2026年1月

   
安楽死特区 恋愛裁判 愛のごとく ヒグマ!!
カリギュラ究極版 怪獣天国 モダン・タイムズ なん・なんだ
制作部の水島さん IDOL OF THE DEAD〜あなたの隣は死にました〜 Scooper(完結編) その女を殺せ
リゾートバイト ポンヌフの恋人 D.N.A/ドクター・モローの島 Black Box Diaries

安楽死特区


日時 2026年1月31日14:55〜
場所 新宿ピカデリー・シアター4
監督 高橋伴明


安楽死が実験的に認められた日本。安楽死法案は可決され、東京に特区が作られ、そこにある施設「ヒトリシズカ」には審査に通ったものが
200万円の入居金を払うと入居できた。
ラッパーの章太郎(毎熊克哉)とそのパートナーでジャーナリストの歩(大西礼芳)はこの安楽死制度に反対だった。章太郎は若くしてパーキンソン病になり、余命も数ヶ月と言われていた。
この施設の実体を暴こうと章太郎と歩は施設に入居した。
施設にいるのは末期ガンの池田(平田満)とその妻、三味線漫才をしていた今は認知症になっている真矢(余貴美子)だった。
安楽死するには医師との面談が最低3回あり、安楽死の意志は固いと判断されたときのみ安楽死が許される。
章太郎は「安楽死には反対だ。俺たちはこの施設の実体を暴きにきた」と目的を明かす。
池田の安楽死は認められ、行われた。
章太郎は病状が悪化し、安楽死を希望するようになった。
章太郎の安楽死は認められた。死ぬための薬の液体が入ったコップを章太郎は持てる状態ではない。歩が飲ませる役目になったが、彼女は飲ませることは出来ず、章太郎にキスをした。そのまま章太郎は息を引き取った。
真矢は安楽死を撤回し、施設を退所した。
章太郎の棺を乗せた霊柩車の前で仲間たちや真矢もラップを歌い、踊るのだった。


高橋伴明の新作。内容からして新宿武蔵野館とかテアトル新宿で上映しそうな映画だが、なぜかメイン館は新宿ピカデリー。2週目で1日2回の上映になったが、観たときはほぼ満席。年齢層も高い。
まあ死が身近な世代ですね。

はっきり言うけど「PLAN75」の方がよかったよ。
安楽死の是非を描く、ということなんだろうけど、「非」の答えになるにきまってるじゃん、劇映画なら。
そしてラストのラップでみんなが踊ることころはドン引き、私はしらけきってしまった。

そこでクレジット。ここで数人帰った。で終わるかと思ったらまだ続きがあった。
なんとホントに難病のためスイスで安楽死を考えた人へのインタビューが続くのだ。

おいおいこんなの入れるなら最初からドキュメンタリーでやればいいじゃん。
その人は子供の頃からの難病で、いつ死んでもおかしくない状態で、安楽死が認められるスイスに行って死のうと思ったのだが、安楽死の直前に父親に号泣されて思いとどまったとか。
インタビュアーは伴明監督自身なのだが「死なせたくないという親のエゴを受け入れた」というその人の話を強調する。

映画の方も「死にたい意志」と「死なせたくない意志」のぶつかり合いみたいなものがテーマになる。
でもねえ。映画の中でも誰でも安楽死が出来る訳じゃなく、「耐えられない肉体的精神的苦痛が認められる」「最低3回の意思確認の面談がある」という要件が語られる。

じゃあ認めてもいいじゃん、と思ってしまう。
もちろん時の政権が殺したい奴を病気に仕立て上げ、恣意的に意思確認をさせて殺してしまおうということに使われないかの心配は残るけどね。

映画としてはラップと最後のインタビューは不要。インタビューを入れたかったら最初からドキュメンタリーでやれと思ってしまった。






恋愛裁判


日時 2026年1月30日19:05〜
場所 TOHOシネマズ日比谷・スクリーン2
監督 深田晃司


アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」は200名程度のキャパの会場ででライブを行い、その後の握手会などで人気が出ていた。
メンバーの一人菜々香はゲーマーでもあり、ネットゲームで知り合った男と付き合っていた。だが菜々香が昔からの友人だけで共有していたアカウントで彼氏とのツーショット写真が流出、それは大炎上し、謝罪に追い込まれてしまう。
そんな中、山岡真衣(齊藤京子)はメンバーと行った動物園で大道芸人をする中学の同級生の間山啓(倉悠貴)と再会。連絡を取るようになる。
あるライブ後の握手会の最中に事件は起こった。菜々香の圧倒的ファンだった男性が「裏切り者!」として菜々香に刃物を向けたのだ。誰も怪我はなく男も警察に引き渡されたが、メンバーは動揺。真衣はライブを見に来てくれていた間山が近くにいると知り、思わずメンバーから離れ間山の車に乗った。二人はそこでキスをした。
8ヶ月後、真衣は事務所から賠償金800万円を請求する民事裁判を起こされていた。裁判は事務所が大手の健康食品メーカーに買収されることがきっかけで急転する。
「賠償金は請求しない。その代わり謝罪文を提出してくれ」という内容だった。賠償金に頭を悩ませていた間山は和解に応じた。しかし真衣は納得できない。逆に「アイドルは恋愛禁止とした契約は憲法上の幸福権の追求に違反するもの」として逆に裁判を起こした。


私自身、アイドルは好きなのでその恋愛事情についての映画ということで興味を持った。
(日比谷で観たのは公開2週目にも関わらず上映回数が各館2回ぐらいに減り、行きたい時間帯に上映されてるのが日比谷だったから)

結論から言うと主人公は好きになれないなあ。
まず裁判でマネージャーが言っていたように「アイドルとファンの関係は本気度の差はあれ、疑似恋愛感情で持っている。アイドルの恋愛が発覚すると、各種取引会社からの契約違反やグッズの作り直しなどの金銭的損害が発生する」のは事実だろう。
いいとか悪いとかではなく、事実だろう。

だから事務所としては「損害賠償だ!」と言いたくなる。
この事務所はハピファレもアイドルといっても握手会を行ってるぐらいだから、「国民的人気」というほどでもあるまいから事務所もそれほど大手ではなかろう。

だから契約書に「恋愛禁止」と書くのは法律的には問題があっても事務所側としても言いたくなる。まして10代の女の子なんてそんな経済的な問題も理解せず、ただ自分の感情だけで動く子もいるだろう。
だから契約書で書くのは違憲かも知れないが、事務所側としても「くれぐれも恋愛しないで!」と言い続けるしかない。

だから法律的には「恋愛は自由」となるだろうけど、ファンは離れるよ。
それは覚悟の上で恋愛しなよ。「恋愛もしたい、アイドルもしたい」は自分勝手すぎるよ。恋愛はしてもいいけど、発覚したらアイドル止めなきゃ。いいとか悪いとかじゃなく、ファンが離れるんだから。アイドルは「幻想」を売ってるのだから恋愛すればその幻想は崩れる。商品がなくなるのである。
そういう理由で共感できない。

また映画の描き方も疑問だ。
間山の車に乗ってそこで恋愛がスタートしたら、次のカットではもう裁判なのである。つきあい始めてどこでどうなって裁判に至ったのか?
その辺の経緯を詳しく知りたい。現実問題、アイドルでも恋愛をしてるけど発覚してないからないことになってる人はきっといるはずだ。

