2025年8月

   
ジュラシック・ワールド/復活の大地
人妻怪談 淫欲むせび泣き ペッティング・モンスター 快楽喰いまくり 淫靡な女たち イキたいとこでイク! 事故物件 ゾク怖い間取り
嬢王VS夜王 甘美なる夜の遊戯 嬢王協奏曲3 そして輝く夜の伝説 アジアのユニークな国 着信音が鳴らなくて〜バースデイ・プレゼント〜

ジュラシック・ワールド/復活の大地


日時 2025年8月9日18:30〜
場所 TOHOシネマズ池袋・スクリーン10(スクリーンX)
監督 ギャレス・エドワーズ


恐竜が世界に放たれてから5年。結局恐竜は現在の地球環境では生きていけず、ほとんどが死滅していた。だが赤道直下の熱帯の島では一部が生き残っていた。
製薬会社パーカー・ジェニングスの社員、マーティン・クレブスは傭兵のゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンセン)にある任務を依頼する。
それは現在生きている巨大恐竜のDNAを採取しようというものだ。
巨大恐竜たちの心臓は強く、そのDNAを使って心臓病の強力な薬を開発しようと言うのだ。
気乗りしなかったが高額な報酬を前に承知するゾーラ。恐竜研究の第一人者のヘンリー・ルーミスとともに出かける。
かつての仲間だったダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)も参加した。
恐竜たちが生息する島はかつてインジェン社が「ジュラシックワールド」の為の新恐竜を研究していた島だった。
その沿岸でまずは海にすむモササウルスから血液採取に成功。
だがその近辺をヨットで航行中だったデルカド家が恐竜に襲われ、ダンカンによって助けられた。デルカド家は父親のルーベン、長女のテレサ、テレサの恋人のザビエル、次女のイザベラの4人。
島に近づいたときに再び恐竜に襲われ、秘密の行動をしているマーティンはテレサが危険な目にあってるときに見捨てようとした。
やっとたどり着いた彼ら。
あとは陸上の最大恐竜ティタノサウルス、最大の翼竜ケツァルコアトルスのDNA採取である。


「ジュラシックパーク」シリーズ7作目。「ワールド」になってからは4作目である。
前作はまったく覚えていない。この映画日記を読むとあまり面白くなかったようだ。

結局世界に放たれた恐竜は現代社会ではほとんど死滅する、という設定。
まあそうだろうねえ。恐竜が生きていけないことではなく、話の設定上、世界中に恐竜がいたら話がやりにくいもん。

とにかく人間が恐竜のいる島にいかなければならない。「子供がこの島に残されている」とかの理由だったけど、今回はDNA採取。
要は理由はなんでもいい。とにかく人間が危険地域の島に恐竜に会いに行くもっともらしい設定があれば。

今回は製薬会社のチームだけでなく、たまたまヨットで航行中だった(いや家族で大西洋横断とかそんな簡単じゃないと思うが)家族も加わる。
二手に別れてそれぞれの話を作った方が危険な目にあうシチュエーションがバラエティに富んでよい。

ギャレスの演出は「ゴジラ」の時と違って(もう10年以上前になるのか)スピード感のある展開だ。
前はじらしてじらしてじらしてやっと怪獣登場、だったけど今回は活躍しまくりである。

でもイザベラが小型恐竜(猫ぐらいの大きさ)を連れて歩くのだが、いつか噛みつくんじゃないかとハラハラした。
あれ、作者としては「かわいい奴もいる」という設定なんだろうけど、私としては「小型でも恐竜」なのでいつか襲い出しそうでかわいくは思えなかった。

また海の恐竜、陸の巨大恐竜、巨大翼竜の3つを出す設定もうまい。
これは話の設定の価値ですね。

今回、昨日公開で早く観たかったこともあり(なんだよ、結構楽しみにしてんじゃん、俺)、上映時間がたまたま都合のよかった(今日は上野オークラで3本立てだったからTOHO上野で観たかったのだが)池袋で鑑賞。
これがたまたまスクリーンX。
以前「ゴジラ-1.0」の時スクリーンXで観て「横は海だけじゃん!」と思ったのだが、今回はハリウッド大作なので違うかも知れないと思って確認のために追加料金900円を払って観に行った。

