2009年3月

エロチックな関係 極道の妻(おんな)たち
鬼龍院花子の生涯 無理心中 日本の夏 ジェネラル・ルージュの凱旋 ホノカアボーイ
資金源強奪 絞死刑 ヤッターマン チェンジリング
新仁義なき戦い
組長の首
新仁義なき戦い
組長最後の日
サラリーマン十戒 僕は独身社員
絞殺 ウルトラマン物語
(ストーリー)
20世紀少年 第2章
最後の希望
裏切りの闇で眠れ

エロチックな関係


日時 2009年3月29日19:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 長谷部安春
製作 昭和53年(1978年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


私立探偵桧垣(内田裕也)は事件依頼もなく暇をもてあまし、秘書とセックスに
ふける毎日。
そんな時、建設会社の社長黒川(田中浩)から自分の愛人の浮気を調査してもらうよう
依頼を受ける。その愛人・水沢千恵子(牧ひとみ)はスポーツクラブの支配人や
病院の院長とも関係を持っていた。しかも病院の院長はSM趣味。
ラブホテルの隣の部屋でその大きな喘ぎ声も録音させてもらう桧垣。
しかし千恵子は尾行に気づいていたが悪びれもしない。
翌日桧垣が千恵子を訪ねてみると千恵子は桧垣をベッドに誘い、千恵子と
黒川の関係を話しだす。
黒川は実は強請り屋で、千恵子を金持ちの男に近づけその情事をつかみ、
相手をゆすっているというのだ。
桧垣はそんな黒川から千恵子を奪おうとするのだが、交渉に行った時に
黒川を射殺してしまう。


海外ミステリー、レイモン・マルロー原作の「春の自殺者」の映画化。
内田裕也がしょぼくれた私立探偵を演じる、
桧垣の事務所はうらぶれたビルの2階にあり、窓をバックに机が置いてあり
その窓にはブラインドカーテンがついているという映画における典型的な
私立探偵。(しかも机の上にはハンフリー・ボガートの人形の置物あり。
長谷部監督に聞いたらあれは監督の私物だったそうだ)
ここでもう私はニンマリ。

その後、駐車違反を何度もしたりして「交通違反ぐらいはするのが当たり前の
ちょっとだらしがない。しかし本当に悪い奴は許さない」というこれまた
私立探偵ものの王道。

そして美人秘書がいる。
美人秘書は加山麗子。で意味もなく内田裕也と濡れ場がある。
それはもうロマンポルノとして製作された本作の宿命。
映画としてはテンポを落とすので正直、いただけない。

しかしまあ加山麗子はきれい。
70年代のロマンポルノを見ると女優がもう「うわっ昔の日本人体型!」と
(例えば尻がでかくて足が太く、おっぱいも小さい)全然こっちにくるものが
ないのだが、彼女は今でも通用する美しさだ。

映画はそして千恵子が「二人で逃げましょう」と誘い、そのためには金がいる
と黒崎が強請る予定だった金持ちの男たちを訪ねていくのだが、相手が
はむかってきたとたんに千恵子が殺してしまう。
そして内田裕也の車(フォルクスワーゲン!)のブレーキが壊され危うく
命を落としかける。
実は千恵子、黒崎、死んでいった男たちは別のつながりがあり・・・・
というところで千恵子の本当の目的、本当に悪い奴が最後に登場する。

ラストになって意外な事実が登場し、その辺がフェアじゃないし、本当に
悪い奴も大体察しがついたので、ミステリーとしてはまあまあの出来だが、
ハードボイルド探偵者としては充分楽しめた。
面白かった。



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極道の妻(おんな)たち


日時 2009年3月29日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 五社英雄
製作 昭和61年(1986年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


粟津環(岩下志麻)は粟津組の組長の妻。妹・真琴(かたせ梨乃)は今スナックで働き、
父親は借金でつぶれた町工場の社長だった。
そんな時、粟津組の本家、堂本組の会長が急死、跡目問題が起こる。
会長の遺言により若頭の柿沼の跡目は決まったが、これを不服とする蔵川(成田三樹夫)
は組を抜け、朋竜会を結成、対立が始まる。
真琴はスナックの客・杉田(世良正則)に口説かれていたが一旦は断る。
しかし遊びに行ったグアムで偶然杉田と再会、ホテルで犯されてしまう。
やがて杉田と真琴は結婚する。
だが杉田は蔵川の子分で、蔵川の命令で柿沼を殺す。


80年代後半から東映の看板シリーズとなった「極道の妻(おんな)たち」の1作。
ヤクザ映画も任侠、実録、大型ときて今度はついに女性路線へと変遷した。
今、ドラマも映画も女性目線で描いたりするものが多いが、その先駆けになったのが
この映画ではなかろうか?
「女性の視点で戦争を描く」とか「幕末を描く」とか「忠臣蔵を描く」とかのあれだ。

その前段になったのが「鬼龍院花子の生涯」だったといえるかも知れない。
「鬼龍院〜」でやくざの妻を演じていた岩下志麻が今度は堂々の主役。
岩下志麻の当たり役になったと言えるだろう。

私は女性が主役だとテンションが下がる口なので、この映画もみているのは男性やくざ
のシーンばかり。「成田三樹夫も相変わらずだが、ちょっと老けたなあ」とか「世良正則
もなかなかいいじゃないか」とか「清水宏次郎や竹内力がでとるぞ」とかそんな感じだ。

また五社監督がねっとりとゆったりとしたテンポで描くものだから正直その辺も
合わないのだな。
これが深作欣二ぐらいがやっていたら1時間20分になったろう。
特にかたせ梨乃が世良正則のもとに行く行かないで岩下志麻と喧嘩になるシーン、そして
世良とかたせが再開しておっぱいのせらがしゃぶりつくシーン、長いよ。


それにしても嫌がっていた真琴がグアムのホテルで杉田に強姦されたらすぐに惚れて
しまうあたりが東映的な発想か?

