2010年12月

相棒U 
警視庁占拠!
特命係の一番長い夜
最後の忠臣蔵 トボー・ザ・グレート ジュラシック・アイランド ピンクのカーテン
フォロー・ミー 人類最終兵器 
ドゥームズデイ・マシーン
マシンガンパニック 
笑う警官
戦後猟奇犯罪史
スーパーカブ2 激闘篇 スーパーカブ 行きずりの街 五月みどりの
かまきり夫人の告白
禁断の恋 いつかの君へ 危険な道 SPACE BATTLESHIP
ヤマト

相棒U 警視庁占拠!特命係の一番長い夜


日時 2010年12月30日13:40〜
場所 名古屋ピカデリー・スクリーン2
監督 和泉聖治

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警視庁のある夜、警視総監以下の各部長たちが集まった会議室に男が乱入し、籠城した。
特命係の杉下(水谷豊)と神戸(及川光博)も捜査を始める。杉下の活躍により犯人の写真を撮ることに成功。
男は元警視庁組織犯罪対策にあたっていた八重樫巡査部長を解った。
結局、強行突入。八重樫は自分の持っていた拳銃を取り上げられ混乱の中射殺された。
警察幹部はこの事件を警察を退職させられた元警官の単なる逆恨みによる犯行を片づけようとしていた。
納得の行かない特命係の二人は独自の捜査を開始。
そこには警察内部の権力抗争も関わる真相があった!


昨年のGWに大ヒットし、テレビシリーズも好調な「相棒」シリーズの映画化。
テレビシリーズはまったく見ていないが、映画の方は楽しみにしてみた。
結論からいうと前作より面白かった。

サブタイトルを見ると警視庁占拠事件の起こった一晩を描く話のようで、実際まずはそこから始まるから一晩の話だと思っていた。「なんか『踊る大捜査線』みたいだなあ」という否定的な気分で見ていたら、強行突入をして占拠事件は終わり。
その後は八重樫が何の目的で占拠したかの捜査が始まる。

7年前のある貨物船への強制捜査。これが組織犯罪対策と公安部が関わってきて・・・
話はちょっとわかりにくくなったりもしたが、公安部のトップが国際テロ組織が中国マフィアに姿をくらましているという情報をねつ造をして公安の存在価値を示そうとしたという真相。

冷戦以後、公安部がその存在価値を示すために事件をでっち上げているという話は鈴木邦男氏の著作でも聞いた話だったので、ありがちな話と納得した。
こういったあながち嘘ではない話をネタにしているあたりがこの「相棒」シリーズの魅力であり、若い男女が死ぬの愛しているのでもたもたさせない他の最近の邦画大作とは違ったファンを満足させるのだろう。

またその公安部の暴走だけでは話は終わらず、そのことをネタにして警察庁が警視庁の人事を大幅に変更させようとしたり、人事で切られたある部長が驚きの行動をしたりで飽きさせない。
ラストのある人の死には驚いた。
テレビシリーズを見ていないけど、殺された人がレギュラーだったことぐらいは知っている。
だから刺されたときになんとか助かるのではないかと思っていたら亡くなったので驚いた。

先も書いたけど男と女が好きの愛してるの死ぬの生きるのではない「大人も楽しめる話」としてまた見てみたい。
まあ映画を待つんじゃなくてすでに9シーズン分あるテレビを見ればいいのだろうけど、なんとなくテレビ番組を見るより映画を見たくなってしまう性質なので。
とにかく面白かった。



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最後の忠臣蔵


日時 2010年12月29日19:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン10
監督 杉田成道

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赤穂浪士四十七士による吉良邸討ち入り後、大石の命により生き残った寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。彼の受けた命は浪士の家族が後の生活に困ることの無いよう、様子を訪ねてお金を渡していくことだった。
その旅の途中、討ち入りの前夜にいなくなった瀬尾孫左衛門(役所広司)を見かけた。
なぜ孫左衛門は討ち入り前夜にいなくなったのか?
彼もまた大石より命を受けていたのだ。

いい映画だと思う。
画はしっかりしているし、セットも衣装も見事だ。
映画としての格式を感じる。
安っぽさなどみじんもない。
しかも主役は役所広司。今日本で一番の名優だ。
文句のつけようがない。せりふのないアップを1分耐えられる、最近の中では希有な役者だ。
しかしだからと言ってこの映画が好きかというとそうはならなかった。

映画の方は孫左衛門はある人里離れたところに若い娘と住んでいる。孫左衛門は骨董の売り買いをしており、それを京都の豪商・茶屋に売りに行ったときに主人から「先日人形浄瑠璃の芝居小屋で凛とした美しい娘を見かけ、息子も私も一目惚れした。心当たりはないか」と相談を受ける。
それが孫左衛門が育てていた娘なのだが・・・という展開。
実は娘は大石の隠し子だったという訳。大石はその生まれたばかりの娘の行く末を案じて孫左衛門にどこかに無事嫁ぐまで面倒を見てくれるように命じたという流れになる。

なんとなくこの映画が好きになれないのは「大石に隠し子がいた」という設定のせいだろう。
別に忠臣蔵フリークではないし、そんなに思い入れはないのだけれどなんとなく大石という人間はストイックなイメージがあるので「隠し子」というのがイメージに合わないのだなあ。
それに浪士の家族の面倒を見るというのはたとえば仕事の上司として尊敬できる一面なのだが、「自分の隠し子を面倒見てくれ」というのは実に私的な用件であり、封建社会ではそういうこともあったことはもちろん納得できるのだが、現代の感覚しか持ち合わせない私としてはちょっと納得できないのだな。
何度も言うけど頭では理解できるのだが、話に乗れない。

もっとも孫左衛門はその娘に惚れられて「嫁には行きとうない。孫左とずっと暮らしたい」と言われたり(それも16の娘だぜ)、さらには一緒に娘の面倒を見てくれた元島原の花魁にも惚れられたりしてもうモテモテだ。
うらやましい。
さらに大石の娘と解って今まで孫左衛門を見下した元赤穂藩士が謝って嫁入りの行列に参列していくシーンはこっちもうるうる来ましたが。

そして最後には大石の命を果たした孫左衛門は大石の後を追って切腹する。
「美しき武士道」と言って賛美したくなる気持ちも解るし一番最初に書いたように映画の格が立派なのだが、「大石の隠し子を育て上げた男の話」という設定に納得出来ないものがあり、映画としては好きになりきれなかった。

あと大石の娘を演じた桜庭ななみの美しさも映画の魅力であることを記しておきたい。



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トボー・ザ・グレート


日時 2010年12月28日
場所 DVD
監督 リー・ショレム
製作 1954年(昭和29年)

