2023年8月

   
海辺の恋人 17歳は止まらない アンダーカレント
大学の若旦那 高校エロトピア 赤い制服 宇宙戦争 ウォー・オブ・ザ・ワールド きみとまた
遙かな時代の階段を 我が人生最悪の時 愛ゆえに―ラブアゲイン― セフレの品格(プライド) 決意
ガルガメス 地球防衛軍<4K> さよならエリュマントス キングダム 運命の炎
アルゴ探検隊の大冒険 顔のない悪魔 五月の恋 カタオモイ

海辺の恋人


日時 2023年8月30日13:15〜
場所 シネマート新宿・スクリーン2
監督 いまおかしんじ


カメラアシスタントの百合子(フミカ)は撮影現場の公園で練習をしていた大道芸人のシンジと出会う。百合子の師匠のカメラマンは威張り散らすが、時々「お前は見込みがあるから育てようと思ってるんだ」と体を触ってくるサイテーな奴。ついに辞めてやった。
シンジとは公園や、行きつけのバーで再会した。いつしか金のないシンジが百合子の部屋に転がり込んだ。
シンジは百合子に甘えてしまい、練習もさぼり気味でだらだら過ごしている。そんな頃、先輩芸人(浜田学)から「海外に修行に行くから50万円貸してくれ」と言われる。「日頃お世話になった方だから」「今まで嘘つかれたことないから」と懇願され、都合をつける百合子。
百合子は今は別のカメラマンのアシスタントだったが、個展を開くことを勧められ、決意する。
そんな時、金を貸した先輩芸人はどこかへ行ったと仲間から聞かされる。どうやら騙されたらしい。シンジはそんな時、行きつけのバーのママ(しじみ)から誘われ、一晩セックス。だがママはその話を百合子にした。
二人は別れた。
百合子は個展を開催。シンジも行こうと思っていたが、急な残業で行けなかった。閉まってから2時間経って会場についた。会場には二人がつき合いかけた頃の写真が飾ってある。シンジは大道芸人として再起を誓う。
5年後、今は一人前のカメラマンになった百合子。公園で撮影している時、今は一人前の大道芸人となったシンジに再会した。


いまおかしんじ監督作品。去年はレジェンド3本と「神田川のふたり」で4本公開だったが、今回は「カタオモイ」と「海辺の恋人」と自主制作の「天国か、ここ?」の3本。スタンプラリーうちわプレゼントもやっている。

カメラマン助手と売れない芸人の話。チラシによると「監督自身の若い頃のほろ苦い経験を投影させた渾身の一作」と書いてある。
そうか、シンジは「いまおかしんじ」なのか。そういう視点で観ればよかったなあ。

言われてみると、大道芸人を目指しているものの、うまく行かずダラダラと酒を飲んでいる姿は(実際は知らないけど)若き日のいまおかしんじなのかも知れない。
月刊シナリオの8月発売号に「カタオモイ」の脚本が掲載され、そこに宍戸秀紀さんのコメントが掲載されていたが、この「海辺の恋人」はまずいまおかさんが脚本を書いて、それを仕上げたのが宍戸さんだそう。
だからいまおかさんの若い頃がベースになっていても納得である。

「10月」「11月」「12月」とタイトルが出るので正味3ヶ月ぐらいの話。
主演のフミカはやっぱりなかなかよい。丸純子さんは(本作でも画廊の主人としてゲスト出演)女優としてはいい方だが、彼女の裸はエンタメにはならない。本作ではフミカは下着姿まではなり、後ろ姿ではTバックのパンティーを履き、お尻までは見せる。

夢を追いかける男女の出会いと別れ、は嫌いな話ではないのだが、インパクトが弱い。「カタオモイ」の川瀬陽太のような笑いのシーンがないせいかな。
シンジも朝から酒飲む姿も好きになれないしなあ。努力するのはつらいけど、口ばっかは一番苦手である。

小林優斗は別に大道芸ができる役者、という訳ではない。ラストで芸を色するのは本職だそうだ。(猿のお面をかぶって演じる、という設定なのだ)

なんかもう一つインパクトにかける作品だった。








17歳は止まらない


日時 2023年8月27日10:00〜
場所 ゆふいんラックホール
監督 北村美幸


農業高校畜産科に通う木村瑠璃(池田朱那)は森先生(中島歩)に惚れていた。顔もかわいい瑠璃だから、近所の高校生のマサル(青山凱)にアタックされていたが「同世代の男はチンパンジーにしか見えない」と断っていた。でもマサルはなかなかあきらめてくれない。
クラスメートと自宅で食事会を開いた瑠璃。友達が持ってきた梅酒で、酔った勢いで今夜は学校に宿直の森先生を訪ねてしまう。
だが森先生は振り向いてくれない。偶然、森先生のアパートを発見した瑠璃はある晩、森先生の部屋を訪ねる。でも「相談なら明日、担任の先生に相談しろ」と相手にしてくれない。森先生も仕方ないので、車で家まで送っていく。しかしなんだかんだと母がいない部屋に連れ込み、「今夜は誕生日なのに誰もいないんです!」と森先生を押し倒し、キスをしてしまう。
それから数日後、森先生は突然学校に来なくなる。同時に3年の先輩もいなくなったという。噂では先輩と森先生は男女の関係で駆け落ちしたらしい。


ゆふいん映画祭で鑑賞。「17歳は止まらない」は面白いらしい、と噂では聞いていたが、なんだか今一つ見る気が起きずに見逃していた。今回もゆふいんは出て別府観光も考えたが、映画祭の楽しさに流されて鑑賞。

結論からいうと見逃さなくてよかった!
ポスターは4人の女の子が走っていて「17歳は止まらない」なので、青春群像劇だと思っていた。さにあらず。
強烈なキャラの女の子がグイグイ迫っていく話なのである。このバイタリティには圧倒され、こちらも笑ってしまう。

それを受ける中島歩の森先生がサイコーである。
そして実は森先生は瑠璃たちが上品であこがれていた先輩と出来ていて、しかも妊娠させて駆け落ちしたことがわかってしまう。
クズ男である。

ショックを受けてマサルに八つ当たりのような態度をする瑠璃。
そして「あたしのこと好きなら、あたしと駆け落ちして」と迫る。「今夜お母さん、恋人の家にお泊まりでいないよ」と団地まで連れて行く。
「3階だよ。もうこの階段登り終わったら後戻りできないよ。最終学歴は高校中退だよ」と迫る。
そして3階の部屋の前で「あっ、お母さん今夜はいる。だめだ、今夜は帰って」と追い返す。マサルが帰った後、すっと向かいの真っ暗な部屋に入っていくのだ。

この展開は見事だった。脚本がうまいなあ。

この脚本は東映が募集したもの。応募したのは北村美雪だが、これはペンネームで、女性風だが、実は50代後半(脚本執筆時)のおっさんである。
「こういう内容は女性ネームの方が通りがよいのではないか」という判断だったという。
さらに最初のタイトルは「17歳は感じちゃう」だったそうだ。

監督の北村氏がAV業界出身のため、妙にエロ映画と思われても困るため、「17歳は止まらない」にタイトルが変更されたそうだ。

監督の話では元ネタは合コンで聞いた女子の話だったそうで、それは塾の先生が好きすぎて部屋まで行ったが撃沈するエピソードだったそうだ。
そこに畜産科は関係ない。

主人公が普通の高校より畜産科のほうが何かと手間がかかるではないか。
なぜそんなことをしたのか聞いてみた。
それはテレビで畜産科の女子を描いたドキュメンタリーを観て感動して加えようと思ったそうだ。

テーマとしては動物の命をいただくという命の尊さをマサルくんにも説く道徳的な子(実際、かつての日活児童映画のようになるかと最初は思った)が恋となると暴走するという人間の二面性を感じさせたかったようだ。