映画の出来とは別にこういう女性が主役の映画は合わないのだなあ、私には。



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鬼龍院花子の生涯


日時 2009年3月28日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 五社英雄
製作 昭和57年(1982年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


鬼龍院松江(夏目雅子)は音信不通だった妹・花子から連絡を受け、久し振りの再会に
向かったが、彼女は亡くなっていた。
もともと松江と花子は血がつながっていたわけではない。
松江は高知の侠客・鬼龍院政五郎(仲代達矢)の養子として子だくさんの家から
貰われてきた子だった。


ここまでは映画の冒頭部分。
この映画、公開当時はもちろん知っていたが見なかった。
基本的に女性が主人公の映画は私はテンションがさがり、それだけで楽しめない
(はっきり言えばつまらないと思う)タチなので。
で見てきた人がはじめに言った一言が、「夏目雅子が主人公の鬼龍院花子だと思うだろ?
違うんだよ」と言っていたのを思いだす。
当時テレビCMで夏目雅子が「なめたらいかんぜよ!」と喪服を着て啖呵を切るシーンが
何度も流れ、完全に「夏目雅子主演の任侠映画」として東映は売っていた。
実際に映画は見ていなくても夏目雅子の「なめたらいかんぜよ!」は誰でも知っていて
流行語にもなった。


映画のクレジットでは仲代達矢がトップで登場し、次が夏目雅子。
松江の視点で物語は描かれるが、やはり話の中心は仲代達矢の鬼龍院政五郎。
男気のある侠客として描かれる。
闘犬で負けた末永(内田良平)が自分の犬を負かせた犬を殺し、その犬の飼い主だった
兼松(夏木勲)を助ける。
後に土佐電鉄のストライキを行っている組合員を自分の親分である株主の意向で
ストをやめさせようとしに行ったら逆に組合の幹部田辺恭介(山本圭)を気に入って
しまったりする。

で最後には末永との何十年のいがみ合いがついに爆発、仲代は負け、鬼龍院一家はちりじり
となり、娘の花子(末永に連れ去られたんだが、連れ去られたときの相手の男に惚れてしまう)
は結局流れ流れて若くして死んでしまうという冒頭につながる。

仲代達矢もその妻岩下志麻も夏目雅子もすごい。
見どころはその辺。夏目雅子は小学校の先生になるのだが、「二百三高地」でも小学校の
先生だったような。夏目雅子=小学校の先生なのか、当時は頭のいい女性の職業=小学校の
先生だったのか。
あとは役所広司がストライキの組合の幹部としてワンシーンの出演。
山本圭がまたまた左翼運動家として出演しているのが面白い。

正直、よく出来た映画だとは思うのだが、もう女性が主役の映画はダメ、というタチの私には
乗り切れない映画でした。
映画の出来不出来というより私との相性の問題です。



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無理心中 日本の夏


日時 2009年3月22日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 大島渚
製作 昭和42年(1967年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


フーテン娘(桜井啓子)は町で死にたがっている男(佐藤慶)と出会う。
彼らはヤクザが武器を埋めてあった場所から掘り出す現場を見てしまい
ヤクザに連れて行かれる。
そこには誰でも殺せる男(小松方正)や拳銃を持った男(殿山泰司)がいて
銃を撃ってみたい17歳の少年(田村正和)勝手に入ってくる。
そして新幹線を降りて部下にテレビを持たせた男(戸浦六宏)も加わる。
そんな頃、その街では白人の男によるライフル連続無差別殺人が
起こっていた。
ヤクザの出入りのために一部屋にいた男たちだったが、親分たちが
逮捕されたため、放免されてしまう。
彼はライフル射殺魔に合流する。

大島作品は特に難解でない映画もあるけど全くわけわからん映画もある。
この映画が一番抽象的で分かりにくい。というかわからん。
当時の映画評論家(というか映画関係の文筆で飯を食っているような人々)は
さぞ困ったんではないか?

わけわからんし、妙に解釈して「登場人物の誰それは何々を象徴している」などと
書こうものなら大島渚から「だから映画評論家なんてバカの集まりなんだ」と
影で笑われただろう。
私なんかさしずめインタビューにも応じてくれないだろうし、また仮に
応じてくれても、ろくすっぽ質問にも答えてくれなかったろう。

一応備忘録のためにストーリーを書いておいたがあまり意味がない。
そのそも話なんか関係ない。
この映画についての大島渚の文章で「自分たちは前を走っていて人々が
ついてこれないのはわかるがかといって自分たちが止まるわけにはいかない」
と書いている。
前衛を自認しているようだ。

田村正和が銃を撃ちたい17歳の少年を演じ、のちの大島渚が監督する予定だった
映画「日本の黒幕」で17歳のテロリストが登場し、田村正和も出演している
偶然が興味深い。



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ジェネラル・ルージュの凱旋


日時 2009年3月20日19:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン9
監督 中村義洋

(詳しくはキネ旬データベースで)


「バチスタ事件」を解決した心療内科(別名ぐち外来)の田口(竹内結子)
のもとへ緊急救命センターの速水(堺雅人)は業者のメディカル・アーツと癒着している、
看護師長の花房(羽田美智子)も同罪だという告発文が届く。
病院長から再び調査を依頼される田口。
だがそのメディカルアーツの支店長は病院の屋上ヘリポートから落ちて死んでしまう。
自殺?他殺?
そんなときに厚生省の役人・白鳥(阿部寛)のもとにも同様の告発文が届いたとして
彼もまた病院に乗り込んでくる。
だがそこへ来る途中でバイク事故にあい、足が骨折してやってきた?!

「推理の底が浅い」とかの不評も耳にしていましたし、20日公開の「ワルキューレ」と
どっちを見ようか迷ったのだが、前作「バチスタ」が嫌いではなかったので、こちらを選択。
不評の理由も確かにそれはわかる。
推理ドラマとしては大したことはない。

でもこれは現在、新聞、テレビなどでもさんざん扱われている緊急医療の問題を扱った
ドラマなんですね。
だからそう思ってみれば期待はずれにはなりません。

でも正直、「緊急医療の問題」の問題は新聞テレビでやっているので「映画の題材としては」
やや出がらしの感はある。
それにラストに病院近くで大火災が発生し、怪我人が多数運び込まれるあたりで全員が
「いい人」になってしまうのだが、これも「映画として」物足りない。
いや現実にああいう事態になったら、お医者さんたちには今までのいきさつは捨てて
一致団結してことにあたってほしいと思いますから、あれでいいんでしょうけど。

そのあたりの「登場人物全員がラストで善人になってしまう」が「映画として」イマイチ感
が残る。
もし私が小学校6年ぐらいなら相当感動して一生忘れない映画になったかも知れませんが
そこまで感動するにはもう年をとり過ぎている。