(詳しくはImdbで)


宇宙開発が進められるアメリカ。宇宙への有人飛行のために訓練を続けられていたが、その訓練は過酷だった。
「人間を消耗品扱いしている」として若きハリソン博士は宇宙開発機構を辞職した。
考えを同じくするノードストローム博士に誘われ、彼の自宅で研究することに。
彼らの研究は宇宙飛行が可能なロボットを開発することだった。ノードストローム博士の孫のガッジ(あだ名だけど)は機械に強い。
ガッジがロボットに興味を示しつつ、ロボットは完成した。ロボットの名はトーボーと名付けられた。「ROBOT」を逆読みしたものだ。
やがて新聞記者に発表の時が来たが、どうやらどこかのスパイが混じっていたらしい。
スパイたちはこのトーボーを手に入れようとするのだが。


またまたRUNコーポレーションのC級SF映画。ジャケットの解説によると日本では劇場公開されず、「偉大なるトボー」「鉄人トボー」「偉大なトビ―」などの邦題で放送されたことがあったようだ。
ロボット・トーボー大活躍!の冒険談。
善悪ははっきりしていて、仲間割れとか裏切りとかはない。
悪い奴は最初から悪いし、いい人は最後までいい人。
映画は人類がまだ有人宇宙飛行を行う前だから、「果たして人類は大気圏外に体力的に到達できるか、生きていけるのか」という不安や疑問が多かった時代の話なのだろう。
今や宇宙飛行士の存在も珍しくなくなったので、隔世の感がある。

それにしてもノードストローム博士の家は仕掛けだらけなのだが、その中で門に顔認証システムが取り付けられており、なにもしなくても人物チェックするというシステムには驚いた。
この時代から顔認証システムの考え方があったのだなあ。

トボーはロボットらしいロボットで可もなく不可もなくといった印象。
すごいのは人間の考えを察知して動くという、感応装置を備えているのだな。その点は他の映画に登場したロボットより進歩している。
また遠隔操作も途中から可能になり、ペン型遠隔操作機で操作可能。
スパイたちがロボットの秘密を盗もうとしてノードストローム博士やガッジが捕まったときに威力を発揮。

このスパイたちに捕まったがトーボーが救出した活躍が認められ、今度は宇宙飛行へ。
こちらも成功。ずべてメデタシメデタシ。

毒のない、夢のあるSF映画でしたね。



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ジュラシック・アイランド


日時 2010年12月27日
場所 DVD
監督 ジャック・バーンハード
製作 1948年(昭和23年)


第二次大戦後のシンガポール。テッドは海軍にいたときに飛行機で偵察中に恐竜のいる無人島を発見。
戦争には関係ないとして軍には報告しなかったが、戦争が終わった今、婚約者のキャロルを伴ってその島に行こうとシンガポールにやってきた。
動物運搬船の船長・タナウスキーを紹介され、彼に事情を話し島まで船を出してもらうことに。
タナウスキーは酒場で「恐竜のいる島に行ったことがある」と以前より言っていたフェアバンクスを同行させることにし、島に向かう。
半信半疑だったタナウスキーだが、島について驚いた。
確かに恐竜はいたのだ!

比較的まともな怪しいSF映画のDVDを発売しているオルスタック・ピクチャーズから発売のSF恐竜映画。
作品解説を読むと日本では劇場公開、テレビ放映もなかったようでこのDVD発売が日本初上陸らしい。
「ジュラシックアイランド」なんてスピルバーグの「ジュラシック・パーク」を思わせるタイトルだが、原題は「UNKWON ISLAND」。このDVD発売に伴ってつけられたタイトルだろう。

昭和23年の映画だがカラー作品だ。たぶん世界初のカラー恐竜映画だろう。
お話は定番のロストワールドもの。
島に着くと早速草食の首長竜が迎えてくれる。そして定番の悪役恐竜、ティラノサウルスも登場。
それだけでなく、なんとキングコング風の猿の怪物が登場。大きさはたぶん身長4mぐらいだけど、顔が猿とはちょっとちがう正体不明の怪物。
恐竜がいる世界とでは進化の時代が合わない気なするのだが、(まず爬虫類と哺乳類で違うし)恐竜がいるからといってこういうのがいるとは思えないが、ここではそういうことを言ってはいけない。
(ほら「ポーラーボーラ」だって恐竜と原始人が一緒にいたわけだし)

ティラノサウルスはコマ撮りではなく、なんと着ぐるみ。
「ゴジラ」と同じことをすでにアメリカでもしていたのだ。しかし激しい動きをするでもなく、よたよたと歩き回ってなんだか可愛い。
そして大トカゲも登場するがこちらは紐で引っ張って動かしているようなこれもまたユーモラスな動き。

でお話の方だが、テッドは写真を撮ることに熱中し、キャロルに「あたしと写真とどっちが大切なの?」的に攻められる。
船長は恐竜を生け捕りにすると言いだし、「写真や映画だけで十分」と主張するテッドと対立。もっともそのテッドも恋人から嫌われかけている。船長は恐竜だけでなくキャロルも捕獲しようとキスを無理矢理してくる。
またシンガポールの現地人を船員に雇ったが、「こんな危険な島はいやだ」と反乱を起こしたり、とにかく仲間割れが激しい。
「マタンゴ」並みだ。唯一まともなのはフェアバンクス。

結局沖に停泊している船まで帰るボートもなくなり、あわやとなったが筏を作って脱出しようということに。船長とは仲間割れしたけど。
ところが逃げようとしたところでティラノサウルスと例のキングコング風が対決を始める。
この2足歩行の恐竜とキングコングもどきが対決している様は「キングコング対ゴジラ」を彷彿とさせる対決。
でも日本未公開作だから円谷英二はこの映画は観ていないと思う。
最後にはキングコングもどきが海岸の崖からティラノサウルスを放り投げキングコングもどきの勝ち。
この海岸の崖から海に落ちるという画はさらに「キングコング対ゴジラ」を思い出させ、十分面白かった。

昭和23年にこんなレベルの怪獣(恐竜)映画があったのかと驚かせた1本。
思ったより面白かった。



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ピンクのカーテン


日時 2010年12月26日15:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 上垣保朗
製作 昭和57年(1982年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


