2026年8月

   
世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す(カラー版) 桃太郎 海の神兵 デッドマンズ・ワイヤー 怪奇タクシー 布告を知らぬ者達に

世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す(カラー版)


日時 2026年8月7日
場所 DVD
監督 フレッド・F・シアーズ
製作 1956年(昭和31年)


人工衛星打ち上げ計画の責任者のマービン博士は新婚の妻と移動中に今までの成果を録音していた。そのとき空飛ぶ円盤と遭遇する。あまりのことに信じられなかったが録音テープに円盤の音が残っており事実だったと確信する。
しかし軍に訴えても信じてくれない。それどころか軟禁されてしまう。だが宇宙人からメッセージが届き、コンタクトの場所を指定される。
その場所に行ってみて地球の代表者たちとの面会を強要される。
だが侵略を目的とする相手と安易に会うわけにはいかない。
マービン博士は音波を使った武器で対抗しようと考えたが、これは胃六不足。宇宙人と会ったとき、円盤は磁力を使って動いていると教えてもらった。その磁力を無効化する装置を考え出した。
円盤もその研究所を攻撃してきたが、こちらも磁力無効化装置で反撃。対抗は可能となった。
やがて円盤軍は総攻撃をしてきた。特にワシントンの攻撃はすさまじかったが、磁力無効化装置でなんとか撃退でき、地球の危機は去った。


この映画、以前モノクロ版で見ている。いまちょっと東宝「地球防衛軍」の研究をしていて、その一環で再鑑賞。せっかくだから同時収録されているカラー版で観た。

カラー版は特に違和感はなかったな。これが「ウルトラQ」とか(黒沢映画でもいいけど)見慣れた作品だと違和感が強いだろう。私はこの映画は特に見慣れた作品ではないので最初からカラーと思えば納得できる。
ただし緑の発色が濃いなという印象はあったけど。

カラライズって2000年代後半ぐらいから出始めたけど、「名作への冒涜」とか言われてたぶん受けなかったんだよね。「ウルトラQ・天然色版」の時にもう業者から「これが最後のカラライズ作品です」とか言われてたらしい。この技術は名作映画のカラー化ではなく、過去の白黒写真をカラーにして臨場感を出す方にいくんだろうな。
技術はこうして向き不向きが決まっていくんだろうな。

そしてハリーハウゼンによる円盤の飛行シーンはいいですねえ。
あの動きはくせになりますよ。
カクカク感がなにかたまらなくいとおしく見えてくる。

前に見たときも書いたけど、車の窓や飛行機の窓越しにみる円盤は実にかっこいい。
こういうアナログ特撮はやっぱりいいなあ。
やっぱり人間にとっては「慣れ」って重要なんでしょうね。





桃太郎 海の神兵


日時 2026年8月1日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 瀬尾光世
製作 昭和20年(1945年)


富士山の麓の村に海軍に出征していた猿、犬、雉、熊が休暇で帰ってくる。村の動物の子供たちは「海軍の話を聞かせて!」とせがんでくる。
猿の弟は川辺で兵隊さんの帽子をかぶって遊んでいると誤って帽子を落としてしまう。拾おうとして自分も川に落ちてしまう。それを見かけたつばめがみんなに知らせる。兄の猿をはじめとした動物たちは力を合わせてまさに滝壺に落ちようとしていた小猿や兄の猿、帽子も助けた。
南の島では海軍設営隊がやってきて、地元の動物たちを使って飛行場を作る。
そこへ桃太郎隊長が率いる日本軍がやってきた。日本軍は地元の動物たちに日本語を教えようとするがうまくいかない。誰かが「アイウエオ」の歌を歌い始める。地元民もその歌を歌い出す。
日本軍は近くの島に向けて偵察機を飛ばし、敵基地の写真撮影に成功。しかし上空で被弾し、一人は戦死した。
敵基地のある島はもともとは地元の王様が治めていた。しかし黒船がやってきて、「我々の休息のために一銭硬貨の大きさの土地を分けてほしい」と頼む。王はそれを許可した。しかし黒船の西洋人は「我が国の商習慣では地図上での硬貨の大きさです」といい、島を占領した。
日本軍は空挺部隊で島を急襲。そして敵を降伏させた。
富士山の村では子供たちが自分も将来兵隊になるために運動している。


「日本初の長編アニメーション」と言われてる本作品。
最近「地球防衛軍」を見直したのだが、ミステリアンが「半径3Kmの土地」を要求してその後拡大していくという展開でこの映画のことを思い出したのだ。

