2026年6月

   
黒牢城
嬢王協奏曲4 甘美なる遊戯は終わらない ダブル・クラッチ 君は映画 バカンスは始まったばかり
スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー 愛情の設計 山口くんはワルくない
突然、嵐のように モブ子の恋 箱の中の羊 君と僕の5分

黒牢城


日時 2026年6月28日17:25〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン1
監督 黒沢 清


戦国時代、荒木村重(本木雅弘)は織田信長に謀反をし、籠城作戦を決行する。織田は毛利などの武将と敵対しており、村重を攻める余裕はない。
そこへ織田の軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)が説得のためにやってきた。
黒田の能力を知る村重は「織田を寝返って一緒に戦わないか」と誘うが断られる。黒田は信長への忠義もあるが、息子を人質にとられているのだ。
無用な殺生は不要と考える村重は黒田も幽閉する。
そんな時、村重の家臣が織田に寝返った。村重はその息子・安部自念も殺さずに幽閉する。他の家臣は見せしめに殺すべきだと主張するが村重はいさめた。だが数日後、自念は矢による傷を負って死んだ。誰かに殺されたのだ。しかも矢が残っていない。ふすまは少し開いていたが、庭の灯籠がじゃまで矢は射れない。
困り果てた村重は黒田の意見を聞きにいく。黒田はその謎を説いた。
明智の密使がやってきた。彼に村重の所有する美術品の茶器を渡せば渡せば明智は助けてくれるかも知れない。しかしその茶器を持った使者は殺された。
その下手人はわかったが、その下手人もまた殺された。
それぞれの直接の犯人は分かったが、裏ですべてを手引きする者がいる!


黒沢清の時代劇大作にして時代劇ミステリー。「木挽町の仇討ち」といい、時代劇ミステリーというジャンルが今後も確立していくかも知れない。
ネットも監視カメラもないミステリーなので、今後は名作が期待できるかも知れないね。

本作、見終わって近くに座っていたカップルが「せりふが古文みたいで分かりづらい」と言ってたけど、同意見。
テンポも遅いし、台詞もわかりづらくて作品の世界に乗れない。

また役者もほとんど全員髭面で似たような感じで、引きの画が多いから役者も見分けがつきにくくて(つかないわけではない)混乱しかけるんだよね。

黒田が安楽いす(ではないけど)で、村重の関係者調書を見て黒田が真相を見抜く構成。
これが台詞だけの説明で、やはり解説のための再現シーンがあった方が好きである。
そして実は真の犯人が分かってしまった。
高価な茶器を明智に渡したと知っていたのは村重の妻・千代保(吉高由里子)だけだったからね。ここで怪しいと私は思ってしまい、実際その通りだった。

あとどうにも乗り切れなかったのは本木雅弘かなあ。私この人、嫌いではないけど好きじゃないんです。だからこの映画に乗れなかったのかな。
犯人の武将役で吉岡睦雄さん出演。
バイプレーヤーとして売れっ子になってきましたね。





嬢王協奏曲4 甘美なる遊戯は終わらない


日時 2026年6月28日
場所 東映チャンネル録画
監督 山内大輔
製作 令和8年(2026年)


六本木のナンバーワン・ホステス楓花の母親・紫乃は夜の世界では一流の一条グループの社長。紫乃は元の夫でかつての六本木の帝王の黒崎を見返すために一条グループをさらに大きくしようとしていた。
しかし楓花は紫乃への案発からその気がなかった。紫乃はそんな楓花のストレスを解消させようとホストのJIN(烏丸達平)を送り込み、楓花の世話をさせる。もちろんセックスの世話も。
JINの客の一人であるメグはかつてホストの蘭丸の客だった。蘭丸に暴行されて顔面に大けがをしたものの、整形手術で4年かけて生まれ変わったのだった。メグはソープで働いていたが、JINが好きになってソープの仕事がいやになってしまった。そこで立ちんぼをしている時の客がやってるぼったくりバーでキャッチをするようになる。金を持ってそうな客を連れてきて法外な料金を請求するのだ。
楓花の店に蘭丸という元ホストのやくざ風の男がやってきた。紫乃に会いたいと伝えてほしいと消えていった。
メグは早速若い客を連れてきた。二人で飲んで請求は23万円。怒った客に暴行を加え払わせるようにする。ところがそれは政治家の孫で、その政治家は巨大やくざの関東連合をつながっていたのだ。
当然、その店はやくざからの復讐を受ける。その担当になったのが今はやくざの蘭丸だ。ぼったくり店のチンピラは指を詰めさせられ、店長は性器を切られ、メグは顔を焼かれた。JINは1000万円払うことと紫乃と会わせることで許してもらった。
蘭丸は紫乃に会う。そこで一条グループをつぶしてやると宣言した。そのために楓花を引き抜くという。
3ヶ月後、店はオープンした。常連客が紫乃は六本木から撤退したと教えてくれた。
その店に新人ホステスが入った。彼女はかつて殺人犯として指名手配を受けてるが、メグが通った美容整形の医師のおかげで生まれ変わった田辺ユカだった。


昨年から続いている山内大輔監督の「嬢王」シリーズの1本。キャラクターはつながっていて同じ世界である。
今回はストーリーの起伏は少ない。また女性の登場人物が多いので正直混乱する。

