなりに予算はあったようだ。 それに冒頭から円盤型宇宙船が登場し、砂の中へと消えていく。逆回転撮影なのだが、こういう素直な特撮が楽しい。 この後、人間が落ちる穴が何度も出来たり消えたりするのがほほえましい。 最後にはフィールディレイク大佐が先頭にたって宇宙船の内部に進入していく。爆薬を仕掛けて、タイマーセットして待避!って時に敵が地中のトンネルを塞いでしまう。最後の最後には敵が使っていた土をも溶かす光線銃でトンネルを作って待避。 外へでた少年が逃げて逃げる。その中で今まで怖かった場面が走馬燈のように駆けめぐる。あれ、長いな、と思ったら、少年は目覚める。 「夢オチかよ!」と思ったけど、少年が寝ようとしたら、また円盤が降下していくのを目撃するというラスト。 効果的だったとは思えないけど、いったん夢にして、やっぱり宇宙船がやってくる展開はありきたりとはいえ、努力は感じる。 宇宙人の造形は、本体の宇宙人は肩からタコの足のようなものが生えていて、ガラス球の中に入っている。正直しょぼいけど、こんなもんか。 主に動くのは操られているミュータントと呼ばれる大柄な男たちである。 王道の展開でしょぼいながらも面白かった。 海底1万リーグからの妖獣日時 2023年5月6日 場所 DVD 監督 ダン・ミルナー 製作 1955年(昭和30年) 海岸でボートに乗った漁師が海に入り、奇怪な怪物に襲われた。 その死体はボートとともに見つかり、ある男がその死体を見ていた。そこへ通りかかったのはテッド・スティーブンス博士。さらにグランドというFBIの捜査官がやってきて犯人と疑われるテッド。 その様子を若い男が見ていた。 一応解放されたテッドは予定通りキング教授を訪ねた。しかし教授には居留守を使われ、窓から逃げられてしまう。 キング教授は最近この近くに出来た海洋大学の教授だったが、秘密主義で秘書・エーテルにも助手・ジョージにも研究内容を明かさない。 テッドが同業者だと知るとキングは一応会う。テッドは放射能と生物への影響を研究していた。 また海岸でカップルが襲われた。 グランドはテッドの協力を養成。テッドは海を調査したところ、怪物を見たという。グランドも一緒に潜ったが二人ともその怪物を目撃した。 グランドは実はエーテルに教授の周りを探らせていた。 以前購入しいていてそのままになっていたDVDの1本。GWは出来るだけそういうのを消化したい。 で見たわけだが、とにかく詰まらん。 肝心の怪物だが、陸に上がって人々を襲うわけでもなく、巨大化するわけでもなく、時々やってきた人を襲うだけ。実に地味である。 海で泳いでいる姿が時々出てくる。 「大アマゾンの半魚人」の影響で作られた映画らしいが、とにかく話がごちゃごちゃして面白くない。 要するにキング教授は海底にあるウラン鉱を放射能化して(この辺の説明は翻訳が悪いのか、もともと無茶苦茶なのかさっぱりわからん)海の生物を怪物化してしまった。 そうなると海のかなりの生物が怪物化しそうだが、そうはならない。また海洋学者がなんで放射能の研究していたとかよくわからない。 そして助手のジョージは外国のスパイなのか、産業スパイなのか変な女につきまとわれている。秘書のエーテルは「私は息子をキングの研究で殺された!」とか言ってるし、もう脚本の整理が全く出来ていない。 大混乱。 んで、キング教授の娘とテッドはなぜか恋仲のようになり、キング教授のウランの放射能化が原因らしいのだが、沖を航行中の船が最後に大爆発! もう無茶苦茶。 話がおかしいよ。 キング教授も船の爆発で良心の呵責に耐えかねたのか、研究室を壊してしまう。物音でやってきた掃除のおじさんに「片づけといてくれ」ってどんないやな奴だよ。 これでも肝心の怪獣が町で大暴れしてくれたら満足もしたろうが、とにかく期待はずれ。 ハマのドン日時 2023年5月5日18:25〜 場所 新宿ピカデリー・シアター9 監督 松原文枝 菅政権の押し進めるIR計画。