ぜんぜんだめ!
結局日本映画だろうとハリウッド大作だろうと同じ。
普通のフォーマットで上映するの作品では中央の画面で何か(ストーリーとか襲われるとか)が起こる。だから結局スクリーンXになっても脇のスクリーンではなにも起きない。単に海とかジャングルが広がるだけ。

またチケット買ったのが上映の1時間半ほど前で一番後ろの端っこした空いてなかった。通常の映画なら全く問題はないけど左端の席では左側スクリーンの画面はほとんど見えない。
だからスクリーンXで観るなら中央部の席でなければだめ。
脇のスクリーンで何かが起こるのではないかと思ったけど、まったくなし。
スクリーンXはただ高いだけ。意味なし。お勧めしない。むしろ「止めとけ!」だ。



人妻怪談 淫欲むせび泣き


日時 2025年8月9日13:30〜
場所 上野オークラ劇場
監督 山内大輔
製作 OP PICTURES


ストーリー省略。というか書きづらい映画なのだ。

文乃(木下凛々子)は自宅の2階で夫が女とセックスしてる姿を目撃するがその女は自分だった(と思う)。
ある金持ちの女(加藤ツバキ)が古びたアパートに入っていく。そこでは若いイケメン・ミキオ(烏丸達平)が出迎える。二人はセックスし、その後ミキオは女をすぐに殺す。そこへ若い女3人がやってきて、死体をブルーシートにくるみ運び出す。ミキオと女たちは死体を海岸に運び、砂浜で処分した。
文乃は金持ち女の捜索のチラシを見て、古びたアパートに行く。ミキオと文乃はセックスしたが、ミキオはサランラップで彼女の顔をくるみ、殺しかけたが文乃のことは殺さなかった。
文乃の夫は街で買った女(藤田ゆず)とホテルに行ったが女にアソコを食いちぎられて死んだ。
文乃は別の男(安藤ヒロキオ)と出会い、海辺のホテルに行く。
男は自分の妻が浮気して相手の男は首を絞めるのが趣味な男で殺された。男は妻の死体を引き取り、ミイラにして持ち歩いていた。


こんな感じかな。
実はこの映画、せりふがほとんどないのだよ。
文乃がミキオに「殺してほしかったのに」というせりふと安藤ヒロキオが自分の妻の話をするシーンだけ。
あとは台詞がなく、役者の表情や目線、お辞儀等で表現している。
台詞がない分、こっちが気が抜けない。

「普通の映画にはしたくない」というのはわかるけど、これはちょっとしんどいなあ。
ピンク映画は3本立て。3本のうち1本がこんな変化球映画であとの2本が気楽な映画だったらいいけど、今日観た3本は(山内監督特集という感じで)全部変化球映画。これはつらいよなあ。

ネットで他の人の文章を読むと烏丸達平は霊界の死に神みたいなものらしいのだが、よくわからない。
本日は舞台挨拶付きで女優陣3人と烏丸達平、安藤ヒロキオさん、山内監督が登壇。その中で11月のOPフェスでR15版も上映されるそう。
そちらは逆にもう少し血の描写も多く、烏丸達平の殺しの理由なども明かされるらしい。

メモしておきたいのが烏丸達平の殺し方。太い結束バンドで相手の首を絞める。なるほど、最初に閉めておけばまず切られることはない。
考えたなあ。山内監督って普段から殺し方とか考えてるんだろうか?
それはそれで怖い人である。

舞台挨拶後にサイン会あり。
コロナで舞台挨拶はなくなっていたので、今回はなんと5年半ぶり。
サイン会に参加するには今回からグッズを買った人だけ。グッズはTシャツ2000円、クリアファイル500円、ノート500円。
ノートにサインしてもらおうかと思ったが、色紙も用意してくれていた。
でも出演女優3人とマスコットガールのきみと歩実だけ。烏丸達平や監督はサイン会に参加しないのが、オークラである。