それにしてもこの映画、堺雅人がすごい!
この映画の見所は堺雅人ですね。
チュッパチャップスをくわえながら挑むような目つきで人を見る表情がたまらない。
「ハチミツとクローバー」で彼を覚え、「クライマーズ・ハイ」で本物だ!と思いましたが、
さらにそれが確信へと進化しました。

阿部寛が「えっ、出てたっけ?」というぐらい印象が残らない。
完全に主役になってます。
阿部寛は今回ずっと車いすに乗ったままで、文字通り「安楽椅子探偵」ですが。
また「バチスタ」の佐野史郎などがラストでカメオ出演するのは御愛嬌。
竹内結子は可もなく不可もなし。


蛇足ですが、今私が思う現在の日本映画の世代別ベスト男優は

50代 役所広司
40代 佐藤浩市
30代 堺雅人
20代 妻夫木聡
10代 柳楽優弥

ですね。

これは当分動かない気がいたします。



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ホノカアボーイ


日時 2009年3月19日20:00〜
場所 新宿バルト9・スクリーン9
監督 真田敦

(公式HPへ)


付き合っている彼女(蒼井優)と月の虹ムーンボウが見たくてハワイ島のホノカアに
やってきたレオ(岡田将生)。しかし結局喧嘩別れしてしまい、大学を休学して
ホノカアにやってきて映画館で働くようになる。
料理が上手なおばあさんビー(倍賞千恵子)と知りあうレオ。
毎日、自分の家に食事を食べに来るようレオにいうビー。
二人の不思議な関係が始まり、レオはハワイ娘(長谷川潤)と知りあう。


年末から3本の主演級映画が公開されている岡田将生。
(他の2本は「魔法遣いに大切なこと」「ハルフウエイ」)
今まで1本も見たことがなかったので、とりあえずこれを見てみた。
映画の内容はほとんど知らない。原作も人気があるらしいが知らない。

ハワイのホノカアという町はさびれかけたのんびりした町。
登場人物もほとんど昼寝をしているシーンも多く(映画館のポップコーン売りの
おじいちゃんとか床屋の正司照江など)実にのんびりしたムードだ。
映画はストーリーの細かい説明はなく、(どうして映画館で働くようになったのか
とかの説明がない)シーンシーンをつないでいくだけだ。
それが説明不足になってしまい、(特に後半でビーが失明してしまうところ。
前後の事情はわかるが、何で見えなくなったの?)唐突に感じるところが
あるが、ストーリーの面白さで見せようとする映画ではないのだろう。

こういうのんびりとした町の暮しって私には合わない気がする。
昼寝ばかりして暮らすのも悪くない気がするが、実際に昼寝ばかりする生活を
したら人生無駄に過ごしている気がしてしまう。
作者たちもそういう気があるのか若いレオに対しては「この町に長くいちゃいけないよ」
と諭す。

映画は引きの画が多く、ロングショットやウエストショットばかりで役者の表情を
楽しみに来た人には(特に岡田将生目当ての人)には楽しめたかどうか疑問。
映画館でもロングショットで顔があまり見えないと思ったのだから、DVDで見たら
もっとそう思うだろう。
やっぱり映画は役者も見せないと。

そんな感じで岡田将生についてはまだまだ未知数。大物になるかも知れないし、
ならないかも知れない。ただし「絶対売れないな、売れて欲しくない」という気には
ならなかった。

そして倍賞千恵子。主役級で拝見するのは久し振り。
その存在感は素晴らしく、大女優そのものだ。
レオに対して恋愛感情にも似た親ごころがあるのだが、新しい服を着て、それを
レオに見せるところなど、実にかわいらしい。
この映画は彼女で持っているようなものだ。
「寅さんのさくら」から抜け出した新しい彼女の演技に期待する。

そして喜味こいし。予告を見たときは誰だかわからなかった。
正司照江の出演もうれしい。
そして長谷川潤。はじけるような美しさはすばらしい。
松坂慶子(もはや昔の美人女優の面影はなく、性格俳優になったなあ)や倍賞千恵子
と並ぶとその若さからくるはじけるものが一層際立つ。



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資金源強奪


日時 2009年3月17日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 ふかさくきんじ
脚本 高田宏治
製作 昭和50年(1975年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


羽田組のチンピラ清元(北大路欣也)は対立する組の親分を射殺し、8年間
の刑務所暮らしとなる。
清元は出所したら羽田組の幹部に迎えられるはずだったが、今は羽田の親分(安部徹)
と清元が親分を殺した組の2代目は兄弟杯を交わそうとする中。
清元はそんな空気を知っていて自分からカタギになると言い出す。
しかし彼の狙いは別。
刑務所仲間だった哲也(川谷拓三)と小出熊吉(室田日出男)と組んで
羽田組が兄弟杯の祝いに催す花会の上がりいただこうというのだ!


高田宏治脚本の映画を見る必要があったので、人に勧められるままに見たのがこれ。
いや面白い。勧められるだけのことはある映画だ。
東映ヤクザ映画というよりフィルムノワール、暗黒街ものだ。

奪った金だが1年たったら分けようと約束したもののやはり分け前は早く欲しくなる。
実は三億五千万しか金はなかったのだが、金を取られた親分たちは水増しして羽田に
請求し、総額五億円になっている。
金を取られたヤクザも警察に言えないからと言って黙っちゃいない。
停職中の四課の刑事(梅宮辰夫)を使って捜査させる。
ここで競艇場で派手に金を使う奴、という見込みであっさり哲也が見つかってしまうのが
惜しいが、このあと清元、ヤクザ、刑事、哲也たちと4つどもえの戦いが展開される。

お互いが敵になったり味方となって組んでみたりで、その関係がころころ変わり
全く飽きさせない。
「そうきたか!」の連続だ。

ラスト、金を手にした者が(ここではあえて書かないけど)海外逃亡を試み空港へ。
しかしそこでも逆転が!
という感じで最後の30秒まで目が離せません。

川谷拓三が頭はちょっと弱そうだが、化学の知識はあるらしく爆弾や催涙ガスの製造は
お得意の男を演じる。川谷拓三の演技はよくも悪くも東映的。
個人的にはここでの川谷の演技はあまり好きでないが、川谷拓三を起用した時点で
ああなってしまうのだろう。


お勧め!


