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グランド・セントラル駅殺人事件日時 2025年4月29日 場所 amazon prime video 監督 S・シルヴァン・サイモン 製作 1942年(昭和17年) グランド・セントラル駅から列車が発車した直後、護送中のタークが脱走した。トイレに行くために手錠をはずした隙のことだった。 タークは公衆電話から劇場のスターのダンサー、ミッダに電話をかける。「いいか覚えてろよ!」とタークは脅かし、それを受けたミッダはまだ2幕があるにも関わらず、劇場を逃げ出す。地下にある専用ホームから旅立とうとした。しかし死体となって発見された。 ガンサー警視正たちは捜査を開始する。だが死因がさっぱり解らない。外傷もないきれいな死体だったのだ。 ガンサーは関係者を警察署に集める。ますはミッダの当日の足取りから。 同じ劇場で働くミッダの付き人(のような仕事)をしているデルロイ、その娘で同じくダンサーのベイビー。ミッダの婚約者のデヴィッド、今は駅で働くミッダの元夫のラインハート、劇場支配人のフランキー、鉄道会社の重役のファーネス、ミッダの義理の父のラモン。そしていつも現場にいた探偵のカスター(ヴァン・ヘフリン)。 果たして誰が犯人か? これもアマゾンプライムで「そして誰もいなくなった」などのクラシックミステリーの関連作品として出てきた映画。 とにかく10人以上が一同に集められてそれぞれ証言をして、その証言が回想シーンとして語られる。 自宅で見てる時は登場人物名をメモしながら見ることも多いのだが、そのおかげであまり混乱せずに観ることが出来た。映画館で観ていたら「誰が誰やら」になっていたかも知れない。 要するにこの殺されたミッダという女は殺されてもしようがないような部分もある女なのだ。 母親がラモンと再婚して子供の頃は暮らしていたがラモンのことが嫌いだったので大きくなって家出してニューヨークに出た。そこでダンサーになったが知り合ったのがデルロイ。売れないうちはデルロイに世話になったが売れてくるとその恩は返さない。男たちからチヤホヤされて、貰った高価なプレゼントはすぐに質屋で換金。タークは貢がされた一人。一度はラインハートと結婚したが離婚、でも今度は700万ドルの資産を持つデヴィッドと婚約。タークは邪魔になったので殺人の疑いをかけて自分から引き離す、といった感じ。 でもラモンも成功したら金をせびってくるし、デヴィッドには幼なじみの婚約者がいて、その父親がファーネス。カスターはタークに無実を証明してくれるように雇われていた、という感じ。 出てくる人物全員に動機がある。 とにかくしゃべりっぱなし。この当時のアメリカ映画はフィルム・ノワールが多かったと改めて実感。 ヴァン・ヘフリンってどこかで見た顔だと思ったら「大空港」の爆弾犯か。 犯人は鉄道会社重役のファーネス。動機は特に説明されないが娘がデヴィッドと結婚するはずだったのにダンサーなどという成り上がりの女にとられたことが許せなかったのだろう。 あっ死因は感電死。 カスターによって犯人と名指しされたが、その場から逃げ出し線路に落ちてそのまま感電。 ニューヨークのグランドセントラル駅には劇場に直通できる引き込み線があったり、富豪は専用車両を持っていたり、電気はパンタグラフではなく下のほうを走っていたり(これは「サブウエイ・パニック」でも出てきた)、日本の鉄道とは違っていて勉強になった。 スピード日時 2025年4月28日 場所 amazon prime video 監督 ヤン・デ・ポン 製作 1994年(平成6年) ロサンゼルス市警のジャック(キアヌ・リーブス)はある高層ビルのエレベーターに仕掛けられた爆弾の対応に出動する。相棒ハリーとともに乗っている人々を救出し、ビル内の貨物用エレベーターに犯人が潜んでいると確信し、追いつめるが逃げられた。 この事件の功労の表彰式の次の日、出勤途中のジャックの目の前でバスが爆発。近くの公衆電話に犯人から電話がかかってきた。あるバスに時速80Kmになるとスイッチが入り、再び80Kmいかになると爆発するという。 ジャックは犯人が告げたバスに追いつき、乗り込むことに成功。 だがバスの乗客の一人が犯罪者で自分を逮捕しにきたと勘違いし、発砲。流れ弾で運転手が負傷した。乗客の一人、アニー(サンドラ・ブロック)が運転をする事に。 バスは幾多のトラブルがありながらもロサンゼルス空港に入り、周回して時間を稼ぐ。 ハリーは本部で今までの手口から爆発物処理元警官が犯人と推測。 バス内の犯人が仕掛けた監視カメラをくぐりぬけ、乗客救出に成功。 ジャックはついに犯人を追いつめたが、地下鉄で逃走する。 NETFLIX版「新幹線大爆破」を観た影響で有名な「スピード」を観たくなり、アマプラにあったので鑑賞。 昔よく言っていたスナックのテレビで繰り返しテレビで再生していたので(たぶんレーザーディスクだったのだろう)完全に初見という感じではない。 アクション映画らしくスーパーヒーロー警官が超人的な活動で難関を突破していく。 冒頭のエレベーター事件もミニチュアを駆使しながら「高いところから落っこちそうになる」という極めて基本的かつ盛り上がるシーンで始まる。 続いてのバスの追跡のカーチェイス、そしてバスが速度を落とせないという事態。電車は線路を選べないが、バスは選べる、でも一般道では次々と障害が起きるということで飽きさせない。 そもそも女性の素人に運転させるために無理矢理乗り合わせた犯罪者に発砲させるというご都合主義。 とにかく、エレベーター、カーチェイス、爆弾処理、地下鉄の暴走等々とにかく2時間ノンストップで駆け抜けるアクションは爽快でもある。 でも話は薄っぺらいし、犯人の動機もすごく単純なんだよなあ。 すごいけど私は好きかと言われると「別に」って感じ。 あとスーパー警官が大活躍するというのもどうも苦手。 普通の能力の人が力を合わせてがんばる話のほうが好きなんだよね。 「タワーリングインフェルノ」とか「ジョーズ」の頃はまだ「普通の人」が対応していく話だった。 いつからこういうスーパーマンが主人公になっていたんだろう? 「ダイハード」ぐらいかな? この80年代後半から10年ちょっと映画から離れていたからなあ。 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼(1997)日時 2025年4月27日 場所 NETFLIX 監督 こだま兼嗣 製作 平成9年(1997年) 工藤新一は高校生名探偵だったが、悪者の事件現場を見てしまったことから小学生に変身させられた。