最後の登場する新人ホステス、これが冒頭で立ちんぼをしており彼女が立ちんぼ仲間の噂で知ってもぐりの美容整形外科(過去はテレビCMをするほど儲けていた女医)に手術をされる。それで手術の後の顔に包帯を巻いてる時代に知り合った不動産屋に紹介されたアパートに住む。
このアパートが前にも登場した夫がギャンブル狂いで臓器売買された女性の部屋じゃないのかな。
これが主筋と平行して語られるので、見終わるとわかるけど見てる途中はどう絡んでいるのかわからない。
まあすべては顔を知らない役者ばかりが出てくるから混乱するんだよね。

烏丸達平は濡れ場要員。メグとか楓花などの絡みで色気全開である。

あとはぼったくり店で指を詰めるシーンがくどくて見てられないし、捕まった店長は性器を切られるわ、メグは顔を焼かれるわ(考えてみればメグは蘭丸に二度顔をつぶされる)で見ていていやになった。
この辺の悪趣味が私が山内監督作品を好きになれないゆえんである。

烏丸達平目当てで見たので、そこは満足できた。





ダブル・クラッチ


日時 2026年6月20日20:50〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 山根成之
製作 1978年(昭和53年)


早田彰彦(郷ひろみ)と姉の真紀(松坂慶子)は川崎に住む貧しい姉弟。
真紀は京浜急行の駅の売店で働きながら夜はキャバレーで働いていた。
彰彦は運転免許の仮免の試験を受けるが「君は無免許で運転の経験があるね」と不合格にされてしまう。そこで一緒になったのが和子(森下愛子)と知り合う。
ある晩、真紀は泣きながら帰ってきた。理由を尋ねても言わない。翌日、彰彦が店で聞いてみると客の残したオードブルを持ち帰ろうとしたのがばれて店で大恥をかいたからだという。
彰彦は今までの生活を考え直し、働くことにする。バーテン見習いとして働く彰彦。彰彦の店に真紀が男をつれてやってきた。男は木島(地井武男)。真紀の高校時代の先生だという。真紀は木島のことが好きなのだ。
やがて真紀が売店の仕事がクビになった。真紀を口説いていた駅員(石橋蓮司)を殴って警察沙汰になる。店を無断欠勤し彰彦は店をクビ。真紀も店をやめて木島の援助を得てスナックを開業することに。
スナック・エルメスは無事開業。しかし真紀に絡んだ客と喧嘩になってしまう彰彦。そのせいで真紀は彰彦を店に出さないようにする。
真紀は木島と泊まりがけで出かける。
木島は教師として彰彦の相談に乗り、二人で信州にドライブに。しかし道に迷い、疲れた木島は彰彦に運転を変わってもらう。乱暴ながらも運転の素質はあると思う木島。
川崎に帰ってから木島は自らの運転テクニックを彰彦に教える。
やがて真紀は妊娠。そんな時、彰彦は和子と再会。和子が乗っていた車が木島の車だったことから問いつめると、木島は和子の姉の夫だという。
木島は既婚者だったのだ。真紀に聞くとそれは承知だったという。
木島は和子をつれて旅行に出る。しかし山梨の病院から真紀が流産したと連絡があった。真紀に買ってもらった車・スバルレオーネで向かう彰彦。
だが真紀は死んだ。木島は病院から逃げ出そうとした。彰彦は山に追いつめ、木島の車を崖から突き落とした。
木島は死ななかったが全治6ヶ月の大けが。
だが川崎に帰る彰彦は「俺はなにをやっても中途半端。木島の野郎も殺しきれなかったしな」とつぶやくのだった。


話は全部書いた。
郷ひろみ主演映画。この映画は封切り時に見ている。大森一樹の「オレンジロード急行」の同時上映だったのだ。話はでも全く覚えていなかった。
覚えていたのは郷ひろみが「ボトル1本から水割りは22〜3杯とらなきゃだめよ」と言われるせりふ。
「へ〜そういうもんか」と記憶に残ったのだ。

話はまったく好きになれない。
主人公の彰彦が「突然、嵐のように」でもそうだったが、働かないだめ男である。「俺はなにをやっても長続きしない」と言うだけで姉に小遣いをせびるだめ人間である。さらにやたら喧嘩する。
こういうのが主人公だからまったく映画に入れない。

そもそも郷ひろみには全く似合わない役。4年前の「急げ!若者」の時は完全な美少年キャラだったのになぜこんな不良キャラになったのか。
ジャニーズを出てバーニングに移籍し、今後の方向性を探っていたからか。
でも本人の演技力もあってこういうクズ男似合わないなあ。
誰がやっても好きになれなかったかも知れないけど。
ワイルドな役、男らしさを持つ役とクズ男は違うよ。こういう役は松竹側(山根監督側)の発案なのか、バーニング=郷ひろみ側の発案なのか?

