2008年8月

八月の濡れた砂 黒い蠍
カンフーダンク 旅の重さ 花より男子ファイナル インディ・ジョーンズ
クリスタルスカルの王国
世界最終戦争 冷凍人間甦る 放射能X ギララの逆襲
洞爺湖サミット危機一発

八月の濡れた砂


日時 2008年8月24日15:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 藤田敏八
製作 昭和46年(1971年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


高校生の清は砂浜にバイクを走らせているところをレイプされて車から捨てられた
少女(テレサ野田)を助ける。破れた服の代わりを持ってくる間に少女は消えていた。
清の友人で今は高校を中退した健一郎(村野武範)は母親の再婚予定の相手(渡辺文雄)
の偽善面がとにかく気に入らない。
彼らのなんとなくイライラした夏はこうして始まっていく。


かの有名な「八月の濡れた砂」だ。
噂には聞いていたがこの名作の誉れ高い映画を(実は初めて)観た。
でも正直言ってピンと来なかった。

不満はあるがそれをどうぶつけていいかわからない、といったような主人公たちの虚無感、
みたいなものはよく理解できるのだが、それが自分の心に響くかといえばそんなことは
なくて「ふ〜ん、そうですか」といった感じ。
「これがあの名作といわれる『八月の濡れた砂』か」みたいな気分だった。

しかしラスト、自分たちだけでヨットを繰り出し、最後に野田テレサが、船室から
自分のヨットを銃で撃ち、船室に穴があく。
徐々に水が侵入してくるシーンは悲劇的なラストを予想させ、秀逸。
ラストカットが海を航行するヨットをとらえた俯瞰の映像だが、自分には「狂った果実」を
思い出させた。
日活アクションの初期の傑作「狂った果実」だが、ロマンポルノになる前の最後の作品が
この「八月の濡れた砂」であったことを考えると非常に興味深い。
しかし村野さんの意見ではフランス映画「太陽がいっぱい」(未見)や「冒険者たち」を
思わせるとか。

そうそうこの日の上映では主演の村野武範さんのトークイベント付き。
中退高校生役(設定では18歳ということになるらしい)が実際は26歳ですでに
結婚していて奥さまは妊娠中だったそうだ。
道理で映画を見ていても違和感があるわけだ。

バラエティ番組で活躍する姿を拝見する村野さんを見るとこの映画や「飛び出せ!青春」や
テレビ版「日本沈没」で見せた二枚目が地ではなく、話術のうまい三枚目の方がキャラクターのようだ。
質問コーナーでのトークでも質問者に逆に突っ込んだり、爆笑トークショー。
またご来場願いたいものだった。



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黒い蠍


日時 2008年8月17日
場所 DVD
監督 エドワード・ルドウィック
製作 1957年(昭和32年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


メキシコは昔から火山の噴火などが昔から起こっていた。
新たに起こった火山の噴火の調査に地質学者のスコットとラモスはサンロレンゾの村に
向かう途中で何物かに襲われたパトカーを発見する。
村に入って火山を調べ始めたとき、近くの若き女牧場主テレサと出会う。
ラモスはその時に石を拾うのだったが、調べてみるとその石には古代の蠍が封入されていた。
石を割って見ると驚いたことに中のサソリは生きていた!
そんな時、村や村のまわり、牧場は巨大サソリの集団に襲われていた!!


レイ・ハリーハウゼンの師匠、ウィリス・H・オブライエンが特撮を担当したモンスター映画。
最近この手の映画では「放射能X」を見たが、正直映画としては「放射能X」の方が面白かった。
まず脚本の詰めが甘い。
ヒロインのテレサだが、活躍は全く関係せず、スコットに惚れたといちゃいちゃするだけ。
何の活躍もせず、危険にもさらされない。何のために出てきたのか?