またSNSでアップしたのが流出したのかなあ。この経緯で真衣への共感ども私は変わってくるのだが。
また間山は和解に応じる。普通そうだろう。
ところが真衣は「大道芸人としてストリートに立ってる啓が好き」らしくて結婚式場と契約した啓に腹を立てている。
いや、道でやってるよりとりあえず結婚式場でのやったほうがいいと思うぞ。

そして真衣の起こした裁判の結果がよくわからないのである。
判決が出たらしいあとのシーンで、かつてのメンバーと再会するが、そこで機嫌はいいし「恋愛はもういいかな」と言ってるから裁判は真衣が勝訴し(まあ法律的に攻めたら「恋愛禁止」は認められないだろうし)啓とも別れたようである。

また自分が抜けた後のグループが成功していくのを見て悔しがるが、いやいや自分が撒いた種でしょう、という感覚しかない。

なんか「説明しないのがかっこいい」的発想になってやたら要略したがるんだな。
これもどうなんだろうねえ。

とにかく深田晃司はファンの気持ちなんか興味ないんだろうな。そうとしか思えない。





愛のごとく


日時 2026年1月25日14:35〜
場所 新文芸座
監督 井土紀州


かつては新人文学賞を受賞して作家デビューしたハヤオ(古屋呂敏)だったが、その後の小説が評判がよくなく今は小説家ではなくライターとして生計を立てていた。ある日、近所の家庭でSMプレイを楽しむ夫婦の姿を目撃し、衝撃を受ける。
そんな時、大学時代の恩師の訃報が入る。大学のゼミ仲間と教授の家に行き、遺品の本の整理をする事になった。ハヤオはかつて恋人で、今は同じゼミ仲間と結婚したイズミ(宮森玲実)と再会した。
本の整理を手伝った帰り、話題のスイーツを買って帰るイズミ。それをハヤオの家で食べることになった。
スイーツを食べてるとき、ハヤオは衝動に駆られイズミを抱く。彼女も拒否はしなかった。そうやって逢瀬を重ねる二人。
やがてイズミの夫が妻の不倫を疑うようになった。それを同級生たちと飲んでる時に相談されたが、ハヤオは「そんなことないよ」と言うしかない。
ハヤオは別れを切り出すが、イズミは納得しない。「売れてなくても小説を書くあなたが好きだった」と再び小説を書くことを願った。
だがイズミは事故で亡くなったと連絡が入った。


レジェンドピクチャーズの新作。
通常はケイズシネマで上映が多いのだが、今回は新文芸座。
よほど迷ったのだけど、諸般の事情で観る。(このつきあいで観るというのはやめようとも思うのだが私は義理堅い人間なのでつい観てしまう)

正直、今回はまるで受け付けなかった。
友人の妻と不倫するとは。そりゃまあ女もOKなら関係を結ぶのもわかるけどさ。一応相手にばれかけてやめようというのは評価しよう。でも結局してるじゃん。

またさらに主人公に言いたくなるのは小説書きたければ書けばいい。「俺は原稿料もらって書くんだ。同人誌とかネットで発表とかやりたくない」などと小さなプライドにこだわる。
勝手に言ってろ。

過去のハヤオの小説はイズミとの関係をモデルにしたらしく、教授の家での食事会の時に関係の是非について語られるところがまあよかったかな。
また冒頭に出てきたSMを楽しむ夫婦に刺激を受けたのか、後半はハヤオとイズミは手を縛るプレイに目覚めるのだが、とってつけたようでねえ。

そんな感じで好きになれない映画だったな。谷崎潤一郎の映画化作品はまあよかったけど、これは私には受け付けなかった。
オリジナルかと思ったら山川方夫という方が原作。
失礼ながら存じ上げない。

あと教授の遺影の写真だが、アップで見たらいまおかしんじ監督だった。
めがねが違うのでちょっとわかりづらいけど。

本日は舞台挨拶はなかったけど、主演女優の宮森さんがお客様のお見送りに来ていて、サインなどの対応されていた。
こういう頑張ってる姿、好きです。





ヒグマ!!


日時 2026年1月25日11:35〜
場所 グランドシネマサンシャイン・スクリーン11
監督 内藤瑛亮


北海道の高校生の小山内(鈴木福)はゲームクリエイターになるのが夢。その関連の大学を受験し、合格した。ところがその翌日、投資詐欺にあった父親が自殺した。母親は「大学にはなんとか行かせてあげる」と言ってくれたが、とてもそんな気になれない。バイトを探してるときに「封筒を運ぶだけの簡単な仕事」で高額バイトを見つけ、つい応募してしまう。
最初は本当に封筒を運ぶだけで3万円。だが徐々にエスカレートし、宝石店強盗までやってしまった。しかし仲間の一人28番(円井わん)が目当ての宝石トルマリンを持ち逃げしたことから話がややこしくなる。小山内やその仲間が28番を追う。やっと捕まえたが28番は宝石を飲みこんでしまう。
28番や小山内、闇バイトのメンバーは山に連れて行かれ、28番を殺すように言われる。しかしそのとき、大きなヒグマが現れた!
闇バイトのメンバーたちは熊に殺され、28番と小山内はなんとか逃げ出した。廃墟で一息ついているとハンターの神崎(宇梶剛士)がやってきた。村人や自分の孫娘を例の熊・19に殺されたという神崎は復讐を誓っていた。その時、ヒグマがやってきた。だが実は神崎は熊に殺された人から金目のものを奪う奴だった。


内藤瑛亮監督は出世作「先生を流産させる会」から注目してる監督。その最新作である。
本来は昨年11月21日公開予定だったのが、当時は住宅地に熊出没のニュースが毎日流されて、どこかからクレームが入ったのかどうかは知らないけど公開は一時延期、この1月23日に公開された。

「闇バイト×ヒグマ」ということで主人公は「前門の虎、後門の狼」である。通常なら主人公は熊から逃げればそれでいいんだけど、闇バイトの件で飲み込んだトルマリンを取り返す、という課題がある。
しかも人間側も完全な仲間ではなく宝石を奪い合う。神崎が出てきてこれで解決、と思いきや、こいつもくせ者。
いいですね、こういう展開。

28番こと若林は元自衛官という設定のため、だから対人間の格闘には強い。
小山内と若林は熊に追い込まれて川で別れる。小山内は川に落ち、たどり着いた家の子供に助けてもらう。
ここで小山内の作ったゲームをその子供がやっていてゲームをクリアできたから助けてもらえるという伏線がいいですね。

最後は車が来て助かった、と思ったら闇バイトの元締め。さらに神崎もやってきて熊もやってきてという怒濤に展開。
結局車で逃げるが、曲がり角に置いてあるものに熊はぶつかって爆死。
(でもあの曲がり角にあったのは何だったんだろう??)