ペッティング・モンスター 快楽喰いまくり


日時 2025年8月9日12:00〜
場所 上野オークラ劇場
監督 山内大輔
製作 OP PICTUERS


マリカ(きみと歩実)は結婚して3年。夫の裕樹は突然オマーンに単身赴任した。赴任して数日後、裕樹から電話があった。マリカが寂しくないないようにベロという生き物をペットに置いていったという。
ベロは不思議な生物でナマズのような形をしていたが、人間の体から出る体液を餌にするのだという。早速マリカは自分の体をなめさせる。
次第に幻想と現実の世界が入り交じる。
夫はオマーンで亡くなり、日本未亡人協会の人が訪ねてくる。その女性に「さびしいでしょう?」と言われ、「寂しくありません。ベロがいますから」とベロを見せる。そのベロをそのまま盗む女。
裕樹から電話があった。「日本未亡人協会なんてない。なんとか取り返すんだ」と言われる。いつも納豆を売りにくる男(森羅万象)が拳銃を届けに来た。未亡人協会の女を殺し、ベロを取り返す。
裕樹が帰ってきた。今回の件でマリカが国家の秘密を託せる女性か試したのだという。
ベロは生物兵器を開発しようとしたが、失敗で人畜無害の生物ができてしまったというのだ。
だがマリカは納豆男の妻だった。敵陣営がマリカを裕樹の妻として潜入させていたのだった。

こんな感じの話。
結局最後はどうなったっけ?これも話を複雑にしてるのだな。
普通のピンク映画にはしたくないって気持ちも分かるのだが。
ベロの造形がぬらぬらしていて、女性が抱いていても舌だけ動く。
あれどうやってるんだろう。

スパイ合戦と異形生物とエロをミックスさせた映画で、単体で観れば面白いかも知れないが、3本立てで観ると疲れる映画。
個人的にはちょっと懲りすぎというのが感想。








淫靡な女たち イキたいとこでイク!


日時 2025年8月9日10:45〜
場所 上野オークラ劇場
監督 山内大輔


毎日毎日エリートの夫に怒鳴り続けられるヤヨイ(加藤ツバキ)はなぜか瞬間移動が出来るようになった。しかしそれは自分の思ったところにいけるわけではないらしい。ヤヨイは夫と別れる決心をして瞬間移動した世界で暮らそうと決意。ラブホテルに瞬間移動した時にやってきたホテトル嬢のみゆきの靴を盗んでホテルを出る。
不動産屋に空き物件を紹介してもらい、夜にまた訪れてそこで寝泊まりするようにした。
不動産屋のミキオはある食堂の娘に恋していた。告白したが「好きな人がいる」とフられる。彼女はヤヨイが靴を盗んだホテトル嬢だった。
ヤヨイは時々一軒家に瞬間移動していたが、ここは中学時代にあこがれた先生の家らしい。その先生の藤森は今はホテトルのドライバー。
ミキオはフられたことを忘れようと先輩に勧められホテトルを呼んでみたら、例の食堂の娘だった。


こんな感じで登場人物がつながっていく構成は面白いのだが、いかんせん役者が知らない人ばかりでは記憶に残らない。
だからわき役だと思った人がまた出てきても気づかないのだな。
これが顔を知ってる役者だと観てるこちらも記憶に残るから話にもついて行きやすい。
顔を知ってる役者と知らない役者では違いますからねえ。

で結局ミキオは食堂の娘(ホテトル嬢)と結ばれる。ヤヨイは初恋だった藤森先生(作家志望で過去に本1冊出しただけ)と結ばれる。ミキオは藤森の前妻との間に出来た子供だった、という訳。

シナリオを複雑にして変わり種の味を出そうとしてるのはわかるけど、もっと気楽に作ってほしいよ、ピンク映画は。

注:このHPの更新のインデックス作成時にこの映画を以前観ていたことが解った。
見てる間も感想書いてるときも以前観ていたことを全く忘れていた。
感想を読むと不満を書いている。面白くなかったから忘れたのかなあ。



事故物件 ゾク怖い間取り


日時 2025年8月8日19:30〜
場所 新宿ピカデリー・シアター8
監督 中田秀夫


桑田ヤヒロ(渡辺翔太)は10年働いていた工場を辞め、子供の頃からの夢だったタレントになるために上京した。工場の社長(滝藤賢一)が昔俳優を目指していたときの知り合いで今は小さな芸能事務所をやっている藤吉(吉田鋼太郎)を訪ねる。
まずは「事故物件住みますタレントをやってみよう」ということで、過去に自殺のあった部屋に住んでみた。
そこはかつて女性が自殺した場所。予想通り寝ている時に女性の霊に苦しめられる。
まともな仕事もあってCMのエキストラ現場だった。そこで彼女役でペアになった花鈴(畑芽育)に一目惚れ。その場では連絡先を交換しなかったが、その後たまたま入ったスナックでホステスをしている彼女と再会。
テレビの心霊スポットを扱う番組でヤヒロはレポーターをする事になり、栃木県のある山奥の旅館に泊まった。
そこでは音声スタッフが変な声を聞いたり、主人の様子がおかしかったりとなんか変。中継が終わって一人その旅館に泊まるヤヒロ。夜中に2階からドンドンという音がする。2階に上がってみると、母親が娘を絞め殺している現場を見てしまう。ドンドンという音は娘が断末魔で床を蹴っている音だったのだ。ここではかつて病気療養中の娘がいたが、いっこうに治らないのでついに母親が殺してしまったという。
次に行ったのはシェアハウス。ここでヤヒロは西洋式降霊をやってみる。やはりかつての自殺者が現れているのだった。
住むところが亡くなったヤヒロは花鈴の部屋に住むことになる。
ある日、花鈴がいなくなった。


