2001年7月

猿の惑星
ジュラシックパークV パールハーバー
メトロポリス テイラー・オブ・パナマ

猿の惑星

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日時 2001年7月28日16:40〜
場所 新宿文化シネマ2
監督 ティム・バートン

20年以上前の話だが、その頃はテレビ局各局に看板の映画劇場枠が
あり、今で言う改変期の期首特番に大ヒット映画を持ってくることが
多かった。
レンタルビデオがなかった時代だから、映画は映画館かテレビの
映画劇場を見るしかなかったのだ。
そしてそこでは映画評論家が映画の最初と最後に解説やエピソードを加えるのが常だった。
(ちなみに月曜のTBSは荻昌弘氏、水曜の日テレは水野晴郎氏、金曜のフジは
高島忠夫氏、日曜のテレ朝は淀川長治氏だった)

そんな時代にこの「猿の惑星」のオリジナル版はTBSでテレビ放送され
この時に見たのが私の「猿の惑星」の初体験である。
猿のメーキキャップのすごさが売りの一つになり、
この番組のために、ハリウッドからメーキャップアーティストを呼び、
番組の最初で荻さんに実際にメーキャップをはじめ、途中一回進行状況を
写し、最後の解説の時には荻さんのメーキャップは完成し、
猿のメイクで解説を加えていた。

ラストシーンはもちろん衝撃を受け、家族で見ていたので
そのあと、「日本映画だったら何があそこで登場するのがいいんだろうかねえ」
などと話した事を憶えている。


何故延々と昔話をしたかというと、それだけこの映画は私の記憶に強烈に残っているのだ。
それゆえに今回の「猿の惑星」には期待と不安が入り混じっていた。
で結論を言うと「失望」であった。

リメイクではどうしても前作との比較が付きまとう。
(リ・イマジネーションとか言ってるけど要はリメイクだ)
前作は人類の行いに対する強烈なアンチテーゼがあり、
「博士の異常な愛情」「渚にて」のような人類終末ものの一種として
(それを最後まで観客に気づかせないところがポイントなのだが)
作られていた。
今回の作品では、ドラマの要因が主人公の無鉄砲さに由来しており、
劇中、猿顔の本人も「俺のせいでこんな事になってしまった」と嘆く通り、
「お前のアホさ加減でこんな事になってしまった」のである。
これでは前作の一番重要なスピリットが生かされていない。
ただ猿に支配される恐怖だけだ。
面白くも何ともない。
(今回の猿は前作と違ってジャンプ力がすごかったり、
樹などにぶら下がっての移動がうまかったり猿度がましてるけど)
それと黒を基調とした色使いのせいで画面がずーっと黒いのも
あんまり好きじゃない。(趣味の問題だが)

ラストに一応新しいオチもついてるのだが、これも大した事なくてねえ。
はっきり言って直前で私はオチが読めました。
なんだか昔の「ミステリーゾーン(トワイライトゾーン)」程度のオチだなと
思っていたら、エンドクレジットに「ロッドサーリング」
(トワイライトゾーンの製作総指揮)の名前がチラッと見えた。
私の見間違えか?
これから見る方、ちょっと確認して私の勘違いかどうか教えていただけると
嬉しいです。

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ジュラシックパークV

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日時 2001年7月28日19:00〜
場所 新宿スカラ座
監督 ジョー・ジョンストン

「猿の惑星」を見終って明治通りを歩いていたら
「ジュラシックパークV」の先行オールナイトがあと5分ばかりで始まるところ。
少し迷ったが「猿の惑星」が期待外れだったため、口直しに見ることにする。

今回は前作よりは出来がいいと聞いていたが、評判通り。
パンフを読むと科学考証的に見るとかなりいい加減らしいが、
それはこの際たいしたことではない。
最初のほうでの研究所あとでのラプトルの登場の仕方がいい。
瞬きするあたりの呼吸は最高だ!

