このハンバーガー、ピクルス忘れてる(刈谷日劇)日時 2024年3月31日15:40〜 場所 刈谷日劇・スクリーン1 監督 木村聡志 「このハンバーガー、ピクルス忘れてる」の劇場版は初日2/16アップリンク吉祥寺、2/24高崎シネマテーク、3/16川越スカラ座で見て今回は4回目。 高崎まで見に行った段階でリミッターが外れ、これからは行ってみたかった全国のミニシアターは機会がある度に行ってみようと思う。 (「ハンバーガー」はその前にMOOSIC LAB版も2回見ている) 感想は書いたり書かなかったり。 今回は木村監督と平井亜門さんの舞台挨拶付きなのだが、その中で興味深い話が聞けた。 このドラマがもともとは1話数分のWEBドラマの企画として作り始めたが、その話がなくなったのでテレビドラマとして練り直した。 その時は登場人物の名前が「ハル」「ナツ」「アキ」「フユ」だった。 そのtreatment枠がソニーミュージックの提供枠なので基本ソニーミュージックの役者を使うので、平井亜門の出演になり、ならばということで主人公の「先輩」にしてみた。 「先輩」は「階段の先には踊り場がある」のメンバーだが、そこでは「高橋」としか名前は出てこない。「ハンバーガー」の主役の最初の名前は「ハル」だったので、「先輩」の名前は「高橋春彦」ということだそうだ。 そうなのかあ、だから「ハンバーガー」に登場する女性二人が「なっちゃん」「あきちゃん」なんだ。 本日の舞台挨拶、最後の挨拶で木村監督から「今日は平井亜門さんのご家族の方がお見えになってます」という話を始める。 「そんなこと言わんでも」と思っていたら平井さんから、今日来ているおばあちゃんが、20歳ぐらいの頃から60年美容師をしていて、昨年末店をついに閉めて、昨日今日はおばあちゃんのお疲れさまをかねての家族旅行に来ているのだとか。 その旅の最後の訪問地がこの刈谷日劇での「ハンバーガー」&孫の舞台挨拶鑑賞、なんだそうで。 最後には平井さんから「○○おばあちゃん、60年間お疲れさまでした〜」と挨拶して観客から拍手をもらうという(おばあちゃんには)サプライズ付き。 平井さんの地元ならではのイベントでした。 今回の刈谷日劇、名鉄刈谷市駅前なのだが、その駅前は予想以上に閑散としていた。 1階がパチンコ屋のビルの5階に映画館はあるのだが、パチンコ屋も営業しているんだかいないんだか解らない位活気がない。 それでも「男どアホウ未亡人」を去年の9月からロングラン上映していたり、「PERFECT DAYS」や「夜明けのすべて」「二人静か」も上映するという東京で言えば池袋シネマロサやアップリンクで上映するような番組を上映している。 正直刈谷なんて愛知県でも特に栄えている町でもないのにすごいなあ。この番組編成を支える三河のお客さんもすごいよ。 今回は10時〜「階段の先には踊り場がある」、13時〜「違う惑星の変な恋人」、15時40分〜「ハンバーガー」の3本立てて鑑賞。 ろくに昼飯も食わなかったけど、映画が面白かったから充実していた。 (前日には大阪ナナゲイでKCUの舞台挨拶付上映あり。こっちはパスした) 痴漢電車 マン淫夢ごこち日時 2024年3月30日19:15〜 場所 中村映劇 監督 城定秀夫 製作 OP POCTURES 図書館につとめる水野君子は満員電車に痴漢にあってもそのままにしていた。彼女は頼まれるとイヤとはいえない性格で、痴漢も拒むことは出来なかった。その中でも手にさそりの刺青をした男(守屋文雄)のさわりは逆に感じてしまう。それだけでなく、図書館の館長の中島のちょっかいを拒むことが出来ず、不倫の関係を続けていた。ある日中島の妻が訪ねてきた。すぐに関係を認めた君子を妻は特に責めなかった。 銀行員の日高麻美はブランドもの大好きで一流の男と結ばれることを夢見ていたが気が付けは28歳。普通のサラリーマンは見向きもしなかったがすこし焦りを感じている。婚活パーティで会社社長の野崎と知り合う。贅沢な食事やワイン、上手なセックス、そしてプロポーズ。 麻美は完全に野崎の虜になる。しかし野崎が「会社がやばいんだ。すぐに3000万円必要だ」と言われる。麻美は銀行の金を操作して3000万円作る。 警察官の間宮涼子(松田理子)は男社会の警察において痴漢撲滅に情熱を燃やしていた。さそりが掲示板でも噂になっており、彼をたたえる投稿も目立つ。涼子はさそり逮捕を目標にする。 中村映劇の2本目。20時半に終映という割と早く終わる。 この辺がやっぱり名古屋で東京や大阪ではない。 観ていない城定作品。大蔵のピンクだから2010年代後半かな。 3人の女性のエピソードがオムニバス的に語られていく。 しかし最初の君子のエピソードで正直出ようかと思った。私は「痴漢にさわられて感じてしまう」という男性ファンタジーが好きになれないのである。 城定さんにしては安易な発想だなあ、と少々呆れて観ていた。 しかし麻美、涼子のエピソードになるにつれ、面白さが増していく。 特に3000万円を持っている麻美、さそりのお触りを待つ君子、そのさそりを逮捕しようとする涼子が同じ電車に乗り合わせ、彼女たちのエピソードが重なっていく。 このあたりの構成のうまさはさすが城定さんである。 結局さそりには一度は手錠をかけるが逃げられた涼子。 君子はさそりとは違う男(麻木貴仁)に触られその男に興味を感じてついていく。 男は以前君子を前から電車で見かけて気になっていて、会社でうまくいってないのでつい痴漢した。だが逮捕され、会社はクビ、妻にも逃げらられる。いっそう死んでしまおう、死ぬ前にもう一度君子を触りたいと思って痴漢したという展開。頼まれたらイヤとはいえない君子は男とセックス。 やり直す決意をしたように見えた男だったが、踏切で立ったままになる、という展開。 このシーン、西武線のどこかで撮影しているが、踏切の遮断機が降りた状態の内側に麻木さんが立っている。いや、大胆な撮影するなあ。 ゲリラとはいえ、電車に見つからなかったのかな。今度麻木さんや城定監督に会ったときに聞いてみよう。 後半の展開といい、さすが城定監督、と言える出来でした。 しかし今日は朝早くからバスに乗り、ろくに食事もしないで映画も3本観てなかなか充実というかあわただしい日でした。 追記しておくけど、この劇場、上映が変。 スクリーンは暗幕の左右はビスタサイズになってるんだけど、その中でシネスコサイズで上映。 もちろんオリジナルのサイズはビスタのはず。にも関わらずシネスコで上映してるから役者が全員横に延びている。 この映画だけでなく、この前の「大人の事情 姉の恋人」もそうだった。 まともに上映する気はないらしい。 大人の事情 姉の恋人日時 2024年3月30日18:10〜 場所 中村映劇 監督 金田 敬 製作 レジェンド・ピクチャーズ 沢木まなみ(上原優)は看護師をしていたが小さい頃に両親を亡くし、高校生で受け付けのバイトを始めたこの病院で働いていた。 