「事故物件 怖い間取り」の続編。続編といっても登場人物はまったく違うので前作との関連はない。だからこそタイトルも「続」ではなく「ゾク」である。

ホラー映画って一つの怪現象が起こるとその事件の由来、過去を調べていったりするミステリー的展開に行くことが多いが、本作はそういった深堀はせず、「ここでかつて自殺がありました」「ここで昔子供が死にました」的にあっさり終わる。
未読だが、原作が実際にいる「事故物件住みます芸人」さんが書いたものだからだろう。

それよりもラストは親子の情愛のいい霊の話になる。
ネタバレだが、花鈴の父親は昔俳優を目指していて売れなかった。母親は別の男と逃げたが、花鈴を迎えにきたので喧嘩になり、階段でもみ合っているうちに相手の男が落ちて死んでしまった。
その父親が実は藤吉だったのだ。

藤吉はもう死んでいて霊となってヤヒロの前に現れたのだ。
映画では説明されないけど、確かにヤヒロが花鈴と出会った現場は藤吉の紹介、花鈴と再会したのも藤吉とはぐれたヤヒロがたまたま入った店だった。つまり藤吉の導きなのだ。
藤吉はヤヒロを優しい男と見込んで娘を託したという訳だ。
まあ優しい霊の話もいいんだけどね。

でもそれよりの本作で気に入らないのは渡辺翔太。
SNOWMANのメンバーな訳だが、どこが人気があるのかさっぱり分からない。SNOWMANのメンバーが全員人気があるとも思わないが、それにしても人気が出そうなキャラではないんだよなあ。
彼が主役に決まったのは何か大人の事情があったのか知らん。
あとシナリオの設定上も「18歳で就職して11年」というせりふがあったから29歳だろう。
29歳でいきなり上京してタレント(しかも芸人じゃなくてタレント)になろうって(私からすると)世間知らずもいいとこ。
なに考えてるんだろうね。

