2005年10月

東海道お化け道中 私の頭の中の消しゴム ロング・グッドバイ 妖怪大戦争
あんにょん・サヨナラ 眩しい一日 運命じゃない人 友へ チング

東海道お化け道中


日時 2005年10月30日
場所 録画DVD
監督 安田公義
    黒田義之
製作 昭和44年

(詳しくはキネ旬データベースで)


悪いヤクザの親分がいて、いいヤクザの親分を待ち伏せして殺そうとしていた。
しかしその場所には祠があってそこでお祈りをあげている爺さん(左卜全)がいた。
爺さんが言うにはここで殺生を起こすとたたられるからやめろという。
しかし悪い親分はそんな爺さんを切って捨てる。
やがていい親分がやってきていい親分は殺され、悪い親分の悪事の証拠の書付を
取り上げようとする。しかし書付は風にまい、近くにいた少女が拾う。
少女は爺さんと二人暮らしの孫娘。爺さんは死に際に東海道を行ったところにある
町にすむ父を訪ねろという。
少女は一人で旅を始める。それを追う悪い親分の手下。
しかし少女は旅人の百太郎(本郷功次郎)に助けられながら旅をする。

大映お化け映画の一本。
「妖怪百物語」「妖怪大戦争」と違って妖怪たちにキャラクターはなく、ただの
お化け集団でしかなく、前2作とちょっと趣が異なる。
妖怪たちの個性がない分、地味、というかはっきり言ってつまらない。

で娘の訪ねる父が実は悪い親分の手下で・・・という展開で途中で先が読める。
離れた親娘、悪いヤクザ、お化けを適当に組み合わせただけでひねりも面白さも
乏しい。
これで妖怪たちがもっと前面に出てきて、唐傘やらろくろ首が娘の道中を助けるなら
面白みもあったのだがなあ。
なんだか股旅ものにお化けの要素を足しただけの新鮮味のない映画になってしまった。

かといってまったく魅力がないわけではなく、シーンとして印象に残るところあり。
自分の娘と気づいた手下(ええい書いちゃえ、戸浦六宏)が娘を逃がそうとするところを
悪い親分に見つかってしまう。
で娘とサイコロの勝負をして娘が勝ったら助けてやるという。
二つのサイコロで丁半勝負をするのだが、娘が勝つと「今のは小手調べ。今度が本番だ」
とまた勝負させる。で今度も負けると「だいぶわかってきたな。勝負ってのは3回するもんだ」
となんくせをつけまた勝負。今度はいかさまをして親分が勝とうとするのだが・・・・
というあたりは親分の憎憎しさが印象的。
悪い奴はこのくらい悪くないと面白みがない。

まあ、そんな悪い奴らも最後はお化けにたたられて自分達で切りあって滅びてしまうのであります。



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私の頭の中の消しゴム


日時 2005年10月30日18:55〜
場所 新宿ピカデリー1
監督 イ・ジェハン

(公式HPへ)


不倫に敗れたスジン(ソン・イェジン)はファミリーマートでコーラを買ったことが
きっかけで建築技師のチョルス(チョン・ウソン)と出会う。
二人は父親を説得し、やがて結婚、幸せな新婚生活を送る。
もともと物忘れの多かったスジンだが、このところひどいので病院に行って診察を
受ける。しかし彼女は若年性アルツハイマー病と診断される。
彼女は愛する夫のことも忘れていくのだった。


釜山国際映画祭から帰って以来、すっかり親韓的な気分になったので話題の韓国映画を
見る。
普段ならラブストーリーで難病ものなら見なかったのだが、ちょっと期待するものも
あったのだ。
しかし、やっぱり難病ものラブストーリーの域を出ておらず、愛し合ってる二人の
一人が病気になってああ悲しい、で二人の愛は永遠よ!でしかなかった。

ちょっと期待したというのは不治の病で死ぬのではなく、「アルツハイマー病」で
あるということ。
徐々に記憶を失っていくことによる社会生活の支障(例えば仕事で大ミスをするとか、
家で火を出してしまい、火事になってしまうとか)を見てるものが怖くなる(ホラー映画
の怖さではなくて)ような描写、そして排泄物にまみれてしまうとかの残酷さを
見せてくれるかも知れないとちょっと思ったのだが。

そんなあたりはスジンがみんなのいる前で失禁してしまう程度で(これもなかなかの
描写だが)やっぱりただの難病ものの域を出ていない。
アルツハイマー病って本当に怖いと思うよ。
将来自分がなったときのことを考えると本当に怖い。
癌より人に迷惑をかけそうだしなあ。