近藤院長に看護師の学費や妹の大学の学費を出してもらっていたが、それはすべて院長の性奴隷になることが条件だった。 まなみの親切な看護は入院患者だった三橋の心を打った。しかし院長との関係がある以上、まなみは踏み込めないでいた。 真面目なまなみと違って妹のまゆみは奔放な性格で男をとっかえ引っ返していた。姉に反発するまゆみは自宅を訪ねてきた三橋を誘惑し、セックスする。それをまなみに話したまゆみは大喧嘩。まゆみは出て行った。 しかし金もなくなり姉を頼って病院を訪ねる。そこで近藤から姉が自分の性奴隷と聞かされ、自分も愛人になれと言われる。金が欲しいまゆみは納得する。 そして二人の痴態を目撃したまなみ。二人は大喧嘩になる。 喧嘩に疲れた二人は笑いあう。 まなみは病院を辞め、自由になるのだった。 かつて訪問したことのある中村映劇。古い建物の映画館だったが、改装ではなく建て直したというのでいい機会だから行ってみた。名古屋駅から20分ぐらい歩いた場所にある。 この映画館、客層が独特でしかも映画の上映中に会話が自由なのである。 いや別に自由なわけではないだろうけど、常連のお客さんは来場している女装の方と話している。端から映画を見る気がない。 ここまで自由な映画館は少ない。上野や横浜の映画館はお話はあまりしない。 しかし建て替え前に来たときはたばこ吸ってる人もいたような気がするがさすがに今はたばこはいなかった。 映画の方はレジェンド作品だからかカラミは多いけど裸は抑えめ。 姉妹が争う姿は私個人の兄弟喧嘩を思いだし、なんかだ複雑な気分。 妹役の女優さんが正直貧乳で寂しい。 青春ジャック 止められるか俺たちを2日時 2024年3月30日15:35〜 場所 シネマスコーレ 監督 井上淳一 名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全(東出昌大)はある日面識のない若松孝二監督から「新しく名古屋に映画館を作る。ついては支配人になってほしい」と言われる。かつて池袋の文芸座で番組編成をやっていた経歴を受けての相談だった。迷ったが、映画への情熱が忘れられない木全は結局は引き受ける。名古屋の大学の映研にバイト募集の張り紙をして映画監督志望の金本法子(芋生悠)たちがやってきた。 シネマスコーレはオープンしたものの、名画座路線でいきたい木全の番組編成では客が入らない。新東宝から「名古屋で新東宝の映画を掛ける映画館がない」という依頼を受け、若松はピンクをかけることを命じる。木全は「1ヶ月のうち3週ピンク、1週は名画座にしてほしい」と懇願。もっとゴネるかと思っていた若松は、その提案で了承する。 高校を卒業し、今は浪人生となった井上淳一(杉田雷麟)は予備校に通いながら将来若松プロに入ることを夢見ていた。シネマスコーレに通ううち、偶然若松監督に会うことが出来た。勇気を出して若松に「弟子にしてください」と頼み込む。そしてそのまま東京について来てしまう。 「とにかく大学に入ってからにしなさい」という若松。 日芸と早稲田に合格した井上は若松のアドバイスで若松プロに助監督として働き始める。しかし怒られてばかりの日々。 ある日、井上は若松にかつて通ってた予備校河合塾の入塾式のPR映画を撮る話があると持ちかける。 若松プロの映画第2弾。今回の監督は若松孝ニの弟子の井上淳一。 若松プロの映画と言うより、若松の周りにいた映画青年、木全と井上の話だ。若松は二人と関わる軸となるが、若松自身の話ではない。 3月31日に刈谷日劇で平井亜門の「階段の先には踊り場がある」「このハンバーガー、ピクルス忘れてる」の上映&平井の舞台挨拶があるため、朝イチで新幹線で駆けつけるより前泊して前から行きたかったシネマスコーレでここが舞台になった映画を観る方がよいと思い、行きはバスで駆けつけた。(13時55分着予定で余裕だと思っていたら春休みの影響で行きの横浜町田合流の自然渋滞受け、15時10分にささしま着。あぶなかった) この映画、おもしろいことはおもしろいのだが、結局主人公が誰なのか混乱していて、少し収まりが悪い気がする。 前半は木全のスコーレたち上げのあれこれ、後半は井上淳一の助監督の話。そこへ中途半端に実は在日の金本が絡んでくる。 金本の存在が中途半端でいてもいなくても映画が成立してしまう。 実在の人物に架空の人物を絡ませた限界か。 在日とか女性とかのハンデをある人間、という設定はよかったのだが。 前半の名古屋の状況の描き方が面白い。 若松孝ニがなぜ名古屋に映画館を作ったのか。「自分の映画を絶対に掛けてくれる映画館がほしかった」というのは若松らしいが「名古屋は東京、大阪に比べて安いから」という理由だった。映画館の上は風俗店にするというのも当時のスポーツ紙の芸能欄で読んで知っていた。 名古屋東映に挨拶に行くシーンがあるがそこで「外タレも東京、大阪で公演をして名古屋は素通りする。ここは文化不毛の地」と言われる。これは当時よく言われていた。懐かしい。 木全が最初高校の野球部にビデオカメラを売り込もうとするが「名電も中京もこれで研究してます」と言っていた。当時は高校野球が強かったなあ。 「シルバー劇場も今度から洋画封切り館になります」というがシルバー劇場は近くの太閤通にあったゴールド劇場と並んであった映画館。しかし80年代にオープンしたので私は行っていない。 井上淳一に若松孝二は「早稲田と日芸受かったんなら映画はうちで学んで早稲田の名前を取っておけ」と早稲田を勧めたらしい。案外現実的である。若松らしさである。 後半は井上の助監督青春記。出てくるエピソードはすべてほんとだろう。 予備校の話で「今、河合塾と代ゼミと駿台はやくざ以上に争っている」というせりふが笑った。かつて駅裏(とあえて呼ぶ)は河合塾の牙城だったが、70年代後半に代ゼミの名古屋校が出来たのだ)。 そこで代ゼミのPR映画を撮る。 このPR映画は2016年10月17日に若松監督追悼上映でテアトル新宿で上映されたので私は観ている。 内容はすっかり忘れていたが、今、当時の備忘録を読んだらこの映画に出てきたエピソードと全く同じだ。 備忘録の最後には「完全に凡庸な学生の自主映画のようだった。まあ19歳の大学生が撮ったのだから、そんなものか」と記している。 80年代前半の名古屋の映画事情を記した映画としては面白かった。 でもそれ以上のものはなかった気がする。 ナチ刑法175条日時 2024年3月24日12:00〜 場所 新宿K's cinema 監督 ろぶ・エブスタイン+ジェフリー・フリードマン 製作 1999年(平成9年) 1872年、ドイツでは「男性間、人間と動物の間で行われる性行為は禁固刑に処される」という刑法175条が制定された。 しかし法律はあるもの、1920年代ぐらいまでは男性同性愛者、女性同性愛者があつまるバーは存在し、違法ではあるものの実際摘発されることはなかった。 ナチス・ヒトラーの台頭により、同性愛者を敵視する動きが出始めた。しかし閣僚に同性愛者がいたことから当時の同性愛者は楽観視していた。 