多重人格探偵・サイコ・雨宮一彦の帰還

2000年5月2日〜5月7日 23:00〜24:00 六夜連続WOWWOWにて放送。
監督 三池崇史

1999年、昭和74年、昭和天皇の容体が芳しくない時が舞台。
多重人格で元刑事小林洋介の別人格である雨宮一彦(保坂尚輝)を主人公に
彼の元上司の警察署長(大杉蓮)、プロファイラー(中島尚子)が
各猟奇殺人事件を操る西園信二との対決を描くいわゆるホラー、スプラッタ系の作品。

公式HPはこちら http://www.mpd-psycho.com/
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第1巻
第1話「罪の記憶と漂う花」

フラワー殺人事件。
こう書くと気持ち悪くないが実は死体を頭部だけを出して土に埋め、
被害者の頭蓋骨を切り取り、脳みそに花をいけるという無茶苦茶気持ち悪い話。
雨が降ってないのに、雨の映像をかぶせたり、光の雪を降らせたり、
やたら映像には凝ってます。
そして被害者の左目にバーコードがある。
ってそれ何?
スキャンすると値段でもわかるの?
うーん、謎だ。この伏線はいかに?

肝心の塩田くんですが、大杉蓮の部下で(なぜか直属の部下)大卒の新入警察官で
殺人事件の現場を再現するのが趣味のフィギュアオタクのマナベマサアキ。
この回での登場シーンは4回ほど。
1、まずは喫茶店でサボってる署長を呼びに来るところ。(ここは顔あまり写らないのでわかりづらい)
 でも手足をばたつかせいかにも慌ててる様子で「殺人事件ですぅ!!」というところは
 インパクトのある登場!(アップがないのが本当に惜しい)
2、ついでの殺人現場のシーン。
3、そして捜査会議。フィギュアを披露して本庁のスタッフに「何ふざけてるんだ!」
 としかられ「フィギュアは文化だ!」と反論する。
4、犯人をプロファイルし大杉が発表するところ。
この回は他に死体ビデオの販売オタクとかレギュラー陣の紹介篇で、
マナベくんはそれほど登場しない。

全体的にオーバーアクト気味で(声もいつもより1オクターブ感じ)
コメディリリーフ的位置付けとしてこれからも登場の模様。

第2話「世界制作の方法」
妊婦殺人事件。
妊娠中の妊婦を殺害し胎児を持ち去るというもっと気持ち悪い話。
食事しながら観る作品ではない。(ちなみに私は夕食を食べながら見たので美味しく食べられなかった)
マナベクン出演シーンも増え、大杉の助手としてますます活躍の模様。
フィギュアを前にすると恍惚とした表情をする以外は割とフツーのセンスの持ち主。
犯人の異常な行動に疑問を感じ、雨宮一彦に質問するポジションは
シャーロック・ホームズにおけるワトソン役といったところ。
今後の活躍を期待。

で1話2話観てなんか変だなあと思っていたが、塩田くんをはじめ警察官の制服が
変更になる前の制服なんですね。
設定を昭和にしたところといい、この制服に対するこだわりといい、
結末にどう生かされるかに期待。


第2巻
第3話「人生は常に二重螺旋の構造をまとう」

各地の高校で起こる大量殺人事件。
今回は1、2話と違ってスプラッタシーンはなく、
拳銃乱射のバイオレンスシーンぐらいなのでそれほどエグくはない。

でも今までの西園信二だけでなく遺伝子操作による
国民の国家的管理の謀略も見え隠れし始め、ポティカルフィクションの
様相も見えてきた。
これらの事件を操る本当の犯人は一体誰なのか?
また最後のビデオに登場した少年は、小林洋介なのか?

塩田くんは出演シーンは少なかったが、見せ場はさらっている。
まずは大杉漣と見せる漫才シーン。
何故、漫才?と思われるだろうがそれは見てのお楽しみ!
ここはサイコシリーズの中でも塩田くんの見せ場でしょう。
あとは大杉漣の署長の前でパソコンをやって見せるところ。
でも指の動きからすると、あれは実際には打ってないですね。
ラストで西園が犯人に拳銃で撃たれそうになった瞬間、犯人が
狙撃される。
カット変わって「当たった・・」というセリフともライフルを
下げる塩田くん。
見せ場なのに大杉漣のカットのみで塩田くんのアップがないんだよ。
ホントわかってない!