中盤のクライマックスのプティラノドン(東宝の「ラドン」のモデルだ)
との空中対決は決まっている!
この手の映画では小道具の生かし方(武器でないものを使ってどうやって
相手を倒すか)が勝負だと思うが、ここでのパラセイルの使い方は効いている。
あと携帯電話の使い方も良い。(1作目の93年ごろは携帯電話って今ほど一般的じゃ
なかったよな)

この映画のスピード感あふれるリズムは最高だ。
惜しむらくはラストのラプトルとの対決がちょっとあっけなかったところ。
あのシーンはあれでいいのだけれど、もう一ひねり欲しかった。
(最後に軍隊と巨大恐竜の対決とかさ)
もう一つ言えば、登場人物の一人にバスルームの改装業の職人がいるんだけど、
その職業的特技を生かして恐竜を倒すシーンがあるともっとよかった。

この映画、上映時間1時間33分てパンフに書いてあるけど5分ぐらいのエンドロールも
はいっての時間だから正味1時間半ないんじゃない?
もう少し見たかったというのが本音。
でもこの調子であと1、2本はこの「ジュラシックパークシリーズ」も見たい気がする。

今まで見た夏の映画の中ではこれが一番良かった。
皆さんにも是非お薦め!!!

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パールハーバー

(公式HP)

日時 2001年7月14日19:10〜
場所 新宿ピカデリー2
監督 マイケル・ベイ

長かったなあ、3時間もあるのだよ、この映画。
「タイタニック」のような大河ロマン的な売り方をされてるけど、
面白さにおいて比較にならんよ。

主人公の二人のパイロットと看護婦との恋愛話が延々1時間半も続くんだ。
これが昔のオールディーズ青春ドラマ並みのチープさで「面白くない」の一言。
「タイタニック」と比較するとあちらはディカプリオと女の子の
恋を縦軸に、タイタニック沈没の歴史的事実や、いろんな登場人物のエピソード
がちりばめられており、階級差の恋愛というチープな話に関心がない人には
タイタニック沈没のドキュメントが楽しめるような構成になっていた。

ところが今度はそういったドキュメンタリー的な部分はほとんどなく、
(時々登場する日本海軍のなんという安っぽさ)
延々と「男女がくっついて離れてまたくっついて」をやるのだよ。
戦争映画でもあるのは事実なのだから、戦争映画としての醍醐味も
描いて欲しい。

それとやっと1時間半たって出てきた真珠湾攻撃シーン。
撮影技術はすばらしいが、ドラマとして盛り上がらないのだ。
原因は伏線、脇役の描きこみのなさ。
例えば「連合艦隊」(81)においては中盤のレイテ決戦では
丹波哲郎たちの参謀部の動き、長門裕之、なべおさみらの脇役の
兵隊たちのエピソードがきちんとしてるので、
一つの海戦のなかで複数のドラマが進行し、見飽きないが
「パールハーバー」の場合、無名戦士の伏線、エピソードがないので
単なる破壊スペクタクルで終ってる。
唯一それらしいのは黒人の料理人(というか皿洗い)ぐらいなのだが。
あのくらいの比重を持つ軍人がもう2、3人いればまだ見れたかも知れない。

でもこの肝心の真珠湾攻撃シーンなんだけど、予告編で全部見せちゃってるんだ。
だから真珠湾攻撃シーンだけを見たいなら、わざわざ見に行かなくても
「A.I.」を見たら多分上映される「パールハーバー」の予告篇を見れば
充分この映画を見た気分になります。

でそのあと東京空襲になるんだが、これも盛り上がりに欠ける。
原因は空母がどこまで日本に近づき、どこから爆撃隊が飛び立って、
どういうコースをたどり、どの程度の被害を与え、
結局中国のどこへ降り立ったかという歴史的事実の積み重ねの説明がないため、
ウソっぽい三流戦争映画になってしまっている。

それに日本人には気になる日本海軍のチープさ。
あの記録映画と過去の映画のフィルムの使いまわしと批判された低予算の
「ミッドウエイ」(76)でも山本長官は三船敏郎を起用していた。
今回は予算がなかったとは言わせまい。
日本人の俳優をオーディションしてどうのこうのというのがめんどくさければ
日本の映画会社に委託し、そのシーンだけ日本人監督に撮ってもらう方法だってあったはず。
今回、山本長官をマコ岩松にしたのは、日本側も描くという気が最初から
なかったのだろう。