役者では鈴木福がいい。
子役からのお馴染みだが、神木隆之介のように長く活躍できそうな感じである。
怪獣映画としてもおもしろかった。
人に勧めたい。







カリギュラ究極版


日時 2026年1月24日15:00〜
場所 池袋シネマロサ・2階
監督 ティント・ブラス
   (「究極版」プロデューサー トーマス・ネゴヴァン)
製作 1980年(究極版は2023年)


紀元1世紀前半、ローマ帝国の王室は第二代皇帝ティベリウス(ピーター・オトゥール)によって腐敗の限りになっていた。ティベリウスの孫、カリギュラ(マルコム・マクダウェル)はティベリウスに忠誠を誓いつつ、皇帝の座を狙っていた。ある日、病気で倒れたティベリウスをカリギュラは殺そうとしたが、親衛隊長のマクロがそれを止めマクロがティベリウスを殺した。
カリギュラは皇帝になった。だが自分は殺されるという恐れから逃れられない。信じられるのは妹のドルシラ(テレサ・アン・サヴォイ)だけ。さらにカリギュラはドルシラのことを愛していて、結婚さえ望んでいた。
でも妹なので結婚出来ない。世継ぎのために淫乱と言われているカエソニア(ヘレン・ミレン)を妻に迎えた。
そしてマクロをティベリウスを殺した罪で死刑にした。弟も「宴会の前に解毒剤を飲んでいた。つまりカリギュラに殺されると思っていた」という罪で殺された。
そうやって皇帝の座を狙うものを殺していった。だがドルシラが熱病で死に、カエソニアが産んだ子供が娘だったことをきっかけにカリギュラはどんどん正気を失っていく。
このままではいけないと元老院の一人がついにカリギュラを殺した。次に皇帝の座についたのはおとなしく今までなにもしなかったカリギュラの叔父だった。


1980年、雑誌ペントハウスの社長、ボブ・グッチョーネが作った壮大な自主映画。角川映画みたいなもので「PLAYBOY」と並んでヌードグラビアが売り物だった雑誌の大金持ち社長が作った映画。
まあだから世間はエロ映画を期待する。
さらに内容が古代ローマ帝国の暴君・カリギュラが淫乱の限りを尽くした絵巻となればますますエロ映画を期待する。

たぶん、グッチョーネも「エマニエル夫人」に始まるソフトポルノブームに乗って「贅沢の限りのエロ映画」を作ろうと考えたのは自然だろう。
観客も期待したし、売り方もそうだった。
1980年に公開され、観たのだがさっぱり覚えていない。
たぶんぼかしも多く、さっぱり分からなかったのだろう。

でも最近知ったのだが、製作の舞台裏ではゴタゴタがあったようだ。
監督の途中解任、脚本家らがクレジットから外してほしい、主演俳優から「こんな映画に出たつもりはなかった」と言われたらしい。
それは映画をカットし、グッチョーネが取り壊す前のセットでポルノシーンを追加撮影し、それを編集で挿入したからだとか。
監督たちからしたらカットされた上に意図しないシーンを入れられたので怒るのも当然かも知れない。

しかしグッチョーネにしてみれば「なに勝手にやってるんだ。俺が金出してるんだから俺の作りたい映画を作れ!」って気分だったのだろう。
よく知らないけど映画製作が初めてのスポンサーにありがちなことである。

でブラス監督たちが撮影した90時間に及ぶフィルムをこの「究極版」のプロデューサー、トーマス・ネゴヴァンが再編集したのが今回のヴァージョン。
1980年に公開されたときは約2時間半だったのが、今回は3時間である。
今回の「究極版」の冒頭にはこのいきさつが簡単に説明されている。

しかし驚いたのはこの映画、実に名作だったのだ。
4Kレストアされた映像はコントラストの効いたカラー画面で実に美しい。

照明もカメラも完璧である。さらに衣装が豪華さがあり、セットも立派、エキストラの数も立派でとにかく「豪華絢爛」がぴったりの映画なのだ。
ローマ史劇の映画では合戦シーンが見せ場だが、そういうのはなし。
でも主演のマルコム・マクドウェルがイケメンだし、とにかく美男美女の集まった映画。

エキストラの兵士が股間が、丸出しで驚く。女性もヘアぐらいはありである。マルコムも股間がちらっと写る。
それでなくてもふんどし状の下着をつけて、貫頭衣状の服を1枚きてるだけだから、常に横が露出している。
これ結構エロい。というか肉体美が美しいのだ。

そうなのだ、全編絵画のような美しさなのだ。
特にカリギュラが妹と狩りのために森へ入ったシーンなど霧が日光に浮かび上がるカットは美しかったなあ。
話の方は大して波乱がある訳じゃないけど、この絵の美しさに見とれて格好退屈しないで済んだ。

とにかく美しい、豪華絢爛な映像なので、ホント再評価に値する映画だった。
1980年の公開版がどうだったかもう一度見てみたい。
グッチョーネも監督の意図通りの映画を作っていたら、評価されたかも知れない。
それほど印象が変わった映画だった。







怪獣天国


日時 2026年1月24日12:10〜
場所 池袋シネマロサ 2階
監督 河崎 実


浅草で中古レコード店を営む浅谷浩之(蕨野友也)は息子の健太が未だに怪獣は実在していて60年代、70年代は日本は怪獣で破壊され今は復興したと信じていた。そんな健太は同級生からもバカにされている。
怪獣プロレスという興業を見に行ったとき、楽屋でおっさんが着ぐるみを着てるのを見てしまう。ショックを受ける健太。しかしある日マミトラーという人間大の怪獣が現れた。マミトラーは行く場所もなく、健太の家に居候を始める。
マミトラーは近所で話題になり、浅草は怪獣コスプレイヤーでにぎわいだした。そんな時、近所のそばやにテラインコグニータという怪獣が住み込みで働き出した。看板娘(志田音々)に惚れてしまったからだ。
そんな時、浩之の店の常連が幻と言われた「怪獣フラメンコ」というレコードを店から盗んで自分の家でかけてみた。この音楽を流れると災いが起こるという都市伝説があったのだ。その噂の通り、怪獣ビックモンがよみがえる。
健太に頼まれ、マミトラーも巨大化し、テラインコグニータとともにビックモンに立ち向かう。


河崎実の新作。なんだかんだ言ってもコンスタントに撮ってるなあ。
今回は実相寺昭雄監督が円谷英二監督を撮ったドキュメンタリー「ウルトラQのおやじ」で円谷監督が「いつか怪獣天国が出来てもいいかも知れんね」と言ったことがきっかけになってるようだ。

内容的にはブースカみたいな友好的な怪獣と子供の友情物語を軸にしてゆる〜いコメディ。特に期待してなかったけど、ある意味予想を裏切らないクォリティだったな。

河崎監督作品は私と「同じこと考えてました!」と言いたくなる映画もあるが、そうでもない映画も多い。
私、やっぱり怪獣は恐怖の対象で友好怪獣って興味ないんですよ。

主演の蕨野友也さん、ぜんぜん記憶になったのだが、「ウルトラマン不レーザー」でウルトラマンに変身する隊長役だった方だ。
だから今日の舞台挨拶では「池袋は縁があります」と言ったのだな。
「ブレーザー」の第1話は池袋で決戦があったから。

まあ怪獣映画と昭和歌謡の要素を組み合わせた映画でした。
それ以上の感想は出てこないなあ。そもそも怪獣がたくさん出てきても私そんなにうれしくないし。

健太役の黒岩紘翔くん、なかなか理知的でよかった。これから活躍するかも知れない。





モダン・タイムズ


日時 2026年1月18日9:30〜
場所 パルシネマしんこうえん
監督 チャールズ・チャップリン
製作 1936年(昭和11年)


ストーリー省略。
「れいこいるか」の震災の日にあわせた上映会で神戸訪問。
映画館巡りも趣味の一つなので、神戸付近の行ったことのない映画館ということでパルシネマにやってきた。
数年前に神戸に来たときはこの近くの福原国際東映というピンク映画館に訪問した。(こちらもまだあった)

ドキュメンタリー映画「チャップリン」の公開に併せてチャップリンの「街の灯」「犬の生活」「黄金狂時代」を週替わりで上映。
たまたま時間があったのがこの映画だった。
朝の9時半からで前日は三宮のカプセルホテルに泊まってもう少しゆっくりしたかったが、8時頃チェックアウトして駅前で朝マックして駆けつけた。