だがその閣僚も追放され、やがては迫害が始まる。女性同性愛者は「生殖能力がある」という理由で免除されていたが、「男性同性愛は病気。ドイツ男性の滅亡につながる」という理由で迫害されていった。 ある者はイギリスに亡命し、ある者は家族とともにアウシュビッツで殺害された。 今では(映画制作時の1999年当時)では生き残っている者は10名ばかりだ。 ヒトラーがユダヤ人同様、同性愛者を迫害の対象としていたことは知ってる人は知ってる。ヒトラー、ナチ政権になってからの話だと思っていたが、その元となった法律は1872年からあったのだな。日本でいえば明治のはじめだ。 その頃から迫害の歴史があったのかと思ったら、1920年代ぐらいまでは定期的に今でいうならゲイナイトみたいな物は開催されていたそうで、少し驚いた。 ヒトラーの台頭から迫害となるそうで、この1点だけをとってもヒトラーは唾棄すべき存在である。 正直言うけど、私にとってはユダヤ人迫害はやはり自分ごととしてとらえられなかったが、同性愛迫害は具体的な恐怖である。 また強制収容所内でもヒエラルキー(階級)はあったそうで、同性愛者は底辺だったそうだ。 この辺が同性愛者の社会的立場が伺える。 映画としては正直今は80代90代の老人がインタビューを受けてはなしているだけなので、映画としての面白味はない。 ただただ恐怖だけを感じる。 今日の上映後にこの映画の字幕作成者の川口隆夫氏が登壇しトークイベント。正直トーク慣れしていない方のようで話はまとまりが悪かったが、この映画では「ホモセクシュアル」という単語が使われ、今風にいう「ゲイ」という言葉はほとんど出てこない。 この辺の言葉のチョイスに苦心があったそうだ。 この手のドキュメンタリーは勉強で観るけど、見終わった後は不快感しか残らないなあ。 浦島太郎の後裔日時 2024年3月24日 場所 DVD 監督 成瀬巳喜男 製作 昭和21年(1946年) ラジオから復員兵だという浦島五郎(藤田進)と名乗る男が「南方の島で見た類人猿の叫びだ」と「ハー・アー・オー」と叫ぶ。 その叫びに興味を持った大新聞の婦人記者・龍田阿加子(高峰秀子)は彼を探しだし、「もっと民衆に届くように」と国会議事堂のてっぺんで叫ばせる。それを新聞に記事に載せた。ラジオや他紙もそれに追随。浦島は時代の寵児となる。 それに目を付けたのが「日本幸福党」という新しい政党。一見民主主義を掲げているが実はその活動資金はかつての郷田財閥から出ていた。 大新聞の社長は50万円をもらう代わりに日本幸福党に浦島を日本幸福党の支援者獲得の為に使うことを提案する。 浦島は全国を回って叫びを届け、全国の選挙区の候補者を獲得していく。中には「私は息子を戦争で亡くした。あなたの心の叫びを共感した」と泣き出す男(宮口精二)もいる。 このように阿加子の手から離れていった浦島だが、阿加子の上司(杉村春子)は日本幸福党を疑っていた。そして日本幸福党の資金が郷田財閥から出てると知り、今や広告塔に成り下がった浦島を元に戻すよう阿加子に助言。 一方郷田の娘・乙子(山根寿子)は今やスターの浦島の秘書となって近づく。阿加子は元の姿に戻るよう忠告。 やがて日本幸福党の大会が行われる。郷田は会の冒頭で浦島に叫ばせ会を盛り上げようとするが浦島がやってこない。 やがてやってきた浦島はトレードマークの髭を剃っていた。会の参加者は浦島に「本物を出せ」と疑う。 成瀬巳喜男の戦後1作目。 GHQのプロパガンダ映画と紹介されるが、実際そんな感じである。 驚くことに「民主主義を主張するが、実は偽物もいる」という主張だ。 今でも完全に通じるから驚く。 「日本幸福党」などとあたかも民主主義、国民のための政治を主張するが、広告塔、スターを作り上げ民衆をだますという手法。 これは今でも行われるじゃありませんか。 「老害の老人は集団自決を!」「NHKをぶっ壊せ」「身を切る改革」など一見正しそうな一言フレーズをいい、民衆をだます。 今回の映画では「アー・オー・アー」という擬音にして具体的なことはいわない。要するに偽民主主義を主張する連中の主張を寓話化しているのだ。 「消費税を撤廃しろ」というのも耳障りがいい。それが本当に幸福につながるのか。賛成しながらも少しは疑問を持ち続けた方がいい。 そういう「偽物を見抜く目を持ちましょう」という考えは今に始まったことではなく、昔からだったのだと教えてくれる。 党大会の前の晩、宴会が開かれ、そこで半裸(というほどでもないけど)の女性がダンスを踊るシーンがある。 これが今自民党和歌山県連で行われたパーティで下着姿のダンサーが登場した話とまったく同じ。78年前でも全く同じことが行われていたとは! 今回ソフト化されたのは特殊技術に円谷英二が参加してるかららしい。 どんなシーンかと思ったら浦島が自問自答するシーンで彼の分身が二つ登場する。 この合成シーンのことだろう。ミニチュア特撮を期待するとはずされる。 「GHQのプロパガンダ映画」と聞いていたから「民主主義万歳!」的な映画かと思ったら、「偽物のもあるから気をつけましょう」だった。 一歩進んだ映画だったのだな。 片足のエース日時 2024年3月23日16:30〜 場所 アテネフランセ 監督 池広一夫 製作 昭和46年(1971年) 博多南高校に入学した大島正平(高田直久)は野球部に入った。1年生は50人いてレギュラーになるのも大変そうだ。正平は赤ん坊の頃、高熱がでて医者は「ただの風邪」と診断したが実は小児麻痺だった。 そのため右足のアキレス腱が固まってしまい、右足はつま先立ちをしている状態だった。でも中学でも野球部に所属し、高校でも野球部に入った。 両親(宇野重吉、野村昭子)は大変そうだからやめろと言う。正平は聞かなかった。 野球部は牟田口監督(井川比佐志)は厳しく、スパルタそのもの。1ヶ月で15人以上辞めていった。 正平は先輩に「おい、そこのびっこ!」と呼ばれたことで喧嘩した。 また文通相手が「デートしたい」と言ってきたときに待ち合わせに来なかった。てっきり自分の足のことがバレて来なかったかと思う。 また障害児を集めた施設に博多南高校の各スポーツ部のメンバーが訪問し、子供たちがやってみたいスポーツを教えるという機会があった。 野球部代表として行くことになった正平だったが、最初はいやがった。でも監督の推薦と知り、仕方なく行くことに。 2年になり、足の違和感も感じ、野球を辞めようとする正平。障害者施設の所長(山内明)に相談するが、これ以上悪くなることはないと言われ少し安心する。また子供たちの姿を見て自分も頑張ろうと思う。 やがて正平はめきめきと活躍するようになり、地元紙でも「小児麻痺を克服し今やエースの選手」と持ち上げた。 マスコミの取材が増えたが、正平をスター化しようとするマスコミが牟田口は気に入らない。 やがて福岡大会も決勝を迎えた。 正平は最後の試合に向かう。 シナリオ作家協会主催の上映会。