お遊びとして最初に出てくるCM撮影のメインが亀梨和也。
前作の主役だったことからのゲスト出演なのだろう。




嬢王VS夜王 甘美なる夜の遊戯


日時 2025年8月4日
場所 amazon prime video
監督 山内大輔


一条シノの店でホストクラブで働くJIN(烏丸達平)の元に人気女優の山本紘菜(美谷朱音)がやってきた。紘菜はかつてキャバクラ嬢だった。マネージャーのミサトが彼女の性欲処理のために紹介したのだった。
キャバクラでは映画プロデューサーの佐伯も遊んでいる。女優志望という新人のミオを紹介され、アフターに連れ出す。佐伯はミオを自分の部屋に連れて行き、「女優をしたければこういうことも出来なければだめだ」と体を求めてくる。「山本紘菜も?」とミオが問うと「紘菜は自分ではやらせずに後輩の女優とかモデルに接待をさせていた」と聞き出す。実はミオはママのクミに雇われた女だったのだ。佐伯との会話を録音し、週刊誌に売り込む。
佐伯はスキャンダルで業界は追放、紘菜も事務所と契約解除になった。
違約金などは事務所は関係なく、紘菜が全部かぶることになる。マネージャーのミサトは紘菜が嫌いで心の中では「ざまあみろ」と思い、自分も独立するつもりだった。
かつて紘菜に接待要員をさせられていた一ノ瀬アユ(西野絵美)がミサトの努力で人気女優になっていく。今度もJINがアユの遊び相手と紹介される。
紘菜も女優を引退したが、一条シノが違約金を肩代わりする代わりに自分の店で働くように提案した。実は一条シノの店のクミが今回のことを仕組んだのだった。その目的はかつて紘菜が在籍していた店のオーナー、黒崎の居場所を突き止めることだった。
紘菜のかつての客は戻ってきてキャバ嬢として上々だった。そしてかつての店の仲間から黒崎の居場所を聞き出す。
一条シノは平岩を使って黒崎を連れてこさせる。20数年前、黒崎と一条は愛し合っていたが、二人で貯めた80万円を黒崎は持ち逃げし、それを元手に六本木で王国を築いたのだった。
一条は黒崎を殺そうとしたが、空の拳銃の引き金を引いただけで許す。
アユはJINと順調に関係を続けていたが、ある日、JINの部屋に行った時、JINが少し部屋を離れた隙に何者かにアユは襲われ顔に大やけどを負って女優は出来なくなる。アユは紘菜の仕業と思いこむ。
紘菜はミサトやアユを見返すために一条シノの力を借りて女優復帰を狙っていたが、アユの引退でやる気を無くす。しかしある日、アユは紘菜の所にやってきて顔をナイフで切りつけた。
JINはアユの事件の日、ある常連客からアユを部屋に連れ込むようにいわれていたのだ。その客に「誰に頼まれたんだ」と問うと「頼まれたんじゃない、あたしがやった。だってアユがJINの恋人づらしてるのが気にくわなかった」と言い放つ。
紘菜はシノの紹介で平岩に会う。平岩は女性向けファイナンスを始めるという。その社長に紘菜をスカウトしていた。


話は全部書いた。結構長くなったな。
昨日観た「嬢王協奏曲3」の完全な続編である。
冒頭「歌舞伎のホステスがヘルプのホステスに殺された事件あったでしょ?あの殺された女とつきあっていたんですよ」とJINは言ってるし「犯人まだ逃走中です」などの会話も交わされる。

今回もエロ度高め。
3本目で初めて(だと思うけど)2シーンほど烏丸達平がバックヌードを披露。

この作品ではJINはもう完全に女たちの戦いに巻き込まれて傍観してるだけ。紘菜ともミサトともアユとも関係を持っていて、さらに最後に登場するアユの顔を焼く女とも関係を持っている。
JINからすると周りの女たちが「仁義なき戦い」を繰り広げてるわけだ。

しかしまあ相手を倒しても絶対に相手は反逆してくる。
大抵の映画や小説では一度倒すと「勝利!」で終わるのだが、反撃されるのが山内作品の怖いところ。
そうだよな、映画は終わっても人生は続くんだもん。そりゃ反撃されることもあるよな。

顔をバーナーで焼くところが怖かったが(もちろん実際には写さない)、それでも反撃、反撃と繰り返され、話が良く出来ていた。
でも一条シノと黒崎の因縁は「二人で貯めた80万円を持ち逃げされた」と割としょぼかったのが惜しい。

烏丸達平もこの3本に出演し、オークラのゲイ映画やピンク映画にも出演。新たなこの界隈のスターの誕生だ。






嬢王協奏曲3 そして輝く夜の伝説


日時 2025年8月3日
場所 amazon prime videoレンタル
監督 山内大輔


歌舞伎町のNo1キャバ嬢の美蘭(ミラ・宮城りえ)は「女王伝説」というヒット映画のプロデューサーの佐伯からしつこくアフターを頼まれていた。
仕方なく自分のヘルプに付くユカ(五芭)に変わってもらう。佐伯はユカをホテルに連れ込む。ユカは友人のリチが女優を目指していて「女王伝説」のオーディションに行ったことを話す。すると佐伯はリチにも会いたいという。
美蘭にはJIN(烏丸達平)という恋人がいた。かつてJIN、美蘭、ユカは3人で援デリをやっていたが、闇金の平岩に「俺のシマで何しやがる」と監禁され、解放する条件で300万円の借金をすることになる。もちろん実際には金は貸さない。借用証だけとられ、トイチの利息を払う羽目になる。その為に平岩の知り合いの店で美蘭もJINも働くようになる。
そして美蘭はキャバ嬢が性に合っていて、着実に出世していく。そこで佐伯と知り合ったのだ。
映画のネタを探していた佐伯に自分の父のことを話す。地方の建設会社の2代目で、仕事も遊びもこなしていたが、一条シノというホステスにはまったことで一家が壊れたのだ。一条シノが先輩ホステスの客を取り、そのホステスが美蘭の父親を刺したのだった。だがシノは冷たくあしらった。そのことからおかしくなり、家に火をつけて一家心中を図ったが、その時助かった娘が美蘭なのだ。
美蘭は順調だったがJINの方はホストとしてはなかなか芽が出なかった。
そんな時、ユカも平岩に捕まり、お店で働くことになった。美蘭はユカがJINのことを好きなので、JINの借金を肩代わりさせることを計画。
結婚を匂わせて自分の借金をユカに肩代わりさせたところで別れるJIN。
借金もなくなってホストをする意味がなくなったJINは自分の母親を死に至らしめた一条シノへの復讐の実行を決意。結局はシノを殺さずに許すJIN。シノは罪滅ぼしに夜の世界で働くなら全面協力するという。
一方ユカは佐伯との距離を縮めていた。佐伯が会いたがっているリチは実は4年前に亡くなっているという。佐伯に「映画女優になるためには・・・」と事務所に言われてレイプされたのだ。
それ以来精神がおかしくなったリチは自殺したのだった。
JINが使い終わった拳銃は周り回ってユカの手元に来た。その拳銃で佐伯を殺すべく、店に行く。佐伯は美蘭を盾にして助かり、美蘭は死んだ。