でも地井武男が演じてる段階で「こいつなんか悪い奴」の予感はある。
そして高校教師でありながら元教え子と不倫とは相当な小悪党である。

しかし映画的にはラストの山道でのカーチェイスは迫力があった。
ここは評価していいと思う。乗ってる車は両方ともスバルレオーネ。これ提携とかあったんだろうか?
でも山道でチェイスして片方は崖から落とされるんだからスバルとしては印象悪いよね。郷ひろみが乗ってくれたという宣伝効果はあるかも(ないかも)

時代のアイテムとしては木島の車に「笑い袋」がおかれてる点。
あれ70年代はやったんだよね。押すと笑い声が出てくるという。
私は当時から「なにが面白いんだろ」と思ってたけど。
あと山梨の医師役で蜷川幸雄出演。この頃は俳優としても出てましたね。






君は映画


日時 2026年6月20日16:20〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン5
監督 上田誠


下北沢の小演劇の劇団を主催するマドカ(伊藤万理華)は脚本が行き詰まった時にいつも行く店のマスターから隣のトリウッドでやってる映画を薦められる。
言われるがままに見に行くマドカ。だがスクリーンに写ってるのはトリウッドの客席と一人の男。「え、映画なんでしょ?」と言ってしまうと「そっちこそ映画だろ?」と会話してしまう。
男はカズマで少し行った三軒茶屋でバンドをしてる男だ。お互いに「なんか事件が起きるんだろ?」とお互いの映画のチラシのあらすじを読みあう。
マドカの方は予定されている公演の降板ドミノが起きる。カズマの方はバンド仲間が居酒屋で隣の客の金を盗んで大騒ぎになっていた。
果たして彼らは無事に過ごしていけるだろうか?


「リバー、流れないでよ」のヨーロッパ企画と下北沢のトリウッドが組んで作った映画。なぜかTOHOシネマズチェーンで公開である。
強気だなあ。たしかにトリウッドでやっただけじゃ意味ないもんなあ。
トリウッドだけでなく、トリウッドの両側の居酒屋、カフェ(トリウッドの両脇にそんな店があるとは知らなかった。2階はトリウッドだけだと思っていた)、さらに1階の古着ショップCHICAGOでも撮影している。
(68分の映画。最近は上映時間に縛りがなくなってきたなあ)

映画の方は劇団の看板女優が降りたい理由は実は彼女はある星のプリンセスで地球に逃げてきていた、バンドマンの盗んだ金は実は偽札だったので盗まれた方は下手に使われたら足が付く、ということで「金を返せばいいってもんじゃない」と焦っていたのだ。
そしてこの反グレ集団にM資金(とは言ってなかったけど占領軍が残したお金)を狙うチャイニーズマフィアも絡んでくる。

こういういきなり斜め上の展開になるのはなんか演劇人の発想だなあ。
(いいとか悪いとかではなく)
マドカはカズマが着ているTシャツがトリウッドの下のシカゴで買ったと聞き、シカゴで両方の世界がつながってると確信。
二人は出会う。

途中から「時空管理人」が出てきて「勝手なことをしないでください」と乱入し、両方の世界の住人が集まってしまう。
そしてなんかいろいろあってまとまる。
(具体的には忘れた)

映画人は発想しないような演劇的映画。今日は2日目なので7割ぐらいは入っていた印象。来週以降は1日1回になっちゃうといけないので今日みました。
トリウッドでまたロングラン上映されることでしょう。






バカンスは始まったばかり


日時 2026年6月20日14:10〜
場所 新宿武蔵野館・スクリーン1
監督 木村聡志


海辺の自分の別荘にやってきた太宰(足立英)と恋人の詩菜(新帆ゆき)と詩菜の親友で太宰の元カノでもある優香(芋生悠)。早速近所で詩の教室を開いている天馬(山口雄大)と知り合った。でも天馬は酒を飲むと絡み酒でなんとなくメンドクサい奴だ。
天馬の詩の朗読会に出かけ、詩の教室にも参加する。教室に参加したのは詩菜と優香だけだったけど。
その教室の生徒の朝日(戸塚有輝)とひなた(白石優愛)と知り合う。朝日はひなたが好きだが、ひなたは別の男が好きなようだ。詩菜は徐々に天馬を意識し始めるが、天馬は「字がきれいな人が好き」という理由で優香のことが気になる。太宰はハウスキーパーの秋風とも関係を持つ。
天馬の紹介で町のダンス大会に出場する天馬と優香。朝日とひなたも出場したが、優勝したのは天馬たち。
でも天馬の教室の生徒の南にもちょっかいを出す太宰。だが誤って太宰たちがベランダに閉じこめられてしまったことで、太宰のいい加減さがあぶり出される。


木村聡志の新作。
ENBUゼミナール作品でワークショップ映画である。
せりふ回しとか最高なのだが、いかんせん役者に華がない、というのが率直な感想。
それによって登場人物も多いから誰が誰やらわからなくなるのだ。この辺がもう1回ぐらい観るとそういう混乱はなくなっていくんだろうけど。
これはENBUのワークショップ映画だから仕方ないのだが。
(でも「ウルトラマンアーク」をやった戸塚有輝もワークショップに参加したのかな?)
それはないものねだり。

詩人の天馬がひっかき回す役で、太宰が中島歩のベンジーを彷彿とさせる奴である。純粋だけどどこかずれてるという役は「違う惑星」の綱啓斗につながるかも?

