2008年1月

ユゴ
大統領有故
グミ・チョコレート・パイン ザ・テンプターズ
涙のあとに微笑みを
HELP!
四人はアイドル

ユゴ 大統領有故


日時 2008年1月5日13:55〜
場所 シネマート六本木スクリーン1
監督 イム・サンス

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1979年に起こった韓国朴大統領暗殺事件。
映画はその当日の1日を事件前後を描いていく。

面白くは見たが、正直よくわからない。
別に映画が難解とかそういうわけではない。
その朴大統領の評価とか、犯人のKCIA部長について一般的な評価を知らなければ
解りにくいのだと思う。
そういう説明的なことは一切行わずに、大統領暗殺の当日の様子のみ描き出す。

そこには時々日本語で話す(どういう時に日本語で話す習慣があったのかよく解らない
のだが)朴大統領や側近がいる。
日本語自体は1945年以前の日本統治時代に憶えたであろうことは想像するのだが。
そして女性歌手を夕食の席呼んで都はるみの「北の宿から」を歌わせている。

暗殺犯のKCIA部長は「民主主義のため」と言って朴大統領を暗殺する。
軍事政権から民主主義国家を目指そうという革命の闘士だったのかと思うとラストの
彼の裁判の結果を伝えるナレーションが冷ややかな調子なので、少なくとも監督は
そうは思っていないと気づかされた。

朴大統領に対する知識、犯人のKCIA部長に対する知識、この事件全体の知識、と言った
物がない私にはつまらなくはなかったが「あ、そうなんだ」で終わってしまい、
それ以上の感想はもてなかった。

韓国での評価はどうだったんでしょうか?
ちょっと気になります。



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グミ・チョコレート・パイン


日時 2008年1月3日18:50〜
場所 テアトル新宿
監督 ケラリーノ・サンドロヴィッチ

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2007年、大橋賢三(大森南朋)は転勤先で会社をリストラされ東京の実家に
戻ってきた。
母親が転送しなかった手紙がたくさんあったが、その中に高校生のころ(石田卓也)憧れだった
少女からの20年ぶりの手紙があった。しかし書かれていた内容は「あなたのせいだから」
の一行のみ。
賢三は昔の友人たちを訪ね、映画とマイナーなロックに憧れていた「あの頃」を
思い出すのだった。

タイトルが何のことやらさっぱりわからず、パスするつもりでいたこの映画、評判を
聞いて見に行くことに。
タイトルの「グミ・チョコレート・パイン」とはじゃんけんの遊びで、広場で
じゃんけんをしてグーで勝ったら「グミ」で2歩進み、チョキで勝ったら
「チョコレート」で6歩進み、パーで勝ったら「パイン」で3歩進むという遊び。
このゲームを全く私は知らなかったが、これが年代の差なのか、地方の差なのか
さっぱりわからない。
しかし映画中で説明されるので知らなくてもわかる。

自分としては驚いた(というほどのことではないが)主人公たちの回想する高校時代が
87年という設定だ。
私の青春時代より10年あと。
10年後の時代ももう回想されるほどの昔になってしまったのだ。
これからどんどんそうなっていくのだろう。

でも主人公たちの気持ちはよくわかった。
時代や景色は多少変わっても、将来の不安に悩みつつ、いっぱしの映画論を語り、そのくせ
何も出来ない自分にいらだっている。
主人公達がバンドを始めたことについてヒロインは「すごいじゃん」という。
そんな何かに大して一歩を踏み出した相手をうらやましく思い、自分の小ささを嘆いていた。

「すごいじゃん」と言われてもうれしいわけではなく、自分よりもっと先を行っている
他の相手を「すごいじゃん」と思っていた。
ヒロインが言うように「人生、グミ・チョコレート・パイン」だ。
自分達のことをすごいと言ってくれたヒロインは今度は「チョコレート」してしまう。

しかし20年が過ぎる。
ヒロインは癌の病気を苦に自殺した。
自分は会社をリストラされた。
かつてのバンド仲間は実家の事業をうまく発展させ、ビルをいくつも持つに至っている。
20年経て、誰が「すごいじゃん」なのか?
20年前「チョコレート」したヒロインは自殺した。
まさしく「人生はグミ・チョコレート・パイン」だ。