話は全部書いた。話が薄いと思ったけど書いてみると案外あったな。
4月に観た「夜王烈伝3」の姉妹編というかアナザーストーリーである。
前作は友美の視点だったが、今回はJINとその恋人の美蘭の話。そこにユカの話も加わる。
「夜王烈伝3」の感想を読み直すと「JINとユカはつきあってるらしい。ユカには女性の恋人がいる。だが詳しくは説明されない」と不満を述べている。
その辺を描いたのが本作なのだな。

JINの母親と一条シノの間に何があったかこの映画では明確でない。美蘭の父親がシノの前にはまっていたというホステスなのかな。

とにかく今回は濡れ場が多い。話の展開は「夜王烈伝3」よりは少ない。
また臓器を取られた女性を犯す、指を切っていくなどの残酷、非道な描写はない。その方が私はありがたいけど。

最後にユカは美蘭を殺すのだが、案外こっちが目的だったのかも知れない。
美蘭は自分がJINとつきあってるのにユカに「JINと付き合いなよ」と言っておいてJINの借金を押しつけてしまう非道な女である。ただし前半では「一条シノの被害者」であったが、やがては自分が加害者になっていく。
「この変化が面白い」というつもりで作者は書いたのだろうけど、「キャラがぶれる」という難点にも感じられた。

そしてユカ。彼女は同居している女優志望のリチという親友がいたのだが、彼女は自殺していたと語られる。今まで登場していたリチはすべてユカの妄想なのだ。

JINが使い終わった拳銃は前作で友美の手に渡り、それを使い終わった後捨てる。それがユカの手にはいるのだ。
ユカはこの映画では美蘭を殺したあと、フレームアウトしてるだけなので、正直どうなったかわからない。

「夜王烈伝3」と違って残酷、グロさがなくて好きである。
濡れ場も多いしね。








アジアのユニークな国


日時 2025年8月3日21:00〜
場所 ポレポレ東中野
監督 内田ケンジ


柏木曜子は義理の父の介護をしながら都内で暮らしている。それだけではなく自宅で売春もしている。1階では介護をして2階に毎日お客を呼んでセックス(基本本番はなしだが、客によっては許す)している。
向かいの家のタマミさんは毎日何人も男が入ってくのを見て何か怪しいと思っている。気にしなければいいのだが、気になって気になって仕方ない。
曜子は安倍晋三が大嫌い。お客さんにもつい安倍晋三嫌いの話をしてしまう。あるお客さんが「安倍晋三は悪くない。森友問題は財務省が勝手に・・・」と話し始め、自民党のネットサポーターと知ると彼を「これっきりで」と断ってしまう。
常連のお客さん木村さん(岩谷健司)とは話が合い、つい本番まで許してしまう。
タマミさんは友人に相談しても「ご近所だしあまり何もしない方がいいんじゃない?」と言われてしまう。だが近所を巡回中だった婦人警官についに訴える。


全く存在すら知らなかった映画だが、先日いまおかしんじ監督から推薦の連絡があり鑑賞。木村聡志特集で観た「テラスにて」の監督と知り、期待は高まる。

「自宅で主婦売春しながら介護をする女性の話」というだけの予備知識で観たのだが、映画が始まってすぐに安倍晋三の話になったのは驚いた。
うん、この人とは話があいそうだ。