主役の池田朱那がすごくいい。今後が楽しみな俳優だ。






アンダーカレント


日時 2023年8月26日13:45〜
場所 ゆふいんラックホール
監督 今泉力哉


銭湯のかなえ(真木よう子)の夫・悟(永山瑛太)が失踪して1年。かなえは常連客からの要望もあって銭湯を再開した。そんな時、堀(井浦新)
という男が組合の紹介でやってきた。堀はボイラー技師等の資格も有しており、ここで働くには不釣り合いな条件の男だった。
堀は実際よく働いてくれた。かなえは大学時代の友人(江口のりこ)に再会。夫の失踪を話すと知り合いの私立探偵を紹介してくれた。コネがあって経費だけで引き受けてくれるという。
紹介された探偵は山崎(リリー・フランキー)。なんだか胡散臭そうである。夫の素性を話すうち解ったような態度をする山崎にかなえは「あなたに夫の何が解るんですか」「人を解るってどういうことです?」
そんな頃、近所の女の子が誘拐されるという事件が起こった。幸いにもその子はすぐに見つかった。営利誘拐ではなかったようだ。
かなえは自分の子供の頃、仲のよかった子が男に殺された事件を思い出した。彼女はその記憶を無意識に封印していたが、今回の件でフラッシュバックしたのだ。
そんな時、山崎から捜査の中間報告が来る。夫は自分の両親は交通事故で亡くなっていて交通遺児だと話していたが、夫の両親が亡くなっていたのは2年前だった。夫は自分の経歴を偽っていたのだ。
前の会社を辞めた経緯も報告を受けたが、結局夫は自分の元に戻ってくる気はないと確信したかなえは山崎に調査の打ち切りを告げる。


今泉力哉監督の新作。今回の湯布院映画祭で一般の方の観客向けには初上映。今までの今泉作品にあるような恋愛ものではない。何の予備知識もなしで観た。結論からいうと非常に面白い。

「夫はどこへ行ったのか?」「堀という男の正体は?」という2大要素が絡まって非常な緊張感である。
その緊張感の中、登場するのがリリー・フランキーの私立探偵。
自分のことを「ヤマサキだが、人は自分のことをヤマザキと呼ぶ」。かなえが「ヤマサキさん」と呼ぶと「そっちに決めたんですね」とユーモラスに返す。
このリリー・フランキーの探偵が絶品である。

そして突然、山崎から悟が見つかったと連絡が入る。
偶然に見つかったようなものだが、夫と再会するかなえ。
その日、かなえが出かけてる隙に堀は銭湯を去ろうとする。近所のたばこやの親父が声をかける。「あんた、亡くなった娘のお兄さんだよね?」

このたばこやの親父が実にいい。私には今までなじみのない役者さんでお名前が解らなくて失礼。でも井浦新を追いつめていくシーンは実に秀逸だった。

一方悟と再会するかなえ。子供の頃から嘘をついてきて嘘をつくことに罪悪感はなかったという。思い出した。私が以前つきあっていた人もそうだった。虚言癖とでもいうのだろうか?
かなえは悟との別れを納得する。

ラスト、結局去らなかった堀は自分には妹がいたと告げる。
ここでカットが変わって、道を歩くかなえ、その後距離を置いて歩いていく堀で終わる。
二人がどこへ行こうとしてるかは説明はない。
このまま二人は一緒に暮らしていくだろうにも見える。

原作にはこのシーンはないそうだ。
後ろから行くのは堀だが、それもはっきりとは解らない。男がついて行くだけである。見方によってはかなえの事件の時に犯人から言われた「絶対に言うんじゃないぞ、お前のことはずっと見ている」と言われた犯人かも知れない。

実際に撮影現場では井浦新で撮影はされたそうだから、さすがに犯人ではないのだろう。でも解釈として面白い。
私はかなえと堀は(今は団地になっているという友達が殺された池の場所)にとりあえず行って気持ちの整理をつけようとしている、と思った。

面白かった。今年のベストテンに入るだろうし、賞レースにも食い込むだろう。





大学の若旦那


日時 2023年8月26日10:00〜
場所 ゆふいんラックホール
監督 清水 宏
製作 昭和8年(1933年)


味噌問屋の長男の藤本は大学のラグビー部に所属し、、名選手でチームメイトの人望だけでなく、女の子にも人気があった。
そんな藤本は芸者通いをしていた。父親は芸者遊びやラグビーも気に入っていなかった。父親は藤本の妹に店の若者、忠一と結婚させ、店を継がせたがっていた。
芸者がラグビーの練習を見たいと言ったので、妹のセーラー服を借りて外車に着させ、妹のふりをして練習を見に来させた。しかしそこへ妹がやってきて、芸者を連れてきたことがばれてしまう。
藤本は風紀を乱したということで、ラグビー部を退部させられる。
ラグビーの後輩が足を怪我したというので心配になって訪ねる藤本。後輩は姉に心配をかけまいと連絡しいなくていいと言ったが、そうもいかないと姉を訪ねる藤本。姉はレビューの踊り子をしていた。藤本は芸者禁止もあり、今度はレビューにうつつを抜かす。
一方、上の妹が結婚した。その義理の弟も芸者遊びが好きで、毎晩のように通っていた。ある日、藤本と義弟で行ってみると、義弟のなじみから、藤本が通っていた芸者と忠一はつき合っているという。
その事実を知って芸者の方はやめる藤本。
一方大学では今度の試合に勝つために藤本の復帰が決まった。
案の定、藤本の参加で試合は勝った。
しかしレビューの子からは別れを告げられる。


ゆふいん映画祭の部活映画特集の1本。後の東宝・若大将シリーズの元ネタになったと言われる若旦那シリーズの1作目。
今回はフィルムセンターよりのプリントの貸し出し。
サウンド版、ということで、効果音と応援歌などの音楽はトーキー、人物の台詞は字幕である。効果音とか音楽とかもともと後でつけるようなものは音を入れたのだろう。

若大将の元ネタというけど、確かに問屋の息子がモテモテ、という形だけはそうかも知れないけど、キャラクターはそうかなあ?
この藤本というやつ、学生のくせに芸者遊びをする。その金は店の金を盗んだものだ。

2回からカブトムシをつけた紐を垂らし、下にある現金が入った箱からカブトムシに現金をつかませて抜き取るということだ。
卑怯な奴である。遊ぶなら自分の金で遊びなさい。

とにかく芸者とかレビューの踊り子とか水商売っぽい女性が好きで、この主人公好きになれないなあ。田沼雄一とはだいぶキャラが違うぞ。

この当時、こういう金持ちのぼんぼんを主人公にして映画が受けたのだろうか?
まあシリーズ化されたようだから受けていたのだな。


高校エロトピア 赤い制服


日時 2023年8月25日13:40〜
場所 ゆふいんラックホール
監督 白鳥信一
製作 昭和54年(1979年)


高校生の映研部員、真一(高橋淳)、中村、宮島の3人は、ブルーフィルムを作ろうとして日々バイトに明け暮れていた。しかし問題は女優。
近所の居酒屋の女将、ささえ(絵沢萌子)がお金でやらしてくれると聞き、交渉に行ったが夫婦喧嘩に巻き込まれた。ささえは夫の久三郎(庄司三郎)からもやらせるときは1回5000円取り、それを払う払わないでもめているところに出くわしたのだ。成り行き上、1万円貸す真一たち。
でも久三郎は女を紹介してくれると約束してくれた。
肝心の映画研究部では文化祭で上映する映画は高校生活を描いたドキュメンタリーと決まった。OBの大学生横田が映研の副部長の芳子(原 悦子)を狙ってるらしい。しかし真一も芳子に惚れていた。


今年の第48回ゆふいん映画祭は「部活特集」
その1本での上映。ゆふいん映画祭に来たのは「アルプススタンドのはしの方」「神田川のふたり」の上映でいまおかしんじ監督や平井亜門さんがゲストで登壇するためである。
そんな中で日活ロマンポルノ作品も上映。

映研の悪ガキトリオの真一、中村、宮島の3人がブルーフィルム製作で奮闘する話。この後、久三郎がサラ金のため、借金の方に主婦売春を行う主婦などを紹介してもらったり、中村のことを好きな(あまり顔はよくない)女子とやったりする。