この映画、聞いたことはあったのだがみたことがなく、今回の機会に鑑賞。 冒頭、甲子園の大会のシーンから始まる。客席に正平がいて、それを観客席レポートをしていたアナウンサーが正平を見つけて「博多南高の大島君ですよね。大島君も甲子園に出たかったですか?」と聞くところから始まる。 つまりラストの結果は先に示している。モデルはいるので、そこは実際に従った、ということなのだろうか? この映画、とにかくドラマ性を排していて、ドキュメンタリー映画のようなのだ。カメラは望遠レンズを多用し、常にどこからかのぞき見てるような撮り方。 だから多くのカットで対象の前に何かがあるし、手持ちカメラのぶれも感じる。 音楽も少ないし、ドラマ性は少ない。 それにしても今なら出来ない映画だろうなあと思う。 小児麻痺の高校生を主人公にするというのは24時間テレビ内の2時間ドラマ(ジャニーズが主役をやることが多い)でもあるけど、「おい、びっこ!」はないだろう。 おまけに牟田口監督の厳しい練習は厳しいを通り越して「いじめ」の域である。今ならああいうシゴキはないんだろうな。 主役の高田直久、ひょっとして本物の小児麻痺の方かと思ったらそういう訳ではないようだ。この映画のほかにも数本の映画に出演なさっている。 制作は勝プロ。でも勝新太郎は監督などのクレジットには登場しない。 今は東宝マークだけど、公開はダイニチ映配。もう日活も大映もよれよれの時代である。 予算もなく無名の新人しか使えたかったのではないかと思わせる。 PLAY!〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜日時 2024年3月20日8:50〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン8 監督 古厩(ふるまや)智之 四国の高等専門学校3年生の山田達郎(鈴鹿央士)はバスケの選手として活躍していたが怪我のためバスケが出来なくなっていた。授業にも身が入らないが、先生に当てられてもちゃんと答えることが出来る。今はeスポーツのゲーム、「ロケットリーグ」にはまっていた。「ロケットリーグ」は3人一組で車でサッカーをするゲーム。オンラインゲームで達郎は全国でも上位にいる。ある日、高校生による全国大会が開催されると知り、仲間を集めることにした。 とりあえずクラスでネットゲームとか好きそうな小西亘(小倉史也)に声をかける。やる気のない亘だが「誰もいなかったら参加してもいい」といわせる。そしてポスターを見て連絡してきたのは2年生の郡司翔太(奥平大兼)。 翔太に比べ亘はやる気がない。練習にもドタキャンするし、そのことがきっかけで亘と達郎は喧嘩になるが、後輩の翔太がなだめる日々。 予選が始まった。2回勝てば決勝戦にいける。 亘はゲーム本番中もVチューバーの配信を見ながらでミス連発。勝てたがぎりぎりだった。2回戦もなんとか勝ち決勝へ。いよいよ東京で4組のチームと対戦だ! 最近お気に入りの鈴鹿央士と奥平大兼(たしか去年の横浜流星の「ヴィレッジ」で知った)の共演。先に書くけど話の中では鈴鹿の達郎が主役だが、公式HPのストーリー紹介では奥平の方が主役っぽく書いているし、クレジットもW主演で奥平の方が先。 はて何かの力があったのか。 正直後でネットとかDVDで観ればいいかな、とパスしようかと迷ったが(主に節約を目的として)見逃さなくてよかった。 むちゃくちゃよかった。 eスポーツとかゲームとかにはどちらかというと否定的な私だが、感動した。場所は離れていても声は掛け合っていて、意外に個人ではない。普通の青春スポーツ映画のセオリーは踏んでいる。 予選で勝ったとき、敵チームが「GG(グッドゲーム)」と言ってくれたのはよかったですねえ。 決勝では1回戦で負けるんだけど、それでいい。優勝したらしたでカタルシスはあるだろうけど、負けた方が親近感がわく。 人間、大抵の人は負けてるから。 また達郎と翔太の家庭の様子が少しだけ描かれるのがいい。 達郎の家は父親は酒飲んでソファで寝てる姿だけ映される。父はどうしたのだろう。失業でもしたのか。母親は看護師で突然の夜勤も入ることがあってつらそうだが、それは口にしない。 翔太の父はDVをしているし、移動販売の仕事をしてるようだが、流行ってるとは言い難い。しかも翔太の弟は軽度の障害を抱えているようだ。 二人とも100%平穏という訳ではない。 でもこれをくどくどと深堀しないのがよい。やれば話が脱線し、暗くなっちゃうよ。 もう一人の亘は東京から帰ってきたら家族が迎えに駅まで迎えにきてくれるし、一番平和そうな家庭で、闇はなさそうである。 演じている小倉史也、映画館でよくやっているJTのCM(変な新入社員役)の役者だと思うが、なかなか個性派の感じである。 とにかくよかった。 DVDとかになったらもう一度観てみたい。 侍日時 2024年3月17日12:30〜 場所 川崎アートセンター・アルテリオ映像館 監督 岡本喜八 製作 昭和40年(1965年) 安政七年二月、大老井伊直弼の暗殺を企てる水戸藩士たちだったが、井伊直弼が姿を現さず、計画は失敗に終わった。暗殺団のリーダー、星野(伊藤雄之助)は仲間の中に井伊直弼に情報を流している者がいるのではないかと疑い出す。 その中でも新納鶴千代(三船敏郎)と栗原栄之助(小林桂樹)が怪しいとにらんだ星野は二人の素性を改めさせる。 鶴千代は父親が武家の出ということでしか解っていない浪人で肝心の父親が誰かは本人も知らない。しかし今回の暗殺で活躍を見せて水戸、薩摩、長州のいづれかに取り立てられるつもりでいた。 栗原は元々幕府側の人間だったが、自らの考えでこの西洋列強がやってきたこの時代では井伊直弼を倒す必要があると考えた。 栗原の妻の姉が松平の妾とわかり、松平は井伊直弼とも通じている。栗原が内通者と思い、鶴千代に栗原を殺すように命じる。 栗原と仲のよかった鶴千代はいったんは断ったが、「ならば暗殺団の仲間から外す」と言われ仕方なく栗原を殺す。 しかし内通していたのは別の幹部だったのだ。 しかも鶴千代の父親というのは井伊直弼だった。それを知らずに鶴千代は暗殺の決行に向かう。 今年は岡本喜八生誕100年ということで、岡本監督の自宅が生田にあった関係から川崎の新百合ヶ丘のアートセンターでは先月から月に1回岡本作品を上映して関係者のトークイベントを行う企画が始まった。 今回が第2回(1回目は「江分利満氏の優雅な生活」これは行ってない。来月は「独立愚連隊西へ」でゲストは佐藤闘介氏) この映画、学生時代の80年代にも確か池袋文芸地下でも見ている。 その時も面白かった記憶が全くない。最後の桜田門外の変のシーンをうっすら覚えている程度だ。 今回見直してそれも納得。 まるで面白くないのだ。 鶴千代の過去とかは水戸藩士が調べてきて星野に報告する、鶴千代をよく知る江戸商人(東野英二郎)が鶴千代がかつて惚れた女にそっくりのお菊に話す、などを回想シーンで示すだけなので、説明せりふばかりでまるで面白くない。 