山城新伍がラジオ(文化放送「やる気MANMAN」6/25,7/2放送分)で
「ウォルト・ディズニーなんてハリウッドの赤狩りのとき政府側に情報を
流した右翼野郎だから、そんな奴の意思を継ぐ輩が作った戦争映画なんて
アメリカの国威高揚映画でろくなもんじゃないに決まってる。
見てないのにそんな事言うのは良くないとは思うが」
と批判してたけど、山城さん安心してください。
それ以前のただのつまらない映画です。

結局のところ、B級戦争映画の脚本を超A級の予算をかけて作った映画で、
「いかに予算をかけても脚本がつまらなければダメ」という見本みたいな
映画でした。
個人的にはヨハン・ポーリックに少し似た
ジョシュ・ハートネットくんは好みだったけど。

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メトロポリス


日時 2001年7月8日18:00〜
場所 新宿ジョイシネマ2
監督 りんたろう

別に友人のつもりにするわけではないが、自分は別にこの映画は
観る積もりはなかったが、誘われたので観にいった。
退屈だった。

「A.I.」を観た後なので特にそう思うのだが、もうロボットものは飽きたよ。
ロボットと独裁者と未来都市なんて素材自体が古くないか?

ロボットに愛はあるかとか、人間は感情に動かされる不完全なものとか
完全な人工知能が人間を支配するとかしないとかもう聞き飽きた。
使い終わったロボットをどうするかというその先を描いた「A.I.」を観た後では
余計にそう感じるのだ。

手塚治虫のマンガによくあったスラップスティックなギャグはなく、
未来都市の割にはデザインがアナログっぽく、(これが手塚らしさと言えるのだが)
こういう言い方は好きではないのだが、時代遅れなのだよ。

結局、途中から映画に参加するのをやめ、今まで映画テレビに登場したロボットで
一番好きなのは「宇宙家族ロビンソン」(99年の映画「ロスト・イン・スペース」
の原作テレビシリーズ)に登場したフライデーで、二番目は「宇宙戦艦ヤマト」の
アナライザーだな、なんてそんなことばかり考え映画が終るのをひたすら
待ったのでした。

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テイラー・オブ・パナマ


日時 2001年7月7日 16:25〜
場所 新宿武蔵野館
監督 ジョン・ブアマン

007のピアース・ブロスナン主演のスパイミステリー映画。
先週、「A.I.」を観てげんなりした気分だったので、こういった快作は
大歓迎。

人妻との不倫問題を起こしてパナマに左遷された
MI6のスパイ(ピアース・ブロスナン)がパナマで特ネタを
つかもうとパナマの要人をたくさん顧客に抱えるイギリス人の
仕立て屋に近づく。
金に困っていた仕立て屋は情報料ほしさにパナマ運河を売却する計画が
ある事を先日大統領が漏らしていたと言ってしまう。
その情報に飛びついたスパイが本国に情報を送り、事態を重く見た
英米はとんでもない方向へ動き出す!

と言うのが内容。
小心者の仕立て屋に時々アドバイスを送る死んだおじさん
(彼の良心の声でもあるのだが)がちょこちょこ顔を出すのが
ユーモラスだし、何より最初1000万ドル!といっていた金額が
情報が上に伝わるにつれ、1500万ドル、2000万ドルとつりあがって
いくあたりは最高におかしく、場内で大笑いしてしまった。
007と違って不良スパイのピアース・ブロスナンが楽しい。
(セリフの中にショーン・コネリーが出てきたり明らかに映画は
007を意識している)
またブロスナンとともに仕立て屋のジェフリー・ラッシュも好演。

年末のベストテンで高い評価を受けたり、大ヒットするタイプの作品では
ないけれど、「レインディアゲーム」「シンプルプラン」のような
ミステリーの快作。
劇場まで見に行かなくても、「今日は暇だから何かレンタルビデオでも借りようかな」
って気分の時に見るのには最高。
見て損はないです。

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