真一がなかなかイケメンで70年代アイドルにしてもいいような男。
てっきり最後には芳子と真一がセックスするシーンがクライマックスになるかと思ったら、それはなし。
OBの横田が撮影指導として芳子にさわりまくり、あげくは夜ダビングをしてるときに直接さわってしまうという悪い奴。
その声が(放送室なので)たまたま外に流れてしまい、真一が聞いてしまう。てっきり「何してる!」と怒鳴り込むのかと思ったら、そうはならずに何もできない自分に身悶えするだけ。
それはないんじゃないかなあ。

結局ささえさんを女優にして、ブルーフィルムは撮ることに。でも悪ガキ3人ともうまく勃たない。だから久三郎とのカラミでなんとか完成。
ところが上映会ではフィルムが誤ってドキュメンタリーの上映会の方にいってしまい、先生も観る中、ブルーフィルムが上映されてしまうというベタなオチ。

呼び出しを食らった副部長たちをかばう真一。これがきっかけで真一と芳子は抱き合うのだが、キスするだけ。ここはセックスしなきゃ。
第一主演のヒロインの原悦子がほとんど脱いでないじゃん。
真一が母子家庭で母親は保険の外交で契約を取るために客と旅館に行くのを真一が知ってしまう、というエピソードがあるが、これも話が広がらない。

いろいろと惜しい映画だった。





宇宙戦争 ウォー・オブ・ザ・ワールド


日時 2023年8月20日
場所 DVD
監督 デヴィッド・マイケル・ラッド
製作 2005年


天文学者のジョージは結婚10周年で妻とともにワシントン旅行を楽しもうとしていた。しかし出発の朝、複数の彗星が落下するのを目撃。
旅行は妻と子供を先に行かせ、自分は翌日ワシントンに向かうことにする。落下現場付近では車が止まり、携帯も通じなくなっていた。現場に行ってみると彗星の落下の割には被害が小さい。
その時、謎の巨大な物体が現場から現れた。そして人々を襲いだす。何とか逃げたジョージ。携帯が一時的に通じた。妻とは思いでの場所であるリンカーン記念館前で待ち合わせの約束をした。
ジョージは歩いてワシントンに向かおうとする。途中の町に住む元特殊部隊の兄を訪ねようと思う。


数年前にディスクユニオンの安売りで190円で買ったDVD。当時、中古DVDを買うのが趣味になっていて、ワゴンセールのDVDなどよく漁っていた。これもその1本。
侵略SFだから何となく買ったのだ。

2005年アサイラム社の製作。トム・クルーズの「宇宙戦争」が公開された頃だから、その便乗企画だったのだろう。いかにもアサイラムらしい。

棚に長い間しまってあったのだが、この度観てみた次第。
ああやっぱりね、という感じ。

落下したカプセルからカニの足が長くなって直立した形態の物体が登場。
これがロボット兵器かと思ったが、後の展開を観ると生物だったらしい。
CG合成で、ミニチュアではないようだ。

これが登場するカットは(CG合成がまだバレバレなのだが)、人間目線で見上げるようなカットも多く、その点はよかったと思う。
建物の陰からこの物体を見たり、物体の真下から見上げるカットはなかなか迫力がある。(「ゴジラ×メカゴジラ」の特撮シーンにも似ている)

これがもっと多ければ満足もしたけれど、少ないんだよなあ。
で主人公が宇宙物理学者という設定がまったく生かされず、ただ逃げるだけなのである。
前半は部隊が壊滅してはぐれたケリー軍曹。

この軍曹と兄のいる土地まで行くのだが、結局兄には会えたが、向こうも下半身がなくなっている死に際の状態。
そして町の混乱ではぐれる。

そして今度は牧師のヴィクターと出会う。
このヴィクターは「神の思し召しだ」「神の試練だ」とやたらうるさい。
そして出会った信者に「4歳の息子がどんな悪いことをした。もう神なんか信じない」と言われ、ショックを受ける。
んでよけいにネガティブになり、「神なんか嘘っぱちだった。信じてきた私の人生はなんだったのか」などと言い出す。
正直、足手まといである。

逃げ込んだ家が獣医の家で、狂犬病の薬を物体の触手に注射したらひるんだので、何らかのウイルスが効果的とわかる。
これを使って反撃作戦になるかと思えば、そうはならず、牧師は物体に殺されて、ジョージは一人で(途中ケリーと再会したりするんだが)ワシントンにたどり着く。

行ってみたら意外と人は生きていて、敵の物体は自滅している。家族とも再会できてメデタシメデタシ、である。
なんか見せ場少ないし(ないとは言わない)、やたら尺延ばしのせりふと展開で見ていて退屈だった。
アサイラムクォリティだな。





きみとまた


日時 2023年8月19日14:20〜
場所 シネマート新宿・スクリーン1
監督 葉名恒星


自主映画の監督のまるお(平井亜門)は初めて映画を監督しようとしてた。「好きだからこそセックス出来ない」という6年前の監督自身の恋愛を描いた映画だった。しかしなぜセックス出来なかったかは映画では明確な答えは描かれていない。
まるおはそのかつての恋人、アキに取材と称して会ってみた。彼女自身も夫の母親から孫をせがまれていた。夫の妹が妊娠しただけにそういうつもりはなくてもプレッシャーをかけられる。
しかし最近アキは夫とはセックスレスだった。優しいのだがなんとなくセックスを避けている気がする。
まるおはデリヘルの子を呼んで、彼女にアキを演じてもらうようにしたが、デリヘルの女の子では反応してしまった。
夫のセックスレスに悩んだアキは、ついに「まるおの精子がほしい」といってしまう。
まるおも勉強し、真剣にそれに応えようとする。


キングレコードの「マヨナカキネマ」シリーズの1本。昨年いまおかさんも「ヘタな二人の恋の話」もこのシリーズだったと思う。
「まるおの精子が欲しい」と言い出すまではチラシにも書いてあり、てっきりこれは抽象的な、比喩的な言い方だと思っていたが、まるおは実際に精子を医療器具で採取し、彼女に与える。
そして夫の血液型を確認し、「自分は絶対に姿を見せない。でも子供が将来真実を知って会いたいと言ったら会う」的なことを言って真剣である。

まるおの「彼女に対してセックスする気になれない」というのは一種の神格化ではないかと思った。そういう言い方すると理屈では理解できる気がする。

とにかく「愛しているがセックスする気になれない」というのは周りにいたらかなりめんどくさい奴。アキにしてみればセックス云々、もあるだろうけど、何かと意見が合わなくて別れてしまった気がする。
でもまるおの「好きだからセックスする気になれない」は好きの感情が一周回って「そばにいるだけでいい」になってるのかも知れない。
そういう気持ちはこの歳になるとわかる。若い頃はそんな気にはならなかったけど。

アキの夫もセックスを避けている。かといって「今度旅行に行こう」と言ってくれたりで、アキのことを思ってくれている。
セックスの最中に「ちょっと・・・」と席を外し、なかなか帰ってこないで風呂場に行ったら夫はVRゴーグルをつけてオナニーをしようとしていた、というシーンがある。
あのシーンは「妻では勃起せずにAVなら勃起する」という身勝手な奴、と最初は思ったが、あとで考えれば「勃起したいけどなぜか勃起しない、AV観て気分を興奮したら妻に勃起して挑めるかも知れない」という彼なりの優しさだったのか?
そう考えると彼の愛情の問題ではなく、一種の病気として解決を探った方がいいのかも知れない。

それよりまるおの映画監督としての動きが興味深かった。
映画のスタッフ、メインキャストのミーティングを何回も行い、脚本もみんなの意見を聞きながら作っている。そしてまるおは「みなさん協力してください、お願いします」と頭を下げる。ちょっと卑屈過ぎる、とまでは言わないが、もう少し自信を持ってもいいのでは?