要するにカジノ誘致だが、アメリカのカジノ「ラスベガス・サンズ」のCEOアデルソンが日本に進出しようとしてトランプを通じて安倍、菅に圧力をかけているのだ。 横浜が地盤の菅は横浜の山下埠頭にカジノを計画していた。 しかし横浜の港湾施設や人を牛耳る「ハマのドン」こと藤木幸夫がこのカジノ計画に反旗を翻した。 林文子市長もカジノ誘致に賛成し、市民がカジノの是非を問う住民投票の開催を求めたが、林市長は無視した。 横浜市長選が行われる。菅総理が国家公安委員長という閣僚の小此木八郎だ。小此木はカジノ取りやめを公約に抱え、藤木も小此木を応援するかと思われた。カジノ誘致を公約に現職の林市長も立候補。 そして藤木は新人・山中竹晴だ。 全然知らない映画だったが、数日前に朝日新聞の広告で知った次第。 新宿ピカデリーは「妖怪の孫」とかエンタメ一辺倒ではなく、意外にもこういう政治系のドキュメンタリー映画も上映する。 菅総理は藤木のことを「よく知らない」などというけど、実際は市会議員だった菅を国会議員にした応援をしたのが藤木。自民党議員(誰だかは忘れたけど)のインタビューで、「藤木さんの紹介、応援だから菅も応援した。菅自身にはなんの恩義もない」とまで言っている。 藤木は港湾設備の労働者とか関連会社のボス。「なんだかんだ言って昔はその労働者によるバクチとかヤクザとの関連もあったろうから、精錬潔白とまで言える人物ではないんだろうか」と私はカジノ反対には同意するけど人間性はイマイチ疑っていた。 しかしこの映画をみる限りではなかなか立派な人格者である。 「港湾労働者の賭博」の件もちゃんと説明される。 確かに藤木の父親の時代(昭和30年代ぐらいまで)は労働者間でのバクチもあったし、ヤクザ(どれも小物ではなく、山口組三代目の田岡一雄など)とも親交はあった。 だが、今はバクチは禁止させているし、ヤクザとのつきあいも絶ったという。 それはもう信じるしかない。 また藤木の生い立ちも紹介される。91歳だが、やはり空襲による戦争体験が大きい。機銃掃射で友人を亡くし、お世話になった先生を亡くした。 「その先生の脳味噌を空き缶にいれて家族へ返した」「空襲で上半身だけが焼け、下半身が残っている遺体を焼いた」という悲惨な体験が語られる。 もうとにかく理屈ではなく、「戦争は絶対にやってはいけない」という思いだ。 かつての自民党はなんだかんだ言っても「戦争はしたくない。あんな思いは二度とごめんだ」という理屈ではない、共通項があった。 それが今は二世三世になり戦後生まれで戦争も貧乏の経験もないのが自民党議員。自分が権力者でいることしか興味がない。 また戦後は近所の戦争孤児を集めて野球チームを作り、野球だけでなかく「兎に角本を読め」と強制的に本を読ませた。 映し出された文庫本の数々だが「出家とその弟子」もあった。 当時の知識人の必須だったのだな。 藤木も最初はカジノも特に反対ではなかったようだが、友人の紹介でカジノ依存症の専門家から話を聞いて反対に変わる。 さらにアメリカからカジノの専門家が藤木に手紙を出す。 彼はカジノの設計をいくつもしている人で、カジノは建物の設計段階から、「兎に角カジノで儲けた金はカジノで使わせるようにして金は外に出さない」ことを考えながら作るという。 となるとカジノの金が地元に落ちることはない。 ますます反対になる藤木。 そしていよいよ横浜市長選。 林文子市長は「カジノは白紙撤回ではなかったのか?」と記者から問われ「白紙というのは一旦白紙でもう一度考え直すということです」という趣旨の発言をしている。 小此木は「IR反対」などと言っているが菅の子分である。信用は出来ない。 実は私は小此木には会っている。この横浜市長選が始まった頃、土曜日に横浜駅西口で会ったのだ。選挙活動で市民との握手をしていた。 私も性格が悪いので「でも菅総理と親しいんだし、カジノ誘致派だったんでしょ?」「以前はそうだったが、今は反対に考えを改めました」「でもまた賛成になるんじゃない?」「でも本当?」「そこは私を信用してくださいとしか言えないです」 結果は開票が始まった20時の段階で山中候補当確。 