あとサソリの登場だが、ジワリジワリと小出しにするかと思いきや、突然まとめて襲い始める。
道で電話修理をしていた電話会社の職員が襲われ始めるのだが、それに呼応してサンロレンゾの村、
主人公のいる牧場がいっぺんに襲われる。
この辺がカットの説明不足も手伝って、1匹が移動しながら襲っているのか、一度に何匹も
出てきたのかわかりにくく、混乱する。
なんか基本的なところで間違っているような・・・

そして子供が登場するのだが、この子供、大人の手伝いをしたくて仕方ない。
映画の方はサソリの巣と思われる地割れにクレーンでトロッコをつるして入っていくのだが、
「ジープで待ってろ」と言われたにも関わらず、この子供も隠れてゴンドラに乗って地割れに
入ってくる。
そこでまあ地下でサソリやら大蜘蛛(?)なんかが出てくるのだが、案の定、子供は襲われて
大人の足をひっぱる。引っ張るだけでその後、名誉回復で活躍したりしない。

こういう風に書くとこの映画に魅力がないみたいだが、そんなことはない。
巨大サソリが登場し、電話修理の人々を襲う初登場シーンはストップモーションの魅力にあふれ
実に見事。
また地割れでのシーンでもサソリ同士の戦いなど見どころは多い。

ラストのメキシコ市に向かう列車を襲うサソリもモンスター映画の魅力満載。
(市内をかけるサソリのカットが安易な合成なのが残念だが)
クライマックスのスタジアムでの対決などヘリコプターも倒したり、このあたりは怪獣映画的楽しさを
満喫した。
ドラマは弱かったけど、特撮シーンは素晴らしいモンスター映画。
(蠍ってちょっと読めなかったなあ)



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カンフー・ダンク


日時 2008年8月16日19:00〜
場所 シネカノン有楽町2丁目スクリーン1
監督 チュウ・イェンピン

(公式HPへ)


捨て子だったシージエ(ジェイ・チョウ)はカンフー学校に預けられ大人になったが
校長に従わなかったことから学校を一晩追い出される。
公園で寝ようとしたところ、中年男・リー(エリック・ツアン)にその100発100中の
コントロール力を見出され、バスケットの大学リーグに参加することに。
「両親がいない悲しい青年」と紹介されマスコミを利用して売り込むリー。
はたしてリーグ優勝なるか?


「頭文字<D>」の実写版は日本では大不評だったジェイ・チョウの主役の最近はやりの
「カンフー+スポーツもの」の1本。「少林サッカー」以来、時々この手の映画が公開される。
はっきり言ってそれ以上の映画ではない。

つまらなくはない。
無名の青年が超人的な能力でデビューし、試合で大活躍するが女の子にはもてない。
ちょっと傷ついたヒーロー(チェン・ボーリン)もいるし、いかにも悪い奴もいる。
自分を捨てた親との再会という涙の伏線もある。
そして試合はいったん窮地に陥るが、シージエの超人的な能力で・・・という
展開も王道。

でもなんか食い足りない思いが残った。
おそらく笑いにパンチがない、つまりは大爆笑して劇場が揺れるようなところがないんだな。
なんとなくクスクス笑いで終わっているような・・・
もうすでにカンフー・スポーツものは飽きられている気もするし、いまさら出がらしの企画
だったのかも知れない。

そんな中で主人公は台湾のスーパースター、ジェイ・チョウを持って来たところが豪華。
そしてバスケット部のキャプテンがチェン・ボーリン。
私はチェン・ボーリンが好きなのでこの映画を見に行ったようなものだが、この映画の場合、
ちょっ髪の毛が長すぎて表情が見ずらい(顔が見えない)のが難点。
それにしても2006年くらいは主演作も公開され、また日本映画の「シュガー&スパイス」や
「暗い所で待ち合わせ」が公開され、これからの活躍が期待されていたが結局火がつかなかったのか
今回の映画も「ジェイ・チョウ主演」で売られ、チェン・ボーリンの名前は小さい。

ふーん、日本人にはジェイ・チョウよりチェン・ボーリンの方が受けそうだが、逆に日本人とは違う
アジアンスターらしさがないのか?
僕はチェン・ボーリンの方が好きですが。
密かにこれからも応援していくつもりです。



