卒業


日時 2004年4月15日 19:00〜 
場所 東京グローブ座

大学を優等で卒業したベンジャミン(三宅健)。
だが卒業後の進路も決めておらず、ただ時間だけが過ぎていくような日々を
すごしていた。そんな時、父の友人の妻、今はアル中のミセス・ロビンソソン
(秋吉久美子)から誘惑される。
美しい年上の女性からの性への誘いには自分を抑えられないベンジャミンは
数ヶ月、ミセス・ロビンソンと甘い日々を過ごす。
そんな時ロビンソンの娘・エレーン(星野真理)が帰郷してくる。
親に言われてエレーンと一度きりのつもりのデートをする
ベンジャミン。
やがてベンジャミンはエレーンを愛するようになる。


ダスティン・ホフマンの出世作で有名な映画「卒業」。
この映画はテレビでかなり前に見ているが映画そのものはあまり面白かった
記憶がない。
ただし花嫁を教会に略奪しに来るシーンは有名だったからよく知っている。
そして「サウンド・オブ・サイレンス」をはじめとするサイモン&ガーファンクル
の名曲も。

今回の公演はこの「卒業」を舞台化した作品だ。
しかし終始私は首をひねっていた。
三宅健の演技がやたらオーバーアクトで笑わせようとするのだ。
もちろん彼の演技力云々ではなく、今回そういう演出をしているのだ。
ベンジャミンが最初にミセス・ロビンソンに誘惑されるところでは
童貞青年のベンジャミンくんはやたらドギマギしてその慌てぶりは
観客の笑いを誘うおうとしている。

最初の誘惑シーンから始まって最初のベッドイン、エレーンとのデート、花嫁の略奪
など終始コメディであろうとする。
実際多くの観客は笑っていたが、私は「えっ『卒業』ってこんな話だっけ?」
と終始違和感から抜け出せなかった。
20年前にみて大して面白くなかった(記憶に残らなかった)作品と比較するのには
記憶があいまいすぎるが、それにしても「卒業」でこんなに笑った記憶はない。

そして三宅健はアイドル三宅健の笑顔を100%発揮し、またそのドギマギぶりも
清純派正統アイドルらしく、充分にその魅力を出し切った。

また秋吉久美子とのベッドシーンで上半身ヌードも披露し、多くの健ファンが
その肉体の美しさにため息をついた。
(もちろん私もそのひとり)
ちょっと痩せ気味の三宅健、鍛えられた体はスリ筋というよりスジ筋っぽい感じで
「もう少し太ってもいいかな?」と思わせるぐらいなシャープな肉体!
今回席が前のほうだったので、充分に堪能できました。

で芝居の展開に話を戻すと、(以下ネタバレあり)
映画版では(確か)エレーンを教会から連れ出して終わりだったが、
今回は二人でホテルに入るところまでを描いている。
ホテルの部屋で二人っきりになったエレーンとベンジャミンだが、
エレーンは実はタバコを吸うという事を知ったり、コーンフレーク(?)の
食べ方に妙なこだわりがあったり、結婚してはじめて知った変な癖、に気付いて
ベンジャミンはちょっと唖然としたところでエンド。

ますます話がよくわからなくなってしまった。

しかし三宅健はカーテンコールでも最後まで観客サービスに努め、最後には幕が降りていき
床との隙間が1mぐらいになったところで床にダイブ!
隙間からまた満点の笑顔を最後まで観客に振りまきつづけた。

アイドル笑顔100%で終始演じ、また先に書いたような
美しい体も披露してくれて観客はその点では満足。
しかしそれだけで終わってしまった。

もちろん100%アイドルの三宅健を堪能出来てそれ以上に何を望むのか?
と反論されれば返す言葉もないが、それにしても物足りない。
アイドルの笑顔だけでは満足できない私は、つまり贅沢になりすぎたのだろうか?