ちなみに監督のクレジットは「深作欣二」ではなく「ふかさくきんじ」。
東映側とのいろいろがあったみたいですが、それは高田さんにお会いした時に聞いてみます。



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絞死刑


日時 2009年3月15日
場所 DVD
監督 大島渚
製作 昭和43年(1968年)

「絞死刑」に関しては「名画座」に記しました。


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ヤッターマン


日時 2009年3月13日21:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン6
監督 三池崇史

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昔々、4つに割られたどくろストーン。その4つは世界各地に散っていた。
そのどくろストーンを探す海江田博士(阿部サダヲ)の前に現れたのはドロボウの神様の
ドロンボウだった。
どくろストーンを海江田博士から奪い、その上海江田博士まで飲み込むドロンボウ。
その頃渋山駅前のハッチ公前広場ではヤッターマン(櫻井翔、福田沙紀)とドロンジョ
(深田恭子)たちとの対決が行なわれていた。なんとか勝利を納めるヤッターマン。
ドロンジョたちは残りのどくろストーンを手に入れるようドロンボウから指令が!
海江田博士の娘(岡本杏里)を助けたヤッターマンは次のどくろストーンの在りか
のオジプトへ!
だがドロンジョ一味を追いかけてきた!


1977年から放送されたタイムボカンシリーズ第2弾、「ヤッターマン」の実写映画化。
なんでまた今さらヤッターマンの実写映画化なのか?と製作発表があった当時思ったし、
今でも思っているのだが、メチャクチャ好き、というほどではなかったが、まあまあ好きで
当時見ていたので、今回の映画化もやっぱり気になり見てみた。

まあヤッターマンに対する思い入れも人によって違うだろうから、今回の映画化も楽しんでいる
人もいるだろうし、僕みたいに不満な人もいるだろう。
何が不満かというとがんちゃんにドロンジョが惚れてしまうというところ。
それはないんじゃないか?
そしてがんちゃんはサソリに刺された海江田博士の娘の毒を吸い取ろうとして太ももに
吸いついてしまってあいちゃんがそれを嫉妬するという三角四角関係!
そうかなあ?

それとも原作アニメに私が知らないだけでそういう設定があったの?
その辺でもう気持ちがカクン、となえてしまうのだよ。
あと阿部サダヲと岡本杏里が親子再会を果たして、なにか延々と「親子の情」みたいなものを
歌い上げるのだよ。
このじめっぽさ、なんとかならんのか?
あとがっかりしたのはドロンジョたちを倒した後での「ヤッター、ヤッター、ヤッターマン!」
といって決めポーズをするところ。
予告編ではあったのだが、本編では「ヤッター、ヤッター」の部分だけで「ヤッターマン」の
決めポーズのカットが音声だけになっていたり、ラストでもロングになっていたりと
きちんと見せてくれなかったので、がっかり。
この決めポーズを櫻井翔がしてくれるところを期待していたので、裏切られた思いがした。

私の中では「ヤッターマン」はナンセンスギャグなのだよ。
「豚もおだてりゃ木に登る」と言ってドロンジョのメカの操縦席でいきなりブタが木に登ったり、
ヤッターワンから小型メカが登場するときに鼓笛隊が登場したりするあたりは、もう全く必然性が
ない、ナンセンスギャグなのだな。
こういうナンセンスギャグはアニメで見ると素直に笑えるが、実写で見ると面白いというより
「アニメのシーンを再現してくれた」という満足感しかない。
逆手にとってヤッターワンの乗り方ががんちゃんたちは横にぶら下がるという不自然さなのだが、
今回は長旅でがんちゃんが寝そうになってしまうというギャグがあったな。

また渋谷の駅前がハッチ公前広場になっているという竜の子プロの小ネタつき。
またトンズラーのイメージシーンで出てきたプロレスシーン、敵は「YES」と
首に書いてあったが、あれは「タイガーマスク」の「ミスターノー」のパロディなのだろう。

CGの技術は日本も本当にアメリカのアメコミの映画化作品とそん色なくなったなと実感。
そういう技術は立派だが、あとはそれを生かす脚本、演出、あるいは脚本家、監督を
活かせるプロデューサーの問題だろう。
その辺に日本映画の問題点があるような気がしてきました。

出演では深田恭子。スレンダーなイメージがあったが(多少衣装でよせているとは思うが)
胸の谷間も立派でドロンジョのセクシーさ満点。
櫻井翔のがんちゃんも問題なし。
相変わらず福田沙紀は印象に残らない。いくらでもいそうな顔がかわいいだけの子、でしかない。



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チェンジリング


日時 2009年3月14日13:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン9
監督 クリント・イーストウッド

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1928年(昭和3年)、電話局で働くクリスティン・コリンズは急な仕事から
帰ってくると家で留守番しているはずのウォルターがいなくなっていた。
それから数か月、警察から息子が見つかったという連絡が入る。
駅に迎えに行くとその子供は自分の子供ではない。
警察に「この子は自分の子ではない。はやくウォルターを見つけて欲しい」と
訴えるが「勘違いでしょう、数か月間の間に息子さんにもいろいろあったのです」
と取り合ってくれない。
ラジオでも番組を持ち、警察の不正と戦い続けている牧師グスタヴ・ブリーグレブが
協力を申し出、医者や学校の教師なども「この子はウォルターではない」と証言する。
しかし不正が問題になっている警察としては間違いを認めたくない。
警察はクリスティンを精神病院に入れてしまう。

クリント・イーストウッド監督作品。
今回は出演はなしで監督に専念。
彼女が自分の子供をなくしながらそれを取り上げてもらえないという絶望的な
状況からどうやって抜け出していくかと興味で観客をぐいぐいと引っ張る。
一方で猟奇的な少年大量殺人事件も発覚。
少年を誘拐し、次々と殺害していく殺人犯が見つかったのだ。
ウォルターもどうやらこの被害者の中にいる可能性がある。

映画は最後はクリスティンは精神病院から抜け出せ、自分を病院に送りこんだ
警部は解任される。
絶望的な気分から解放され、「正義は勝つ」のカタルシスとなる。
しかし全面的なハッピーエンドにはならない。
少年殺人犯はウォルターを殺害したかどうか最後まで明かさない。
殺人犯の死刑執行のシーンも映画には挿入される。
(アメリカでは死刑は公開のものである(あった?)らしい)