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旅の重さ


日時 2008年8月16日13:30〜
場所 フォルムセンター・小ホール(地下1階)
監督 斉藤耕一
製作 昭和47年(1972年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


少女は旅に出て四国めぐりを始める。
映画館で痴漢にあったり、旅芸人の一座に加わったり、栄養失調で倒れたところを
魚の行商をしている男・木村に助けられたりする。
やがて少女は木村と暮らすようになる。

監名会での上映。
脚本の石森史郎氏のトークイベント付き。

なんというか私はこういう映画、苦手である。
痴漢にあったり旅芸人の一座ではレズビアンを経験したり、まあ一歩間違えばポルノ映画に
なりそうな話だ。
正直言うと「旅」の目的がないので話を引っ張っていくものがなく、「私には」面白くない話だ。
「スタンド・バイ・ミー」も「インディ・ジョーンズ」も「花より男子」も旅には目的があった。
人生において「目的のない旅」も存在するのだろうが、私には見ていてつらい。
(ちなみにこのころの三国連太郎、今の佐藤浩市にそっくり。表情が瓜二つのカットがあった。)

トークイベント時に「これは実は父親探しの話なんですよね。少女は父親というものを
知らないんです。だから父親のような三国連太郎や高橋悦史のような男性に関心を持ってしまう」 
と石森氏がおっしゃっていたが、映画を見ているだけでは実はわかりにくい。
なんとなく母親との暮らしが嫌になって飛び出したようにしか見えないのだな。

今はこういう映画は単館系でしか上映されないだろうが、当時は松竹で全国公開されたはず。
何と二本立てだったかを調べてみたら山田洋次の「故郷」だった。
たぶん「故郷」がトリでこの「旅の重さ」が添え物だったとは思う。
こういう2本立てが成り立っていた(かどうかはわからないが)この時代、松竹の企画の混乱を
感じる番組編成ですね。



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花より男子 ファイナル


日時 2008年8月15日18:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン8
監督 石井康晴

(公式HPへ)


道明寺司(松本潤)と牧野つくし(井上真央)はラスベガス近くの砂漠のハイウエイで
車を走らせていた。
実はこうなったのは道明寺財閥の御曹司・司と牧野との婚約の席で渡されたティアラが原因。
婚約の儀式の夜にそのティアラが何もかに盗まれたのだ!
ホテルで盗まれたがそのホテルでは大暴れしたにも関わらず、ホテルは何もなかったという。
これはホテルもグルだと睨み、そのオーナーを調べてみると、今は休暇中でラスベガスに
行っているという。
それを追ってラスベガスにきた二人。
しかしその後香港の裏社会のオークションに例のティアラが出品されると知り、今度は香港へ。
ティアラを求めての旅はまだまだ続く。


今年前半で大ヒット映画。
人気テレビシリーズの映画版最終編なわけだが、私はテレビシリーズは見ていない。
話についていけるかと思ったが、(細部はともかく)大財閥の御曹司とビンボー娘の恋、
ということを知っていれば充分話はわかった。

まあ「女子供向け」の映画。
これは別に悪く言っているのではなく、たとえば女の子には大人気のスイーツを私が食べても
おいしいと思うとは限らない、みたいな意味で「こういう内容なら女の子には受けるわなあ」
という納得の出来。
大ヒットするのもうなづけますわ。

まず身分違いの恋、そして松潤のようなハンサム青年、喧嘩ばかりしているが実は仲がいい、
結婚、海外旅行(それもアメリカの砂漠、ラスベガス、香港、南国のエメラルドブルーの海!)
国内も京都まで登場。
極めつけは恵比寿ガーデンプレイスでの屋外結婚式。
まるで旅番組とか結婚紹介雑誌でも見ているような(私の考える)女の子趣味満載!!

これ以上何を入れろというのだ。ここまで女の子趣味を満載するには普通照れたり
「そこまでやるのはあざとくないか?」と作り手が引いたりするもんだが、何の迷いも
なくやり遂げたところがこの映画のすごいところ。

大ヒットも納得。
松潤もアクションシーンで頑張っている。(冒頭のホテルでの追っかけで下りのエスカレーターから
隣の上りのエスカレーターに飛び乗るなんて結構危なくないか?)