そして今は江戸川コナンとして探偵毛利小五郎に家に引き取られている。小五郎の娘・蘭と新一は幼なじみだ。 黒川大造という院長兼外科医の殺人事件の解決後、工藤新一宛に有名な建築家の森谷帝二教授からガーデンパーティの招待状が来た。 今は小学生に変身させられた新一は直接行くことが出来ず、蘭に電話して小五郎、コナンと3人で行くように話す。 森谷教授は3人をもてなしてくれ、今までの建築の紹介写真を見せてくれた。が本人に言わせると初期の作品は今では恥ずかしいという。 その頃、放火事件が頻繁に起こっていた。そんな時、新一の元に爆弾の予告電話がかかってくる。 公園でラジコン飛行機に仕掛けられた爆弾、次は駅前広場におかれた猫のかご中の爆弾。いずれもコナンの働きで大きな被害とはならなかった。 しかし今度は環状線に爆弾を仕掛けたという。それは4時を過ぎると60Km以上で走っていれば爆発しないが、60Km以下または日没すると爆発するというのだ。 新一は電車によって日光が一定の時間遮られると爆発すると推理、警察の目暮警部は鉄道会社に電車をすべて引き込み線に停車させるよう指示。爆発は回避され、線路に仕掛けられた爆弾も発見された。 新一は犯人を突き止めた。しかし犯人はまだ爆弾を仕掛けていた。 今は興行収入100億円のメガヒットシリーズになっている「名探偵コナン」。その劇場版1作目である。 「新幹線大爆破」のリメイクにより関連のネット記事があふれているが、その中に「コナンの1作目にも影響を与えている」とあったので、今特に見たい映画もないのでNETFLIXで視聴可能なので鑑賞。 確かに「速度が下がると爆発する」というのは「新幹線大縛爆破」である。その後のビルの爆発も新一の指示で蘭が解体作業を行うのだが、最後に「赤を切るか、青を切るか」になり「ジャガーノート」である。 完全に爆弾映画のオマージュなのだなあ。 「蘭や新一の今月のラッキーカラーは赤」「蘭は赤が好き」などの伏線があるので、観客は赤を切るだろう、と思わせて切る瞬間はモノクロ映像に変わる。 でも爆発しなかった。当然赤を切ると思ったコナンは蘭に聞く。 「どうして赤にしなかったの?」 「だって新一と私の赤い糸まで切ることは出来なかったから」 この展開にはうなった。 うまいなあ。 (でも高校生にオールナイトに参加するというは無理があると思う) 犯人も動機も途中で分かっていたのだが、ラストの「赤か青か」の最後の展開には恐れ入った。 それにしても97年頃だとスマホもなく、ワープロの時代だ。 また冒頭の黒川家事件では大きなワープロが登場する。 黒川家の事件は被害者が酒を飲んで手術して夫が亡くなったのでその復讐という理由。これって「そして誰もいなくなった」にも登場した話じゃない? 携帯はガラケーだし随分古い感じがした。 しかしこの映画、ウィキペデア情報によると興行収入11億円配給収入6億1000万円。当時としては中ヒット、GWでの興行では十分といった程度のヒットしかしていない。1997年当時の映画料金は一般1800円だったと思うから、値上げを考えても興行収入100億円越えは10倍以上のヒットである。 いつからこれほどの映画になったのか? #真相をお話しします日時 2025年4月25日19:05〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン1 監督 豊島圭介 かつて「ふるはうすデイズ」というチャンネルがネット上で人気を博していた。離島に暮らすルージュ、チョモ、サテツという3人の子供たちの何気ない日常を撮影した番組で、大人気だったが、突然終了した。 ビルの深夜の警備員をしている桐山(菊池風磨)は夜中に配信される「#真相をお話します」というチャンネルのファンだった。 サテツという男が配信しているこのチャンネルは参加者(スピーカー)が自分が知っている事件の真相を暴露していき、視聴者から投げ銭をもらうという参加型番組だ。 サテツはかつての「ふるはうすデイズ」のメンバーで、今日は視聴者数150万人を目指すと言っており、達成すれば「フルハウスでいず」終了の真相を話すと言っている。桐山は友人・鈴木(大森元貴)という男と一緒に番組を観る。 最初のスピーカーはバイトで家庭教師の営業をしていた時に遭遇した殺人事件の話をするハンドルネーム・カテキョ(綱啓永)。 投げ銭として300万円を得た。 次の話はアプリで知り合った女性の家に行き、彼女を殺す男の話。 彼女にも投げ銭が300万円集まった。 次にスピーカーとなったのは警備王のハンドルネームの桐山だった。 彼は300万円の借金を抱えており、その返済を迫られている。 彼はかつては大手商社に勤めていたが、大学の親友たちとの久しぶりでのリモート飲みで起こった殺人事件について話すのだった。投げ銭500万円を手に入れた。 そしてホストのサテツがついに真相を話し出す。実は桐山と観ていた鈴木が「自分はチョモだ」と名乗り配信に参加し始める。 内容紹介だけで結構字数を取った。菊池風磨とミセス・グリーンアップルの大森元貴のW主演映画。 なかなかの良作だった。(ほとんどが一部屋で行われるのでややスケール感が乏しいけど) ネット社会の負の側面のありとあらゆる面を題材にする。 ネットが始まった頃、「誰でも安価に情報発信出来るようになった!」といい面が強調されたが(それも嘘ではないけど)、「バカでも発信出来るようになった」という負の側面も浮かび上がる。 最初のエピソードでは少年法の問題。たびたび取り上げられる未成年事件は公表されないという点。今まででも週刊誌が「この事件の報道には社会的意義がある」と主張して問題になるけど、未成年の更正のためにも隠されることが多い。しかし、事実を知ってるものがそれを暴き出す。 週刊誌なら(一応)デスクなど会社の経営判断という複数の人間の判断がある。しかしこれはもう単なる「バカ」のせいで明るみになってしまう。 2番目はマッチングアプリ。これも以前から犯罪の温床にもなっている。 3番目の桐山の話が一番ミステリーだったな。 以上のエピソードは前座で本題はこれから。 (投げ銭300万円とか?と思ったけど、視聴者が100万人いれば1%の1万人が300円づつ投げ銭すれば可能な金額なのだな) そして始まる「ふるはうすデイズ」の真相。 私は恋愛ドキュメンタリー(というのか)の男女が一緒に暮らしてその恋愛模様を楽しむ番組には否定的である。 