「お客さんいるのかな」と思ったが20人ぐらいはいた。意外だな。
近所の映画ファンの方々なのだろう。
パルシネマは来週から仲代達矢追悼特集で「切腹」と「乱」の2本立て。
正直こっちの方が観たい。

さて「モダン・タイムズ」は20年ほど前に観ている。
今回はデジタル上映だろう。
ファーストカットの時計のアップ、これが4:3の画面と同じサイズなのだな。既存の時計ではなく、その為に時計を発注していたのかも知れない。

前半の工場のシーンがやはり名作たらしめる。
機械化により「人間が機械に使われる」状態はこの頃からあったと何回観ても驚かされる。
今はもうどんどん加速している。お店のレジでさえ機械化されてセルフレジなど完全に人間が使われてるね。(俺は逆に使いこなしてやろうという気でやってるけど)

この一連の工場のシーンのあとは意外とストーリーがない。
ポーレット・ゴダードの少女に出会う、チャップリンが就職する、へまをして首になる、また就職する、また首になる、の繰り返しなのだな。

もちろん各シーンシーンでチャップリンの芸を堪能し、すばらしいのではあるけれど。
造船工場で楔を抜いてしまい、船が浸水してしまう合成カット、あの船は意外と小さかったのではないか?波が大きいからそんな気がした。
あと深夜のデパートの目隠しローラースケート、カメラの前に絵を描いたガラスをおいて撮影する、いわゆるグラスワークだったようだ。

フィルムでの合成ではない。カメラが時々パンしてるから合成では難しい。グラスワークなら可能ではないか?

久々に観て特に感想が変わったこともないけど、チャップリンは神戸にもやってきたのだし、その地で再鑑賞したのは意味があったかな、と思う。





なん・なんだ


日時 2026年1月17日12:00〜
場所 神戸映画資料館
監督 山嵜晋平
製作 2022年


小田三郎(下元史朗)と美智子(烏丸せつこ)は熟年夫婦。三郎は元大工だが、団地のベランダの壊れた物干し台もうまく直せない。
ある日、美智子が「文学講座に行く」と行ったきりなかなか帰ってこない。
夜になっって三郎の携帯に電話があった。なんと美智子が交通事故にあったという。しかも京都で。三郎は京都に向かう。なぜ自分に嘘をついて京都に行ったのか。
美智子はカメラが趣味だったが、そのカメラに残されていたフィルムを現像してみた。そこには全く知らない男が写っていた。この男はいったい誰なのか。美智子は昏睡状態のため聞くことが出来ない。
美智子の交流関係を全く知らない三郎は、とりあえず美智子の実家のある奈良に娘の知美(和田光沙)と行ってみる。三郎は結婚に反対されたため、美智子の実家に行くのは数十年ぶりだった。
姉が住んでいるはずだが訪ねてみたが留守だった。隣の家のおばさんに「あんた誰?」と問われ、「この家の次女の美智子の夫」と答えた。写真の男を聞いてみると知らないという。「じゃ美智子の昔の彼氏は?」と聞くと近所で工務店の社長をしている梅田(外波山文明)だという。
梅田を訪ねた三郎たちだったが、「四流の大工のくせに」バカにされるだけだった。
実家に帰ってみると美智子の姉絹代(三島ゆり子)はいた。
子供の頃から絹代と美智子は折り合いが悪かったという。美智子たちの母は夫が亡くなってから大阪で働いていたらしいのだが、美智子はその時の客だという噂があった。その為にいじめられ、それを守ってもらうために梅田とつきあっていたのだ。
絹代は最後に写真の男が誰かを教えてくれた。数年前にガンで声帯を問ってしまったが、今は大病院で院長をしている甲斐田(佐野和宏)だという。
三郎たちは甲斐田の家を訪ねる。


ここまでで映画は半分くらい。
いまおかしんじ監督の「れいこいるか」は1月17日の阪神大震災の日前後に上映会を行うのだが、その同時上映でいまおか監督の知り合いの映画を上映するが、今年は山嵜監督の「なん・なんだ」。
予備知識なしで観た。

前半は「妻は誰と会っていたのか?」というミステリーで話が進む。
下元さんが探偵役である。
そして探り当てた相手を演じているのが佐野和宏。
ピンク映画を見続けていた人間にとっては三船敏郎と仲代達矢の共演ぐらいのインパクトがあった。

この後、三郎と甲斐田は対立すのだが、妻が数十年に渡って甲斐田と通じていたと知り、最終的には離婚する決意をする。
でも娘の知美は外国人と結婚してるのだが、日本人のサラリーマンと不倫している。このサラリーマンが吉岡睦雄さんである。

でも医者の甲斐田は三郎が認知症の初期症状があると知り、自分の病院に来いという。最初は断ったが、結局は従い、ラストでは知美の夫や娘とともに、三郎、甲斐田、美智子の穏便な三角関係はできあがるという結末。
ひねったラストで面白かった。

企画は山嵜監督が助監督時代にロケハンに行ったとき、八王子の川で自殺を試みたおじいさんを助けたことがきっかけだという。
おじいさんの自殺を止めておじいさんの家(団地)に行って話を聞いたそうだ。
そのおじいさんは病気で手術をしたのだが、失敗で一日中目が回ってる状態だそうだ。山嵜監督はそのときは話を聞くだけで帰ってきたのだが、いつか団地に住む男の人生を描いてみたかったとか。

脚本は中野太。
甲斐田と三郎が最初の殴り合いの喧嘩を始めたとき、「学生時代、東大安田講堂の中にいた」と甲斐田がいい、三郎は「俺も安田講堂には行った。それはお前等が壊したところを直しに行ったんだ」という台詞は二人の人生の違いを端的に表現していてよかった。

でも気になったのは三郎が住んでいる団地の場所。京都奈良が主な舞台なので、大阪にある海岸の団地と思ったら設定では横須賀なんだそうだ。撮影もその場所。
でも大阪に住んでいて京都に不倫に行くのと、横須賀に住んでいてわざわざ京都まで行って不倫するのではちょっと重みが違ってくるのだよね。
その辺の位置関係をちゃんと描いてほしかったな。

同様に最初に現像からあがってきた写真を見て知らない男が写っているのだが、それを見て三郎が激怒するのだからやっぱりその写真は観客にも見せてよ。それ気になったなあ。









制作部の水島さん


日時 2026年1月15日20:40〜
場所 新宿K's cinema
監督 谷口恒平
製作 2025年


映画製作の現場で制作部として働く水島(水島麻理奈)さん。制作部の仕事はどこのポジションにも属さないようなあるとあらゆる細かい仕事をする。今日も低予算のやくざ映画「極道消滅15」の撮影で朝までになった。
制作会社の社長は今度もまた低予算の縦型ショートドラマの話を持ってきた。全40話で撮影期間はいつもと同じ。話数が多い分今回の方がハードだ。衣装あわせの時も主演のイケメン俳優(ゆうたろう)は何かやる気がない。
なんだかんだ言っても1週間の撮影はあとラストシーンで終わりだ。
監督やカメラマンはビルの屋上で夕日をバックに撮りたいと言い、失敗は許されない。
あと15分で本番スタートという時、次々とトラブルが起こる!