この映画、昭和20年4月に公開された国策映画である。GHQに没収されたと思われていたが、1980年代になって松竹の倉庫からネガが発見された。1984年には短編「くもとちゅーりぷ」と2本立て(「海の神兵」は74分、「くも〜」は15分)で再公開された。
当時、松竹は「機動戦士ガンダム」の劇場公開でアニメで稼いでいたから「日本アニメのルーツ」という形である程度の動員が見込まれたのだと思う。

しかし改めて見るとものすごいアニメである。
昭和20年などという戦争末期でこんな技術的にすばらしいアニメを作っていたのだ。
前半の小猿が川に流されたシーン、海軍設営隊が基地建設をするシーン、「アイウエオ」の歌のシーン、どれもすばらしい。

もちろん国策映画だし、当時の価値観に基づいて作られている。
帽子が川に流されたらそのまま諦めるだろうし(軍のものだから大切にしなければならない価値観だったと思われる)、地元住民を使っての基地建設とか、日本語教育とか植民地政策の発想である。

それでもたくさんの動物たちが動くシーンは実になめらかで素晴らしい。
私はアニメには素人なので専門的なことは言えないのだが、まずはキャラクターの数が手間の数と比例することは想像できる。
でもこの映画は動物たちのキャラクターが実に多いのだ。

そして「アイウエオ」の歌のシーンはミュージカルである。
ディズニーの「ファンタジア」を手本にしたらしいが私はそっちを見てないのでよくわからない。でも同時代の「トムとジェリー」と同じように動物の動きと楽器の演奏をあわせたシーンは素晴らしいの一言だ。

余談だが「アイウエオ」のシーンを小野耕世さんだったか「涙がでた」というような表現で絶賛したら「植民地政策を認めるのか!」という批判が若干あり、小林信彦だったかが(違うかも知れない)「技術が素晴らしいと誉めているのがわからないのか」と逆批判していたと思う。
でもそれぐらい素晴らしいのだ。

また鬼ヶ島に空挺部隊が降下するシーン、一連の動きがやたらと詳しいのだが、ウィキペディアによるとスタッフが1週間の体験入隊を行って取材の元に描かれたシーンだそうだ。

映画の完成は1944年の12月だそうで、そのころはレイテも取られて日本本土への空襲が始まっていく。そんな中でまだ「日本のアジアを解放する」というプロパガンダ映画を作っていたとは恐れ入る。
時代が数年すれてるよ。
公開されたのは1945年4月というから東京大空襲のあとじゃん。

1984年に公開された時も見た覚えがあり、「アイウエオ」の歌のメロディはすぐに覚えた。今でも記憶の通りだった。
作詞はサトウハチローで作曲は古関裕而。戦後も活躍する大御所である。

また鬼ヶ島の悪党は明らかにアメリカ人で(英語を話している)、桃太郎と対峙するシーンは山下奉文のシンガポール陥落のシーンを思わせる。
アメリカの兵隊でポパイが登場するのだが、ここは84年の再公開時はかとされたとか。たぶん権利関係の問題だろう。

とにかく見応えのあるアニメだった。
名作である。






デッドマンズ・ワイヤー


日時 2026年8月1日12:50〜
場所 YEBISU GARDEN CINEMA
監督 ガス・ヴァン・サント


1977年2月、真冬のインディアナポリスでトニー・キリシスは不動産ローン会社のモーゲージ社を訪ねる。ホール社長(アル・パチーノ)を訪ねてきたのだが、アポを取っていたにも関わらず本人はフロリダに休暇に行っていた。代わりに息子で専務のディックが対応した。
だがトニーはディックの首にワイヤーをくくりつけ、ショットガンと結んだ。これでディックが無理に離れれば、自動的にショットガンは発射される。
トニーは不動産取引で、スーパーをたてる予定だったがホールたちがテナントに働きかけ入居しなくなったために数百万ドルの損害を出したのだ。そのために社長に謝罪を要求した。
トニーはディックとともに自宅アパートに帰る。
警察にも通報され動き出す。また地元テレビ局も中継を始める。トニーは警察とは話さなくなり、自分が好きな地元ラジオ局の人気DJフレッドとだけ話すようになる。
膠着状態が続き、警察側から「この件に関しては不起訴にする」という約束を取り付けた。息子と話したいというホール社長をディックと話させる。途中で電話を取り上げ、トニーは社長と話す。
しかし社長は「私は悪いことをしてないから謝罪の必要もない」と言い切ってしまう。
警察はついに突入し、トニーは逮捕され、ディックは救出された。


「エレファント」のガス・ヴァン・サントが描く実際にあった事件を映画化。
予告を観て面白そうだな、と思ったが期待したほどではなかった。
デッドマンズ・ワイヤーと言う仕掛けがあるので、「この仕掛けをいかに解除するか?」という流れになるかと思ったらそれはなし。
マスコミの報道合戦になるかと思ったら多少は出てくるけど、それほど深入りはしない。
なんかこう中途半端なんだなあ。