悟(阿部雅彦)のアパートに結婚のためと出ていった妹の野理子(美保純)が帰ってきた。
やはり結婚はやめるという。恥じらいもなく裸になって悟の前で着替える野理子。そんな野理子に悟は欲情してしまう。
だが野理子は以前勤めていた美容室のオーナー美容師の三田村(望月太郎)と不倫の関係を持っていた。中年の三田村だが、彼とのセックスがたまらないという野理子。
悟はスーパーの同僚・須藤(吉川敏夫)の彼女・直子(萩尾なおみ)を須藤から紹介され、「もう別れた」という須藤から直子と付き合うように言われる。
悟は野理子が気になって仕方がない。

80年代前半、日活ロマンポルノ界では新スター美保純で話題は持ちきりだったと思う。
特にロマンポルノに興味がなかった私は、雑誌のグラビアなどで美保純の顔は知っていたが、実際に映画は観ていない。
その後、美保純は「男はつらいよ」シリーズのタコ社長の娘役で数本出演した。(途中で消えたけど)
裸出身で一般映画に出るようになった最初かも知れない。
(あっ宮下順子もいるか)
それぐらい当時の美保純の勢いはすごかった。(あくまで日活ロマンポルノの枠内での話だけど)

で、この「ピンクのカーテン」という映画も知っていた。
ただし特に興味はなかったので当時は観ていない。今回が初見だ。

冒頭、悟が雑誌のヌードグラビアを観ながらオナニーをしているところに美保純が帰ってくるところから話は始まる。
この悟の部屋の壁には松本伊代のポスターが貼ってあるのが懐かしい。

映画の方だけど、美保純がバナナを男性器のようになめ回して食わえるところがとってもいやらしい。
堂々と大胆になめるので驚いたが、考えてみればロマンポルノなのだ。
いやらしいのは当たり前だけど、ピンク映画だとかえってあっさりしているのだな。映倫の関係とかあるのかも知れないけど。

結局悟は直子で童貞を捨てるのだが、やはり美保純が気になって仕方ない。三田村に振られて酔っぱらってアパートに帰った美保純に「添い寝して」と言われてついにしそうになる悟だけど、その時に直子から電話。
病気で寝ているからその看病に行くのだが、体を拭いているうちについしてしまう悟。

結局は妹とは未遂に終わったけど、まだ何となくありそうな感じで映画は終わる。
映画後の監督と脚本家高田純さんのトークイベントでは日活は寅さんのように長いシリーズ化を期待したらしいが、それは無理だろう。
「出来そうになるけどしないで終わる」というのが何回も出来るとは思えいないな。
確かに美保純というスターのシリーズものを欲しかった気持ちは解るけど。

この映画の美保純はぽわーんとした親しみやすさがいっぱいでとてもいい。
明るい。
裸になる女優というとそれまではどこか暗さがつきまとっていた感がある。
しかし美保純は明るく、80年代のスターの魅力は十分兼ね備えていた。



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フォロー・ミー


日時 2010年12月26日10:00〜
場所 TOHOシネマズ六本木ヒルズ・プレミアスクリーン
監督 キャロル・リード
製作 1972年(昭和47年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


イギリスの上流階級の会計士、チャールズ・シドリー(マイケル・ジェンストン)は最近妻・ベリンダ(ミア・ファロー)の行動に不信を抱いていた。早朝に出かけ、深夜に帰宅する。
ついに彼は私立探偵を雇って妻を尾行させることに。
数日後、奇妙な男がシドリーの事務所を訪ねてくる。
始終何かを食べている不思議な奴だが、雇われた探偵だった。彼クリストフォルー(トポル)は調査結果を報告するが、どうやら若い男が出来たらしい。家に帰ってベリンダを問いつめるシドリーだったが、思いもかけない答えが返ってきた。


今年、2010年は全国の東宝シネマズチェーンで「午前10時の映画祭」と称して洋画の名作を朝10時から1回上映し、週替わりで1年で50本上映する企画が始まった。
邦画と違い、洋画は配給権の絡みがあるからかつての名作洋画はスクリーンで見ることは難しく、DVDでしか観賞出来なかった。
それをリクエストと選考委員の意見により50本選抜され作品が決定。
発表されると私の洋画好きのネット友人たちが一番驚いていたのがこの「フォローミー」。
この映画は過去にソフト化されたことがなく、好きな方にとっては幻の名作だったらしい。
実をいうとこの番組で上映される映画は見たことはなくても知っている映画がほとんどだったが、全く知らない映画がこの「フォローミー」だった。
この映画だけは見ようと決めていた。
ネットでチケットを買おうとしたらほぼ10分ぐらいで完売という人気ぶり。
「神宮寺さん向けの映画じゃないかも知れませんよ」という親切なアドバイスをいただいたうえで観賞。

結論からいうとそのアドバイスは当たっていた。ドンピシャリ!
話の方はその雇った私立探偵が尾行しているうちに彼女に気づかれ、口は利かないのにお互いに意識しあい、食べ物の名前が付いている路地ばかりで街めぐりをしたりイルカのショーを見に行ったりしてしまう。
果ては屋外迷路の中で二人で弁当を広げる始末だ。
要は夫は完ぺきな人でオペラや美術を見に行ってもそのうんちくを聞かされることが多く、最初はそれも楽しかったが、やがては負担になってくる。
それで一人で街歩きしていたが、男と知り合って本当の自分を解ってくれる存在を得て喜びを感じてた。という展開。

もちろん夫は怒って私立探偵を怒やすが、妻はかえって家出をしてしまう。
で私立探偵は妻を探し出すが、夫にある提案をする。
「私がしたように妻を10日間尾行しなさい」

要はこの女は「私を見て、私を知って!」とわがままを訴えているにすぎない。
めんどくさい女だな。
また登場するこの私立探偵もいやな奴。
話は横道にばかりそれてなかなか確信に入らないし、やたら食べ物ばかり口にしていて行儀が悪く、かばんの仲もぶちまけたり絶対に知り合いにいてほしくないタイプ。
第一、登場の仕方が謎めいて現れ、夫の事務所にいきなり現れる。
探偵社に相談に行った時に紹介されたのとは違うと男だから、何か裏のある展開かとちょっと期待したが無駄だった。

終わってネットに「やっぱり私向きの映画ではなかったです」と書いたら「ああやっぱり。乙女度の高い映画ですから」という意見をいただいた。
「乙女度の高い映画」!実に言い得て妙だと思います。



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人類最終兵器 ドゥームズデイ・マシーン


日時 2010年12月25日
場所 DVD
監督 ハリー・ホープ/リー・ショレム
製作 1972年

(詳しくはIMDbで)


1975年、アメリカのスパイが中国の軍事施設に侵入し、中国の核兵器完成の証拠写真を撮る。
それはワシントンに送られ、重大事として大統領に報告される。
その頃、アメリカは金星探査友人飛行の秒読み段階だった。発射寸前になって7人のクルーのうち3人は女性に変更される。船長は反対したが、「大統領命令だ」と押し切られる。
しかもそのうち一人はソ連の女性宇宙パイロットだった。
発射する金星ロケット。しかし中国の核実験(?)により地球のあらゆる核が連鎖反応で爆発!
地球は爆発し、その姿を消した!大統領たちは人類の子孫を残すために女性の乗組員に変更したのだった。果たして彼らは金星にたどり着き、人類を残せるのだろうか??