数年後、同じ犯人に子供を殺されたとされていた親から連絡が入る。
「子供が見つかった」と。
誘拐されたあと、何人かの少年は犯人の元から逃げ出していた。
その時に逃げたのがこの少年。
はたしてウォルターは逃げ出せたのか?はたまたつかまってしまったのか?
映画は謎を残したまま終わる。
単純な勧善懲悪でない感覚を残して映画は終わる。

正直、この映画は(「ミリオンダラーベイビー」程でないにしろ)面白かった。
しかし今までだらだらと文章を書いてきたが、あらすじの紹介でしかない。
言葉では言えない何かが伝わってくる。
「言葉に出来ないから映画になっている」そんな単純だがなかなか出来ないことを
やってのけるのがイーストウッドの凄さなのだろう。



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新仁義なき戦い 組長の首


日時 2009年3月10日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 深作欣二
製作 昭和50年(1975年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


北九州の大和田組幹部・楠(山崎努)は本州の共栄会の会長を殺害しようとし、
その実行を旅人の黒田(菅原文太)が引き受け、門司港で射殺に成功した。
黒田は7年の刑の間に楠が組を大きくし、出所後は幹部待遇で迎えられる筈だった。
しかしシャブ中の楠は組長(西村晃)の娘婿にも関わらず、破門状態。
出所してきた黒田だったが、楠はあてにならない。
所払いをさせられようとした黒田だが、組長を脅し、500万円出させることに。
組長は幹部の相原(成田三樹夫)に金を渡すよう指示する。
ちょうどその頃大和田組内部では分裂が起こりそうになっていた。
力をつけてきた赤松(室田日出男)が組から抜けようと言い出していたのだ。
相原は「しばらくしたら金は渡すから、とりあえず」と言ってシャブを黒田に
渡す。これを現金化しろというのだ。そんな黒田を赤松が許すはずがない。
黒田の舎弟たち(小林稔侍、三上寛)は赤松のシマでシャブを売り、赤松たちと
対決する羽目になる!


「新仁義なき戦い」シリーズ2作目。
これも見たのは20年ぶりだと思うのだが、以前はいい印象がなかった。
「仁義なき戦い」にはあったチンピラたちの「ここから抜けようとあがく姿」
というチンピラ群像がなく、単なる現代ヤクザの抗争物になっていたことが
不満だったのだろう。
その辺を差し引いて単なる現代ヤクザの抗争物と割り切れば、面白い。

今回の敵役の中心は成田三樹夫。
実力者相原をいつものアクで演じきる。
シャブを文太に渡し、それで赤松を殺させようとするのは先を読みすぎかも?と
思うのだが、実はなんらかの騒ぎを起こさせる程度のつもりだったのが、
ついでに赤松を殺してくれたので、最初から殺させるつもりだったと言っただけ
かも知れないという知恵者。

そして今回の目玉ゲストは山崎努。
シャブ中で終始青白い顔をしているが、その迫力はなかなかのもの。
中でも冒頭の共栄会会長射殺シーン。
会長が乗った船を門司港駅で待ち伏せしているのだが、薬が切れてトイレに駆け込む。
注射器を用意するのだが、そうしているうちに船が来る。
菅原文太に「何しとんなら!船が来るぞ!」と扉をたたかれ注射器を落として割ってしまう。
仕方ないので、アンプルに入ったヤクを注射でなくそのまま飲んでしまうシーンは
ヤク中の狂気が現れていた。
しかしねえ、活躍が少ないのだな。せっかくだから成田三樹夫の相原を演じさせて
見れば活躍シーンも多く、面白かったと思うのだがなあ。

またゲスト女優にひし美ゆり子。
今回は赤松の女でありながら相原とも通じ、赤松亡き後は相原の女になってキャバレーを
1軒任される。
西村晃の組長に「あの女は男を殺す。付き合った男はみんな死んじょる」と言われる魔性の女。
ヌードシーンも多く、アンヌ隊員ファンには見所多し。

三上寛は自分で「コバヤシアキラ」と名乗る流し。
実際、文太たちがねぐらにするアパートで、夕日を見ながら三上寛が「ギターを持った渡り鳥」
を歌うサービスつき。
三上の死後、実はそれは本名ではなかったというオチがつくのだが。

そんなところが見所の「新仁義なき戦い」2作目でした。



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新仁義なき戦い 組長最後の日


日時 2009年3月8日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 深作欣二
製作 昭和51年(1976年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


西宮で起こったヤク中の女殺し。これには売人同士の縄張り争いが
絡んでいた。
その抗争は次第に発展し、大阪の坂本組と九州のヤクザ連合・七人会との
大戦争を巻き起こす。
その中で七人会の中で組長(多々良純)を殺された岩木組の跡目を継ぐ
野崎(菅原文太)は七人会の親分たちが大阪の坂本組の組長たちと
「お互い組長同士は殺らない」という紳士協定を結ぼうとしているのに
反発し、自分の子分を率いて坂本組組長(小沢栄太郎)を殺ろうとする!


この映画は学生時代に「仁義なき戦い」シリーズにはまっていた頃
新宿昭和館で見た覚えがある。
「新仁義なき戦い」シリーズは1本目こそ山守親分も登場し、「仁義なき戦い」
との連続性を保っていたが、2作目の「組長の首」「組長最後の日」は元の
シリーズとはストーリー的には関わりがない。
その辺の便乗的企画で、何か物足りなかった印象があったのだが、今回見直して
観て、「仁義なき〜」ということ頭からはずしてみたら案外面白かった。

というよりものすごいスピードで話が進み、味方が裏切り、情勢はころころ
変わり、敵味方の入れ替わりが激しく、画面からちょっと目を離したら
話について行けなくなりそうだ。
これほどテンポの速いヤクザ映画もないんじゃないかと思うくらい。
菅原文太も登場するまでしばらく時間がかかっており、(彼が活躍しだすのは
多々良純の親分が殺されてからだから)名セリフをいう暇もなくどんどん
話が進む。
他にも成田三樹夫とかおなじみの面々が出てるし、親分は小沢栄太郎だが
とにかく俳優の見せ場もなくどんどん話が進む。