上から目線で「お前等行くぞ!」的な感じがいいとは言わないが、今の若い監督ってみんなああなの?
かつての35mmの時代と違って小劇団が公演を1回やるのと同じくらいに、映画製作のハードルが下がっていることは事実。自主映画の現場ってこんな感じなのかなあ。

葉名監督自身の恋愛経験を元にして、それをさらに映画にするのを映画化した、という構造の本作。もう1回観てみたい気もする。




遙かな時代の階段を


日時 2023年8月18日19:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン9
監督 林 海象
製作 平成7年(1995年)


ストリッパー、セクシーダイナマイト・リリー(鰐淵晴子)が横浜に帰ってきた。実はリリーは探偵・濱マイク(永瀬正敏)の母親だった、
一方、やくざの新興勢力の神野(佐野史郎)は市議会議員選挙に立候補していた。部下の山口(塚本晋也)と松田(松田圭司)は「俺たちはこの町を支配する。川の利権を手中にしている白い男を倒しましょう」というが、神野は「川だけは手を出すな」と反対する。納得がいかない山口と松田は二人で白い男(岡田英次)を倒そうとする。しかし逆襲にあって二人は殺された。
刑事の中山(麿赤兒)はなんとかして白い男のしっぽをつかもうとしていた。川沿いのバーのママ幸子(白川和子)は近所の毛皮宝石を盗んで売りさばいていたが、そのルートがわからない。中山はマイクにそのしっぽをつかむよう命令する。
幸子を追って夜、毛皮店に進入するのを確認し、荷物の運び先が白い男のルートだと突き止めたが、白い男の部下に追いかけられ、証拠のフィルムはだめになった。幸子は白い男に殺され、すでに買収されていた中山は事故として処理した。白い男の一派に写真を撮っていたのはマイクだと教えてしまう中山。
マイクは白い男の一派に追われる。マイクの師匠宍戸(宍戸錠)をはじめとして、仲間はみんな横浜から逃げるようにいうのだが、マイクはヨコハマメリー(坂本スミ子)さんに白い男の場所を教えてもらい、対決する。


濱マイクシリーズ第2弾。「我が人生最悪の時」を見たので今回は全部みようと思う。ちなみに書き忘れていたが、前作は白黒で今回はカラー。
この映画、大阪で観た覚えがある。公開は1995年3月で地下鉄サリン事件の頃だ。ちょうど大阪に転勤になった頃で、転勤したばかりだったようだ。
(ちなみに同時期に「ガメラ 大怪獣空中決戦」も公開され、なんばの南街劇場で観た記憶がある)

(自分にとって)そんなに面白くないのに見てしまうのは、「私立探偵」だからか、「横浜」だからか。自分も横浜を舞台に私立探偵を作ったことがあるからか。

今回も犯人探しのミステリーではなく、一種の暗黒街ものである。
マイクの親がリリーとか、白い男がマイクの父親とか妙に湿っぽい。
新興ヤクザの神野は前作に引き続き登場。今回はいきなり市会議員に立候補している。
部下のヤクザに塚本晋也だが、もう一人は松田啓司。懐かしいなあ。この人、ブレイクしかけたんだが、薬物所持で芸能界を追放された人だ。
惜しかったねえ。ワイルドさも兼ね備えたイケメンだったのだが。

あとヨコハマ・メリー登場には驚いた。伝説の方でドキュメンタリー映画にもなった方だ。初見の時は知らなかったが現実とリンクもしてるのですね。

それにしてもラストの白い男との対決もリボルバー拳銃に半分弾を入れてお互いに撃ち合うという形。
そんなことしないで「ロング・グッドバイ」みたいに一発でしとめろよ。
そのあたりがまどろっこしい。

観るのは封切り以来2回目だけど、まったく記憶になかった。
3作目はなんだか時間が合わなくて見逃したが(無理にでもあわせようとしなかったのかも知れない)、今回はせっかくだからみようと思う。
そうそう前作も本作も助監督に行定勲がいたのでちょっと驚いた。







我が人生最悪の時


日時 2023年8月16日19:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン4
監督 林海象
製作 平成6年(1994年)


横浜・黄金町の映画館の映写室に事務所を構える私立探偵の濱マイク(永瀬正敏)。行きつけの雀荘の新しい店員が客ともめ、その巻き添えになってマイクは指を切り落とされてしまう。指はなんとかつながったが、どうなることか。
その店員ヤンと友達になるマイク。治療費を出すヤンだったが、マイクは受け取らない。代わりに2年前に日本に行ったまま帰らない兄の消息を探してもらうよう依頼するヤン。
マイクは出入国管理局でヤンの兄の入国は確認したが出国記録はない。どこかに不法滞在しているようだ。
警察の中山もなぜかピリピリしている。情報屋で友人の星野(南原清隆)の話では台湾マフィアと香港マフィアが日本に上陸し、黒狗会との抗争が起きそうだという。黒狗会は日本に帰化したアジア人によって結成されたグループだ。ボスは神野(佐野史郎)。
ヤンの兄は今は日本国籍を得て山本と名乗る黒狗会のメンバーだった。
ヤンは実は台湾マフィアのメンバーで、黒狗会に寝返った兄を殺す使命を帯びていたのだ。
マイクは自分の探偵の師匠、宍戸(宍戸錠)からこの件から手を引くように忠告される。しかしマイクは聞かない。
ヤンは兄を殺しに向かった。


濱マイクシリーズ30周年ということで、4K化しての記念上映だ。
私立探偵ものということで、封切りの時にも観ていたが話は全く覚えていなかった。マイクは横浜日劇の2階に事務所があるのだが、そのモギリの婆さんが千石規子で、マイクを訪ねてきた人に「今日の上映はアメリカ映画『我ら生涯最良の年』だよ」という台詞と映画館の看板が裏返って映画のタイトルになるシーンだけ覚えていた。
どの映画館で観たかはさっぱり覚えていない。渋谷だったかな?

2作目まで観たけど3作目は見逃した。2000年代のテレビシリーズも観たけど、考えてみたらどれも面白くなかった。探偵ものなのになぜだろう?

今回見直したが、探偵ものだけどフィリップ・マーロウのような、殺人事件があってその犯人を突き止める、という話ではないのだな。
今回はヤンとマイクの暗黒街での友情物語、というか。
しかも結局はほとんどマイクはなにも出来ずうろうろするだけ。
ヤンと兄は結局は抗争を仕掛けたい神野によって殺されてしまうんだが、その現場に残された指輪(ヤンは好きだった女性ににプロポーズしようとして準備していたもの)を台湾まで行って届けるだけ。

日劇とか映画館とか、マイクも古いアメ車に乗っていてなんとなくレトロ感が漂う。林海象は「夢見るように眠りたい」も昭和レトロでそこがまあ当時は好きだったが、今はもう昭和レトロも食傷気味だ。

いい機会だから3作目(これは見逃している)まで観るけど、俺の好みではないかも知れない。




愛ゆえにーラブアゲインー


日時 2023年8月15日15:30〜
場所 光音座1
監督 国沢 実
製作 OP PICTUERS


エターナル製薬の社長、朝倉ユウキ(仲井間稜・たぶん)は公園でのPR動画の撮影の帰りにある若い男とすれ違う。その若い男はユウキの心を乱した。若い男は連れからタケル(中野隼斗・たぶん)と呼ばれていた。二人はあるマンションに入っていく。その二人をつけるユウキ。
そこはタケルの部屋で、連れで恋人のシロー(吉良星明・たぶん)と二人はカラミあったが、なぜか盛り上がらないタケルにシローはいらいらする。
シローは「タケルは本当は老け専で、ファザコンなんだ。それを認めたくなくて俺のような若い子とつきあってるんだ!」と別れを告げられる。
その様子を見てしまったユウキ。彼はかつて会社で有能な研究者だったネモト(竹本泰志)を訪ねる。彼がかつて開発していた若帰りの薬は
完成しているのかと問いつめる。完成していた薬を試すユウキ。彼は若帰り、23歳の見た目になった。
そしてシローと別れたショックでふらふらしていて中年男に絡まれていたタケルを助けるユウキ。タケルをマンションまで送ったが、そこで二人はカラミあう。ユウキにとっては男性体験は初めてで、感激してしまった。今まで親の会社を継ぐために子供を作れなどといわれ続けていたのだった。
そこへマンションに男がやってきた。男はタケルの父親(安藤ヒロキオ)で、かつてユウキのあこがれの存在だったセイジだった。ユウキはタケルの中にセイジの面影を見いだしていたのかもしれない。
セイジも実はユウキのことが学生時代から好きだったと告げられる。セイジは結婚して子供を作ったものの、10年前に家出していた。しかし常にタケルの事を見守っていた。
「どっちとつきあうんだ!」と二人に問われたユウキだったが、答えることは出来ない。
翌日、老けメイクをして出かけるユウキ。公園にいたところ、「マッチングアプリの方ですよね?」と話しかけられる。偶然にもシローだった。
そこへセイジがやってきた。アプリで出会おうとしたのはセイジだったのだ。二人がもめている時、セイジは倒れた。実はセイジは重い病気を抱えていて、もう長くはなかった。
ユウキはネモトに「元に戻す薬をほしい」と頼んだが、「開発中の新薬のため、まだどうやったら戻るかわからない」と断られた。
セイジを見舞うユウキ。そこで二人は結ばれた。そして初めて体を重ねる。「俺の生命力を注入してやる」と言ったにも関わらず、セイジはあの世へ旅立った。そしてユウキは元の姿に戻った。
それを見たタケルは「今のユウキさんは僕の理想だ!」と抱き合った。