そして映画はまさしく手紙の謎の一言の意味を明らかにして終わる。
鮮やかな幕切れだった。
最初は「石田卓也のオナニーシーンが何回もある」というキワモノの映画として興味本位で
見に行ったのだが、意外に鮮やかな青春映画だった。
ただし映画作りやパンクロックを行う青春ってのが他にもあった気がするので(「69」とか
「虹の女神」とか)ちょっとパターンかな、と気がしないでもないのだが。



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ザ・テンプターズ
 涙のあとに微笑みを


日時 2008年1月3日
場所 録画DVD(チャンネルNECO)
監督 内川清一郎
製作 昭和44年(1969年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


山川健一〜通称ショーケン(萩原健一)は母一人子一人の暮らしで、高校に行きながら
母(新珠三千代)が勤めるスーパーでバイトをしていた。
ショーケンは高校の学園祭のものまねコンテストで優勝したが、不良のボスがそれを
許さずショーケンの可愛がっていた鳩を殺してしまう。
そのショーケンの母をショーケンの親友の父で、スーパーの社長が見初めてしまう。
再婚話が持ち上がったとき、ショーケンはショックで家出をしてしまう。
結局見つかるのだが、そのときにショーケンの母の友人(山岡久乃)に「あなたは
本当は母の子ではない」と聞かされる。
またまたショックを受けたショーケンだが、最後には母の結婚を祝うのだった。

ショーケンこと萩原健一がいたGS・テンプターズの主演映画。
というかショーケンの主演映画なのだが。

しかしまヨレヨレのシナリオだ。
全体の構成も考えずに行き当たりばったりに話を進めたとしか思えない。
全体をつなぐ一本の線みたいなものが感じられず、話が蛇行する。
そして最後は不幸な親子の定番の展開「あなたは母親と実は血がつながっていない」
という告白。
もうこの展開はなんとかならんのかなあ。

ポップは明るさもないし、山岡久乃は育ての母で本当の母は死んでいる、みたいな
安直な泣かせる映画にしようとしていて、映画として珍しく一箇所も誉めようなない映画だった。
残念。





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HELP! 四人はアイドル


日時 2008年1月2日
場所 セルDVD
監督 リチャード・レスター
製作 1965年

(詳しくはキネ旬データベースで)


(現在発売中のDVDのタイトル表記は「ヘルプ!」ですが、公開当時の表記
「HELP! 四人はアイドル」で表記します)

中近東の秘密の宗教、カイリ教では生贄の儀式が行われようとしていた。
しかし、生贄の指には肝心の指輪がない!その指輪はなぜかビートルズのリンゴの
指にはめられていた。
カイリ教の司祭たちはイギリスに向かいリンゴの指からその指輪を奪おうとする。
指輪をはずしてもらおうとビートルズたちが頼んだ科学者が、逆にその指輪を
奪おうと追いかけてくることに。
ロンドン警視庁の助けを借りつつ、アルプス、バハマを舞台にハチャメチャな
大活躍をする!


この映画を見るのは多分30年ぶりだ。
地元の洋画の名画座(いつも3本立て)で「ア・ハード・デイズ・ナイト」
「レット・イット・ビー」との3本立てという実に豪華な番組だった。
その中でいちばん面白かった(気に入った)のがこの「HELP!」だった。
ビートルズの映画というより「コメディ」として気に入ったのだろう。
今回再見して昔ほど笑わなかったが、それでも充分の面白かった。

特に気に入ってているのは「第1部」「休憩」「第2部」「休憩」「第3部」のところ。
(見てない方にはわからないと思うが、ネタバレを防ぐためにこの辺で)
その他にもビートルズが自分達の家に帰って別々の玄関から入ったのに中ではつながっていた
とか、アルプスやバハマに登場する意味不明の水泳男とか、まあギャグの連発で見ていて飽きない。

そしてビートルズナンバーが挿入されるのだが、この映像が広角レンズを用いた遠近感のある画
を用いたり、太陽光をうまく用いた画があったり、解説書などで、「この映画のビートルズの
歌のシーンが、後のミュージックビデオのお手本になった」という話があるがそれも納得。

アーティストとしてのビートルズ、が好きなファンの方にはこのおふざけのビートルズは
あまり好きになれないかも知れないが、コメディ映画としては実に面白い。
このポップなセンスは今でも充分通用すると思う。



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