殺人者

日時 2007年2月24日13:00〜
場所 東京グローブ座 2階席


津田沼に近いらしい、ある住宅街。
2軒の家が並んでいてその裏庭が舞台。
その右側に家に住むのが三宅健だが、彼のうちは魚屋らしい。
この近所では数ヶ月前に隣の家の子供が殺される事件があった。
健の妹はその事件を目撃したショックで心の病気になり、左手が不自由になっており、
そんな時に9年ぶりに兄が帰ってきた。
健は隣の人妻に恋心を抱いている。
そんな場所のお話。


うわー、私の苦手なタイプの芝居だ。
私の苦手な芝居とは以下の要素があること。

・本筋とは関係ないような小さなことにこだわり、論争をはじめる。
・本筋とは脈絡のない話題を突然登場人物が言い出し、話がそっちにしばし移る。
・以上のことがたびたび(繰り返し)行われ、何が言いたいのかわからない。

この芝居もこのタイプ。

父(秋野太作)は歯の間引っかかったニラにこだわり、主人公の友人は自転車のサドルが盗られて
どうしたこうしたと言う。
三宅健の主人公は「月が自分に付いてくる」という強迫観念に取り付かれる。
妹(MEGUMI)は魔法にかかったように左手が動かない。
妹のピアノの先生の妻はアジのフライを買いに来た翌日、健の家の鳥を逃がせずに
殺してしまう。
健はとなりの家の奥さん(石田ひかり)にあこがれていてランチに誘うが結局は行かない。
主人公の兄は10年ぶり(9年ぶりか)にふらっと帰ってきて、金を貸してほしいというが
だからといって話はそこから進展しない。
隣の家の主人は庭においてあった粗大ごみや置物の向きが変わっていると怒り出す。
時々ヘリコプターの音が聞こえ、見ているこちらをイライラさせる。
また同じく時々真っ白な仮面をつけた男が登場する。
そして隣の奥さんは数ヶ月前にあった自分の子供が殺された事件の犯人だった。
最後には父が「結局みんな一人なんだ。家族なんてつながっているからややこしく
なるんだ」と結論めいたことをいう。

ふうう。
なんかこう意味ありげなシーンやセリフが多いが、どうにもそれがはっきりとしない。
そういう芝居は苦手なのだよ。
作っているほうは楽しいかも知れないが、私はこういうのが好きになれない。
最近、おじさんになったせいか「わかりにくい作品を作るということはこっちの理解力の
問題ではなく、作り手の説明のしかたが下手」というように感じるようになったので
(最近、作り手が自分より年下になってきたからだと思うのだが)こういうのは苦手なのだ。

ただし「ここではない、どこかへ」という言葉が登場し、抜け出したくても抜け出せない何か閉塞感
見たいなものは伝わってきた。
だがそれを抜け出す行動力のある人間の話のほうが私は好きだし、なじみやすい。

三宅健ファンだから健を見ているだけで楽しいが、それだけなのだな。
芝居全体としては楽しめなかった。
見終わって知ったが、「演技者。」の「雨が来る」の作者だったのですね。
道理で好きになれないわけです。