脚本が橋本忍だから「これは素晴らしい脚本なのかな」と思ってしまうけど、ほかの人だったら「なんだこのへたくそな脚本は!」と怒ってしまうだろう。 岡本喜八さんらしいユーモアとかもなく、正直退屈。 しかし伊藤雄之助をはじめ、小林桂樹、平田昭彦、小川安三、二瓶正也、新珠美千代、田村奈巳などなど東宝の面々が多く登場し、そういえば最近旧作って見てないなあと思った。 今回のトークゲストは先頃岡本喜八の本を書いた読売新聞の前田啓介氏。 喜八監督の学生時代などの東宝入社前の話も書いてあるそうなので、今度読んでみたい。 ゴジラー1.0 轟音上映日時 2024年3月16日16:35〜 場所 TOHOシネマズ・上野スクリーン8 監督 山崎 貴 3月11日午前に(日本時間)米国アカデミー賞が発表され、アジア圏の映画として初めて視覚効果賞を受賞した。海のシーンの水の特撮が特に評価されたらしい。 ノミネートされただけでもすごいと思っていたし、でも「世界はそんなに甘くないよ」とさすがに受賞は無理だろうと思っていた。 ルーカスフィルムで上映会を行ったとかも聞くし、作品の素晴らしさはもちろんだけど、こういう東宝のロビー活動も役に立ったのだろう。 この作品、去年の12月にアメリカで公開されたが、夏の全米脚本家協会俳優協会のストライキの影響で、公開作品できる作品が少なく、たまたま劇場が空いているところへ「ゴジラ」が来たから沢山の劇場数を確保出来たと聞く。(東宝の関係者から直接聞いたから間違いない) そして「半地下の家族」から始まったアジアの映画にも受賞させる空気もあっての受賞だった。(なんども言うけど作品がすばらしかったのは当たり前のことである) こういった追い風となった要素も多かったのだろう。 今回の受賞に関しては「オッペンハイマー」が最多受賞を果たし、「核兵器を作った男と核兵器によって生まれた怪獣の話が東京大空襲(アメリカ時間)や311(日本時間)の日に受賞した」ことに意味を持たせようとする意見もTwitterで見かけたが、偶然でしかないだろう。 「奇妙な偶然ですね」の一言である。「神の見えざる手」としか言いようがない。 というわけで受賞記念で最近は1日1回だった上映も今週は2回に増え、受賞をきっかけに再び動員が延びるだろう。 20日の夜には受賞記念で山崎監督の舞台挨拶もあり、ほとんどの上映劇場が中継を行うようだ。 そのときに観ようかと思ったが、受賞記念で再び観たくなったので、「轟音上映」が行われてる上野で観た。 (轟音上映の設備があるのは都心では池袋と上野だけである) 別に今更新しい感想もないのだが何度観ても敷島という男のキャラクターは好きになれない。 「特攻を忌避した男」というのも映画の主人公としては好きになれない。 前に書いたかも知れないけど敷島に関しては「お前は大戸島のことばかり悔いてるけど霞ヶ浦で一緒に訓練して特攻した戦友に関しては思い入れはないのか!」と問いたい。 私なら敷島は本当に機体の故障で大戸島に着陸し、ゴジラ襲来の時も「俺が20mmで倒す」と「手負いになったらかえってまずい」という意見も聞かずに20mmを撃って事態を悪化させてしまうという展開にする。 そしてラストは「東京氷河期」と同じく、特攻して死んでいく。 この「自己犠牲」が観客の涙を誘うのだ。 または脱出装置のことは橘は敷島に伏せておき、「この安全装置解除レバーを3秒前に引くこと」と言っていて、安全装置解除であると同時に脱出装置のレバーであるのだ。 映画の様子では敷島は飛び立ったとき脱出装置のことを知っていて生き残る気まんまんだったにも関わらず、さも死ぬ気満々にミスリードしている。 これは映画的展開として「私は」気に入らない。 「次回は脚本は他人に任せるべき」という意見も見かけるが同意。 でも日本アカデミーの脚本賞を取ったので、ますます自信をつけたのだろうなあ、山崎貴は。 そもそも「こういう画がほしい」と言われて作るのがいやで本編とVFXの監督をするようになったそうだし、たぶん全部自分がやらないと気が済まないタイプなんだろうな。 それは解るけど樋口真嗣もそうだけど、VFXに専念したほうがいいよ。 そうなったら俺はもっと好きになるけど。 恋わずらいのエリー日時 2024年3月16日12:15〜 場所 TOHOシネマズ上野・スクリーン5 監督 三木康一郎 高校1年生の市村恵莉子(原菜乃華)は学校一のイケメンオミくんこと近江章(宮世琉弥)にあこがれていたが彼のファンの群に加わることも出来ずにひたすらSNSのアカウント「恋わずらいのエリー」としてオミくんと自分がつきあっている妄想をつぶやき続けるのだった。 ある日、学校の国語準備室で休んでいるオミくんを見かけ、彼が女子からもらった手作りクッキーを「こんなん食えっかよ」と投げているのを目撃してしまう。 「今の内緒にしてくれる?」と言われた恵莉子だが突然のことにその場を飛び出す。しかしスマホを忘れて「恋わずらいのエリー」のつぶやきをすっかり見られてしまう。 このことがきっかけで仲が急接近する恵莉子とオミ。自分をしっかり見てくれる恵莉子を徐々に好きになるオミ。 クラスメイトの要(西村拓哉)もたまたま「恋わずらいのエリー」のことがわかってしまった。要は恵莉子に「友達になってほしい」と言ってきた。 嫉妬したオミは要が恵莉子と会う日について行く。嫉妬した要はその場を帰ってしまう。 またまた少女コミックの映画化。主演は最近人気が出てきた宮世琉弥である。彼のことは以前「めざましテレビ」のマンスリーエンタメプレゼンター(要するに月替わりで週1回芸能ニュースを読む人)で登場してしっていた。 イケメンというか妙に色っぽい雰囲気の少年である。 テレビドラマには助演でちょこちょこでているようだが、それほどのファンデはないので追いかけてはいない。 今回ちゃんと観たのは初めてかも知れない。 正直言うけどキャラクターがはっきりしないなあ。 オミは「誰も本当の俺をわかってくれないからわかってもらおうとも思わない」とか斜に構えている。 これが単に「斜に構えているキャラクターにしたかった」という作者の理由でしかない。 彼がそういうふうに斜に構えるようになった事情がさっぱり出てこない。 家庭に何かあったのかな? 本来ならそれを説明するのが叔父で国語教師の汐田の役割のはずだが出てこない。 オミのジャージを盗んだ沙羅と友達になるが、彼女はさっぱり存在意味がない。彼女の存在が薄いので彼女の幼なじみ(というか惚れている)の礼雄(綱啓永)も存在も無理くりである。 なんかこうゴチャゴチャと人物が出てくるが、どうにも描き方が浅くて何のために出てきてるのかよくわからないのだなあ。 この手の通常の作品ではオミくんの中学時代の元カノとか出てきてゴチャゴチャするのだが、今回は女性主人公の方に出てきて混乱する展開か。 でもラストで文化祭が終わって屋上で二人でキスする展開で「ここで花火かな?」と思ったらその通りになって笑った。 