話は最後まで書いた。長いな。
まあカラミも4回あるし(タケルとシロー、ユウキとタケル、ユウキとセイジ、ユウキとタケル)、まあその点は評価できよう。
国沢監督がいつも円谷のパロディみたいな映画を作ってるからかも知れないが、若返りの薬とかそういうSF的なアイテムが登場する。

でも役者の歳を映画で帰るって結構大変なんだよね。
最初ユウキが登場したとき、なんか社長と呼ばれてる割には変な老け方で違和感があったんだよなあ。若い役者が老けメイクして肌つやがきれいだから、どうしても違和感が残るんだ。まして髪型も妙に髪が長いもんだから、余計に「変な中年」になる。役者二人用意するのも手なんだけどピンクじゃそんな予算もないか。

だからそもそもの企画、プロットの段階で変更されていたらもう少しよかったんだよね。
最後はイメージのセイジとユウキ、タケルが3人で仲良く歩いているカットで終わるけど、タケルにとっては親父の恋人、ユウキにとっては恋人の息子ということで、ずいぶん歪んだ恋人関係である。
いったい何がやりたかったのか?

書いてるうちに訳わからなくなってしまっのでは?
普通に若返って若い恋人とつきあい始めたが、彼は実は老け専だった、でいいじゃん。親子関係とか持ち出すからよけいにややこしくなる。
そして光音座は音が悪い(小さい?)からせりふの半分が聞き取れない。
まあお客さんの大半は映画なんか見てないけど。

セイジが妻、つまりセイジの母親について話すシーンがあったが、よく聞き取れない。セイジの妻も同性愛者で偽装結婚したみたいな設定になってるらしい。まあいいけど。

出演者では主役のユウキは長髪のストレートで、強いていえば三宅健似。
体はスリ筋できれい。
タケルは顔はいいのだが、体はムチムチちょいポチャな感じ。
シローは顔はいまいち、体はタケル以上にポチャ。
合格点ではあるだろう。

とにかくコロナで2019年年末作品が最後で新作が途絶えていたゲイ映画。コロナで新作が途絶えて、これで終わりかと思っていたから復活したと聞いてびっくりした。
しかも正月映画のタイトルは発表されている。
誰が得するのか分からないジャンルだけど、まあなくなるよりはいいか。
俺は本音では「もう無くなってもいいんじゃない?」と思ってる部分はあるのだけれど。

同時上映は野上正義の「褐色の標的(ターゲット)」。
横須賀を舞台にした黒人もの。前に見たとき特に感想は変わらず。





セフレの品格(プライド) 決意


日時 2023年8月15日10:45〜
場所 新宿バルト9・シアター7
監督 城定秀夫


森村抄子(行平あい佳)と一樹(青柳翔)はセフレの関係を続けていた。ある日、一樹の家に行ったら若い女性がいた。てっきり一樹の新しい女だと思ったが、一樹の話では病院に来た子だという。17歳ですでに堕胎歴があり、今回も4ヶ月だった。両親の同意がなければ手術できない年齢だった。堕胎は断ったが、夜の街で男を引いているのを見た一樹は仕方なく自分が堕胎した。名前は咲(高石あかり)。どうやら親から虐待を受けていたらしい。精神的にも不安定なので、しばらく自分の家に泊めることにしたのだ。
紹介を受け、咲と仲良くやれそうに見えた抄子だったが、一樹を独占したい咲は昔の仲間に抄子を襲わせた。殴られた程度で済んだが、咲が犯人と知った一樹は咲を責める。しかし咲が自殺しようとしたため、深い追求は出来なかった。それがきっかけで一樹と咲の関係は解消となった。
そんな時、同僚が誤って書類を捨ててしまったためにゴミの山を一緒に探してくれた清掃会社のバイト市原猛(石橋侑大)と知り合いになった。
猛はボクサーで今度試合があるから見に来てほしいという。
実は猛は抄子に一目惚れしていた。ボクササイズに通ううちに、抄子と猛は体の関係になる。「恋人になってください」という猛だが、それは出来ないと断る抄子。


「セフレの品格」の後編。
「後編の方が面白い」という評判は聞いていたが、確かにそれは言えるな。
咲というネグレクトの少女が登場。その危なかっさが、緊張感を生む。
そして後半のボクサー登場。ボクサーですからね、やっぱり裸になったときの体の美しさが画的に生えます。

そして「今度の試合で勝ったら抄子さんにプロポーズします!」と宣言。
こういうのってありがちですが、やはり勝敗が気になりますよね。

でもさ、抄子はもう高校生の娘がいてアラフォーだよ。
熟女好みのマニアックな趣味である。相手役が30代ならともかく、23歳の設定だ。もう女子の妄想である。

それとねえ。「咲と籍を入れた」という噂を抄子は耳にするわけだが、これが結婚ではなく、実は養子縁組。しかも相手の親には1000万円払って二度と咲には近づかないという約束をさせたという。
相手の毒親からするウハウハではないのか。
こんな解決方法が取れるなんて、さすがベンツに乗った金持ちである。

金持ちの男、23歳の体のきれいなボクサー、両方のイケメンから愛されるという、女性にとっては夢のような話。
「強姦した女性が自分のことを好きになる」話を男子の妄想と批判したが、この映画もやはり「女子の妄想」である。
少女コミックとなんら変わらん。

しかし映画館の客層はおじさんがほとんどで、こういうレディースコミックを愛読してそうな女性は皆無。
BLや少女コミックファンと違ってこの層は映画館には来ないんだなあ。

映画の商売は実に難しい。





ガルガメス


日時 2023年8月13日14:00〜
監督 ショーン・マクナマラ
製作 サイモン・シーン(申相玉〜シン・サンオク)
製作年 1996年


中世ヨーロッパ。ドニンゴールドの若き王子、ダビン(デヴィン・オートウエイ)はまだ14歳の少年。国王の父は彼を鍛えようと騎馬戦による対決を行うが、ダビンは勝利した。国王は喜んだが、傷を負った。
大臣のエルエルとは隣国ロバニアへの対応で対立していた。王は民主的に同盟国として外交を進めるつもりだが、エルエルは武力による制圧を主張していた。エルエルは傷の治療の際に王に毒を刷り込む。
王はダビンにこの国の王家に伝わる伝説の怪獣のガルガメスの存在を伝える。その途中で王は亡くなった。
王の死とともにエルエルが実権を握り、ダビンは幽閉された。父から授かったガルガメスの像はダビンの悲しみの涙で実体化していった。しかもこの生き物は金属を食べて成長するのだ。ガルガメスとともに城を抜けたダビンは隣国ロバニアへ逃れる。ロバニアではエルエルがダビンの名で出した増税や徴兵の令によってダビンは憎まれていた。
ある酒場に隠れたが、そこでダビンは自分を身分を隠して戦災孤児のジョンと名乗った。エルエルの兵士どもに囲まれたが、酒場で働いていた勇敢な少女に助けられる。
ダビンはこの少女や村の人と反乱軍に参加し、ロバニアの独立を願う。