芸能プロの太田プロが自社の所属している俳優を使って制作しているネットの縦型ショートドラマ「星の四谷三丁目シアター」の中でシリーズになっている制作部の水島さんを主人公にしたもののテレビ版。映画製作現場あるあるを素材にしている。このショートドラマが「マイナビショートドラマアワード2025」大賞を受賞したので、それを関西のABCテレビの30分枠の深夜ドラマで放送。(だから関西以外では放送されていない。他の地域はTVerで視聴可能。
今回はスポティッドプロダクションの映画祭「ミュージックラボ2026」の1本として上映。
同時上映は「このハンバーガー、ピクルス忘れてる」との2本立て上映。

「このドラマは再生できません」を見て「この人は次世代のスター監督」と勝手に応援している谷口恒平監督の作品。(もちろん縦型の方もすべて谷口監督が監督・脚本を作っている)

撮影最終日。
制作部助手の高瀬くんが車で寝てしまっている。それを起こして屋上の撮影場所に行く水島さんたち。そして屋上に到着。「ここまでワンカットだぞ」と思っていたら、その後、屋上から降りる、昨日ロケに使わせてもらって予定より押して深夜まで撮影したそば屋の大将が起こっているから誤りに行く、戻ってみたら主演イケメン俳優は明日発売の週刊誌で「6股スキャンダル」の記事が掲載されるので「もう終わりだ」と心がここにない、スポンサーとカメラマンは喧嘩を始める、退職代行の宣伝トラックがやってくる、イケメン俳優ファンの女の子が聞きつけてやってくる、と様々やトラブルが起こる。

それを得意の機転を利かせてすべて乗り切っていく!という内容。
ラストの夕日を見つめる水島さんの顔にはこちらも涙が出てくる。
そしてロケ地コーディネーターの女子(中村守里)は今日でやめるという。制作会社のプロデューサー(鈴木志遠)はいきなり辞める、などなど現場の厳しさを描きつつ、後半の15分のワンカットで見せきる。

実に見事である。
谷口恒平監督の代表的な作品だろう。





IDOL OF THE DEAD〜あなたの隣は死にました〜


日時 2026年1月12日
場所 BUMP
監督 山口龍大朗
製作 令和7年(2025年)


近未来の日本。謎のウイルスが感染拡大し、感染した人は「アレ」と呼ばれる存在になり、アレに噛まれたら感染してやがてアレになってしまう。
アイドルグループ「ROUGE」のメンバーの百合(坂本真凛)はグループから抜けようと考えていた。
今日はライブの日。ライブが始まる前にメンバーやマネージャーに辞めたいという百合。とりあえず今日のライブは始まった。
しかしライブ中にアレが会場に入ってきて場内はパニック。
百合たちは楽屋に逃げる。バラバラになるメンバーたち。百合はファンの女の子の萌(秋山ゆずき)とその姉の美波とある部屋に隠れる。だがそこにもアレはやってきた。またメンバーやってきて険悪になるが、元特殊部隊の隊員の美波のおかげで脱出することができた。
別の部屋で前座でマジシャンをしていた藤井聡(平井亜門)と合流。
トイレに行きたいと萌が言うのでトイレまで行ってみた。そこでサキという子供と遭遇。サキは母親とライブに来たのだが、母親はすでに感染していた。
子供を助けた百合たちだったが、お腹が空いた。売店に行ってみると別の生存者と食べ物の取り合い、それとアレがやってきた。
そのときに後10分ぐらいで最後の救助を行いその後建物を爆破するというアナウンスがあった。
百合たちは屋上に向かうが、すでにアレとなった美波に襲われて萌は脱落、藤井も百合とサキを助けてアレに噛まれていった。
果たして百合たちは助かるのか。


またBUMPドラマである。正直言って1話2分ぐらいで1話97ポイント(ポイントは480ポイントとか1200ポイントで購入する)。
最初の数話は無料なので25話分ぐらいが有料。だから結局2500円ぐらいかかる。映画より高い。さらにスマホでしか見れない、低予算で面白くない、と悪いことずくめである。

要はゾンビもの。演じるのはSKE48のメンバー。はっきり言うけどしらない人。
アイドルを辞めたいとか言ってるけどその理由がよくわからないんだな。
作品紹介のページを読むと「父親がアレになって亡くなって以来、笑顔が作れなくなった」ということ。
弱いな。というか作品に生かされていない。
また百合には妹がいて家を出るときにピアスをもらってたりするんだけど、これもなにか伏線になってる感じもないなあ。

お目当ては平井亜門さん。
マジシャン役で出演とか聞いてたので、てっきり得意のマジックでいろいろ(秘密兵器を駆使して)助けてくれるかと思ったら、へっぽこマジシャン。
ステージでなにもなにもないところから花を出すマジックをするのだが、これが花が落ちてしまって茎だけ手にあるという失敗。
それを2回やる。
最後はゾンビになって百合たちに襲いかかるシーンは迫力がありました。

でも意味不明なのが、最後、屋上まで行くのにサキを段ボールに入れて台車で運ぶ。すでに感染している百合は自分の耳を切って、切ったカッターナイフの先端にガムテープで止めて、さらにそのカッターを段ボール箱の上に貼り付ける。
これ何の意味あんの??

SKEのファンの方は面白かったかもしれないけど、全く興味がないので面白くないけど高い金額だけ取られた作品だったな。






Scooper(完結編)


日時 2026年1月12日
場所 BUMP
監督 澤田育子
製作 令和7年(2025年)


前回鑑賞(2025年4月20日)の続き。
内藤夫婦は生配信で「自分たちはセックスレスでした」と告白し、逆に好感度は上がり、週刊文鎮の方が劣勢になった。
怒った佐藤(阿部顕嵐)は山下たちに抗議する。しかしこれも山下たちは計算済み。山下たちは今度は内藤夫婦の娘に親の本当の姿を話すように持ちかける。娘は嘘にまみれた両親の姿、自分を省みない好き勝手な両親に嫌気がさしていたので、リスクを迷ったあげく承知する。
「仮面夫婦」の記事はまたヒットし、今度こそ内藤夫婦は事務所からも契約を解除され、全番組降板となった。
内藤夫婦と娘は話し合って「私がほしいのは贅沢な暮らしじゃない。お父さん、お母さんと笑ってられる生活」と抱き合った。
佐藤は文芸部への異動の話も断り、「人間社会をもっと知りたい」と文鎮編集部に残ることにした。


30話まで見てそのままになっていたBUMPの配信ドラマ。
31話から44話まで鑑賞。1話平均1分半ぐらいだから44話で66分。そんなもんか。Vシネにしても尺は短めである。
内容もVシネにありそうな内容で特に目新しさはなかったが、それでも一定のおもしろさはあり、退屈せずに見ることができた。

よかったのは37話と38話。
37話では内藤夫婦の妻の方の不倫相手を演じていた丸岡(平井亜門)が個室料亭で「今まで気づかなかった方が不思議」「その怒った顔いいね」などとうそぶくところ。あげくに相手におしぼりを投げつけるのは爽快だったねえ。

また38話では内藤夫の不倫相手をしてい玲子(石川恋)が内藤に最後に「枕営業を持ちかけるってことは『俺は男としての魅力はまったくないけど』って言ってるのと同意義ですよね?それってダサくないですか?」というせりふ。
全枕営業を持ちかける奴にいってやりたいせりふですね。

普通にVシネとして見ればもっと面白かったろうけど、やっぱりスマホでしか見れないBUMPは形式としてイヤだな。






その女を殺せ


日時 2026年1月11日
場所 amazon prime video
監督 リチャード・フライシャー
製作 1952年(昭和27年)