同じ松本潤主演でも「隠し砦」と「花男」の興行成績の違いがあまりにも多すぎて(10倍ぐらい
違わないか?)驚く意見もあったが、やっぱり松本潤が出てればなんでもいいってわけでなく、
それなりに見たい内容の映画に出てくれたとき、ヒットするんですね。
安易にジャニーズを出せばいいってもんじゃない、それなりに内容とマッチしなきゃだめだという
見本のような今回の映画だったと思う。
映画関係者はいろんな意味で参考にすべき。



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インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国


日時 2008年8月15日15:30〜
場所 新宿ピカデリー スクリーン6
監督 スティーブン・スピルバーグ

(公式HPへ)


インディはアメリカ軍に化けたソ連兵に拉致され、ネバダ州にあるアメリカ軍倉庫に連れて
行かれる。ソ連兵はそこにある、「ある箱」を探していたのだ。
それは1947年にロズウエルで発見された宇宙人の死体だった!
なんとかその場から脱出したインディだったが、FBIからスパイと疑われ大学を去ることに。
列車に乗ってニューヨークに向かおうとしたインディだったが、若者が訪ねてくる。
旧友の命が危ないという。
インディは友人を救いに向かう。彼はクリスタルスカルを追っていたらしいのだ!


インディ・ジョーンズシリーズ最新作。
いやー期待通りで面白い。
20年ぶりのシリーズ再開となるとまあパワーも落ちて「作らない方がよかったのでは?」
とならないかと心配したが、杞憂に終わった。
面白さは変わらない。

今回は古代に地球にやってきた宇宙人が話のお宝。
宇宙人といえばやっぱり「未知との遭遇」です。ナスカの地上絵とか誰でも知っているような
アイテムが登場し、「やっぱりスピルバーグやルーカスはSFオタクなんだなあ」と
納得させられますね。

インディの蛇嫌いがいい感じで笑いになっていたり、南米のジャングルでのソ連軍との
カーチェイス(ここはちょっと長い感じもするが)SWの「ジェダイの復讐」も思わせて
とにかく飽きさせない。

で徐々に謎がとかれて行くのだが、「ナショナルトレジャー」みたいに謎が深すぎて
くどくなりすぎないのが良い。
また以前は父親(ショーン・コネリー)との確執があったインディだが、今度は自分が
父親の立場になっているとは!
いやはや歳月を感じさせます。

この映画の面白さはいろんな人がいろんなところで書いているだろうからくどくど書きませんが、
とにかく、特に映画が好きでない人にもお勧めできる、誰が見ても楽しめるアドベンチャー映画。

でも気になった点が一つ。
インディが冒頭、ソ連兵から逃れてきたときに迷いこんだ町が実は核実験施設。
核爆発が起こる寸前に冷蔵庫に逃れ、爆風で冷蔵庫は吹き飛ばされインディは無傷で助かる、
というシーン。
あれはギャグなのか、マジなのか、それとも当時のアメリカ人(インディも含めた)の核に対する
無知へのアイロニーなのか?
インディがこの町へ迷う混むとき、町の看板に「アトミックカフェへようこそ」みたいな看板を
見たような気がする。
「アトミックカフェ」といえば核に関する広報映画を再編集して大いに皮肉ったドキュメンタリー
映画だった。
もしこれが私の見間違えでなかったら、アイロニーなのだが、実際のところどうなのだろう?
ちょっと引っかかった。



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世界最終戦争


日時 2008年8月3日
場所 DVD
監督 アントニオ・マルゲリティ
製作 1961年(昭和36年)

(詳しくは発売元公式HPで)


巨大隕石が地球に向かってくることが判明。地球の科学者は大騒ぎだが、「地球には衝突せん」
と一人だけえばっている科学者(クロード・レインズ)がいた。
彼の言ったとおり地球には衝突しなかった。しかしなんと周回し始めたのだ!
そしてこの巨大隕石から謎の円盤群が!
この隕石は遠い宇宙の生物が星を捨ててやってきたいわば「ノアの方舟」のようなものなのだ。
この隕石の中には原子力があって爆破することはかえって危険。
しかし結局爆破されることになった。