WHDの怪しいSF映画シリーズの1本。
作品紹介に「宇宙のシーンは『妖星ゴラス』のフィルムが使用されている」とあったので俄然見たくなった。
見てみたら宇宙のシーンだけでなく、最初の核爆発が起こった時の地球での大洪水のシーンも「妖星ゴラス」から使われている。ゴラスが最接近して津波が起きるシーンね。
だから東京タワーが写っていたりするカットが登場する。

宇宙のシーンでロケットが宇宙を進むカットなども「妖星ゴラス」からの流用。
宇宙ステーションとすれ違うシーンなども使われている。
ただし宇宙のカットは別の映画も使われているらしく、ロケットを正面、もしくは後面から捕らえたカットでは全くロケットの形が違う。
だからこの映画のロケットの形はものすごく変。
というかそもそも新撮はないんだろうけど。

それで男性乗組員が女性に迫りまくったり、当然ややこしくなる。
最後の方では男があんまり迫るもんだから、宇宙船の隅の部屋に行ったら女性が誤ってハッチをあけるボタンを押してしまい、顔から血を出しながら死んでいく。
結構えぐい。

で金星に到達する寸前にエンジン故障。
それを直すためにクルーのうち二人が(うち一人はソ連のパイロットね)が船外で修理に。
でも宇宙に取り残される結果に(もとよりそれは覚悟で行ったんだけど)。
しかし捨てる神あれば拾う神ありで、なんとその近くにはかつてソ連が打ち上げて行方不明になって遭難した宇宙船が!
とりあえず二人はそこへ逃げ込み、起動させ金星に向かうが、そこで突然、金星人の声か、はたまた神の声が聞こえてきて「お前たち人類は自らの過ちで自滅するのだ〜」的なナレーションが出てきて宇宙船が爆発して終わるというなんだかわからないラスト。
低予算で作られたトンデモ映画でしたなあ。
全部書いちゃったけど。



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マシンガンパニック 笑う警官


日時 2010年12月23日
場所 DVD
監督 スチュアート・ローゼンバーグ
製作 1976年

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


舞台はサンフランシスコ。
ある夜、路線バス内でマシンガンが乱射され、乗客と運転手が殺された。
唯一生き残った老人がいたが、犯人の手掛かりらしき証言はつかめない。
現場に急行した刑事たちジェイク(ウォルター・マッソー)やレオ(ブルース・ダーン)は被害者の中にジェイクの相棒刑事、エバンスがいるのを発見する。
エバンスは休暇中だったが、同棲していた恋人の話では仕事をしていたという。
彼の引き出しの中から2年前に殺され迷宮入りになったテレサの写真が入っていた。
エバンスは偶然巻き込まれたのか?それとも彼は何かを追っていてそのことでバスの乱射事件が起こったのか?
ジェイクたちの地道な捜査が始まる。


「マシンガン・パニック」というけど別にパニック映画ではない。
「サブウエイ・パニック」と同じく、パニック映画ブームで強引に邦題に「パニック」の単語を入れただけ。
原作はスエーデンの夫婦ミステリ作家・ペール・ヴァールーとマイ・ジューヴァルの「笑う警官」。佐々木譲にも同タイトルの小説があるが多分関係ない。
この小説のタイトルから触発されたのだろう。
派手な刑事ものではなく、スターらしいスターはウォルター・マッソーとブルース・ダーンぐらいであとは地味。この頃「フレンチ・コネクション」のヒットでアメリカ映画界は刑事ものが流行っていた。

ジェイクは仕事ばかりで息子や娘からは嫌われている、というか無視されている。
聞き込みにいったストリップ劇場で偶然息子が客として入るのを見かけるが、(これが劇場主を「未成年が客として入っている」と締め上げるネタになるのだが)家に帰っても息子はいない。帰ってきたと思ったらすぐに自分の部屋に入り、その話は出来ずじまい。
なんだか仕事一筋の中年男の悲痛さが漂ってくる。

また別の場所で乱射事件があり、「バス事件の犯人か」と思われたが結局は関係なし。
他の被害者にも聞き込みに行くが手掛かりはつかめない。
そんな時、麻薬で挙げられた男からマシンガンを探している男がいたと聞く。
それがどうやら被害者の一人のヤク中らしい。その恋人を訪ねると彼女は死んでいた。
彼女の家にそのヤク中と戦友らしい男が軍服を着て並んで映っている写真があった。
その男は例の迷宮入りの事件のテレサの情夫だった男だ!
ここで事件は急展開。いよいよ犯人を追いつめるが。

という展開。
全体として話が脇道のそれることも多く、途中の銃の乱射事件など何の関係もない。
被害者の一人がレズビアンだったり、ストリップ劇場に聞き込みにいったり、容疑者の男が男も好きでメンズ・ストリップをしているゲイバーに行ったりする。
そういうサンフランシスコの風俗を描きながら映画は進展していく。

あまりスリリングでなし、派手なアクションシーンも少ないし、映画としては地味だ。
しかしそんな脇道にそれながらの無駄な捜査の部分が映画の肉付けとして楽しい。
最後にはちょっとアクションで決めてくれる。
原作はもっといいという評判だが、映画も決して退屈ではない。
ウォルター・マッソーの刑事ぶりが楽しめる一作。



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戦後猟奇犯罪史


日時 2010年12月22日21:10〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 牧口雄二
製作 昭和51年(1976年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


70年代後半、「ウイークエンダー」という土曜の22時からやっている番組があった。漫画家でタレントでもある加藤芳郎が司会で、泉ピン子や桂朝丸が独特の口調(犯罪者の写真をパネルで持って「こいつ悪い奴でっせ〜」と語るのだ)
で犯罪事件を紹介し、時にはその再現フィルムを挿入するという週刊誌のテレビ版みたいな番組。
その再現フィルムというやつがちょっとエッチでおっぱいが映ったりするような感じ。だから当時俗悪番組に言われていたと思う。

本家「ウイークエンダー」は今そのVTRはほとんど残っていないらしいが、この映画を見るとその番組テイストは感じることが出来る。
映画中では「泉ピン子ショー」として泉ピン子が「ウイークエンダー」と同じ口調で犯罪事件を紹介していく。

