2008年10月

燃える大陸 ゲット スマート 20世紀少年 第1章

燃える大陸


日時 2008年10月27日
場所 DVD
監督 サム・ニューフィールド
製作 1951年(昭和26年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


アメリカが原子力ロケットを試験発射したところ、コースを外れ南の海に
不時着した。アメリカ空軍は精鋭の3人と科学者3人の計6人を捜索隊として
出発させる。
ロケットの燃料が無くなった近海に到達すると飛行機の計器は故障し
操縦不能となりそこにあった不時着する。
そこには原住民の少女と少年を除いて誰もいない。
彼らの話だと火の鳥がやってきて、山に墜落した。原住民は恐れて島を
抜け出したという。二人は怪我した父を看病のため残ったそうだ。
火の鳥がロケットだと確信した一行はその山に向かう。
その山の頂上にたどり着いたところ驚いたことに、そこは恐竜のいる世界
だったのだ!

はっきり言うけどつまらん。
まずテンポが遅く、だらだらとストーリーが進まない。
もう脚本のネタがないのに上映時間だけは確保しなければならないので
無理矢理話を遅くしている感じだ。
島にたどり着くまでが20分、で山に登りだして(この山がウラン鉱が
あるのだが)頂上に着いたのが45分ぐらい。肝心の恐竜が登場するのが
(85分の映画だというのに)50分過ぎ。
遅いよ、もう。

面白くしようと思うとなんとかなったような気がするのだが。
例えば島の姉弟。この二人をドラマに組み込ませればもう少しなんとか
なった気がするのだが、最初に出てきて「島に火の鳥が来た」っていうだけ。
そして科学者の一人がソ連からの亡命者で、捜索隊の隊長(シーザー・ロメロ)は
途中崖から学者の一人落ちて亡くなった件に不信を抱き、このソ連人の科学者を
疑い始める。

ここで「実は!」という展開があれば面白いのだが、そういった逆転はなし。
途中、恐竜対恐竜の決闘など面白い点もあるのだが、基本のドラマが面白くないので
そこだけ面白くても仕方がない。

なんとかロケットは見つかり、フライトレコーダー(とは言ってなかったがそういう類
のもの)を取り出し、飛行記録紙を取り出し「これで問題点が解った。次は成功させよう」
と意気が上がったところで、何故か島の火山が爆発し、島はどんどん沈没していく。
映画時間の30分ぐらいかけて登った山を3分で下りて島の海岸にあったボートに
乗り込む(飛行機は不時着の時に壊れているから)。
その(公園のボートより一回り大きいぐらい)ボートで海に逃げ出し、「THE END」。
おいおい無線機もないのにそんなボートだけでこれからどうするんだよ!という疑問点は
残るが、主人公たちは助かった。

まあ無名な映画の理由がわかった気がします。
面白くないもん。



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日時 2008年10月18日
場所 BUNKAMURA ル・シネマ2
監督 山本嘉次郎
製作 昭和16年(1941年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


秋。東北の農村で馬のセリが行われ、善三(小杉義男)は予想以上の値段で馬が売れ
恵比須顔。それを見て馬が好きな娘(高峰秀子)の願いもあって甚次郎(藤原鶏太=藤原釜足)は
地主から馬を借りて馬を育てることに。
馬の病気や出産、借金の支払いのために生まれた仔馬を手放す、娘は紡績工場に働きに行くなど
いろんなことがありながら、彼らは馬を育てる。

映画の評価とは別に「黒澤明がチーフ助監督を務め、黒澤を語る上で外せない作品」という
評判ばかり耳にする。実際この映画がどうだったかという話はあまり耳にしない(というか
目にしない)
堀川監督の本によるとシナリオの半分は黒澤が書き、「孫悟空」と掛け持ちで山本監督は
仕事をしていたので黒澤さんがB班監督として活躍したようだ。


上映される機会が全くない映画ではないので、見る機会はあったと思うが見逃していて今回
の東京国際映画祭で初めて鑑賞。

ふ〜んこういう映画か。
上に書いたように黒澤の名前がよく聞かれる映画だからそう見えるかも知れないが、「馬と農村」
というモチーフが後の「七人の侍」に通じるものがある。
映画中、高峰秀子の弟が東京に出ていくのを見送るシーン、父親たちは駅で見送るのだが、
高峰は馬をひきつれて線路沿いを疾走するシーン。
躍動感あふれる馬の姿は(ほんの数秒だが)後の「七人の侍」「影武者」などにつながる
ように見える。

またシナリオでも、藤原釜足が馬に蹴られたかでけがをして寝込むエピソードがあるのだが、
馬をひいていたシーンからいきなり寝込んでいるシーンになったり、祖母が工場に働きに
でる高峰秀子を見送るシーンからいきなり位牌のアップになったりと大胆な省略があり、
この辺も後の黒澤明の語り口に通じるものがある。

で借金の支払いのために、もうしばらく育てればもっと高く売れるのを泣く泣く仔馬のうちに
手放す、しかし高峰秀子は自分が紡績工場に働きに行くから、その前払い金で仔馬を買い戻すよう
父親に願い出る。
そして1年たって、見違えるほどに仔馬は成長し馬の競りに。
ここがクライマックス。はたしていくらで売れるか?だ。
500円以上で売れれば高峰秀子は紡績工場に戻らなくて済む。
ところが競りは350円で止まってしまう。
あわや、というところで再び値段は上がり始め、最後には競りの価格より100円以上も高い金で
軍が軍用として550円で買い上げてくれる。
この辺はもう国策映画っぽい展開。
貧しい農村の皆さんもいい馬を育てれば軍が高値で買ってくれますよという結論。