やはり小此木は信用されなかったようである。 しかし4年後の市長選で、またIR推進候補が出てくる可能性もある。 安心は出来ない。 この映画、最初に「テレビ朝日」のロゴがでる。監督の松原文枝は「ニュースステーション」「報道ステーション」のディレクターやプロデューサー。テレビ朝日も頑張っている。 人類SOS!トリフィドの日日時 2023年5月5日 場所 DVD 監督 スティーブ・セクリー 製作 1962年(昭和37年) 流星群が降った翌日、目の病気のためにロンドンの病院に入院してたメイスン(ハワード・キール)は驚いた。今朝包帯がはずれると聞いていたので自分ではずしてみると、病院は荒れ果てていた。担当医に話を聞くと、全員突然失明したというのだ。どうやら昨日の流星群を見たためらしい。 駅に行ってみたメイスンだが、そこも大混乱。たまたま学校を抜け出して貨車でロンドンまでやってきたというスーザンを助ける。彼女も貨車にいたので失明しなかったのだ。 それだけではない、植物園にあった「隕石に乗ってやってきた」とされる植物、トリフィドがまるで動物のように動きだし、人類を遅い始めたのだ! ラジオ放送でパリで対策会議が開かれるらしいと知ったメイスンはスーザンを連れ、フランスへ。そこで失明を免れた人たちが失明した人を助けている屋敷に出会った。「ここにいても仕方がない。スペインに行こう」というメイスンに対し反対するこの屋敷のリーダーのクリスティーン。 一方、ある灯台の研究施設で研究を知られていたグッドウィン夫妻も失明を免れた。しかし、この海に囲まれた灯台にもトリフィドはやってきた! これも10年以上前に買っていてそのままになっていたDVD。消化である。 最近この手のB級海外SFを観て「話がむちゃくちゃ」と思うことが多かったが、本作は正当派でマトモである。 さらにトリフィドという植物怪獣が登場する!っていうのはジャケットの説明で知っていたが、さらに流星群を見た人間は失明する、という要素があってびっくりした。パニックの原因2本立てである。地震と台風が一緒に来たようなものだ。 トリフィドと失明の関連性が最後に出てくるかと思ったら因果関係とかは別にないらしい。 でも「大災害が起こる、主人公が安全な地を求めて旅をする、同行者が増える、悪い奴らに襲われる、それらを解決して新天地を目指す」という王道の展開。いいですねえ。変化球じゃなくて。 特にトリフィドではなく、囚人の護送車が家にやってきて乱交(というほどではないけど)をしてるシーンは怪獣映画とは思えない、現実的な描写だった。 一方で「俺はこんな何もないところはイヤだ!」とグチをいう生物学者の話も出てくる。どこかでメイスンと合流するかと思ったら、それはなし。 この生物学者、最後の最後で灯台の一番上で追いつめられて、消化用の海水をトリフィドにぶっかけたらあら不思議、彼らは溶けていった、という「ウルトラQ」のナメゴンのような奴である。 トリフィドは大怪獣という訳ではなく、身長は2mちょっと。特別な光線を出すわけではないが、人間を襲う。隕石に乗ってやってきた、という訳で、地球の食虫植物の進化系ではなく、異星物。 これが一体ではなく多数登場。 メイスンたちがいる屋敷を無数のトリフィドが囲んでいるシーンは圧巻だった。 面白かった。 東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-日時 2023年5月4日12:40〜 場所 ユナイテッドシネマ・ウニクス秩父 スクリーン4 監督 英 勉 過去に帰って恋人の日向(今田美桜)を救ったタケミチ(北村匠海)だったが、デートの最中にまた日向は車の事故に見せかけて殺されてしまう。 日向の弟、直人(杉野遥亮)に相談する。そこではドラケン(山田裕貴)は死刑囚になっていた。面会に行くタケミチたち。 ドラケンは東京卍会(トーマン)が狂いだしたのは前の敵だったキサキ(間宮祥太郎)を三番隊隊長にしてからだという。