タイトルバックで小平事件、帝銀事件などが紹介され、続いて「西口彰事件」を再現フィルムで紹介。
これは今村昌平の映画「復讐するは我にあり」の元ネタになった事件と同じ事件。
実際の事件は昭和38年〜39年。
「復讐〜」では緒形拳が演じた犯人を室田日出男が演じる。
ここが20分ぐらい。

続いて歌手の克実茂愛人殺人事件。
有名な事件らしいのだが、まったく記憶にない。調べてみたら1976年の事件。
もう中学生だったから何か記憶にあってもいいような気もするがないのだな。
多分克実茂という歌手自体を意識していなかったのだろう。
この映画自体が1976年だから、ついこの間の事件だったのだな。
ここが10分ぐらい。

最後は群馬の大久保清事件。
犯人の大久保清を川谷拓三が演じる。このころから「ピラニア軍団」として東映のわき役(大部屋)俳優が注目されたように記憶する。中でも室田日出男、川谷拓三が注目を浴び、志賀勝が第3の男と言われたと思う。
この大久保清のパートが30分以上あり、いちばん長く描かれる。
ラピュタのチラシの映画紹介の記事でも川谷を誉める書き方をしていたが、(「ラストエピソードでは川谷拓ボン全力投球の演技で観客の心に爪痕を残す!」と書いてある)それも納得。
特に逮捕されてからの警察をからかうかのような否認ぶりはなんとも言えない。

死体が埋めてある場所に連れていったにも関わらずそこには死体はなく「僕は悪い奴だから嘘つきま〜す」的なことをいうあたりはぞくぞくした。
そしてラスト、ついに彼も自供し、死体を埋めたところに警察を連れていく。
遺体発見のあと、そこに立ち会った遺族たちから石を投げられていくシーンも圧巻。

死刑廃止論者からするといかがなものかとも思うのだが、映画的カタルシスを考えるとここで遺族から石を投げられて血だらけになるのは当然という気がしてくる。
面白かった。

この映画、「『ウイークエンダー』の映画版を作れ」という発想から映画が始まったのかと思っていたが、そうではなく「大久保清事件」を映画化したいというところから始まったのではないか?
それなら当時流行っていた「『ウイークエンダー』風にオムニバスにしちまえ!」となったのではないかという気がする。
ラストの大久保清が石を投げられるところの迫力のシーンを見てしまうと、ますはこのシーンが撮りたかったのではないかと思えてきた。



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スーパーカブ2 激闘篇


日時 2010年12月19日15:40〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 室賀厚
製作 平成20年(2008年)


相変わらず音速の出前持ちとして活躍するハマー(斉藤慶太)だったが、蕎麦屋かぶらぎやの主人は親友の寿司屋の妻が危篤になったと連絡を受ける。
甲府の病院に入院してるのだが、もう一度かぶらぎやの蕎麦が食べたいという。
かぶらぎやの主人(小木茂光)は娘とハマーに甲府まで行って彼女に蕎麦を食べさせるようにする。
しかしその頃、山梨県警では警察内部の不正を暴こうとする警察官が追われていた。彼はその証拠をその寿司屋に託す。寿司屋は証拠のビデオテープを寿司桶に隠し、ハマーにかぶらぎやの主人に寿司を届けるよう頼む。
しかし警察の不正に関与している幹部が、ハマーたちの逮逮捕を命じる。
どうなる、ハマー!


「スーパーカブ」の2作目。
どうもキャストも全く同じだし、ロケ地も前作と同じだなあ(ほら数年たって続編を作るとキャスティングが違っていたり、ロケ地の雰囲気が変わっていることが多いから)と思っていたらなんと2本同時に撮影したんだそうだ。
つまり「1」と「2」が一冊になった分厚い脚本を抱えながらの撮影だったそうで。
だからたとえば「1」と「2」の「警察署の中」のシーンを1日で撮っていたりしたそうだ。
だから諸々違和感がないのだ。

それにしても今度は「1」とちょっと違って大アクション篇。サブタイトルの「激闘篇」も納得だ。
お宝(マクガフィンともいう)を巡って移動しながらそれを狙う一派との対決というのはなかなか日本映画では成立しない。
今回は車じゃなくてカブだから高速道路は使えないので、自然と一般道を走ることになり、裏道を走ったりだ。

警察の検問突破やパトカーとのチェイス(ここで007なみの活躍をスーパーカブがする)、ヘリコプターとの追撃戦、悪徳警官との銃撃戦など見所満載。
悪徳警官との銃撃戦で終わりかと思ったら、さらに元白バイ警官の改造バイクとの対決。
このバイクがミサイルまで発射するというエスカレートぶり。
そんなアホな!と笑ってしまうが、アクションコメディとしてここまでやらなきゃあ。

この改造ミサイル付きバイクの対決がかっこよく、非常に満足。今年観たアクション映画で一番面白かったと言っても過言ではない。

かぶらぎやの娘との恋とかキャラクターも娯楽映画のお約束をふまえた展開で、ホント今後が気になる。
私が映画プロデューサーならあと3本は撮らせたい。
いやテレビの連続ドラマでもいいと思うぞ!

斉藤慶太、いい映画に出た!
僕の中では彼の代表作だ!



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スーパーカブ


日時 2010年12月19日14:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 室賀厚
製作 平成20年(2008年)

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浜田武士・通称ハマー(斉藤慶太)は街では有名なバイクの走り屋だったが、自慢のバイクのキャブレターを交換してすぐにレースをしてしまい、調整不足のため失速。レースに負けてしまう。
負けたほうがバイクを手放す約束だったためバイクも失う羽目に。しかも警察に捕まり免停。アメリカに住む両親にもばれ、住んでいたマンションからも追い出される。
仕方なく父の親友(小木茂光)の蕎麦屋・かぶらぎやに世話になることに。ガレージが浜田の部屋だったが、そこで古い出前用のカブを見つける。
暇に任せてそのカブをチューンアップするハマー。
ある日ちょっと遠方の出前が入り、ハマーがカブで配達する事に。音速の出前持ち、ハマーの誕生だ!