2〜30分程度は見たことがあるけど、演出もあるだろうしフェイクドキュメンタリーでしかないので見る気になれない。 これがテレビ番組ではなく、当人たちには秘密で行われていて、それを当人たちが知ってしまったことで殺人事件が起こったという真相。 そもそも「投げ銭」「課金」というシステムが内容の過激化を生むという批判はある。金になるなら何でも!というバカも参加するからだ。 別にこれは日本だけの話ではない。迷惑系ユーチューバーは外国にもいて、日本無銭旅行をした奴もいた。 投げ銭、晒し、暴露、生配信、コメント欄、出会い系アプリなどなどネット社会の負の側面をてんこ盛りで盛り込んだ良作だと思う。 そして作者は結論を出さずに起こり得る事態を示したところで唐突に終わる。 ただし、大人になったルージュが捕まってる場所は分かってるのだから、桐山が突入して助けるというのも話としては可能は可能だが、それをしないのは作者の意志なのだろう。 記憶に残すべき映画である。 新幹線大爆破(NETFLIX版)日時 2025年4月23日 場所 NETFLIX 監督 樋口真嗣 新青森駅で修学旅行生の車両見学の案内をした高市(草なぎ剛)は車掌として15時17分発はやぶさ60号に乗務した。運転士は松本(のん)、同僚車掌は藤井(細田佳央太)だ。 発車して数分後、東京のJRお客様センターに電話が入る。「はやぶさ60号に爆弾を仕掛けた。時速100キロ以下になると爆発する」という。 日本政府は早々に「テロリストとは交渉しない」と宣言する。 JRは解決策を探らねばならない。そんな時、盛岡駅で故障車が出た。東京総合指令所の笠置(斉藤工)ははやぶさ60号を下り線を通すことに決める。 樋口真嗣がNETFLIXで「新幹線大爆破」をリメイクすると聞いたのはいつ頃だったろうか?前作のファンはみんな「やめとけば」と思ったろうし、私もそう思った。主演が草なぎ剛と聞いて「草なぎが高倉健の役をやるの?」と思ったが、後に車掌役だと聞かされた。 先日試写会があったようだが、そこで観たり事前に観た関係者とかには評判がいい。期待と不安を持ちつつ、今日の16時から配信スタートなので、早速鑑賞した。 一言で言えば「面白かった!」。 樋口真嗣の最高傑作だろう。 もちろん難点はあるものの、総合点としては十分の出来だ。 まずはこの映画のお約束の上り線への移動。成功すると解っていてもハラハラドキドキ。しかも今回は車両接触のおまけ付き。 そんなことをしたら後の先頭車両のカットで破損部分を描かねばならないから大変だろうに。でもやっちゃうところに本気を感じる。 犯人側の描写は一切なし。そもそも「1000億円用意しろ。やり方は任せる」という具体的指示はなし。 だからこそ映画はひたすら新幹線の描写になる。 乗客救出作戦として実行されるのが、前作で却下された後ろに車両を連結させて乗客を移動させる方法。 ええ〜〜となるわけですよ。前作では「それが出来ればとっくにやってます!不可能です」と即却下されたのに。 このスピード感、すばらしいです。 後半、一部の乗客が残される。ここらあたりから犯人が登場してくる。 はっきり書いちゃうけど、女子高生の「社会に対する不満」「破壊願望」が動機って好きになれないなあ。 さらに裏で協力していたのが古賀勝の息子だって???? 古賀がいつ子供作ってたんだよ。あのスナックのホステスか?でもあの女は育てそうにないしなあ。 沖田の息子の健一ならまだ解らなくもないけど。 東海道新幹線と線路を連結させる案が出て実行されるが、途中で中止。 う〜ん、ここは中止するくらいならやらない方がよかったかも? 期待したじゃないですか。 犯人も女子高生と明確になって「私を殺せば爆弾は解除出来る」っていうあたりも妙にウエットで好きじゃない。それまでスピード感のあるサスペンスで押してきたのに。 他の乗客の面々もなんかキャラがたちすぎてるんだな。 このあたりは「大空港」をはじめとする航空パニック映画の手法に習ったのかも知れない。 そして大宮の手前で爆弾のある車両を引き込み線に入れ、乗員乗客が乗ってる方を脱線させて止める方法。 正直「大丈夫か?」と思うけど、でも迫力はあった。 出演者では運転士ののん、若手車掌の細田佳央太の二人がいい。 また刑事の岩屋健司さん。 岩屋さんがオークラ映画によく出ていた時から注目してたけど、本作ではメインキャラの一人で実にいい役だった。 東京指令所の斎藤工。思ったよりよかったな。 それより何より驚いたのは森達也の出演。 犯人の女子高生が反発する父親役だが、なかなか好演していた。知らなかったから驚きましたよ。 そして女子高生に協力する男(古賀の息子というは納得いかんが)、ピエール瀧だった。(調べてみたら数年前から復帰していて特にこの映画で復帰したわけではないようだ) これから何回も観るだろうし、細部についての感想も出てくるだろうけど、とりあえず樋口真嗣の最高傑作であることは間違いない。 「やめとけ」と思った自分を叱ってやりたい。 影なき男日時 2025年4月20日 場所 amazon prime video 監督 W・S・ヴァン・ダイク 製作 1934年(昭和9年) 発明家のワイナントの娘ドロシーは結婚の報告をするために婚約者をともなって父に会いにいった。父は母とは離婚し秘書のジュリア・ウルフと再婚していた。ワイナントは「仕事のためにしばらく家や研究所を開ける」と言う。留守にする前に娘の結婚祝いで保管していた債権を売ろうとジュリアに聞いてみるとジュリアがそれを無断で売ってしまっていた。 数ヶ月後、ドロシーの結婚式が近づいてもワイナント帰ってくる気配がない。 心配になったドロシーはたまたまニューヨークに来ていた知り合いの元探偵のニック・チャールズ(ウイリアム・パウエル)を訪ねる。しかしニックは富豪の娘ノラ(マーナ・ロイ)と結婚し、探偵をする気はない。 ドロシーの母・ミミが生活費の送金のことでジュリアを訪ねると銃で撃たれて死んでいた。ミミはジュリアが手に握っていたものがワイナントのブレスレットだったため、思わず持ち出してしまう。 犯人は誰か? 「名探偵登場」に登場したデヴィッド・ニーブンの演じた探偵の元ネタになった探偵が登場する映画、ということで題名だけは何十年も前から知っていた。今週末、新作映画で見たい映画が全くなく、アマゾンプライムでヒッチコックでも観ようかと思ってたところへおすすめ作品として登場したのがこれ。 いい機会だから鑑賞した。 驚くべきはこれが昭和9年の映画だということだ。 テンポの早さとか笑いのセンスとか、60年代前半ぐらいの映画と言われても納得である。 