2004年1月

ラスト・サムライ マトリックス
レボリューションズ
NINE 9 トラ・トラ・トラ!

ラスト・サムライ


日時 2004年1月24日19:10〜
場所 新宿ピカデリー1
監督 エドワード・ズイック 

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南北戦争の勇者、オールグレン大尉(トム・クルーズ)は今はウインチェスター社の
ライフルを売り歩く宣伝塔として働く身に落ちぶれていた。
そんな時トウヨウの小国、日本に軍事教官としての働き口が見つかった。
近代化を急ぐ日本だったが、かつての武士道を守りつづけようと現政府に反旗を
翻す一派もあり、その中心になるのが勝元(渡辺謙)だった。
政府軍として勝元と一戦交えたオールグレンだったが、捕虜になってしまう。
最初は反発したオールグレンだが、やがて勝元の生き方に共感を覚えるようになる。


アメリカ人が撮った時代劇、人物設定とか時代考証とか少し疑問を感じる点も
あるが、私をはじめとして日本史なんかよくわかっていない現代日本人には
それほどの違和感はない。
それよりここまで武士道とか侍と言ったものを持ち上げて描かれると面映くもある。
「いえいえそれほどのものでもないんですが」とつい謙遜したくなってしまう。

そんなことより感心したのは画の美しさ。
コダックフィルムの暖色系のカラーに極力自然光を使って撮影された画は本当に
美しい。
近頃の日本映画の画の汚さにいやになっているので、この映画の画の美しさには
ため息が出るくらいだった。

そして衣装をはじめとして美術の素晴らしさ。
着物の小じわのより具合など本当にリアルな感じがする。
これを見てしまうとTVの時代劇など皺もなくぴちっとしすぎていて化学繊維で
出来てるようで実にウソっぽい。

またラストの合戦シーンのエキストラも実にさまになっていた。
合戦シーンはオーストラリアで撮影したらしいから、登場した軍人たちが日本から
連れて行った日本人なのかどうかはっきりしないけど、実に本物っぽい。
「近頃はエキストラの質まで落ちた」と思われるような昨今の日本映画だが、
エキストラにいたるまでメイク、衣装、そして軍人としての訓練をちゃーんと
やれば出来るじゃないか。

日本映画で戦争映画が撮れないのは技術的に出来なのではなく、予算的に
安易に撮らざるを得ないのだろう。
戦争映画などでみる「変な日本軍」というのはすみずみまで金をかけられない
証と言えるかも知れない。
日本を描いたアメリカ映画で日本映画の貧しさを実感してしまう映画だった。


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マトリックス・レボリューションズ 

日時 2004年1月11日15:40〜
場所 丸の内ルーブル
監督 ラリーウォシャスキー
アンディ・ウォシャスキー

(公式HPへ)

ストーリーの方は最初っからよくわからない。
前作でストーリーを理解するのはあきらめていたので
前半の地下鉄ホームのようなところでキアヌとインド人一家が
どうしたこうしたというようなところはポケーと見ていた。

アクションシーンは始まらないのかな?と思っていたら
中盤のミフネ船長が出てきて「エイリアン2」のラストに出てきたような
ロボット(?)を着て(?)向かってくるクラゲ型の機械に
機銃を撃ちまくるあたりの攻防戦は楽しかった。

ドリル型の攻撃機がどかどかと穴を開けて向かってくるあたりは
完全に「海底軍艦」の逆パターンで、絶対に影響を受けてると見た。
コンピューター世界との対決とやたらと話が小難しくなったけど、
銃弾の装填がうまくいかないとかこういうアナログな盛り上がり方の
方が僕は楽しめる。

で、ラストはエージェント・スミスとの対決。
もうこの辺では私のテンションは冷めていたから、印象は薄いのだが
「エージェントスミス」という髪の薄いスーツ姿のオジサンがスーパーマン的
悪役どころを発揮する、というちょっと珍しかったパターンだったので
今後「マトリックス」と言えばキアヌ・リーブスよりこの「エージェント
スミス」を思い出すことは私にとっては確かなようです。


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NINE 9


日時 2004年1月9日
場所 録画ビデオ(チャンネルNECO)
監督 香月秀之
製作 2000年

(詳しくはキネ旬データベースで)


渋谷のビリヤード場を溜まり場として遊んでいるグループの一人、トオル
(高田宏太郎)は千尋という謎の女にビリヤードの腕を買われる。
彼女は裏ビリヤードの大会にトオルを出場させようというつもりだった。
そんな時、政治家の娘で窮屈な生活から逃げ出そうとしてきたリカと
知り合う。
千尋の拘束に耐え兼ねて一旦は千尋から抜け出したトオルだったが
仲間の一人がクラブでの喧嘩で大怪我をしてしまう。
その治療費を稼ぐ事と、勝負への情熱を取り戻したトオルは再び千尋の
元に戻り、ビリヤードの大会に出場する。