「海賊仁義」で割とおもしろかった室賀監督だが、今回のグリソムの上映でその存在を初めて知った映画。
予告とかをネット上で探してみると、スーパーカブが走りまくって活躍するという逆転の面白さを感じた。
かっこいい男がかっこいいバイクでかっこよく走ってもそれはそれでかっこいいのだが、やはりダサい(けどスーパーロングセラー)のスーパーカブが大活躍するという発想がいい。
ぼろぼろになった乗り物を復活させるというのは「チキチキバンバン」とかTV「走れ!ケー100」とか一つの物語のお約束だが、それに乗っ取っての展開。
しかも主演は斉藤慶太。うん、小沢仁志より100倍も好感がもてるキャスティングだ。

映画の方も期待を裏切らない面白さ。
かつてなら2本立ての添え物として公開され十分シリーズ化もあり得る企画なのだが、今の日本映画はこういうプログラムピクチャアを存在させるゆとりがない。
「大作」か「極私的映画」に二極化している。
「寅さん」の添え物として十分におもしろいだろうに。
いやアクション系だからむしろ東映の番線かな。

お話はその後、ハマーのかつての走り仲間がどうやらバイク窃盗団に関わっているらしいと聞いてそれをやめさせようとするという展開。
最後にその仲間が盗んだバイクを窃盗団に渡そうとするのだが、かぶらぎやの主人との約束として出前以外でバイクに乗ることは禁じられている。
そこで無理矢理蕎麦を注文させて届けさせるという展開。
かぶらぎやの主人が車でやってきてその蕎麦を渡すところはばかばかしいが、涙が出た。

斉藤慶太の代表作として記憶されるべき快作だ!



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行きずりの街


日時 2010年12月18日15:40〜
場所 丸の内TOEI2
監督 阪本順治

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丹波篠山で塾講師をしている波多野(仲村トオル)。数年前の教え子が卒業して東京に行ったが祖母が亡くなりそうだというのに連絡がとれないと聞き、東京に出て探してみることに。
教え子の住所を訪ねて見たが、家賃20万円以上するような高級マンションだった。金持ちの男がいたらしいと考えた波多野だったが、その教え子のかつてのルームメイトから二人で六本木のクラブで働いていたと聞き出す。
その店に行ってみたが、そこでかつて自分が高校教師時代の理事と会う。彼らに「スケベ教師」と罵倒される波多野。実は彼はかつて名門女子校の教師で、その教え子と関係をもってしまったことがスキャンダルとなり学校を追われたのだった。
その教え子で恋人だった女性(小西真奈美)と再会する波多野。
しかし彼の周りになにやら怪しい男(窪塚洋介)がつきまとう。


製作黒沢満、セントラルアーツ、脚本丸山昇一という日本のアクション、ハードボイルド映画を連作してるメンバーの新作。「カメレオン」がヒットしたのかどうか解らないが、再びこのメンバーだ。
しかも撮影は仙元誠三で申し分ない画作りだ。

お話の方は仲村トオルと同じ様な10代の娘と大人の男の恋がベースで、いや似たような話がでてくるのはいいのだが、かつての塾の教え子が全く関係ない仲村トオルのかつての学校の事件に関わってくるというのが偶然すぎる。
いやこれは原作の問題でもあるのだろうから映画だけの問題ではないだろうけど。

阪本順治だからテンポはまったりしている。
実は基本、阪本順治は好きなのだが、このまったりとしたテンポは好きになれない。
もう少しテンポがよければもっと好きになると思うのだが。

仲村トオルがいい男すぎて若干感情移入しにくいのが残念。しかし40になってまたいい役者になってきたなあ。
小西真奈美も清楚な魅力が最高だ。
また敵役の窪塚洋介がいい。
最初誰だか解らなかったが、例の自殺(?)事件以降表舞台からは姿を消していた感があるけど、本作では新しい面を発揮。よかったと思う。
また石橋蓮司、菅田俊らの悪役も相変わらずいい。

阪本順治は嫌いではないし、この映画も嫌いではないのだが、何かもう一つ足りない気がする。
それは阪本監督のゆったりとしたテンポの問題かも知れないし、悪くはないがベストでもない(僕にとって)仲村トオルの問題かそれはよくわからないのだけど。



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五月みどりのかまきり夫人の告白


日時 2010年12月15日21:10〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 牧口雄二
製作 昭和50年(1975年)

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みどり(五月みどり)はタレントで大学教授で評論家の夫(山城新伍)とワイドショーの司会もしていた。
夫が学生と浮気していることを知ったみどりは自分も浮気をすることに。
まずはカーレーサー、そしてとなりのご主人、別荘で出会ったホモの美青年(風戸佑介)、番組のスポンサーの化粧品会社の副社長(名和宏)からは言い寄られるが、袖にする。そして果ては殺し屋(伊吹吾郎)とも関係を持つのだが。

今だったら絶対にこんな映画は作られないのだが、この頃は2本立てが当たり前だったから添え物映画というのがあった。
でも東宝とか松竹は2本立ての添え物でも1時間半はあったぞ。これは67分で完全にSPかピンク映画の尺だよ。
(何の映画の併映だったかを調べてみたら「新仁義なき戦い 組長の首」だった。ちょっと驚いた)

もちろんこの映画は公開時には見ていないのだが、五月みどりがブームだったことはよく覚えている。
僕の解釈が間違いなければ、この五月みどりあたりから熟女という言葉が生まれ、20代の女の子がセクシーの中心だったが、五月みどりのブームで今のAV界にある熟女ものの基礎になっているのではないか?
いやその方は特に専門ではないから違うかも知れないけど。
ただ物心ついてからこういった大人の女性(30代以上の女性)がセクシーの対象になったのを見たのは初めてだった。

日活は完全にロマンポルノだったけど、東映はそこまでいかず、18禁にはなっていなかったと思う。
確かに今見てもソフトで、五月みどりは脱ぐけど裸ばかりではない。

映画の方は正直面白くもなく、話はオムニバス的に次々と男が登場し関係を持っていくのだが、ひねりもなにもない。
素人でも書けそうなシナリオだ。
キネ旬データベースを読むと産婦人科医と関係を持つシーンがあるが、実際にはそれはなく、代わりに化粧品会社のエピソードが挿入。この頃の名和宏は完全にスケベ男の路線だ。(実際にもそんな感じのイメージがあるけど)

その中でホモの青年のエピソードがでてくるが五月みどりは「ホモは病気。私が直してあげる」というセリフがでてくる。今の様にボーイズラブものの映画がある時代からするととんでもないセリフだけど、実際には今でもそういう意見の人はいるでしょうねえ。
ここでその青年(風戸佑介)はなかなかの美青年。後にヒーローものにもでたらしいがそれも納得。
パンツ1枚になるシーンがあるけど、BVDのパンツを履いている。今見ると真っ白なブリーフでダサい感じがするが(75年にはダサいという言葉はなかった)、今のように男性下着がおしゃれでカラフルな時代ではなかったから(そうなるのはやはり80年代のブランドブームになった頃からだろう)、この頃の青年としては十分おしゃれな下着を履いているのだ。
当時男性下着はグンゼとBVDぐらしかなかったけど、何となくBVDの方がおしゃれなイメージがあったもんな。