ロサンゼルス市警察のブラウン刑事とフォーブス刑事はある事件の証言者の女を迎えにシカゴにやってきた。女はマフィアの妻である汚職事件の贈賄リストを持っているのだ。マフィアの夫はそのために殺されていて、頼みはその妻である。
妻はいかにもマフィアの女房という感じの派手な女。ところが合流して早々フォーブスが相手の殺し屋に殺されてしまう。
ロサンゼルス行きの寝台列車に乗り込んだが早速テンセルという男に「鞄が誤って届けられてないか?」などと探りにくる。こいつは明らかに敵の殺し屋だ。証言の女は個室から出ないようにしてブラウンは列車のテンセルに注意を向ける。食堂車でシンクレアという女性と知り合いになる。ブラウンはテンセルの動きを探るため、他の個室に入ったりして子供に「泥棒だ!」と言われる。デブの男に「個室が空いてるなら代わってくれ」と頼まれるが断ると「車掌に相談する」となにやら突っかかってくる。
やがてヨーストという男が接触してきた。大金でブラウンを買収しようとしてきたが断った。
ロサンゼルスに近づいた頃、証言者のマフィアの妻はブラウンが目を離した隙にもう一人の殺し屋に殺された。しかしマフィアの妻は実は違っていた。


X上でフォロワーさんが誉めていたのでアマプラで無料鑑賞。
こういったクラシックの娯楽作品は好きである。通信手段が限られてるとか列車での長時間の移動とかアナログなんですよね。
今はスマホで通信も簡単に出来るし、監視カメラとかあるから何かとすぐにわかってしまう。

敵はわかってるけど、乗客が絡んできて警備には苦労する。
同僚が殺された段階でシカゴ警察から応援を頼んでも良さそうだが、時間がないのか一人で行動するブラウン刑事。
でも買収の誘惑。「俺は買収には応じない」と言ってるけど途中駅で電報を打つときに「テンセルという男とヨーストという男の身元を洗ってほしい」と電文を書いたが、ヨーストという買収を持ちかけた男の名前は消している。
一瞬は買収に応じようか迷ったわけだ。

そして最大の逆転は警備していた女は本来警備する女ではなかったのだ。
シンクレアが証言者だったのだ。彼女はロサンゼルスの検事から「目立たぬように来るように」と言われ、問題のリストは郵便で送ったのだという。
では殺されたのは誰か?なんとシカゴ警察の警官の監察官だという。ブラウンが買収に応じないか見張っていたとか。
太っていた男は鉄道公安官。

最後は新聞記者がロサンゼルス駅で待ちかまえていたけど、太った公安官のおかげでなんとか巻くことが出来た。
死んだ二人の警官がかわいそうだが(特にシカゴ警察の女性警官)、でも逆転逆転で面白かった。
ヒッチコックの「バルカン超特急」に負けない面白さだった。

リチャード・フライシャーはこういうノワールからSF、戦争大作と一定の面白さの職人監督だったのだな。
私の中で評価があがった。




リゾートバイト


日時 2026年1月11日
場所 TSUTAYA宅配レンタル
監督 永江二朗
製作 令和5年(2023年)


大学1年の桜(伊原六花)と聡(藤原大祐)、そして二人とは幼なじみの希美(秋田汐梨)の3人は瀬戸内海の離島の旅館に住み込みのバイトとしてやってきた。この旅館は主人の健介、女将さん(佐伯日菜子)と岩崎(松浦祐也)。早速バイトを始める3人だが、桜は女将さんが深夜に2階の開かずの間に入っていくのを目撃する。
2週間がたってバイトもなれた頃、岩崎が「肝試ししよう」と言ってきた。開かずの間を探検しようというのだ。
まずは桜と聡が2階にあがろうとする。しかし「危ないから」と聡だけあがる。しかし戻ってきた聡の様子がおかしい。上で何かを食べたようで口に食べ物がついている。
翌日から聡にはいないはずの子供が見えるようになる。みんな小学生や中学生ぐらいだ。
桜もその原因を探ろうと2階にあがってみた。そこには残飯のような皿と護符の貼ってある奇妙な部屋があった。
桜にも翌日からいないはずの子供が見えるようになった。やがて聡は気を失ったままになってしまう。それを知った健介は住職の佐々木(梶原善)に相談する。この島では子供を海で行方不明になるとへその緒を備えて毎晩食べ物を備えるとその子供が戻ってくるという伝説があった。その伝説の通りに女将さんは行っていたのだ。
佐々木は六尺様と呼ばれる異形のものが関わっているという。聡は六尺様に魂を抜かれたのだ。佐々木は今度は桜が危ないと桜に見入られた六尺様から救おうとするが、六尺様の計略に引っかかり魂が抜かれてしまった。
佐々木、岩崎、希美は相談し、佐々木や希美が桜や聡の抜け殻になった体に魂として入り込み、本来の魂を取り戻すしかないという。
だが途中で魂が入れ替わり、佐々木の魂が桜の体に、岩崎の魂が聡の体に、希美の魂が岩崎に入ってしまった。


「きさらぎ駅」がよかった永江二朗監督のホラー映画。
バイト先の旅館の開かずの間、そこに夜中に入っていく女将さんの秘密など導入はばっちりである。

そしていないはずの子供が見え出すとかセオリー通り。
次に悪魔払い(悪魔ではないけど)が登城する。これが梶原善。
子供に追いかけられたが、実は子供の裏にさらに悪い奴がいるという展開。
ここで魂を乗り移らせて救い出そうとするのだが、ここで誤って住職の魂が桜に移ってしまう。
ここは脚本がうまいな、と思う。

コメディ要素も入るし(その後の免許を持ってない希美の魂がはいった岩崎が運転するとかもコメディが入る)、なにより桜が六尺様と対決するよに持っていける。
予定通りなら聡の中に住職が入ると聡が六尺様と対決する。
個人的には藤原大祐ファンだからいいけど、映画制作者としては主演女優に花を持たせたくなる。

そして強力なオチ。
朝になって魂が戻った聡と桜が起きあがる。二人とも腹が減ったと調理場に入る。刺身が食べられないはずの聡が刺身をうまいと言って食っている。
旅館の主人は足が悪くない。

つまり4年間に中学生の息子を亡くした旅館と、同じく14歳の娘を亡くした住職が結託して18歳のバイトを雇い、その体を借りて亡くなった自分たちの娘息子の魂を入れたのだ・