曜子は「安倍晋三が死んだとき嬉しかった」「安倍晋三が死んで日本がよくなると思ったのにまったく変わらなかった。むしろひどくなった」という。
実を言うと私もそう思った。
曜子はそのころ流産しており、それは人の死を喜んだせいでバチが当たったと思っている。

曜子がなぜ自宅で売春をするようになったかは明確でない。
金も大きいだろうが、それだけではない何か精神の不安定さを抱えているのか。

「介護=社会保障」「売春=貧困」などの日本の抱えている問題を象徴しているかのようだ。
そしてそれを作ったのは安倍晋三(私はその前からその萌芽はあり、安倍晋三が増幅させたと思っているのだが)。
そんなテーマを一軒の家の中での出来事で語り口の見事さに舌を巻く。

そして隣のタマミさんは警官に疑いを訴えるも「あなたはDV夫からの離婚歴もある」「今年精神科に通った」ということから「精神的に不安定な女性の妄想」と片づけられてしまう。
タマミの訴えは正しい訴えをしても無視される。
タマミの立場で考えればこれは「訴えが認められない不条理な社会」になるわけだが、主人公の立場で見てる観客からするとホッとする展開である。
このあたりの矛盾がちょっと惜しい。

また常連客木村が久兵衛のすしを話題にし、実際におみやげに持ってくる。
久兵衛ネタはいいですねえ。まあ私は一生食べることはないだろうけど。

そして義理の父は亡くなり、曜子は妊娠する。
これは夫の子なのか、木村の子かも知れない。
曜子の自分を責める気持ちは増幅していく。

ラストは木村自宅。
娘が彼氏を連れてきて(娘の前の彼氏の佐々木と名前を間違えるが)彼が彼の実家のある徳島で脱サラして商売を始めようと計画してると知る。
「スローライフって奴で」「いいじゃない、スローライフ。もう日本は先進国じゃないんだから。そりゃまだそれっぽい感じはあるけど。だから人工も減ったっていいんだよ。そりゃ社会保障の問題はあるけどさ。アジアのユニークな国になればいい」

映画はそう結論づける。
「キラリと光る日本」と言ったのは新党さきがけの武村正義だったか。
規模の大きさで存在感を出すのではなく、唯一無二の何かを持つ国。
それを目指すべきだと映画は言う。
もちろんなかなか賛成できない人もいるだろう。
でも目指すべき方向性としては私は賛成である。






着信音が鳴らなくて〜バースデイ・プレゼント〜


日時 2025年8月2日13:25〜
場所 光音座1
監督 加藤義一
製作 OP PICTUERS


明(大空太陽)は就職か大学院に進むか迷ってる大学生。
今日はおじさん(森羅万象)とホテルにやってきたが、事後相手がたばこを吸うのを見て「ないな」と思ってしまう。
そんなある日、ゲイバーで隣り合った隆(佐々木狂介)とマニアックな映画話で盛り上がる。明が今日誕生日だと知った隆は店を出てバラの花を買ってきてプレゼントしてくれた。帰り際に隆の連絡先を聞いてみる明だったが、隆は携帯を持っていないという。
明には智(吉田タケシ)という親友がいて、時々部屋に泊まりにくる仲だった。智は明のことが好きだったが、告白できないでいる。
連絡方法がないのでもう一度バーに行ってみる明。その日、偶然にも隆はやってきた。また映画の話で盛り上がった。連絡先の家の電話番号も教えてもらった。帰り際、橋の上で明にキスをする隆。
せっかく隆の名刺をもらったのにその名刺を落としてしまう明。ゲイバーに行ってみたが隆はしばらく来てないという。仕方なくキスした橋の上に行ってみる。そこへ隆はやってきた。
今夜こそ結ばれる二人。しばらくはセックスを二人で楽しむ日々が続く。
そんな明に智は「最近何かいいことがあったのか?」と聞く。恋人が出来たことを打ち明ける。そして自分がゲイだということも。
それを聞いて智も「俺も一緒だ。お前のことが好きだ」と打ち明ける。
「お前のことを諦めるから一つだけ俺の願いを聞いてくれ。お前を抱きたい」という。許した明だったが、どうにも気分が乗らない。諦める智。
別れ際に橋の上で智は思わず明を抱きしめる。それを隆に見られてしまう。
隆は「やっぱり同世代の方がいいよね」と去っていってしまう。
しばらくして恐る恐る隆に電話をする明。隆は許してくれた。
もうすぐ4年に一度の明の誕生日。
当日、楽しみにいつもの橋の上で待つ明。しかし隆はこない。隆の家に電話すると誰もでない。だがすぐに折り返しの電話があった。
それは隆の兄からだった。隆は昨日突然亡くなったという。「あの、隆とはどういったご関係で?」明は電話を切った。
泣き叫ぶ明。幻想の中、明と隆は二人でバースデイケーキを前にしている。