「マルタの鷹」もテンポも速くて驚いたのだが、これはさらに古い。 「ダシール・ハメット原作だからといってハードボイルド要素はなく、ライトコメディミステリーになっている」という感想は見かけるし、それも嘘ではないが、話の展開などはやはりハメット的だと思う。 途中で「犯人に疑われる男」がニックが宿泊するホテルを夜中に訪ねてきて「俺は犯人じゃない」と逆に銃で脅す。 こういった「探偵の家や事務所に銃を持った人が訪ねてきて脅す」というのはサム・スペードのような探偵ものではおきまりである。 でもここで「妻は大丈夫だが、俺は怖い」とニックが言ってみたりするのが、この映画のコメディミステリーたるゆえんだ。 その後すぐにニックは妻を殴って気絶させ、枕を相手にぶつけてひるんだ隙に銃を取り上げようとするというヒーローぶりをはっきする。 またニックがホテルでクリスマスパーティを開くのだが、そこへどかどかとお客がやってきて「母親に電話したい」とおじさんが言えば「いいからこの電話を使え」と言ってくる。またパーティにはドロシー、ドロシーの弟、母親もそれぞれ別々に訪ねてくるあたりは上質なコメディのノリで面白い。 で、ラスト15分は関係者を一同に集めて食事会を開き、「お前が犯人だ!」と古典的探偵を行う。弁護士が犯人なのだが、動機とかよくわからない感じでちょっとポカンとしてしまった。 またこの食事会では刑事たちが給仕に扮するのだが、集まってきた客たちに「お飲物を」と勧めるが、それどころではない招待客は「いらない」とか言ってしまう。それを刑事が「飲むんだ!」と脅かすあたりも面白い。 シリーズ全6作品ある。 もう少し観てみようか。 SCooper日時 2025年4月20日 場所 BUMP 監督 澤田育子 佐藤翔太(阿部顕嵐)は文芸部希望だったが出版社に入って配属されたのは週刊誌だった。そこで芸能スキャンダルが何億円もの売り上げになることを知る。 グルメレポーターとしても知られる俳優の川瀬に女を近づかせ、ワゴン車の中でしようとしてるところを撮影に成功した。 やったのはSCooperと称するグループだった。リーダーの山下(和田崇太郎)、汐見玲子(石川恋)、丸岡陽大(平井亜門)だ。 翔太は彼らとともに次なるターゲットを決める。お笑い芸人・サンダルロケット内藤とアイドル出身タレント・望夫婦だ。 取材と称して二人にそれぞれ近づく玲子と丸岡。 彼らのスマホの検索履歴を調べ上げ、そこから内藤は年下に攻めらるドM、同じく望も年下イケメンにペットとして扱われたいという性癖があることを知る。 そして二人を別々に同じホテルに誘いだし、廊下に出させ、鉢合わせたところを翔太が写真に撮った。 週刊文鎮は大ヒット、翔太にも念願の文芸部への移動の話も出てきた。 一方これだけでは終わらせない山下たちは、弁護士となって内藤たちに近づく。それは内藤夫婦に生配信で「自分たちはセックスレスでした」と世間の同情を誘うことだった。 ここまでで30話 10話ぐらいまでは無料で後は1分半ぐらいで1話で1話97円。それが480円単位で課金できるから、残りの20話は480円を4回分購入。 30話で終わるかと思ったら続きは26日に配信だと。 いったいいつ終わって見終わるまでにいくらかかることやら。 ここまで観た感想ではなんかまあVシネマみたいな話である。 そして演技もわざと過剰気味。 今フジテレビ問題で芸能界、テレビ界のパワハラ、セクハラ、コンプライアンスが厳しくなってる時代だから、このデフォルメされた芸能人のスキャンダルはいささか時代遅れに感じる。 1年前ならよかったかもだが。もちろん企画された頃はそんなのなかったんだろうけど。 全体の感想はまた完結してから。 球形の荒野日時 2025年4月20日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 貞永方久 製作 昭和50年(1975年) 第二次世界大戦末期、スイスで日本の外交官をしていた野上顕一郎が病気で死んだ。彼の妻(乙羽信子)や娘の久美子は日本に残された。 昭和36年、終戦から16年。 今や医大でインターンをしている久美子(島田陽子)は奈良を訪れた。そこである寺の芳名帳に「田上孝一」という名前を見かける。その字が亡くなった父の字によく似ていて気になる。そのことを同じく奈良にやってきた恋人で新聞記者の添田(竹脇無我)話す。翌日二人でその寺に行ってみると、「田上孝一」の字のページが破りとられていた。 気になりだした添田は野上について調べてみる。当時スイスの日本大使館にいたのは村尾(岡田英次)、滝(山形勲)、武官の陸軍中佐伊東(藤岡琢也)だった。今は外務省で欧亜課長の村尾や、添田の新聞社の編集委員をしている滝に話を聞くが「野上は亡くなった」というばかりで何も話さない。 一方、久美子の家に無言電話がかかってきたり、久美子が帰宅中につけられたり奇妙なことが起こる。そんな時、野上の家に父にお世話になったという人から歌舞伎座の切符が送られてきた。 母と出かける久美子。何かあると思った添田は同じく歌舞伎座に出かけた。そこで、添田は村尾、滝、伊東が来ているのを見かける。 また謎の白人女性も久美子に声をかけたりしている。そんな時、電話の呼び出しがあった久美子には「お父さんはこの会場に来ている」と伝えられた。 樋口尚文さんの「砂の器」に関する本を読んで、その中で松本清張原作、島田陽子主演のこの映画についても少し振れられていたので、前から知ってる映画だったので鑑賞。 監督は野村芳太郎ではなく、貞永方久。この監督、70年代の松竹で何本か撮っているが、可もなく不可もなく、といった感じで「つまらなくはないけど特に面白いわけではない」という感じの監督だ。 本来なら野村芳太郎の出番だろうけど、「八つ墓村」で忙しかったのか、貞永監督に回ってきた。 事の真相はスイスでの終戦工作で、早く戦争を終結させたい現場の外交官が連合国よりとも取れる行動をした(ポツダム宣言の草案に携わった)、そのために野上は死んだことにしなければならなかった、というが真相。 元軍人の伊東や村尾や滝と会ってるシーンがあるので、何らかの陰謀があると小出しにされる。終戦時の日本軍の膨大な財産がどこへ消えた?という話が出てきて、てっきり村尾や滝、伊東が盗んだと思ったがそうではない。 「私の想像ですが」という村尾の説明で日本軍の財産を管理する連合国と親しい日本人が必要だった、という訳でそれが野上なのである。 伊東は軍人だから「連合国に日本を売った売国奴」と野上のことを憎んでいる。 