新幹線大爆破
1975年7月公開
監督 佐藤純弥
この映画は一体何回見ただろう。
劇場、TV放映、フランス語版凱旋上映、ビデオ等を入れると
10回以上は見てるだろう。
今回DVD化され久しぶりに見てみた。
いやー面白い。
自分が映画を見始めた頃に見た作品で特に印象深いのだろうが、
日本サスペンス映画の最高級の作品と言い切る。
新幹線「ひかり109号」に爆弾が仕掛けられたという脅迫電話が入る。
その爆弾は時速80キロ以下になると爆発すると言うのだ。
果たして109号は助かるのか?1500人の乗客の命は??
そしてノンストップサスペンスが始まる。
まずは浜松駅付近で前方の列車の車両故障。
それを避けるために一時上り線を通さねばならない。
ところが上り線はひかり20号が東京方面に向かって進行中。
浜松駅でのポイントで先にひかり20号を通してから109号を
上り線に入れねばならない。
ここが東京の運転指令所の倉持指令長(宇津井健)をはじめとする
国鉄スタッフの腕の見せ所。
だだっ広い運転司令室で双眼鏡を使って列車運行掲示板を見ながら、
複数のストップウォッチを手にもち時間を正確に計算しながら指示を出す
サスペンスはなかなか。
109号運転士(千葉真一)もパニックになりながらも何とか切り抜ける。
この浜松駅での列車のすれ違いながらのポイント切り替えが国鉄の非協力
により特撮なんだが、チャチなのが残念。
『日本で初めてシュノーケルカメラを使った作品』と言う事でマニアでは有名
なんだけどやはり見劣りは否めない。
そして中盤は犯人(高倉健)と警察陣との身代金の受け渡しをめぐる捜査戦に
話は移る。
あせる警察は最初の金の受け渡しの現場に現れた男を逮捕しようとして失敗し、
オートバイで逃走する犯人を追い詰め事故になり死んでしまう。
また夕張で起こった貨物列車爆破事件(ひかり109号の爆弾の証明のために
爆破された)の犯人・古賀(山本圭)を追い詰めるが逃してしまう。
あと一歩のところまでいきながら悪しき偶然が重なりミスを重ねる警察陣。
2度目の首都高での金の受け渡しのあと。犯人が図面を預けた喫茶店が
突然の火事により図面は焼失。
このときの報告を受けた鈴木瑞穂のぶち切れぶりがいい。
「燃えカスでもなんでもいい。持って帰れ!!!!」
そしてクライマックス。博多に近づく109号。
新幹線の台車を撮影し、自力で爆弾を発見、除去しようとする国鉄陣。
一度目の撮影は光量不足で失敗。
そして政府は最悪の事態を考え山口県の田園地帯での109号の停車を
決定する。
二度目の撮影は何とか成功。
2両目のドア下伸びている配線をきれば爆弾は止まると判断。
切断しようとするが飛んできた小石が手にあたり切断は失敗。
コードに手が届かないため、車体の一部を破壊するため別の新幹線で酸素
溶接機を届けるのだが、風圧のため受け渡しがなかなかうまくいかない所は
一つの見せ場。
そして運転手の千葉真一のために、彼がゴミ箱の鉄板を酸素溶接機で焼ききる
という見せ場も用意されている。
やっと爆弾の配線は切断。
しかし爆弾がもう一つあるかも知れないと言う報告が東京の指令所に
上げられる。
「わからん。違うかも知れんが・・・・」そうつぶやく技師長。
倉持は苦悩の末、停車を命じる。
果たして無事停車できるのか。
と言う具合で後半は逆転逆転で最後まで目が離せない。
まさに5分に一回状況が変わっていくのだ。
キャストは他には新幹線総局長に永井智雄、鉄道公安部長に渡辺文雄、
警視庁捜査課長に鈴木瑞穂(この3人はこの70年代の映画にホントよく
出ている)、そして警視庁刑事部長に丹波哲郎、ワンシーンのカメオ出演で
羽田空港で山本圭を取り逃がす刑事に北大路欣也、
国鉄電話交換手に志穂美悦子、北海道の刑事に川地民夫、
山本圭の兄に田中邦衛などの豪華メンバー。
あと忘れちゃいけないのが、刑事役で最近は渋い中年役でTVによく出ている
浜田晃、黒部進(刑事)中田博久(品川運転所職員)のウルトラ役者共演。
タイムリミットが限られた中、男たちの熱い戦いがあり、彼らの演技合戦は
息をつかせません。
細かいところではストーリーに突っ込みたくなるところもあるのですが、
その辺は言い出すと長くなり、くどくなるのでそれはまた別の機会に。
絶対お勧め!!
日本映画史上、ベストテンに入る面白さです!!
|