面白くも何ともない。
ビリヤードものかと思っていたが、実はビリヤードの勝負シーンはそれほど
盛り上がらない。
ラストの大会で東幹久のハスラーと対決するのだが、これが45セット先取したほうが
勝ち、というもの。
もちろん対決する二人ともそれなりの名人だから、先攻の方がミスショット無しで
どんどんナインボールをポケットに落として勝っていく。
相手がミスったところで交代でまた延々とポケットに落としつづけるという
ものだから、逆転逆転、相手との心理戦というような、勝負の世界を描いた既存の
映画のような盛り上がりが全くない。
(ラストでトオルがナインボールを入れた後、白球がポケットに落ちそうになるところ
ぐらいかな、盛り上がるのは)

で、この手の映画でよくありがちな名師匠と出会って、特訓されて・・・というような
所もほとんどない。師匠役でミッキー・カーチスが登場するが、大した練習はしていない。

サイドストーリーとして、お嬢様のリカとの「ローマの休日」風のラブストーリーが
あるが、これが「お嬢様が運転するスクーターが花屋に突っ込む」というまんまの
マネまでしている。

じゃ何故この映画を見たかというと応援している俳優の塩田貞治くんが出演しているから。
でもどこに出ていたか発見できなかった。



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トラ・トラ・トラ!

日時 2004年1月2日
場所 DVD
監督 リチャード・フライシャー
深作欣二
舛田利雄
製作 1970年(昭和45年)

(詳しくはキネ旬データベースで)

太平洋戦争開戦の日本の真珠湾奇襲攻撃を描いたアメリカの戦争大作。

今でこそテレビ放送はなくなったが、70年代は8月には「日本のいちばん長い日」
12月には「トラ・トラ・トラ!」をテレビで放送するのが年中行事で、そのおかげで
何回も見た映画の一つだ。
日本でそんなに何回も放送されたのはアメリカ映画にも関わらず日本軍の描き方が
まともだったから。
(「パールハーバー」はひどすぎたが)

山村総の山本五十六をはじめ東野英二郎(南雲長官)三橋達也(源田航空参謀)
田村高広(淵田少佐)、山口司令官(藤田進)、近衛首相(千田是也)、東條英機
(内田朝雄)などなど日本映画界のスターで演じられていて、既存の日本映画の
海軍物と違和感がない。

まずそれが僕にとってのこの映画の魅力の一つ。
そしてあとの魅力はなんと言っても後半30分以上にわたる真珠湾攻撃シーンだ。

円谷英二の仕事をどうこう言うつもりはないのだが、所詮は「本物の飛行機を飛ばしたり
本物の空襲シーンが取れないからその代用品」だった。
もちろん盆栽が庭園とは違った新たな魅力を持っているように円谷特撮も魅力ある世界で
あることは間違いない。

しかし大空をゼロ戦(若干、形は違うが)や艦上爆撃機が飛びかう姿はもう
ただただ圧巻だ。
製作の1970年当時の実在する飛行機に改造を加えて塗装したレプリカの
ゼロ戦だから本物のゼロ戦よりスマートさにややかけるがそれでも見ごたえは充分だ。
また同様に冒頭の山本五十六の司令長官就任のシーンの戦艦上に立ち並ぶ軍人の
数を見ればそれだけでもう圧倒されてしまう。

60年代には「史上最大の作戦」をはじめとしたこういった大物量戦争映画が
数多く登場した。
主にヨーロッパ戦線を扱ったものだったが、その中で同様の規模で日本軍が描かれたのは
日本戦争映画ファンとして誠に嬉しい。

この映画ではフィクション的なエピソードは極力避け、客観的事実を中心に構成されていく。
だから日本の戦争映画にありがちな故郷に母や婚約者を残してきて、
というような泣かせのドラマはなく、登場人物も実在の人物に風貌が
似ている俳優をキャスティングし、ドキュメンタリー的に展開している。

またこの映画に登場する米軍はかなり間抜けに描かれてる。
日本軍は爆撃訓練を行っても命中率が高いが、アメリカ軍はハルゼー提督も嘆く
ようにレベルが低い。
またワシントンの情報部も、ハワイのレーダー基地も日本軍の攻撃を察知していたにも
関わらず、すべてが生かされること泣く大打撃を受ける。
よくこんな米軍のヘマばかりを描いた映画を作ったなあと思ったが、やっぱり
アメリカではヒットしなかったらしい。

アメリカ映画の予算で日本人が主役の戦争映画になってしまっており、日本映画
ファンにはこれほど見ごたえのある戦争映画はない。


追記、現在FOXから発売されているDVDはアメリカ公開版。従って日本人の登場シーン
には英語の字幕が入る。
また以前この映画をテレビで見た時には渥美清と松山英太郎の空母赤城の炊事兵のシーンが
笑いのシーンとしてあったが、このDVDにはない。
このシーンは日本公開版にだけあった様である。



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