映画として記憶に残るのはやっぱりファミリーマートでの出会いと、それを再現するラスト。
映画を見たあと、ファミリーマートでコーラ買いたくなりましたねえ。(買わなかったけど)
バラエティ番組でパロディされそうな感じだけど、架空のコンビニではなく、「ファミリー
マート」って実名を出してくれるほうが、なんかリアリティがある。
これが「誰も知らない」だとどこのコンビニかよくわからないし。
企業イメージがあるんでしょうけど、はっきり実名を出したほうが現実感があって好きです。

「映画の半券ををファミリーマートに持っていくとコカコーラ製品が割引になる」っていう
キャンペーンをやればよかったのになあ。
そういうこと思いつかないのかな?それとも何か問題でもあったのか?

追記
主人公のスジンはルイ・ヴィトンの財布やバッグを使ってた。ルイ・ヴィトンの人気は
日本だけではなく、韓国でも人気のようだ。



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ロング・グッドバイ


日時 2005年10月29日
場所 DVD
監督 ロバート・アルトマン
製作 1973年

「ロング・グッドバイ」に関しては「名画座」に記載しました。


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妖怪大戦争


日時 2005年10月23日
場所 録画DVD(日本映画専門チャンネル)
監督 黒田義之
製作 昭和43年

(詳しくはキネ旬データベースで)


江戸時代の伊豆半島。
雷鳴とどろき、バビロニアの遺跡から数千年の眠りから覚めた妖怪・ダイモンが
日本にやってきた。
温厚で民衆思いの代官(神田隆)に乗り移り、何食わぬ顔で代官所に戻る。
信心深かった代官は人が変わったように神棚や仏壇を壊しだす。
その異変に気づいた代官所の庭に住む河童は代官が妖怪ダイモンに変わっていることに
気づき、仲間に助けを求める。
しかし仲間は「そんな奴は『日本妖怪紳士録』に載っていない」と河童の話を信じない。
代官の娘の許婚の若侍も代官の異変を叔父(内田朝雄)の神官に相談する。
神官は自らの力で代官に妖怪が乗り移っていることを見抜く。
お払いをしようとする神官だったが、彼の努力もむなしくダイモンの魔力には負けてしまう。
そんな頃、ようやく妖怪たちも河童の言っていた怪物が西洋の妖怪だと気づく。
妖怪たちは力を合わせて戦いだす!

この夏リメイクされた「妖怪大戦争」のオリジナル版。
僕も子供の頃にまともには全部見た憶えはないのだが(怖かったので)、チラッとテレビで
見たり、雑誌に紹介記事は載っていたのでなんとなくは憶えていた。

なんというか妖怪たちのハリボテ感がたまらない。
特殊メイクなどというシロモノではなく、完全な「かぶりもの」だ。
そこのところの「ほのぼの感」がなんとも言えず、脱力するようなにんまり笑ってしまうような
なじみやすさだ。
ろくろ首や河童とか唐傘お化けとかなんだか馴染みのあるのから、見たこともないような
妖怪たちが繰り出すあたりは本当に楽しくなる。

でも「そんな西洋の妖怪をのさばらせておいたら日本妖怪の名折れや!」と怒り出すあたり、
決してそんな意図はなかったと思うが「西洋の侵略は絶対に許さない。日本人は偉いのだ!」
という戦前的な考え方がなんだか見えてしまった。

リメイク版では「産業廃棄物の怪物」を敵としたところは「いまさら『西洋が敵』でもあるまい」
とリメイク版の製作者達が思ったのかも知れない。
だから変更されたのが何故だったか、自分なりに納得した気がしました。



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あんにょん・サヨナラ


日時 2005年10月9日19:30〜
場所 韓国釜山海雲台MEGABOX3
監督 キム・テイル
    小林由紀子

「あんにょん・サヨナラ」に関しては「名画座」に記載しました。


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眩しい一日


日時 2005年10月8日21:30〜
場所 韓国・釜山・海雲台MEGABOX2
監督 キム・ソンホ(「宝島」)
    キム・ジョンクヮン(「Good−Bye」)
    ミン・ドンヒュン(「空港男女」)

「眩しい一日」に関しては「名画座」に記載しました。


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運命じゃない人


日時 2005年10月2日16:35〜
場所 ユーロスペース1
監督 内田けんじ

(公式HPへ)


気弱なサラリーマン・宮田武がある金曜の夜にうちに帰ると
中学からの親友で今は探偵の神田から呼び出しを受ける。
別れた、しかし未だに忘れられない女性・あゆみについて話が
あるというのだ。
しかし呼び出されたレストランに行ってみると神田の話は大した話じゃない。
神田はたまたま近くの席に居合わせた女性・真紀を同じテーブルに誘う。
いつの間にかいなくなる神田。行く場所のない真紀を自分のマンションに
連れてくる宮田。しかしそこに別れたあゆみが「ちょっと荷物取りに来た」と
やってくる。
一体何がどうなってる???