映画とは関係ない話になったけど、それだけ映画については語ることがないのだよ。
一晩で書いたようなイージーなシナリオで、かといって見る価値がないわけではなく、五月みどりの人気ぶりを記録する映画として、昭和50年の時代の空気が缶詰になっている映画ということだけは確かだ。
五月みどりはあと下宿の女主人になって下宿の男の子たちとナニする映画があった。
いつどこで見たのかさっぱり覚えていないが、見た覚えだけはある。
もう一度みたいと思う、何となく。




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禁断の恋


日時 2010年12月14日
場所 DVD
監督 草野陽花
製作 平成19年(2007年)

アパレルメーカーの社員、水木律(三上真史)は若くして才能がありニューヨークに会社の費用でデザインの勉強に留学していた。しかし若き佐々木営業部長はそれを妬んでいた。
社長の命令で一時帰国した律。社長と律の父は親友同士で、律の両親の死後、社長が律の面倒を見てきたのだ。
その社長から自分はこれから長期の海外出張に出るが、高校生の長男の翔(加藤良輔)が引きこもりになってしまい、なんとか彼の心を開いてほしいと頼まれる。
以前のように翔の家に住む律。実は彼らは恋人同士だった。
翔の弟・遼(湯川尚樹)は以前のように律に接してくれたが、それ以上の感情を持っているかのように律に接してくるのだった。


ボーイズラブ映画。劇場公開されたかどうか解らない。ネットで検索しても出てこないのだな。ビデオオンリーだったかも知れないけど。
これも時間は71分と短い。

アパレルメーカーとかニューヨークとかデザイナーとか少女漫画、というかそういう恋愛ドラマにありがちなおしゃれな人々の設定。
主役の三上真史はイケメンだけどもう一つ華やかさがないのが残念。
冒頭、若い男とと翔が愛し合いかけるようなシーンから始まる。
前日見た「いつかの君へ」はそういう激しいシーンはなかったが、これはそういうのを期待される方には楽しめる。

で、佐々木営業部長もゲイらしく翔に関係を迫っていて、かつての恋人の律が憎い。
という感じで三角四角関係だ。
引きこもりの原因は遼が律と翔を引き離そうとして自分の父親と律が関係を持っていると勘違いさせるベットでの二人の写真を翔に渡していたという展開。

なんとなくそれは読める展開だったのだが、最後になって実は遼が好きだったのは実の兄の翔だった!というどんでん返しがある。
昨日の「いつかの君へ」といい、どんでん返しには楽しまされるなあ。
兄を自分のものにするために律から引き離したのだ!
自分を兄弟だからと拒否する翔を殺してしまう遼。
ラスト、翔の好きな白い花を翔の遺体のまわりに飾り裸で翔を抱きしめる遼。
江戸川乱歩的狂気の愛の世界で、そのラストは充分に楽しんだ。

ちなみに助監督はいまおかしんじの助監督の伊藤一平でした。



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いつかの君へ〜ずっとそばにいてほしい〜


日時 2010年12月13日
場所 DVD
監督 堀江慶
製作 平成19年(2007年)

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美大の写真学科に通う深水ノボル(斎藤工)は周りと協調することが出来ず、クラスメートからも浮いた存在だった。そんなノボルを早瀬(河合龍之介)は気になっていた。
ある日、クラスメートたちと湖に行ったが、そこで早瀬はボートから落ちてしまう。
助けたのはノボル。しかもノボルから人工呼吸をされ、早瀬はドキマギしてしまった。
ある夜、街でノボルそっくりの、だが金髪の青年を見かける。
あるバーに入っていくのを見かけ、翌日、そのバーを訪ねてみる。
そのノボルにそっくりの青年が現れるのではないかと。
やがてその金髪の青年リュウがやってきた。

ボーイズラブの低予算のビデオ撮りの67分の映画。
42インチのプラズマテレビで見ると画像は汚い汚い。細部は完全にピンボケしている。
見たかったのは斎藤工主演だから。
斎藤工は脇で「十三人の刺客」とか、昨年フジテレビの「不毛地帯」とかにも出演しているが主演作ではまだこれと言ったメジャー作品がない。
惜しい。色気とたくましさを持ったいまの若手俳優では期待している一人なのだが。

映画はボーイズラブのカテゴリー扱いだが、ボーイズラブというような激しい愛情作品ではない。
友情の延長と言ったレベルだし。
お話しの方はその金髪の青年がノボルの双子の弟。
兄弟は性格が全く違い、兄は内向的なのに弟は社交的で明るく友だちも多い感じ。
ところが実は・・・
という展開。

書いちゃうけど、リュウの方が公園で捨てられている猫を見つけて可愛がる。
その後、ノボルが外に雨が降り出したのを見ていきなりその公園の猫の所まで駆けていく。
あれれ?とこちらが思いだしたところで、兄のノボルが早瀬の家で料理している時に指に怪我をする。ところが次にリュウに早瀬が会った時にリュウも同じところを怪我していたもんだから、驚いた早瀬がリュウの帽子を取ると帽子とともに金髪のかつらも取れてしまう!
なんとノボルの一人二役だったのだ!
いやーなんとも意外な結末で驚いた。

実は子供の頃にノボルはリュウを交通事故で亡くしてしまい、それ以来リュウの死は自分の責任と感じていつの間にか精神が壊れてリュウの人生も生きようとしていたという訳。
なんだかヒッチコックの「サイコ」みたいな二重人格で面白かったというか驚いた。
ボーイズラブというより、ミステリー的なオチだった。



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危険な道


日時 2010年12月9日
場所 DVD
監督 オットー・プレミンジャー
製作 1965年(昭和40年)

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1945年12月7日。
太平洋艦隊の巡洋艦艦長のトリー大佐(ジョン・ウエイン)真珠湾攻撃で日本軍を追撃するも燃料不足で満足に戦えず、負傷。治療中の病院で離婚歴のある看護婦と知り合う。
トリーの副官(カーク・ダグラス)の妻は不倫の果てに真珠湾攻撃中の交通事故で亡くなってしまう。ショックをうけ職務怠慢になった彼は南の島の守備隊に左遷。
トリーには実は別れた妻との間に息子がいて成人して海軍に入っていた。再会するトリーと息子だが、息子は反発。息子は議員出身の将校に近づき、出世しようという生粋の軍人のトリーには考えられない行動をしていた。
やがて日本軍の反撃の拠点を奪回するため、トリーたちは出撃する!