脚本の整理が悪い気がするが、宮世琉弥の美少年ぶりを堪能出来たし、それで十分である。 変な家日時 2024年3月15日19:15〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン7 監督 石川淳一 オカルト話の動画を作成してる雨穴(うけつ)こと雨宮(間宮祥太朗)あ最近再生数が伸び悩んでいた。マネージャーが今度家を買おうと思ってるがその物件は間取りを妻が気に入らないという。 雨宮は知り合いの設計士・栗原(佐藤二朗)に間取り図を見せる。 栗原は「私ならこの物件は買わない」と断言。1階にある奇妙な空間、2階の子供部屋はは窓がなく二重扉、そして子供部屋専用のトイレ。まるで子供を監禁するような作りでなんか変だ。 雨宮は1階と2階の間取り図を重ねてみた。すると子供部屋の棚と1階の空間が重なるという。子供部屋には空間に抜ける穴があり、それは風呂場へと続いているのではないか?栗原も「ひょっとしたら殺人専用の家なのかも知れない」「でもただの妄想ですよ」 そこまでを動画にして投稿した雨宮。 数日後、その物件の近くの雑木林で左手首のない遺体が発見された。 すると動画を見て心当たりがあるという柚希(川栄李奈)という女性が訪ねてきた。同じような私の夫が殺された可能性があるという。 埼玉の家に夫婦で住んでいたが、近所の家に遊びに行ってそのまま行方不不明という。柚希とそのいなくなった家を訪ねる雨宮。そのとき栗原から電話があった。「埼玉の事件で亡くなった方は結婚歴はない。その女性は怪しい」と。 数ヶ月前から予告編が上映されていて、「変な間取り」がスクリーンに投影され、ずっと気になっていたし言い換えれば楽しみにしていた。 早速初日に鑑賞。 実は1月に所沢の書店で原作をちらっと立ち読みしてしまい、「買おうとした家の近くから死体が発見された」というところまでは知っていた。 ここで話は終わり、てっきり連作かと思っていたのだ。 ところがさにあらず。 話は全く予想していなかった方にいくのだ。 ミステリーだが、音でドカンと驚かしたり、ホラー映画らしい演出も多い。 でも話はオーソドックスに柚希の姉が失踪した話になってくる。 そして本家(実家)は長野県の田舎町にあり、いろんな事業で財をなしていたが、当時の当主が使用人に手を出して妊娠させ、当主の妻が嫉妬してその女を閉じこめて、気が狂ったその女は自ら左手を刺したという。 で、それからその家は没落していき、霊媒師に「左手の呪い」と言われ、「日の光を浴びたことのない10歳の少年に人を殺させその左手を切り落とさせる」という「左手供養」の儀式を行うようになったという。 いやいや話は急展開である。 最初の方で「最近はSNSで復讐代行とか殺人代行なんてあるようですから、その仕事場所だったかも知れませんね」と言っている。 てっきりそっちに話が進むと思っていたのだ。 一挙に八つ墓村的横溝正史の世界である。 それはそれで(まあ)面白いが期待した映画とは違ったな、という感じ。 ラストに本家が燃えていくという松竹版「八つ墓村」と同じ展開。 でもこっちは燃える本家はロングで大きな炎があがってるだけ。 いやいやいやここは燃え上がる本家の映像が必要でしょう! 柚希の母親が実はヤバイ人、というオチもつくのだが、本家の主人が石坂浩二で柚希のおじさん(これもかなり怪しい人)が高嶋政伸。二人ともクレジットを見るまで気づかなかった。 柚希の母にしろ本家の当主にしろ怪しいおじさんにしろもう少し人物描写があってもよかったのでは? 描写が足りないので後半の盛り上がりがイマイチな感じがするのだな。 原作はどうだったのだろう? 是非読んでみたい。 絆 再びの空へ日時 2024年3月10日13:30〜 場所 SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール 監督 手塚昌明 製作 平成26年(2014年) 以前シネマート新宿で公開された自衛隊ドキュメンタリー映画「絆 再びの空へ」の上映会。 今回はスタッフ舞台挨拶付きで手塚昌明監督が登壇されるというので久々に鑑賞。 映画の方はほとんど忘れていた。でも見終わった感想は特に新しい発見とかはなかった。 舞台挨拶ではカメラマン、録音担当者、手塚監督登壇。 30分ぐらい。 普段はブルーインパルスなどを撮影し、DVDにして販売している会社が、311をきっかけに「これは記録に残しておかなければならない」という思いにかられ、とりあえず松島基地に向かいカメラを回し始めたそうだ。 そうだね。 あの頃は「何かしなければ!」とみんな興奮していた。私も含めて。 そしてある程度撮影した段階で、「ブルーインパルスを映画館のスクリーンで観てみたい」ということでドキュメンタリー映画を制作しようということで、「空へ 救いの翼」で知り合いになった手塚監督に声をかけて制作となったそうだ。 撮影済み素材が何百時間もあり、それを全部観て編集したそうな。 こんな作業は市川崑の「長江」以来だとか。 舞台挨拶が終わって休憩を挟んでトークイベント。 ゲストは元ブルーインパルス飛行隊長 安田勉氏(TACネーム BEN)で聞き手は航空ファン編集長神野幸久氏。 映画に出てきたモノホンのブルーインパルスパイロットだ。 311の時は九州新幹線開業イベントで博多にいた話は映画にも出てきたが、とにかく地震が起こったときは情報が錯綜して何がなんだかよくわからなかったとか。 テレビの映像で状況を理解し、基地は閉鎖されているのでブルーの機体は博多の基地に置き、まずは入間までヘリで移動して、それからバスで松山に帰ったとか。 そういった映画にも出てきた話だが、実際に聞くことが出来た。 安田氏はブルーの隊長を退任後、広報の仕事でブルーのイベント出演のスケジュール調整などに関わっていったそうだ。 でトークの終わりに「ご希望の方には安田氏はサイン、記念写真に対応していただけるそうです」とか言っている。 終わったあとロビーに出ると女性ファン(おばちゃんだけど)やおっさんのミリタリーマニアの方々にサインしたり記念写真を撮っている。 ええ、映画スター並だよ。 へ〜〜〜〜、世の中にはこういう世界があるんだなあ。 中島春雄さんとか村瀬継蔵さんのサインをもらうようなものなのかな。 勉強になった。 ゴールド・ボーイ日時 2024年3月8日20:10〜 場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン11 監督 金子修介 沖縄の実業家・東家の婿養子の東昇(岡田将生)は妻から離婚を切り出され、遺産目当てもあってまずは義父母を崖からの転落事故に見せかけて殺した。 中学生の安室朝陽(羽村仁成)の家に幼なじみの浩(前出燿志)とその妹夏月(星乃あんな)がやってきた。夏月と浩はそれぞれの親が再婚しての血のつながっていない兄妹だった。夏月はDVの父親を刺してしまったという。母親が仕事で今日はいない朝陽は2人を泊めることにする。 