結局「不起訴にする」という約束は破られ、あっさり逮捕される。
そもそもトニーがどういう風にだまされたのかがはっきり説明がないのだな。

で驚いたのが最後の裁判。陪審員たちはトニーを「無罪」にしたのだ。心神喪失状態だったから、という理由はついたけど。
つまりトニーに同情する人も多かったのだなあ。
そして問題のローン会社は数ヶ月後に倒産したらしい。

トニーが逮捕されるシーンで「明日に向かって撃て」の主題歌の「雨に濡れても」が流れるが私には意味不明だった。
あとアル・パシーノが出演してるけど、これって彼が76年ぐらいに主演した同じような立てこもり映画「狼たちの午後」と関連して考えてよいのだろうか?

「雨に濡れても」といい、当時の空気だったのかなあ?
全米にトニーの会見はテレビ中継されたようで(エンドクレジットなどで本物の映像が登場する)、アメリカ人にはなじみの事件だったかも知れないから、当時を知ってるアメリカ人が観るとまた違った感想があるのかも知れないな。






怪奇タクシー 布告を知らぬ者達に


日時 2026年8月1日9:35〜
場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・スクリーン2
監督 岡本英郎


第1話カーブの人喰い自動車
東野えみ(岡田結実)はテレビのリポーター。バラエティ番組のネタを常に探している。ある日、スタッフからある夜景のきれいな山のカーブのある帰り道である車がぶつかってくるという噂を耳にする。
自分で確認に行ってみると確かにおかしな車が自分の後に停まり、中にはドクロが乗っていた。あわてて逃げようとしてガードレールにぶつかって全治2週間の怪我。
後日、スタッフの小浜(木戸大聖)、吹田(上村侑)たちを連れて行く。そこにスタッフが元の話を教えてくれた田中奏多(新原泰佑)が女を乗せてやってくる。ドクロの乗った車は現れ、えみたちも襲われる。
見かねた怪奇タクシーの運転手が、そのドクロの車を退治した。

第2話 違法駐車評論家
怪奇タクシーの運転手は幽霊を乗せ多磨霊園に向かっていた。途中で渋滞にはまり、退屈しのぎに渋滞にまつわる話をし出す。
テレビタレントの山咲(中山エミリ)は俳優の夫・佐分利(的場浩司)が心臓病だったが、発作で病院に行く途中で救急車が渋滞にはまって結局間に合わずに亡くなった。
今度その経験を講演会で話してほしいと言われ話すことに。
しかし講演の途中で客席から奇妙な男に話しかけられる。その男は実は山咲はわざと渋滞が起きやすい地域に引っ越し、心臓病を装って殺したのではないかと指摘する。

第3話 ミステリー・ツアー
生木秀一は無職。生活費を彼女に頼る男。ある日彼女に「もう別れたい」というが逆ギレする始末。
そんな生木に「ミステリーバスツアー」の招待状が届いた。行ってみると別に観光地を回るわけでもない。しかし乗客たちはその停車した場所で懺悔の言葉を口にする。そのバスは殺人を犯し、迷宮入りになった犯人たちが乗っていた。生木も別れた彼女の一家を皆殺しにしたのだった。


えーっと友人が上村佑のファンで「彼が出てるから」ということで勧められて見た映画。
正直言って素人並の映画である。

まず設定がよく解らない。同じ「怪奇タクシー」という映画が2022年ぐらいに公開されており、その続編らしい。
冒頭、子供の女の子と男の子がわちゃわちゃと追いかけたり追いかけられたりするシーンがあるがこれがよく解らない。
公式HPをみると怪奇タクシーの運転手の子供時代らしい。
そして怪奇タクシーの運転手はお寺から幽霊を乗せ多磨霊園に向かう。

そこで1話が始まる。
だがどうにも無駄なシーン、無駄な描写が多いのだ。
1話で言えばネタを教えてくれた奏多に会いに行けば「それは女を軟派するための嘘」と言われてしまい、その女が音声の吹田の彼女だったことから喧嘩になるけど、それって本筋と関係ない。
また奏多がバーで女性をナンパするシーンがあるけど、ここも無駄に長い。

2話でも「夫を殺したのでは?」というのを講演会で延々と話し出す描写も長い。ここでタレントのマネージャー(?)(杉浦太陽)も出てくるけどいらないだろ。

3話でもバス会社の社長が出てきてこれが素人臭い演技するし、専務とか言うのがダイヤモンド・ユカイが演じていて専務っぽくない。
友達を全部出したのか?

話の無駄が多すぎて、話のネタとしてはいいと思うのだが、全体としてZ級映画になっている。
なんだろうね、この映画。