黒澤明との引き合いばかりにされるこの映画もある意味不遇なのかも知れないが、黒澤明との
かかわりはよくわかった。
見ておいてよかった。



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ゲット スマート


日時 2008年10月16日19:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン6
監督 ピーター・シーガル

(公式HPへ)


アメリカの情報組織コントロール。世界征服をたくらむカオスの攻撃にあい、
司令部は壊滅、エージェントたちは身元を知られ次々と暗殺されてしまう。
そこで今まで情報分析官だったマックス・スマート(スティーブ・カレル)を
エージェントに昇格させることに。敏腕女エージェントの99号と組んでカオスに
立ち向かう!


1965年から70年に放送された「それ行けスマート」の映画化。
「それ行けスマート」はもちろん本放送のときには見ていないが、80年代に
深夜で再放送され、その時に見ていた。
たぶんまだビデオを買う前だったと思うから、私の手元には映像が残っていない。
(というか映像がないからビデオを買う前の放送だったと思う)
007全盛のスパイアクション大流行りの頃のテレビ番組でそもそもスマートの
番号86は「8や6であって7でない」ということが由来すると聞いたことがある。
80年代に主演はテレビと同じドン・アダムス主演でシルビア・クリステルを
ゲストに映画化されたがかなりお寒い出来だったと思う。
というかこの映画に関しては正式なロードショー館(封切館)では上映されず、
いきなり2番館落ち(確か自由が丘武蔵野館だったと思う)で上映されそこで見た。
最も私が知らないところで封切館で上映されていたのかも知れない。
ようはそのくらいひっそりと公開されたのだ。

ところが今回は堂々と上映され、映画の方も本家007に負けないくらいの豪華な
アクション満載。
ロシアに潜入するさいのトイレで万能ナイフからモリを発射してそれが体に突き刺さる
あたりは痛々しくて嫌だったが、そのあとのスカイダイビングシーンはさすが。
本家007のロジャー・ムーア作品(「私を愛したスパイ」だったか)でも似たような
シーンがあり、テレビ版「それ行けスマート」に対するオマージュとその本家の007
へのオマージュ満載で楽しい。

適役として登場したダリープ・シンがかつての007の適役として「ジョーズ」の
通称で登場したリチャード・キールそっくりでこれを基にしたのは明らかだろう。

またギャグも体を張った笑いでクルーゾー警部に通じるものがあり、アメリカの
コメディは日本人には分かりにくいと言ったことが往々にしてあるようだが、
この映画はそんな定説を覆す面白さ。

ぜひ第2弾も見たい。
そしてテレビ版のDVD化も!
(アメリカじゃDVDになっているんですが)



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20世紀少年 第1章


日時 2008年10月8日21:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン4
監督 堤幸彦

(公式HPへ)


商店街で母親とコンビニを営むケンジは子供のころ同級生たちと原っぱに
秘密基地を作り、そこで悪のそしきが地球を滅ぼすストーリーを考え遊んでいた。
1997年、大人になったケンジたちだが、その頃、街では教祖を「ともだち」と
呼ぶカルト宗教団体が問題化していた。
やがてサンフランシスコ、ロンドンが謎の細菌兵器で襲われる。
それはケンジたちが子どもの頃に考えたストーリーのままだった。
次に狙われるのは空港だ。

昭和ブームとSFをミックスさせたような大長編。今回が第1章で来年
2章、3章が公開されるという。
2章、3章では主人公がケンジの姉の子(つまり姪)に代わり時代も2015年に
なるらしい。

映画全体は結構楽しく見た。
ケンジの同窓会のシーンが最初にあるが、(僕自身、8月に同窓会があった)
またケンジたちと同世代なので、いろいろな部分で同世代者としての共感がある。
だがケンジたちが子供のころ(つまり僕ら)は映画の回想シーンほど汚くなかったよ。
田舎ならわからないけど、映画の連中は東京の子でしょ?
だったらあんなに汚れてなかったと思うけどなあ。
そういう突っ込みどころは多々ある。

またカルト教団(たぶんオウム真理教がモデルだろう)によってケンジのコンビニ
が燃やされ、ケンジがテロリストにさせられて地下に潜るあたりから話がはしょり
はじめ、全体としてのバランスの悪さが感じる。

ラストの巨大ロボットの出現シーン、もう少し明るくしてロボットをはっきり見せて
ほしかった。なんとなく全体像が見えないのだよ。怪獣映画ファンとしては巨大ロボット
による東京の破壊、というのは見せ場として見せてほしいのだなあ。
またその前のケンジたちが巨大ロボットに向かって出撃のシーン、延々とケンジが
演説するのは長かった。あそこまで引っ張られると、巨大ロボットに立ち向かう
のは次回で、となってエンドマークが出るのかと思いましたが、その後の
ロボットに立ち向かっていくのでちょっとテンポの狂いを感じます。
その辺も合わせてなんだか後半テンポがぐちゃぐちゃになる感じがするのですよ。

なんだかんだと文句をつけましたが、ドリンクを飲むのも忘れて映画に集中したのも確か。
2章、3章が楽しみです。



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