TAPE

日時 2004年12月19日13:00〜 
場所 東京グローブ座 3階A列


ミシガン州のランシング。新人映画監督ジョン(赤坂晃)この地の映画祭での作品が
上映されることになり、ランシングを訪れていた。
そこへ高校時代の友人ヴィンセント(佐藤アツヒロ)はカリフォルニアからやってきた。
またこのランシングにはヴィンセントの高校時代のガールフレンド・エイミー(小池栄子)
が地方検事補として働いていた。
再会するヴィンセントとジョン。
ヴィンセントは現在消防士でありながら麻薬の売人でもあった。
彼は高校卒業の頃はエイミーとは別れていたが、卒業パーティーの晩、ジョンとエイミーが
セックスをしたらしいと疑っていて、そのことを白状させようとする。
最初は「彼女はちょっと嫌がっただけだ」と言葉を濁していたが、最後には「エイミーを
レイプした」と語る。
そそて実はヴィンセントは今の会話をテープに録音していたのだった。
彼はジョンをエイミーに謝らせたかったのだ。


赤坂晃、佐藤アツヒロの光GENJIコンビの共演!
前に共演した「ボーイング・ボーイング」は今年だと思っていたが、調べたら去年の作品だった。
前作が気軽に楽しめるライトコメディだったが、今回は心理サスペンス劇。
高校時代の一晩の出来事をめぐっての3人の錯綜する思いがサスペンスを呼ぶのだが、
正直言って完成度は高いとはいえない。

とにかく出演者は3人だけ、それもエイミーは後半40分ぐらいになってから登場するから
前半は赤坂と佐藤の完全な二人芝居。
せりふが多い上に言い回しが複雑で早口でしゃべるのだが、せりふがよくわからなくなるのだ。
アツヒロは声のとおりが悪いから余計にきこえにくい。
私が今回3階席というよい席ではなかったせいなのかも知れないが、前半の二人の会話は
半分は類推しながら聞いているので非常に疲れる。

だからストーリーを追うのが精一杯になってしまう。
後から考えるとヴィンセントの行動の裏にはエイミーやジョンへのコンプレックスがベースに
あったかもと思えるのだが、見てる間はそんなことを感じる余裕はなかった。

この後話はエイミーが「私はあの晩、レイプされたわけではない」と答えることから
話は急転する。
「あなたは私のためにジョンに白状させたというが、私はそんなこと望んでない。白状させて
うれしいのは実はあなただけ」とエイミーはヴィンセントに言い放つ。
そしてエイミーは警察を呼ぶという。
自分の罪を受け入れるジョン。麻薬の密売の発覚を恐れて逃げ出そうとするヴィンセント。
未見の方はここから読まないほうがいいのだが、実はエイミーは彼らを試したのだった。

昔の恋人のためにレイプ事件を自白させようとした「正義の人」を目指したヴィンセント
だったが、実は自分のためだけに行動し、自分の罪も認める勇気もない小悪人に成り下がる。
このあたりの変化というか逆転がドラマとしての「暴かれる真相」のサスペンスにつながるはずだが
先のせりふの聞き取りにくさもあって、盛り上がりにはもうひとつ欠けた。

やはり赤坂&アツヒロには難しい芝居だったのかも知れない。