で、伊東は野上を付け狙うが、自民党議員によって「それは止めてください」と殺されてしまう。 戦後のGHQと自民党の複雑なねじれた関係につながってきて、松本清張得意の「日本の黒い霧」的な話である。 でも映画の方は(原作もそうかも知れないけど)その「日本の黒い霧」的な部分はあくまでも設定で、映画のクライマックスは「戦争によって引き裂かれた名乗れない親子の再会」というところになっている。 最後に野上と久美子は海で再会するのだが、ここでは立場上野上は父とは名乗れない。でも久美子はわかっている、という「砂の器」の「父と息子」が「父と娘」に置き換わって涙、涙の再会を果たすのである。 まあ、いいんだけどね。 しかし無意味に、奈良、京都、長崎、鎌倉、観音崎とロケが続く。これも「砂の器」の影響かなあ。 久美子が幼い頃に父と別れて今20代前半、となると原作通りの時代設定にしないといけないわけですね。 あんまり昭和30年代感はなかったけど、車は観音開きのクラウンが登場し、かろうじて時代考証を出していた。 あと冒頭で野上の死を説明するナレーションが入る。これが森山周一郎の声かと思ったら、田宮二郎とクレジットされる。 たびたびナレーションが入るかと思ったら冒頭だけ。 とにかくやっぱり貞永方久らしく、「つまらなくはないけど特に面白いわけでない」という70点ぐらいの映画だった。 われ真珠湾上空にあり 電撃作戦11号日時 2025年4月19日15:30〜 場所 TCC試写室 監督 安田日出男 製作 昭和32年 昭和32年に製作された太平洋戦争を描いたドキュメンタリー映画。 今年になってから若松プロと国映が組んで主に若松作品の上映会をTCCで行っている。 1月にも上映されたのだが、その時には時間があわなくて見に行けなかったが、今週末は映画館に観に行きたい映画がなくて困っていたぐらいだからありがたい。 戦争当時本物の記録映像だ。主に海軍が撮影したものらしいが、講和条約も成立し、米軍の占領も解けた段階で集めたフィルムだそうだ。 後にピンク映画を量産する国映の前身の大和映画が製作。 国映の矢元照雄が製作している。 安藤健二氏のハフポストなどのネット記事を読むと「商用で東京に出る度に映画館でかかっている映画が日本が負けたものばかり。しかし戦争に勝っていて元気だった時代も確実にあった。そのことを映画にしてmせられないかと思ったんだよ」というのが矢元照雄さんの製作動機だそうだ。 確かにその通り。映画を見てると「日本はがんばった!」「兵隊もがんばった!」「銃後の女性たちも兵器製造などでがんばった!」という映像が続く。 観てるとそのうち日本が勝つんじゃないかという気さえしてくる。 題名は「われ真珠湾上空にあり 電撃作戦11号」というので(電撃作戦11号は真珠湾作戦の暗号名だそうで。初めて聞いた)真珠湾作戦だけかと思ったら、その後の南方作戦のシーンなどもある。 ただし劇映画ではないので、作戦全体がわかるような感じではない。行軍の様子とかが描かれる。 突撃!的なシーンもあるのだが、カメラに向かう方向で突撃してくるし、アングルが綺麗すぎる。これ、ニュース映画とか内地の宣伝用にわざと演出して撮った映像ではなかろうか?? そしてこの突撃のシーンに「ワルキューレの騎行」が使われている。 やっぱり「地獄の黙示録」以前から戦争のニュース映画では定番の曲だったんだな。 大和などの映像は他でも観たことがある。空母も遠景で登場するが(遠景でよくわからなかったけど)飛行甲板が三段式ではないか?? もしそうなら時系列は完全に無視だ。 ハワイ作戦あたりやシンガポール作戦なども終わって、「山本長官の後古賀長官が着任した」という感じであっさり変わる。 (ナレーションが入るのだが、元のフィルムの問題だろうが時々音がとぎれる) そしてその後の戦争映画で観るような南方基地で、兵士が休んでいるような映像が出てくる。 劇映画の戦争映画と全く同じだなあ。 兵士たちが会話してるシーンがあるが、正直なにを言ってるかよく聞き取れない。東條英樹の演説なら録音設備もあったろうけど、こんな戦場でも当時でも録音出来たことに驚く。 そして「女子もがんばった!」という感じで軍需工場のシーンが出てくるが、「木製補助燃料タンクを組み立てる」と当たり前のように言う。 ええええ!補助タンクって木製だったのか! 確かに洋上で捨ててしまうような補助タンクを金属で作るからいくら金属があっても足りないな、と思っていたからこれは納得。 勉強になりますねえ。 この映画、昭和32年8月9日に600館以上で公開されヒットしたと言う。 右翼的だとも取れるけど、一般国民としては「俺はがんばったんだけど」「私もがんばった」的な個人としての記憶もはっきりしていたろう。 だから「戦争は間違っていた」とばかり言われると「俺も家族も周りもみんながんばった!」と反論したくなる気持ちを代弁したのかも知れない。 観る価値はある映画である。 そして誰もいなくなった日時 2025年4月19日 場所 amazon prime video 監督 ルネ・クレール 製作 1945年(昭和20年) ある孤島の邸宅に8人の男女が週末に招待された。彼らを迎えたのは使用人夫妻だけで肝心のホストのオーエン夫妻がいない。使用人に聞いても自分たちも数日前に雇われただけで、オーエン夫妻にも会っていないという。 初日の金曜の夜の夕食ではテーブルに10人の人形が飾ってある。また置いてあった楽譜で童謡「10人のインディアン」をクレイソーンが歌う。その後、お互いを知らない招待客が語り合っていると9時になったときに謎の声が始まる。いわく、招待客8人と使用人二人はそれぞれ殺人の疑いがあるのに罪を免れているというのだ。 「一体なんだ?」と招待客たちがざわめき出すと一人の招待客が酒を飲みながら死んだ。毒が混入されていたのだ。 翌日、使用人の妻が心不全で亡くなった。2人とも自殺や事故も考えられた。しかし3人目の老将軍が殺されたのは後ろからナイフで突かれており、明らかに殺人だ。 残った7人はオーエンを探そうと島や邸内をくまなく探す。しかし誰もいないと思われる。となると7人の中の誰かがオーエン? そうこうしているうちに老婦人、使用人の2人も殺された。 残った医者、判事、オーエン夫人に最近雇われた秘書、探偵、冒険家の5人はお互いを疑いだし、また協力して生き残ろうとする。 4月になって見たい映画が全くない。3月までは週末は観たい映画でスケジュールを組むのに毎週一苦労していた。4月になって落ち着いたので、1週目は秩父に映画&温泉に行った。 2週目も特に観たい映画は少ない。