いつも怪しげな映画のDVDを発売しているWHDジャパンのイタリアSFシリーズの1本。
画質はビデオを何回もダビングしたようなひと昔前の「エロビデオ」状態。
いやそんなことより「あらすじ」を聞くと面白そうなのだが、てんで映画になっていない。

特に特撮シーンがそうなのだが、画がめちゃくちゃ。
普通、映画の画というもはこういう場合、「隕石のロングショット」「隕石全体のショット」「隕石の
表面のショット」と順に示していきそうだが、いきなりアップが映りだすので何がなんだか
よくわからない。
セリフの訳も悪いのかどうかそれはよくわからないが、「話を説明する」ということができていない
(特に宇宙のシーンは)ので考えながら見なければならなくなって疲れる。
また特に盛り上げる必要のない普通の会話のシーンも電子音楽みたいな「ボヨヨ〜〜ン」という
音が流れているので「ここは地球以外の場所なのか?」と勘違いしてしまう。
もう映画になっていない。

他の人のこの映画の感想とか読んでみようかと思って「世界最終戦争」で検索をかけると石原莞爾の
検索結果が多く、この映画についてはなさそうだった。
それにこのタイトルも多分この映画は日本未公開だろうから発売元のWHDがつけたのかなあ?
まあこのDVDは英語吹き替えなのだが、そこでのタイトルは「BATTLE OF THE WORLD」。
「最終」にあたる単語はなさそうですが。

偏屈な学者を演じるのはクロード・レインズだがこの人はさすがに迫力がある。
学界から異端視されていたのだが、彼の説が正しいらしいとなったときに周りの学者がレインズが
「(葉巻の)火をくれ」と言ったら10個ぐらいのライターが差し出されるシーンは(まあ)笑った。
このあとにも同様のシーンがあって「繰り返し」により笑いがある。

まあそんなことより、爆破は危険だと言っていたが(隕石が爆破されることによりエネルギーの
原子力が地球に悪影響を与える可能性があるので)、円盤襲来となったらやっぱり爆破することに。
レインズの博士は知的好奇心が抑えきれずにその隕石に向い、そして中心にある電子頭脳(らしきもの)
をみて感激している。
まあ「自分の知的好奇心が最優先」というところがマッドサイエンティストとしてキャラクターとして
出来上がっています。

またこの隕石にレインズの博士が到着したシーンで宇宙生物の死骸が映るのだが、これが映像がボケボケで
何が映っているのかよくわからない。
蟻みたいな形をしていたようですが、よくわからなかったです。(大きさも地球のアリサイズなのか
2mぐらいあるのかも)

あらすじだけ読むと面白そうだったんですがねえ。
突っ込む気にもなれないB級以下、Z級映画でした。



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冷凍人間甦る


日時 2008年8月3日
場所 DVD
監督 ニック・グライド
製作 1940年(昭和15年)

(詳しくはインターネット・ムービー・データベースで)


メイソン博士は人間を冷凍化させて医学の治療に役立たせる研究をしていた。
彼の実験は成功しつつあったが、まだ実用には程遠い。そんなとき病院長から
「今の段階ではマスコミに公表すべきではない。各機関に協力を仰ぎ、もっと
実用的になってから公表すべきだ。君はしばらく休暇をとりたまえ」と指示を
受けていまう。
メイソンは仕方なく休暇をとり、彼の研究の元ネタとなった研究をしたクラーバル
博士(ボリス・カーロフ)の研究所を訪ねてみることに。
しかし彼は10年前に失踪してその行方はわからない。とりあえず湖に浮かぶ島に
あるクラーバルの研究所に恋人の看護婦のブレアを伴って行ってみる。
そこには地下研究室があり、扉を開けてみると氷で閉ざされた向こうに人間が!
メイソンはその体を氷の中から掘り起こし、温めてみる。
なんと彼は生き返った!その人こそクラーバル博士。
彼はこうなった経緯を説明するのだった。