例の北朝鮮の怪獣映画「プルガサリ伝説の大怪獣」の監督、シン・サンオクがアメリカ亡命後に作った映画の1本。
シン氏は韓国生まれだが北朝鮮に拉致され、「プルガサリ」などの映画を数本作った後、アメリカに亡命した。数奇な運命の方である。
この「ガルガメス」は監督はショーン・マクナマラになっている。

デビン王子は美少年でいかにもアメリカ映画に登場しそうな感じの少年。
酒場で出会った美少女は実はこの国の王の娘。そして戦いのうちに二人は恋に落ちる、という王道の展開。

前半、まだ幼獣のガルガメスだが、これがどうみても造形がETである。影響を受けてるのは間違いない。造形だけでなく、布でくるんで周りの目をごまかそうとする、というのが姿がもう完全にETだ。
ガルガメスの行動を「静かにしてろ!」といさめるあたりも見た目だけでなく扱いもETの影響下。

そして反乱軍を結成し、戦い、城を攻め、黒い服を着たラスボスと対決するというのは完全に「スター・ウォーズ」の世界。
まあ本当は「スター・ウォーズ」がこういった時代劇(日本のも含む)の世界を宇宙に置き換えたので、先祖帰りなのだが。

ガルガメスが徐々に大きくなるが、民衆と一緒に城に攻め込む行進のシーンでは、10mぐらいに成長したガルガメスと民衆が並んで歩くシーンあり。今ならCGなのでなんてことないシーンだが、1996年当時ならどうやったのだ?とも思える。

ガルガメスを倒そうとしてエルエル軍はガルガメスを谷に追い込み、上から投石、そして足にロープをかけて倒す、などの攻防戦を繰り返す。
ガルガメスについて記載した記録文書を読み、「ガルガメスを生んだものに弱い」ということで、涙、塩水に弱いと推測し、王子を船に縛り付けてガルガメスを海に誘い出す!そしてガルガメスは溶けてしまう、という展開。

そして海岸でエルエルとデビン王子との一騎打ち。このとき、デビンは白いシャツ、エルエルは黒服で完全にルークとダースベーダー。
エルエルは対決で負けたが、デビンは最後の一突きをしなかった、命を助かったエルエルは卑怯にも剣でデビンを突こうとするが、振り返ったデビンはエルエルの腰にあった小刀を抜いて反撃、という勧善懲悪な展開。

戴冠式も行われ、デビンは王となり、美少女とも結婚。
ふたりで海岸に行くと、最初の小さな像に戻ったガルガメスを手に入れ、この王家の宝として末永く語り継がれていく、というところでエンド。

アメリカのジュヴナイル映画として十分楽しめ、本家「プルガサリ」とはだいぶテイストも異なり、おもしろかった。
やはり「プルガサリ」の後半が「プルガサリの存在が逆に民衆を苦しめる」というのは娯楽映画としてはカタルシスに欠け、こちらの方が王道の展開といえると思う。
面白かった。





地球防衛軍<4K>


日時 2023年8月14日9:00〜
場所 TOHOシネマズ池袋・スクリーン1
監督 本多猪四郎
製作 昭和32年(1957年)


「午前十時の映画祭」枠での上映。新宿では上映開始が来週になるので(先に「アルゴ探検隊の大冒険」が上映)、早くみたくてわざわざ池袋にきた。
「モスラ」「ラドン」と年末だったが、今回は夏休みの上映。油断してうっかり忘れるところだった。
客層はいつもの中高年男性。「特撮おじさん」たちだ。

正直言うけど私はもともと「地球防衛軍」が好きではない。いや嫌いではないけど、話が弱いのだ。
ミステリアン科学力に魅せられた白石(平田昭彦)と渥美(佐原健二)の対立を軸に話を進めるべきなのだが、二人とも話の中盤では消えてしまい、藤田進や小杉義男らの司令官が話を進めていく。
だから佐原健二も主人公感がないのだな。

そして決定的なのが、敵が動かないこと。
ミステリアンドームは動かないので、スピード感が生まれない。
モゲラがもっと活躍して東京などの都市破壊をする展開ならばもっともっと面白かったかも知れないが、最初に鉄橋で転んでおしまいである。
もったいないよなあ。

私にとってはモゲラと自衛隊の攻防戦の序盤の見せ場で終わってしまっているのだ。
夕べちょっと飲んだ後だし、朝の9時からの上映で後半寝落ちしそうになる。

しかしこれは79年頃のチャンピョン祭りで観たときからそうで、モゲラに火炎放射するあたりで私にとっては終わるんだな。
もっともそういう反省もあって、同じ敵基地攻撃でも「海底軍艦」のような見せ場を作るようになったと思う。

いろんな意味で東宝SFの発展途上の作品だったと思う。






さよならエリュマントス


日時 2023年8月11日17:00〜
場所 シネマート新宿・スクリーン1
監督 大野大輔


エリュマントスは6人組のチアリーディンググループ。各地の祭りなどのイベントに行って踊りのパフォーマンスを行っている。今日も関心のないお客さん数人の前で踊るだけ。マネージャーの宍倉(中島歩)は信用できない。先の見えないグループ活動にメンバーは将来に不安を感じていた。
今日もイベントが終わって旅館に帰る。宍倉は地元の怪しげな社長(川瀬陽太)と仕事の話で飲みに行くので、リーダーに一緒に来いという。「接待は仕事じゃない」と断るが、「ギャラ1万円出すから」と言われて行くことに。メンバーのサラも1万円につられてついてくる。
宍倉たちと社長が飲みに行った先は地元のスナック。店のママ(豊田ルナ)が態度が悪いと喧嘩になる。そこへママの旦那がやってきた。
社長は平謝りしてその場を逃れる。宍倉とリーダーは捕まって反グレの旦那事務所へ。サラは酔いつぶれてトイレで寝てしまう。店番で残ったタケル(平井亜門)とサラはなんとなく散歩に出かける。
旅館に残った4人のうち、一人は東京のモデル事務所のオーディションに受かったと言っている。4人の中でもなんとなく気まずい雰囲気に。


SPOTTED PRODUCTION製作。ミスマガジンのモデルたちを使ったアイドル映画。ミスマガジンってよくわからないので調べてみたら講談社のヤングマガジンのグラビアアイドルの女の子たちだ。「ウルトラマントリガー」に出演していた豊田ルナも先輩としてゲスト出演だ。
若い女の子の顔なんかさっぱりわからないが、リーダー、モデルになる子、反発する子、平井亜門と散歩デートする子、天然の子、などキャラ分けされているので、「誰だ誰やら?」ということにはならない。

でも非常におもしろかった。
70年代のアイドル映画なら、スターを目指す子、という明るい未来がまってるような子たちが主人公だが、ある意味等身大な感じである。
「甲府からやってきましたエリュマントスで〜す」と自己紹介するが甲府にそんなイベント仕事あるのか?とも思うが、月に1回ぐらいしかエリュマントスの仕事はしてないのかも知れない。

アイドルに限らず、若い頃は将来の不安を漠然と抱えている。年をとると「今までなんとかやってきたからこれからも何とかなるだろう」という謎の自信がつき(それに上を目指さなくなるから)、まあ日々送ることができる。
しかし若い頃は「なりたい自分に近づいているか?」「今自分はその努力が出来ているか?」と焦り、不安になる。
その感覚が6人には満ちあふれている。
その感じが非常によかった。

その中でも恋愛要素として「小学校を出て暴走族に入ったら入学には言ってない」というタケル(平井亜門)との淡い恋。恋ですらないのかも知れいけど二人の見せ場がたまらんなあ。
パンフレットについていた大橋裕之氏のマンガではタケルがサラにちょっと恋してるスピンオフが見られてうれしい。

そしてラストでは客にバカにされたエリュマントスがパフォーマンスで反撃して、さらに反グレたちにも反撃するカタルシス付き。
面白かった。もう1回観たいな。






キングダム 運命の炎


日時 2023年8月11日12:50〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン7
監督 佐藤信介