特に最後でベランダに誤って閉じこめられてしまい、それがきっかけで女性との関係もばれてしまう。
「違う、たまたまだよ」と言い訳するが誰も信じない。
「いやたまたベランダにしただけ」「その前はトイレにおなか痛くてこもってた」とそこまでは苦しいながらも通じていたが、トイレの便座があげられていたことから疑われる。
それは天馬と最初に話した晩に「僕は女性に敬意を表して便座はあげない」と言っていたので嘘だとばれてしまう!
まるで古畑任三郎だよ。

なぜか詩を読むかき氷屋のおじさんとかサブキャラクターも充実。
もう一回観た方がいいかな。






スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー


日時 2026年6月14日18:25〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン11
監督 ジョン・ファヴロー


帝国の圧制が終わり、新共和国が動き始めた頃。賞金稼ぎのマンダロリアンは共和国軍のウォード大佐の依頼により帝国軍の残党の撲滅のために働いていた。
今度の依頼は顔写真もない、コインと呼ばれる男を追うことになった。手がかりの情報は悪の帝王ジャバ・ザ・ハットの弟妹に当たる双子が持っているという。情報と引き替えに今は別の悪人に捕らえられているジャバ・ザ・ハットの息子のロッタを助け出してほしいと。
早速向かうマンダロリアンと相棒のグローグー。しかし捕らえられている様子もなくロッタはその星で格闘技のエースだった。マンダロリアンは助けに来たと告げるが「明日の試合が終われば解放される」と言って動こうとしない。


話はこれくらいでいいか。
5月22日に公開され、観よう観ようと思ってるうちになかなか時間があわなくて4週目に入ってしまった。本当は新宿のスクリーン7とかで観たかったが、「マイケル」が始まったために小さいスクリーンにされてしまった。

見始めて思ったけど、「007」の構成である。
最初にヒーローが敵を倒す、あらたな指令が下る、大ボスが目的だがそれに近づくために手がかりをつかみに別の場所へって感じ。
「007」ですね。

そしてこのMにあたる役を演じているのがシガニー・ウィーバー。
完全に「エイリアン」ですよ。「スターウォーズ」と共にSF映画の流れを一気に変えた1本。
完全に70年代オマージュだなあ。

マンダロリアンたちが向かったロッタがいる惑星。完全に「ブレードランナー」。いやもう絶対そうでしょう。
この映画、「『スターウォーズ初期三部作』とその時代」、って感じなのだな。

最初のクレジットでマーティン・スコセッシの名前があったから、どこに出てくるかと思ったらわからなかった。
見終わってネットで調べてみたら、この「ブレードランナー」風の町並みでホットドック(みたいなの)を売ってる親父の声がスコセッシなんだそうだ。
これももう「『スターウォーズ初期三部作』とその時代」でしょう。
いや他人が何といってもそうだと思います。

その後ロッタが「俺は連れ戻されてかえって殺されるだけだ」といい、逃がしてくれるように頼む。マンダロリアンは断るが、帝国軍の生き残りの本命をロッタから教えてもらえてそいつを倒す。
今度はロッタが目的のツイン・ハットはマンダロリアンとハットを標的に、という展開。

でもマンダロリアン、ずっと顔隠してるのでてっきりダースベイダーみたいに顔が変形してるかと思ったら、イケメン親父じゃん。
でもほとんど顔隠してるし、もう一人の主人公のグローグーはぬいぐるみ系のキャラクター。人間の姿をしてないのに主人公ってすごいね。
(いいとは言ってない)

最後はツイン・ハットの砦の総攻撃となるのだが、この辺の展開は「007」である。
あわや、というところでシガニー・ウィーバーが「Xウイング」で助けにくる。

さっきも書いたけど、「『スターウォーズ初期三部作』とその時代」プラス「007」で「やっぱりそういうの好きな人いるんだよね」と思い、老害映画ファン向けの映画に見えた。

まあ若い人も楽しんだようだけど。





愛情の設計


日時 2026年6月13日20:50〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 山根成之
製作 昭和52年(1977年)


槙村美世(桜田淳子)に東都大学の受験に向かう電車の中で北野翔平(佐藤佑介)がぶつかってきた。その後も駅から向かう道でも翔平がぶつかってきた。そしてトイレでも、受験会場でも。食堂でお昼を食べてるときにも隣同士になった。それがきっかけで一緒に帰る。
美世はヨットの設計をする兄・圭(村野武範)と二人暮らし。美世は体が悪く、北野病院で精密検査をしたところ、院長(渡辺文雄)心臓弁膜症という心臓が弱い身体だった。静かに暮らしている分には問題ないが、激しい運動、将来的には妊娠出産は無理だという。
翔平は北野の息子だった。美世は大学には合格したが、翔平は落ちた。合格発表の日、二人は再会。その後二人で街を遊び歩く。
翔平は親のコネで医学部になんとか入学。父親が合格祝いに何か買ってくれるというのでヨットにすると言い、圭の会社に二人用のヨットを注文する。
5月の連休に翔平の友達と父親の軽井沢の別荘に行く。夜、翔平はベッドに誘ったが、美世は拒絶する。翔平は謝ってなんとかその場は過ごせた。
翌日、美世を乗馬に誘う。そこで美世の発作が起きた。地元の病院に翔平の父や圭が駆けつける。翔平の父は翔平に「彼女の身体は治らん。彼女のことを思うならもう会わないことだ」といい、圭からも同じことを言われる。
翔平はその言葉に従い、美世を避ける。しかし自分の身体のことを知らない美世は翔平に会いたい一心で翔平の家に押し掛ける。翔平はそのいらいらを晴らすようにディスコで適当な女を見つけるが、逆にやくざにボコられる。
そしてパチンコ店で再会。結局二人はまた会うようになる。だが自分の身体のことを翔平から聞いてしまった美世は自暴自棄になる。ヨットの完成までまだ2ヶ月かかると知る美世。翔平は「もういらない」とヨットに火をつけた。
夏休み、借りたヨットで海にでる二人。だが途中で美世は発作を起こし亡くなった。


ラピュタのレイトショーの山根成之特集。桜田淳子主演だけど私の目当ては佐藤佑介である。
それにしても70年代は男性イケメン(という言葉はないけど)は主にアイドル歌手で郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎だった。数少ない俳優枠のイケメンが森田健作とかこの佐藤佑介だ。
線の細いイケメンだよなあ。
調べてみたら桜田淳子と同じサンミュージックだったが歌手デビューの話はなかったのだろうか?