街にでる3人。夏月の欲しがっていたカメラを浩がかつ上げしたお金で買った3人は海岸に向かう。そこで夏月の写真を撮ったとき、偶然にも東昇が義父母を突き飛ばすところを動画に収めてしまう。 「俺たちの抱えてる問題、金があれば解決できないか?」そういう朝陽は昇を脅迫することにした。 「一人2000万円、3人で6000万円だ」。しかし昇もすぐには金を用意できないととりあえず60万円だけ払う。 一方、朝陽は先月同級生の女の子が自殺し、その娘の母親から「おまえが殺した!」と責められていた。 その母親の夫は離婚した自分の実の父(北村一輝)だった。 また昇は妻もサプリに混ぜた覚醒剤で殺すことに成功した。生前、昇の妻から「自分が死んだら昇が犯人だ」と聞かされていた従兄弟の刑事(江口洋介)は昇を疑い出す。 朝陽は自分の父や再婚相手を殺してくれたら6000万円はいらないと昇に持ちかける。 監督:金子修介、脚本:港岳彦作品。元は中国の小説で、それをネット配信でドラマ化しヒットした作品だそうだ。それを映画化。 だから舞台は沖縄というのは日本で映画化に当たっての設定。 話は東北の県でも北海道でも成立しそうだが、沖縄ロケがいい。 (朝陽たち3人が隠れてる廃墟の劇場が出てくるけど、首里劇場かなあ??) 「友よ静かに瞑れ」以来のいい感じの沖縄である。 話が二転三転し、飽きませんねえ。 最後の最後になって実は朝陽はとんでもない奴で殺人鬼である。 江口洋介の刑事が浩の父親に聞き込みに言って「朝陽はどんな子ですか?」と聞かれ、幼い頃からの朝陽を知るその男は「朝陽はとんでもない子です。人を殺すのもなんとも思ってない子です」と答える。 結果的にそれは正しいのだが、どういう根拠があるのか、幼少期にどんなことがあったのかは知りたかったな。 最後まで朝陽は捕まらないのか、それとも捕まるのかが気になってくる。 最後の最後に殺してしまった夏月からの手紙を朝陽の母親が読んでしまい、ばれる展開。 最後に江口洋介が迫ってくるラストカットなので、「悪は滅びる」というラストでほっとした。 あれで朝陽が捕まらないラストもあったろうけど、それは後味が悪いよな。 クレジット後に「ゴールド・ボーイ2」と表示され、「2」が「?」に変わる。 えっどういうこと?続編とか作るの?それとも単なる冗談? 総じて今年になってから見た映画で一番おもしろかった。 ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突日時 2024年3月3日17:05〜 場所 新宿ピカデリー・シアター9 監督 田口清隆 工業地帯に怪獣出現。SKaRDのメンバーやアースガロンが迎え撃ち、なんとか退治した。怪獣の出現と怪獣の残骸処理や死体からの研究を行う会社ネクロマス社に関係があると考えたSKaRDのヒルマ・ゲント隊長(蕨野友也)は情報担当のアオベ・エミ隊員(搗宮(ツキミヤ)姫奈)とともに社長のマブセ博士(飯田基祐)に会う。 そしてネクロオマス社の研究は怪獣の細胞を利用した不老不死を実現できる物質「ダムドキシン」の研究だという。その話をしているとき、宇宙の覇者を名乗る「ダムノー星人」がモニターに出現した。ダムノー星人は「ダムドキシン」の研究データの放棄を要求してきた。 防衛隊のミサイル基地もハッキングされミサイルは彼らの自由に撃ち込める。そしてミサイルは発射され、ネクロマスの工場は破壊され、ダムドキシンがあふれ、怪獣へと変化した。怪獣はゴンギルガンと呼ばれ街を破壊する。 ダムノー星人の正体を調べるうちに実はマブセ博士の息子がダムノー星人を名乗ってハッキングしてることがわかった。まだ12歳の少年だが、父親譲りの天才で、仕事ばかりで自分や母を省みない父親に振り向いてほしかったのだ。しかしゴンギルガンに飲み込まれてしまう。どうやらゴンギルガンは少年の魂が欲しかったのだ。 「大人は今のこと、自分の欲望しか考えてない。そのツケを僕たち子供に払わせるな!」とし、大人の欲望の象徴、霞ヶ関や国会議事堂を襲い始める。 ゲント隊長以下SKaRDのメンバーはアースガロンを伴って迎撃に向かう。 「ウルトラマンブレーザー」は2023年7月から2024年1月まで放送されたウルトラマン。 今回は隊長役がウルトラマンに変身するという新設定。 そして防衛隊メカも戦闘機タイプではなく、「Z」のセブンガー同様、ロボットタイプのメカ、アースガロン登場。 今回の映画は75分だが、最初の15分はテレビシリーズの総集編というか名場面集なので、正味60分である。 という訳で、今回のテレビ版も含めての感想を箇条書きで記す。 1、やっぱりウルトラマンに返信するのは若きヒーローでなきゃ。 女房子供持ちの30代のお父さんじゃなあ。 それとヒルマ隊長役の役者にまるで華がない。もっとも昭和の頃から「ウルトラマン」に出演してその後俳優として成功したのは篠田三郎ぐらいで(V6の長野博だってタレントとして成功しているともいえまい)他もぱっとしないけど。 若きヒーローが飽きたなら、今度は女性隊員がウルトラマンになってもいいかも知れない。 2、テレビシリーズは始まってすぐに怪獣が出てきて、「この怪獣はなぜ出てきたのか?」というドラマがまるでない。これが「ブレーザー」に限ったことではなかったけど。 ところが今度の映画版では「子供の父親への愛情の飢えの気持ちが怪獣を生んだ」としてドラマになっている。 また現在(偶然だけど)裏金問題で自民党の「政治と金」が問題になっており、その状況で「国会議事堂と霞ヶ関」を襲うというのは愉快である。 3、アースガロンはもろに機龍。 これはもう企画が発表になったときからいわれていたし、アースガロンの正式名称も「23式特機獣」(そんなような名前)なので「23式」といわれている以上、「3式機龍」の進化系である。しっぽを短くし、目を大きくかわいくさせるという進化。 ウルトラマンと機龍がタッグを組んで戦う様は楽しい。 4、特撮シーン。 テレビシリーズもそうだったのだが、怪獣が登場するミニチュアシーンはよくできてた。多くのカットが建物越しに捉えた画で、「平成ガメラ」あたりが始めたことではないか。その場にいるような臨場感がよかった。 5、隊員は情報担当のアオベ・エミ隊員(搗宮(ツキミヤ)姫奈)とメカ担当のバンドウ・ヤスノブ隊員(梶原颯)がいい。 エミ隊員は情報担当で、ネットでの情報収集だけでなく、スパイとしても潜入するので、アクションシーンもありかっこよかった。 またメカ担当のヤスノブは関西弁で親しみが持てるキャラである。演じる梶原颯がテレビシリーズでは一度上半身裸になったけど、めちゃくちゃボディビルダー体型。もともとは体操部だそうだ。 6、「ゴジラー1.0」の雪風艦長の田中美央がマブセ博士を裏切る部下役で出演。またマブセ博士の飯田基祐はわだつみ作戦の東洋バルーンの会社の人。偶然とはいえ「ゴジラー1.0」のわだつみ作戦のチームのメンバーが出演してるのは楽しい。 