秦国に趙国が攻め行ってきた。中華統一を目指す若き王、エイセイ(吉沢亮)は王騎(大沢たかお)に総大将を命じる。しかし王騎は引き受けるに当たってエイセイの本音を確認する。何の為の中華統一なのか?
エイセイは7年前まで敵の国に不可侵の人質として捕らわれており、辛酸をなめていた。秦の国の王が亡くなり、エイセイ自身が王位継承者になったため、国に帰ることになり、そのために闇商人、紫夏(杏)、亜門(浅利陽介)によって秦の国に帰ることが出来たが、紫夏たちは死んだ。人々が争いで死ぬことのない世界を作りたくて中華統一を目指すという。
王騎は総大将を引き受ける。趙国の軍勢は馬陽で決戦となった。
王騎は信(山崎賢人)の百人隊に本体とは別に敵深く進入し、敵の大将を討ち取ることを命令する。
一見無茶な戦いだが、うまく行けば一気に形勢は逆転し、秦の勝利だ。
信は精鋭の仲間たちと戦いに向かう。


「キングダム」シリーズ第3作。見終わってまず思ったのは「これいつまで戦いが続くんだろう?」ということ。全10作ぐらいになるのかな。

今回も戦いのアクションが中心で、ドラマはあまりない。
前半は吉沢亮と杏のパートで、吉沢亮を助けるために杏が自ら命を捨てる、という「自己犠牲」で泣かせの展開となる。

後半は単独戦でつっこんでいく信、という展開で去年の「2」もこんな感じじゃなかったけ?
観てる間はアクションに次ぐアクションで山崎賢人の「決め!」ポーズがかっこよく、そこは十分に楽しめる。

でもそれだけ。
見終わると何も残らないし、今物語のどの辺(まだ序盤なのか、後半なのか)もさっぱりわからず、いつまで話は続くんだろう?という気になった。要するに最初の感想だ。

見終わって別のお客さん同士の会話で「ミッションインポシブルより面白かった〜」と言ってる女性がいたから、日本映画ファンとして妙にうれしい。
私自身が楽しむためというより、日本映画業界のためにもヒットを続けてほしい。
「東京リベンジャーズ」のような反社会的なグループの話よりずっといい。
両方にメインで出演している吉沢亮すごい!という身も蓋もない感想しか出てこない。
観てる間は面白かったし、山崎賢人はかっこいいし、十分に元は取った騎はする(ポイントで観たけど)

山崎賢人もアクションが決まるんだなあ。
今度は現代劇の拳銃アクションも観てみたいね。







アルゴ探検隊の大冒険


日時 2023年8月11日9:20〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12
監督 ドン・チャフィ
製作 1963年(昭和38年)


昔々。万能の神、ゼウスの保護下にあるペリアスはアリスト王を殺し、テッサリアの国を奪った。しかし20年後、片足が裸足の男に殺されると預言される。
20年後、ペリアスは落馬し川に落ちた時に片足が裸足の青年に助けられる。靴は助けるときに川で脱げてしまったのだ。その青年・ジェーソンはアリスト王の息子だった。ジェーソンは王国を取り戻す願いがあり、ペリアスはまだ自分を仇とは気づいていないジェーソンに地の果ての国にある金の羊の毛皮を手に入れてくるといい、という。
ジェーソンは国中の力自慢を集め、武術を競わせ40人の隊を結成。
大型船アルゴ号でその金の羊の毛皮のある国に向かった。
途中で水が尽き、ジェーソンに味方する女神ヘラの助言である島に向かう。その島では水と食料の調達だけだと命じたにも関わらず、ヘラクレスは島にあった青銅の巨人像の台座にあった神々の財宝を盗んでしまう。
起こった青銅の巨人テイロスはヘラクレスやアルゴ号を襲った。ジェーソンはヘラの助言でテイロスの足首にあった栓をあけるとたちまち液体が流れ、テイロスは倒れた。ヘラクレスは助かったが、一緒に盗みに入った仲間ハイラスを探すために島に残ると言い出した。ジェーソンやヘラはハイラスは死んだと説得するが、ヘラクレスは残った。
そしてヘラの助言で近くの島にいる目の悪いピネウスを訪ねるように言われる。
ピネウスは預言を悪用した罪で、食事を怪鳥に奪われる罰を受けていた。


「午前十時の映画祭」枠で上映。昔テレビでちらっと見たことがあったが、ちゃんと見たことはなかったので今回鑑賞。
特撮はレイ・ハリーハウゼンである。
特撮の見所はこれから書くけど、この映画、お話が途中で終わっている。
ジェーソンが金の羊の毛皮を手に入れたところで終わってるのだ。
「えっ、ペリアスと対決して国を取り戻すんじゃないの?」となってしまう。
案外3部作ぐらいで作るつもりだったのが、1作で終わってしまったのか知らん??

それに金の羊の毛皮も誰もいない秘境から持ってくるんじゃなくて、すでに行った先の国の宝である。これって略奪じゃない?
なんだか話も納得できないなあ。

それにヘラクレス。伝説の武人でいい人なのかと思っていたら、「食料と水以外だめ」って言われてるのに財宝を盗もうとする。コイツ悪い奴。
そして最初に競技で合格する奴の中にヘラクレスに円盤投げで挑む奴がいいる。それが弱そうなのだが、石投げの要領で海面を飛ばせて距離を延ばす奴がいる。てっきりヘラクレスとコンビを組んで主人公を助ける活躍をするかと思ったら、ヘラクレスと同じく財宝泥棒。
だめだこりゃ。

んで特撮。
青銅の巨人、人間大コウモリのような怪鳥、崖が崩れてくる海峡をあけてくれるトリトン(上半身はたくましい男だが、下半身は魚らしい。人魚っていうより半魚人か?)、金の羊の毛皮を守る7つの首を持つ竜、そして骸骨人間。
この辺はハリーハウゼンの特撮がさえ渡る。
特に骸骨人間との対決は東宝の着ぐるみ方式では絶対に無理な映像。
この点はやっぱり見応え満点。

しかし話が納得できない展開なので、映画としては点を辛くせざるを得ない。






顔のない悪魔


日時 2023年8月8日
場所 DVD
監督 アーサー・クラブトゥリー
製作 1958年(昭和34年)
日本公開 1959年(昭和35年)(43分短縮版)


カナダにある米空軍基地周辺では謎の連続変死事件が起こっていた。基地では地元住民と騒音により乳牛の不振など反感も強かった。そこへ原子力を使った新型レーダーの実験も行われており、住民の基地に対する反感はますます高ぶっている。
米軍としても変死事件の真相を突き止める必要があり、カミングス少佐がその任に当たる。最初の被害者の妹のバーバラから亡くなった兄の話を聞くことで知り合うカミングス。バーバラはこの近くに住む元教授の助手として本の執筆を手伝っていた。
住民は基地の騒音とか放射能の影響、または米兵の中に今回の事件の犯人がいるのではないかと疑い出し、自警団を結成。森の中で犯人を探索。1名行方不明者が出て大騒ぎ。その人は見つかったが、あまりの恐怖で精神を病んでしまったようだ。
カミングスはバーバラが助手を勤めるウォルゲートが関連していると疑いだした。彼は放射能にも詳しく、また著作にも意識に言及したものが多い。
彼を問い詰めるカミングス。そこで教授は「怪物は自分が作り出したものだ」と告白する。


これもずいぶん前に買っていてそのままになっていたDVD。2009年5月にアマゾンで買ったようだ。
時間があったので鑑賞。

イギリス製作の映画だそうで、アメリカ映画とは違う。
もう米軍基地が迷惑施設として「騒音で牛が体調がおかしくなり牛乳の質が落ちた」などと言われている。「諸悪の根元は米軍基地」と住民から疑われており、その疑いを晴らすために米軍も動く。
それにしても人が死んでも「検死をしたい」と米軍が申し出ても地元の町長に拒否されるというのが興味深い。日本の沖縄とは真逆だよ。ここでも日本の地位協定のおかしさが感じられる、という映画の製作者の意図とはまったく違う感想が出てきた。

結局教授は言ってみれば念動力の研究をしていたが、その研究には多大なエネルギーが必要で、ある晩、雷の電気パワーを使って動かすことができた。やがてそのパワーは暴走し、基地の原子力エネルギーを吸い出したという訳の分からん理屈。