3週目は全くになってしまった。そこで「ヒッチコックみたいな昔のサスペンス映画を観たいな」と思っていたところへ、4月17日の朝日新聞の毎週木曜日のコラムで三谷幸喜が小学生の息子のお気に入りとしてこのアガサクリスティの「そして誰もいなくなった」が書いており、「そういえば有名だけど観てないな」と思ってアマゾンで検索したらプライムビデオで配信されてるじゃないですか。 そういう訳で早速鑑賞。 「歌の通りに殺人が行われていく」というのは横溝正史の「悪魔の手鞠唄」や「獄門島」に影響を与えたのはすぐにわかる。 また私も推理しながら観るのだが、でも次々と亡くなっていくのに死体はどうしてるんだろうか? 亡くなった後の遺体をどうしたか、映画では全く描かれないんだよね。 そしてそれぞれの招待客につながりはないようだけど、オーエンはどうして彼らの罪を知っているのか? この辺は誰もつっこまない。 「誰か死んだと思わせて実は生きてるんだろうな」と思いながら観てたのだが、だから一番最初に毒入りの酒を飲んで死んだ男ではないかと思っていたが違っていた。 10人のうち誰が犯人でも意外ではないので、真犯人を知って「ええ!」というのはなかったかな。 ラストは2人生き残るとので「甘いなあ」と思っていたら、戯曲化されたときに変更されたようだ。 でも「罰を受けるべき人物がそれを逃れているから私が殺す」という行き過ぎの正義感は「オリエント急行殺人事件」にもつながるとも考えられる。 そういったことが解っただけでも楽しめた。 クラシックミステリーはトリックが複雑すぎないからやっぱりおもしろいです。 影の車日時 2025年4月13日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 野村芳太郎 製作 昭和45年(1970年) 旅行代理店に勤める浜島幸雄(加藤剛)は東京郊外の団地に住み、毎日バスと電車を乗り継いで会社に通っていた。ある夏の日、バスの中で女性から話しかけられる。それは千葉の故郷で子供の頃に近所に住んでいた小磯泰子(岩下志麻)だった。「ご近所だったんですね」と気軽に話しかけられる浜島。 浜島の妻啓子(小川真由美)は団地部屋でフラワー教室を近所の主婦相手に開いており、牛乳値上げ反対運動にも力を入れている。浜島にとっては家は居心地の悪い場所になっている。 また泰子と会った日、泰子は「せっかくだから寄っていきません?」と自宅に誘う。居心地の悪い家に帰るよりはと誘いに乗る浜島。 啓子には6歳の息子・健一がいた。浜島は健一に穏やかに話しかけるが健一の反応は冷たい。 浜島と泰子は逢瀬を重ねるようになる。大抵は浜島が泰子の家に寄って夕食を食べ、健一が寝た後にお互いを求めあうのだ。 夏が過ぎ、秋になる。健一も連れてレンタカーを借りて山へドライブに行った。遊び疲れて眠った健一を車において二人は紅葉の下で唇を重ね合う。 健一はなかなか懐かない。泰子の前では浜島に懐いているそぶりを示すが、泰子がいない時は敵意すら感じる。 浜島はかつて自分が子供の頃に父を早く亡くした自分の家に一人の男が母を頻繁に訪ねてきたのを思い出していた。 樋口尚文氏の「砂の器 映画の魔性」という「砂の器」の解説本を最近読み、その縁で野村芳太郎がその前に撮ったこの「影の車」を見直したくなり鑑賞。 この映画、2回目で以前にも観ている。それは大阪転勤中でその頃は映画から離れていたが、それでも「松本清張もの」ということで以前からタイトルだけは知っていたから見に行ったのだ。 観たのは新世界東映。2本立てか3本立てで往年のプログラムピクチュアを上映している映画館だった(今でもそうだけど)。2本立てか3本立てだったが、映画からは離れている時期だったので、他の映画は見ずにこの1本だけ観て帰った記憶がある。たぶん1996年か97年ぐらいだと思う。 普段から休日でここで映画を観るわけでもなく、本当にたまたまで昔から気になっていた映画を見に行ったのだ。 (もっともその頃東京もラピュタも神保町シアターもシネマヴェーラ渋谷もなく、旧作映画は浅草ぐらいしかなかったかも知れない) そのときも徐々に迫り来る子供からの殺意、というじりじりした怖さを味わった。「平凡なサラリーマンがふと浮気してしまい、その結果とんでもない事態になる」というのは松本清張のお決まりだ) 泰子の家に妻には「泊まりの出張」と称して泊まるのだが、健一が自分を斧で殺そうと思い、健一の首を絞める。結局医者によって通報され刑事(芦田伸介)の取り調べを受ける。 それまでにもネズミ除け用の猫いらず入りの饅頭を食べてしまったり、ガスで死にそうになったりする。 それらすべてを健一の仕業と訴えるが、「6歳の子供に殺意があるはずがない!」と一蹴される。 「いやある!」と浜島はかつて母の元に来ていた男を殺したことを告白するのだった。というラスト。 これはこれで面白いのだが、他の松本清張の「サラリーマンが浮気して落とし穴に陥るパターン」では「誰にでも起こり得ること」という感じだったが、今回は「自分の過去の罪の告白」という特殊性がある。 「徐々に殺されるのではないか?」と思う恐怖を味わうのはよかったが、当時からこの特殊性が気になった。 面白かったが、他の「サラリーマン浮気もの」と違って浜島だけに言える事情があるから「普遍的な怖さ」、が相殺されている気もするのだ。 またその時は当時は気づかなかったが、後の野村=松本作品との共通性があって興味深い。 キャストでは主人公に加藤剛。これは後の「砂の器」の和賀英良につながるし、岩下志麻と小川真由美が一人の男を挟んでいるのは「鬼畜」だ。 季節は初夏、夏、秋、冬と巡っていく。「砂の器」ほどではないけど四季の風景の移り変わりをたっぷりとらえる。「八つ墓村」でもやっていたが、野村組は「四季をとらえると映画が豪華に見える」と思っていたのだろうか?(実際そうだけど) そして少年の表情。これは浜島の子供時代の回想での「母を訪ねてくる男(滝田裕介)」を憎々しくみる少年時代の浜島は、「砂の器」の本浦秀夫のようでもある。また健一の無表情な感じはなにやら不気味である。 このあたりの少年の使い方も後の「砂の器」につながっていく気がする。 久々に見たが、「サラリーマンが落とし穴に陥る」「少年の不気味な狂気」は今でも面白く感じた。 傑作の一つですね。 怪獣大戦争(4K)日時 2025年4月12日19:20〜 場所 TOHOシネマズ日比谷・スクリーン10 監督 本多猪四郎 製作 昭和40年(1965年) 196X年、木星の衛星としてX星が発見され、その探査にP1号が向かった。