オチも効いていて、よかったと思う。






ポンヌフの恋人


日時 2026年1月9日20:20〜
場所 ユーロスペース2
監督 レオス・カラックス
製作 1991年


失明の危機にある画家のミシェル(ジュリエット・ビノシュ)。夜のパリをさまよっている時に、道で寝ていた男アレックス(ドニ・ラバン)がトラックに足を引かれるのを見かける。アレックスは警察の施設に収容され、とりあえず足の治療はしてもらったが、再びホームレス生活へ。
ポンヌフ橋は老朽化のため改修されることになっており今は入り口が閉鎖されている。アレックスはこの橋の上をねぐらとしていた。この橋にはハンスという別のホームレスがいてアレックスはハンスから睡眠薬をもらって寝ていた。
アレックスが帰ったとき、いつも自分が寝ている場所にミシェルが寝ていた。仕方なくハンスの隣で寝るアレックス。翌朝、ハンスはミシェルを追い出した。でもまたミシェルはやってきた。
アレックスはミシェルを好きになり、革命200年記念祭の晩、花火が打ちあがるパリの町を楽しむ。
アレックスとミシェルはハンスが寝ている隙に彼の持っていた睡眠薬を盗み出す。それを使ってカフェの金持ちそうな客の飲み物に睡眠薬を入れ、金を盗み遊んだ。だがアレックスはその金が気に入らなくてミシェルが運動してるときに橋の欄干に置き、ミシェルが手にひっかけて金をなくさせた。
ある日、町でミシェルのポスターを見かける。ミシェルの父親が尋ね人として掲示したポスターだ。そこにはミシェルの目の病気は手術で治るので戻ってきてほしいというものだった。
アレックスは町の至るところに貼ってあるポスターを燃やし始める。そしてポスターを貼っている職人のトラックを燃やし、職人はその炎で死んだ。
結局ミシェルはラジオで自分のことが放送されて病気が治ると知り、ポンヌフを出て行った。アレックスはトラックに火をつけたこと、傷害致死で逮捕された。刑期は3年。
ミシェルは一度面会に来てくれた。出所してクリスマスの晩、二人は再会。「クリスマスの晩、ホテルに泊まって朝食も一緒に食べよう」と約束していたのにミシェルは帰ると言い出した。
アレックスは今は開通しているポンヌフ橋の上からミシェルとともに落下。そこへ通りかかった船が助けてくれた。
二人は船の行き着く先まで行こうと誓うのだった。


話がないなあ、と映画を見てる最中は思ってたけど、書いてみると分量があったな。
「ワケありの映画」という「いろいろあった映画」をまとめた本の中で取り上げられた1本。当初はポンヌフ橋で撮影する予定だったのがビノシュが大けがをして撮影に参加できなくたったため、ロケの許可とは日程があわなくなった。
そのために橋のセットを南フランスに建造したという。

普通なら別の橋にするとか映画の設定を変えるとかになるのだが、橋のセットを作るのである。「どんな映画なのだろう」と思っていたら12月20日からユーロスペースで4K版がリバイバル上映と聞き「たぶん俺にはあわない映画だろうな、レンタルですませようかな」と思ったが、せっかくなので映画館で観た。

製作費は32億円という。あのな、戦争映画の大作ならともかく、ホームレスの二人のラブストーリーだよ。登場人物もほぼ3人である。普通作らないよ。
橋がセットと聞いていて、てっきり橋だけを造って主人公たちは橋の下で暮らしていたのかと思ったら大違い。沿岸のビルまで写っているのだ。
今なら「グリーンバック合成か?」と思ってしまうけど、91年頃ではそんな技術はないだろう。

AIに聞いていたら実際に周りまで作ったんだそうだ。
ただし周りのビルは表面だけの作り、そして遠近法を使って川も先が細くなってるし、遠くのビルは低く作ってある。だから沿岸をバックのカットは同じようなアングルが多いんだな。
この時点で狂気ですよ。

映画の内容でいうとアレックスは大道芸人をしていたらしい。途中で口に含ませたアルコールを吹き出して炎をあげる芸をしてるし、壁に飛び上がってくるっと回転して着地する技も出てくる。
その上、道路で寝そべって車にひかれる。
迷惑この上ない男である。
一番納得できないのは、ミシェルのポスター(これがでかい。B全の倍ぐらいの大きさ)を積んでいる車に火をつける。それを見た運転手が車に戻ってきて炎が引火し焼死してしまう。

これはだめでしょう。
もうこんな小さな話に32億円もかけさせるカラックスと重なってくる。アレックスはカラックスの分身なのかも知れない。彼は自分の思いのためなら人が破産しようと建設中に事故で死者が出よう(実際に事故はあったらしい)と「あっそう。だからなに?映画はいつ撮影できる?」とか言いそうで怖い。絶対に好きになれない。

コッポラは映画の狂気にとりつかれたが、彼は「ゴッドファーザー」の収益で財産があったからそれを使ってたけど、カラックスはプロデューサーが集めたいわば他人の金である。
当時のカラックスはまだ20代でよくそんな男に出資したと思う。
確かに日本の公開時はシネマライズで27週間ぐらい上映されたとか、こうやって4K上映されているので、名作ではあるんだろうけど。

ラストでポンヌフ橋で再会したミシェルが小話をする。その内容は「二人の男がバーで憂鬱に話していた。『俺は2週間に1度しかセックスしてない』『俺なんか2ヶ月に1回だ』。二人はうれしそうな顔をしている隣の男に話しかけた。『あなたは?』『私ですか?私は3年に一回です』『それにしちゃうれしそうですね』『ええ、それが今夜ですから』」というもの。
ここで二人は大笑いのだが、実はアレックスにとっても「今夜はセックスする日」だったのではないか。

それ故に途中でミシェルが「帰る」と言い出したら、アレックスは怒る。
んで二人で橋から落ちるのだが、そこへ船がやってきて、ご丁寧に船のスクリューのアップまで写る。
ああ二人はスクリューに巻き込まれて死ぬな、と思ったらあっさりその船に救助される。
んで「タイタニック」みたいに船の先端で抱き合って船が進んでいくところで終わりである。

なんなんだろうね。
あとハンスは元警備員でミシェルが目が見えなくなる前にもう一度美術館で絵がみたいというので夜中に忍び込んだりする。
またミシェルはチェロ奏者の恋人がいたらしく、そのチェロ奏者を町で見かけて追いかけ始めたら、それを見たアレックスが先回りしてそのチェロ奏者をボコる。
なんか変な遵法意識のかけらもない奴ばかりが出てきて、それがまた肯定的に描かれるので、好きになれないなあ。

でも映像はとにかくきれいだった。パリの汚れさえも美しく見えてくる。
不満も多いし、好きじゃない映画だけど、毒の強い映画でその毒の強さには感嘆する。
この文章の文字数の多さからして、その毒の強烈さを示している。
見る価値はあったかな。





D.N.A/ドクター・モローの島


日時 2026年1月7日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 ジョン・フランケンハイマー
製作 1996年(平成7年)


国連職員のエドワード・ダグラスは乗っていた飛行機が墜落し、他の二人の乗客とともに救命ボートでさまよっていた。二人は水の取り合いを始め、海に落ち鮫の餌食となった。そんな時、ある船に救助される。
その船に乗っていたモンゴメリーという男の目的地の島に逗留することになる。でもこの島はなんか変だ。
モンゴメリーはダグラスを客室に閉じこめてしまう。不審に思ったダグラスは部屋を抜け出す。奇妙な叫び声をする方に行ってみると手術室のような場所で動物の改造が行われていた。
行っていたのはモロー博士(マーロン・ブランド)だ。
彼はノーベル賞を受賞したような医学者だが、行方不明になっていたが、この島で動物のDNAを操作し、人間のようにしようとしていた。
ダグラスは非難するがモローは気にしない。それどころか獣人たちを「自分の子供」と紹介してくれた。
獣人たちの一部には獣に戻っていくものがあり、ウサギを食べた奴がいる。それを責めるモローだが、獣人の一人がウサギを食べた奴を銃で殺す。
その遺体を火葬にした。別の獣人が骨の中から何か部品を見つけだす。そしてそれが自分の体にもあると考え、取り外した。それはモローが獣人たちを従わせるときに使用する電気ショックを与えるものだった。
モローはまるで王のように振る舞っていたが、やがて獣人たちが反乱を起こし、殺された。
モンゴメリーが今度は自分が王になろうとしたが、獣人たちに殺される。
獣人たちは博士の建物を焼き払う。
翌日、ダグラスはいかだを組んでこの島を逃げ出した。