原子炉を止めれば怪物は死ぬと思われるが、その怪物のせいで制御棒が破壊され止めることができない。だからカミングスが教授の家から必死で駆けつけるという展開。
最後は基地の火薬庫のダイナマイトを使って原子炉を破壊する。
おいおい原子炉を破壊したら放射性物質が飛散して大変なことになるよ。

そういうあら探しは止めにして、特撮の見所。
その問題の怪物は脳味噌の形にしっぽがついたような形で、なにやらグロテスク。一種エイリアンも思わせる。
これが登場するのが70分の映画の60分あたりからなのだが、登場してからは倒しても倒しても襲ってくる。
拳銃で撃ち抜いたり、斧で叩けば死ぬのでそれほど強いわけではない。

この脳味噌状の怪物はすべてストップモーションアニメ。
ちょこちょこ動くあたりは実にがんばっている。
十分楽しんだ。

カミングスと教授の助手が何故かくっつく強引さはこの手の映画のいつものことなのだし、原子炉のあつかいとか色々不満もあるけど、米軍基地が迷惑施設として描かれていたり、ストップモーションアニメに見所があったりと楽しめる点も多かったな。






五月の恋


日時 2023年8月6日
場所 DVD
監督 シュー・シャオミン
製作 2003年(平成15年)


台湾の大学生、アレイ(チェン・ボーリン)は人気ロックバンドのメイデイ(五月天)のギタリストの弟で、そのために公式HPの掲示板担当をしていた。BBSに書き込みに返信したりするのだが、「五月の雪って知ってますか?」という書き込みがある。「五月に台湾では雪は降らないよ」と返したが、よく調べると桐の花が白い花を咲かせ、それが散る様が雪のようでそれを「五月の雪」ともいうのだ。
書き込んだ人はメールをくれたが中国シンセンのシュアン(リウ・イーフェイ)という。
アレイはつい「自分はボーカルのアシン」と返信してしまう。
彼女は「今度5月に台湾に行くので会ってほしい」とメールを送ってきたが、アレイはつい「いいよ」と返信してしまう。
当日、アレイはメールを送ってきたのがどんな奴か確認するために待ち合わせの書店に行ってみた。そこにやってきたのはシュアンだった。
アレイは名乗らずに、彼女がその後どんな行動を取るか尾行してみた。
彼女は台北郊外の三義に行く。しかし目的の場所には行けなかったようだ。
台北に戻ってきた二人だが、結局尾行がばれてしまう。
シュアンは攻めたがお願いをいくつか行ってきた。「アレイに会わせて」「今夜の京劇を見に来て」など。その晩シンセンからやってきていた京劇の舞台を見に行くアレン。舞台で踊っていたのはシュアンだった。
翌日も会う二人。三義に連れて行ってほしいという彼女につきあうアレン。ある家に行ってみたが、住人はいなかった。無理に入ったところを警官に見つかってしまう。逮捕されたが住人が「取られたものはなにもない」と言ってくれたので釈放された。
やがてシュアンはシンセンに帰って行った。アレンは三度、三義に行き例の家の住人を訪ねてみた。その住人が語るには昨年亡くなった主人はシンセンの生まれで、戦後、故郷に帰れなくなりシンセンに自分の子供がいることを知らなかったというのだ。シュアンはその方の孫にあたるのだった。


だらだらと話を書いてしまった。
一時期、チェン・ボーリンのファンで、彼の映画は数本見た。まあ大体おもしろくなかったのだが。このDVDも買ったのは2008年4月でイオンモール太田店で(仕事で立ち寄った)定価1500円の20%引きだから買ったのだ。でもそのままになって15年。やっと見た。

正直言うけど、実はこの映画、本質は私には理解出来なかった。台湾と中国本土の関係性がわからないのだ。
中国シンセンで京劇の勉強をしている若い女性が台湾のロックバンドのファンということに何か意味があるだろうか?
日本のダンススクールに通ってる女の子が韓国のアイドルグループのファンというのと同じ程度の意味と考えてよいのだろうか?

またシュアンの祖父が中国から戦争で台湾に渡り帰れなくなった人、という設定。このあたりの中国と台湾の歴史的関係がさっぱりなので国民感情とかがわからない。
一時期分断されていて、親子でさえも会えなかったというのは理屈としては解るのだが、どうもピンとこない。
北朝鮮と韓国のほどの対立関係ともちょっと違う気がするし。

映画の方は五月天(メイデイという実際にあるバンドだそうだ)が中国本土のツアーにいくので、アレンもシンセンに行き再会するという結末。
今後二人がつきあっていくか解らないし、笑いあって終わり、みたいな。

関係ないけど、冒頭でHPの掲示板とかチャットとか2000年代のネット文化が懐かしい。今はSNSだもんね。





カタオモイ


日時 2023年8月5日18:00〜
場所 シネマート新宿・スクリーン1
監督 いまおかしんじ
脚本 宍戸英紀


杉下可南子(丸純子)は夫・方正(川瀬陽太)の浮気が原因で家出してきて今は東京の下町の洋食店で働いている。年下の恋人を見つけようとしてマッチングアプリで出会いを求めたが、だまされて10万円取られてしまい、困っている。そんな時、隅田川沿いの公園で同じくぼーっとしている青年・謙一(細田善彦)に出会う。
可南子の元に息子のカズキ(平井亜門)から電話が入る。「いい加減に戻ってこいよ」という。実は可南子の家ではこれが初めてではなく、2、3年に1回は家出していた。
再び謙一と出会う可南子。謙一は酔っぱらって道で倒れており、家まで連れて行く。部屋に連れていったが、謙一は可南子を別れた恋人と間違えたのかキスをする。
それがきっかけで心に火が点いてしまう可南子。自殺マニュアルなどの本を謙一の部屋で見かけた彼女は放っておけなくて、謙一の彼女のふりをしてメールのやりとりをしたり、この間持って帰ってきてしまった鍵を使って部屋に入り料理を作ったりした。
ある日、偶然謙一が可南子の働いている店にやってきた。一緒に働いている店主の娘の泰葉(中村守里)は謙一のことを今は引退した人気マンガ家だという。


いまおかしんじ監督のレジェンドピクチャーズ作品。
前から思ってるけど丸純子さんの主演ってどうなのだろう?
たとえば(たとえ演技が下手でも)グラビア写真集を出しているような娘なら、とりあえず需要はあるだろうし、商売にもなるだろう。
丸純子さんってもちろん女優さんとしてはかわいらしい面もあって、それなりに評価はする。
しかし彼女のおっぱいが見たいかと言えば別の話である。

前半で丸さんのシャワーシーンがあり、ここで終わりかと思ったら、後半のクライマックス的なシーンで謙一とたっぷりカラミを演じるのだ。
相手役の細田善彦は「脱いだらすごいんです」タイプで体がたくましいのでびっくりした。それで40代女性の熟女のおっぱいとお腹が写るのだが、これが思ったより長い。結構延々と出てくるのだな。
私の個人的な趣味の問題かも知れないけど、需要あるのかなあ?そりゃ熟女好きもいるのはわかるけど。

ちなみに今日は舞台挨拶付きなのだが、客層は中高年が多かった。亜門くんファンらしき人もいたけど、30人ぐらいじゃないだろうか?お客さんの7割は中高年男性だった。

可南子は嘘のメールのやりとりをするのだが、それもなんだか私にはなりすましの詐欺に感じられてしまい、好きになれなかったな。
嘘のメールやりとりでは最近では「交換ウソ日記」とかあったけど、あっちの方がうまくやっていたと思う。

また謙一が実は高名な漫画家立ったという設定だが、これがどうもドラマに生かされていない。
可南子の息子はファンだと言ってたけど、そこはその漫画家先生に会うシーンがあった方が面白かったのでは?と思う。

今回、脇のキャラクターや役者が利いていて、息子に平井亜門、夫に川瀬陽太、可南子が働く洋食店の主人に片岡鶴太郎、その娘に中村守里である。
おなじみの役者さんが多数出演し、その点は個人的には楽しかった。
川瀬さんと平井さんの親子役など、個人的にはツボである。また中村守里ちゃんが可愛い。
その辺が十分に楽しかった。