そして壱番隊隊長だった場地(永山絢人)は新しいトーマンの敵、芭流覇羅(ばるはら)に移っていった。 キサキを東京卍會から追い出す条件として場地を連れ戻す約束をマイキー(吉沢亮)にさせられるタケミチ。 翌日、ばるはらのNo3と言われる一虎(村上虹郎)に連れていかれるタケミチ。そこはばるはらの集会場で、場地がトーマンとは縁を切ったという証のために壱番隊副隊長の千冬(高杉真宙)を殴りつける場地の姿があった。 実は場地も一虎もトーマンの創設メンバーだったのだ。場地と一虎はマイキーの誕生日に欲しがっていたバイクをプレゼントしようと盗みに入った。だが店主を殺してしまう。その店主(高良健吾)はマイキーの兄だったのだ。 彼らの複雑な人間関係。ばるはらの真のリーダーはキサキだと察したタケミチは現世でドラケンに確認してみる。しかしその答えは意外なものだった。 「ばるはらの真のリーダーはマイキーだ」 一昨年大ヒットした「東京リベンジャーズ」の続編。フジテレビ製作。フジテレビ製作だから、4月はフジの番組では盛んに番宣が行われていた。 「どう続編作るんだよ!」と思ったら、過去を変えたけど、やっぱり彼女は死ぬ運命だった!という展開である。 これだったら無限に作れてしまう。 話が完結していないので、最終的な感想は次回に。 しかしこの映画に出てくるメンバーは好きになれないなあ。 こういうヤンキーものってやくざ映画の変形だと思っているのだが、東映やくざ映画って主人公の行動には意外に縛りがある。 「カタギを巻き込んではいけない」「親のいうことには逆らえない」「兄弟、ここは俺の顔を立ててこらえてくれ」「ここは組のために・・・・」と言った感じで主人公は腹を立てても割と我慢する。そして最後の最後に「もう許せねえ!」となって爆発し、観客のカタルシスを満足させるのだ。 いわば「理不尽なことを堪え忍ぶ」という観客との共通項があればこそ、観客も感情移入出来ようと言うもの。ところが彼らは気に入らないから殴る、欲しいから盗む、と言った感じで単なる無軌道。 バカの集団にしか見えない。 こんな反社会的集団を肯定的に描く映画をフジテレビという公共に対する責任を他所なりとも持つ会社が製作していいのかとさえ思ってしまう。 さすがにそれは言い過ぎだと思うけど、北村匠海や吉沢亮のヤンキー姿、山田裕貴のタトゥー見てもまったくかっこいいと思えないので、ひたすら映画に乗れないでいた。 まあ前編を観た以上、後編も気になるから観ますけど。 ずうとるび前進!前進!大前進!!日時 2023年5月3日 場所 YouTube東映シアターオンライン 監督 三堀 篤 製作 1975年7月 「新幹線大爆破」の同時上映で作られた「ずうとるび」の30分のドキュメンタリー映画。当時は東宝チャンピョン祭りでもフィンガー5の短編映画があったから、1本の映画を作る余裕がないけど彼らの人気にあやかりたいときはこういう短編を作っていたわけだ。 この映画は公開の時に観ている。私が「新幹線大爆破」を観たのは大都市の封切り館ではなく、たしか8月になってからの地元の2番館で、でもこの映画も上映していた。ひょっとしたら千葉真一の空手ものと3本立てだった気もする。 こんな短編なのだが、記憶に残っているのは冒頭で各メンバーの名前が紹介されるのだが、「趣味」の項目で山田隆夫が「Tシャツ集め」と紹介されたカットを覚えていたのだ。当時の私には「Tシャツって集めるものなんだ」とその価値観が目新しく思ったのだ。今では私もそういうところがあるけど。 Tシャツっていう言葉が一般的になったのは、70年代半ばで、その前は丸首シャツって言っていたと思う。 他のメンバーは江藤博利16歳(趣味つり)、新井康弘18歳(趣味オートバイにのること)、今村良樹17歳(趣味マンガを読むこと)、そして山田隆夫18歳である。(映画の紹介順) なんとメンバーはまだ10代だったのだ。なんとなく20代だと思っていたので、意外だった。