というわけで、今回はテレビシリーズを見てなくてもわかるような作りで、面白かった。 結局今度のウルトラマンも見ちゃうかなあ? コットンテール日時 2024年3月2日15:40〜 場所 ユナイテッドシネマ入間・スクリーン5 監督 パトリック・ディキンソン 作家・大島兼三郎(リリー・フランキー)の妻明子(木村多江)が闘病の末亡くなった。葬儀の時、住職から「生前奥様から預かっていました」と手紙を渡された。そこには明子が「子供の頃に父親が仕事で行っていたイギリスのウィンダミア湖に骨を撒いてほしい」と書かれていた。 兼三郎はイギリスに行くことした。息子の慧(錦戸亮)やその妻や子供も同行する。 早くウィンダミア湖に行きたい兼三郎は慧たちをロンドンに置いて一人でウィンダミアに向かってしまう。しかし電車に乗り違え、ある一軒家の親子の家に泊めてもらう。 そしてウィンダミア湖に到着し、息子たちとも電話で連絡が取れ合流できた。母親が子供の頃にウィンダミア湖に行ったときの写真の場所をなんとか探し出したい。兼三郎と慧は付近の人に聞いて回るのだが。 リリー・フランキー主演である。本人は未だにイラストレーターを肩書きにして役者は副業を装ってるが、私は結構好きな役者である。 去年の夏に観た「アンダーカレント」の探偵役もよかった。 その彼の主演映画ということで観てみた。 監督はイギリス人。オックスフォード大学と早稲田大学で日本映画を学んだ方、だそうである。生年がプロフに書いてないので年齢はわからない。 なんか小津さんっぽいな、と思ってしまう。「日本映画好きの外国人」なって「小津ファン」というのは勝手な決め付けである。 話の展開が疑問を感じる。 兼三郎は英語の教師をしていて、若き日の明子に「ラビット」の発音を教えている。ある程度の英語はできるはずだが、その彼がなぜ列車を間違えのか。英語を勉強するなら、英語の小説を読む等である程度イギリスの地理を知っていてもおかしくない。 そして電車がなくなって駅前で自転車を盗んであてもなく走り出す。 普通に考えたら駅前のB&B(ベッド&ブレックファースト)に泊まって次の日に行けばいい。 また泊めてもらった親子の家にしても、兼三郎が徒歩や自転車でたどり着けた距離なのだから駅まで送ればいいだけの話。 また「ここからウィンダミア湖まで何百キロもある」と言っていながらすぐに車で送っている。なんかこの距離感のなさが違和感を感じてしまう。 で写真の場所を発見し妻の骨を撒く。 この前に実は認知症になって、体の全身の痛みを訴えた妻を、生命維持のための機器をはずして楽にしてやったと告白する。 「助けるつもりが助けられなかった」と悔やむ兼三郎。 この告白のシーンはやはりリリー・フランキーの役者としての貫禄を見せつけられた。 映画全体は展開に疑問を感じるところもあったが、リリー・フランキーは役者としても素晴らしい。 52ヘルツのクジラたち日時 2024年3月2日12:00〜 場所 ユナイテッドシネマ入間・スクリーン3 監督 成島 出 東京から大分の海辺の街の一軒家に引っ越してきた貴瑚(杉咲花)。彼女は口をきかない、髪の長い少年(桑名桃李)に出会う。どうやら彼は親から虐待を受けているらしい。家の改装で知り合った工務店の村中(金子大地)に訊いてみると琴美(西野七瀬)の子供ではないかという。琴美に会う貴瑚だが、琴美は子供のことは否定する。 少年にもう一度出会った貴瑚は彼を自分の家に泊めた。琴美にもう一度訪ねると「私こそ被害者、あの子のおかげで私の人生が狂った」と引き取る気はない。 貴瑚は自分自身が母親から束縛を受けており、今や病気となった義父の介護で心身ともに崩壊寸前だった。そんな時、中学高校の親友、美晴(小野花梨)と再会する。美晴の友人、安吾(志尊淳)や美晴の手助けで、義父を施設に預けたり、自分も家を出ることが出来た。 物流会社で働き始めた貴瑚だったが、そこでその会社の社長の息子で若くして専務の新名主税(宮沢氷魚)と出会う。貴瑚が会社で怪我をしてその病院に付き添ったことがきっかけだったが、新名と貴瑚はやがて付き合うようになった。 新名は貴瑚の昔の友人ということで、美晴や安吾と出会う。新名は安吾に対し猛烈な嫉妬をし、安吾もまた貴瑚に新名と別れるように進めた。 新名は別の女性と結婚するということがわかった。新名は仕方なく結婚する、二人の関係は今まで通りだという。しかし新名と貴瑚の関係が相手方にばれ、婚約は破綻、新名も降格となった。これを相手に知らせたのは安吾だとし、安吾のことを調べる。 安吾は貴瑚の恋人にならなかったのは、彼は実は女性から男性に変わったトランスジェンダーだったのだ。それを安吾の母親に知らせる新名。 母親に知られ、安吾は自殺した。 新名を責め、自らの体を包丁で刺す貴瑚。そんな過去から逃れる為に貴瑚はこの大分に来たのだった。 観ようかどうしようか迷ったのだが、結局観た。土日に映画館なしは何となく居心地が悪い。それでいつも秩父の通り道にある入間市のユナイテッド入間に来てみた。 ユナイテッドシネマとしては古いほうで20年以上営業しているが、改装があったのか予想していたより古さは感じない。TOHOシネマズ川崎の方がよっぽど汚れている感じがする。 観た理由の一つに昨日の朝日新聞夕刊に紹介記事が出ていたことも一つ。 成島監督が「育児放棄とかトランスジェンダーとかアウティングとかDVとか一つ一つだけでも1本の映画になりそうな題材が詰まっている」みたいなことを言ってたけど、まさにその通り。 正直言うけどこれほどの「生きる困難」を与えられた人たちが一度に集まるのは詰め込みすぎではないか? 「そんな人ばかり集まるって話が出来過ぎ」と思ってしまった。 原作がそうなのかも知れないけど、なんかやりたいことがたくさんありすぎて「全部無理矢理つなげてみました!」感を感じてしまう。 そして安吾が元は女性で性別に違和感があって男性になったという設定。 これ、映画の紹介記事とかでは「元は女性だったトランスジェンダー役の志尊淳」みたいな書かれ方をしていて「それネタバレじゃん」と思ってしまう。 あれは安吾がトランスジェンダーだった、という意外感が話の肝の一つだと思うけど、犯人を知っててみるミステリーみたいだった。 あと安吾が自殺する設定。アウティングされて自殺するのはどうなのかなあ? もちろん自殺する人間の心の闇なんて誰にもわからないけど、貴瑚の親の問題を行政のパンフをあれだけ調べた安吾なら性の違和感で悩む人たちの横のつながりとか何か情報を持っていなかったのか? なんか作者の都合で自殺したように見えた。 悪い映画ではないけど、モヤモヤ感は残った。 追記 貴瑚が働いてるわけでもないのに暮らしているのが不思議だなあと映画を見ている間は思ったけど、映画では説明されなかったが自傷すればあの後救急車は来たろうし、警察も来たろう。 だから新名の両親が貴瑚に慰謝料とか手切れ金でまとまったお金を渡したのではないか? そう考えるとしっくり来る。 |