それにしても話がまたまたむちゃくちゃである。オリジナルかと思ったら里中満智子のコミックの原作があったそうだ。
客観的に見て翔平は絵に描いた放蕩息子である。

文系の大学(東都大学って東大クラスなのかな)を落ちて医学部にコネ入学。まだ19歳(いや一浪してるからぎりぎり20歳かな)でたばこは吸うし、酒も飲む、ヨット遊びでする、別荘で友達とセックスありの泊まりをするとか。
今でもいるんだろうけど、こういうの登場しないねえ。

最大にびっくりしたのは制作中のヨットを燃やしたところ。
おいおいヨットっていくらすると思ってるんだよ。1000万円は越えるぜ。高級外車の比じゃない。

最後のヨットのシーンでは淳子ちゃんもビキニを着ていて(上にシャツは羽織ってるけど)翔平が胸の谷間を見るカットあり。
ちょっとどきどきした。
とにかく金持ちのボンボンの浮き世離れしたラブストーリーで呆れるばかりである。

加えて書くと山根演出はストップモーションを多用したり、マルチスクリーンを使用したり、「衝撃」のカット、シーンではネガ反転させたりする。
今見ると技巧に走った若気の至り演出だと感じるな。70年代で旧来の演出から抜けたかったのだろう。

そして桜田淳子はこの後統一教会かあ。
人間の運命はわからないものである。






山口くんはワルくない


日時 2026年6月13日11:40〜
場所 TOHOシネマズ新宿・スクリーン12
監督 守屋健太郎


皐(さつき・高橋ひかる)は平凡な高校2年生。ある朝、通学の電車の中で痴漢にあう。それを助けてくれたのは最近転校してきた山口くん(高橋恭平)だった。山口君は金髪でちょっと見た目が怖い。クラスのイケメン石崎(岩瀬洋志)は山口君のことを「やくざだ!」とか言い出す。
一緒にお昼を食べたりして距離を縮めていく皐と山口君。
石崎くんの主催でクラスのみんなとバーベキューをすることになった。
山口君は最初は行かないと言ってたけど、石崎君はなんと皐に「山口を誘ってほしい」と頼んできた。実は山口君とは友達になりたいらしい。
山口君はバーベキューにやってきた。でも石崎君は何かと山口君のマウントを取ってくる。
一緒に帰ったが山口君は調子悪いみたい。翌日の月曜日、山口君は学校を休んだ。石崎君とお見舞いにいく。そこで二人きりになってやっと連絡先を交換した。
7月になってクラス対抗のダンス大会が開催された。石崎も立候補し、山口君もクラスに溶け込みたいと立候補した。もちろん皐も。
そして夏休み。
前から誘われていて山口君の実家に行く皐、石崎君、皐の友達。
皐と山口君は二人で花火を見てついにキスをした。


少女コミックの映画化。女子高生キラキラ映画である。私はこのジャンルが大好きである。なんと言っても美男美女が多数登場する。
高橋恭平は興味はないが、岩瀬洋志は好きなので見に行った。

この手の作品は数々の学校行事を通じて二人の中が縮まっていく。
今回は岩瀬洋志の石崎君のキャラクターが気になった。
彼は山口君と友達になりたいと思いつつ、彼に喧嘩を売ってしまうタイプのこじれた奴である。

しかも山口君の部屋に入ったとき、彼の部屋で深呼吸をして匂いを吸う、山口君のベッドで寝てシーツの匂いを嗅ぐなど完全にゲイモードである。
「これは最後にはお前が好きだ!とかの展開があるのかな、新時代の高校生恋愛の新しい展開かな?」と期待したが、結局石崎は「お前と友達になりたかった」としか言わない。

うーん、ここはゲイとして告白してほしかったなあ。
そうすれば新時代の少女コミックとなったのに。

でも先週観た「君と僕の5分」は「絶対に結ばれない恋」、少女コミックは「いろいろあったけど最後は結ばれる」でその対比は考えると面白いね。
自分は「君と僕の5分」が好きだけど。







日時 2026年6月12日18:30〜
場所 シネマート新宿・スクリーン1
監督 いまおかしんじ


工務店を営む剣持耕三(吹越満)はガンで余命半年と言われた。若い妻・郁子(菅野恵)のことをとても愛している。彼女を悲しませたくない。自分もこれから半年間死を恐れなければならない。
剣持は郁子と会社の部下の木村(小出恵介)と郁子を浮気させることを考える。剣持は今は占い師をしている元妻のトシコ(丸純子)と出会う。占いと思って自分の余命のことを話したら元妻だったのだ。だから余命のことは知られてしまった。
もともと郁子を好きだった木村はこの計画に乗ってくれた。余命のことはついに話した。郁子は剣持にエンディングノートをつけるように勧める。
また彼女も日記を書き始めた。それを剣持に見つかったが、郁子は「見ないでね」と引き出しにしまった。
木村と郁子は飲みに行く。二人の距離は急速に縮まっていく。
剣持は嫉妬にさいなまれる。
やがて剣持は死んだ。会社は木村が引き継ぐが郁子は木村とは結婚するつもりはない。
郁子は自分の日記は剣持に読ませることが前提で書いていたと打ち明ける。