(当時はずっと年上だという意識があったので) 江藤と今村は2枚目路線だったと思うけど、グループ全体を牽引していたのは山田だろう。 調べてみたら歌も結構出している。でも1曲も覚えていない。歌手というよりバラエティ番組の「お笑いも出来るアイドル」というスタンスだったしな。 映画の方は最初と最後に日比谷野音のコンサートの模様、高田馬場のBIGBOX内のトレーニングジムでの様子とインタビュー(といっても大したことは聞いていない)、「ずうとるびって知ってますか?」という該当インタビュー、京都公演の模様など。 人気爆発のようにも思えるけど、歌の面ではやっぱり本家アイドルの郷ひろみなどの方が売れていたと思う。一種、変形アイドルで、この頃からアイドルの多様性は出てきていたと考えてもいいと思う。 これがUFOだ!空飛ぶ円盤日時 2023年5月3日 場所 YOUTUBE東映シアターオンライン 監督 茂野一清 製作 1975年3月公開 1975年の東映まんがまつりで公開された映画の1本。この映画は16分の短編。(東宝のチャンピョン祭りでは「メカゴジラの逆襲」の時かな) 木曜スペシャルのようなドキュメンタリー的映画かと思ったら、アニメ作品だ。 1950年代のアメリカに訪れたUFOを追跡して(プロペラ機だぜ、おい)結局UFOに撃墜された(?)マンデル大尉事件、1940年代後半に民間人パイロットが「お皿型の飛行物体を見た」として初めて「フライング・ソーサーという言葉が登場したケネス・アーノルド事件。 これらを再現映像としてアニメで紹介。 そして「これが円盤の内部構造だ!」として断定的に円盤の内部を紹介し、「母船型には小型円盤が装備されている」「中央の部分にはエネルギータワーがある」などと何の根拠もないくせに言い切る。 出てくる宇宙人は「妖怪人間ベム」風である。 おいおい、子供だったら信じちゃうよ。 そしてアメリカでアブダクションされた夫妻の話、昔から宇宙人は来ていた!その証拠に、と遮光器土偶を紹介。相変わらず大胆な決め付けである。 「宇宙には宇宙連合がすでに存在し、地球にその資格があるか調べに来ているのだ」と相変わらず決めつけ、「証拠もないが、否定することも出来ない」と結論づける。 まあそうだよな。 時はユリゲラーのスプーン曲げとか「エクソシスト」とか、オカルトとか超能力とか現在の人間では説明が付かないようなものがやたらと流行った時期だった。 ある意味夢があった時代ともいえる。 独裁者たちのとき日時 2023年5月3日14:30〜 場所 ユーロスペース1 監督 アレクサンドル・ソクーロフ 冥界。ここにはヒトラーもムッソリーニもスタリーンもチャーチルもいる。彼らは天国への扉(?)を目指すが、「もう少し待て」と入れてもらえない。 彼らはお互いに悪口をいいながら、時を過ごす。 昭和天皇を題材にした映画「太陽」のソクーロフ監督作品。 モノクロの映像にヒトラーたちが登場するのだが、これは過去の記録映像の中から抽出したもの。 冒頭で「フェイク映像とかAIで作成したものではありません」と説明されるけど、過去映像からデジタル処理で抜き出して、合成しているのだろう。 彼らが話す言葉は過去の手記や発言から実際に言った言葉を話している。といってもせりふとして別の声優が話しているから、彼らの肉声ではない。 でも口は動くし、リップシンクロは違和感がないのでそこはデジタルで動かしてるのではないか? 彼らは「伍長のくせに」(スターリンがヒトラーをなじる)、「共産主義者は臭い」(という趣旨のことをスターリンに誰かが言った)などなどの侮蔑の独り言。 基本的に会話になってはいないよ。 正直に言って過去の映像から抜き出してせりふを当てて映画を作りだしているわけだから、現在のデジタル技術あっての映画。 それは認めるんだけど、それだけの映画にしか見えないんだな。 せりふの口調はゆっくりだし、なんらかの物語が起こるわけでなく、ヒトラーたちがうろうろして侮蔑の独り言を言ってるだけだから退屈してくる。正直予告編の長さで十分な気がしてくる。 