この映画、見始めるまで1940年の映画だとは知らなかった。
1950年代(昭和30年前後)かと思っていた。そして「冷凍人間甦る」という怪しげな
タイトルのため、それこそ冷気を放ちながら歩きまわり、冷凍液やらを吐き出して人間を
襲う怪奇人間(それこそ「怪奇大作戦〜氷の死刑台」のような)が登場する映画かと
思っていたら・・・違った。
わりかしまともなSFだった(というか医療サスペンスともいえる)

クラーバル博士は10年前に末期患者の治療で人間を冷凍にして病巣の進行を抑える
治療を考えだし、実行していた。
ところがその患者の甥が患者の遺産を目当てにして「この医者は本当は叔父を殺しておいて
それを隠している」と訴え出る。
そして保安官や検事、医者を伴ってクラーバル博士の研究所に行くのだが、「これはすでに
死んでいる」ともみ合いになり、彼らは全員冷凍室に閉じ込められてしまう。
その直前にクラバール博士が適当に混ぜて作った薬から発生するガスを全員吸ったために
冷凍化しても生きていられたのだ!
薬を混ぜたときにその配合をメモしておいたので再度実験は可能だ。
しかし例の甥が欲にかられて「貴様だけ儲けさせるわけにはいかん」とそのメモを燃やしてしまう。
クラーバル博士はそこにいる人々を使って再び薬を完成させようとするのだが。

という感じでほとんど密室の中で話は進行する。
DVDによる画質もきれいでとても1940年の映画とは思えない。
しかし最後の10分ぐらいになってなぜか画質が悪くなり、古い映画丸出しになる。
まあそれはたぶんプリントがなかったのか事情はあったのだろうけど。

で結論をいうとクラーバル博士は結局4人の人間を殺してその薬の配合を発見する。
しかし彼もまた駆け付けた警官によって命を落とす。
ここで終わりかと思ったらさにあらず。
このあとメイソン博士がクラーバル博士が残したノートをもとに「人間冷凍治療法」の完成させる。
そしてその発表会の席で「クラーバル博士はいろいろあったが、人類に多大な業績を残した
偉人だ」とまとめる。

う〜ん、なるほどねえ。
ここから先は邪推、仮説の域を出ないのだが、1940年といえば原爆の完成前。
「多少の犠牲を払っても科学が発展すればそれでよいのだ」という科学の発展最優先の考え。
つまり1940年ごろではこういう考え方だったのだろう。
その後人類は原爆を作り出し「いくらなんでもあれはやりすぎではなかったか。原爆なんて
恐ろしいものを作ってもよかったのだろうか」と考えるようになったのではないか?
だからこそアメリカでも「原子怪獣現る」や「放射能X」のような原爆実験によって怪獣が生まれ
人類への報復が始まる、という映画が作られるようになった。
そんな気がしてならない。



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放射能X


日時 2008年8月3日
場所 DVD
監督 ゴードン・ダグラス
製作 1954年(昭和29年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


ニューメキシコ州警察の巡査部長ベン(ジェームズ・ホイットモア)たちは砂漠を
ひとりで歩いている女の子を発見。付近を捜索するとキャンピングトレーラーが
発見された。だがそこには誰もいず、見たこともない足跡が発見された。
鑑識によりその足形がワシントンに送られる。
そしてメドフォード博士父娘がやってくる。
足跡が見つかった場所に行く彼ら。その時、博士の仮説通り巨大アリが出現した!


最近怪獣映画がないので、昔の映画を見て溜飲を下げようと。
タイトルからして「放射能X」とB級SFっぽい。

映画はこのあと、巡査部長ベンとメドフォード博士やFBIの捜査官が中心に
なって話が進む。
飛行機からの捜索で巨大アリの巣が発見され、その巣を焼き払い、毒ガスにより
アリを死滅させる。
ここが前半のクライマックス。
焼き払ったあと、巣の中に入ってみるとそこには巨大アリに死骸がうじゃうじゃ。
この洞窟のシーン、なんだか日本の「ラドン」の前半の洞窟の中にメガヌロンが
登場しラドンが卵からかえるシーンを思い起こさせた。
案外参考にしているのかも知れない。

しかし巣の中を博士が検分するとすでに女王アリが巣から飛び立って別の場所に
移動した可能性があるという。
そしてどこかに巣を作って繁殖をしているかも知れない。
繁殖が続けば人類は1年でこのアリに滅ぼされる可能性があると!