宇宙飛行士は富士(宝田明)とグレン(ニック・アダムス)。 X星に到着した彼ら。そこは怪獣モンスター0(地球名キングギドラ)が暴れ回る世界だった。 X星の統制官(土屋嘉男)に拉致された二人だったが、X星人は「X星人はキングギドラによって文明を破壊された。これを撃退するためにゴジラとラドンを貸してほしい。そのかわりガンの治療法をお教えしよう」と提案される。 地球に戻った彼らの報告に国連は驚いたが、友好の証ということでX星人の提案を受け入れる。 フジの妹、ハルノ(沢井桂子)は町の発明家の鳥井(久保明)と結婚を望んでいたが、頼りない鳥井を富士は信用していない。 鳥井の発明品、レディーガードは女性用防犯ブザーだが、それがやっと世界教育社という会社に売れた。担当の波川女史(水野久美)は「お金の支払いは製品化の際に」という条件で契約させる。 その波川とグレンは恋人同士だった。 X星人はゴジラは明神湖にいるとし、自衛隊は明神湖を監視する。しかし明神湖から出てきたのはX星人の円盤だった。円盤はゴジラとラドンを富士やグレンとともにX星へ連れて行き、キングギドラを撃退する。 X星人の行動を信用仕切れない富士とグレンはX星で波川と同じ顔の女性を二人見かける。 一方レディガードの代金をいっこうに支払わない世界教育社にいらだつ鳥井は波川を尾行する。ある島の家にたどり着いたが拉致されてしまう。 X星人の目的は地球制服であった。ゴジラとラドンを操ることに成功したX星人は地球攻撃を開始する。 地球に帰ったグレンも波川を尾行し、鳥井と同じく拉致される。その途中でレディガードが発する音にX星人は弱いと発見する。 一方桜井博士(田崎潤)たちはX星人がゴジラを操る電波を遮断する方法を考えていた。 簡単な話かと思ってあらすじを改めて書いたら結構な字数になった。 この映画をちゃんと映画館で観るのは2000年代のはじめにラピュタ阿佐ヶ谷での円谷英二特集ではないか?それ以外でも観たことはあったかも知れないがよく覚えていない。 話はほとんど覚えていたので特に新たな発見はない。 しかし「あれ、ゴジラの出演シーンってこんなに少なかったんだ」と思う。 怪獣は話の中心ではなく、ゲスト的であり、「怪獣映画」というより「侵略SF」である。 ゴジラとキングギドラのX星での戦いまで映画が始まってから45分ぐらいあり、前半はゴジラたちは全くと言ってもいいほど出てこない。 そしてゴジラやラドンがX星人に操られて暴れ出すシーンは崩れるビルのカットとかは「モスラ」や「空の大怪獣ラドン」のビルの倒壊シーンからの流用。ゴジラの顔のアップとビルを蹴る足のカットつなぎが多く、ゴジラが町並みを壊す引きの画のカットはない。 ゲッペルス ヒトラーをプロデュースした男日時 2025年4月12日13:45〜 場所 ヒューマントラストシネマ有楽町・スクリーン1 監督 ヨアヒム・A・ラング 1933年、ヒトラー(フリッツ・カール)の首相就任から宣伝大臣に任命されたゲッペルス(ロベルト・シュタットローバー)。 当初は戦争をしないですむ方法をヒトラーに助言してきた。ゲッペルスには妻と5人の子供がいたが女優の愛人といずれは結婚するつもりだった。 しかし妻のマグダの知られ、彼女はヒトラーに知らせた。 閣僚のスキャンダルは政権にさえ影響するので、ヒトラーは愛人と別れさせ、マグダとゲッペルスに「離婚しない」という誓約書にサインさせる。 宣伝大臣としての腕を見込んでいたヒトラーはゲッペルスを政権にとどめさせたかったのだ。「戦争が終わるまでは」とゲッペルスは渋々従う。 その後、ヒトラーは独ソ不可侵条約を結んでとりあえずソ連の脅威を避け、ユダヤ人虐殺に向かっていく。 しかしヒトラーは自ら不可侵条約を破り、ソ連に進撃しモスクワ陥落を目指す。 やがてベルリン空爆などドイツも敗戦色が強くなり、1945年4月についにヒトラー自殺。ヒトラーは後任に遺書でゲッペルスを指名したが、彼も妻と子供を道連れに自殺した。 「ナチスドイツはプロパガンダ(政治宣伝)がうまかった」「それを演出したのが宣伝相のゲッペルス」ということはよく言われるし、私だってその程度のことは知っている。 そのゲッペルスを主人公にした映画ということで鑑賞。 ゲッペルスの宣伝手法を見せてくれるかと思ったが、それほどでもない。 最初の方でヒトラーの凱旋シーンで、ベンツのオープンカーに乗ったヒトラーに少女が駆け寄って花束を渡すのが、演出で今でいうなら「やらせ」であったのを描くシーンはおもしろかった。 しかし彼の宣伝のうまさを描くのはそれぐらいで、あとは彼が他の閣僚を心の中ではバカにしていたとか、女優の愛人と「こんなに愛したのは貴mが初めてだ」と言ったり、ヒトラーには言いなりになったり、妻と離婚しけたりと彼の生涯を描いていく。 あとヨーロッパ戦線について地理も戦況も詳しくない私には予備知識が不足していて楽しめなかったかな。 ゲーリング元帥のことを「同性愛者」とか言ってたけど、あれは単なる侮蔑の言葉だったのか、それとも本当に同性愛者だったのか? その辺のゲーリングという男の一般的な評価を知らないとよく理解できない。 戦意高揚のための歴史劇映画をたくさん撮ったようだが、このあたりはその映画のことを知ってないと(日本で言えば「ハワイ・マレー沖海戦」とか「加藤隼戦闘隊」みたいなものだろう)ピンとこないだろうなあ。 予備知識があるともっと楽しめた気がしてならない。 片思い世界日時 2025年4月5日13:00〜 場所 ユナイテッドシネマ・ウニクス秩父・スクリーン1 監督 土井裕泰 相良美咲(広瀬すず)、片石優花(杉咲花)、阿澄さくら(清原果耶)は年もちょっとずつ違う3人。それぞれが会社に行き、大学に通い、水族館で働いている。 今日はさくらの誕生日だ。「3人とも大人になれたね」と祝う。 3人は姉妹でも親戚でもない。 広瀬すず、杉咲花、清原果耶の3人主演に横浜流星共演という前情報だけで観に行った。この4人共演と聞けば興味がわく。 内容は全く知らないで観た。もっとも予告編を見直したが、ストーリーが解るような予告ではない。 映画を観ながら気がついたが、意図的にどんな話が出していなかったのである。 映画は児童合唱団の練習シーンから始まる。記念写真を撮ってるところに誰かが入ってくるところで一旦終わる。 そして3人の朝の風景が始まる。 美咲とさくらは同じバスに乗ろうとするが、寸前でドアが閉まってしまう。「融通を聞かせない運転手だな」と思っていると横浜流星演じる高杉がやってきて「すいません、乗ります」というとドアを開けてくれる。 