何しろ終わりの10分で「もうこれで菅原文太が小沢栄太郎を襲って終わりだな」
と思っていたら、空港で文太が小沢栄太郎を襲撃。
文太は怪我をして逮捕されるが、松原千恵子の助けを借りて逃走、再び小沢を
襲うという二転三転ぶり。10分でまとめる話じゃないよ。

そういう意味では俳優の見せ場が少なくてやや物足りない。
しかし中盤の小沢栄太郎たちの黒塗りの車軍団をダンプ2台で襲う走りながらの
銃撃戦は迫力があった。

そして本作のヒロインは松原千恵子。
菅原文太の妹だが、ヤクザもんの和田浩治と結婚し、菅原文太からは「九州から
出ていけ!」と言われて大阪の組に入る。
それがめぐりめぐって今回の抗争では敵味方に分かれてしまう設定。
薄幸の美人の美しさが漂っていた。

そしてラスト、菅原文太が小沢を殺して警察に逮捕された時、突然チンピラが出てきて
文太を殺す。
「わいが殺ったんやど!」と叫び周りが汐路章の親分たちが「ようやった、ようやった」
というラストシーンは印象に残る。
面白かった。



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サラリーマン十戒


日時 2009年3月8日17:10〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 岩城英二
製作 昭和34年(1959年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


シャルマン化粧品の営業課の新入社員、江口はなかなか能力のある男。
そろばんも英文タイプも難なくこなすが、時にそれがでしゃばり、生意気に
見えてしまう。
本人は早く大きな仕事がしたいと思っているだけなのだが。
課長の横河(小林桂樹)は江口に「サラリーマンは上司に逆らうな、怒るな、
会社の女に手を出すな」などとサラリーマン十戒を説く。
江口は社長の娘(安西郷子)と知りあい、お互いに好きになるが、江口の同僚で
社長の娘と学校が同級だった片桐(柳川慶子)は面白くない。
そして会社が今度販売強化する男性化粧品の宣伝を横河課長は江口に担当させるのだが。

監督の岩城英二という方は全く知らない監督。
そんな監督いたんだあ、と思って調べてみるとこの映画を初めてで、その後3年間に
サラリーマンものばかり撮っている。
佐原健二の新入社員はなんでもできる自信家である努力家。
先輩社員の藤木悠に鉛筆を右側でなく左側に置いて不効率などと責め立てる
(本人は助言と思っている)先輩からするといやみな奴。

安西郷子は顔が小さく相変わらず美人。
その安西郷子に「好意を持っています」といわれれば例え身分違いと解っていても
社長令嬢だし心が揺らぐのは男の常。
安西郷子は「人は私のことをお嬢様って言いますけど、パリに留学してましたときは
一人暮らしで下宿のおばさんに料理を教わったりして、普通の主婦になれると
思いますわ」とのたまう。
世間からすればパリに留学すること事態、「お嬢様」なのだが本人は全く気づかない。

柳川慶子の方は同級生である安西郷子に男を取られたのものだから気が気でない。
佐原健二の母親(賀原夏子)が病気で寝ていると聞き、佐原健二の家に押しかけて
夕飯作って母親に気に入ってもらうという捨て身の戦法。
実際それが功を奏して母親はニコニコ顔でもう病気も吹っ飛んだかのよう。
しかしそんな柳川慶子が佐原健二は疎ましい。

そうこうしているうちに仕事のほうでは、一般公募した素人男性にモデルをやらせよう
と言う安上がり戦法に出る。
ところがやってきたのは南利明のオカマとか由利徹の田舎者とか小林桂樹(!)の
山下清風とかそんなんばっかり。
(ここでの小林桂樹の裸の大将のセルフパロディはこのシーンだけでも見る価値アリ!
しかもワイドスクリーンの両脇に小林桂樹の課長と応募者の小林桂樹が並ぶと言う
合成つき)
これじゃ駄目だと佐原健二なら男前だし、社員だから特に金がかからんということで
モデルに。

そうそうその前にデパートに視察に行った小林桂樹と佐原健二が、小林桂樹課長の
思いつきで即席の男性用化粧品のメイク説明をするシーンも面白い。
チャップリンの「モダンタイムス」の昼飯食べさせ機のシーンを思い出させた。

そんなこんながあったが結局安西郷子は銀行の頭取の息子と結婚し(やっぱり)、
柳川慶子と結ばれるという結末。
(小林桂樹の奥さんがどっかで見たことがあると思って調べたら若山セツ子だった)

「僕は独身社員」よりこっちの方の女たらしではない佐原健二の方が私は好きだな。
まあイメージの問題だけど。



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僕は独身社員


日時 2009年3月8日15:20〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 古沢憲吾
製作 昭和35年(1960年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


石油会社の総務課に勤める鳴海(佐原健二)、関(佐藤允)、遠山(ミッキー
カーチス)はタイプは違うが仲の良い三人組。
鳴海は女をころころ乗換え、いつも女のうちに居候しているプレイボーイ、
関は堅物、遠山は親に勧められて見合いを繰り返している。
鳴海は女が結婚を迫ったので、さっさと逃げ出し、女はそれがショックで
一度は自殺未遂をする。
それを発見、止めたのが週刊誌記者の芳賀(白川由美)、女の敵の独身男性を
取材しようと鳴海に話を聞こうとするのだが。

古沢憲吾のサラリーマンもの。
脚本はのちに「ニッポン無責任時代」を手がける松木ひろし。
でも正直面白くない。

冒頭佐原健二が同棲している女性とのキスシーンから始まり、ちょっとびっくり。
佐原健二は今回、調子よく女を渡り歩くプレイボーイ役だが、普段の真面目な
イメージがあるせいか、どうも観ているこちらは戸惑う。
これが宝田明だったら素直に納得なのだろうが。

映画の中では冒頭、江川宇礼雄の社長が「石油会社として社員研修で数名の
若手社員を1年間石油の国バラクに派遣する」と決めて3人とも応募する。
独身が条件で、3人は「条件にぴったり」と応募するのだが、結局英語も
出来る佐原健二に決まる。
これが意外でもなんでもなく、3人とも落選とかなるのかと思ったら
普通に要領がよさそうな佐原健二になるのは正直、意外感もなく面白みに
欠ける。

男女関係も女を乗り換える佐原健二が最後には白川由美に惚れて結婚する
かと思ったら、一番誠実そうな佐藤允と結婚する。
万事が意外性に欠ける展開で面白くない。

演出も古沢憲吾だが、クレージーでもないんで、突然歌いだすようなこともない。
ミッキー・カーチス、佐藤允、佐原健二というありそうでなさそうな組み合わせ
だったのだが、この3人の組み合わせ、やっぱりバラバラだった感が否めない。
残念。