過去の映像をデジタルで動かして、彼らが殴り合いとか始めればおもしろくなったと思うけど、まあそれはソクーロフの本意ではないのだろう。 映画の表現の可能性、という点では認めるけど、実験映画の域はでていない気がする。 朝日新聞のインタビューで、「欧州の指導者を描きたかった」ということなので、アメリカのルーズベルトや日本の昭和天皇は出てこない。 昭和天皇とか東条が出てきたら、それはそれで面白かったのだが、それもソクーロフの意図するものではないのだろう。 単に私のヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニに対する知識不足がこの映画の理解度下げているだけかも知れないが、観ていて飽きてしまった。 発想はよかったと思うので、もう少し大胆にストーリーを展開させてもよかったのではないか? 事実だけに基づきたい、という意図があったとは思うけど。 放課後アングラーライフ日時 2023年5月2日19:55〜 場所 EJアニメシアター新宿 監督 城定秀夫 追川めざし(十味(とーみ))は高校で陰湿ないじめにあっていたが、父親の東京から関西の港町への急な転勤で新天地にやってきた。この地でもいじめにあうまいと「友達を作らない」「笑顔はそこそこ」「頼まれごとは断らない」などのルールを自分に作る。 新しい学校での初登校の日に、クラスメートの白木須椎羅(まるぴ)、楓(森ふた葉)に屋上に呼び出される。おそるおそる行ってみるめざしだったが、椎羅たちの釣りの同好会の勧誘だった。釣りはやったこともないし、興味もなかっためざしだが、「頼まれごとは断らない」のルールに従ってやってみた。そこへこの同好会の自称ナンバー2、明里(平井珠生)もやってくる。「あたしに事後報告で新規メンバーを入れるなんて!」とちょっとおかんむり。 次の日曜、みんなで釣りに出かける。めざしは数こそ少なかったが、大物を釣り上げ「名人」と言われる。しかし明里としては椎羅との距離感といい面白くない。 椎羅もめざしがなんだか心を開いてくれない感じがしていた。彼女との距離を詰めるために一緒に釣りに行ったとき、「毒のある魚に刺された!」と芝居をし「なんちゃって!」といたずらをするが逆効果。椎羅のノリについていけなかっためざしはかえって自分を責めてしまう。 携帯も切って家に籠もるめざし。椎羅は願掛けの釣りをしたが、逆に熱中症になってしまう。それを知っためざしは病院に駆けつける。 城定秀夫監督の新作。シネコンでの公開でもないし、全然話題にならない。主演の子も知らないし、原作も公式HPでは「第26回スニーカー大賞受賞作」と紹介されているが知らない。ライトノベルは売れていても一般的にはまったく話題にされないしな。 主役の十味は「とーみ」と読む。アイドルユニット"#212"のメンバーだそうで。それってなに?地下アイドルなの?また共演のまるぴも、お笑い芸人みたいな名前である。 主役の4人で知っているのは平井珠生ぐらい(「アルプススタンドのはしの方」のブラスバンド部で「あつい〜」と言ってた子)。 宇野祥平さんが椎羅の母親(未亡人)の恋人(っていうほどおしゃれではないけど)役で出演しているのでほっとする。 少女コミックではないので、男は登場しない。恋愛ものの少女コミックでは「だめだめの私が学校一の美少年に愛される」という出会いだが、まあ今回も同じ。ただし少女マンガでは前半で「つきあい始めるまで」を描き、後半で元カノ登場とかライバル登場とかなんらかの試練、事件が起こる。 この「アングラーライフ」は仲良くなるなったところで終わってしまう。 だから仲良くなるまでで時間がかかりすぎで、続きがあってもいいんじゃいないかなあ。原作はもっと長くて続きがあるんだろうか? なんか序章部分で終わった気がする。 めざしが椎羅の病室に駆けつけ「自分はいじめられていたので、新しい友人が信じきれなくて怖かった」的なことを告白するシーンは、長いせりふを話しきり、ここは頑張っていたと思う。 |