「あれれ?」と思っていると美咲がその髪の毛ボサボサの高杉を意識している。それを知ったさくらは高杉のスマホをのぞきに行く。「土曜日にデートらしいよ」と言ってくる。 そして会場に行ってみてピアノリサイタル中に平気でおしゃべりしている。そしてついにステージに上がって「そこのアホ毛!隣の女はふたまたかけてるぞ!女、てめえ二股かけてんじゃねえぞ」と怒鳴り出す。 その夜「美咲は彼のこと好きなんでしょ。告白してみれば?」「そんなこと出来ないよ」という会話をしている。 このあたりでいよいよ説明となる。 実は3人はすでに死んでいるのだ。冒頭の児童合唱団に暴漢が入って無差別に子供を殺したのだった。そして3人で子供の頃から暮らすようになり、ちゃんと成長もして大人になったのだ。 こういう設定だったのだ。それを説明せりふで説明せずにドラマで説明していくうまさ。だからこの世の人には彼女たちは見えないのである。だからこの世の人間とは会話が交わせないのだ。 「理不尽に殺された3人の子供が大人になる。この世の人には姿は見えないのでこちらから思いを届けることは出来ない」という内容なら誰でも思いつくことは出来るかも知れない。 しかしこういう語り方で説明していくのは「さすが!」「恐れ入りました」としか言いようがない。 そして大学で(これも勝手に入ってるわけだが)素粒子の講義を受けていた優花が「自分たちは素粒子レベルでの存在なので見えないだけなのでは?」という謎理論を言い出す。 そしてカミオカンデの施設に侵入し、かつて同じようなことをした男がいることに気づく。その男はよく聞くラジオ番組をしてる男なのだ。 この男の放送で「明日、夜明け前に灯台に行って会いたい人に思いを届ければこの世界に戻れる」と言われる。 そして3人は会いたい人たちに会いに行く。 優花は母親・彩芽(西田尚美)、さくらは自分を殺した犯人(これが先日出所した)。ところが彩芽が犯人の元へ行ったところに遭遇してしまう。 彩芽は犯人を刺そうとする。さくら、優花、美咲の3人はそれを止めようとするが出来ない。 結局、犯人は交通事故にあうんだけどね(この事故にあうというのは解った) そのシーンの前に優花は彩芽の家に行く。再婚して女の子がいる彩芽だがそこではクッキーを作っている。その時にそれを見ていた優花が「私は月の形が好き」と言っていた。 彩芽はこの犯人と会うときにそのクッキーを持って行ったのだ。 ここは母親の愛情を表現する見事なクッキーの使い方だった。 その後、3人は子供の頃には歌えなかった「声は風」の曲で子供たちとコンクールに出る。 高杉君はこの児童合唱団のピアノ演奏をしていた子だったが、事件があってからはピアノを弾くことが出来なくなったのだ。 そんな高杉君もピアノを弾けるようになって号泣。 合唱の「声は風」がいい歌なのでまた号泣。 とにかく予想以上にいい映画です。 ネタバレ(ここでは書いたけど)なしで見ていただきたい映画です。 (あと吉岡睦雄さんが不動産屋で登場。「早乙女カナコ」「悪い夏」「少年と犬」に引き続き、登場) さよならエリュマントス日時 2025年4月2日19:50〜 場所 新宿武蔵野館スクリーン2 監督 大野大輔 製作 令和5年(2023年) 何回観たかわからなくなった「エリュマントス」。 2023年のシネマート新宿の初公開やその後立川でもみた記憶がある。 あとは去年の8月にブルーレイ発売記念で渋谷ロフト9でコメンタリー付き上映で観に行ったな。すべて平井亜門さんの舞台挨拶付き(というかそういう時だけ)で観た。 今回はKCU特集の関連作も上映ということで中島歩、平井亜門出演作ということで上映。 内容は覚えているので特に新しい感想はないんだけど、最初の斉藤里奈と藤本沙羅を連れだって宍倉(中島歩)が川瀬陽太の怪しいプロパンガス屋とスナックで飲んでるシーンがいい。 川瀬さんが「こっちがボランティアの精神でいくのよ」「で検診番号聞き出したらこっちの勝ちよ」で「お姉ちゃん、芋(焼酎)」のあたりが特に最高だなあ。 公開時はなんとも思わなかったけど、フジテレビの女子アナに接待を強要していた問題が起こってる今だと、このネタはかなりきわどい。 で今回は斉藤里奈、藤本沙羅、瑚々、咲田ゆなの4人に平井亜門の舞台挨拶。(昨日は「このハンバーガー、ピクルス忘れてる」で平井亜門、木村聡志監督の舞台挨拶があった) 久々の上映で4人の女の子がわちゃわちゃとにぎやかである。 撮影は2023年4月だが、それから丸2年経過し女の子たちは(メイクもあるけど)大人っぽくなっているので(特にファンではないので)だれが誰やら(私には)分からなくなっている。 その後、サイン会。 先日買ったKCUパンフレットを持って並んだんだが、並んでる途中で傘を客席に忘れてきたことに気がついた。それで列を離れて劇場スタッフに確認してもらったところ傘はあったけど、元の場所に戻るのも気が引けて最後尾に並んだ。これが失敗だった。 久々のサイン会だから女の子たちも盛り上がっていてお客さんと話す時間が長い。昨日の「ハンバーガー」は木村監督や亜門ファンがほとんどだった印象だが今日はミスマガジンファンの男性客(おじさん多し)も多い。 そういうおじさんが話しかけて離さないのかと思ったら(約1時間待たされて)順番が近くなった時に分かったが、ミスマガジンの子たちもお客さんに積極的に「どうでした?」「どこがよかったですか?」と訊いている。 また亜門ファンも何回も観てるので、ミスマガジンと顔なじみになってるファンもいるらしく、盛り上がっている。 ここが女性同士の不思議なところで女子ファンも「誰々ちゃんかわいい!」と盛り上がっているのだな。 (そうやって時間がかかったので22時半頃、斉藤里奈は「終電があるので」と帰って行った) 私の番になったが、咲田ゆなは印象が薄いので感想も言えないし、藤本沙羅も特に関心はない。瑚々さんに「お名前は?」と訊かれて(藤本沙羅には「(名前は書かなくて)いいです」と言えたのだが)つい「○○です」と答えてしまった。 んで次が平井亜門なのだが前の女の子が「(映画の台詞の)『酒よりもっと楽しいことしようよ』って言ってください」って言って平井さんもそれに応えていたりしてめちゃくちゃ盛り上がっている。 やっと私の番になって「今日のサイン会は長くてお疲れさまです」といったら「いやいやまだまだ話し足りないくらいです」と言っていて、機嫌がよかったのか自分のサインの横に私の名前をひらがなで書き足してくれた。 で結局23時前にサイン会終了。 盛り上がったサイン会だった。 |