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絞殺


日時 2009年3月8日 
場所 録画DVD(日本映画専門チャンネル)
監督 新藤兼人
製作 昭和54年(1979年)6月2日公開

(詳しくはキネ旬データベースで)



狩場保三(西村晃)は息子・勉(狩場勉)の家庭内暴力に耐えかね、自分と妻の
命をも危険に感じてついに息子を殺してしまう。
保三は息子の教育に熱心で有名進学高校に通うため、自分の家も引っ越すほど。
東大に行け!行ってエリートコースを歩むんだ、そうすれば未来は安泰だを
繰り返す。
自分の経営する喫茶店でバイトがレジの金を盗んだことも容赦しない。
勉は同級生の森川初子(会田初子)に想いを寄せていたが、義父に侵される日々を
初子は送っていた。
それを知った勉は義父を汚いと思う。
やがて初子は義父を殺し、蓼科に向かう。初子は勉を呼び寄せ、そこで結ばれる。
勉が帰ったあと、勉との楽しい思い出を胸に自殺する。
家に帰った勉は初子の自殺を知る。
そして彼の怒りは達し、その矛先を父親に向けるようになる。


今じゃ子殺し、親殺しって(悲しいことだが)それほど珍しくない。
でもこの映画が公開された前年ぐらいに有名進学校の学生が家庭内暴力を繰り返し
(私の記憶が正しければ「家庭内暴力」という言葉はこの事件から生まれた)
父親が息子を殺すという事件があった。
マスコミは連日報道し、その事件の殺された息子よりちょっと年下の私としては
大いに興味があった。家庭内暴力とか全く別世界の出来事だったが、同じ年くらいの
子がそういうことをしたのはなぜか非常に興味を持った。
(当時のテレビドラマ「七人の刑事」でも千秋実が父親に扮し、この事件を題材にした
エピソードを放送した。)

そんなわけでこの事件には非常な興味があったので、この事件を題材にした映画、
ということで公開当時見に行った。
でもその時の感想は期待したものと違うという印象だった。
実録的な映画を期待していたにも関わらず、初子のエピソードなどには面喰った。
当時事件には詳しくなかったが(だからこそ知りたくて映画を見にいったのだが)
実際の事件には初子に相当する人物はいなかったように思う。

今回、狩場勉を見直す必要があっての再見。

30年立って自分も大人になってみると「ああ全く違うところを見ていた」と気付かされた。
これは「父と息子、母と息子、息子とその恋人」の四角関係の映画なのだ。
だからこそ普遍的な部分があり、今見てもテーマは十分通じるのだ。

息子は大人の男を醜い、薄ぎたないものと感じる、父はそんな息子に恐怖を覚える、母は
しかしながら夫より息子の味方をする。息子の恋人には嫉妬する。
そんな普遍的な人間関係が息子が暴力に走ってしまった時にこうなるのだ。

その辺がよくわかった。
それに今大人になってから見るとこれは大人の目線で少年を描いた映画なのだ。
つまり父親という者は息子から憎まれるかも知れないという恐怖感を抱き続けるのだ。
僕自身、16歳の時にこの映画を見て少年に感情移入をしなかった。
しかし今回は少年の気持ちが伝わってくる。
それは「つまり息子というものは父にこういう感情をもつものなのだ」という先入観を
持ったからではないだろうか?

それは新藤兼人の恐怖であり、大人の男の恐怖なのであろう。
実は息子はそこまで思っていないのだが。
それに初子のような存在は普通は、少年にはなく余計に作為(大人の思い込み)を感じて
しまうのだ。
だから大人になった私には非常に面白かった。

16歳の時に見ておいてよかったと思う。
だからこそこういう感想が持てた。
16歳の自分に感謝する。

そして役者では狩場勉。この映画が映画初出演らしいが、この映画の役名を芸名にしたとは
知らなかった。いや当時知っていたかも知れないが忘れていた。
圧倒的な迫力で迫る。
(続いて「日本の黒幕」でも少年テロリスト役だが、そういう役をやらせると実にぴったりの
顔立ちだ)
西村晃は当時見た感想では高校生の父親役にしては年上すぎるということ。
乙羽信子は相変わらずのうまさ。

面白かった。
16歳のときより今の方が楽しめた。



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ウルトラマン物語(ストーリー)


日時 2009年3月7日15:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 高野宏一
製作 昭和59年(1984年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


M78星雲のウルトラの星では後のウルトラマンタロウとなるタロウ少年が日々
ウルトラの戦士となるべく訓練を重ねていた。(と言ってもひとりでシャドウボクシング
をやったり、自分で石を投げてそれに向かって光線を撃ってみたり、ひとりで
側転をしてみたりとゆるい感じなのだが)
タロウも母や父から「怪獣にもいい怪獣と悪い怪獣がいる」とか精神的な訓練も
受けている。
やがて大人になったタロウ。「兄さんたちはすでに一人前なのにどうして僕は
実戦に出してもらえないんだ!」と父に大して不満をぶつけるタロウ。
自分の力を過信するタロウは円盤を攻撃しても(おいおい、宇宙を航行中の円盤を
勝手に攻撃していいのか?それともクレー射撃の標的みたいなものなのかその円盤は)
つい後ろからやられてしまう。でもタロウは「ちょっと油断しただけ」と自分の
ミスを認めようとしない。
そんな姿を父に叱られてなんとか改心するタロウ。
やがてかつて父も戦った宇宙の邪悪の根源、ジュダと他のウルトラ戦士たちと対決する
のであった。

「ウルトラマン」=円谷=東宝という図式がなんとなくあったがこの映画の頃と
円谷プロは離れていて松竹の配給。
松竹はこのころ「機動戦士ガンダム」の映画版の配給で大当たりをとり、アニメとか
特撮ものとかのいわゆる「松竹大船調」とは違った路線も歩んでいた。
この映画のことは知っていたが、「ゴジラ」は好きでも「ウルトラマン」には
いまいち関心が薄い私は見なかった。
(怪獣と人間が対決する話が好きなので、「ウルトラマン」も関心があるのは
ウルトラマンが登場する本編までなのだよ)

今回は人間のキャラクターは全く出ず、ウルトラマンの視点からのみ話が進む。
話は上記の感じで私的には突っ込みどころ満載で(ウルトラマンはもっとたくさん
いてウルトラ学校みたいなハリーポッター的世界があるのかと思っていた)
「タロウって友達いないんだ」とか「父と母と三人ぐらいじゃ息が詰まるだろうなあ」
とか余計な事ばかり考える私はもう心が汚れているのだろう。

それで兄たちであるウルトラ戦士たちの戦いを(時折テレビ版からのライブフィルムで)
観て研究する、という形で他のウルトラマンの戦いぶりを紹介。
その中で「ウルトラ兄弟以外の戦士の戦い方を見てみよう」とばかりに見慣れない
ウルトラマンが登場。顔つきもウルトラマンというより七色仮面みたいな顔だが
あれって「ウルトラマン80」ってやつ?