「戦艦大和映画大全」という大和が登場する映画の特集ムックが洋泉社から発売され、その中に紹介されるアメリカ映画がこれ。
この本が発売されるまで知らなかった映画。
DVDで見たのだが、2時間47分ある映画であまりのつまらなさに1時間づつ3日かけて見る羽目になった。
ストーリーはその後、ジョン・ウエインがつき合っている看護婦の同僚看護婦(こっちは若い)とジョン・ウエインの息子がつき合いだして、一方、心傷ついたカーク・ダグラスはジョン・ウエインの息子の彼女とちょっとつき合いだしてしまい、カークダグラスは本気になるが、彼女はジョン・ウエインの、息子と婚約し、それで自暴自棄になって無理な偵察に行ってしまって・・・・みたいな戦争映画ではないような恋愛話が延々と続く。

1時間半のところで大きなフェード・アウトがあるからたぶんここで映画館では休憩が入ったのだろう。
で2時間20分ぐらいのあたりから戦闘シーンになるのだが、ここらでやっと大和登場。

ただし史実は無視しているから、ジョン・ウエインの息子の魚雷艇が大和と互角に戦おうとしたりして日本軍はなめられている。
一夜明けてジョン・ウエインの巡洋艦と砲撃戦をするのだが、これが飛行機を使わない戦いだから大砲の撃ち合いだけで面白くない。
終いには大和は被弾して火災発生という始末。
そのときの日本軍の描写はないけど。

戦争映画としてはあまりにも恋愛映画としての色合いが濃く、好きになれないなあ。
「大和が登場するアメリカ映画」という点だけしかみる価値のない映画。



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SPACE BATTLESHIP ヤマト


日時 2010年12月2日18:40〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン3
監督 山崎貴

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謎の星ガミラスの攻撃によって今や地球は瀕死の状態にあった。ついに地球艦隊は全滅、残すは建造中の宇宙戦艦ヤマトのみだった。
そこへイスカンダル星から星の座標と波動エンジンの設計図が送られてきた。そこへ行けば放射能除去装置が手に入る。
人類移住計画を中止、ヤマトをイスカンダルに向けて出発させる。館長は沖田(山崎努)。戦闘班長は古代進(木村拓哉)。果たして到達できるか?

70年代後半、一世を風靡したアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の実写化だ。
去年の年末にはアニメ版の新作が公開されたがなんだが出涸らしで不発。
でもオリジナル「ヤマト」の実写化となればオールドファンは興奮の極致。
実際、映画関係の友人知人は初日(水曜日にも関わらずだ。私は映画の日に当たって映画館が混むと思ったので、初日は避けたけど)に見に行っている。

思いでのあのシーンやあのキャラクターがどうなっているかが興味津々。勢いオリジナルとの比較になってしまう。
たくさん言いたいことはあるけど、思いつくままに。

さすがにVFXは山崎貴だけあって海外に出しても恥ずかしくない出来。ただ恥ずかしくないだけで誇れる訳ではない。「スターウォーズ」や「エイリアン」や「スターシップトゥルーパーズ」などで、観たようなシーンや造形の連続。まあ映画界全体がそうだとも言えるので山崎一人の問題ではないと思うけど。

やっぱり主演のキムタクについて。
いつまでたってもキムタクはキムタクだなあ。違う演技とか違うキャラクターを演じようという気がないのかな。
いつもと同じように言葉遣いは悪いままで自分も正義を振りかざす。
大体オリジナルの古代や島は18歳ぐらいで士官学校出たてのただの子供だったのだ。その子供の成長の物語でもあったのだが。
「とにかく視聴率男のキムタクで!」というTBSの悲痛な願いによって設定もなにも決められていった気がする。
私はキムタク演技が嫌いなので、とにかく気になった。
でも彼のフィルモグラフィーの「シュート!」「君を忘れない」「2046」「HERO」「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」と全部観ている。実は演技は嫌いだが、顔は嫌いではないのだろう。
だから原作の設定を生かすなら同じジャニーズでも山下智久とか亀梨和也とか松本潤あたりの方がいい。
もっと若くて10代でもいいのだが、さすがに大作にかけるTBSとしてはそれは出来なかったろう。

山崎努の沖田艦長、なんだか髭がとってつけたようで似合っていない。一昔前なら丹波哲郎が演じていたことだろう。西田敏行もあまり好きな役者ではないのでいまいち。
高島礼子の佐渡先生も「何で女性に?」と思ったが、意外に様になっていた。
戦闘機隊の山本を最近注目の俳優・斎藤工が出演していてくれるのがうれしい。かれは「十三人の刺客」にも出演しているが、どうも役が小さくて残念だ。
あと艦橋にめがねをかけて面長で古代と同じ赤い矢印の服をきているので、もしや?と思ったらやっぱり南部!
いやうれしかったですねえ。
もう一つうれしかったのは、アナライザーが声だけの出演で、古代の携帯する総合的な計測機としての活躍だけかと思っていたら、最後の最後にオリジナルのアナライザーとなって出てきた時は感激して思わず「あっ」と言ってしまった。

あと七色星団決戦のような艦隊決戦が観たかったなあ。
ここは省略しないで欲しかった。
ガミラスも人間形ではなく、結晶体っていうのもなんだかなあ。造形が難しかったのかも知れないけど、同様にラストのガミラス艦がなんだがエイリアンに出てきそうな形だし。ついでにいうなら古代や森雪(黒木メイサ)が戦闘服を脱ぐとカットソーになっているのもなんだかエイリアンのシガニー・ウィーバーを思い出した。

途中で波動砲の発射口がふさがれて使えなくなるのだが、これはオリジナルの七色星団決戦の時にもあったネタ。sれでいいのだが、最後までふさがれたままっていうのはどうよ?
ちゃんと至急に使えるようにしなきゃあ。


あとね、これは意見が分かれると思うけど、例の矢印が縦に描いてある制服、あれアニメだと気にならないけど、実写だとかっこよくない。ここは実写のオリジナルの制服でいって欲しかったな。
第一艦橋が狭い。予算をかけなかったか?
あとせっかくなら第三艦橋も中を写して欲しかったな。
オリジナルでもほとんど活躍しなかったもん。

そして最後に。
根本的にヤマトの姿が写るカットが少なかった。
もっとヤマトを写して欲しかった。

結果としてヤマトを実写化するというバカな企画を自薦したスタッフは賞賛もしたいが、今更なにをという気もする。
難しいところだ。



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