評判のよさにつられて見に行ったが、評判を裏切らない面白さ。
時間の進行にそって話が進んでいくのではなく、登場人物それぞれの
視点から物語が語られるので時間軸はあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
この手法、宮藤官九郎の「木更津キャッツアイ」の頃から(というわけではない
のかも知れないが)流行りだした話法だが、今回はミステリーというかサスペンスに
用いられてもっとも成功した作品だ。

話が転がりだすまで(宮田のマンションにあゆみが来るまで)がちょっと長いのが
難点。というかもう少し全体的にテンポをアップしていればもっと面白かったのにと
残念に思う。

しかしとにかく脚本がよく出来ていて、あの時のあのセリフの裏ではこんなことが行われて
いた!という話の意外性、逆転ぶりにまずは楽しませられる。
パンフレットのインタビューを読むと脚本重視の映画を作りたいらしいが、
応援したいねえ。
そのインタビューでも監督が言ってるけど、最近の監督は映像重視すぎ。
大体かっこいい映像なんてカメラマンさえよければ何とでもなるもので、最近の
監督は脚本がかける人がいないなあと思っていたが、ここに脚本重視派が
ちゃんといたのだ。

でも撮影期間は2週間だったとか。
キャストも「個性派」といえば聞こえはいいが、スター性はなく、正直華がない。
これがスター級の俳優が出演し、予算ももう少しあればよかったのにと思う。
そうすればもう少しヒットしたろうになあと惜しく思う。

内田監督、次回はもっとよい環境で作らせてあげたいと思う。
真に思う。これからの彼に期待したい。



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友へ チング


日時 2005年10月2日
場所 レンタルビデオ
監督 クァク・キョンテク
製作 2001年

(詳しくはキネ旬データベースで)


1976年韓国・釜山。
4人の少年は一緒に海に泳ぎに行ったり、エロ本をまわしみたり、いつも一緒だった。
中学は別々だったが高校はまた同じになりつるむようになる。
しかし月日は過ぎ、その中のヤクザの息子のジュンソクは父の死をきっかけにヤクザ社会
に身を投じ、ドンス(チャン・ドンゴン)は対立する組に入る。
いつしか二つの組は対立し、ジュンソクもドンスも敵味方に分かれてしまう。

「ここにあったか東映映画!」とまずはうなった。
個人の友情とは関係なく、組同士の対立から二人は敵味方に分かれていく・・・・
というパターンは何百回と三角マークの東映映画で描かれてきた世界だ。
東映映画にあった義理人情、仁義といった世界観は日本固有のものかと思ったら
少なくともこの東アジアでは共通の感情らしい。

ドンスとジュンソクなどかつては菅原文太や松方弘樹、あるいは鶴田浩二や若山富三郎が
演じた役柄とまったく同じ。
但し東映ヤクザ映画ではマンネリ化を防ぐため、ディテール(エピソードやゲスト出演者)
に工夫が凝らしてあったが、こちらはいわゆる遊びのシーンはまったくと言っていいほどなく、
ややつらい。
僕なんかは東映ヤクザ映画はディテールを楽しむものだと思っていたので、こういう遊びが
ないのはつらいのだが、東映映画の場合、あくまで「マンネリ防止」のためだから
この映画では必要性はなかったのかも。

また時代背景が1976年から始まって1993年ぐらいまで。
主人公たちの年は私よりちょっと下なのだが、「CALL ME」が流行っていたり、
ジュンスクがカラオケで「マイウエイ」を熱唱したり世代的な共通項を感じる部分は
ありましたね。

何故この映画を見たかというと、実は今度釜山国際映画祭に行ってくるのだが、私の泊まる
ホテルがこの映画のロケに使われたことで有名らしい。
訊くところによると看板まで立っているそうな。
そんな感じで映画自体に興味があったわけではなく観たのだが、釜山旅行のいい予習にはなりました。




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