東京タワー


日時 2005年1月15日18:45〜
場所 ユナイテッドシネマとしまえんスクリーン3
監督 源 孝志

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実に美しい映画だ。
全編まるでファッション雑誌やインテリア雑誌のグラビアのような美しい画がつづく。
その美しさにはため息が出てしまう。
ストーリーだけを見るとたいしたことはない。
人妻が若い男と知り合ってセックスしてやっぱり別れて再会して・・・
みたいな話でどうってことはない。

夜の東京にそびえ立つ東京タワーをはじめとして美しい風景(まるで外国映画のような)
に全編彩られる。
まるでおとぎ話のような現実感(生活感)のなさだ。
(途中、新橋の立ち飲みが登場するが、それにしたってまるでリドリー・スコットの
映画に登場する風景か、香港のような異空間だ)
またセリフにしても「恋はするもんじゃない。落ちるものだ」をはじめとする、
現実には絶対言わないようなカッコいいものばかり。

そしていちばん大切なのが出演者。
岡田准一と黒木瞳という有り得ないような美形カップル。
もう一方は松本潤と寺島しのぶ。こちらは単に美しさという点では岡田=黒木カップルに
劣るが、それを補う「空気」を持ち合わせている。

一応クレジットでは黒木が上だが、映画の中心となるのはやっぱり岡田准一。
岡田の美青年ぶりが冴え渡る。(岡田は妻夫木聡と並んで日本映画の代表的人気男優に
なるかも知れない)
その美青年描写も徹底していてシャワーシーンによるメールヌードも披露する。
プールに服を着たまま落ち、その後濡れたままで歩くシーンをはじめ大人の色気
がぷんぷんする。
また松潤もジャグジーのシーンのサービスつき。

岡田、松潤はこういった映画に出演できて、また観客にしてもこんな美青年映画を見ることが
出来てお互いに実に幸せだ。
美青年は以前にもいた。しかし彼らが美しい時に美しく描かれる映画が
常にあるとは限らない。
岡本健一は実に美しかった。しかし彼の美しさを描ききった映画はついに現れなかった。
しかし(偶然にも二文字違いだが)岡田准一はそんな映画を持つことが出来た。
時代が変わったのだ。
岡本健一は登場が早すぎたのだ。

要するに岡田、松潤の美青年映画でストーリーはレディスコミック並みの「ありえねー」話。
「Moon Child」「下弦の月」などの美青年映画も増えてきたが、この映画はこの種の映画の
ひとつの到達点と言ってもいいだろう。

現在の世の女性は老若問わず美しい男に惹かれていく。
韓流ブームやジャニーズブームはその象徴だ。
それこそこの映画の黒木瞳や寺島しのぶのように年齢を忘れて熱中する。

不倫というものは自らの義務とは関係なく、性に対する欲望(直接セックスはしなくても)に
忠実な愛情だ。
スターに恋するのも一種の擬似恋愛で、それも恋愛の一種とみなしてよいならば世の女性たちは
どんどん恋をはじめている。

そして自らの欲望にのみ忠実で、子供を作ることをしなくなる。
人口は減っていき、やがて人類は滅亡へとたどるのだ。
人類を滅亡させるのは核ミサイルではなかった。
世の女性たちが美しい男のみを愛し始めた時、実は人類消滅のカウントダウンは始まったのだ。