いまおかしんじの谷崎潤一郎の映画化。実は原作を読みかけて途中でやめた。もともとが全編カタカナ表記という読みづらい文章なのだ。普段読み慣れているひらがながカタカナになっただけでこんなにも読みづらいのかと思う。(さらに古本だったから昔の文庫本のため字が小さいのだ)
大正時代にでも書かれたのかなと思ったら昭和31年だという。

つまりかなり変わった小説だったのだ。今の若手作家が全編カタカナで書いたら編集は「やめてくれ」というし、仮に出版できても「若手が底の浅い実験をしただけ」と言われるのがオチである。
谷崎はもうこの頃は大家だったので誰も止められなかったのだろう。
でも年取ったら守りに入りそうだがまだ攻めてるのはすごいね。

原作はもうちょっとドロドロした感じの気がするがいまおか監督らしい明るさになっている。そもそも原作は「余命半年」なんて設定あったけ?
年を取ってきて「俺長くない」という意味での「余命短い」ではなかったか。それを吹越満が(撮影時60歳)が演じるから「ガンで余命半年」ちう設定を加えたのだろうか?(違ってたらごめんなさい)

剣持の前には死神が時々登場する。これが今月公開の「死神バーバー」と通じてしまう。(撮影は「バーバー」は昨年7月、「鍵」は昨年11月)
これって何か自問自答する時に単なる独白では面白くないから作られた設定か。

それにしても小出恵介と吹越満のコンビが面白い。考えて見たらこの二人は「銀平町シネマブルース」でのコンビである。この二人の掛け合いはどこか明るい。小出恵介もイケメンすぎない、かといって冴えない男ではない明るい青年以上中年未満を演じている。
この二人がこの映画の作品的成功につながっている。

最近のいまおか監督のレジェンドピクチャーズものは精彩を欠くものが多かったが、これはいまおか監督資質にもあわせた映画だった。





突然、嵐のように


日時 2026年6月7日20:50〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 山根成之
製作 昭和52年(1977年)


石田日出男(郷ひろみ)はかっぱらった免許証でオンボロ車を運転し、事故を起こし入院した。入院先で看護婦をしていた小林由紀(秋吉久美子)と知り合う。
入院費が払えないので病院を追い出される日出男。由紀は病院の医者(石浜朗)に口説かれていたが、彼にとっては遊びの相手でしかなかた。
日出男は偶然にもパチンコ仲間仁(佐藤蛾次郎)が由紀の部屋からパンティ泥棒をした現場に遭遇し、由紀と再会。
そこから二人の交流が始まる。日出男は両親がいたが父親が別の女と出来、母親も男が出来たために両親とは別れてしまったのだ。
「俺には故郷がない」という日出男に自分の故郷の福井県に行く。しかし彼女も母親が再婚しその連れ子だったために居づらかった。さらに義理の兄に「俺は高1の時にお前の母親に犯された!」と由紀をレイプしようとする。そこへ日出男が駆けつけ何とかなった。居場所のない二人は同棲を始める。
日出男は引っ越しやでバイトを始め、由紀は別の病院で働き始めた。
しかし日出男はスピード違反で免停のためクビになってしまう。
そこへ由紀の妊娠が発覚。蕎麦屋で伝えられた日出男と由紀は突然のことに言い合いになってしまい、由紀は店を飛び出す。その後、由紀は交通事故にあって入院した。
そして流産。ひき逃げだが相手は捕まらない。入院費として30万円請求される。
日出男は由紀が勤めていた産婦人科の医者から今までの給料をもらうが5万円にしかならない。しかし病院の受付のばあさんがこっそり事情があって堕胎した人のリストをくれた。これを使って仁と恐喝を行う。
だが行った先がやくざだったため、けじめとして30万円要求された。しかたなく由紀と関係を持っていた医者を脅したら恐喝で捕まった。警察に拘留されたが初犯で不起訴処分になった。しかし拘留から終えて出てきたら由紀は退院していた。アパートからもいなくなり、行方不明。
由紀は今はバーのホステスをしていた。売れっ子である。客の一人と伊豆の温泉に泊まりに行った。帰りの駅で今はタクシーの運転手をしてる日出男と再会。日出男は由紀が結婚したと勘違い。
由紀が乗る電車を見送った。


話は全部書いた。
70年代後半、GWの松竹は郷ひろみ主演作を上映していた。タイトルが印象的だったので覚えていたのだ。「オレンジロード急行」と2本立てかと思ったらそれは翌年の「ダブルクラッチ」。

しかしまあとにかく登場人物がバカばかりで見てられない。
これがまた郷ひろみがそういう役が似合わないのだ。本人の演技力もあるけどそもそもやる気がなかったんじゃないか。

ろくに仕事もしないで詐欺師(大滝秀治)の片棒を担いだり(インチキ商品を売りつけるのだ)、カタギで働き出したらスピードオーバーでクビとかもうへまばかり。
恐喝まがいのことをするからかえって失敗するのだ。

由紀がいなくなったら警察に行方不明届けを出して「俺、警察嫌いだけど頭を下げて頼んでるんだ!」って知らんがな。
ラストもめちゃくちゃで結局話の結末も定まらないまま脚本を書いて、そのまんま撮った(ホントはそんなことないんだけど)ような映画だった。

郷ひろみの魅力も感じられなし、時間を損した感じ。
それにしてもやくざに捕まった佐藤蛾次郎はどうなったんだろうね。気になった。






モブ子の恋


日時 2026年6月7日13:10〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン4
監督 風間大樹


