ゴジラVSチェブラーシカ<作品紹介> 「平和の使者、チェブラーシカ 人類の破壊神、ゴジラ ゴジラ勝つか、チェブ勝つか 世紀の対決が今始まる!!」 昭和29年に第1作が作られて以来、約50年に渡って 続けられるゴジラ映画。 今回の相手怪獣はロシアで絶大な人気を誇るキャラクター、チェブラーシカだ。 地球温暖化により棲家を奪われそうになるゴジラが 人類への復讐を開始。 平和の使者、チェブラーシカがこれに立ち向かう。 果たして人類に未来はあるのか?! (チェブラーシカについては公式HPhttp://www.cheb.tv/を参照してください。) <ストーリー> ロシア語の若き研究者、小野寺(塩田貞治)はシベリアの地域言語の研究の ためにシベリア奥地を訪れていた。 そこで1500年前に書かれたと思われる古文書を発見する。 全文はすぐには解読できなかったが、タイトルらしき一文はすぐに読み取れた。 「われらが守り神、チェブラーシカ」 同時に近くにあった文字の書かれた石も日本に持ち帰る事にする。 そんなとき、小野寺と同じ大学の教授、山根博士(高嶋忠夫)と娘の桃子たちは 南太平洋のインサウス島に動植物の研究のために訪れていた。 地球温暖化のためにこの島は数年後に沈む可能性があるのだ。 今の内にこの島特有の動植物のサンプルを採取しておかねばならないのだ。 そんなとき島の湖からゴジラが出現する。 危ういところを助かった山根博士たち。 ゴジラは日本に向かって海を渡り始めた。 小笠原付近で自衛隊は通常兵器で立ち向かうが効果はない。 小野寺は桃子の恋人で、ゴジラ出現の報に心配していた小野寺だったが 無事に桃子が帰国でき、再会を喜ぶがチェブラーシカの文章が頭から 離れない。 そんな時、シベリアから持ち帰った石の中から正義の怪獣、チェブラーシカが 出現する。 持ち帰った石はチェブラーシカのタマゴだったのだ!! 京浜工業地帯に迫り来るゴジラ。石油コンビナートを襲うゴジラだが 自衛隊は防ぐ事は出来ない。 最初は小さかったチェブラーシカだがゴジラが近づくにつれ巨大化する。 小野寺はやっと古文書を解読する。 チェブラーシカは人類の守り神。人類が危機に陥った時、タマゴは孵り 人類を救ってくれるというのだ。 成長したチェブラーシカはゴジラに立ち向かう。 チェブラーシカの武器は口から吐き出されるシネトラ酸だ。 対するゴジラは放射能。 人類の未来をかけた戦いが今始まる!! <作品批評> 時代と共に変遷するゴジラ映画だが、今回ゴジラはかつてのような 核兵器を象徴する怪獣ではなく、地球温暖化を象徴する怪獣という点が 目新しい。 しかもゴジラと対する相手怪獣がロシア出身の怪獣だ。 冷戦時代の一つ落し子とも言えるゴジラに対決するのがロシアの怪獣とは、 東西の対立の時代の終焉を象徴してるかのよう。 怪獣映画としての破壊の面白さはもちろん、そういった意味で 社会派映画としての側面も評価すべきだろう。 また主人公、小野寺を演じる塩田貞治の流暢なロシア語も見所の一つ。 彼はこの作品出演のために1年間ロシア語を勉強しつづけたという努力家。 今後の他の作品での活躍が期待される。 惜しむらくはチェブラーシカの造形が可愛らしすぎたところ。 オリジナルのキャラクターがロシアではミッキーマウス並みの人気なので その造形は変更できなかったものと察するが、凶暴な面構えのゴジラと 対した時、可愛いらしいチェブラーシカではいささか不釣合いな 感じは否めない。 この失敗により作品の全体の完成度を下げてしまったので 作品の持つテーマの素晴らしさ、塩田をはじめとする演技陣の素晴らしさを 考えると実に惜しいとしか言いようない。 しかし21世紀のゴジラ映画にふさわしい作品になった事は確かだろう。 主演の塩田貞治の今後の活躍にも注目したい。 |
(2002/08/24更新)