HGウエルズの「モロー博士の島」の三度目の映画化。
昨年末に「緯度0大作戦」に向き合ったとき、最初の映画化作品を見て、バート・ランカスター版は以前に観てるから最後に残った1本。
なんか評判がよくないようだが、別に特に悪くもなかったなあ。
まあすでに2本観てるしね。

今回はモロー博士はマーロン・ブランドだが、監督が意識したのか「地獄の黙示録」のカーツ大佐に似たキャラクターになってる感じがした。

これ、やっぱり映像化には向かないのである。
原作では「足が異様に短い」など獣の時の骨格は残したまま2足歩行にななって人間化しているという不気味さがある。
ところが映画にするとどうしても人間が特殊メイクをしただけになってしまうのだ。骨格は変えられないしね。

まあ獣人は怖くも見えるが滑稽にも見えてくる。
フルCGでやれば動物の骨格に似た獣人、が描けるかも知れないが、それって面白いだろうか?気持ち悪さだけが出てこないか。
3本観たけど、結局は映画にすると面白くないんだな。

この映画でもヒロインの猫から発達した美女が登場する。これは原作にはないキャラクター。やっぱり女性が出てこないとだめという発想になるのかな。

でも冒頭の救命ボートのシーンで水を争う二人の描写があり、原作の「人間だって実は獣と紙一重」のテーマが生かされていたと思う。
この映画でも通常の世界に戻ってから「世界の紛争を見るとこの島を思い出す」的なせりふがあったりしますから。
結局私は好きになれない企画ですね。

あと全く関係ないが、「奇形人間」というくくりでは江戸川乱歩も「孤島の島」で同じようなことをしている。
別に意識した訳ではなかろうが、関連性があって面白い。





Black Box Diaries


日時 2026年1月3日19:10〜
場所 kino cinema立川高島屋S.C.館・シアター2
監督 伊藤詩織


ジャーナリストの伊藤詩織は2015年4月3日にTBSワシントン支局の記者、山口敬之にホテルに連れ込まれ、レイプされた。
警察に被害届を出したが、担当の捜査官Aは当初、「被害を立証する証拠がない」と消極的だった。
だが意識がない状態の伊藤詩織をタクシーから降ろして山口によってホテルに連れ込まれる防犯カメラ映像なども存在し、彼女の言い分は立証され警視庁は逮捕状を得た。しかし逮捕直前になってそれは取りやめになった。
捜査官Aなどの話では当時の刑事部長だった中村格によって逮捕は差し止められたらしい。
納得のいかない伊藤は顔出しで記者会見をし、また今回のいきさつを本にして出版することにした。
しかし相手は安倍総理に近いとされる人物である。「お前がハニートラップを仕掛けたんだろ」「記者会見の時の胸のあいた服装はなんだ。淫売」などの誹謗中傷も起こる。
本も出版された。国会でも野党議員が取り上げてくれた。しかし検察の不起訴相当の結果は変わらなかった。
今度は民事で裁判を起こした。捜査官Aが自分の立場上、「協力できない」と言われるかと思ったが、「名前を出さなかったら大丈夫ですよ」と協力的。またシェラトンホテルのドアマンも立場上拒否するかと心配したが、意外にも「もちろん協力します」と言ってくれた。
結果、民事での裁判は勝訴。
山口は外国人記者クラブの記者会見に出た。
「法律的には悪いことをしたとは思ってません。彼女に心の傷を追わせてしまったので、そこはすまなかったと思ってますが」と述べた。


ジャーナリストの伊藤詩織氏が就職の相談に行った山口敬之によって睡眠薬を飲まされホテルに連れ込まれて犯された事件。それだけでなく、警察に届け出て逮捕直前まで行ったのに逮捕が取りやめになったのだ。
山口は安倍総理に近い記者だったので安倍の指示で取りやめになったと噂されている。

伊藤氏はそれが納得行かず、本を書いたり、映画を作ったりした。
でせっかく映画を作ったのだが「ホテルの防犯カメラ映像が『裁判に使うだけ』という条件で提供されたのが無断で使われている」。また伊藤氏の弁護士が「弁護士とのやりとりを映画に使われては困る」というような理由で上映差し止めとかあったため、海外では公開されたが日本では公開が遅れていた。
それがやっと去年の12月にTjoy品川だけで上映された。
Tjoyは割引が効かないので迷ったが、立川でも3日から上映されると知りやってきた。

先に言っておくが公開が遅れたことの是非、原因については語らない。
この映画を公開されたくない勢力の妨害かも知れないし、ほんとに伊藤氏に問題があったのかよくわからないのだ。だからそのことに関しては何にも言えない。以下映画から受けた印象である。

伊藤氏は美人である。これはもう事実である。ルッキズムと言われようが仕方ない。こういう美人だからこそ、山口のような力のあるおっさんは「就職の相談」などと言われたら「犯してやろう」と考える悪い奴がいても納得である。(してよいと言っているのではない)

この映画を見ていると実に最初から素材を準備していたことがわかる。
関係者との会話は電話を含めて常に録音している。中には無許可で隠しマイクで録音していたのかも知れない。
だから最初警察の担当者のA氏が「証拠がない」と非協力的だったのがわかる。もっともこれはやる気がなかったのではなく、実際にそうだったのだろう。

で結局逮捕されなかった件の説明の会話も録音している。
「逮捕状が出たからと言ってすべて逮捕される訳ではないんですよ」と相手の女性が話していたが、それは怒るわな。
当時の刑事部長の中村格が出勤で自宅を出てくるところを待ち伏せするが、車なので逃げられてしまう。
正直、ここはもう1回ぐらいチャレンジしてほしかったが。

とにかく映画を作ることを前提に撮影している。あとで「映画にしよう」と思ったわけではない。
担当の警察官Aに本の出版の報告をした電話の会話も残す。
ここが立場上断られるかと思ったらあっさりOKが出る。
ここで伊藤氏は泣く。
同じようにホテルのドアマンの方にも電話して許可を得るのだが、ここでも想像していた以上に協力的。
ここでも伊藤氏は泣く。

最初から録音して、自分の電話での会話を録画して、協力してくれるという返事に涙を見せて、演出が入ってるのではないか。
いけないと言っているのではない。
本気でうれしかったとも思うし、でもカメラアングルとか「いちばんいいカメラポジション」を意識している。

そして刑事事件としては不起訴になったが、民事では勝訴する。
この辺のシーンでガッツポーズをしたり、かけていた音楽に合わせて踊り出したり、満面の笑みで友人と喜びあっている。
なんかはしゃぎすぎな感じさえある。

これが暴行されたのが一般女性で、彼女の戦いを追ったドキュメンタリーなら違った反応もあったのかも知れない。もちろん同じかも知れない。
でもなんか彼女はこのレイプ事件を通してジャーナリストとしては得るものが多かった気さえする。
ジャーナリストの先輩や政治家などとも知り合えたしね。
それでまた海外向けに撮ったからかも知れないが、彼女の流ちょうな英語が入る。

損して得取ったという感じがしてしまう。
もちろんレイプなどない方がいいし、誤解されても困るのだが、こうやってただでも起きないあたりが実にしたたかである。
彼女のジャーナリストとしての能力は今後の活躍次第だろう。
彼女に対する評価はそれからだ。

もちろんレイプなどない方がいい。
自分に近寄ってきた女性に睡眠薬を飲ませて犯そうなんて腐れ外道のする事である。
山口は許されるべきではない。