大学生の田中信子(桜田ひより)は近所のスーパーでバイトを始める。面接で店長に「モブコさん?」と言われてしまう。モブとは「その他大勢」を意味する言葉。大学では目立つ人ではなく、存在感が薄いことはわかっている。
面接の日、先輩バイトの入江(木戸大聖)と出会う。駐車場に残されたカートを回収する仕事の時にアスファルトの割れ目から生えたたんぽぽをよける姿を見て好感を持つ。
そして1年。信子も仕事を覚えて一人前のバイトになっている。でも入り江と信子の距離は縮まらない。新人の安部(早瀬憩)は人間関係にも積極的でさっさと連絡先の好感が出来てしまう。安部は信子が入江に好意を持っているのを察知する。
店長からもらった水族館の入場券でバイト仲間と遊びに行く。安部はそれとなく入江と信子が二人きりになるようにする。
そしてついに「日曜日、一緒にどこかに行きませんか?」と入江を誘う信子。行った先で偶然に祭りに遭遇。そこでついに「入江さんと過ごす時間が好きです」と告白。「僕もです」。
二人は静かな関係のまま。でも信子は就職活動が始まる。しかし引っ込み思案の性格故、なかなか結果が出ない。


荒木飛羽の名前が出演者欄にあったので鑑賞。しかし荒木飛羽目当てでみたのは当てが外れた。ほとんど出てこないのである。
後半になって信子が担当する新人バイトで登場。「俺経験ありますから」などと大口を叩くがミスをするという役柄。

これが数シーンだけの登場なんだ。撮影は1日か2日。いや失敗したなあ。まあ木戸も嫌いじゃないからいいけどね。

映画全体は自分のことがはっきり言えないいわゆる「モブキャラ」の私が恋愛や就職で壁にぶつかり、乗り越えていく、という内容。
まあわかるけどね。少女マンガで多い「だめな私が学園一のイケメンに愛される」と同じパターン。

描写はもう少しリアルな感じだけど、要するにテーマとすることは同じ。
やっぱり女子はそういう悩み多いのかねえ。
それで1時間半ぐらいの映画ならわかるけど、だらだらと2時間もある。長いよ。

もじもじした二人の恋物語に微笑みを感じるシーンも多かったが、就職活動のあたりになると「まだ話が続くのかよ!」といらついた。
まあこういう若い女子の悩みを共感するには私は年を取りすぎた。

木戸大聖はあまり主張しすぎないイケメンで共感が持てる。
彼が出てれば観る、というほどではないけど、今後も追いかけてみたい俳優です。






箱の中の羊


日時 2026年6月6日16:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン9
監督 是枝裕和


遠くない未来。鎌倉、大船付近。
2年前に7歳の子供を突然なくした甲本音々(綾瀬はるか)は工務店の社長である夫・健介(大悟)にヒューマノイドを相談する。ヒューマノイドを開発した会社が普及の為に無償でレンタルしてくれるのだ。
健介は乗り気ではなかったが、音々は積極的で、息子の動画を提供。そして翔(栞木里夢)はやってきた。水は厳禁、食事はできない。
音々は息子が蘇った、死んだのは嘘だったのではないかとさえ思い出す。
健介も「自分は君のパパでない」と拒絶するが、徐々に心を許していく。
だが翔も近所のヒューマノイド仲間と交流を始める。そしてそのリーダーにGPSを外してもらう。
音々たちやその母親とも過ごしていく。だが翔たちは独立して住むことを考え始める。
それを知る音々と健介。二人は翔の仲間のヒューマノイドを連れて広島の山の中で共生生活の家を造る手助けをする。


是枝監督の新作。
カンヌで上映されものの、酷評されたとかよくない評判が駆けめぐる。
不安と期待で見たけど、特に悪いとも思わないが決してよくもない。
そもそも何が描きたいのかさっぱり見えないのだ。

「ヒューマノイドやAIとの共存」みたいなテーマかと思いきや「ヒューマノイドたちの独立運動」が出てくる。そもそもキューブリックの企画といわれたスピルバーグの「AI」と始まりの設定は同じ。「コンピュータの反乱」とかキューブリックがやりたかったのか知らん。

そして途中で中島歩の演じるエンジニアにメンテナンスしてもらう。そこで肩に切った跡を見つけてるのでGPSがはずされてることを気づいたはず。でも何も言わない。これはどういうことなのか?

んで翔たちが独立しようとすると音々たちは止めることなく受け入れてる。えっ、普通「どうしていなくなるの?」と問うだろ?
さらに会社のトラックまで使ってしかも会社の若いもん(貫一郎)まで使ってる。
どういうことだよ。

んで木の上に家を作って水車発電も始める。なんだそれ?
よくわからない。
でも映画館を出るときカップルの女性が相手の男に「あそこで解約するとか言ったでしょ。あれはね」と延々と解説していた。
母親の観点で見ると違ったものが見えるかも知れない。

じゃつまらなかったかというとそんなことはなく、綾瀬はるか、大悟、そして栞木里夢を観てるだけで画が持つのだよ。まったく退屈しない。
自分には何がやりたいかさっぱりつかめない映画だった。





君と僕の5分


日時 2026年6月5日19:00〜
   2026年6月6日11:45〜
場所 新宿武蔵野館スクリーン2(6/5)スクリーン1(6/6)
監督 オム・ハヌル
製作 2025年(令和7年)