第4話「つぶされた蟻」
バラバラ死体による殺人。死体の破片にはそれぞれ番号がタトゥーのように
付けられていた。
題してナンバーズ殺人事件。

死体を切り刻んだり、またスプラッタシーンが出てきて
私、うんざり。
さらに舌の先に目玉がついてる怪人物が出てきて
ますますわからなくなるなあ。
あと2話もあるかと思うとげんなりする。
でもいろいろ張られた伏線がどう結びつくか興味あるので
最後まで見てみたい。

で塩田くん。
今回はあまり印象に残る活躍はしない。
死体発見現場のシーン、続く捜査会議のシーン、
(ここで大杉漣がギターを持って歌いながら登場するが、
こういうシーンを作るそのセンスがよくわからない)
大杉と一緒にネットサーフィン(といってもよいのか)のシーン、
終盤近くの犯人の追跡シーンぐらいかな、うん。


第3巻
第5話 「呪われし王の戴冠式」
人体発火事件。
病院に進入した西園信二。
抗体がどうした、ネットワークを遮断しろ、
人格プログラムはMO一枚分とかますますわからなくなってきて
途中からストーリーを理解するのは止めにした。

で塩田くん。
今回は捜査会議でのフィギュアでの事件現場再現はなく、
人体発火のフィギュアの試作品を大杉漣の前で披露。
ところが火薬の量を間違え、部屋ごと爆破させてしまう。
続くシーンで頭に包帯を巻いたりして、なんだか「ドリフの大爆笑」のノリ。
そのあとの病院のシーンでもちょろちょろ活躍してました。


第6話 「天にのぼる魂と人間の絆」
解決篇。
事件の全貌が明らかになる。
今まで少しずつ明かされてきた事件だったが、
アメリカで始まった50年以上にわたる遺伝子操作実験が影にあった。
そして日本にその遺伝子が渡り浅間山荘事件にも関わっていたとは。
全てをなかったことにしようとする国家に対し、
ラストシーンのマナベ製作のフィギュア販売で事件を残そうとする笹山と
マナベの名コンビがいい。

で塩田くん。
今までのなかでいちばんの活躍じゃないだろうか?
バーコード殺人事件の捜査本部が突如として
なくなり、ダンボールを抱え途方にくれるところ。
制服も現行のタイプに変わり、車をレッカー移動させてる
姿が可愛い。
電話の中継基地の爆破。
そして極め付きはラストの東京ビッグサイトにおける
フィギュアの販売シーン。
今までにない饒舌振りを見せてくれる。


全体の感想

正直言って5話までは好きになれなかった。
本当に好きになれなかった。
ホラースプラッタ系という私が好きでないジャンルの作品という事も
あったが、それ以上に人の生死、誕生と終わりについて
めちゃくちゃイージーに考えているような印象を
持ったからだ。
妊婦のおなかから胎児を取り出すとか、
死体を切り刻んだり、人間の生命の尊厳を軽く扱われてる
気がして受け付けなかった。

特に3話の漫才シーン。
映画としては全体に陰惨な話なのでコミカルな部分として
笑いが取れるシーンもバランスとして必要なのは理解する。
しかしあそこで漫才をする感覚が私にはどうも理解できない。
人の生死に関して何か感覚が麻痺してないか?

これって私自身の理解力の問題なのだろうか?
それとも私と作者たちと根本的に考え方があわないのだろうか?

最終話はスプラッタ系の話ではなく、むしろ国家的謀略
が見え隠れするポティカルフィクションになっていて
最後になって許せる作品となった。
国家による国民統制に反対する姿勢が見えて
少しホッとする。

塩田くんが出演してなかったら多分観ない作品だった。
その塩田くんにとって代表作になった。
第3話の漫才シーンなどが、がんばっていて面白い。
(さっき同じシーンをけなしたがそれは監督たちの問題であって
塩田くんの責任ではない)

でも何で目の玉にバーコードがプリントされてるか
理解できなかった。
それってどっかで説明されてましたっけ?
多分アナログではなく、デジタル的なものの象徴として
出たのだとは思いますが・・・・・・・

(05/07/23amazonリンク追加、全体の位置修正)