話は全部書いた。話がないなあと思って見ていたけど結構字数とったな。
もちろんこれよりヒドいゲイ映画は存在する。
でもこれもヒドかったなあ。
以下、だめな点、改善すべき点を列挙する。

1、恋人がハゲでデブのおっさんというのはいかがなものか。
いや、もちろん人の性癖は千差万別ですよ。しかし「映画として」ハゲでデブのおっさんの裸やあえぎ声がエンタメになるか、という問題があるわけです。
明は言葉では説明されないけど、最初に森羅万象とセックスしたり、隆に一目惚れするのだからデブハゲフケが好きなマニアックな好みの方なのです。だから智とのセックスでは勃たないんです。
これは私に言わせれば「樹木希林が全裸になってセックスしてあえぎ声を出してる姿がエンタメになるか?」という問題です。
樹木希林の女優としてのうまい下手とはまったく関係ない話です。
私は森羅万象や佐々木狂介の濡れ場を見てエンタメを感じなかったな。
作り手は光音座の客層の年齢層が高いからと勘違いしてるんじゃないだろうか。
いやもちろん個人の好みもあるけどさ。樹木希林のヌードを切望してる人だっているかも知れないし。

そしてこの隆やること、言うことが「スケベ親父」なのだよ。
「明君は上手だね、たくさんの人とやってきたんじゃない」「そんなこともないですけど、経験人数の多い人はいやですか?」「そんなことないよ」とか完全におっさんである。
いっそここは「へへへ、口じゃイヤだといってもここはもうこんなに鳴ってるな」って言ってもよかったぐらい。

ついでに一回戦が終わった後にすぐに(明より積極的に)始めるあたりはもう「飢えたおっさん」である。

2、大空太陽の問題。
主役の大空太陽は実年齢33歳。いやそれで大学生役はきついでしょう。
顔は明らかに30代の顔である。脱ぐとなかなかのスリム筋肉質で均整のとれた体をしている。
だったら主人公の年齢も30代にすればいい。
「地方から最近東京に転勤してきてまだ慣れてない」という設定にすればよかろうに。
そこが惜しい。

3、連絡の行き違いについて。
隆が携帯を持ってないというのが納得行かない。
「アナログ人間だから」とか言ってるけど今時だめだよ。
レンタルDVDショップを経営していてつぶれて今は派遣の仕事をしてるらしいけど、そうなるとアプリとかメルアドとか必要だから、スマホなしは有り得ないんだよね。
第一、明が「じゃ僕の番号だけでも」って教えればいいじゃん。
さらに2回目に会ったときには家の電話番号を教えている。じゃ最初から教えろよ。「初めて会ったときから目が離せなくなった」んだろ。

4、智との関係の勘違いについて
智が完全に悪いわけだが、橋の上で抱きつかれたときに「人が見るよ」っていえばいいだろ。
また隆も「同世代の方が話も合うよな」っていじけるなよ。もっと余裕持てよ。

5、隆の死について
いくら何でも唐突。隆が持病を持ってるとか、その前のシーンで突然死を予感されるとか、現場で事故が起きそうな環境とか(これは撮影が大変になるが)そういう伏線がなきゃだめだよ。
そうじゃないとただ唐突でバッドエンドのためのバッドエンドにしか鳴ってない。

でもこの映画に全く魅力がないかと言われればそうではない。
大空太陽はさすが「エロメン」の一人だけあって体はきれいである。
またカラミのシーンも多く、時間も長い。
つまりいいところもあっただけに余計に悪い点が目立つのだ。
私が脚本に加わっていたらいろいろアドバイス出来たのに、と残念でならない。

同時上映は「わがまま旋風(センセーション)」。
以前に観ていて独りよがりの映画なのは知ってたからぼーっとしながら観て、何も残っていない。