機密にしながら各地での異変情報を収集する博士たち。
すでに船に巣を作り、その巣からアリが洋上で孵化し、襲われる船員。
そしてロサンゼルスの地下水道の中に巣を作ったことがわかる。
軍は街に戒厳令を引き、地下水道を襲撃。

このあたりの地下水道襲撃、というのが「美女と液体人間」を思い出せた。
案外参考にしているのかも知れない。

結局巣を発見し、さらに広がる前にアリを掃討することに成功!めでたしめでたし。

巨大アリが出現した原因を9年前の核実験に置いている。
日本の怪獣映画に限らず大抵のことは核実験のせいなのだなあ。
またラストに博士が「人類は核実験により新たな時代の扉を開いた。その世界が
どんなものか想像もつかない」という人類への警鐘を鳴らすというお決まりで
終わる。

「ゴジラ」なんかもこんなパターンとも言えるのだが、やはり名優・志村喬が
いうと重みが違いますね。

でも楽しい映画でした。



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ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発


日時 2008年8月2日19:30〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン10
監督 河崎実

(公式HPへ)


世界主要国G8が集まるサミットが北海道洞爺湖で開かれていた。
その時に札幌に宇宙から飛来した怪獣が出現!
札幌は恐怖に包まれる。母国に帰ろうとする各国首脳をアメリカ大統領が押しとどめる。
「世界の首脳がたかが怪獣が出現しただけで逃げ出したら笑い物だ。我々は断固として
怪獣とここで戦おう!きっと支持率もあがるぞ!」
各国首脳は洞爺湖にとどまり、怪獣ギララを倒すことに。
はたして各国の出した作戦は成功するか?!


「日本以外全部沈没」の河崎実監督の最新作。
河崎監督とか最後に登場する「タケ魔人」とか聞いて期待していなかったのだが、思ったより
楽しめた。
まず「日本以外〜」では日本人が急に威張りだし、そこに笑いより悪趣味を感じたので笑えなった
のだが、今回は「世界のジョーク集」を見るような各国のお国柄を反映したギャグがたくさんあって
笑えた。(アメリカ大統領が英雄になりたがるとか、フランス大統領が女を口説いているとか、
「日本はアメリカ艦隊に給油していろ」とか)

それ以上に笑ったのが今までの怪獣ものの映画、テレビのパロディというかオマージュ満載で
ファンとしては楽しい。
キャストも夏木陽介、黒部進、古谷敏、中田博久、旧「ギララ」の主演・和崎俊哉、実相寺組からは
堀内正美などの出演もうれしい。
そして各シーンも(細かくは書ききれないが)子供が作戦室に入り込んで突然怪獣を命名したり
(大映の「ギャオス」なんかそうだったなあ)黒部進が連絡用のマイクをまるで「ウルトラマン」の
ベータカプセルのように取り出したり、ギララの伝説が神社に伝わる古文書に記されていたり
(「ウルトラQ」の「ゴメスを倒せ!」ですね)地元民の踊りが出てきたり、ミサイル発射シーンで
「フォースゲート・オープン」の声があったり、楽しい楽しい。

ただし「タケ魔人」ってのはいただけないなあ。
大魔神と「タケチャンマン」なのはわかるが、ビートたけしは怪獣には関係ないだろう。
ましてやいまさら「コマネチ」でもないだろう。
全身金色だったから「マグマ大使」なのかも知れない。
だったら「マグマ魔人」とかにしてくれた方が僕はよかった。

そういう不満はあるものの、「キルビル」の怪獣版のような楽しさがあった。
正統派怪獣映画がないのはさびしいが、しばらくはこれで溜飲を下げよう。




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