周りにいたウルトラマンファンに聞き逃した。
しまった。



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20世紀少年 第2章 最後の希望


日時 2009年3月6日21:30〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン4
監督 堤幸彦

(公式HPへ)


2015年、2000年12月31日の巨大ロボットが東京を襲った事件は「血の大みそか」
として教科書にも載っていた。
いまや高校生となったカンナ(平愛梨)は自分の叔父ケンジ(唐沢寿明)がテロリストとして
教えられているのが不満でならない。
世の中はいまや「ともだち」が支配する世界。カンナは「ともだちランド」という教育施設に
送られることになるが、そこは「ともだち」の洗脳施設だった!


前作を見てから5か月、内容をすっかり忘れていたため、話が半分くらいしかわからない。
昭和と1995年ごろという近過去が舞台だった前作だが今回は舞台を2015年の
未来に移す。

恐らく原作を読んでいる人にはよくわかるのだろうが、今回登場人物が多すぎて、それが
大した活躍もせずに次々と登場し、消えていくから全体としてのバランスが悪すぎる。
原作ファンには「あの場面が映像になっている」とうれしいのだろうが。

たとえば新宿歌舞伎町で抗争を続けるタイマフィアと中国マフィアが話にかかわってくるのか、
藤木直人の若手刑事が関わってきそうではじめと終わりにしか出てこない、ユースケ・
サンタマリアの「サダキヨ」が出てきたと思ったらもう死んでしまう、森山未来の
漫画家はどうかかわっているのか?国民的歌手「春波夫」は話にどうかかわるのか
などなど、登場人物が多くごちゃごちゃしているだけでさっぱりわからない。

3部作の真ん中ということで話が中途半端になりにくいのはわかるけど、
(1作目は始まりだし、3作目は完結だから話がまとまる。2作目はただのつなぎに
しかならない場合が多い)そこは1本の映画としての公開なのだから、きちんと
1本の映画としてにしてほしかった。

出演ではカンナ役の平愛梨がいい!
普段女優にはあまり関心のない私だが、目力のあるルックスはたくましく、素晴らしい。
今後の活躍が楽しみだ。

あと「ともだちランド」の教育官(?)の小池栄子。
ニコニコとした笑顔の中にある不気味さがいい。テレビのバラエティ番組でしか観たことが
なかったが、この映画では印象に残る役どころだった。



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裏切りの闇で眠れ


日時 2009年3月1日14:30〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 フレデリック・シェンデルフェ−ル

(公式HPへ)


まず書いておくが話がわかりづらい。それは脚本がどうとか監督が
どうというより私が日本人からかも知れない。
俳優の顔がなんとなく似通っていて誰が誰だか解りづらいのだ。
これは私の理解力のなさのせいかと思ったら、グリソムギャングで同時に
見た人の多くが言っていた。
(長崎俊一監督も解りにくいとおっしゃっていた。別に俺と長崎俊一監督が
同レベルと言うつもりはないけれど)

映像がきれいで、昼は暖色系であり夜のシーンは陰影があって美しい。
その映像の美しさの割には残酷な拷問シーンなどもあるし、登場人物は女とは
やりまくるし、話はエグイ。
暗黒街もの(フィルムノワール)というより、ヤクザ映画のテイストに近い感じが
する。

従って日本のヤクザ映画の役者にたとえてあらすじを書いておきます。

菅原文太風と北大路欣也風の一匹狼的コンビがいて、松方弘樹風の手下を何人も
抱えているボスがいる。
この松方弘樹は菅原=北大路コンビに時々下請け的に仕事を頼む関係だ。
松方弘樹は北大路を気に入っていて、文太とのコンビを解消し、「俺の組に
入れ」と進めるが誰かの手下になるのを好かない北大路はその話を断る。
松方の方はいかがわしいクラブを何軒か経営していてその上がりを上納させて
いるのだが、渡瀬恒彦風がいて「やれんのう」とばかりに上納金を納めない。
麻薬の取引とか偽札の売買とか盗難高級車の売買とかいろいろエピソードが
あって、松方弘樹は逮捕される。
親分がいない3年の間に若頭の室田日出男が力をつけてきて、渡瀬恒彦もますます
台頭してくる。
親分の仮出所の際には菅原=北大路コンビを味方につけようとした室田一派だったが、
菅原=北大路はそのほうが儲かるとばかりに渡瀬一派と手を組み、出所してきた
松方を殺す。
それだけでなく北大路は菅原文太をも殺し、金を独り占めしたのだった。

大体こんな感じ。
違っていたらごめんなさい。

で途中に麻薬の売買とかあるのだが、相手が金を払わず麻薬を持ち去ろうと銃撃戦
になったり、仲介した男を「テメー、恥かかせやがって」とばかり拷問する。
このシーンがえぐくて、全裸にした男を局部を棒でぶったたき、その後に目をえぐる。
見てられないよ、そんなシーン。

それにしてもこの映画、男女を問わず裸が多い。
最近の映画ってAVの影響で(つまり裸専門映像が増えたから)一般映画ではホントに
裸を見なくなった。
でもこの映画って割と多いんですね。
ファックシーンも多い。松方弘樹が渡瀬のクラブに行って、そこにいた女をトイレに
連れ込んでいきなり後から犯したり、そんなんばっかり。

フィルムノワールってもっと金以外、特に女に関してはストイックなイメージがありますから
ノワールって言うより、フランス版「仁義なき戦い」でしたね。



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