2001年韓国テグ市。母親とともにこの地に引っ越してきたのはギョンフン(シム・ヒョンソ)。彼は日本の音楽やマンガが大好き。韓国ではまだ正式には輸入されてないが、ネットで違法ダウンロードをし、自分もサイトを運営していた。
学校にもまだなじめなかったとき、MP3プレーヤーで音楽を聞いてるとき「日本の音楽を聞いてるオタクめ!日本を好きな奴がいるから日本が歴史認識でつけあがるんだ」とまで言われてしまう。
でも隣の席の学級委員のジェミン(ヒョン・ウソク)はギョンフンの鼻歌で「gloveのDEPARTURESだな」とわかってくれた。彼も日本のマンガや音楽が好きだという。多少の好みの違いはあるものの、二人は意気投合。よく一緒に帰るようになった。
ギョンフンはスポーツが苦手で体育の授業でバスケのシュートが決められない。見かねたジェミンはギョンフンにコーチしてくれた。でもオタクだなんだといじめてくる奴はいる。それでもジェミンは味方してくれた。
ジェミンは「俺も小学生の時はいじめられて転校してきた。とにかく気にするな」という。
二人の関係も深まった時、ギョンフンは告白する。「僕も前の学校でいじめられた。ある同級生のことを好きだと噂されたんだ」「でもお前が好きだったわけじゃなんだろ?」「いや好きだったことは本当だ」
それを聞いてジェミンは態度を変えた。「もう俺に話しかけるな!」


韓国映画で、かつては禁止されていたJPOPをモチーフにしたゲイ映画と聞きちょっと楽しみにしていた。6月5日初日に時間も合ったので見に行く。

正直言って予想以上の作品だった。これは「渚のシンドバッド」を観た時の気持ちに近い。「渚〜」後半失速した感があったけどこれは違う。
もう「DEPATURES」に乗せて二人の距離がだんだん縮まっていく。バスの中でギョンフンはジェミンの手に手を重ねる。
「これでももうカップル成立だろう」と思わせてジェミンの豹変。

これはギョンフンとともに私はショックだった。
その後、ジェミンは屋上でたばこを吸うとかなんか不良化していく。
学校でみんなと遊園地に行く。ジェミンはジェットコースター、絶叫とは違う叫びをあげている。
その帰り、ジェミンの母親に送ってもらう。でも二人はうまくいてないみたい。

母親がやっている洋品店は立ち退き要求が出た。
結局それでギョンフンは転校。ギョンフンはジェミンが好きなgloveの「FACES PLACES」のCDを買った。ジェミンから呼び出しがきた。ジェミンは「なぜあの話を打ち明けた?」と問う。ギョンフンは答えをそらした。
帰りのバスの中、ギョンフンは「FACES PLACES」のCDを渡した。バスを降りるとき、ジェミンも同じCDを渡してきた。

物語は現代。今は男性のパートナーも出来、母親に紹介する。
実家の片づけをしてるとき、あのCDが出てきた。捨てようとするがパートナーが止める。「思い出の品だろ?」
そのCDをよく見るとケースに傷がない。渡したCDは買ったときにいじめ軍団に捕まってケースの一部が割れていた。
CDをあけて歌詞カードをみる。そこにはジェミンが「作ろうかな」と言っていたHPのアドレスがあった。
そのアドレスにアクセス。
「初雪の降る日にここで待ってます」。「ここ」をクリックするギョンフン。ページはなかった。

ジェミンが豹変したことも驚いたが、ラスト、てっきりジェミンと再会すると思った。というか期待した。しかし現実はなにもなし。
HPは作りかけでやめたのだろうか?

ジェミンが態度を変えたのは私の想像では彼は自分がゲイと認めたくなかったからだと思う。というか許されなかったのか。
母親はとにかく厳しそうである。家では「同性愛者は異常者」と言われ続けてのであろう。そして「いい学校に入ってエリートになりなさい」と言われ続けていたと思う。だからゲイやホモになることは許されなかったのだ。

ギョンフンのことは好き。でも「仲のよい友達」で止めておきたかった。それ以上にはならないように気をつけていた。しかしギョンフンから一線を越えようとしてきた。そうすれば自分から拒否するしかないではないか?

ジェミンはどんな大人になったろう。たぶん、妥協して何とか結婚したと思う。でも一応幸せそうな家庭を作ったのに違いない。
でも二人にとってはバスの中で曲を聞きながら過ごし、ジェミンはギョンフンの肩にもたれて眠った、あの時間がかけがえのないものだったに違いない。
(このシーンがエンドクレジットになっている。ストップモーションではなく、「DEPATURES」が流れてる5分間、長回し。ギョンフンの表情が微妙に変わる)

韓国社会は日本以上に家父長制が強いと聞く。2001年でもホモは変質者扱い。「共産党政権(左派政権のことか?)になっておかしくなった」と教師は言い、それをとがめたギョンフンは体罰を受ける。

ジェミンの事情は断片的な情報しか出てこない。本当のところはわからない。まだまだ語りたい気持ちがある。

正直、泣いた。
よかった。ただよかった。

6月6日は監督の舞台挨拶付き。司会の方の質問の中で「お好きな日本映画、影響を受けた日本映画は?」という答えに「岩井俊二の『リリィシュシュのすべて』、山下敦弘の『マイバックページ』、若松孝二の『連合赤軍』」と答えたのは驚いた。
えっ、「連赤」韓国でも上映されたんかい!